JP2021155327A - コンポジット推進薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、製造性、物理的特性が良好なコンポジット推進薬を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、末端水酸基ポリブタジエンを主成分とするバインダ及び過塩素酸アンモニウムを含む酸化剤を含有するコンポジット推進薬において、前記バインダは、鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコールと、結合剤としてトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド及びN−メチルジエタノールアミンと、硬化剤としてイソフォロンジイソシアネートと、を含有し、前記バインダに占める前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの割合が10〜20質量%であることを特徴とする、コンポジット推進薬を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、良好な物理的特性と製造性を有するコンポジット推進薬に関する。
コンポジット推進薬は、酸化剤と燃料兼結合剤であるバインダとを主成分とし、通常は、燃焼性能を向上させるため助燃剤として金属粉が添加される。酸化剤としては、過塩素酸アンモニウム、ニトラミン、硝酸アンモニウムなどが使用され、バインダとしてはポリブタジエン、ポリウレタンなどが使用され、助燃剤としては、アルミニウム粉などが使用されている。このコンポジット推進薬はその優れた燃焼特性及び物理的特性により、高性能ロケットモータ用推進薬として広く使用されている。
しかしながら、従来のコンポジット推進薬のバインダに用いる末端水酸基ポリブタジエン(R−45M)は高性能であるものの、特殊品で入手性が悪く、高価なため、汎用品のポリブタジエン(R−45HT)を使用して、硬化剤や結合剤の変更、鎖延長剤の添加によって物理的特性や製造性を良くする種々の検討がなされてきた。
例えば特許文献1では、バインダ中に、結合剤として汎用品のR−45HTを用いたコンポジット推進薬において、アジリジンポリエステルとアミンポリエステルを併用し、鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTG」ともいう。)を使用したコンポジット推進薬が開示されている。そして、特許文献1の実施例10と比較例4を対比すると、PTGを添加することにより、最大応力時歪(最大荷重時伸率)が25%から40%に向上することが認められる。一方、最大応力(最大抗張力)は、10.5kg・f/cmから9.3kg・f/cmと減少している。
また、特許文献2には、バインダ中に、結合剤としてR−45Mを用いたコンポジット推進薬において、アジリジンポリエステルとアミンポリエステルを使用すると、伸びが小さくなるという課題に対して、バインダ中の結合剤として、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(以下、「MAPO」ともいう。)と、N−メチルジエタノールアミン(以下、「MDA」ともいう。)を使用したコンポジット推進薬が開示されている。そして、特許文献2の実施例7と比較例7を対比すると、アジリジンポリエステルとアミンポリエステルの混合物を、MAPOとMDAの混合物に代えることにより、最大応力時歪(最大荷重時伸率)が28%から40%に向上することが認められる。一方、最大応力(最大抗張力)は、10.5kg・f/cmから10.9kg・f/cmとわずかな向上しか認められない。
特開昭59−73489号公報 特開昭62−202890号公報
バインダとしてR−45HT等の末端水酸基ポリブタジエンを用いた特許文献1、2のコンポジット推進薬では、物理的特性として最大荷重時伸率は改善されるものの、最大抗張力は改善されなかった。最大抗張力が低い場合には、燃焼に伴う高圧、使用環境温度及び加速度下で過大な変形を起こし、安定的に燃焼しないという問題が生じる。また、最大荷重時伸率を高くすると、同様の条件下において、欠けやクラックの発生を抑制するため、一定の燃焼速度が得られ、安定的に燃焼することができる。そのため、R−45HT等の末端水酸基ポリブタジエンを用いたコンポジット推進薬において、最大荷重時伸率と最大抗張力のいずれの物理的特性も向上することが求められていた。また、製造性に関しては、注型しやすさを向上するために、流動性を向上することが求められる。
そこで、本発明の課題は、最大荷重時伸率と最大抗張力のいずれの物理的特性も向上し、さらに、高い流動性を有するコンポジット推進薬を提供することにある。
上記課題について鋭意検討した結果、発明者は、末端水酸基ポリブタジエンを主成分とするバインダ及び過塩素酸アンモニウムからなる酸化剤を含有するコンポジット推進薬において、バインダ中に鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)と、結合剤としてトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)と、N−メチルジエタノールアミン(MDA)、硬化剤としてイソフォロンジイソシアネート(IPDI)とを含有し、更には、バインダに占めるポリテトラメチレンエーテルグリコールの割合を特定の割合とすることにより、最大荷重時伸率と最大抗張力のいずれの物理的特性も良好であり、かつ、高い流動性を有するコンポジット推進薬が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のコンポジット推進薬である。
[1]
末端水酸基ポリブタジエンを主成分とするバインダ及び過塩素酸アンモニウムを含む酸化剤を含有するコンポジット推進薬において、
前記バインダは、鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコールと、結合剤としてトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド及びN−メチルジエタノールアミンと、硬化剤としてイソフォロンジイソシアネートと、を含有し、
前記バインダに占める前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの割合が10〜20質量%であることを特徴とする、コンポジット推進薬。
[2]
前記バインダに占める前記トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシドの割合が0.3〜0.8質量%であり、前記N−メチルジエタノールアミンの割合が0.1〜0.5質量%である、[1]に記載のコンポジット推進薬。
[3]
前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が900〜2100である、[1]又は[2]に記載のコンポジット推進薬。
[4]
前記コンポジット推進薬全量に占める前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が1〜3質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のコンポジット推進薬。
本発明のコンポジット推進薬によれば、バインダ中に鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコールと、結合剤としてトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)と、N−メチルジエタノールアミン(MDA)、硬化剤としてイソフォロンジイソシアネート(IPDI)とを使用、バインダに占めるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)の割合を10〜20質量%とすることにより、最大荷重時伸率と最大抗張力のいずれの物理的特性も向上し、さらに、高い流動性を有するコンポジット推進薬を提供することができる。
さらに、特定の数平均分子量のポリテトラメチレンエーテルグリコールと、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)と、N−メチルジエタノールアミン(MDA)とを特定量用いることで優れた物理的特性と製造性を示すコンポジット推進薬を得ることができる。
本発明のコンポジット推進薬は、例えば、高性能ロケットモータ用推進薬等に使用されるものであって、酸化剤として過塩素酸アンモニウムと、末端水酸基ポリブタジエンと、結合剤と、鎖延長剤と、硬化剤を基本組成とするバインダと、助燃剤としてアルミニウム粉末を含有し、鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコールと、結合剤として、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)とN−メチルジエタノールアミン(MDA)とを併用している。なお、用途に応じて、その他の添加剤をさらに追加することができる。
本発明のコンポジット推進薬は、結合剤として、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)とN−メチルジエタノールアミン(MDA)を使用し、かつ、鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコールを使用することにより、物理的特性に関して、最大荷重時伸率だけでなく、最大抗張力も格段に向上するという効果が認められる。
また、本発明のコンポジット推進薬は、製造性に関して、優れた流動性を有する。流動性が優れることにより、容易に注型することが可能となる。
また、本発明のコンポジット推進薬は、バインダに硬化剤を添加した後に、粘度が高くなるまでの時間(ポットライフ)を所定の時間に調整することができる。ポットライフは、特に制限されないが、好ましくは500分以上700分未満である。ポットライフを500分以上とすることにより、注型の途中で硬化してしまうこと防止し、安定した生産が可能となる。一方、ポットライフを700分未満とすることにより、注型後すみやかに硬化するため、生産性が優れるという効果がある。
本発明のコンポジット推進薬の最大抗張力は、特に制限されないが、例えば、110N/cm以上である。好ましくは120N/cm以上であり、より好ましくは130N/cm以上である。上限値は、例えば、200N/cm以下である。
また、本発明のコンポジット推進薬の最大荷重時伸率は、特に制限されないが、例えば、30%以上である。好ましくは35%以上であり、より好ましくは40%以上であり、更に好ましくは45%以上である。上限値は、例えば、60%以下である。
なお、最大抗張力及び最大荷重時伸率の測定方法は、実施例に記載するプラスチック引張試験方法「ASTM D638−84」に従い、測定する。
各種のロケットモータは、大きさや目的が異なるため、必要な機械的特性も異なり、それぞれの機械的特性の要求に合わせた推進薬を製造する必要がある。最大抗張力及び最大荷重時伸率の両方を大きく向上することができれば、選択できる組成の幅が広がり、高性能なロケットモータにも対応することができる。本発明のコンポジット推進薬は、最大抗張力及び最大荷重時伸率の両方を向上することができるため、硬化剤等の組成を多少変更することにより多種多様なロケットモータに適用することができる。
<酸化剤>
コンポジット推進薬を製造する場合、酸化剤としては、過塩素酸アンモニウム(AP)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、シクロトリメチレンテトラニトラミン(RDX)及び硝酸アンモニウム等が用いられる。本発明の酸化剤は過塩素酸アンモニウムであるが、必ずしも単独である必要はなく、上述した酸化剤を複数含んでいてもよい。酸化剤は、コンポジット推進薬全量に対して少なくとも50重量%を含むことが必要であり、60重量%以上含むことが好ましい。一方、上限値は、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。
更に、酸化剤は、コンポジット推進薬の粘度を調整し注型工程を容易にする、燃焼速度を調整する、結合剤と化学的に結合して物理的特性を向上する観点から、複数の異なる粒子径を用いてもよい。酸化剤の粒子としては、平均粒径1〜30μmの小粒子、平均粒径150〜300μmの中粒子、平均粒径350〜600μmの大粒子をそれぞれ大中、大小もしくは中小の2種類、又は大中小の3種類を混合して用いることが好ましい。コンポジット推進薬の粘度を調整して注型工程を容易にする、燃焼速度を調整する、結合剤と化学的に結合して物理的特性を向上する観点から、酸化剤100質量%に対して小大2種類を10〜30質量%ずつ、中1種類を40〜80質量%混合することが特に好ましい。なお、平均粒径は、「マイクロトラック粒度分布計」(日機装製)を用いて測定する。
<バインダ>
本発明のコンポジット推進薬は、燃焼結合剤と、結合剤と、鎖延長剤と、硬化剤を基本組成とするバインダを備える。バインダは、酸化剤、助燃剤、その他の成分を結合するための成分である。コンポジット推進薬全量に対するバインダの含有量は、通常、7〜25質量%である。下限値として、好ましくは10質量%以上である。上限値として、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは16質量%以下である。以下に、バインダ中の各成分について説明する。
(燃料結合剤)
本発明のコンポジット推進薬は、バインダ中の燃料結合剤として、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を含有する。また、その他の燃料結合剤として、アジドメチル基を有する末端水酸基ポリエーテル、例えばグリシジルアジドポリマー(GAP)、3,3−ビスアジドメチルメチルオキセタン/テトラヒドロフラン共重合体(BAMO/THF共重合体)等を含有してもよい。
本実施形態に係る汎用品である末端水酸基ポリブタジエンは、例えば分子の末端に水酸基を平均2〜2.8個有する数平均分子量2000〜4000の末端水酸基ポリブタジエンが挙げられる。なお、数平均分子量(Mn)は、VPO法により測定した。
末端水酸基ポリブタジエンとしては、主として推進薬用としてアニオン重合等の特殊な方法を用いて製造されたものが使用されてきたが、推進薬用としての特殊品であるために、生産量も少なく、将来入手困難となることが予想される。一方、汎用されている末端水酸基ポリブタジエン(R−45HT)は、タイヤ等の一般製品用として、ラジカル重合で製造されており、入手性に問題がなく、かつ安価であるが、推進薬用と比較すると、推進薬の物理的特性が著しく劣り、製造性も実用に供し得ないものであった。
本発明の末端水酸基ポリブタジエンは、推進薬用の特殊品とは異なる、汎用品の末端水酸基ポリブタジエン(R−45HT)を用いることが好ましい。なお、R−45HTは、ラジカル重合により得られた末端水酸基ポリブタジエンである。R−45HTを使用することにより、コンポジット推進薬を安価で製造することができるだけでなく、R−45Mより最大抗張力が向上するという効果がある。また、R−45HTを使用することにより、ポットライフが長くなりすぎず、生産性に優れるという効果がある。
バインダ全量に対する末端水酸基ポリブタジエンの含有量は、通常、50〜90質量%、好ましくは60〜85質量%である。
また、コンポジット推進薬全量に対する末端水酸基ポリブタジエンの含有量は、通常、7〜13質量%、好ましくは8〜12質量%である。
(結合剤)
結合剤は、酸化剤粒子との接着性を付与する目的で配合する。本発明のコンポジット推進薬は、バインダ中の結合剤として、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)、N−メチルジエタノールアミン(MDA)を含有する。また、その他の結合剤として、例えば、ビスイソフタロイル1−(2−メチル)アジリジン(HX−752)等のアジリジン系、N−エチルジエタノールアミン(EDA)、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルの反応生成物(TEPAN又はHX−879)、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルとグリシドールとの反応生成物(TEPANOL又はHX−878)等のアミン系、ジヒドロキシエチル−5,5−ジメチルヒダントイン(DHE)等のヒダントイン系及びシランカップリング剤(A−1100)等を含有してもよい。
バインダ全量に対するトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)の含有量は、好ましくは0.3〜0.8質量%であり、より好ましくは0.5〜0.7質量%である。バインダ全量に対するトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)の含有量が0.3質量%以上の場合では、コンポジット推進薬の物理的特性において抗張力が向上し、0.8質量%以下の場合では、コンポジット推進薬の物理的特性において伸び率が向上する。
バインダ全量に対するN−メチルジエタノールアミンの含有量は、好ましくは0.1〜0.5質量%であり、より好ましくは0.2〜0.4質量%である。バインダ全量に対するN−メチルジエタノールアミンの含有量が0.1質量%以上では、コンポジット推進薬の物理的特性において伸び率が向上し、0.5質量%以下の場合には、コンポジット推進薬の物理的特性において抗張力が向上する。
また、コンポジット推進薬全量に対するトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシドの含有量は、0.04〜0.12質量%であり、好ましくは0.07〜0.10質量%である。
コンポジット推進薬全量に対するN−メチルジエタノールアミンの含有量は、0.01〜0.07質量%であり、好ましくは0.02〜0.06質量%である。
(鎖延長剤)
鎖延長剤は、末端水酸基ポリブタジエンの架橋点間平均分子量を増大する目的で配合される。本発明のコンポジット推進薬は、バインダ中の鎖延長剤として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)を含有する。また、その他の鎖延長剤として、末端に水酸基を有するジオールからなる化合物、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、両末端水酸基水素化ポリブタジエン、アジピン酸系ポリエステル樹脂などを含有してもよい。
バインダ全量に対するポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)の含有量は、好ましくは10〜20質量%であり、より好ましくは13〜17質量%である。バインダ全量に対するポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)の含有量が10質量%未満の場合、鎖延長剤としての効果が低く、推進薬の物理的特性と製造性に寄与しないので好ましくなく、20質量%を超える場合、コンポジット推進薬の物理的特性、特に抗張力が低下するので好ましくない。
また、コンポジット推進薬全量に対するポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)の含有量は、1〜3質量%であり、好ましくは1.8〜2.4質量%である。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、900〜2100であることが好ましく、数平均分子量が1400〜1800であることが更に好ましい。ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)の数平均分子量は900以上であればイソシアネートとの反応速度が遅くなるため、製造性が向上するので好ましく、2100以下でればイソシアネートの反応速度が速くなるため所定の硬化時間では硬化が終了し、後硬化による物理的特性の変化の発生を抑制するので好ましい。なお、数平均分子量(Mn)は、JIS K 1557−1に準じて測定した。
(硬化剤)
本発明のコンポジット推進薬は、硬化剤としてイソフォロンジイソシアネート(IPDI)を含有する。また、その他の硬化剤として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジシクロヘキシルメタン―4,4―ジイソシアネ−ト(水添MDI)等のジイソシアネート化合物などを含有してもよい。
硬化剤の含有量は、イソシアネート基/水酸基の当量比をNCO/OHで表せば、NCO/OH=0.7〜1.1の範囲であり、好ましくは0.8〜1.0の範囲である。
<助燃剤>
助燃剤としては、アルミニウム、ボロン、マグネシウム等の金属粉体が挙げられる。その中でも、本発明においてはアルミニウムを使用するのが好ましい。
コンポジット推進薬全量に対する助燃剤の含有量は、例えば、5〜40質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。
<その他添加剤>
その他、コンポジット推進薬に求められる燃焼特性、物理的特性、製造性に応じ、添加剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルセバケート(DOS)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、イソデシルペラゴネート等のエステル類の他、1,2,4−ブタントリオールトリナイトレート(BTTN)、トリメチロールエタントリナイトレート(TMETN)、トリエチレングリコールジナイトレート(TEGDN)等のニトロ可塑剤等が使用される。その中でも、本発明においてはジオクチルアジペート(DOA)を使用するのが好ましい。
硬化触媒としては、例えばジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジ(2−エチルヘキソエート)等の有機スズ化合物やトリフェニルビスマス等の有機ビスマス化合物及びトリエチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェニル−β−ナフチルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとの反応生成物(ノンフレックスBA、精工化学社製)等が挙げられる。
燃焼調整剤としては、酸化鉄、フェロセン誘導体、カルボラン誘導体、鉛塩、カーボン等が挙げられる。
本発明のコンポジット推進薬を製造する場合は、例えば各原料及び必要に応じて各種添加剤を所定の配合バランスで混和機に入れて、所定の温度下で均一に混練してスラリー状態とした後、所定の型に注入して所定の温度および時間で硬化させることでコンポジット推進薬を製造することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明のコンポジット推進薬について具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。表1,2における略号は次の意味を表す。
R−45HT:末端水酸基ポリブタジエン
PTG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール
MAPO:トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド
MDA:N−メチルジエタノールアミン
N−8:N−メチルジエタノールアミンとセバシン酸との反応生成物
HX−878:テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルの反応生成物
BIDE:2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール
IPDI:イソフォロンジイソシアネート
DOA:ジオクチルアジペート
<実施例1〜7>
実施例1〜7のコンポジット推進薬のそれぞれの成分の配合組成を後述する表1に示す。また、そのコンポジット推進薬を用いて以下に示す方法で製造性及び物理的特性を測定した。その結果を表1に併記する。
Figure 2021155327
[製造性]
<流動性>
所定の注型用鋳型の底板に外径40mmの円筒状の中子を取り付け、注型用鋳型内面に外径84mm、内径80mm、長さ140mmのABS樹脂を施工し、そこに各実施例及び比較例のコンポジット推進薬のスラリーを注型し、鋳型に注型する場合の注型しやすさに関し、下記の評価基準にて評価を行った。
◎:推進薬スラリーの流動性が高く、極めて容易に注型することができた。
〇:推進薬スラリーの流動性があり、容易に注型することができた。
△:推進薬スラリーの流動性が乏しく、注型に時間を要した。
<ポットライフ>
RE80型粘度計を用いて、60℃、スピンドルの回転数5rpmの条件で規定時間ごとに粘度を測定し、硬化剤を投入してから粘度が60℃で10kPに達するまでの時間をポットライフとして求めた。ポットライフは、打ち上げ能力の異なる各種ロケットモータの製造において、どのサイズのロケットモータの注型性も担保することができるものとして、500分以上700分未満であることが好ましい。ポットライフが500分未満では、ポットライフが短く注型が困難となり、700分以上であると、ポットライフが長く、所定の硬化時間では硬化が終了しなく、後硬化により物理的特性が変化するので好ましくない。
[物理的特性]
前記コンポジット推進薬から、プラスチック引張試験方法「ASTM D638−84」に従い引張試験片を作製し、引張速度50mm/min、試験温度20℃にて引張試験を行い、最大抗張力(N/cm)、最大荷重時伸率(%)を求めた。
なお、引張試験片は、全長が125mmで両端部は幅25mmであり、両端部間に長さ50mm、幅10mmの中央直線部がある厚さ10mmの試験片である。
〔実施例1〕
末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)(末端水酸基の数:平均2.4個、平均分子量:2700)9.55質量部(バインダ中の含有量として68.2質量%。以下同様。)、鎖延長剤であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG、数平均分子量:1500)1.90質量部(13.6質量%)、可塑剤であるジオクチルアジペート(DOA)1.39質量部(9.9質量%)を添加して混合した。それに、助燃剤であるアルミニウム粉末を所定量添加して混合し、さらに結合剤であるトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)0.07質量部(0.5質量%)及びN−メチルジエタノールアミン(MDA)0.03質量部(0.2質量%)を添加して混合した。
次に、硬化剤であるイソフォロンジイソシアネート(IPDI)1.06質量部(7.6質量%)を添加し真空混和を行った後、酸化剤である過塩素酸アンモニウムを所定量仕込んで60℃に加温し、真空混和を行ってスラリー状の混和物を得た。それから、この混和物を減圧下で所定の容器に注型し、脱泡後60℃で7日間硬化してコンポジット推進薬を得た。
〔実施例2〜3〕
実施例1において、鎖延長剤であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)の数平均分子量を1000とした場合(実施例2)と2000とした場合(実施例3)について、実施例1と同様の方法でコンポジット推進薬を製造した。
〔実施例4〜7〕
実施例1と同様の方法でバインダ組成を変化させ、鎖延長剤であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)及び結合剤であるトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)、N−メチルジエタノールアミン(MDA)の重量割合を変化させてコンポジット推進薬を製造し、実施例1と同様に物理的特性及び製造性を測定した。
<比較例1〜5>
前記実施例1〜7と同様にして、表2に示した推進薬配合組成でコンポジット推進薬を製造した。また、そのコンポジット推進薬を用いて製造性及び物理的特性を測定し、その結果を表2に示した。
Figure 2021155327
表1の試験結果より、次のようなことが分かった。実施例1〜7のコンポジット推進薬は、最大抗張力及び最大荷重時伸率のいずれの物理的特性も高い値であり、物理的特性に優れることが分かった。さらに、製造性においては、高い流動性を維持しつつ、全てが500分以上700分未満を満足しており、製造性においても問題ないことが確認できた。
次に、実施例1と表2に示す比較例2を対比すると、R−45HT、MAPO、MDAを含むコンポジット推進薬において、PTGを添加すると、最大荷重時伸率だけでなく、最大抗張力も増加した。特許文献1に記載の発明では、MAPO、MDAを含まないコンポジット推進薬であったため、PTGを添加しても最大抗張力が増加しなかったが、本発明では、MAPO、MDAに加えて、さらにPTGを添加することにより、最大荷重時伸率と最大抗張力の両方を増加することができた。
また、実施例2、比較例2、6、7を対比すると、MAPO、MDAを含有するコンポジット推進薬においては、PTGの含有量が10〜20質量%の場合に、最大抗張力及び最大荷重時伸率が極めて高い結果となった。一方で、PTGの含有量が20質量%を超えると(比較例7)、最大抗張力及び最大荷重時伸率が低下する傾向が認められた。すなわち、MAPO、MDAを含有するコンポジット推進薬においては、PTGの含有量が10〜20質量%であることに臨界的意義が認められた。
以上の結果から、良好な物理的特性と製造性を有するコンポジット推進薬を得るためには、バインダ中に鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)と、結合剤としてトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)と、N−メチルジエタノールアミン(MDA)を併用することが必須であり、またバインダに占める割合が、鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコールが10〜20質量%とする必要があることが明らかとなった。また、バインダに対するトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシドの含有量は0.3〜0.8質量%であることが好ましく、N−メチルジエタノールアミンの含有量は0.1〜0.5質量%であることが好ましく、且つポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)の数平均分子量は900〜2100であることが好ましいことが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 分子の末端に水酸基を平均2〜2.8個有し、数平均分子量が2000〜4000である末端水酸基ポリブタジエンを主成分とするバインダ及び過塩素酸アンモニウムを含む酸化剤を含有するコンポジット推進薬において、
    前記バインダは、鎖延長剤としてポリテトラメチレンエーテルグリコールと、結合剤としてトリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド及びN−メチルジエタノールアミンと、硬化剤としてイソフォロンジイソシアネートと、を含有し、
    前記バインダに占める前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの割合が10〜20質量%であることを特徴とする、コンポジット推進薬。
  2. 前記バインダに占める前記トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシドの割合が0.3〜0.8質量%であり、前記N−メチルジエタノールアミンの割合が0.1〜0.5質量%である、請求項1に記載のコンポジット推進薬。
  3. 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が900〜2100である、請求項1又は2に記載のコンポジット推進薬。
  4. 前記コンポジット推進薬全量に占める前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量が1〜3質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンポジット推進薬。

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