JP2016064941A - コンポジット推進薬用スラリー及びコンポジット推進薬 - Google Patents

コンポジット推進薬用スラリー及びコンポジット推進薬 Download PDF

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Abstract

【課題】長期保存可能なコンポジット推進薬用スラリー及び製造安定性に優れたコンポジット推進薬を提供する。【解決手段】酸化剤と、金属粉末と、ポリオールバインダーと、ブロック型イソシアネート硬化剤とを含有するコンポジット推進薬用スラリー。前記酸化剤と前記金属粉末と前記ポリオールバインダーと前記ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、前記酸化剤の含有量が50〜88重量部であり、前記金属粉末の含有量が2〜30重量部であり、前記ポリオールバインダーと前記ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計が10〜35重量部であるコンポジット推進薬用スラリー。前記金属粉末がマグナリウムとアルミニウムとのうちの少なくとも一方を含み、前記酸化剤が過塩素酸アンモニウムであるコンポジット推進薬用スラリー。【選択図】なし

Description

本発明は、長期保存可能なコンポジット推進薬用スラリー及び製造安定性に優れたコンポジット推進薬に関する。
固体推進薬は、液体推進薬に比べ長期保存が可能であり、取り扱いが容易であること、初期より大きな推力が得られることなどから人工衛星打ち上げ用ロケット、あるいは、軍事用ロケットなどに広く利用されている。
固体推進薬は、酸化剤と燃料成分であるバインダーを主成分とするコンポジット系推進薬とニトログリセリン及びニトロセルロースを主成分とするダブルベース系固体推進薬とに大別される。
これらのうち、コンポジット系推進薬に関しては、ポリオールとイソシアネート硬化剤、酸化剤、金属粒子を混練してスラリー状態とした後、型に注型して熱硬化させ製造する手法が一般的である。また、特許文献1では、製造したコンポジット系推進薬が均一に燃焼するよう注型方法等が検討されている。
一方、ポリオールとしては、分子の末端に水酸基を平均2.0〜2.5個有する平均分子量2000〜4000の末端水酸基化ポリブタジエン(HTPB)が、イソシアネート硬化剤としては、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)が一般的に使用されている(特許文献2を参照。)。
特開2010−216446号公報 特開2008−169073号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法を用いても、ポリオールとイソシアネート硬化剤とは混合直後から徐々に硬化反応が進行し、スラリーの粘度は上昇する。そのため、スラリー粘度が大きく上昇する前に注型工程を終了する必要があり、製造安定性に乏しい問題点を有していた。また、上記のような問題から、スラリーを長期保存することは不可能であった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、長期保存可能なコンポジット推進薬用スラリー及び製造安定性に優れたコンポジット推進薬を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るコンポジット推進薬用スラリーは、酸化剤と、金属粉末と、ポリオールバインダーと、ブロック型イソシアネート硬化剤とを含有する。
この構成によれば、上記ブロック型イソシアネート硬化剤を用いることにより、スラリーの硬化を温度により制御することが可能となる。これにより、注型工程でのスラリーの粘度上昇を防ぎつつ、硬化工程でスラリーを良好に硬化させることができる。さらに、温度により硬化を制御することができることから、未硬化スラリーを長期にわたって保存することが可能となる。
上記酸化剤と上記金属粉末と上記ポリオールバインダーと上記ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、
上記酸化剤の含有量が50〜88重量部であり、
上記金属粉末の含有量が2〜30重量部であり、
上記ポリオールバインダーと上記ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計が10〜35重量部であってもよい。
この構成では、良好な物理特性を有するコンポジット推進薬用スラリーが得られる。
上記金属粉末は、マグナリウムとアルミニウムとのうちの少なくとも一方を含んでいてもよく、上記酸化剤は、過塩素酸アンモニウムであってもよい。
この構成では、燃焼時のエネルギー効率の良好なコンポジット推進薬用スラリーが得られる。
上記ポリオールバインダーの数平均分子量が1000〜4000であり、1分子中の平均水酸基数が1.9〜2.6であってもよい。
この構成では、上記コンポジット推進薬用スラリーを良好に硬化させることができる。
上記ポリオールバインダーは、末端水酸基化ポリブタジエンであってもよい。
この構成では、上記コンポジット推進薬用スラリーを特に良好に硬化させることができる。
また、本発明の一形態に係るコンポジット推進薬は、上記コンポジット推進薬用スラリーを硬化させることで得られる。
これにより、上記コンポジット推進薬は製造安定性に優れたものとなる。
長期保存可能なコンポジット推進薬用スラリー及び製造安定性に優れるコンポジット推進薬を提供することができる。
[コンポジット推進薬用スラリー]
本発明の一実施形態に係るコンポジット推進薬用スラリーは、主として、酸化剤と、助燃剤である金属粉末と、燃料成分であるポリオールバインダーと、硬化剤であるブロック型イソシアネートとを含有する。
以下、本実施形態に係るコンポジット推進薬用スラリーの各構成について詳細に説明する。
[酸化剤]
本実施形態に係るコンポジット推進薬用スラリーでは、酸化剤として、公知のものを用いることができる。酸化剤としては、例えば、硝酸アンモニウム、硝酸カリウムなどの硝酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウムなどの過塩素酸塩類などがあげられる。特に、過塩素酸アンモニウムは、コンポジット推進薬に一般的に使用されており、酸素の供給性能にも優れるため好ましい。
酸化剤の含有量は、酸化剤と、金属粉末と、ポリオールバインダーと、ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、50〜88重量部であることが好ましく、60〜87重量部であることが更に好ましい。
酸化剤の含有量を50重量部以上とすることにより、コンポジット推進薬の燃焼時に酸素の供給が良好に行われるようになる。また、酸化剤の含有量を60重量部以上とすることにより、コンポジット推進薬の燃焼時に酸素の供給が更に良好に行われるようになる。
コンポジット推進薬では、燃焼剤であるバインダーが不足すると、良好な燃焼が得られなくなる。その点、酸化剤の含有量を、88重量部以下、更には87重量部以下に留めることにより、コンポジット推進薬におけるバインダーの不足を防止することができる。
酸化剤は、スラリーの粘度を調整し注型工程を容易にする、嵩密度を大きくする観点から、複数の異なる粒子径を有する粒子を用いてもよい。酸化剤の粒子としては、メディアン径1〜50μmの小粒子、メディアン径150〜250μmの中粒子、メディアン径350〜450μmの大粒子をそれぞれ大小もしくは中小2種類、又は3種類を混合して用いることが好ましく、嵩密度を大きくする観点から3種類を混合することが更に好ましい。
[金属粉末]
本実施形態に係るコンポジット推進薬用スラリーでは、助燃剤として、燃焼時のエネルギー効率が良好な金属粉末が用いられる。金属粉末は、特定の種類に限定されない。しかし、金属粉末は、取り扱いの容易さの観点から、マグナリウムとアルミニウムとのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
マグナリウムは、マグネシウムとアルミニウムとの合金であるが、マグネシウムとアルミニウムとの組成割合は任意である。しかし、マグナリウムは、マグネシウム成分による着火性と、アルミニウム成分による燃焼性とが良好に発現されるような組成割合のマグネシウム及びアルミニウムを含むことが好ましい。
また、マグナリウムとアルミニウムとの混合物を用いる場合にも、この混合物が、マグネシウム成分による着火性と、アルミニウム成分による燃焼性とが良好に発現されるような組成割合のマグナリウム及びアルミニウムを含むことが好ましい。
更に、マグナリウムは、過塩素酸アンモニウムの燃焼によって発生する塩化水素の量を低減させる機能を有する。そのため、低公害化の観点から、コンポジット推進薬の金属粉末にはマグナリウムが含まれることが好ましい。
酸化剤と、金属粉末と、ポリオールバインダーと、ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、金属粉末の含有量は2〜30重量部であることが好ましく、2〜25重量部であることが更に好ましい。
金属粉末の含有量を2重量部以上とすることにより、コンポジット推進薬の燃焼速度の温度依存性を低減させることができる。また、金属粉末の含有量を30重量部以下とすることにより、金属粉末とバインダーとの混合性が良好になる。特に、金属粉末の含有量を25重量部以下とすることにより、金属粉末とバインダーとの混合性が更に良好になる。
金属粉末の平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、1〜50μmであることが更に好ましい。
金属粉末の平均粒子径を100μm以下とすることにより、金属粉末の燃焼効率が良好になる。また、金属粉末の平均粒子径を50μm以下とすることにより、金属粉末の燃焼効率が更に良好になる。更に、金属粉末の平均粒子径を1μm以上とすることにより、コンポジット推進薬の製造時のハンドリング性が向上する。
[ブロック型イソシアネート硬化剤]
本実施形態に係るコンポジット推進薬用スラリーには、硬化剤として、ブロック型イソシアネート硬化剤が用いられる。ブロック型イソシアネートとは、イソシアネート基を活性水素基含有化合物(ブロック剤)と反応させて、イソシアネート基を不活性化したものである。当該ブロック型イソシアネートは、加熱によりブロック剤が解離して、イソシアネート基が再生されるという性質を有する。
すなわち、本実施形態に係るコンポジット推進薬用スラリーは、ブロック型イソシアネート硬化剤を含有することにより、温度による硬化の制御が可能となる。これにより、注型工程でのスラリーの粘度上昇を防ぎつつ、硬化工程で加熱することでスラリーを十分に硬化させることができる。
ブロック型イソシアネート硬化剤としては、注型工程においてイソシアネート基が不活性化であり、硬化工程においてイソシアネート基が再生してポリオールと反応するものが好ましい。一般に、注型はスラリーの粘度が低いほど容易に実施可能であるため、低粘度化可能であり硬化反応によるスラリーの粘度上昇による不具合が生じ難い60℃程度にスラリーを加温し、実施されている。
一方、硬化に関しては使用材料の分解温度よりも低温で実施する必要がある。一般的には、酸化剤として使用する過塩素酸アンモニウムが、最も低温である150℃で分解を開始する。これにより、ブロック型イソシアネート硬化剤のイソシアネート基再生温度は、60℃以上150℃未満であることが好ましく、65℃以上120℃未満であることが更に好ましい。
ブロック剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、ラクタム類、オキシム類、アセト酢酸アルキルエステル類、マロン酸アルキルエステル類、フタルイミド類、イミダゾール類、ピラゾール類、塩化水素類、シアン化水素類、亜硫酸水素ナトリウム等があげられるが、上記再生温度の範囲内でイソシアネート基が再生可能であれば、特にこれらに限定されない。
イソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレン(ビスシクロヘキシルイソシアネート)、イソフォロンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート、トリレンジジイソシアネート等の芳香族イソシアネート等があげられる。また、これらのモノマー、アダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体等を用いることができる
ブロック型イソシアネート硬化剤の含有量としては、ポリオールの活性部位1分子に対して、硬化剤活性部位0.5〜1.5分子とすることができ、0.7〜1.0分子とすることが好ましい。
ブロック型イソシアネート硬化剤の含有量を、ポリオールの活性部位1分子に対して0.5分子以上とすることにより、ポリオールを良好に硬化することができる。また、ブロック型イソシアネート硬化剤の含有量を、ポリオールの活性部位1分子に対して0.7分子以上とすることにより、ポリオールを更に良好に硬化することができる。
なお、ポリオールの硬化性は、硬化剤活性部位が1.0分子を超えるとあまり向上しなくなり、硬化剤活性部位が1.5分子を超えるとほとんど向上しなくなる。
また、ブロック型イソシアネート硬化剤は特定の種類に限定されず、2種以上を所望の性能に応じて配合して用いてもよい。
[ポリオールバインダー]
本実施形態に係るコンポジット推進薬スラリーでは、燃料成分として、ポリオールバインダーが用いられる。ポリオールは、1分子中に水酸基を複数個有し、イソシアネート基と反応するバインダー樹脂である。
ポリオールは、数平均分子量が1000〜4000であることが好ましく、1分子中の平均水酸基数が1.9〜2.6個であるものが好ましい。ポリオールの数平均分子量が1000以上であることにより、混和した酸化剤や金属粉末の凝集を防ぐことができる。また、ポリオールの数平均分子量が4000以下であることにより、未硬化スラリーの粘度を抑えることができ、モータケースへの注型を容易とするとともに気泡の混入も防ぐことができる。
ポリオールの1分子中の平均水酸基数が1.9個以上であることにより、コンポジット推進薬を良好に硬化させることができる。ポリオールの1分子中の平均水酸基数が2.6個以下であることにより、コンポジット推進薬の伸びや弾性率などの機械特性の低下を防ぎ、これにより異常燃焼を誘発するようなクラックの生成を防ぐことができる。
ポリオールとしては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエン、グリシジルアジドポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのブロックポリマー、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、両末端水酸基水素化ポリブタジエンなどがあげられる。ポリオールは、所望の燃焼特性及び物理特性が得られるポリオールであれば特に限定されない。中でも一般に用いられる末端水酸基化ポリブタジエンが好ましく、コンポジット推進薬を良好に硬化させることができる。
酸化剤と、金属粉末と、ポリオールバインダーと、ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、ポリオールバインダーとブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計は10〜35重量部であることが好ましく、10〜20重量部であることが更に好ましい。
ポリオールバインダーとブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を10重量部以上とすることにより、バインダーの伸び特性を向上させることができる。また、当該含有量の合計を35重量部以下とすることにより、単位重量あたりのエネルギーを向上させることができる。
[添加剤]
添加剤は、バインダーを所望の物性とするために添加される。添加剤としては、例えば、可塑剤、結合剤、架橋剤などがあげられる。
可塑剤は、バインダーの低温での伸び特性を向上させ、未硬化スラリーの粘度を低下させる目的で添加される。
本実施形態で利用可能な可塑剤としては、例えば、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、イソデシルペラルゴネート(IDP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジオクチルセパケート(DOS)等のエステル類や1,2,4−ブタントリオールトリナイトレート(BTTN)、トリメチロールエタントリナイトレート(TMETN)などが挙げられる。
可塑剤は特定の種類に限定されず、複数種類の可塑剤が併用されてもよい。酸化剤と、金属粉末と、ポリオールバインダーと、ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、可塑剤の添加量は10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることが更に好ましい。
結合剤は、他の粉末成分に対するバインダー成分の密着性を付与する目的で添加される。
結合剤としては、例えば、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)、ビスイソフタル−1−(2メチル)アジリジン、トリス〔1−(2エチル)アジリジニル〕ベンゼン、2モルのMAPO、0.7モルのアジピン酸、0.3モルの酒石酸の付加体等であるMT−4等のアジリジン系、トリエタノールアミン、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルの反応物(TEPANまたはHX−879、3M社)、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルとグリシドールとの反応物(TEPANOLまたはHX−878、3M社)等のアミン系、ジヒドロキシエチル−5,5−ジメチルヒダントイン(DHE)などが挙げられる。
結合剤は特定の種類に限定されず、複数種類の結合剤が併用されてもよい。酸化剤と、金属粉末と、ポリオールバインダーと、ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、可塑剤の添加量は0.01〜5重量部であることが好ましく、0.01〜3重量部であることが更に好ましい。
架橋剤は、硬化剤と化学反応し、3次元的にバインダー成分を架橋する分岐点となるポリオールであり、バインダーの物性を変化させるために添加される。
架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン(TMP)、ポリエーテルトリオール、ポリエステルトリオール等の三官能以上のポリオール類などが挙げられる。架橋剤は特定の種類に限定されず、複数種類の架橋剤が併用されてもよい。
その他、コンポジット推進薬に求められる伸び特性に応じ、添加剤が添加されてもよい。添加剤としては、例えば、燃焼速度調整剤、老化防止剤、硬化触媒、振動燃焼抑制剤が挙げられる。
燃焼速度調整剤としては、例えば、酸化第二鉄、フェロセン、ビスエチルフェロセニルプロパン、フッ化リチウムなどを採用可能である。
老化防止剤としては、例えば、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェニル−β−ナフチルアミン、ジフェニルアミンとアセトンの反応生成物(精工化学社製、商品名ノンフレックスBA)などが採用可能である。
硬化触媒としては、例えば、スズ化合物、ビスマス化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等の金属化合物などが採用可能である。
振動燃焼抑制剤としては、例えば、炭化ジルコニウム、酸化ジルコニウムなどが採用可能である。
[コンポジット推進薬]
本実施形態に係るコンポジット推進薬は、上記コンポジット推進薬用スラリーを硬化させることで得られる。上述のように、上記コンポジット推進薬用スラリーは注型工程においてスラリー粘度が上昇することがないため、製造安定性に優れたコンポジット推進薬となる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
[コンポジット推進薬用スラリーの製造]
まず、数平均分子量2800、1分子中の平均水酸基数が2.32である末端水酸基化ポリブタジエン(HTPB)66.5重量部に、水酸基活性部位1分子に対してイソシアネート基活性部位が0.9分子となるようブロック型イソシアネート硬化剤を添加し、混合した後、真空下にて60℃で3時間静置した。
HTPBの種類及び量は、いずれの実施例及び比較例でも共通である。一方、ブロック型イソシアネート硬化剤の種類及び量は、各実施例及び比較例ごとに異なる。
上記により得られた混合物に、常圧にて、可塑剤であるジオクチルアジペート(DOA)3.50重量部と、メディアン粒子径25μmのアルミニウム粒子90重量部とを添加し、真空下にて60℃で5分間混合した。
DOAの量は、いずれの実施例及び比較例でも3.50重量部とした。また、アルミニウム粒子の粒子径及び量は、いずれの実施例及び比較例でも、メディアン粒子径25μm及び90.00重量部とした。
更に、上記により得られた混合物に、常圧にて、酸化剤であるメディアン粒子径400μmの過塩素酸アンモニウム(AP400)92.73重量部と、メディアン粒子径200μmの過塩素酸アンモニウム(AP200)216.36重量部と、メディアン粒子径50μmの過塩素酸アンモニウム(AP50)30.91重量部とを添加し、真空下にて60℃で30分間混合し、各実施例及び比較例に係るコンポジット推進薬用スラリーを得た。
各過塩素酸アンモニウム粉末AP400、AP200、AP50の量は、いずれの実施例及び比較例でも、それぞれ92.73重量部、216.36重量部、30.91重量部とした。
[コンポジット推進薬の製造]
上記により得られたコンポジット推進薬用スラリーを、テフロン(登録商標)製の中子(上部直径32.6mm、下部直径28.5mm、高さ119mm)を中心部に設置したベークライト筒(内径57.5mm、高さ100mm)に真空注型装置を用いて充填し、脱泡後、110℃で2時間硬化させた後、更に60℃で5日間保持して硬化させた。
上記により得られた硬化物から中子を取り出し、当該硬化物をベークライト筒高に合わせて切削し、直径57.5mm、高さ100mmの中空状である各実施例及び比較例に係るコンポジット推進薬を得た。
[スラリー粘度測定]
上記により得られたコンポジット推進薬用スラリーを温度60℃に保ち、粘度計(東機産業社製、商品名TVB−10M)を使用して、ロータM4回転数0.6rpmの測定条件で1時間ごとに粘度測定を実施し、粘度変化を観察した。なお、測定開始から3分後の値を所定時間経過時のスラリー粘度とした。
[コンポジット推進薬の性能評価]
スロート径8mm、出口径27.5mmのノズルを使用し、火薬学会規格(V)小型モータ計測方法に準じてロケットモータ試験を実施して、上記により得られたコンポジット推進薬の燃焼速度(rb)、特性排気速度(C)を算出した。また、比推力(Isp)に関しても式(1)を用いて算出し、推進薬の性能を評価した。
Figure 2016064941
…(1)
式(1)中のgは重力加速度(m/s)である。また、式(1)中のCは推力係数であり、式(2)より算出される。
Figure 2016064941
…(2)
k:比熱比(1.3)
:ノズル出口圧力
:大気圧(P=Pと仮定し計算実施)
:平均燃焼室圧力
:ノズルスロート面積
:ノズル出口面積
[実施例1]
硬化剤は、イソフォロンジイソシアネートモノマーをジメチルピラゾールで不活性化したブロック型イソシアネート硬化剤(Baxenden社、品番7950、イソシアネート基再生温度110〜120℃)28.15重量部である。
[実施例2]
硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネートモノマーのビュレット体をジメチルピラゾール/ジエチルアロネートで不活性化したブロック型イソシアネート硬化剤(Baxenden社、品番7991、イソシアネート基再生温度110〜120℃)22.64重量部である。
[比較例1]
まず、数平均分子量2800、1分子中の平均水酸基数が2.32であるHTPB66.5重量部に、水酸基活性部位1分子に対してイソシアネート基活性部位が0.9分子となるようイソフォロンジイソシアネートモノマーを5.51重量部、可塑剤であるDOAを3.50重量部、メディアン粒子径25μmのアルミニウム粒子を90重量部添加し、真空下にて60℃で5分間混合した。次の酸化剤を添加する工程以降は、実施例1,2と同様の方法により比較例1に係るコンポジット推進薬用スラリー及びコンポジット推進薬を製造した。
[コンポジット推進薬の性能評価結果]
表1は、実施例1,2及び比較例1に係るコンポジット推進薬について、原料の成分と、性能評価結果とを示している。
Figure 2016064941
表1より、ブロック型イソシアネート硬化剤を用いた実施例1,2は、非ブロック型のイソシアネート硬化剤を用いた比較例1と比較して、燃焼速度(rb)、特性排気速度(C)、比推力(Isp)において大きな差異は無く、ほぼ同等の性能を有することがわかった。
[スラリーの粘度測定結果]
表2は、実施例1,2及び比較例1に係るコンポジット推進薬用スラリーについて、測定開始から1時間毎のスラリー粘度を示している。
Figure 2016064941
表2より、実施例1,2では、時間経過によるスラリー粘度の上昇が認められなかった。これにより、コンポジット推進薬用スラリーにブロック型イソシアネート硬化剤を用いることでスラリー粘度の上昇を防ぐことができるため、注型工程を容易にし、かつ長期保存可能なスラリーとなることがわかった。
一方、比較例1では、時間経過によりスラリー粘度が上昇しているため、比較例1に係るコンポジット推進薬用スラリーでは、注型工程でスラリー粘度が上昇するため、製造安定性に乏しくなり、長期保存も不可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (6)

  1. 酸化剤と、
    金属粉末と、
    ポリオールバインダーと、
    ブロック型イソシアネート硬化剤と
    を含有するコンポジット推進薬用スラリー。
  2. 請求項1に記載のコンポジット推進薬用スラリーであって、
    前記酸化剤と前記金属粉末と前記ポリオールバインダーと前記ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計を100重量部とすると、
    前記酸化剤の含有量が50〜88重量部であり、
    前記金属粉末の含有量が2〜30重量部であり、
    前記ポリオールバインダーと前記ブロック型イソシアネート硬化剤との含有量の合計が10〜35重量部である
    コンポジット推進薬用スラリー。
  3. 請求項1又は2に記載のコンポジット推進薬用スラリーであって、
    前記金属粉末がマグナリウムとアルミニウムとのうちの少なくとも一方を含み、
    前記酸化剤が過塩素酸アンモニウムである
    コンポジット推進薬用スラリー。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンポジット推進薬用スラリーであって、
    前記ポリオールバインダーの数平均分子量が1000〜4000であり、1分子中の平均水酸基数が1.9〜2.6である
    コンポジット推進薬用スラリー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンポジット推進薬用スラリーであって、
    前記ポリオールバインダーが末端水酸基化ポリブタジエンである
    コンポジット推進薬用スラリー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンポジット推進薬用スラリーを硬化させて得られるコンポジット推進薬。
JP2014193358A 2014-09-24 2014-09-24 コンポジット推進薬用スラリー及びコンポジット推進薬 Pending JP2016064941A (ja)

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