JPH0639959A - セメント質硬化体の表面化粧方法 - Google Patents

セメント質硬化体の表面化粧方法

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JPH0639959A
JPH0639959A JP1791492A JP1791492A JPH0639959A JP H0639959 A JPH0639959 A JP H0639959A JP 1791492 A JP1791492 A JP 1791492A JP 1791492 A JP1791492 A JP 1791492A JP H0639959 A JPH0639959 A JP H0639959A
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surface layer
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meth
cementitious
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JP1791492A
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Fumio Matsui
二三雄 松井
Nobuo Uotani
信夫 魚谷
Yuji Arita
雄二 有田
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Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セメント質硬化体の表面に大理石調または釉
薬調の深みある透明感と光沢を与え、しかも表面硬度、
耐表面擦傷性、耐汚染性、耐湿性、耐久性、耐熱性及び
耐火性に優れた表層を形成する。 【構成】 プレス成形により製造された板状のセメント
質硬化体の表面に熱硬化性樹脂液を含浸した印刷紙を重
ねて加熱プレスし硬化一体化させて積層材を形成する積
層材形成工程、次いでその積層材の印刷紙側表面に(メ
タ)アクリル官能性ポリオルガノシルセスキオキサンと
ポリ(メタ)アクリレートからなる組成物を塗布し硬化
させて表層を形成する表層形成工程からなるセメント質
硬化体の表面化粧方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパルプセメント板等のセ
メント質硬化体の表面化粧方法に関するものであり、特
に、セメント質硬化体表面に大理石や釉薬調の意匠と光
沢を有し、表面硬度、耐表面擦傷性、耐汚染性、耐湿
性、耐久性、耐熱性並びに耐火性に優れた表層を形成す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セメント質硬化体は安価、大量に入手し
得る材料であるばかりでなく強度、耐火性、耐水性、耐
久性にも優れており、建築用の基礎資材として広く用い
られている一方、意匠性や汚染性等の見地からは劣悪で
あるために、その表面は各種塗料を用いて被覆するのが
普通である。しかし、その場合の外観や性状は限定され
る。また、部位によってはタイルや大理石等の装飾材を
貼り付けて使用する場合もあるが、材料費が極めて高価
であるばかりでなく工費も嵩む。セメント質硬化体の表
面に釉薬を施して焼き付ける方法は、その焼付け温度が
セメント質硬化体を脆化するので実用的でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明における課題
は、セメント質硬化体の表面に大理石や釉薬調の意匠と
光沢を与え、しかも表面硬度、耐表面擦傷性、耐汚染
性、耐湿性、耐久性、耐熱性並びに耐火性に優れた表層
を形成する方法を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような課題は、プレ
ス成形により製造された板状のセメント質硬化体の表面
に熱硬化性樹脂液を含浸した印刷紙を重ねて加熱プレス
し、硬化一体化させて積層材を形成する積層材形成工
程、次いでその積層材の印刷紙側表面に(メタ)アクリ
ル官能性ポリオルガノシルセスキオキサンとポリ(メ
タ)アクリレートからなる組成物を塗布し、硬化させて
表層を形成する表層形成工程からなるセメント質硬化体
の表面化粧方法によって解決できる。
【0005】上記の積層材形成工程において、板状のセ
メント質硬化体の表面に印刷紙を重ねる際、両者の接着
性を改善するために、これらの間にウレタン、エポキ
シ、シリコーン、ポリエステル、またはアクリル系樹脂
からなる接着剤層を設けることが好ましい。
【0006】また上記の積層材形成工程において、難燃
性を改善するために、その重量の50%以上の水酸化ア
ルミニウムを吸着して含むパルプからなる印刷紙を使用
することが好ましい。
【0007】さらに上記の表層形成工程において、表層
の可撓性を改善するために、塗布する組成物に(メタ)
アクリル官能性ポリオルガノシルセスキオキサンの重量
の50%以下のアクリル変性もしくはウレタン変性ポリ
ジメチルシロキサンを配合することが好ましい。
【0008】このような本発明の方法によれば、セメン
ト質硬化体の表面に大理石調や釉薬調の意匠と光沢を与
え、しかも表面硬度、耐表面擦傷性、耐汚染性、耐湿
性、耐久性、耐熱性並びに耐火性に優れた表層を与える
ことができる。以下に本発明をさらに詳しく説明する。
【0009】まず、本発明の最初の工程である積層材形
成工程について説明する。この工程はプレス成形により
製造された板状のセメント質硬化体の表面に熱硬化性樹
脂液を含浸した印刷紙を重ねて加熱プレスし、硬化一体
化させて積層材を形成する工程である。
【0010】積層材形成工程では、プレス成形により製
造された板状のセメント質硬化体を基材として使用す
る。その例としては、パルプセメント板、ハードボー
ド、パーティクルボード、インシュレーションボード、
石膏ボード、硝子繊維強化セメント板、スレート板、及
びけい酸カルシウム板を挙げることができる。製造時に
プレス成形を施されていないセメント質硬化体の場合は
寸法精度が悪く、印刷紙を加熱プレスして硬化一体化さ
せることも表層の光沢を出すことも困難である。
【0011】積層材形成工程で用いる印刷紙は市販のも
のを使用できるが、そのデザインは大理石や釉薬等の素
材の感覚を再現するようなものが好ましい。特に本発明
の表層形成工程によって得られる表層は深み感ある意匠
性に特徴があるので、そのような特徴を最大限に生かせ
るようなデザインが好ましい。本発明の方法によって製
造される製品に一般的な耐熱性または耐火性が要求され
る場合は、印刷紙として、パルプの重量に対して50%
以上に相当する水酸化アルミニウムを吸着して含むパル
プから作られた印刷紙を使用することが好ましい。この
ような紙を製造するには抄紙工程において白水中での水
酸化アルミニウム粒子の荷電をパルプのそれと逆にすれ
ばよく、そのような技術は公知でありすでに実用化され
ている。
【0012】積層材形成工程で印刷紙に含浸して用いる
熱硬化性樹脂の例としては、不飽和ポリエステル樹脂、
メラミン樹脂、アミノアルキッド樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、及び
ウレタン樹脂を挙げることができる。さらに上記の熱硬
化性樹脂に、増粘、増量、及び難燃性や意匠性改良のた
めに水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリ
カ、アルミナ、及び酸化アンチモン等の充填材、並びに
有機ハロゲン化合物のような難燃剤を併用することもで
きる。
【0013】積層材形成工程では、セメント質硬化体の
表面に予め熱硬化性樹脂液を含浸した印刷紙を重ねて加
熱プレスし、それらを硬化一体化させる。この時の圧力
は実質的に無圧状態から100kg/cm2程度までの
間で選択することが好ましい。またその時の温度は熱硬
化性樹脂の性質に応じて60°C〜200°Cとするこ
とが好ましい。
【0014】この時、セメント質硬化体表面と印刷紙と
の間に、両者の接着性をさらに高める目的で、ウレタ
ン、エポキシ、シリコーン、ポリエステル、またはアク
リル系樹脂からなる接着剤層を設けることが好ましい。
この接着剤層は予めシート状に成形したものを重ねて加
熱プレスして硬化一体化させてもよく、または液状の接
着剤をセメント質硬化体表面に塗布してから印刷紙を重
ね、加熱プレスにより硬化一体化させてもよい。
【0015】このような積層材形成工程により得られた
積層材の印刷紙側表面に、次の表層形成工程で(メタ)
アクリル官能性ポリオルガノシルセスキオキサンとポリ
(メタ)アクリレートからなる組成物を塗布するのであ
るが、両者の密着性が充分でないときは積層材の印刷紙
側表面をサンディングするか、またはプライマーやカッ
プリング剤で処理する等の、従来の接着技術をそのまま
適用することができる。
【0016】次に、本発明の次の工程である表層形成工
程について説明する。この工程は積層材形成工程で得ら
れた積層材の印刷紙側表面に優れた美観と物性をもたら
す表層を形成する工程である。
【0017】表層形成工程において、積層材に塗布する
組成物は基本的には(メタ)アクリル官能性ポリオルガ
ノシルセスキオキサンとポリ(メタ)アクリレートから
なる。 ここに用いられる(メタ)アクリル官能性ポリ
オルガノシルセスキオキサンは次の一般式(I)で示す
ことができる。
【0018】
【化1】
【0019】(I)式中、R1、R2は炭素数が1〜3の
アルキル基、フェニル基及び下記一般式(II)で示さ
れる(メタ)アクリル官能基を含み、mは2以上の整数
である。m個の構造単位は互いに同じでも異なっていて
もよい。R3、R4、R5及びR6は水素原子、メチル基、
及びエチル基を含む群から選ばれた2種以上からなり、
ただし水素原子は必ず含まれる。一般式(II)は次の
ように示される。
【0020】
【化2】
【0021】(II)式中、R7は水素原子またはメチ
ル基を示し、R8は炭素数1〜12の置換または非置換
の二価炭化水素を示し、R7とR8はそれぞれm個の構造
単位の間で同じでも異なっていてもよい。
【0022】一般式(I)の(メタ)アクリル官能性ポ
リオルガノシルセスキオキサンは硬化後の表層の表面硬
度や耐火性等を改善する観点から、R1及びR2の少なく
とも50モル%がメチル基であることが好ましい。ま
た、一般式(I)中の(メタ)アクリル官能基は5〜5
0モル%であることが好ましく、5モル%未満では硬化
速度が遅く、50モル%以上では耐火性、耐熱性、耐水
性等が劣る。
【0023】表層形成工程で用いる組成物のもう一つの
成分であるポリ(メタ)アクリレートは次の一般式(I
II)で示されるものである。
【0024】
【化3】
【0025】(III)式中、R9は水素原子またはメ
チル基であり、全ての構造単位で同じでも異なっていて
もよい。R10は多価炭化水素残基、主鎖に酸素を有する
多価炭化水素残基または多価アルコールと多塩基酸で構
成されるエステルの残基を示す。式中の(メタ)アクリ
ル酸残基はR10の異なる炭素原子に結合し、lは2以上
の整数である。
【0026】R10が多価炭化水素残基または主鎖に酸素
を有する多価炭化水素残基であるポリアクリレートまた
はポリメタクリレートは、多価アルコールとアクリル酸
またはメタクリル酸とを公知の条件下にエステル化反応
させることによって製造することができる。このような
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3
−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、プロピ
レングリコール、平均分子量約150〜約600のポリ
プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコ
ール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−
2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロパナー
ト、平均分子量約150〜約600のポリエチレングリ
コール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒ
ドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、トリエタノ
ールアミン、2,3−ブタンジオール、約1.5当量の
カプロラクトンを含むトリメチロールプロパンのポリカ
プロラクトンエステル、2−エチル−1,3−ヘキサン
ジオール、1,5−ペンタンジオール、トリプロピレン
グリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキ
シル)プロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、
1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール
等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を
使用することができる。
【0027】このようなポリアクリレートまたはポリメ
タクリレートの例としては、特に限定されるものではな
いが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラ
エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレン
グリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート、及びトリメチロール
プロパントリメタクリレート等を挙げることができる。
【0028】また、R10として多価アルコールと多塩基
酸で構成されるエステルの残基を有するポリアクリレー
トまたはポリメタクリレートを選択する場合は、多価ア
ルコールとして例えばエチレングリコール、1,2−プ
ロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサ
ントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール等を用いることができる。一方、多
塩基酸としては、例えばフタル酸、テトラヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、ハイミック酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン
酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール
酸、ピロメリット酸、トリメリット酸またはその無水物
等を用いることができる。なお、エステル残基のR10
は多価アルコールと多塩基酸がそれぞれ1種類である必
要はなく、2種以上であってもよい。
【0029】本発明において使用する板状のセメント質
硬化体が乾湿や温度変化によって寸法が大きく変化する
場合、あるいは肉厚が薄くて曲げやたわみによる変形が
大きい場合は、表層にも変形に対するある程度の追随性
が要求される。そのような場合には可撓性成分として、
(メタ)アクリル官能性ポリオルガノシルセスキオキサ
ンの重量の50%以下の割合でアクリル変性もしくはウ
レタン変性ポリジメチルシロキサンを含んでいることが
好ましい。ここで、アクリル変性もしくはウレタン変性
ポリジメチルシロキサンとは、ポリジメチルシロキサン
のポリマーまたはオリゴマーの末端または側鎖にアクリ
ル酸エステルまたはウレタン結合の単位を複数個導入し
たものである。このような変性が施されないポリジメチ
ルシロキサンは、ラダーポリマーである(メタ)アクリ
ル官能性ポリオルガノシルセスキオキサンと全く相容性
を示さず、本発明に使用できない。また、可撓性成分と
して他の有機材料を用いることもできるが、この場合は
比較的大量に用いないと効果が発現せず、表層としての
特性が大きく損なわれる。これに対して、上記のアクリ
ル変性もしくはウレタン変性ポリジメチルシロキサンは
可撓性成分として最も少量で有効であり、なおかつ表層
の耐久性、耐水性、耐熱性及び耐火性に及ぼす悪影響も
軽微である。
【0030】表層形成工程で用いる組成物は上記の成分
以外に、希釈による粘度調整、積層材に対する密着性、
帯電防止性、その他の性質を改善する目的で他の重合性
の単官能性不飽和基を有する化合物を含んでいてもよ
い。このような化合物としては幅広い選択が可能である
が、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタク
リレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル
メタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メタ
クリロイルオキシエチル−アシッドホスフェート、メタ
クリル酸、N−ビニル−2−ピロリドン、スチレン等を
例示することができる。
【0031】表層形成工程で使用する組成物にはさらに
重合開始剤を添加することができる。重合開始剤として
は従来から公知の種々なものを挙げることができる。即
ち、加熱により硬化させる場合には過酸化ベンゾイル、
過酸化ラウロイルのような過酸化物、ブチルハイドロパ
ーオキサイドのようなハイドロパーオキサイド類、アゾ
ビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物を単独でま
たはアミン類や金属石鹸のような硬化促進剤と組み合わ
せて使用することができる。高エネルギー放射線によっ
て硬化させる場合には、アセトフェノン、プロピオフェ
ノン、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインアルキ
ルエーテル、キサントール、フルオレノン、ベンズアル
デヒド、フルオレン、アンスラキノン、3−メチルアセ
トフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジ
メトキシベンゾフェノン等が使用できる。これらの重合
開始剤は単独で、もしくは2種以上を混合して使用する
ことができる。ただし電子線を用いて硬化させる場合に
は上記のような重合開始剤の添加は必要ない。さらに、
紫外線による硬化性を改善するために、上記の重合開始
剤と共に3級アミン等のいわゆる硬化促進剤を添加する
こともできる。この目的には脂肪族及び芳香族の各種3
級アミンが使用可能であり、例としてはN−ジメタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノ
ールアミン、トリエチルアミン、及びp−ジメチルアミ
ノ安息香酸エチル等を挙げることができる。
【0032】表層形成工程で用いる組成物には、以上の
他にも、硬化した表層の物性を改善するために、または
製品に用途に応じた特性を付与するために、種々の物質
を配合することができる。例えば熱安定剤としてハイド
ロキノン、p−メトキシフェノール等、着色顔料として
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、チタ
ンホワイト等、増粘剤としてシリカ、炭酸カルシウム、
カオリン、クレー、及びコロイダルシリカ等、その他、
各種の紫外線吸収剤や酸化防止剤等を添加することがで
きる。さらに、塗布の際の作業性を改良するためにメチ
ルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、トルエン等各
種の溶剤を添加することもできる。
【0033】このような組成物を製するには対応する化
合物を互いに重合が起こらないような条件下に均一に混
合すればよい。そのような条件は一般に公知であり、ま
た実験によって求めることができる。
【0034】表層形成工程では、まず上記の組成物を積
層材の印刷紙側表面に塗布する。塗布するに当たっては
スプレーコーティング、刷毛塗り、浸漬コーティング、
フローコーティング、ロールコーティング、スピンコー
ティング等を含む好適な方法が採用できる。
【0035】次に塗布した組成物を硬化させる。硬化は
加熱または高エネルギー放射線、例えば紫外線や電子線
の照射によって行うことができる。硬化に当って、加熱
硬化の場合は炉内で蒸気、電熱または赤外線等を用いて
40〜90゜Cに加熱すればよく、紫外線硬化の場合は
紫外線蛍光灯、高圧水銀灯、炭素アーク灯またはメタル
ハライド灯等を紫外線源として、適当な照射量を照射す
ればよい。電子線照射の場合は種々の加速機を用いるこ
とができる。
【0036】組成物の硬化後の塗布厚みとしては、3〜
100μmが好適である。これより薄いと光沢や質感等
の特徴が充分に発揮されず、100μm以上では硬化後
の被膜にクラック等の障害が起こり易い。通常の有機化
合物のみによるコーティング膜の場合は深み感を出すの
に100μm程度以上の膜厚が必要であるが、本発明の
方法によれば20〜30μmの膜厚で充分に特徴ある釉
薬調の深み感が出せる。
【0037】本発明の表面化粧方法によれば、セメント
質硬化体の表面に優美な釉薬調の光沢、深み感、硬度、
並びに各種の耐性を付与することができる。特に大理石
調の光沢や鮮映性を実現するためにはセメント質硬化体
自体の平滑性ばかりでなく、表層の平滑性もきわめて重
要であり、本発明の表層形成工程で用いる組成物はこの
表層の平滑性に大いに寄与している。
【0038】従って、本発明の方法によって製造される
セメント質硬化体は建築物、家具、調度品、装飾品等の
素材として広く使用することができる。
【0039】次に実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【実施例】以下の実施例において、部は特に断わりない
限り重量部を表す。実施例で用いる(メタ)アクリル官
能性ポリオルガノシルセスキオキサンの合成例を次に示
す。
【0040】温度計、攪拌装置及び還流冷却器付きの1
リットルフラスコにγ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン149g(0.6モル)、メチルトリエト
キシシラン356g(2.0モル)、フェニルトリエト
キシシラン96g(0.4モル)、塩酸0.002モ
ル、水108g(6モル)、及びp−メトキシフェノー
ル0.01gを仕込み、フラスコ内の温度を60゜Cま
で昇温し、攪拌しながら60分間保持した。続いて70
゜Cに昇温し、1時間反応させた後、n−ブチルアミン
0.6g(0.0082モル)を滴下し、さらに45分
間反応させた後、塩酸0.4g(0.0087モル)を
滴下し、70゜Cで30分間保持した。油層を水洗後、
無水硫酸ナトリウムで脱水し、ロータリーエバポレータ
を用いて溶媒を除去したところ、25゜Cにおける粘度
が450cpsの粘稠な成分320gを得た。この成分
を(B−1)成分と称する。(B−1)成分の分子量を
GPCにより求めたところ数平均分子量5,700、重
量平均分子量13,800であった。本合成例の(B−
1)成分では、側鎖のメチル基、フェニル基及びメタク
リル基のモル比がおよそ67:13:20であった。
【0041】なお、実施例中の各種物性は下記の方法に
したがって測定した。 (耐表面擦傷性)硬化した表層を、太さ#0000のス
チールウールの束で荷重500gをかけながら15往復
こすり、表層についた擦傷の程度を観察し、次の4段階
に評価点をつけた。 A;全く擦傷を認めない。 B;10本以内の擦傷を認める。 C;10本以上の擦傷を認めるが、なお光沢を保持して
いる。 D;無数の擦傷で光沢を失う。 (表面硬度)塗料用の鉛筆引っかき試験機を用いてJI
S K5401に準じて測定した。 (耐湿性)試料を80゜C、90%RHの雰囲気中に5
00時間保持し、表層の外観の変化を追跡観察した。 (耐熱性)250゜Cに表面温度を調節したホットプレ
ート上に、試料をその表層が直接触れるように20分間
置き、加熱による影響を観察した。 (耐汚染性)黒色の油性フェルトペンで試料の表層に線
を引き、1昼夜放置後、エタノールを浸した布で拭き取
り、汚れの残留の程度を観察した。
【0042】(実施例1) 積層材形成工程: 厚さ9mmの市販スレート板上に2
液硬化型ウレタン系接着剤(商品名ニッポラン302
2、日本ポリウレタン株式会社製)の50%トルエン溶
液を120g/m2となるように刷毛を用いて均一に塗
布した。直ちに、予めジアリルフタレート樹脂を300
g/m2の割合で含浸しておいた大理石模様をプリント
した印刷紙をその塗布面に重ね、150゜C、10kg
/cm2で20分間加熱プレスし、硬化一体化させた。 表層形成工程: その印刷紙側表面を#1000のサン
ドペーパーでサンディング後、以下の組成物を30g/
2になるようにスプレーガンを用いて塗布した。 組成物 (B−1)成分 40部 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 15部 α−ωウレタン変性ポリジメチルシロキサン 17部 N−ビニルピロリドン 5部 ベンゾフェノン 1.5部 p−ジメチルアミノ安息香酸エチル 1.5部 トルエン 15部 ブチルセロソルブ 5部 塗布後、直ちに高圧水銀灯を用いて紫外線照射量が2J
/cm2となるように均一に照射し、組成物を硬化させ
た。得られたスレート化粧板は深みのある透明感と光沢
のある大理石調の表面を有していた。このスレート化粧
板の表層の諸物性を表1に示す。
【0043】(実施例2) 積層材形成工程: パルプ重量に対して70%の水酸化
アルミニウムを含むみかげ調のデザインを施した印刷紙
に難燃性不飽和ポリエステル樹脂を300g/m2の割
合で含浸し、これを厚さ9mmの市販のけい酸カルシウ
ム板上に重ね、150゜C、2kg/cm2で20分間
加熱プレスし、硬化一体化させた。 表層形成工程: その印刷紙側表面を#1000のサン
ドペーパーでサンディング後、以下の組成物を30g/
2になるようにスプレーガンを用いて塗布した。 組成物 (B−1)成分 45部 カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10部 側鎖メタクリル変性ポリジメチルシロキサン 15部 トリメチロールプロパントリアクリレート 5部 メチルイソブチルケトン 5部 トルエン 10部 ブチルセロソルブ 4部 ベンゾイルパーオキサイド 1部 塗布後、直ちに60゜Cで1時間、さらに80゜Cで1
時間加熱し、組成物を硬化させた。得られた化粧板は深
みのある透明感と光沢のあるみかげ石調の表面を有して
いた。この化粧板の表層の諸物性を表1に示す。またこ
の試料について建設省告示第1828号に規定された不
燃材に関する積層材試験、表面試験を実施したところ、
いずれも合格であった。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、本発明の方法に
よって製造された化粧板はいずれも深みのある透明感と
光沢を有するばかりでなく、建築をはじめとするさまざ
まな分野で広く使用することのできる優れた諸物性を示
した。
【0046】
【発明の効果】本発明のセメント質硬化体の表面化粧方
法は、プレス成形により製造された板状のセメント質硬
化体の表面に熱硬化性樹脂液を含浸した印刷紙を重ねて
加熱プレスして硬化一体化させ、次いでその印刷紙側表
面に(メタ)アクリル官能性ポリオルガノシルセスキオ
キサンとポリ(メタ)アクリレートからなる組成物を塗
布し硬化させて表層を形成する方法からなるものである
ので、セメント質硬化体の表面に大理石調または釉薬調
の深みある透明感と光沢を与えることができ、しかも表
面硬度、耐表面擦傷性、耐汚染性、耐湿性、耐久性、耐
熱性及び耐火性に優れた表層を形成することができる等
の効果がある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレス成形により製造された板状のセメ
    ント質硬化体の表面に熱硬化性樹脂液を含浸した印刷紙
    を重ねて加熱プレスし、硬化一体化させて積層材を形成
    する積層材形成工程、次いでその積層材の印刷紙側表面
    に(メタ)アクリル官能性ポリオルガノシルセスキオキ
    サンとポリ(メタ)アクリレートからなる組成物を塗布
    し、硬化させて表層を形成する表層形成工程からなるこ
    とを特徴とするセメント質硬化体の表面化粧方法。
  2. 【請求項2】 上記積層材形成工程において板状のセメ
    ント質硬化体の表面に印刷紙を重ねる際、それらの間に
    ウレタン、エポキシ、シリコーン、ポリエステル、また
    はアクリル系樹脂からなる接着剤層を設けることを特徴
    とする請求項1記載のセメント質硬化体の表面化粧方
    法。
  3. 【請求項3】 上記積層材形成工程において、その重量
    の50%以上の水酸化アルミニウムを吸着して含むパル
    プからなる印刷紙を使用することを特徴とする請求項1
    記載のセメント質硬化体の表面化粧方法。
  4. 【請求項4】 上記表層形成工程において、塗布する組
    成物に(メタ)アクリル官能性ポリオルガノシルセスキ
    オキサンの重量の50%以下のアクリル変性もしくはウ
    レタン変性ポリジメチルシロキサンを配合することを特
    徴とする請求項1記載のセメント質硬化体の表面化粧方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003532813A (ja) * 1999-11-19 2003-11-05 ジェイムズ ハーディー リサーチ ピーティーワイ.リミテッド 耐久力があるプレハブ建築材料
JP2006518798A (ja) * 2003-02-25 2006-08-17 ダウ・コーニング・コーポレイション シリコーン樹脂と有機樹脂のハイブリッド複合材
US8077287B2 (en) 2003-05-09 2011-12-13 Asml Netherlands B.V. Method of preparing components, prepared component, lithographic apparatus and device manufacturing method
KR102065674B1 (ko) * 2019-06-28 2020-01-14 우리건설 주식회사 콘크리트 구조물의 열화방지 및 단면보수용 무기계 폴리머 몰탈 조성물 및 콘크리트 구조물의 단면보수보강방법

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