JP2022051508A - 化粧シートおよび化粧板 - Google Patents

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浩道 岡田
Hiromichi Okada
智博 高森
Tomohiro Takamori
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Abstract

【課題】経済的に優れつつ、熱圧成型後において、プラスチックフィルムと樹脂含浸層表面との密着性に優れ、且つ意図的に剥離しようとする際は剥離しやすい、マット感を有する化粧板を得ることができる化粧シートを提供する。【解決手段】化粧シート1,1’は、熱硬化型樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層2,2’と、ポリブチレンテレフタレートフィルム3とが積層した構造を有し、ポリブチレンテレフタレートフィルム3は樹脂含浸層2,2’側の面3aにマット調転写形状を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シートおよび当該化粧シートを備える化粧板に関する。
従来、テーブル、カウンター、壁、床などの表面には、チタン紙などの紙質基材にジアリルフタレート系樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させて得た含浸紙等の樹脂含浸層を基材上に積層した後、鏡面板を上記樹脂含浸層上に重ね合わせて熱圧成型することにより、上記熱硬化性樹脂を硬化させて得られる化粧板が使用されている。上記化粧板表面は、高級感や所望の図柄を付与すること等を目的として、高光沢処理、低光沢処理(マット処理)、エンボス加工などが施されることがある。
上記化粧板の樹脂含浸層表面にマット調を付与する方法としては、低光沢処理を付すための凹凸形状等のマット調転写面を表面に有する鏡面板を用い、上記マット調転写面を上記樹脂含浸層に対向させて重ね合わせた状態で熱圧成型する方法が知られている。このような鏡面板としては、例えば、ガラス混粒子からなる研磨剤が金属プレート表面に投射された粗面を有し、上記粗面にメッキが施された金属プレートが知られている(特許文献1参照)。
また、樹脂含浸層表面にマット調を付与する他の方法としては、樹脂含浸層と鏡面板との間に、表面の光沢度が低いシート材料を介在させた状態で熱圧成型を行う方法が知られている。上記シート材料としては、例えば、木材パルプを主体とした原紙の片面に顔料とバインダーとからなるマット調の転写用塗工層を有し、上記転写用塗工層上にシリコーンがオーバーコートされた化粧板転写用離型紙が知られている(特許文献2参照)。
特開平6-91776号公報 特開2007-7875号公報
化粧板に求められるマット感の程度は用途や目的に応じて様々である。このため、マット調転写面を有する鏡面板を用いる場合、マット感の程度に応じた複数の鏡面板を準備する必要があり、コストが嵩むという問題があった。
樹脂含浸層と鏡面板との間に、表面の光沢度が低いシート材料を介在させた状態で熱圧成型を行う方法を採用する場合、上記シート材料がマット調を付与する機能を有するため、複数の鏡面板を準備する必要はない。しかし、上記シート材料として木材パルプを主体とした原紙とするシートを用いた場合、当該シート材料は化粧板を保護する目的を有しないため、出荷する際はシート材料を剥離して別途保護フィルムを化粧板表面に貼り付ける必要があり、手間がかかり、またシート材料は使い捨てとなるためコストが嵩むという問題があった。
上記シート材料としてプラスチックフィルムを用いることで、上記シート材料に化粧板表面の保護機能を付与することができる。この方法によれば、熱圧成型後はプラスチックフィルムを剥離することなく保護フィルムとして使用できるため、別途保護フィルムを貼り付ける手間を省略することができる。しかし、プラスチックフィルムを上記シート材料として用いる場合、熱圧成型後は保護フィルムとしての機能を有効に発揮するために樹脂含浸層表面から剥がれ落ちにくく、なおかつ、化粧板の使用時にはプラスチックフィルムを樹脂含浸層表面から剥離しやすいことが求められる。
従って、本発明の目的は、経済的に優れつつ、熱圧成型後において、プラスチックフィルムと樹脂含浸層表面との密着性に優れ、且つ意図的に剥離しようとする際は剥離しやすい、マット感を有する化粧板を得ることができる化粧シートを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、マット調転写形状を有するシート材料を介在させた状態で熱圧成型を行う方法を採用し、上記シート材料としてポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることにより、経済的に優れつつ、熱圧成型後において、プラスチックフィルムと樹脂含浸層表面との密着性に優れ、且つ意図的に剥離しようとする際は剥離しやすい、マット感を有する化粧板が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、熱硬化型樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層と、ポリブチレンテレフタレートフィルムとが積層した構造を有し、上記ポリブチレンテレフタレートフィルムは上記樹脂含浸層側の面にマット調転写形状を有する、化粧シートを提供する。
上記化粧シートにおいて、上記樹脂含浸層と上記ポリブチレンテレフタレートフィルムとが接触する領域を有することが好ましい。
上記熱硬化型樹脂組成物はジアリルフタレート系樹脂を含むことが好ましい。
上記熱硬化型樹脂組成物は不飽和ポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。
上記マット調転写形状は凹凸形状を含むことが好ましい。
また、本発明は、上記化粧シートを含む化粧板であり、基材と、上記樹脂含浸層と、上記ポリブチレンテレフタレートフィルムとを備える、化粧板を提供する。
また、本発明は、基材上に、熱硬化性樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層と、マット調転写形状を有するポリブチレンテレフタレートフィルムとがこの順に積層された積層体のポリブチレンテレフタレートフィルム側の面に押圧板を重ね合わせ、熱圧成型を施して上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる熱圧成型工程を備える、上記化粧板の製造方法を提供する。
本発明の化粧シートは、マット調を付与する際、マット調転写形状を有するポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることによりマット感の程度に応じた複数の鏡面板を準備する必要がないため、化粧板を作製する際において経済的に優れる。そして、熱圧成型後において、プラスチックフィルムと樹脂含浸層表面との密着性に優れ、且つ意図的に剥離しようとする際は剥離しやすい。このため、熱圧成型後においては、プラスチックフィルムは熱硬化した樹脂含浸層から剥がれ落ちにくく、輸送時等において保護フィルムとして充分に機能し得る。そして、上記ポリブチレンテレフタレートフィルムは保護フィルムとして機能し得るため、出荷時において別途保護フィルムに貼り替える必要がなく、経済的に優れる。さらに、化粧板の使用時には、意図的にポリブチレンテレフタレートフィルムを剥離しようとする際は容易に剥離することができる。
本発明の化粧板の一実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧板の他の一実施形態を示す断面図である。 図2に示す化粧板の製造方法の一実施形態を示す図である。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、熱硬化型樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層と、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBTフィルム)とが積層した構造を有する。上記PBTフィルムは、上記樹脂含浸層側の面にマット調転写形状を有する。
なお、本明細書において、上記熱硬化型樹脂組成物は、熱硬化性を有する樹脂(熱硬化性樹脂)を含む組成物および上記熱硬化性樹脂を硬化して得られる樹脂(熱硬化済樹脂)を含む組成物の両方を含むものとする。すなわち、上記樹脂含浸層としては、上記熱硬化性樹脂を含む組成物が含浸基材に含浸した層(熱硬化前の層、プリプレグ)と、上記組成物中の熱硬化性樹脂が硬化した層(熱硬化後の層)とが挙げられる。
(樹脂含浸層)
上記樹脂含浸層は、熱硬化型樹脂組成物が含浸基材に含浸した層である。上記熱硬化型樹脂組成物は、熱硬化型樹脂を少なくとも含む。上記熱硬化型樹脂は、熱硬化性を有する樹脂(熱硬化性樹脂)および上記熱硬化性樹脂を硬化して得られる樹脂(熱硬化済樹脂)の両方を含む。上記樹脂含浸層は、単層であっても複層(積層体)であってもよい。また、上記樹脂含浸層は、単一の熱硬化型樹脂組成物の層を有するものであってもよいし、異なる複数の熱硬化型樹脂組成物の層を有するもの(多重積層体)であってもよい。
上記熱硬化型樹脂としては、化粧板製造時に使用される公知乃至慣用のものを用いることができ、例えば、メラミン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、尿素系樹脂などが挙げられる。上記熱硬化型樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記熱硬化型樹脂としては、中でも、メラミン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂が好ましい。特に、ジアリルフタレート系樹脂を含むことが好ましく、ジアリルフタレート系樹脂および不飽和ポリエステル系樹脂を含むことがより好ましい。
なお、上記熱硬化型樹脂が熱硬化性樹脂である場合、上記各樹脂は、熱硬化性の官能基を有するプレポリマーである。上記熱硬化型樹脂がジアリルフタレート系樹脂や不飽和ポリエステル系樹脂である場合、上記熱硬化性の官能基は不飽和炭素-炭素二重結合である。
上記メラミン系樹脂としては、メラミン誘導体に由来する構成単位を少なくとも含む。上記メラミン誘導体としては、例えば、メラミンや、メラミンにイミノ基、メチロール基、メトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基が導入された化合物が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることもできる。上記メラミン誘導体は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記メラミン系樹脂は、高圧成型用メラミン樹脂、低圧成型用メラミン樹脂のいずれであってもよい。上記メラミン系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記ジアリルフタレート系樹脂は、ジアリルフタレート系モノマーに由来する構成単位を少なくとも含む。上記ジアリルフタレート系モノマーとしては、例えば、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレートが挙げられる。上記ジアリルフタレート系モノマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上使用してもよい。また、上記ジアリルフタレート系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記ジアリルフタレート系樹脂のGPCによる重量平均分子量は、10000~50000が好ましい。
上記不飽和ポリエステル系樹脂は、常温において液体状であってもよく固体状であってもよい。上記不飽和ポリエステル系樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記不飽和ポリエステル系樹脂としては、多塩基性の不飽和酸に由来する構成単位と多価アルコールに由来する構成単位を含む化合物が挙げられる。また、上記不飽和ポリエステル系樹脂は、さらに、多塩基性の飽和酸に由来する構成単位を含んでいてもよい。上記不飽和酸、飽和酸、および上記多価アルコールは、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記多塩基性の不飽和酸としてば、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸系モノマー(オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)などが挙げられる。
また、不飽和ポリエステル系樹脂として空気硬化型不飽和ポリエステル系樹脂を用いてもよい。例えば、上記不飽和酸としてのテトラヒドロフタル酸、3,6-エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチル-3,6-エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族環状不飽和酸に由来する構成単位と、上記多価アルコールとしてのアリルグリシジルエーテルに由来する構成単位とを含むポリエステル樹脂が挙げられる。
上記熱硬化型樹脂組成物中の上記熱硬化型樹脂の含有割合は、上記熱硬化型樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、20~100質量%が好ましく、より好ましくは40~90質量%、さらに好ましくは50~80質量%である。上記含有割合が20質量%以上であると、熱圧成型により充分な強度を有する樹脂含浸層を得ることができる。
上記熱硬化型樹脂がジアリルフタレート系樹脂および/または不飽和ポリエステル系樹脂を含む場合、上記熱硬化型樹脂中のジアリルフタレート系樹脂および/または不飽和ポリエステル系樹脂の含有割合は、上記熱硬化型樹脂の総量(100質量%)に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
上記熱硬化型樹脂がジアリルフタレート系樹脂および/または不飽和ポリエステル系樹脂を含む場合、ジアリルフタレート系樹脂と不飽和ポリエステル系樹脂の質量比(前者:後者)は、10:90~100:0が好ましく、より好ましくは10:90~90:10、さらに好ましくは20:80~80:20、さらに好ましくは30:70~70:30、特に好ましくは40:60~60:40である。上記質量比が上記範囲内であると、熱圧成型後において樹脂含浸層とポリブチレンテレフタレートとの密着性がより適度となる。
上記熱硬化型樹脂組成物は、上記熱硬化型樹脂を構成するモノマーや当該モノマーのオリゴマー(例えば2~3個の重合体)を含んでいてもよい。例えば、上記熱硬化型樹脂がジアリルフタレート系樹脂を含む場合、当該ジアリルフタレート系樹脂の構成単位である上記ジアリルフタレート系モノマーを含んでいてもよい。
上記熱硬化型樹脂組成物には、上記熱硬化型樹脂を架橋するための架橋剤が使用されていてもよい。上記架橋剤は、上記熱硬化型樹脂の種類に応じて適宜選択される。上記熱硬化型樹脂がジアリルフタレート系樹脂や不飽和ポリエステル系樹脂である場合の上記架橋剤としては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和炭素-炭素二重結合を有する重合性の官能基を少なくとも2つ有する多官能性モノマーや当該多官能性モノマーの重合体などの多官能性化合物が挙げられる。上記架橋剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記多官能性化合物としては、中でも、分子内に(メタ)アクリロイル基を3個以上有するジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記架橋剤(上記熱硬化型樹脂が熱硬化済樹脂である場合は上記架橋剤に由来する構造部)の含有量は、上記熱硬化型樹脂の総量100質量部に対して、0.5~50質量部が好ましい。上記含有量が上記範囲内であると、熱硬化後の樹脂含浸層の硬度がより適度となる。上記硬化剤の含有量は、上記熱硬化型樹脂の総量100質量部に対して、10~47質量部であってもよく、30~45質量部であってもよい。特に、上記熱硬化型樹脂中の上記ジアリルフタレート系樹脂の含有割合が高い(例えば60質量%以上、好ましくは80質量%以上)である場合、上記架橋剤の含有量は上記範囲内であることが好ましい。また、上記架橋剤の含有量は、上記熱硬化型樹脂の総量100質量部に対して、0.6~20質量部であってもよく、1~16質量部であってもよい。特に、上記熱硬化型樹脂として上記ジアリルフタレート系樹脂および上記不飽和ポリエステル系樹脂を含む場合、上記架橋剤の含有量は上記範囲内であることが好ましい。また、上記ジアリルフタレート系樹脂および上記不飽和ポリエステル系樹脂の合計100質量部に対する上記架橋剤の含有量が上述の範囲内であることが好ましい。
上記熱硬化型樹脂組成物には、重合開始剤(硬化剤)が使用されていることが好ましい。上記重合開始剤を用いることにより、熱硬化性樹脂単独での重合よりも硬化速度が速くなり、短時間で充分な硬化度を有する熱硬化済の層を得ることができる。上記熱硬化型樹脂がジアリルフタレート系樹脂や不飽和ポリエステル系樹脂である場合の上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物系硬化剤が挙げられる。
上記重合開始剤(上記熱硬化型樹脂が熱硬化済樹脂である場合は上記重合開始剤に由来する構造部)の含有量は、上記熱硬化型樹脂の総量100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。
上記熱硬化型樹脂組成物は、上記熱硬化型樹脂以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、硬化触媒、硬化促進剤、重合禁止剤、離型剤、充填剤、可塑剤、分散剤、増粘剤、粘度調整剤、難燃剤、着色剤(顔料、染料など)、消泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤、減耗剤、抗菌剤、レベリング剤、シランカップリング剤などが挙げられる。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記含浸基材としては、上記熱硬化型樹脂組成物を含浸可能であれば特に限定されないが、例えば、チタン紙、薄葉紙、強化紙、クラフト紙、セルロース紙等の含浸用紙布;ポリエステル、レーヨン、アクリル、ビニロン等の織布若しくは不織布などが挙げられる。上記含浸用紙布は印刷されたものであってもよい。上記含浸基材は、単層であってもよく複層であってもよい。
上記熱硬化型樹脂組成物の上記含浸基材に対する含浸量は、上記含浸基材の面積当たり、10~500g/m2が好ましく、より好ましくは50~300g/m2である。上記含浸量が10g/m2以上であると、含浸量が充分となりポリブチレンテレフタレートフィルムとの密着性が向上する。上記含浸量が500g/m2以下であると、コストを抑えることができる。
上記樹脂含浸層の厚さは、特に限定されないが、例えば10~200μmであり、好ましくは20~100μmである。上記厚さが10μm以上であると、熱圧成型時に流れ不良等の不良の発生を抑制することができる。上記厚さが200μm以下であると、樹脂の収縮により成型物の反りを抑制することができる。
上記樹脂含浸層は、公知乃至慣用の方法で製造することができ、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、熱硬化前の組成物である熱硬化性樹脂組成物を準備する。上記熱硬化性樹脂組成物は、上記熱硬化性樹脂と、必要に応じて上述した各種成分とを混合して得る。上記熱硬化性樹脂組成物が低粘度である場合は上記含浸基材を上記熱硬化性樹脂組成物浴へ浸して含浸することができる。上記熱硬化性樹脂組成物が高粘度液体や固体である場合は、適当な溶剤、例えばアセトン、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に上記熱硬化性樹脂組成物を希釈または溶解して適度な粘度の樹脂液とし、そこへ上記含浸基材を浸した後、乾燥して溶媒を揮発させる。含浸温度は、例えば10~35℃であり、好ましくは20~30℃である。なお、上記含浸基材を上記熱硬化性樹脂組成物浴へ浸して行う方法を説明したが、上記含浸は、上記熱硬化性樹脂組成物を上記含浸基材表面に塗布し放置して染み込ませて行ってもよい。
(PBTフィルム)
PBTフィルムは、上記樹脂含浸層側の面(すなわち、上記樹脂含浸層が積層されている側の面)に、マット調を転写するための形状(マット調転写形状)を有する。マット調転写形状を有するプラスチックフィルムとしては、熱圧成型時の温度に耐え得る耐熱性を有するものを選択する必要がある。ここで、ポリプロピレンフィルムは耐熱性が比較的低く、このため熱圧成型後は冷却してからプレス機から取り出す必要があり手間がかかる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)は樹脂含浸層との密着性が低く、熱圧成型後において剥離しやすい。これに対し、本発明の化粧シートは、PBTフィルムを用いることによりこのような問題を解決できる。上記PBTフィルムは、未延伸フィルムであることが好ましい。上記PBTフィルムは、単層であってもよく複層であってもよい。
上記マット調転写形状は、PBTフィルムの、上記樹脂含浸層側の面のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。上記マット調転写形状は、熱圧成型時に対向する上記樹脂含浸層表面に転写される。
上記マット調転写形状としては、例えば、フィルムに粒子が練り込まれ、上記粒子がフィルム表面から突出して形成された形状などの凹凸形状が挙げられる。上記マット調転写形状は、所望のマット感に応じて適宜設計される。
上記PBTフィルムは、樹脂含浸層との密着性を改良することを目的として、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理等の物理的処理;クロム酸処理等の化学的処理;コーティング剤(下塗り剤)による易接着処理等の表面処理が施されていてもよい。但し、樹脂含浸層とPBTフィルム中のPBT樹脂との密着力を適度なものとする観点から、上記樹脂含浸層側の面はこのような処理が施されていない未処理面であることが好ましい。
本発明の化粧シートにおいて、上記PBTフィルムは、上記樹脂含浸層側の面に、上記樹脂含浸層と接触する領域を有することが好ましい。また、上記PBTフィルムと上記樹脂含浸層との間には、易接着層や離型層などその他の層を有しないことがより好ましい。上記樹脂含浸層と接触する領域を有する場合(特に、上記その他の層を有しない場合)、マット調の形状をより近い形状で転写することができる。そして、熱硬化後においても樹脂含浸層とPBTフィルムとの密着性に優れる。
上記PBTフィルムのマット調転写形状を有する面の算術平均表面粗さ(Ra)は、特に限定されないが、例えば0.03~1.0μmであり、好ましくは0.3~0.7μmである。上記Raが0.03μm以上(特に、0.3μm以上)であると、樹脂含浸層に、マット調をより転写しやすい。また、上記Raが上記範囲内であると、熱圧成型後において樹脂含浸層との密着性がより適度となりやすい。
上記PBTフィルムのヘーズは、特に限定されないが、例えば10~80%であり、好ましくは70~80%である。上記ヘーズが10%以上(特に、70%以上)であると、樹脂含浸層に、マット調をより転写しやすい。また、上記ヘーズが上記範囲内であると、熱圧成型後において樹脂含浸層との密着性がより適度となりやすい。また、上記PBTフィルムの60°光沢値は、特に限定されないが、例えば3~50である。
上記PBTフィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば10~100μmであり、好ましくは30~70μmである。上記厚さが10μm以上であると、フィルムの強度が充分であり、剥離する際にフィルムがより破れにくい。上記厚さが100μm以下であると、エンボス加工を施す場合にはエンボス形状を深く転写でき、風合いに優れる。また、経済的にも優れる。
熱硬化後における上記PBTフィルムと上記樹脂含浸層との剥離強度は、20~200gが好ましく、より好ましくは40~150g、さらに好ましくは50~100gである。上記剥離強度が20g以上であると、熱圧成型後にPBTフィルムが剥離しにくい。上記剥離強度が200g以下(特に、150g以下)であると、意図的にPBTフィルムを剥離する際は容易に剥離できる。上記剥離強度は、ばねばかりを用い、PBTフィルムの端部とばねばかりのフック部分とを接着し、剥離角度90°、PBTフィルム幅15mmの条件で測定することができる。
[化粧板]
本発明の化粧シートを用いて化粧板を作製することができる。上記化粧板は、例えば、基材と、当該基材の一方の面に設けられた化粧シートとを備える。より詳細には、上記化粧板は、基材と、熱硬化型樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層と、PBTフィルムとをこの順に備える。上記化粧板において、上記各層は、直接積層していてもよいし、各層間に他の層が介在していてもよい。
図1および図2に、上記化粧板の一実施形態を示す。図1に示す化粧板10は、基材4と、樹脂含浸層2と、PBTフィルム3とを備える。また、樹脂含浸層2とPBTフィルム3とで化粧シート1を構成する。樹脂含浸層2は、熱硬化性樹脂組成物が含浸基材に含浸した熱硬化前の層(プリプレグ)であり、基材4の一方の表面に形成されている。PBTフィルム3は、樹脂含浸層2の基材4とは反対側の表面に形成されている。PBTフィルム3は、樹脂含浸層2に対向する表面3aにマット調転写形状を有する。
図2に示す化粧板10’は、基材4と、樹脂含浸層2’と、PBTフィルム3とを備える。また、樹脂含浸層2’とPBTフィルム3とで化粧シート1’を構成する。樹脂含浸層2’は、熱硬化済の熱硬化型樹脂組成物が含浸基材に含浸した層であり、樹脂含浸層2を熱硬化して得られる。
(基材)
上記基材としては、化粧板に用いられる公知乃至慣用の基材が挙げられる。上記基材としては、有機系基材および無機系基材が挙げられる。上記有機系基材としては、例えば、木材単板、合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高湿繊維板、ケナフボード等の木質系基材;板紙、織布、不織布、樹脂含浸紙、樹脂含浸布等の繊維質基材;アクリル樹脂板、スチロール樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、ナイロン樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリプロピレン樹脂板、ポリエステル樹脂板、ガラス繊維強化プラスチック板等の合成樹脂基材などが挙げられる。上記無機系基材としては、例えば、アルミニウム板、ステンレス板、ジュラルミン板、鋼板、真鍮板等の金属板基材;酸化マグネシウム板、水酸化アルミニウム板、酸化アルミニウム板、酸化ケイ素板、酸化チタン板、塩化マグネシウム板、珪酸カルシウム板、火山性ガラス質材料板、石膏(硫酸カルシウム)板、スラグ石膏板、石灰石(炭酸カルシウム)板、木毛セメント板、スラグセメント板、軽量気泡コンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート板等の無機質基材などが挙げられる。上記基材は、単層であってもよいし、同一または異なる層の積層体であってもよい。また、上記基材は、上記樹脂含浸層との密着性を向上させるためのシーラー処理やプライマー処理などの易接着処理が施されていてもよい。
上記基材の厚さは、特に限定されないが、例えば2~50mmであり、好ましくは3~30mmである。上記厚さが2mm以上であると、充分な強度となり割れにくい。上記厚さが50mm以下であると、軽量であり取り扱いが容易である。
上記化粧板は、上述の各層以外にその他の層を備えていてもよい。上記その他の層としては、例えば、上記樹脂含浸層と上記基材との密着性を向上させるためのプライマー層、PBTフィルムの上(樹脂含浸層とは反対側)に設けられる、PBTフィルムの保護機能を向上させるための補強層などが挙げられる。なお、上述のように、PBTフィルムと上記樹脂含浸層との間には、易接着層や離型層などの他の層を有しないことが好ましい。
[化粧シートおよび化粧板の製造方法]
上記熱硬化済の樹脂含浸層を備える化粧板は、基材上に、上記熱硬化性樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層(熱硬化前の樹脂含浸層)と、上記PBTフィルムとがこの順に積層された積層体のPBTフィルム側の面に押圧板を重ね合わせ、熱圧成型を施して上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる工程(熱圧成型工程)を経て製造することができる。
本発明の化粧シートおよび化粧板の製造方法の一実施形態について、図3を用いて説明する。まず、上述のように、必要に応じて溶媒により希釈若しくは溶解して作製された熱硬化性樹脂組成物を含浸基材に含浸させ、次いで必要に応じて乾燥して溶剤を揮発させ、熱硬化性樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層2を作製する。次いで樹脂含浸層2とPBTフィルム3とを、マット調付与面3aが樹脂含浸層2側となるように重ね合わせて化粧シート1を得る。重ね合わせに際し、熱圧成型時にズレが生じないように、PBTフィルム3の端部に揮発性溶剤を少量塗布して仮接着してもよい。
次に、化粧シート1を、樹脂含浸層2が基材4側となるように基材4上に載置し、PBTフィルム3上に押圧板5を重ね合わせ、化粧板10と押圧板5とが積層された積層体を得る。上記積層体は、基材4と、基材4上に設けられた熱硬化前の樹脂含浸層2と、樹脂含浸層2上に設けられたPBTフィルム3とをこの順に備える化粧板10を含む。
次に、プレス機を用いて、化粧板10を含む上記積層体の上下から、加熱しつつ圧力を付加することで熱圧成型を行い、樹脂含浸層2を硬化させて熱硬化済の樹脂含浸層2’を形成し、化粧板10’と押圧板5とが積層された積層体を得る。このように、上記熱圧成型の方法としては、積層熱圧成型法、すなわち、化粧シート1と基材2とを重ね合わせ、型に入れて、加熱加圧硬化するのが好ましい。上記熱圧成型は、例えば、圧力10~25kgf/cm2、温度120~190℃、時間30秒~15分の条件で好ましく行うことができる。
熱圧成型後に得られる上記積層体は、樹脂含浸層2’とPBTフィルム3とが積層された化粧シート1’を含む。また、上記積層体は、基材2と、基材2上に設けられた熱硬化済の樹脂含浸層2’と、樹脂含浸層2’上に設けられたPBTフィルム3とをこの順に有する化粧板10’を含む。その後、押圧板5を取り外し、化粧板10’が得られる。
なお、化粧板10’の製造にあたり、PBTフィルム3のマット調転写形状を樹脂含浸層2’に転写することができるため、押圧板5には、樹脂含浸層にマット調を転写する形状を有する鏡面板を使用する必要がない。但し、PBTフィルム3に設けられたマット調転写形状以外の形状を樹脂含浸層2’に転写したい場合は、押圧板5として、上記形状を転写するための形状を有する鏡面板を使用してもよい。このように、樹脂含浸層にマット調を付与する際、マット調転写形状を有するPBTフィルムを用いることによりマット感の程度に応じた複数の鏡面板を準備する必要がないため、経済的に優れる。
そして、熱圧成型後において、PBTフィルムと樹脂含浸層表面との密着性に優れ、且つ意図的に剥離しようとする際は剥離しやすい。このため、熱圧成型後においては、PBTフィルムは熱硬化した樹脂含浸層から剥がれ落ちにくく、輸送時等において保護フィルムとして充分に機能し得る。そして、上記PBTフィルムは保護フィルムとして機能し得るため、上記熱圧成型工程後において別途保護フィルムに貼り替える必要がなく、経済的に優れる。また、PBTフィルムが化粧板に密着している状態ではPBTフィルムは透明性が高いので、成型後の外観検査もPBTフィルムを剥がさずに行うことができる。さらに、使用時に意図的にPBTフィルムを剥離しようとする際は剥離しやすい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
実施例1
ジアリルオルソフタレートプレポリマー(メチルエチルケトン50質量%溶液粘度(30℃)96.5mPa・s、株式会社大阪ソーダ製)60質量部、不飽和ポリエステル(商品名「DH-2000B」、株式会社DICマテリアル製)50質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5質量部、ベンゾイルパーオキサイド3質量部、内部離型剤(商品名「ゼレックUN」、デュポン社製)1質量部、ハイドロキノン(重合禁止剤)0.05質量部、微粉末シリカ(商品名「カープレックス」、塩野義製薬株式会社製)3質量部をアセトンに溶解させて樹脂組成物溶液を調製した。25℃の上記樹脂組成物溶液に80g/m2の印刷パターン紙を浸して上記樹脂組成物を含浸させた後、105℃熱風循環オーブンで90秒間加熱して溶媒を揮発させて、190g/m2の含浸紙(印刷パターン紙100質量部に対する含浸量:138質量部)を得た。
上記含浸紙にマット処理されたPBTフィルム(厚さ:50μm、表面処理なし)のマット調転写形状を有する面(おもて面)を重ね合わせ、含浸紙とPBTフィルムとが積層した化粧シートを作製した。
回遊板の上に、基材(商品名「ダイライト」、大建工業株式会社製、厚さ3mm、不燃材)を載置し、さらに上記基材の上に上記化粧シートを、含浸紙側が基材と接するようにして載置した。そして、プレス機を用いて、押圧板(平面形状)がセットされた熱板をPBTフィルム側、他の熱板を回遊板側となるように圧力を付加し、加熱して熱圧成型を行った。上記熱圧成型は、温度150℃、圧力16kgf/cm2とし、3分間行った。その後、圧力を解放して、回遊板、基材、および化粧シートの積層体をプレス機から取り出し、室温まで冷却して化粧板を得た。
実施例2
上記含浸紙にマット処理された上記PBTフィルムのうら面(上記おもて面に形成されたマット調転写形状とは異なるマット調転写形状を有する面)を重ね合わせたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートおよび化粧板を作製した。
実施例3
ジアリルオルソフタレートプレポリマー(メチルエチルケトン50質量%溶液粘度(30℃)96.5mPa・s、株式会社大阪ソーダ製)70質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30質量部、ベンゾイルパーオキサイド3質量部、内部離型剤(商品名「ゼレックUN」、デュポン社製)1.5質量部、ハイドロキノン(重合禁止剤)0.1質量部、水酸化アルミニウム(商品名「BF013STM」、日本軽金属株式会社製)50質量部、水酸化マグネシウム(商品名「マグシーズN-6」、神島化学工業株式会社製)5質量部、消泡剤0.1質量部をアセトンに溶解させて樹脂組成物溶液を調製した。25℃の上記樹脂組成物溶液に60g/m2の印刷パターン紙を浸して上記樹脂組成物を含浸させた後、105℃熱風循環オーブンで90秒間加熱して溶媒を揮発させて、160g/m2の含浸紙(印刷パターン紙100質量部に対する含浸量:167質量部)を得た。
上記含浸紙を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートおよび化粧板を作製した。
比較例1~15
PBTフィルムに代えて、表1に示すプラスチックフィルムを用い、上記含浸紙に当該プラスチックフィルムのマット調転写形状を有する面(おもて面)を重ね合わせたこと以外は実施例1と同様にして、化粧シートおよび化粧板を作製した。
(評価)
実施例および比較例で得られた各化粧板について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。なお、表中の「-」は、評価を行わなかったことを示す。
(1)密着強度
実施例および比較例で得られた各化粧板から手でプラスチックフィルムを剥離した。その際の樹脂含浸層とプラスチックフィルムの密着強度について、以下の基準で判定した。
[判定基準]
○(良好):剥離時に適度な力が必要であり、密着強度が適切である。
×1(不良):フィルムの強度が不足しておりフィルムが破れる。
×2(不良):密着強度が強すぎて剥離できない。
×3(不良):密着強度が弱すぎてすぐ剥離する。
(2)耐汚染性
上記密着強度の試験後において、プラスチックフィルムを剥離して露出した樹脂含浸層表面を黒マジックで黒く塗り、10分間放置した。その後、アセトンを使用して黒色部分を拭き取り、樹脂含浸層表面の汚れについて、以下の基準で判定した。なお、耐汚染性が不良であることは、プラスチックフィルムを剥離した際に樹脂含浸層から樹脂組成物も同時に剥がれていることを示す。
[判定基準]
○(良好):黒色が完全に拭き取れる、または、わずかに残っている。
×(不良):黒色が明らかに残っている。
(3)マット感
上記密着強度の試験後において、プラスチックフィルムを剥離して露出した樹脂含浸層表面を目視で観察し、樹脂含浸層表面のマット感を以下の基準で判定した。
[判定基準]
○(良好):マット感が、プラスチックフィルムを使用せず鏡面板によりマット調を付与した場合と同等以上。
×(不良):マット感が、プラスチックフィルムを使用せず鏡面板によりマット調を付与した場合よりも弱い。
(4)熱圧成型後の剥離強度
実施例で得られた各化粧板において、PBTフィルム表面に、カッターナイフを用いて15mm間隔の切り込みを入れた。そして、切り込みを入れたPBTフィルムの端部とばねばかりのフック部分とを粘着テープで接着し、ばねばかりを真上に引き上げてPBTフィルムの剥離を試みた(剥離角度90°)。そして、PBTフィルムの剥離進行が安定した状態におけるばねばかりが示す値を読み取り、剥離強度とした。
Figure 2022051508000002
比較例で使用したプラスチックフィルムは以下の通りである。
<PETフィルム>
PTH-25:商品名「エンブレット PTH-25」、ユニチカ株式会社製、厚さ25μm、光沢度(20°)45%、ヘーズ26%
PTH-50:商品名「エンブレット PTH-50」、ユニチカ株式会社製、厚さ50μm、光沢度(20°)41%、ヘーズ35%
PTHA-25:商品名「エンブレット PTHA-25」、ユニチカ株式会社製、厚さ25μm、光沢度(20°)24%、ヘーズ41%
ルミラー #26-X42:商品名「ルミラー #26-X42」、東レ株式会社製
ルミラー #25-X44:商品名「ルミラー #25-X44」、東レ株式会社製
ルミラー #50-X42:商品名「ルミラー #50-X42」、東レ株式会社製
ルミラー #50-X44:商品名「ルミラー #50-X44」、東レ株式会社製
テトロン U4:商品名「テイジンテトロン U4-50」、東洋紡フイルムソリューション株式会社製、厚さ50μm、ヘーズ90.1%、表面粗さ280nm
メリネックス:商品名「メリネックス 50μm」、東洋紡フイルムソリューション株式会社製、厚さ50μm、ヘーズ95%、光沢度(45°)38%、表面粗さ(Ra)0.4μm
YG:商品名「YG」、東洋紡フイルムソリューション株式会社製、厚さ48μm、ヘーズ95%、光沢度(45°)38%
<PPフィルム>
OPP-タイプD:開成工業株式会社製、サンドマット処理PPフィルム
OPマット-1:商品名「OPマット-1 #20」、三井化学東セロ株式会社製、厚さ20μm
トレファンBO #25-YM17S:商品名「トレファン BO #25-YM17S」、東レ株式会社製、厚さ20μm
アルファン SO-204 #20:商品名「アルファン SO-204 #20」、王子エフテックス株式会社製、厚さ20μm、ヘーズ81.7%、表面粗さ(Rmax)5.6μm
アルファン MAM-430 #25:商品名「アルファン MAM-430 #25」、王子エフテックス株式会社製、厚さ25μm、ヘーズ90%、表面粗さ(Ra)0.75μm、表面粗さ(Rmax)5.8μm
表に示すように、PBTフィルムを用いて作製した本発明の化粧板(実施例)は、樹脂含浸層表面にマット調が明確に転写されており、熱圧成型後においてPBTフィルムと樹脂含浸層表面との密着性に優れ、且つ意図的に剥離しようとする際は剥離しやすいと評価された。一方、PBTフィルムの代わりにポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルムを使用した場合、樹脂含浸層表面にマット調が明確に転写されなかったか、熱圧成型後において密着性に劣っていたか、あるいは意図的に剥離しようとした際の剥離が困難であった。
1,1’ 化粧シート
2 樹脂含浸層(熱硬化前、プリプレグ)
2’ 樹脂含浸層(熱硬化済)
3 PBTフィルム
4 基材
5 押圧板
10,10’ 化粧板

Claims (7)

  1. 熱硬化型樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層と、ポリブチレンテレフタレートフィルムとが積層した構造を有し、
    前記ポリブチレンテレフタレートフィルムは前記樹脂含浸層側の面にマット調転写形状を有する、化粧シート。
  2. 前記樹脂含浸層と前記ポリブチレンテレフタレートフィルムとが接触する領域を有する請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記熱硬化型樹脂組成物はジアリルフタレート系樹脂を含む請求項1または2に記載の化粧シート。
  4. 前記熱硬化型樹脂組成物は不飽和ポリエステル系樹脂を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記マット調転写形状は凹凸形状を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧シートを含む化粧板であり、
    基材と、前記樹脂含浸層と、前記ポリブチレンテレフタレートフィルムとを備える、化粧板。
  7. 基材上に、熱硬化性樹脂組成物が含浸基材に含浸した樹脂含浸層と、マット調転写形状を有するポリブチレンテレフタレートフィルムとがこの順に積層された積層体のポリブチレンテレフタレートフィルム側の面に押圧板を重ね合わせ、熱圧成型を施して前記熱硬化性樹脂組成物を硬化させる熱圧成型工程を備える、請求項6に記載の化粧板の製造方法。
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