本発明の成形材料は、不飽和ポリエステル樹脂組成物および強化繊維を含む。
不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤と、充填材とを含む。
不飽和ポリエステルは、多塩基酸と、多価アルコールとの重合生成物である。
多塩基酸は、必須成分としてのエチレン性不飽和二重結合を有する多塩基酸(以下、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸とする。)と、任意成分としてのエチレン性不飽和二重結合を有しない多塩基酸(以下、エチレン性不飽和結合不含多塩基酸とする。)とを含む。
エチレン性不飽和結合含有多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ジヒドロムコン酸などのエチレン性不飽和脂肪族二塩基酸、例えば、これらの酸のハロゲン化物、例えば、これらの酸のアルキルエステルなどが挙げられる。
また、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸には、上記のエチレン性不飽和脂肪族二塩基酸から誘導される酸無水物、例えば、無水マレイン酸などが含まれる。
エチレン性不飽和結合含有多塩基酸としては、好ましくは、無水マレイン酸、フマル酸が挙げられる。
エチレン性不飽和結合不含多塩基酸としては、例えば、飽和脂肪族多塩基酸、飽和脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸、これらの酸のハロゲン化物、これらの酸のアルキルエステルなどが挙げられる。
飽和脂肪族多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルコハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など飽和脂肪族二塩基酸などが挙げられる。
また、飽和脂肪族多塩基酸には、上記の飽和脂肪族二塩基酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸などが含まれる。
飽和脂環族多塩基酸としては、例えば、ヘット酸、1,2-ヘキサヒドロフタル酸、1,1-シクロブタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(cis-またはtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸もしくはその混合物)、ダイマー酸などの飽和脂環族二塩基酸が挙げられる。
飽和脂環族多塩基酸としては、上記の飽和脂環族二塩基酸から誘導される酸無水物、例えば、無水ヘット酸などが含まれる。
芳香族多塩基酸としては、例えば、フタル酸(オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族二塩基酸が挙げられる。
また、芳香族多塩基酸には、上記の芳香族二塩基酸から誘導される酸無水物、例えば、無水フタル酸などが含まれる。
エチレン性不飽和結合不含多塩基酸としては、好ましくは、芳香族多塩基酸が挙げられ、より好ましくは、芳香族二塩基酸、さらに好ましくは、フタル酸、とりわけ好ましくは、イソフタル酸が挙げられる。
多塩基酸は、単独使用または2種以上併用できる。
多塩基酸は、好ましくは、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸およびエチレン性不飽和結合不含多塩基酸を含む。
多塩基酸が、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸およびエチレン性不飽和結合不含多塩基酸を含む場合には、多塩基酸に対して、エチレン性不飽和結合含有多塩基酸の配合割合は、80モル%以上であり、また、例えば、99モル%以下である。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-または1,3-プロパンジオールもしくはその混合物)、ブチレングリコール(1,2-または1,3-または1,4-ブチレングリコールもしくはその混合物)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタンなどのアルカンジオール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのエーテルジオールなどの脂肪族ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール(1,2-または1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールもしくはその混合物)、シクロヘキサンジメタノール(1,2-または1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノールもしくはその混合物)、シクロヘキサンジエタノール(1,2-または1,3-または1,4-シクロヘキサンジエタノールもしくはその混合物)、水素化ビスフェノールAなどの脂環族ジオール、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物などの芳香族ジオールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコールなどが挙げられ、好ましくは、2価アルコール、より好ましくは、脂肪族ジオール(アルカンジオール)、脂環族ジオール、さらに好ましくは、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールAが挙げられる。
多価アルコールは、単独使用または2種以上併用でき、好ましくは、ネオペンチルグリコールおよび水素化ビスフェノールAを含む。
多価アルコールが、ネオペンチルグリコールを含むと、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、耐水性に優れる。
また、多価アルコールが、ネオペンチルグリコールとともに、さらに、水素化ビスフェノールAを含むと、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、より一層耐水性に優れる。
多価アルコールが、ネオペンチルグリコールおよび水素化ビスフェノールAを含む場合には、ネオペンチルグリコールの配合割合は、ネオペンチルグリコールおよび水素化ビスフェノールAの総量100モル%に対して、例えば、60モル%以上であり、また、例えば、80モル%以下であり、また、多価アルコール100モル%に対して、20モル%以上であり、また、例えば、50モル%以下である。
また、多価アルコールが、ネオペンチルグリコールおよび水素化ビスフェノールAを含む場合には、水素化ビスフェノールAの配合割合は、ネオペンチルグリコールおよび水素化ビスフェノールAの総量100モル%に対して、例えば、20モル%以上であり、また、例えば、40モル%以下であり、また、多価アルコール100モル%に対して、10モル%以上であり、また、例えば、40モル%以下である。
不飽和ポリエステルは、多塩基酸と、多価アルコールと重縮合(縮合重合)することにより得られる。
多塩基酸と、多価アルコールとを重縮合(縮合重合)させるには、多塩基酸に対す多価アルコールの当量比(多価アルコールのヒドロキシル基/多塩基酸のカルボキシル基)が、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上、また、例えば、1.2以下、好ましくは、1.1以下になるように、配合し、常圧、窒素雰囲気下で撹拌する。
反応温度としては、例えば、150℃以上、好ましくは、190℃以上であり、また、例えば、250℃以下、好ましくは、230℃以下ある。
反応時間としては、例えば、8時間以上、また、例えば、30時間以下である。
なお、上記の反応において、必要に応じて、公知の溶剤および公知の触媒を配合することもできる。
これにより、不飽和ポリエステルが得られる。
不飽和ポリエステルの酸価(測定方法:JIS K6901(2008年)に準拠)は、例えば、20mgKOH/g以上であり、また、例えば、40mgKOH/g未満、好ましくは、30mgKOH/g以下である。
不飽和ポリエステルの重量平均分子量は、例えば、6000以上、好ましくは、8000以上であり、また、例えば、25000以下、好ましくは、20000以下である。
なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量であり、不飽和ポリエステルをGPC測定することにより求めることができる。
重合性単量体は、不飽和ポリエステルを溶解するための溶剤であり、かつ、不飽和ポリエステル樹脂(後述)の硬化時には、不飽和ポリエステルと架橋可能な架橋性単量体(反応性希釈剤)であって、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、α-エチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル)、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸アリルなどの(メタ)アクリル酸アリルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルなどの環構造含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルおよびこれらのクロライド塩、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシルなどの(メタ)アクリル酸フルオロアルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリル酸エステル、例えば、グリセリンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルなどのアリル系モノマーなどが挙げられ、好ましくは、スチレン系モノマー、より好ましくは、スチレンが挙げられる。なお、(メタ)アクリルは、メタクリルおよび/またはアクリルと同義である。
重合性単量体は、単独使用または2種以上併用できる。
重合性単量体の配合割合は、不飽和ポリエステル100質量部に対して、例えば、35質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下、100質量部以下である。
低収縮化剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形品(後述)を得る場合に、成形品(後述)の硬化収縮および熱収縮を抑制するために配合される。
低収縮化剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン系熱可塑性エラストマー、架橋ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル-ポリスチレンブロックコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーにおけるスチレン含量は、例えば、5%以上であり、また、例えば、50%以下である。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合エラストマー、スチレン-イソプレンブロック共重合エラストマー、スチレン-エチレン/ブチレンブロック共重合エラストマー、スチレン-エチレン/プロピレンブロック共重合エラストマーなどが挙げられ、好ましくは、スチレン-ブタジエンブロック共重合エラストマーが挙げられる。このようなスチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、D1101、D1102、D1155、DKX405、DKX410、DKX415、D1192、D1161、D1171、G1651、G1652、G1654、G1701、G1730(以上、クレイトンエラストマー社製)、アサプレンT411、アサプレンT432、タフプレンA、タフプレン125、タフプレン126S、タフプレン315、タフプレン912、タフテックH1141、タフテックH1041、タフテックH1043、タフテックH1052(以上、旭化成社製)、セプトン1001、1201(以上、クラレ社製)などが挙げられる。
飽和ポリエステル樹脂は、上記したエチレン性不飽和結合不含多塩基酸と、上記した多価アルコールと重縮合(縮合重合)することにより得られる。
エチレン性不飽和結合不含多塩基酸と、多価アルコールとを重縮合(縮合重合)させるには、多塩基酸に対する多価アルコールの当量比(多価アルコールのヒドロキシル基/多塩基酸のカルボキシル基)が、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上、また、例えば、1.2以下、好ましくは、1.1以下になるように、配合し、常圧、窒素雰囲気下で撹拌する。
反応温度としては、例えば、150℃以上、好ましくは、190℃以上であり、また、例えば、250℃以下、好ましくは、230℃以下である。
反応時間としては、例えば、8時間以上、また、例えば、30時間以下である。
なお、上記の反応において、必要に応じて、公知の溶剤および公知の触媒を配合することもできる。
これにより、飽和ポリエステルが得られる。
飽和ポリエステルの酸価(測定方法:JIS K6901(2008年)に準拠)は、例えば、5mgKOH/g以上であり、40mgKOH/g未満である。
そして、この飽和ポリエステルを、上記した重合性単量体(好ましくは、スチレン)に溶解させ、必要により、添加剤(重合禁止剤(後述)(好ましくは、ハイドロキノン))を配合することにより、飽和ポリエステル樹脂を調製する。
飽和ポリエステル樹脂の調製においては、重合性単量体の配合割合は、飽和ポリエステル100質量部に対して、例えば、35質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下であり、重合禁止剤の配合割合は、飽和ポリエステル100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.005質量部以上であり、また、例えば、0.1質量部以下、好ましくは、0.05質量部以下である。
低収縮化剤としては、好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリメタクリル酸メチル、飽和ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルが挙げられ、より好ましくは、成形品(後述)の硬化収縮の抑制や表面平滑性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
また、低収縮化剤は、必要により、公知の溶剤に溶解された溶液として用いることもできる。
低収縮化剤の配合割合は、不飽和ポリエステルおよび重合性単量体の総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、60質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下であり、また、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。
充填材は、必須成分として、中空フィラーを含んでいる。
つまり、この成形材料は、中空フィラーを含んでいる。
成形材料が、中空フィラーを含むと、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)の軽量化を図ることができる。
中空フィラーとしては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン、アルミナバルーンなどが挙げられ、好ましくは、ガラスバルーンが挙げられる。
また、中空フィラーの真密度は、0.4g/cm3以下、好ましくは、0.35g/cm3以下であり、また、例えば、0.1g/cm3以上、好ましくは、0.25g/cm3以上、より好ましくは、0.30g/cm3以上である。
中空フィラーの真密度が、上記上限以下であれば、この成形材料を、金型で成形する場合に、金型に対して、成形材料は充填性に優れる。
一方、中空フィラーの真密度が、上記上限を超過すると、この成形材料を、金型で成形する場合に、金型に対して、成形材料の充填性が低下する。
なお、中空フィラーの真密度は、ASTM D2840-69に従い比重瓶を用いて測定することができる。
また、中空フィラーの粒子径D50は、30μm以下、好ましくは、28μm以下であり、また、例えば、10μm以上である。
また、中空フィラーの粒子径D50が、上記上限以下であれば、後工程での仕上げ作業時などにおいて、成形品(後述)破損の頻度および表面状態への影響を低減でき、また、塗装工程での成形品(後述)端部のサンディング面における塗装欠陥を低減できる。その結果、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、耐水性に優れる。
一方、中空フィラーの粒子径D50が、上記上限を超過すると、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)の耐水性が低下する。
なお、中空フィラーの平均粒子径D50は、例えば、レーザー回折式の粒度分布測定器によって測定することができる。
つまり、成形材料は、上記した所定の真密度および粒子径D50を有する中空フィラーを含むため、上記した充填性に優れ、かつ、成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、耐水性に優れる。
また、中空フィラーの耐圧強度は、例えば、20MPa以上、好ましくは、30MPa以上であり、また、例えば、50MPa以下である。
上記した耐圧強度および破壊強度には、密接な関係があるため、中空フィラーの耐圧強度が、上記下限以上であれば、強度がより充分でより安定した成形性と物性が得られる。そして、後工程での仕上げ作業時などにおいて、成形品(後述)破損の頻度および表面状態への影響を低減でき、また、塗装工程での成形品(後述)端部のサンディング面における塗装欠陥を低減できる。その結果、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、耐水性に優れる。
なお、中空フィラーの耐圧強度は、ASTM D3102-78(1982年度版)に準拠して測定することができる。
中空フィラーの配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、4質量部以上、より好ましくは、7質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、28質量部以下、より好ましくは、22質量部以下、さらに好ましくは、15質量部以下であり、また、成形材料(不飽和ポリエステル樹脂組成物および強化繊維の総量)に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.7質量%以上、より好ましくは、1質量%以上、さらに好ましくは、3質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、10質量%以下、好ましくは、7質量%以下、より好ましくは、5質量%以下である。
中空フィラーの配合割合が、上記下限以上であれば、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)の軽量化を図ることができる。
中空フィラーの配合割合が、上記上限以下であれば、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)の仕上げ性(後述)が向上する。
また、充填材は、任意成分として、他の充填材を含む。
他の充填材としては、例えば、アルミナ、チタニアなどの酸化物、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、硫酸バリウムなどの硫酸塩、例えば、シリカ(例えば、結晶性シリカ、溶融シリカ、フュームドシリカ、乾式シリカ(アエロジル)など)、例えば、ガラスパウダー、例えば、珪砂、珪藻土、マイカ、クレー、カオリン、タルクなどのケイ酸塩、例えば、ホタル石などのフッ化物、例えば、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、例えば、スメクタイトなどの粘土鉱物などの無機充填材などが挙げられる。
他の充填材としては、好ましくは、炭酸塩、より好ましくは、炭酸カルシウムが挙げられる。
他の充填材の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
充填材は、単独使用または2種以上併用でき、好ましくは、中空フィラーおよび他の充填材を併用する。
中空フィラーおよび他の充填材を併用する場合には、中空フィラーの配合割合は、充填材100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上、より好ましくは、5質量部以上、さらに好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、20質量部以下であり、また、他の充填材の配合割合は、充填材100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、60質量部以上、より好ましくは、80質量部以上、さらに好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、99質量部以下、好ましくは、97質量部以下、より好ましくは、95質量部以下、さらに好ましくは、90質量部以下である。
充填材の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、100質量部以下、より好ましくは、80質量部以下である。
そして、不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤と、充填材とを、上記した配合割合で、配合することにより得ることができる。
これにより、不飽和ポリエステル樹脂組成物が得られる。
このような不飽和ポリエステル樹脂組成物において、不飽和ポリエステルおよび重合性単量体の総量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。また、低収縮化剤の配合割合は、不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、4質量%以上であり、また、例えば、25質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。また、不飽和ポリエステルと重合性単量体と低収縮化剤との総量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
また、不飽和ポリエステル樹脂組成物には、必要により、重合禁止剤、硬化剤、離型剤、着色剤、増粘剤、湿潤分散剤、難燃剤などの添加剤を配合することができる。これら添加剤は、単独使用または2種以上併用できる。
重合禁止剤は、可使時間、硬化反応を調整するために配合され、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノンなどのハイドロキノン化合物、例えば、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノンなどのベンゾキノン化合物、例えば、t-ブチルカテコールなどのカテコール化合物、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、4-メトキシフェノールなどのフェノール化合物、例えば、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-アセテート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-2-エチルヘキサノエート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-ステアレート、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル-4-t-ブチルベンゾエート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)コハク酸エステル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジピン酸エステル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)n-ブチルマロン酸エステル、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)フタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)イソフタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)テレフタレート、ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサヒドロテレフタレート、N,N’-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジパミド、N-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カプロラクタム、N-ビス(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ドデシルサクシンイミド、2,4,6-トリス-[N-ブチル-N-(1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)]-s-トリアジン、1-オキシル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オンなどのN-オキシル化合物が挙げられ、好ましくは、ベンゾキノン化合物、より好ましくは、p-ベンゾキノンが挙げられる。
重合禁止剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上であり、また、例えば、0.2質量部以下である。
重合禁止剤は、単独使用または2種以上併用できる。
硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシアセテートなどのパーオキサイドが挙げられ、好ましくは、パーオキシイソプロピルモノカーボネートであるt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが挙げられる。
硬化剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、0.8質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
硬化剤は、単独使用または2種以上併用できる。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩、例えば、パラフィン、液体ワックス、フッ素ポリマー、シリコン系ポリマーなどが挙げられ、好ましくは、脂肪酸金属塩、より好ましくは、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
離型剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下である。
離型剤は、単独使用または2種以上併用できる。
着色剤としては、特に制限されず、例えば、酸化チタン、ポリエステルトナー(酸化チタンおよび/またはカーボンブラック含有ポリエステル着色剤)などが挙げられる。
着色剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下である。
着色剤は、単独使用または2種以上併用できる。
増粘剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物を加熱圧縮成形に適した粘度まで増粘させるために配合され、好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂組成物を強化繊維(後述)に含浸させる前(好ましくは、直前)に配合され、例えば、酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属酸化物、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などが挙げられ、好ましくは、アルカリ土類金属酸化物、より好ましくは、酸化マグネシウムが挙げられる。
増粘剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、8質量部以下、より好ましくは、5質量部以下である。
増粘剤は、単独使用または2種以上併用できる。
湿潤分散剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物を加熱圧縮成形に適した粘度まで低下させるために配合され、リン酸ポリエステルなどの公知の湿潤分散剤が挙げられる。また、湿潤分散剤は、市販品を用いることができ、具体的には、BYK-W996(ビックケミー社製)などが用いられる。
湿潤分散剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下である。
湿潤分散剤は、単独使用または2種以上併用できる。
難燃剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形品(後述)に難燃性を付与するために配合され、例えば、臭素系難燃剤などのハロゲン系難燃剤、例えば、リン系難燃剤、無機系難燃剤、窒素化合物系難燃剤の非ハロゲン系難燃剤などが挙げられる。
難燃剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
また、不飽和ポリエステル樹脂組成物には、必要により、例えば、柄材、抗菌剤、親水剤、光触媒、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、分離防止剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、チクソ付与剤、チクソ安定剤、重合促進剤などの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。これら添加剤は、単独使用または2種以上併用できる。
シランカップリング剤は、成形品(後述)の機械強度や耐水性を高めるために配合され、カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基を有するシランカップリング剤、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するシランカップリング剤、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤、例えば、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなど(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤、例えば、チタネート系カップリング剤などが挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤、より好ましくは、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、KBM-503(信越化学工業製)が挙げられる。
シランカップリング剤は、単独使用または2種以上併用できる。
シランカップリング剤の配合割合は、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤との総量100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下である。
なお、上記した説明では、不飽和ポリエステルと、重合性単量体と、低収縮化剤と、充填材と、必要により配合される添加剤とを配合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得たが、まず、不飽和ポリエステルを重合性単量体に溶解させることにより、不飽和ポリエステル樹脂を調製し、その後、得られた不飽和ポリエステル樹脂と、低収縮化剤と、充填材と、必要により配合される添加剤とを配合することもできる。
不飽和ポリエステル樹脂の調製においては、不飽和ポリエステルおよび重合性単量体を配合するとともに、必要により、適宜、上記の添加剤(例えば、重合禁止剤)を配合することもできる。
不飽和ポリエステル樹脂の調製においては、重合性単量体の配合割合は、不飽和ポリエステル100質量部に対して、例えば、35質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下、100質量部以下であり、重合禁止剤の配合割合は、不飽和ポリエステル100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.005質量部以上であり、また、例えば、0.1質量部以下、好ましくは、0.05質量部以下である。
強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機繊維、例えば、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、フッ素樹脂系繊維、フェノール系繊維などの有機繊維、例えば、麻、ケナフなどの天然繊維などが挙げられ、好ましくは、無機繊維、より好ましくは、炭素繊維、ガラス繊維、さらに好ましくは、ガラス繊維が挙げられる。
これらの強化繊維の形状は、例えば、ロービングクロスなどのクロス状、例えば、チョップドストランドマット、プリフォーマブルマット、コンティニュアンスストランドマット、サーフェーシングマットなどのマット状、例えば、チョップドストランドなどのストランド状、例えば、ロービング状、例えば、不織布状、例えば、ペーパー状などが挙げられ、好ましくは、ロービング状が挙げられる。
これらの強化繊維のうち、好ましくは、ガラスロービングが挙げられる。
強化繊維の長さは、特に制限されず、例えば、0.1mm以上、好ましくは、1.5mm以上、より好ましくは、5mm以上、さらに好ましくは、15mm以上であり、また、例えば、80mm以下、好ましくは、40mm以下である。
そして、成形材料を調製するには、不飽和ポリエステル樹脂組成物に、強化繊維を配合する。
詳しくは、成形材料は、強化繊維に不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸させることより、例えば、シート状の成形材料として得られる。
強化繊維の配合割合(例えば、強化繊維がガラス繊維である場合には、以下、ガラス含有率とする。)は、不飽和ポリエステル樹脂組成物および強化繊維の総量に対して、20質量%以上、好ましくは、35質量%以上であり、また、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下、より好ましくは、43質量%以下である。
強化繊維の配合割合が、上記下限以上であれば、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、機械強度(曲げ強度)に優れる。
一方、強化繊維の配合割合が、上記下限未満であれば、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)の機械強度(曲げ強度)が低下する。
また、強化繊維の配合割合が、上記上限以下であれば、強化繊維に対する不飽和ポリエステル樹脂組成物の含浸性に優れる。
一方、強化繊維の配合割合が、上記上限を超過すると、強化繊維に対する不飽和ポリエステル樹脂組成物の含浸性が低下する。
成形材料を調製する方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、SMC(シートモールディングコンパウンド)、TMC(シックモールディングコンパウンド)、BMC(バルクモールディングコンパウンド)などが挙げられ、好ましくは、SMCが挙げられる。
これにより、上記の不飽和ポリエステル樹脂組成物と強化繊維とを含む成形材料が得られる。
次いで、このような成形材料を、加熱圧縮成形(後述)できるように、増粘させるため、好ましくは、例えば、20℃以上50℃以下、8時間以上120時間以下で熟成する。
これにより、成形材料が、例えば、シート状に保形される。つまり、成形材料は、シート形状を有する。
このようにして得られた成形材料は、所定の真密度および粒子径D50を有する中空フィラーを含む不飽和ポリエステル樹脂を含む。
そのため、この成形材料を、金型で成形する場合に、金型に対して、成形材料は充填性に優れ、かつ、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、耐水性に優れる。
また、この成形材料は、所定割合の強化繊維を含む。
そのため、この成形材料において、強化繊維に対する不飽和ポリエステル樹脂組成物の含浸性に優れ、また、この成形材料を用いて得られる成形品(後述)は、機械強度(曲げ強度)に優れる。
そして、このような成形材料から、公知の方法により、成形品を得ることができる。
成形品を得るには、成形材料を、公知の方法により、加熱圧縮成形する。
加熱圧縮成形の条件は、目的および用途に応じて、適宜設定され、具体的には、成形温度は、例えば、100℃以上、また、例えば、200℃以下であり、また、成形圧力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、1MPa以上、より好ましくは、5MPa以上であり、また、例えば、20MPa以下、好ましくは、15MPa以下である。
これにより、成形材料が硬化するとともに、成形材料が成形される。
これにより、成形品が得られる。
この成形品は、上記の成形材料の硬化物を含むため、耐水性および機械強度(曲げ強度)に優れる。
成形品の密度(JIS K6911(1995年))は、例えば、1.00g/ml以上であり、また、例えば、1.70g/ml以下、好ましくは、1.5g/ml以下である。
そして、このような成形品は、建材、ハウジング類、注型材、機械部品、電子・電気部品、車両、船舶(例えば、船外機カバー)、航空機などの各部材などに幅広く使用できる。
とりわけ、船外機カバーには、湖上や海上で屋外環境に曝露される部品であるため、優れた耐水性が求められる場合がある。
一方、この成形品は、耐水性に優れるため、船外機カバーに好適に用いることができる。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
1.成分の詳細
各実施例および各比較例で用いた各成分を以下に記載する。
スチレン-ブタジエンブロック共重合エラストマーのスチレン溶液:アサプレンT432(旭化成製)、スチレン溶液のスチレン含有率80%
ポリメタクリル酸メチルのスチレン溶液:ポリメタクリル酸メチルの重量平均分子量60000、スチレン溶液のスチレン含有率65%
飽和ポリエステル樹脂:スチレン含有率40%
ポリ酢酸ビニルのスチレン溶液:ポリ酢酸ビニルの重量平均分子量100000、スチレン溶液のスチレン含有率65%
ポリスチレンのスチレン溶液:ポリスチレンの重量平均分子量200000、スチレン溶液のスチレン含有率65%
S60HS:ガラスバルーン、真密度0.6g/m3、粒子径D50 30μm、耐圧強度124MPa、スリーエム社製
K37:ガラスバルーン、真密度0.37g/m3、粒子径D50 45μm、耐圧強度15MPa、スリーエム社製
S32HS:ガラスバルーン、真密度0.32g/m3、粒子径D50 25μm、耐圧強度41MPa、スリーエム社製
S28HS:ガラスバルーン、真密度0.28g/m3、粒子径D50 30μm、耐圧強度21MPa、スリーエム社製
シランカップリング剤:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、商品名:KBM-503、信越化学工業製
2.不飽和ポリエステル樹脂の調製
合成例1
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および攪拌機を備えたフラスコに、イソフタル酸1.0モル、ネオペンチルグルコール3.5モル、水素化ビスフェノールA 1.5モル、プロピレングリコール5.5モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら200℃~210℃で重縮合反応させた。その後、反応生成物の酸価が40mgKOH/gになった時点で150℃まで冷却し、無水マレイン酸9.0モルを仕込み、再び210℃~220℃で反応させ、酸価23.5mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。なお、酸価の測定方法は、JIS K6901(2008年)に準拠した。得られた不飽和ポリエステル100質量部に対し、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.01質量部、スチレンを66.7質量部添加し、これらを均一に混合して、不飽和ポリエステル樹脂(スチレン含有率40%)を得た。
合成例2
合成例1と同様の器具を備えたフラスコに、無水マレイン酸10.0モル、プロピレングリコール6.5モル、ネオペンチルグリコール4.0モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら200℃~210℃で重縮合反応させ、酸価が24.5mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエステル100質量部に対し、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.01質量部、スチレンを66.7質量部添加し、これらを均一に混合して、不飽和ポリエステル樹脂(スチレン含有量40%)を得た。
合成例3
合成例1と同様の器具を備えたフラスコに、無水マレイン酸10.0モル、プロピレングリコール10.5モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら200℃~210℃で重縮合反応させ、酸価が33.5mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエステル100質量部に対し、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.01質量部、スチレンを66.7質量部添加し、これらを均一に混合して、不飽和ポリエステル樹脂(スチレン含有量40%)を得た。
合成例4
合成例1と同様の器具を備えたフラスコに、イソフタル酸4.0モル、プロピレングリコール10.5モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら200℃~210℃で重縮合反応させた。その後、反応生成物の酸価が20mgKOH/gになった時点で150℃まで冷却し、無水マレイン酸6.0モルを仕込み、再び210℃~220℃で反応させ、酸価26.0mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。得られた不飽和ポリエステル100質量部に対し、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.01質量部、スチレンを66.7質量部添加し、これらを均一に混合して、不飽和ポリエステル樹脂(スチレン含有率40%)を得た。
なお、合成例1~合成例4の不飽和ポリエステル樹脂の処方を、表1に示す。
3.飽和ポリエステル樹脂の調製
合成例5
合成例1と同様の器具を備えたフラスコに、イソフタル酸4.0モル、ネオペンチルグ
リコール10.5モルを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら200℃~210℃で重縮合反応させた。その後、反応生成物の酸価が10mgKOH/gになった時点で150℃まで冷却し、アジピン酸6.0モルを仕込み、再び210℃~220℃で反応させ、酸価9.5mgKOH/gの飽和ポリエステルを得た。得られた飽和ポリエステル100質量部に対し、重合禁止剤としてハイドロキノンを0.01質量部、スチレンを66.7質量部添加し、これらを均一に混合して、飽和ポリエステル樹脂(スチレン含有率40%)を得た。
4.不飽和ポリエステル樹脂組成物、成形材料および成形品の調製
実施例1~実施例14、実施例16、実施例17、比較例1~比較例6
表2および表3に記載された配合割合に従って、各成分を、高速ミキサーを用いて充分に混合し、含浸機において所定のサイズ(繊維長1インチ)にカットされたロービングガラス上へ供給することによりシート状の成形材料を得た。
次いで、成形材料を、300mm×300mm平板金型を用いて、加熱圧縮成型(成形圧:10MPa、成形温度:150℃、保圧時間:3分)して、厚み3mmの平板状の成形品を得た。
5.評価
(含浸性)
各実施例および各比較例の成形材料について、含浸性を目視で観察した。
含浸性について、強化繊維に対する不飽和ポリエステル樹脂組成物の含浸性に基づき、以下の基準で評価した。
その結果を表2および表3に示す。
〇:未含浸のドライガラスは観察されず、SMCの外観は良好であった。
△:未含浸のドライガラスが、SMCの一部に観察された。
×:未含浸のドライガラスが、SMC全面に観察された。
(外観)
各実施例および各比較例の成形品の表面状態を、目視で観察した。
外観について、以下の基準で評価した。
〇:色斑および皺が、観察されず、表面状態は良好であった。
△:色斑および皺が、わずかに観察できた。
×:色斑および皺が、たくさん観察された。
その結果を表2および表3に示す。
(充填性)
各実施例および各比較例について、成形材料を、平板金型で加熱圧縮成型した際、平板金型に対する充填性を、目視で観察した。
充填性について、以下の基準で評価した。
その結果を表2および表3に示す。
〇:充填されていない部分が観察されず、平板金型のすべてにおいて、充填できた。
△:充填されてない部分が、わずかに観察された。
×:充填されていない部分が、たくさん観察された。
その結果を表2および表3に示す。
(仕上げ性)
各実施例および各比較例の成形品を、♯600のサンドペーパーでサンディングし、エアーブローとアセトンにより脱脂した後、染色浸透探傷液カラーチェックFP-S(株式会社タセト製)を塗布した。その後、表面を乾布で拭き取り、成形品の表面を目視にて観察し、仕上げ性を以下の基準で評価した。
その結果を表2および表3に示す。
〇:成形品が着色しなかった。
〇-:成形品が極僅かに着色した。
△:成形品が僅かに着色した。
×:成形品が着色した。
(密度)
各実施例および各比較例の成形品について、JIS K6911(1995年)に準拠して、密度を測定した。
その結果を表2および表3に示す。
(成形収縮率)
各実施例および各比較例の成形品について、JIS K6911(1995年)に準拠して、成形収縮率を測定した。
その結果を表2および表3に示す。
(曲げ強さ)
各実施例および各比較例の成形品について、JIS K6911(1995年)に準拠して、曲げ強さを測定した。
その結果を表2および表3に示す。
(吸水率)
各実施例および各比較例の成形品について、JIS K6911(1995年)に準拠して、煮沸吸水率を測定した。
その結果を表2および表3に示す。
(耐水性)
各実施例および各比較例の成形品を50mm×50mmに切断し、これをサンプルとした。そして、このサンプルを、65℃のイオン交換水に浸漬した。その後、1000、2000、3000時間後に、サンプルをイオン交換水から取り出し、表面を目視にて観察し、ブリスター(膨れ)の数をカウントした。
その結果を表2および表3に示す。