JP5099400B2 - 表面平滑性に優れた化粧板 - Google Patents
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Description
また、成形の際、化粧板の最表層に本発明とは特性の異なるプリプレグを配置することで、他の表面特性(例えば光沢度)が更に付加された化粧板が得られる。
(1)ジアリルフタレートプレポリマーとは、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマーの単独またはそれらの混合物である。また、下記ジアリルフタレートモノマー2種または3種の共重合体であってもよい。ジアリルフタレートプレポリマーの分子量は10000〜50000が適当である。
例えば、酸成分としてマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、アジピン酸が挙げられる。一方、多価アルコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、水素化ビスフェノールA等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、分子内に2個または3個のアルコキシ基を有する有機珪素化合物が好ましい。例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン類、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類、その他γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ここで、含浸基材としては印刷紙(印刷パターン紙)、クラフト紙、不織布、織布等が好ましく例示される。
添加量としては、(1)ジアリルフタレートプレポリマー10〜90重量%、(2)ジアリルフタレートモノマー0〜20重量%、および(3)不飽和ポリエステル0〜90重量%の合計100重量部に対し、1.0〜10.0重量部、例えば3.0〜5.0重量部であってよい。
表層用樹脂組成物は化粧板の最表面層に一般に使用される樹脂組成物であれば特に限定されず、要求される表面特性に応じて種々選択できるが、特に表面光沢を向上させるためには、(1)ジアリルフタレートプレポリマー10〜90重量%、(2)ジアリルフタレートモノマー0〜20重量%、および(3)不飽和ポリエステル0〜90重量%の合計100重量部に対し、(4)表面処理剤で表面処理された水酸化アルミニウム0〜50重量部を添加してなる樹脂組成物であってよい。
なお、プリプレグの具体的製造法その他については上記本発明の化粧板用樹脂組成物を用いたプリプレグの製造法と同様である。従って、含浸基材、硬化剤、反応性モノマー、および当該技術分野に通常用いられる添加剤についても同様に使用できる。
特に、上述した酸化チタンあるいは酸化アルミの添加は当該表層用樹脂組成物に対して行うのがより効果的である。
含浸樹脂付着量は80〜250g/m2が好ましい。
当該プリプレグの製造は、上記のとおり製造したプリプレグBの裏面に、更に本発明の化粧板用樹脂組成物を上塗りしてよいが、好ましくは、プリプレグBの裏面に付着した樹脂を除去し、そこへ改めて本発明の化粧板用樹脂組成物を塗布するのが生産コストの面から望ましい。塗布されるべき樹脂量は化粧板基材表面の凹凸状態にもよるが、30〜250g/m2が好ましい。表面・裏面の総樹脂存在量は80〜400g/m2が好ましい。
ここで、化粧板基材としては、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、無機質板及び樹脂が含浸され硬化されたクラフト紙等が好ましく例示される。
一体成形の具体的方法については上述の積層熱圧成形法で行ってよい。
「平滑性」については、肉眼で観察した場合に、基材由来の凹凸が表層に現れなければ○、表層に凹凸が確認できれば△、成型不良になれば×とした。また「密着性」については、JIS K5400の碁盤目テープ試験において100マスのうち、化粧板基材−含浸基材間の剥離が0マス(基材破壊は数えない)の場合○、1〜5マスの場合△、6マス以上の場合×とした。「光沢度」についてはJIS Z8741の鏡面光沢度測定方法に規定された入射角20度における光沢度が90以上の場合○、それ以外は×とした。
無水マレイン酸10モル、エチレングリコール3モル、プロピレングリコール6モル、水素化ビスフェノール1モルを反応容器に仕込み、ハイドロキノン0.5gの存在下、常圧下、窒素気流中にて反応温度180〜210℃の範囲を維持しつつ、目的物の数平均分子量が10000〜12000の範囲になるよう3時間程度反応させ、その結果、数平均分子量が約11000、かつ酸価が15mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。
以下の実施例、比較例ではかようにして作製された当該不飽和ポリエステルを使用した。
ジアリルオルソフタレートプレポリマー(メチルエチルケトン50重量%溶液粘度(30℃)96.5cp、ヨウ素価56.7、ダイソー(株)製)80部、上記製造例1記載の不飽和ポリエステル20部、ベンゾイルパーオキサイド4部、内部離型剤(ゼレックUN、デュポン社製)0.4部、ハイドロキノン(重合調整剤)0.03部、微粉末シリカ(カープレックス、塩野義製薬(株)製)4部をアセトンに溶解して表層用樹脂組成物を調製した。
K6902、同K5400及びJASに規定されている耐水性、耐候性、耐薬品性等に合格し、基材とプリプレグとの密着性も良好で、残留溶剤による成型時のフクレもなく、なおかつ化粧板基材表面の凹凸の影響もなく平滑性が良好であり、光沢度も90以上で良好であった。
ジアリルオルソフタレートプレポリマー90部、ジアリルオルソフタレートモノマー10部、水酸化アルミニウム(H−32ST)80部、ベンゾイルパーオキサイド4部、ハイドロキノン0.03部をアセトンに溶解して化粧板用樹脂液を調整した以外は実施例1と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性が良好であり、光沢度も90以上で良好であった。
実施例1において、化粧板用樹脂組成物の水酸化アルミニウムの添加量を80部から150部に増量し、該樹脂付着量を80g/m2から150g/m2に変更し、化粧板基材を、表面に約200μmの凹凸のある3mmダイライトに変更した以外は実施例1と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性が良好であり、光沢度も90以上で良好であった。
実施例1において、水酸化アルミニウム、H−32STの代わりに平均粒子径約1μmで、表面処理された水酸化アルミニウム80部(ハイジライトH−42STV、昭和電工(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性が良好であり、光沢度も90以上で良好であった。
実施例1において、水酸化アルミニウム、H−32ST80部の代わりに平均粒子径約3μmで、表面処理されていない水酸化アルミニウム80部(ハイジライトH−32、昭和電工(株)製)とビニルトリエトキシシラン1.0重量部を混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性が良好であり、光沢度も90以上で良好であった。
実施例1の表層用樹脂組成物を80g/m2の印刷パターン紙に含浸して得られた180g/m2の含浸紙と表面に約200μmの凹凸のある3mmダイライトの間に実施例1の化粧板用樹脂組成物を80g/m2の白色チタン原紙に含浸して得られた230g/m2の含浸紙を挟み、130℃、12kg/cm2、10分の熱圧成型で化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性が良好であり、光沢度も90以上で良好であった。
実施例6において、化粧板用樹脂組成物を実施例2で用いた樹脂液に変更した以外は実施例6と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性が良好であり、光沢度も90以上で良好であった。
実施例1の化粧板用樹脂組成物を80g/m2の印刷パターン紙に含浸して得られた230g/m2の含浸紙を表面に約200μmの凹凸のある3mmダイライトの上に載せ、130℃、12kg/cm2、10分の熱圧成型で化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性も良好であり、表面が艶消しタイプの化粧板を作製することができた。
実施例8において、化粧板用樹脂組成物を実施例2で用いた樹脂液に変更した以外は実施例8と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性も良好であり、表面が艶消しタイプの化粧板を作製することができた。
実施例8において、化粧板用樹脂組成物の水酸化アルミニウムの添加量を80部から150部に増量し、該樹脂付着量を150g/m2から300g/m2に変更し、化粧板基材を、表面に約300μmの凹凸のある3mmダイライトに変更した以外は実施例8と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性、平滑性も良好であり、表面が艶消しタイプの化粧板を作製することができた。
実施例1において、化粧板用樹脂組成物の代わりに水酸化アルミニウムを添加していない樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は基材とプリプレグとの密着性が弱く、なおかつ基材表面の凹凸が化粧板表面にそのまま現れるか、その部分に圧力がかからないために平滑な面が得られなかった。さらには、プリプレグ中に含まれる残留溶剤が成型時に気化して発生する蒸気が外に逃げにくいため、フクレが発生することもあった。
実施例6において、化粧板用樹脂組成物の代わりに水酸化アルミニウムを添加していない樹脂を用いた以外は実施例6と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は基材とプリプレグとの密着性が弱く、なおかつ基材表層の凹凸が化粧板表面にそのまま現れるか、その部分に圧力がかからないために平滑な面が得られなかった。さらには、プリプレグ中に含まれる残留溶剤が成型時に気化して発生する蒸気が外に逃げにくいため、フクレが発生することもあった。
実施例1において、化粧板用樹脂組成物の水酸化アルミニウムの添加量を80部から30部に減量した以外は実施例1と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性も良好であったが、化粧板基材表面の凹凸を抑えることができず、平滑性の低いものとなった。
実施例6において、化粧板用樹脂組成物の水酸化アルミニウムの添加量を80部から30部に減量した以外は実施例6と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性も良好であったが、化粧板基材表面の凹凸を抑えることができず、平滑性の低いものとなった。
実施例1において、水酸化アルミニウム、H−32STの代わりに平均粒子径約3μmで、表面処理されていない水酸化アルミニウム30部(ハイジライトH−32、昭和電工(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして化粧板を得た。得られた化粧板は耐水性、耐候性、耐薬品性等、各種試験にも合格し、密着性、成型性も良好であったが、樹脂液中の水酸化アルミニウムの分散性が悪いためか化粧板基材表面の凹凸を抑えることができず、平滑性の低いものとなった。
Claims (12)
- (1)ジアリルフタレートプレポリマー10〜90重量% 、(2)ジアリルフタレートモノマー0〜20重量% 、および(3)不飽和ポリエステル0〜90 重量%の合計100重量部に対し、(4)表面処理剤で表面処理された平均粒子径が0.5〜10.0μm(+44μm、0.05〜1.0%)である水酸化アルミニウム50〜200重量部を添加してなる化粧板用樹脂組成物。
- (1)ジアリルフタレートプレポリマー10〜90重量% 、(2)ジアリルフタレートモノマー0〜20重量% 、および(3)不飽和ポリエステル0〜90重量%の合計100重量部に対し、(4A)平均粒子径が0.5〜10.0μm(+44μm、0.05〜1.0%)である水酸化アルミニウム50〜200重量部、および(4B) 表面処理剤0.05〜6.0重量部を添加してなる化粧板用樹脂組成物。
- 表面処理剤がシランカップリング剤である請求項1又は2に記載の化粧板用樹脂組成物。
- シランカップリング剤が、アルコキシ基を有する、ビニルシラン、エポキシシランまたはアミノシランである請求項3に記載の化粧板用樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板用樹脂組成物が含浸基材全体に含浸されたプリ
プレグ。 - 含浸基材の少なくとも表面側には表層用樹脂組成物が存在し、かつ、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板用樹脂組成物が含浸基材の裏面側にさらに塗布されたプリプレグ。
- 表層用樹脂組成物が、(1) ジアリルフタレートプレポリマー10〜90重量% 、(2) ジアリルフタレートモノマー0〜20重量% 、および(3)不飽和ポリエステル0〜90 重量%の合計100重量部に対し、(4)表面処理剤で表面処理された水酸化アルミニウム0〜50重量部を添加してなる、請求項6記載のプリプレグ。
- 請求項5記載のプリプレグと、化粧板基材とを一体成型してなるジアリルフタレート系化粧板。
- 表層用樹脂組成物が含浸基材全体に含浸されたプリプレグ、請求項5記載のプリプレグ、および化粧板基材をこの並びで積層し、一体成形してなるジアリルフタレート系化粧板。
- 請求項6又は7記載のプリプレグの裏面側と化粧板基材とを向かい合わせて一体成形してなるジアリルフタレート系化粧板。
- 請求項8〜10のいずれかに記載の化粧板基材が100μm〜200μmの凹凸が存在するジアリルフタレート系化粧板。
- 請求項8〜11のいずれかに記載の化粧板基材が無機質不燃板であるジアリルフタレート系化粧板。
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