JP2021158966A - 酒様ノンアルコール飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】味の厚み・ふくらみを有する酒様ノンアルコール飲料の提供。【解決手段】本発明によれば、酒様ノンアルコール飲料であって、(a)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上であり、かつ、(b)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含む、前記飲料が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、酒様ノンアルコール飲料に関し、特に、醸造酒様ノンアルコール飲料に関する。
近年の健康志向の高まりの中でアルコール摂取量を自己管理する消費者が増加している。また、ノンアルコール飲料でありながらアルコール飲料の香味や飲用感を味わいたいという消費者のニーズも高まっている。
このような背景のもと、アルコール飲料の香味や飲用感を再現したノンアルコール飲料が開発されている。例えば、特許文献1には、低級脂肪酸またはそのエステルを添加することにより、ホップに由来するモノテルペンアルコールのような香味成分の香味を増強する方法が開示されている。
特開2012−034659号公報
酒様ノンアルコール飲料(特に、醸造酒様ノンアルコール飲料)では香味の観点から発酵原料や発酵原料の脱アルコール処理物を配合することが望ましいが、果汁やアミノ酸等のその他原料を使用する場合に比べてコストが高く、また、エタノール含有量を0.1v/v%未満にする場合にはこれらの使用は制限がある。このため本発明者らは、発酵原料や発酵原料の脱アルコール処理物の使用を可能な限り避けた配合でアルコール感のある味覚設計を行ったが、酒様ノンアルコール飲料(醸造酒様ノンアルコール飲料)の味が薄く感じられやすいという課題があった。また、醸造酒の成分やその比率を模倣して醸造酒様ノンアルコール飲料の香味設計を行うと、アルコールがないことで逆に溶剤のような香味が発生しやすく、自然な味覚を設計することが困難であった。さらに、醸造酒様香味設計の場合、醸造酒ではアミノ酸が味の厚みに寄与するためアミノ酸源を添加することも考えられたが、エタノール含量が低い飲料でアミノ酸を増強するとアミノ酸の劣化等により穀物のような香りが増強しやすく、また微生物繁殖リスクが大きくなるという課題もあった。
本発明者らは、酒様ノンアルコール飲料(特に、醸造酒様ノンアルコール飲料)の香味設計において、イソアミルアルコールに対する酢酸イソアミルの含有量と、イソアミルアルコールに対する中鎖脂肪酸エステルの種類と含有量をそれぞれ特定することで、酒様ノンアルコール飲料において、溶剤臭を抑制しつつ、味の厚み・ふくらみを実現できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
すなわち本発明は、味の厚み・ふくらみを有する酒様ノンアルコール飲料の提供を目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]醸造酒様ノンアルコール飲料であって、(a)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラム面積(以下、「TIC面積」とする)に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上であり、かつ、(b)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含む、前記飲料(以下、「本発明の飲料」ということがある)。
[2]酒様ノンアルコール飲料が、醸造酒様ノンアルコール飲料である、上記[1]に記載の飲料。
[3]SPME−GC/MS分析が下記条件:
<SPME−GC/MS分析条件>
SPME
SPME(固相マイクロ抽出)ファイバー:50/30μm DVB/CAR/PDMS,2cm(シグマアルドリッチ社製)
抽出温度・時間:30℃、5分
カラム:ZB−WAX 60m×0.25mm×0.25μm(島津ジーエルシー社)
GC/MS
GC/MS機器:島津製作所QP2020
インジェクション:スプリットレスモード
注入口温度:240℃
キャリアガス:ヘリウム
線速度:30.0cm/秒
オーブン温度:40℃、5分−(2℃/分)−250℃、10分
イオン化方式:電子イオン化(EI)法
測定モード:スキャン(m/z45−550)
またはそれと同等の条件に従うものである、上記[1]または[2]に記載の飲料。
[4]イソアミルアルコールを2ppm以上1000ppm未満含んでなる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の飲料。
[5]窒素含有量が200mg/L未満である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の飲料。
[6]脱アルコール果汁発酵物および脱アルコール穀物発酵物を原材料として使用しないか、あるいはこれらを飲料全体に対して5質量%未満で含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の飲料。
[7]甘味料を含んでなる、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の飲料。
[8]pHが3.0以上である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の飲料。
[9]酒様ノンアルコール飲料の製造方法であって、(a)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラム面積(以下、「TIC面積」とする)に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上となるようにイソアミルアルコール濃度および酢酸イソアミル濃度を調整し、かつ、(b)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含むようにイソアミルアルコール濃度および中鎖脂肪酸エステル濃度を調整する工程を含む、前記製造方法。
[10]酒様ノンアルコール飲料の味の厚みおよびふくらみを増加させる方法であって、酒様ノンアルコール飲料において、(a)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラム面積(以下、「TIC面積」とする)に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上となるようにイソアミルアルコール濃度および酢酸イソアミル濃度を調整し、かつ、(b)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含むようにイソアミルアルコール濃度および中鎖脂肪酸エステル濃度を調整する工程を含む、前記方法。
本発明の飲料は、ノンアルコール飲料でありながら、溶剤臭を抑制しつつ、醸造酒に求められる味の厚み・ふくらみを実現できる点で有利である。
発明の具体的説明
本願明細書において「ノンアルコール飲料」とは、エタノールを実質的に含まない飲料を意味し、エタノール濃度が0.1v/v%未満の飲料、エタノール濃度が0.05v/v%未満の飲料、エタノール濃度が0.01v/v%未満の飲料、エタノール濃度が0.005v/v%未満の飲料を含む意味で用いられるものとする。
本発明において「酒様」とは、アルコール度数1%以上の飲料を飲んだような香りや飲み応えを感じる状態をいう。また、本発明において「醸造酒様」とは、穀物や果汁をアルコール発酵させた醸造酒のような香りや飲み応えを感じる状態をいう。本発明において「酒様ノンアルコール飲料」としては、ワイン様ノンアルコール飲料、日本酒様ノンアルコール飲料、ビール様ノンアルコール飲料、浸漬酒様ノンアルコール飲料、チューハイ様ノンアルコール飲料、リキュール様ノンアルコール飲料、ウイスキー様ノンアルコール飲料、焼酎様ノンアルコール飲料が挙げられる。本発明において「醸造酒様ノンアルコール飲料」としては、ワイン様ノンアルコール飲料、日本酒様ノンアルコール飲料、ビール様ノンアルコール飲料が挙げられ、これら以外にも日本酒、ワイン、ビールを原料として用いた酒様ノンアルコール飲料(サングリア様ノンアルコール飲料等)が挙げられる。
本発明の飲料は酢酸イソアミルとイソアミルアルコールを含有してなるものである。本発明の飲料においては、飲料中の酢酸イソアミルの濃度を、SPME(固相マイクロ抽出)−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上(好ましくは2.0以上)となるように設定することができる。上記面積比の上限値は、例えば、15または10とすることができる。また本発明の飲料のイソアミルアルコールの濃度は公知の分析方法(例えば、SPME−GC/MS分析)により測定することができる。
SPME−GC/MS分析の手法は公知であり、市販の部材および装置を用いて実施することができるが、本発明においては下記分析条件およびそれと同等の条件において上記面積比を設定することができる。なお、「同等の条件」とは、下記分析条件で使用する機器;部材;方式;温度、時間等の条件を同等の性能の機器、部材や、同等の方式、条件に変更することをいい、具体的には、下記分析条件で使用する機器、部材、方式、条件等を変更した場合に、同じサンプルを分析したときの測定結果と、下記分析条件で実施したときの測定結果との差が、下記分析条件を実施した場合の測定結果に対して±10%(好ましくは±5%)の範囲内であることをいう。
<SPME−GC/MS分析条件>
SPME
SPME(固相マイクロ抽出)ファイバー:50/30μm DVB/CAR/PDMS,2cm(シグマアルドリッチ社製)
抽出温度・時間:30℃、5分
カラム:ZB−WAX 60m×0.25mm×0.25μm(島津ジーエルシー社)
GC/MS
GC/MS機器:島津製作所QP2020
インジェクション:スプリットレスモード
注入口温度:240℃
キャリアガス:ヘリウム
線速度:30.0cm/秒
オーブン温度:40℃、5分−(2℃/分)−250℃、10分
イオン化方式:電子イオン化(EI)法
測定モード:スキャン(m/z45−550)
SPME−GC/MS分析にあたっては、20mL容バイアル瓶に、イソアミルアルコール濃度が0.5〜5ppmの範囲となるようにミリQ水で希釈した10mLのサンプルに、3gの塩化ナトリウムを添加して混和し、得られた溶液を分析用サンプルとすることができる。
TIC面積は、サンプルをGC/MS分析にかけ、スキャン分析を実施して算出することができる。すなわち、TICクロマトグラムは、スペクトルの開始m/zから終了m/zまでのすべての強度を合算して表示したクロマトグラムであり、TIC面積はそのクロマトグラムの面積に相当する。
本発明の飲料はまた、3種類以上の中鎖脂肪酸エステルとイソアミルアルコールを含有してなるものである。本発明の飲料においては、飲料中の少なくとも3種類の中鎖脂肪酸エステルの各濃度を、SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する各中鎖脂肪酸エステルの面積比が1.0以上(好ましくは1.5以上)となるように設定することができる。上記面積比の上限値は、例えば、40または35とすることができる。SPME−GC/MS分析の手法やTIC面積の算出は前記の通りである。
ここで、中鎖脂肪酸エステルとは、炭素数が6〜12の直鎖の飽和脂肪族カルボン酸のエステル(例えば、エチルエステル)である。具体的には、ヘキサン酸エステル(炭素数6)、ヘプタン酸エステル(炭素数7)、オクタン酸エステル(炭素数8)、ノナン酸エステル(炭素数9)、デカン酸エステル(炭素数10)、ウンデカン酸エステル(炭素数11)、ドデカン酸エステル(ラウリン酸エステル)(炭素数12)である。
本発明の飲料のイソアミルアルコールの濃度は、その下限値(「以上」または「超える」で表現される)を2ppm、5ppm、10ppm、50ppmとすることができ、その上限値(「以下」または「未満」で表現される)を150ppm、200ppm、500ppm、1000ppmとすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、上記濃度の範囲は、例えば、2ppm以上500ppm未満、5ppm以上200ppm未満とすることができる。本発明の飲料のイソアミルアルコール濃度は液種別に設定することもでき、本発明の飲料がワイン様ノンアルコール飲料の場合には2〜150ppmまたは2〜200ppmとすることができ、本発明の飲料が日本酒様ノンアルコール飲料の場合には2〜500ppmまたは5〜200ppmとすることができる。
本発明の飲料においては味の厚みおよびふくらみを実現することができる。ここで、「味の厚みおよびふくらみ」とは、酒様(特に醸造酒様)の複雑感、ミドルからラストにかけて感じるボディ感をいう。本発明の飲料はまた、イソアミルアルコール、酢酸イソアミルおよび中鎖脂肪酸エステルを含有するものの、溶剤臭が抑制されたものである。ここで、「溶剤臭」とは、アルコール飲料としては不適切なシンナーを彷彿とさせる溶剤の臭いをいう。
本発明の飲料は原材料としてアミノ酸を配合することなく、味の厚み・ふくらみを実現することができる。アミノ酸の配合によりアミノ酸の劣化に伴う香味の劣化や微生物繁殖リスクの増大が懸念されるところ、本発明の飲料はアミノ酸の配合量を低減するか、あるいはアミノ酸を実質的に配合しない飲料とすることができ、これらの懸念を低減できる点で有利である。アミノ酸の含有量は全窒素含有量により評価することができ、例えば、本発明の飲料の全窒素含有量は200mg/L未満、180mg/L未満、100mg/L未満、50mg/L未満とすることができる。全窒素含有量、例えば、燃焼法(「食品表示法 別添 栄養成分等の分析方法等」参照)を実施することにより測定することができる。
本発明の飲料は脱アルコール果汁発酵物や脱アルコール穀物発酵物を原材料として使用しないか、あるいはこれらを飲料全体に対して5質量%未満で含む飲料とすることができる。脱アルコール果汁発酵物や脱アルコール穀物発酵物にはアルコールが残留していることがあるところ、これらを使用しないか、あるいは5質量%未満で含む本発明の飲料はこのような懸念がない点で有利である。
本発明の飲料には通常の飲料の処方設計に用いられている飲料用添加剤を配合してもよい。このような添加剤としては、甘味料、酸味料、pH調整剤、調味料、香料(イソアミルアルコール、酢酸イソアミルおよび中鎖脂肪酸エステルを除く)、香辛料、着色料、増粘剤、安定剤、乳化剤、酸化防止剤、保存料などが挙げられる。甘味料は糖類および高甘味度甘味料を含み、糖類は果汁等の天然由来の糖であってもよい。本発明の飲料にはまた、難消化性デキストリン等の食物繊維、レスベラトロール等のポリフェノールのような機能性成分を配合してもよい。本発明の飲料にはまた、果汁、穀物のような天然由来の成分を配合してもよい。上記飲料用添加剤や各種成分は、後述する調合工程において他の原料と混合することができる。
本発明の飲料は、pHを3.0以上の範囲(例えば、3.0〜7.0、3.0〜5.0、3.2〜4.5)に調整することができる。本発明においては、pHは酸味料やpH調整剤により調節することができ、他の原材料を利用してpHを調整することもできる。飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、東亜電波工業株式会社製pHメーター)を使用して容易に測定することができる。
本発明の飲料は、イソアミルアルコールの含有量に対する酢酸イソアミルおよび中鎖脂肪酸エステルの含有量を調整すること以外は、酒様ノンアルコール飲料について公知の製造手順に従って製造することができる。すなわち、原材料を準備し、これを調合することにより本発明の飲料を製造することができる。イソアミルアルコール、酢酸イソアミルおよび中鎖脂肪酸エステルは、原材料に元々含まれている場合にはその量を考慮し、原材料や調合液に添加ないし配合することができる。イソアミルアルコール、酢酸イソアミルおよび中鎖脂肪酸エステルの濃度調整は、調合工程において実施してもよく、あるいは調合工程前または調合工程後に実施してもよい。
飲料中のイソアミルアルコールの含有量に対する飲料中の酢酸イソアミルおよび中鎖脂肪酸エステルの含有量の調整は、SPME−GC/MS分析によるTIC面積の比率を指標にして行う。例えば、飲料中のイソアミルアルコール濃度を定めた上で、酢酸イソアミルや中鎖脂肪酸を適宜配合したサンプル飲料を調製し、SPME−GC/MS分析を行ってTIC面積の比率を算出し、その結果に基づいて酢酸イソアミルや中鎖脂肪酸の配合量を増減して、本発明の飲料を製造することができる。
調合工程で得られた調合液は殺菌工程および充填工程を経て容器詰めすることができる。本発明の飲料は微生物の繁殖リスクを増加させるリスクがあるアミノ酸等の成分の配合量を削減するか、あるいはアミノ酸を配合せずに調製することができるため、本発明の飲料に対する殺菌強度を高める必要はなく、結果として飲料の香味を損なわずに長期保存が可能な飲料とすることができる点で有利である。
容器詰めされた本発明の飲料は必要に応じて密封工程と冷却工程に付することができる。なお、原材料の調合の際に水に代えて炭酸水を用いるか、あるいは、容器に充填する前に所定のガスボリュームになるようにカーボネーションを行うことにより、本発明の飲料を炭酸飲料とすることができる。
本発明の別の面によれば、酒様ノンアルコール飲料の味の厚みおよびふくらみを増加させる方法が提供される。本発明の味の厚みおよびふくらみを増加させる方法は、本発明の飲料およびその製造方法に関する記載に従って実施することができる。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例1:スパークリング白ワイン様ノンアルコール飲料
(1)サンプル飲料の調製
メルシャンフリーホワイト(メルシャン社、アルコール濃度0.00%)に重曹0.20%を添加して攪拌した後、表1に示された成分を添加してスパークリング白ワイン様のノンアルコール飲料のサンプル飲料(サンプル番号1〜10)を調製した。サンプル飲料のpHはいずれも3.4であった。表1に記載されたイソアミルアルコール、酢酸イソアミルおよび各種中鎖脂肪酸エステルはSigma社から購入したものを用いた。また、メルシャンフリーホワイトは乳酸発酵果汁を原料として使用したスパークリング白ワイン様ノンアルコール飲料であり、成分添加前のイソアミルアルコール濃度が0.5mg/kg未満であること、全窒素含有量が102mg/Lであることを確認した。なお、サンプル飲料中の全窒素含有量は燃焼法(スミグラフNC−22F、燃焼炉温度830℃)に従って測定した(以下、同様)。
(2)成分分析
サンプル飲料のSPME−GC/MS分析は以下のように行った。すなわち、20mL容バイアル瓶に、イソアミルアルコール濃度が0.5〜5ppmの範囲となるようにミリQ水で希釈した10mLのサンプルに、3gの塩化ナトリウムを添加して混和し、得られた溶液を分析用サンプルとした。SPME−GC/MSの分析条件は以下の通りであった。
<SPME−GC/MS分析条件>
SPME(固相マイクロ抽出)ファイバー:50/30μm DVB/CAR/PDMS,2cm(シグマアルドリッチ社)
抽出温度・時間:30℃、5分
カラム:ZB−WAX 60m×0.25mm×0.25μm(島津ジーエルシー社)
GC/MS:島津製作所QP2020
インジェクション:スプリットレスモード
注入口温度:240℃
キャリアガス:ヘリウム
線速度:30.0cm/秒
オーブン温度:40℃、5分−(2℃/分)−250℃、10分
イオン化方式:電子イオン化(EI)法
測定モード:スキャン(m/z45−550)
イソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比は、イソアミルアルコールのトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラムのピーク面積を1としたときの、各成分のTICクロマトグラムのピーク面積の比として示した。
(3)官能評価
上記(1)で調製したサンプル飲料(サンプル番号1〜10)を官能評価に供した。具体的には、「味の厚み・ふくらみ」、「溶剤臭」について官能評価を行った。ここで「味の厚み・ふくらみ」とは、醸造酒様の複雑感、ミドルからラストにかけて感じるボディ感をいい、「溶剤臭」とは、アルコール飲料としては不適切なシンナーを彷彿とさせる溶剤の臭いをいう。官能評価は7名の訓練されたパネラーにより実施し、パネラー7名の平均スコアを算出した。
<味の厚み・ふくらみ>
味の厚み・ふくらみの官能評価は5段階評価(5点満点)で実施し、市販品のノンアルコールスパークリング白ワイン様飲料の中で特に香味評価が高かったDuc de Montagne Classic(輸入者:湘南貿易社、アルコール濃度0.0%、脱アルコールワインを原料として使用、全窒素含有量241mg/L)を最高点の5点とし、表1に記載された成分を一切添加しないサンプル飲料を最低点の1点として評価した。具体的には下記の基準で評価した。
5点:味の厚み・ふくらみがしっかりある
4点:味の厚み・ふくらみがある程度感じられる
3点:味の厚み・ふくらみが少し感じられる
2点:味の厚み・ふくらみが弱いが感じられる
1点:味の厚み・ふくらみがほとんど感じられない
<溶剤臭抑制>
味の厚み・ふくらみの官能評価は5段階評価(5点満点)で実施し、表1に記載された成分を一切添加しないサンプル飲料を最高点の5点とし、表1に記載されたC7〜C12の中鎖脂肪酸エステルを各2mg/kgずつ添加した飲料サンプルを最低点の1点として評価した。具体的には下記の基準で評価した。
5点:溶剤臭が無い
4点:溶剤臭が殆ど気にならない
3点:溶剤臭が許容できる
2点:溶剤臭が少し強い
1点:溶剤臭強すぎる
<総合評価>
「味の厚み・ふくらみ」および「溶剤臭抑制」のいずれもが3点以上の場合に〇とし、いずれかが3点未満である場合に×とした。総合評価が〇のサンプル飲料を溶剤臭を抑制しつつ、味の厚み・ふくらみを実現できたと評価した。
(4)結果
サンプル飲料の分析結果と官能評価結果は表1に示す通りであった。
Figure 2021158966
表1の結果より、SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上であり、かつ、SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含むスパークリング白ワイン様ノンアルコール飲料において、溶剤臭を抑制しつつ、味の厚み・ふくらみを実現できることが確認された。
例2:赤ワイン様ノンアルコール飲料
(1)サンプル飲料の調製
下記配合(表2)により赤ワイン様ノンアルコール飲料(サンプル飲料11〜19)を調製した。各サンプル飲料のpHが3.9であり、全窒素含有量が178mg/Lであることを確認した。また各サンプル飲料のアルコール濃度は0.01v/v%未満であることを確認した。
Figure 2021158966
(2)成分分析
例1(2)の記載に従って成分分析を実施した。
(3)官能評価
例1(3)の記載に従って官能評価を実施した。ただし、味の厚み・ふくらみの官能評価については、市販品のノンアルコール赤ワイン様飲料の中で特に香味評価が高かったVINTENSEメルロー(製造:ベルギー・スタッセン社、アルコール0.0%未満、脱アルコールワインを原料として使用、全窒素含有量241mg/L)を最高点の5点とした。
(4)結果
サンプル飲料の分析結果と官能評価結果は表3に示す通りであった。
Figure 2021158966
表3の結果より、SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上であり、かつ、SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含む赤ワイン様ノンアルコール飲料において、溶剤臭を抑制しつつ、味の厚み・ふくらみを実現できることが確認された。
例3:スパークリング日本酒様ノンアルコール飲料
(1)サンプル飲料の調製
下記配合(表4)によりスパークリング日本酒様ノンアルコール飲料(サンプル飲料20〜23)を調製した。各サンプル飲料のpHが3.6であり、アルコール濃度が0.005v/v%未満、全窒素含有量が31mg/L(定量限界値)未満であることを確認した。
Figure 2021158966
(2)成分分析
例1(2)の記載に従って成分分析を実施した。
(3)官能評価
例1(3)の記載に従って官能評価を実施した。ただし、味の厚み・ふくらみの官能評価については、市販品の中で特に香味評価が高かった月桂冠スペシャルフリー(月桂冠社、アミノ酸を原料として使用、全窒素含有量1799mg/L)を最高点の5点とした。
(4)結果
サンプル飲料の分析結果と官能評価結果は表5に示す通りであった。
Figure 2021158966
表5の結果より、SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上であり、かつ、SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含むスパークリング日本酒様ノンアルコール飲料において、溶剤臭を抑制しつつ、味の厚み・ふくらみを実現できることが確認された。

Claims (10)

  1. 酒様ノンアルコール飲料であって、(a)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラム面積(以下、「TIC面積」とする)に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上であり、かつ、(b)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含む、前記飲料。
  2. 酒様ノンアルコール飲料が、醸造酒様ノンアルコール飲料である、請求項1に記載の飲料。
  3. SPME−GC/MS分析が下記条件:
    <SPME−GC/MS分析条件>
    SPME
    SPME(固相マイクロ抽出)ファイバー:50/30μm DVB/CAR/PDMS,2cm(シグマアルドリッチ社製)
    抽出温度・時間:30℃、5分
    カラム:ZB−WAX 60m×0.25mm×0.25μm(島津ジーエルシー社)
    GC/MS
    GC/MS機器:島津製作所QP2020
    インジェクション:スプリットレスモード
    注入口温度:240℃
    キャリアガス:ヘリウム
    線速度:30.0cm/秒
    オーブン温度:40℃、5分−(2℃/分)−250℃、10分
    イオン化方式:電子イオン化(EI)法
    測定モード:スキャン(m/z45−550)
    またはそれと同等の条件に従うものである、請求項1または2に記載の飲料。
  4. イソアミルアルコールを2ppm以上1000ppm未満含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
  5. 窒素含有量が200mg/L未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料。
  6. 脱アルコール果汁発酵物および脱アルコール穀物発酵物を原材料として使用しないか、あるいはこれらを飲料全体に対して5質量%未満で含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料。
  7. 甘味料を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲料。
  8. pHが3.0以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の飲料。
  9. 酒様ノンアルコール飲料の製造方法であって、(a)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラム面積(以下、「TIC面積」とする)に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上となるようにイソアミルアルコール濃度および酢酸イソアミル濃度を調整し、かつ、(b)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含むようにイソアミルアルコール濃度および中鎖脂肪酸エステル濃度を調整する工程を含む、前記製造方法。
  10. 酒様ノンアルコール飲料の味の厚みおよびふくらみを増加させる方法であって、酒様ノンアルコール飲料において、(a)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラム面積(以下、「TIC面積」とする)に対する酢酸イソアミルの面積比が1.5以上となるようにイソアミルアルコール濃度および酢酸イソアミル濃度を調整し、かつ、(b)SPME−GC/MS分析によるイソアミルアルコールのTIC面積に対する面積比が1以上となる中鎖脂肪酸エステルを3種類以上含むようにイソアミルアルコール濃度および中鎖脂肪酸エステル濃度を調整する工程を含む、前記方法。

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