JP2009234200A - 高鮮映性化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な密着性、ならびに良好な光沢性および鮮映性を有する、無機質ボードの表面にジアリルフタレート系樹脂被覆層を積層してなる化粧板を提供する。
【解決手段】この発明の化粧板は、所定の表面粗さを有する無機質ボードの少なくとも一方の表面にジアリルフタレート系樹脂被覆層を有しており、前記ジアリルフタレート系樹脂被覆層は、(a)ジアリルフタレートプレポリマー30〜100重量%、(b)ジアリルフタレートモノマー0〜40重量%、および(c)不飽和ポリエステル0〜70重量%を前記三成分の総和が100重量%となるように含む樹脂組成物に、該樹脂組成物100重量部に対して15〜70重量部の金属水酸化物粒子を更に添加してなる被覆組成物を前記無機質ボードの表面で硬化させてなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、所定の表面粗さを有する無機質ボードの少なくとも一方の表面にジアリルフタレート系樹脂被覆層を積層してなるジアリルフタレート系樹脂化粧板に関する。
従来、ジアリルフタレート系樹脂化粧板は、耐候性、自然な風合い、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性を有する熱硬化性樹脂化粧板として知られている。これまでジアリルフタレートプレポリマー30〜90重量%、不飽和ポリエステル10〜70重量%に硬化剤、離型剤、重合調整剤、充填剤、紫外線吸収剤を含む樹脂溶解液を化粧紙などの多孔質シートに含浸させ、その多孔質シートを基材の表面に載置し、これを加圧加熱処理することによって、基材表面にジアリルフタレート系樹脂の硬化物の層を積層して製造されていた。
かかるジアリルフタレート系樹脂化粧板は、内装用材料及び外装用材料として幅広い用途で用いられている。例えば家具、特にユニット式流し台等のキッチンウェアに用いられる場合の化粧板には、低コストであるということと、高級感および/または高意匠性を提供するということの相反する要求が課せられている。更に、化粧板には防災の観点から、難燃性または不燃性も要求されている。
化粧板に要求される高級感および/または高意匠性は、化粧板の表面の光沢性および鮮映性という尺度を用いて評価することができる。また、化粧板には、基材の表面とジアリルフタレート系樹脂の硬化物の層との間の良好な密着性が要求される。
基材の表面とジアリルフタレート系樹脂の硬化物の層との間の密着性が良好であるためには、少なくとも基材表面とジアリルフタレート系樹脂硬化物層との間に界面剥離が生じないことが必要である。従って、良好な密着性を確保するためには、基材表面がある程度の粗さ(または凹凸)を有することが必要とされる。そのような化粧板に用いられる不燃性基材を、例えば特許文献1は提案している。
その一方で、基材表面の粗さの程度が大きいと、化粧板のもう1つの要求である表面の光沢性および鮮映性を確保することが困難になる。特許文献1が提供する不燃性基材においても、その表面に気泡痕が残存することを完全に防止することはできなかった。
特許文献2は、100μm〜200μm程度の凹凸が存在する基材を用いて製造したジアリルフタレート系樹脂化粧板を開示している。特許文献2の化粧板は、良好な光沢性を示すことはできるが、鮮映性については満足できるレベルに達してはいなかった。
特開2004−74438号公報 特開2006−219656号公報
この発明は、無機質ボードの表面にジアリルフタレート系樹脂被覆層を積層してなる化粧板であって、良好な密着性、ならびに良好な光沢性および鮮映性をバランスよく有する化粧板を提供することを目的とする。
この発明の化粧板は、所定の表面粗さを有する無機質ボードの少なくとも一方の表面にジアリルフタレート系樹脂被覆層を有しており、前記ジアリルフタレート系樹脂被覆層は、
(a)ジアリルフタレートプレポリマー30〜100重量%、
(b)ジアリルフタレートモノマー0〜40重量%、および
(c)不飽和ポリエステル0〜70重量%
の三成分を、前記三成分の総和が100重量%となるように含む樹脂組成物に、該樹脂組成物100重量部に対して15〜70重量部の金属水酸化物粒子を更に添加してなる被覆組成物を前記無機質ボードの表面で硬化させてなることを特徴とする。
前記金属水酸化物はアルカリ土類金属および土類金属の群から選ばれる金属の水酸化物であることを特徴とすることができる。
前記無機質ボードは、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、塩化マグネシウム、珪酸カルシウム、火山性ガラス質材料、石膏(硫酸カルシウムを主成分とするもの)、石灰石(炭酸カルシウムを主成分とするもの)、水硬性セメントおよび気硬性セメントの群から選ばれる少なくとも1種の材料を硬化させた基材を有することを特徴とすることができる。
前記無機質ボードは、その基材の少なくとも一方の表面にガラス繊維系材料の層を有しており、該ガラス繊維系材料の層の更に表面側にジアリルフタレート系樹脂被覆層が設けられていることを特徴とすることができる。
前記無機質ボードにおける所定の表面粗さは、10〜80μmの範囲であることを特徴とすることができる。
前記金属水酸化物の粒子は、0.1〜30.0μmの範囲の平均粒子寸法を有することを特徴とすることができる。
前記金属水酸化物の粒子の表面は、樹脂組成物に配合する前に、表面処理剤によって処理されていることを特徴とすることができる。
前記表面処理剤は、シランカップリング剤およびチタンカップリング剤の群から選ばれることを特徴とすることができる。
前記樹脂組成物は、有機過酸化物系硬化剤の群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を更に含んでなることを特徴とすることができる。
前記樹脂組成物は、(d)多官能(メタ)アクリルエステルの群から選ばれる少なくとも1種の成分を更に含んでなることを特徴とすることができる。
前記無機質ボードの表面における組成物の硬化をホットプレスによって行うことを特徴とすることができる。
この出願の発明によれば、ジアリルフタレート系化粧板の特性である優れた耐久性、耐候性、耐薬品性を損なうことなく、密着性、光沢性および鮮映性という要求を同時に満足することができる。これらの要求を同時に満足することによって、低コストでありながら、高級感および/または高意匠性を有する化粧板を提供することができる。
本発明に用いる(a)ジアリルフタレートプレポリマーは、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマーおよびジアリルテレフタレートプレポリマーの群から選ばれる1種または2種以上の混合物であってよい。また、以下に記載する(b)ジアリルフタレートモノマーの群から選ばれる2種または3種の共重合体であってもよい。ジアリルフタレートプレポリマーの分子量は、10000〜50000が適当である。
本発明に用いる(b)ジアリルフタレートモノマーは、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、およびジアリルテレフタレートの群から選ばれる1種または2種以上の混合物であってよい。
本発明に用いる(c)不飽和ポリエステルには、通常の液体状もしくは固体状の不飽和ポリエステル樹脂を使用することができる。不飽和ポリエステルは多塩基性の不飽和酸と多価アルコールから脱水重縮合して得ることができる。この場合、不飽和酸の一部が飽和酸で置き替わっていてもよい。数平均分子量が3000〜50000の不飽和ポリエステルが好ましい。例えば、酸成分としてマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、アジピン酸が挙げられる。一方、多価アルコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、水素化ビスフェノールA等が挙げられる。
(c)不飽和ポリエステルとして、空気硬化型不飽和ポリエステル樹脂を用いてもよい。例えば、上記酸成分に他の酸成分としてテトラヒドロフタル酸、3,6−エンドメチレンテトラフタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンテトラフタル酸等の脂肪族環状不飽和酸を、上記アルコール成分に他のアルコール成分としてアリルグリシジルエーテルをそれぞれさらに共存させた混合物から脱水重縮合して製造されたポリエステル樹脂が挙げられる。
これら(a)ジアリルフタレートプレポリマー30〜100重量%、(b)ジアリルフタレートモノマー0〜40重量%および(c)不飽和ポリエステル0〜70重量%を、その三成分の総和が100重量%となるように組み合わせることによって、本願の発明に用いる樹脂組成物を形成する。
従って、本願の発明の樹脂組成物は、1つの態様例では、(a)ジアリルフタレートプレポリマーを80重量%、(b)ジアリルフタレートモノマーを20重量%および(c)不飽和ポリエステルを0重量%含むことができ、もう1つの態様例では、(a)ジアリルフタレートプレポリマーを50重量%、(b)ジアリルフタレートモノマーを40重量%および(c)不飽和ポリエステルを10重量%含むことができ、もう1つの態様例では、(a)ジアリルフタレートプレポリマーを40重量%、(b)ジアリルフタレートモノマーを40重量%および(c)不飽和ポリエステルを20重量%含むことができ、またもう1つの態様例では、(a)ジアリルフタレートプレポリマーを30重量%、(b)ジアリルフタレートモノマーを10重量%および(c)不飽和ポリエステルを60重量%含むことができる。
本発明のジアリルフタレート系樹脂被覆層に含ませることができる金属水酸化物粒子の金属は、アルカリ土類金属および土類金属の群の金属元素から選ぶことができる。そのような金属は、特にマグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムの群から選ぶことができる。特に好ましいものは水酸化アルミニウムである。
金属水酸化物粒子は、前記樹脂組成物100重量部に対して15〜70重量部、好ましくは20〜60重量部の割合で使用することが好ましい。金属水酸化物粒子を添加することによって、得られる化粧板の1つの特性としての平滑性を向上させることができる。
金属水酸化物粒子は、0.1〜30μm、好ましくは0.2〜10.0μm、特に好ましくは0.5〜5μmの範囲の平均粒子寸法を有することが好ましい。
金属水酸化物粒子は、表面処理剤によって表面処理することが好ましい。表面処理剤は、シランカップリング剤およびチタンカップリング剤の群から選ばれるものであってよい。金属水酸化物粒子を表面処理剤によって表面処理することによって、ジアリルフタレート系樹脂組成物中において金属水酸化物粒子を良好に分散させることができる。
金属水酸化物として水酸化アルミニウムを用いる場合、その水酸化アルミニウム粒子の形態は特に限定されず、円柱状、針状、球状等、種々のものを使用することができる。
表面処理剤として用いるシランカップリング剤は、分子内に2個または3個のアルコキシ基を有する有機珪素化合物が好ましい。例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン類、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類、その他γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
金属水酸化物の表面処理の具体的方法の一例としては、金属水酸化物を表面処理剤の原液または溶液中でスラリー状として表面処理を行う湿式法や、撹拌中の金属水酸化物に表面処理剤の原液または溶液を振りかけて均一に分散、混合して表面処理を行う乾式法がある。この場合、金属水酸化物100重量部に対し、表面処理剤を0.1〜3.0重量部の割合で共存するよう混合するのが好ましい。
尚、そのような表面処理された水酸化アルミニウムの粒子としては、平均粒子径が0.1〜30.0μmの工業製品を好ましく使用することができる。水酸化アルミニウムの平均粒子寸法は、0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であって、30.0μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下の範囲から選択することができる。商業的に入手できる表面処理された水酸化アルミニウム粒子の例としては、昭和電工(株)製のハイジライトH−32ST(平均粒子径約4μm)やハイジライトH−42STV(平均粒子径約1μm)、日本軽金属(株)製のB703ST(平均粒子径約2μm)等が好ましく挙げられる。
本発明の化粧板に基材として用いる無機質ボードには、内装用材料及び外装用材料として用いられる種々のボードを用いることができる。例えば、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、塩化マグネシウム、珪酸カルシウム、火山性ガラス質材料、石膏(硫酸カルシウムを主成分として、一般的に石膏として用いられるもの)、石灰石(炭酸カルシウムを主成分として、一般的に石灰石として用いられるもの)、水硬性セメントおよび気硬性セメントの群から選ばれる1種または2種以上の材料を組み合わせて板状材料に成形したものを用いることができる。その他に、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、無機質板及び樹脂が含浸され硬化されたクラフト紙等を基材として用いることもできる。
前記無機質ボードは、その基材の少なくとも一方の表面に、好ましくは基材の両面にガラス繊維系材料の層を有することができる。ガラス繊維系材料の層は、種々のガラス繊維を主成分とする繊維材料を用いて形成した織布、不織布、編物、ネット状物およびこれらの組合せによって形成することができる。例えば、ガラス繊維を用いて目の細かいネット状物とする場合、100〜5メッシュ程度、好ましくは50〜10メッシュ、より好ましくは25〜10メッシュの範囲のネット状物とすることができる。ここでのメッシュは1インチあたりの網目の数で表される。
また、無機質ボードは、基材上のガラス繊維系材料層の表面に、第2の繊維材料の層を有することができる。第2の繊維材料は、化学繊維、例えばポリエステル、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどの低コストであって、低い吸水性を有する繊維であってよい。そのような化学繊維を用いて形成した織布および/または不織布を第2の繊維材料の層として用いることができる。
第2の繊維材料の層における繊維の密度は、ガラス繊維系材料層における繊維の密度よりも高いことが好ましい。例えば、第2の繊維材料の層も目の細かいネット状物とする場合には、第2の繊維材料の層はガラス繊維系材料層よりも少なくとも10%程度小さい開口を有することが好ましい。
無機質ボードは、基材上のガラス繊維系材料層および第2の繊維材料の層の外側に、その基材と同じ材料または少なくとも相溶性を有する材料による表面層を有することもできる。
本発明の化粧板に基材として用いる無機質ボードの表面粗さは、例えば10μm以上、好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であって、例えば80μm以下、好ましくは60μm以下、特に好ましくは40μm以下の範囲の表面粗さを有することが好ましい。
本発明のジアリルフタレート系樹脂被覆層を形成するための被覆組成物は、適切な溶剤を用いて適度の流動性を有する液状物とし、その液状物を無機質ボードの表面に塗布することによって、被覆することもできる。しかしながら、前記被覆組成物を含むプリプレグを形成し、そのプリプレグを無機質ボード上に重ねて硬化させることによって、化粧板を製造することもできる。
そのようなプリプレグは、被覆組成物を適切な溶剤に溶解した溶液の中に、例えば印刷紙、印刷パターン紙、クラフト紙、不織布および織布の群から選ばれる多孔質繊維基材を浸漬した後、必要な場合には減圧を組合せて加熱して、樹脂組成物溶液の溶媒を蒸発させることによって製造することができる。含浸樹脂付着量は50〜250g/mが好ましい。なお、後処理として、プリプレグを必要に応じてプレキュアすることで樹脂の硬化を進め、プリプレグ表面のタックを抑えることができる。
本発明においては、任意成分として、(d)多官能(メタ)アクリルエステルを更に添加することができる。(d)多官能(メタ)アクリルエステルとしては、分子内にアクリロイル基またはメタクリロイル基(以下両者を総称して(メタ)アクリロイル基という)を3個以上有するペンタエリスリトールのポリアクリレートまたはポリメタクリレート(以下両者を総称してポリ(メタ)アクリレートという)あるいは分子内に(メタ)アクリロイル基を4個以上有するジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
(d)多官能(メタ)アクリルエステルの添加量は、(a)ジアリルフタレートプレポリマー、(b)ジアリルフタレートモノマーおよび(c)不飽和ポリエステルの三成分をその総和が100重量%となるように含む樹脂組成物の100重量部に対して、0.1〜10.0重量部であるが、好ましくは0.5〜5.0重量部の範囲がより望ましい。
本発明では、もう1つの任意成分として、酸化チタンおよび酸化アルミニウムの群から選ばれる材料を含むことができる。酸化チタンは、化粧板表面の隠蔽性の向上に寄与し、酸化アルミニウムは化粧板表面のスクラッチ特性の向上に寄与し得る。
また、プリプレグの製造の際、含浸基材の表面には光沢度や硬度を重視する成分を含む樹脂組成物を、裏面には平滑性や隠蔽性を重視する成分を含む樹脂組成物を配置することで、表裏で成分の異なるプリプレグを作成することも可能である。具体的には、表面用樹脂に含浸基材全体を浸した後、裏面樹脂を敢えて掻きとり、さらに裏面用樹脂を裏面にコーティングする手法により通常のプリプレグに比べてもほとんど生産コストを上げずによりニーズにあったプリプレグを製造できる。
本発明の樹脂組成物は一般に硬化速度が遅く、それ単独では短時間に十分な硬化度が得られないため、通常、硬化剤が使用される。硬化剤としては、組成物中に存在する不飽和二重結合を重合させ得る化合物であれば特に限定されないが、例えばベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物系硬化剤を好ましく挙げることができる。
硬化剤の添加のタイミングは、本発明の樹脂組成物の十分なポットライフを維持するためには、プリプレグ製造直前に当該本発明の樹脂組成物に対して添加するのが好ましい。添加量としては、(a)ジアリルフタレートプレポリマー、(b)ジアリルフタレートモノマーおよび(c)不飽和ポリエステルの三成分をその総和が100重量%となるように含む樹脂組成物の100重量部に対して、1.0〜10.0重量部、例えば3.0〜5.0重量部であってよい。
また、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、硬化剤以外にも必要に応じて多種の反応性モノマーや当該技術分野に通常用いられる添加剤、例えば、充填剤(微粉末シリカ等)、内部離型剤、難燃剤、重合調整剤、紫外線吸収剤、顔料等を添加することができる。
プリプレグと化粧板基材とを一体成型する方法としては積層熱圧成型法、すなわち、プリプレグと化粧板基材とを重ね合わせ、型に入れて、加熱加圧硬化するのが適当である。成型は例えばプレス成型機を用いて、時間30秒〜15分、圧力10〜25kg/cm、温度120〜190℃で好ましく行うことができ、これにより樹脂組成物が硬化した化粧板が得られる。なお、ここでいう化粧板には樹脂組成物の層を多重に積層したいわゆる積層化粧板も含まれる。
次に実施例、比較例によって本発明を詳細に説明する。ここで、実施例、比較例の「部」は重量部を示す。また、各実施例・比較例において具体的記載のない構成成分については実施例1記載の成分と同一品を使用した。
以下、各試験項目について説明する。
平滑性:
蛍光灯から1メートル離した位置に化粧板を置き、表面に映る蛍光灯の直線部分の変形の状態を目視により観察することにより評価した。評価は、表面に映る蛍光灯の直線部分がシャープな直線に見える場合に◎、少し波状に見えるが依然として良好な直線を維持している場合は○、波状が強い場合は△、そして、あばた強く境界線が不鮮明な場合は×とした。
分散性:
樹脂液が均一な場合は○、凝集等の分散不良がある場合は×とした。なお、ここでいう「分散性」とは、酸化チタンまたは酸化アルミニウム添加後の樹脂組成物の状態を評価対象とする。「隠蔽性」については、印刷紙と同等の色合いであれば◎、下地色がやや透過している場合は○、下地色の透過が目立つ場合は△、下地色の透過で印刷紙の柄がはっきりしない場合は×とした。
表面粗さ:
表面粗さは、表面粗さ形状測定機(例えば、株式会社東京精密製「サーフコム570A」)を用いて、JIS B 0601に規定されている方法に従って測定した。ここではRmaxを表面粗さのパラメ−タ−として用いた。
光沢度:
光沢度計 micro−TRI−gloss(Gardner社製品)を用いて、JIS Z 8741に規定されている方法に従って測定した。ここで、20度グロス値が90以上を◎、80以上で90未満を○、70以上で80未満を△、70未満を×と評価した。
鮮映性:
携帯用鮮明度光沢度計PGD−IV(PGD計、財団法人日本色彩研究所、東京光電株式会社製)を用いて、その表示する鮮映性測定値(GD値)を測定した。GD値が0.7以上のものを◎、0.5以上で0.7未満を○、0.3以上で0.5未満を△、0.3未満を×と評価した。
離型性:
130℃、12kg/cm、6分の熱圧成型後、化粧板がプレス機から直ぐに自重で離型するものを○、直ぐには離れないが5秒以内に離型するものを△、5秒以上経っても離型出来ないものを×と評価した。
密着性:
密着性は、80℃温水に24時間浸し、乾燥後に基材との層間剥離がないものを○、剥離が生じたものを×と評価した。
(成分(c)として使用した不飽和ポリエステル)
無水マレイン酸10モル、エチレングリコール3モル、プロピレングリコール6モル、水素化ビスフェノール1モルを反応容器に仕込み、ハイドロキノン0.5gの存在下、常圧下、窒素気流中にて反応温度180〜210℃の範囲を維持しつつ、目的物の数平均分子量が10000〜12000の範囲になるよう3時間程度反応させた。その結果、数平均分子量が約11000、かつ酸価が15mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。以下の実施例および比較例ではこのようにして作製された当該不飽和ポリエステルを使用した。
実施例1[樹脂組成物A]
ジアリルオルソフタレートプレポリマー(メチルエチルケトン50重量%溶液粘度(30℃)96.5mPa・s、ヨウ素価56.7、ダイソー(株)製)50部、上記不飽和ポリエステル50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1部、平均粒子径約4μmで、表面処理された水酸化アルミニウム30部(ハイジライトH−32ST、昭和電工(株)製)、ベンゾイルパーオキサイド4部、内部離型剤(ゼレックUN、デュポン社製)0.4部、ハイドロキノン(重合調整剤)0.03部、微粉末シリカ(カープレックス、塩野義製薬(株)製)4部をアセトンに溶解させて樹脂組成物溶液を調整した。この樹脂組成物溶液を、坪量80g/mの印刷パターン紙に含浸させた後、溶媒を蒸発させて、坪量180g/mの含浸紙を得た。この含浸紙は、化粧板を製造するためのプリプレグとして用いることができる。
前記含浸紙を、厚さ3mmの無機質ボード(酸化マグネシウム板)上に載せ、130℃、12kg/cm、6分の熱圧成型で化粧板を得た。得られた化粧板はJISK6902、同K5600及びJASに規定されている耐水性、耐候性、耐薬品性等に合格し、JISZ8741の鏡面光沢度測定方法に規定された入射角20度における光沢度(以下略して「光沢度」という)が70〜98と高い値を示した。更に、表面に映した蛍光灯の線もすっきりしており、良好な平滑性を示していた。
次に、実施例1の組成を有する樹脂組成物を基本組成として、添加する水酸化アルミニウム粒子の配合割合と無機質ボードの表面粗さとを種々に変化させて、その関係について調べた。その種々の組成と試験結果との関係を表3〜5に示す。
Figure 2009234200
Figure 2009234200
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樹脂組成物に水酸化アルミニウム粒子を20〜60重量%の割合で配合したものを、10〜80μmの表面粗さを有する無機質ボードに適用して、化粧板を製造した実施例2〜13はいずれも、密着性、鮮映性、光沢度および離型性の4つの試験項目について同時に「○」または「◎」を示すというバランスのよい評価結果が得られた。
一方、樹脂組成物に配合する水酸化アルミニウム粒子の割合が0〜10重量%の場合および80重量%の場合には、4つの試験項目の少なくとも1つが「△」または「×」を示して、特性についてあまりバランスのよい化粧板は得られなかった。
また、無機質ボードの表面粗さが5μmの場合および150μmの場合には、4つの試験項目の少なくとも1つが「△」または「×」を示して、特性についてあまりバランスのよい化粧板は得られなかった。
次に、実施例1の組成を有する樹脂組成物を基本組成として、無機質ボードとして酸化マグネシウム板メガボード(株式会社三和不燃ボード工業から入手可能)(表面粗さ 20μm)を使用し、樹脂組成物への水酸化アルミニウム粒子の配合割合を種々に変化させて、その関係について調べた。その種々の組成と試験結果との関係を表4に示す。
Figure 2009234200

(1) 粒子の配合割合は、樹脂組成物100重量部を基準とする割合(重量%)である。
(2) 比較例26の離型性については、加圧加熱操作に用いた型からの離型性が劣ったため×と評価した。
水酸化物粒子の配合割合を20〜60重量%とした場合に、光沢度、鮮映性、密着性および離型性の種々の特性について、バランスのよい特性を示す化粧板が得られた。
次に、実施例1の組成を有する樹脂組成物を基本組成として、無機質ボードとしてセメント板(表面粗さ40μm)を使用し、樹脂組成物への水酸化アルミニウム粒子の配合割合を種々に変化させて、その関係について調べた。その種々の組成と試験結果との関係を表5に示す。
Figure 2009234200
水酸化物粒子の配合割合を20〜60重量%とした場合に、光沢度、鮮映性、密着性および離型性の種々の特性について、バランスのよい特性を示す化粧板が得られた。
本発明は、ジアリルフタレート系高光沢化粧板の製造業界において有効に利用することができる。

Claims (11)

  1. 所定の表面粗さを有する無機質ボードの少なくとも一方の表面にジアリルフタレート系樹脂被覆層を有しており、
    前記ジアリルフタレート系樹脂被覆層は、
    (a)ジアリルフタレートプレポリマー30〜100重量%、
    (b)ジアリルフタレートモノマー0〜40重量%、および
    (c)不飽和ポリエステル0〜70重量%
    を前記三成分の総和が100重量%となるように含む樹脂組成物に、該樹脂組成物100重量部に対して15〜70重量部の金属水酸化物粒子を更に添加してなる被覆組成物を前記無機質ボードの表面で硬化させてなることを特徴とする化粧板。
  2. 前記金属水酸化物はアルカリ土類金属および土類金属の群から選ばれる金属の水酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の化粧板。
  3. 前記無機質ボードは、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、塩化マグネシウム、珪酸カルシウム、火山性ガラス質材料、石膏(硫酸カルシウムを主成分として、一般的に石膏として用いられるもの)、石灰石(炭酸カルシウムを主成分として、一般的に石灰石として用いられるもの)、水硬性セメントおよび気硬性セメントの群から選ばれる少なくとも1種の材料を硬化させた基材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧板。
  4. 前記無機質ボードは、その基材の少なくとも一方の表面にガラス繊維系材料の層を有しており、該ガラス繊維系材料の層の更に表面側にジアリルフタレート系樹脂被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
  5. 前記無機質ボードの所定の表面粗さは10〜80μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板。
  6. 前記金属水酸化物の粒子は、0.1〜30.0μmの範囲の平均粒子寸法を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板。
  7. 前記金属水酸化物の粒子の表面は、樹脂組成物に配合する前に、表面処理剤によって処理されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化粧板。
  8. 前記表面処理剤は、シランカップリング剤およびチタンカップリング剤の群から選ばれることを特徴とする請求項7に記載の化粧板。
  9. 前記樹脂組成物は、有機過酸化物系硬化剤の群から選ばれる少なくとも1種の硬化剤を更に含んでなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の化粧板。
  10. 前記樹脂組成物は、(d)多官能(メタ)アクリルエステルの群から選ばれる少なくとも1種の成分を更に含んでなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の化粧板。
  11. 前記無機質ボードの表面における組成物の硬化をホットプレスによって行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の化粧板。
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