JP2022157773A - コンポジット推進薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れた製造性と良好な機械的特性を有するコンポジット推進薬を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)と、過塩素酸アンモニウム(AP)と、リン酸塩を含有し、リン酸塩の含有量が0.02~0.50質量%であることを特徴とするコンポジット推進薬を提供する。本発明のコンポジット推進薬によれば、コンポジット推進薬中にリン酸塩を0.02~0.50質量%添加することで優れた製造性と良好な機械的特性を有するコンポジット推進薬を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた製造性と良好な機械的特性を有するコンポジット推進薬に関する。
コンポジット推進薬は、その優れた燃焼特性及び機械的特性により、ロケットモータ用推進薬として広く使用されている。コンポジット推進薬は、酸化剤と燃料兼結合剤であるバインダを主成分とし、通常は、燃焼性能を向上させるため助燃剤として金属粉が添加される。酸化剤としては、過塩素酸アンモニウム(AP)、ニトラミン、硝酸アンモニウムなどが使用され、バインダとしては、ポリブタジエン、ポリウレタンなどが使用され、助燃剤としては、アルミニウム粉などが使用されている。
コンポジット推進薬の製造方法は、大きく直填方式とブロックボンディング方式に分けられる。直填方式とは、コンポジット推進薬の原材料をスラリー状態となるまで混合した後、モータケースに注型し熱硬化させる方法である。直填方式で製造するコンポジット推進薬において、製造性すなわちコンポジット推進薬スラリーの流動性が重要な要素となる。注型時はコンポジット推進薬スラリー中に気泡が混入しないようにモータケースを減圧するが、それでも微小な気泡の混入は起こり得る。混入した気泡はモータケースを常圧に戻した場合に圧縮されて潰れるが、その時点でコンポジット推進薬スラリーが流動性を失っていると気泡を含んだ状態で硬化される。この種のコンポジット推進薬は燃焼が不安定となり、また、機械的特性が低下する。そのため、コンポジット推進薬には良好な製造性が求められる。
一方、モータケースに充填されたコンポジット推進薬には、製造時や保管時あるいは発射時に種々の負荷が掛かる。そのため、コンポジット推進薬にはこれらの負荷となる外部荷重に耐えられるだけの十分な機械的特性が求められる。
以上の背景から、コンポジット推進薬には優れた製造性と機械的特性の両面が望まれている。
例えば特許文献1では、汎用品である安価な水酸基末端液状ポリブタジエンと硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤を用いたコンポジット推進薬が開示されている。本文献によると伸び特性の向上が認められているが、弾性率に対する最大応力時歪は大きく減少しており、原材料の選択幅は広がったものの機械的特性は十分とは言えない。
特開2016-11624号公報
本発明の課題は、優れた製造性と良好な機械的特性を有するコンポジット推進薬を提供することにある。
上記課題について鋭意検討した結果、発明者は、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を含有するバインダ、過塩素酸アンモニウム(AP)、及びリン酸塩を含有し、リン酸塩の含有量を0.02~0.50質量%に限定することにより、優れた製造性と良好な機械的特性を有することを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のコンポジット推進薬である。
末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を含有するバインダと、過塩素酸アンモニウム(AP)と、リン酸塩を含有し、リン酸塩の含有量が0.02~0.50質量%であることを特徴とするコンポジット推進薬。
本発明のコンポジット推進薬によれば、コンポジット推進薬中にリン酸塩を0.02~0.50質量%添加することで優れた製造性と良好な機械的特性を有するコンポジット推進薬を提供することができる。さらに、リン酸塩の割合を0.05~0.50質量%とすることにより、これらの効果をより一層発揮することができる。
[コンポジット推進薬]
本発明のコンポジット推進薬は、大型ロケットの補助ブースタ、中・小型ロケットの主燃料として使用されるものであって、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を主原料とし結合剤と硬化剤を基本組成とするバインダと、酸化剤として過塩素酸アンモニウム(AP)と、助燃剤としてアルミニウム粉末を含有し、添加剤としてリン酸塩と酸化鉄を加える。なお、用途に応じて、その他の添加剤をさらに追加することができる。本発明のコンポジット推進薬は、優れた製造性と良好な機械的特性の両方を同時に達成することが可能である。
製造性の評価する項目として、流動性とポットライフがある。流動性は混合直後のコンポジット推進薬スラリーの流動性のことをいい、所定の温度におけるコンポジット推進薬スラリーの流れる距離で評価する。例えば52℃における5分間の移動距離が140mm以上であると流動性は高く、注型は容易と判断できる。120mm以上、140mm未満のときも注型可能であるが、120mm未満では注型中に気泡を巻き込むリスクが高くなる。
また、コンポジット推進薬スラリーが大きな気泡を巻き込むことなく注型できる流動性を有している時間をポットライフと呼ぶ。ポットライフは特に制限されないが、好ましくは500分以上950分未満である。ポットライフを500分以上とすることにより、注型の途中でコンポジット推進薬が硬化することを防止することができる。一方、ポットライフを950分未満とすることにより、注型後速やかに硬化するため、生産性が優れるという効果がある。より生産性に優れるという観点から、ポットライフの上限値は、800分未満が好ましい。
機械的特性について、弾性率は特に制限されないが、例えば3MPa以上、11MPa以下である。好ましくは4MPa以上、9MPa以下である。3MPa以上では十分な強度を有し、種々の負荷に耐えることができる。また、11MPa以下の場合、伸び特性が向上し破断し難くなる。
また、本発明のコンポジット推進薬の最大荷重時伸率は特に制限されないが、例えば25%以上である。好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上である。25%以上だと負荷に応じて変形が可能であり破断し難くなる。
また、本発明のコンポジット推進薬の真応力は特に制限されないが、例えば0.8MPa以上である。好ましくは0.9MPa以上であり、より好ましくは1.0MPa以上である。0.8MPa以上では種々の負荷に耐えることができる。
<バインダ>
本発明のコンポジット推進薬は燃料兼結合剤と、結合剤と、硬化剤と、可塑剤を含むバインダを備える。バインダは酸化剤、助燃剤、その他の成分を結合するための成分である。コンポジット推進薬全量に対するバインダの含有量は、通常、7~25質量%である。以下に、バインダ中の各成分について説明する。
(燃料兼結合剤)
燃料兼結合剤は、例えば、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)、アジドメチル基を有する末端水酸基ポリエーテル、例えばグリシジルアジドポリマー(GAP)、3,3-ビスアジドメチルオキセタン/テトラヒドロフラン共重合体(BAMO/THF共重合体)等がある。
本発明のコンポジット推進薬に使用するバインダは、末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を含有するものである。バインダ中における末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)の含有量は、特に制限されないが、例えば50~90質量%である。下限値として好ましくは60質量%以上であり、上限値として好ましくは85質量%以下である。
本実施形態に係る末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)は、例えば、分子の末端に水酸基を平均2~4個有する数平均分子量2000~4000の末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)である。なお、数平均分子量(Mn)は、VPO法により測定した。
(結合剤)
結合剤としてはトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)、ビスイソフタロイル1-(2-メチル)アジリジン(HX-752)等のアジリジン系、N-メチルジエタノールアミン(MDA)、N-エチルジエタノールアミン(EDA)、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルとの反応生成物(TEPAN又はHX-879)、テトラエチレンペンタミンとアクリロニトリルとグリシドールとの反応生成物(TEPANOL又はHX-878)等のアミン系、ジヒドロキシエチル-5,5-ジメチルヒダントイン(DHE)等のヒダントイン系及びシランカップリング剤(A-1100)等が挙げられる。その中でも、本発明においてはアジリジン系のトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)とアミン系のN-メチルジエタノールアミン(MDA)とを組み合わせて使用するのが好ましい。
バインダ全量に対するトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)の含有量は、好ましくは0.3~0.8質量%であり、より好ましくは0.5~0.7質量%である。バインダ全量に対するトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)の含有量が0.3質量%以上の場合では、コンポジット推進薬の物理的特性において抗張力が向上し、0.8質量%以下の場合では、コンポジット推進薬の物理的特性において伸び率が向上する。
また、コンポジット推進薬全量に対するトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)の含有量は、好ましくは0.04~0.18質量%であり、より好ましくは0.07~0.12質量%であり、さらに好ましくは0.08~0.10質量%である。
バインダ全量に対するN-メチルジエタノールアミン(MDA)の含有量は、好ましくは0.1~0.5質量%であり、より好ましくは0.2~0.4質量%である。バインダ全量に対するN-メチルジエタノールアミン(MDA)の含有量が0.1質量%以上では、コンポジット推進薬の物理的特性において伸び率が向上し、0.5質量%以下の場合には、コンポジット推進薬の物理的特性において抗張力が向上する。
(硬化剤)
硬化剤としては、例えばイソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジシクロヘキシルメタン―4,4―ジイソシアネ-ト(水添MDI)等のジイソシアネート化合物が挙げられる。その中でも、本発明においてはイソフォロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
硬化剤の含有量は、燃料兼結合剤が有する水酸基に対するイソシアネート基の割合で示すと、その比はイソシアネート基/水酸基=0.6~1.1の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7~1.0の範囲である。
(可塑剤)
可塑剤としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルセバケート(DOS)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、イソデシルペラルゴネート等のエステル類の他、1,2,4-ブタントリオールトリナイトレート(BTTN)、トリメチロールエタントリナイトレート(TMETN)、トリエチレングリコールジナイトレート(TEGDN)等のニトロ可塑剤等が使用される。その中でも、本発明においてはジオクチルアジペート(DOA)を使用するのが好ましい。
なお、バインダ全量に対する可塑剤の含有量は、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは5~15質量%である。
<酸化剤>
酸化剤としては、過塩素酸アンモニウム(AP)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(HMX)、シクロトリメチレンテトラニトラミン(RDX)及び硝酸アンモニウム等が用いられる。本発明の酸化剤は過塩素酸アンモニウム(AP)を必須成分として含有するが、必ずしも単独である必要はなく、上述した酸化剤を複数含んでいてもよい。また、酸化剤の含有量は、コンポジット推進薬全量に対して少なくとも50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましい。上限値として、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。
更に、酸化剤は、コンポジット推進薬の粘度を調整し注型工程を容易にする、燃焼速度を調整する、結合剤と化学的に結合して機械的特性を向上する観点から、複数の異なる粒子径を用いてもよい。酸化剤の粒子としては、平均粒径1~30μmの小粒子、平均粒径150~300μmの中粒子、平均粒径350~600μmの大粒子をそれぞれ大中、大小もしくは中小の2種類、又は大中小の3種類を混合して用いることが好ましい。コンポジット推進薬の粘度を調整して注型工程を容易にする、燃焼速度を調整する、結合剤と化学的に結合して機械的特性を向上する観点から、酸化剤100質量%に対して小大2種類を10~30質量%ずつ、中1種類を40~80質量%混合することが特に好ましい。なお、平均粒径は、「マイクロトラック粒度分布計」(日機装製)を用いて測定する。
<助燃剤>
助燃剤としては、アルミニウム、ボロン、マグネシウム等の金属粉末が挙げられる。その中でも、本発明においてはアルミニウム粉末を使用するのが好ましい。
助燃剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、コンポジット推進薬全量に対して30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。下限値として、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上である。
<リン酸塩>
コンポジット推進薬を製造する場合、リン酸塩としては、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸一マグネシウム、リン酸二マグネシウム、リン酸三マグネシウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、が挙げられる。その中でも本発明においてはリン酸三カルシウムが好ましい。リン酸三カルシウムの形状、粒径は特に限定されないが、含有量は、コンポジット推進薬全量に対して0.02~0.50質量%であることが必要とされる。さらに、0.05~0.50質量%とすることで本発明の効果が一層発現される。
<その他添加剤>
その他、コンポジット推進薬に求められる燃焼特性、機械的特性、製造性に応じ、添加剤を添加してもよい。
硬化触媒としては、例えばジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジ(2-エチルヘキソエート)等の有機スズ化合物やトリフェニルビスマス等の有機ビスマス化合物及びトリエチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば2,2′-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、フェニル-β-ナフチルアミン、ジフェニルアミンとアセトンとの反応生成物等が挙げられる。
燃焼速度調整剤としては、酸化鉄、フェロセン誘導体、カルボラン誘導体、鉛塩、カーボン等が挙げられる。その中でも、本発明においては酸化鉄(Fe)が好ましい。
燃焼速度調整剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、コンポジット推進薬全量に対して0.01~0.1質量%である。
[コンポジット推進薬の製造方法]
本発明のコンポジット推進薬の製造方法は、コンポジット推進薬全量に対してリン酸塩を0.02~0.50質量%添加することを特徴とする。これにより、製造性に優れたコンポジット推進薬の製造方法を提供することができる。
本発明のコンポジット推進薬を製造する場合は、例えば各原材料及び必要に応じて各種添加剤を所定の含量となるように混和機に投入し、所定の温度下で均一に混合してスラリー状態とした後、所定の鋳型に注型して所定の温度および時間で硬化させることでコンポジット推進薬を製造することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明のコンポジット推進薬について具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
<実施例1~6>
実施例1~6のコンポジット推進薬の配合組成を表1に示す。また、そのコンポジット推進薬を用いて以下に示す方法で製造性及び機械的特性を測定した。その結果を表1に併記する。
〔実施例1〕
末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)578.6g(バインダ中の含有量として82.7質量%。以下同様。)に、可塑剤であるジオクチルアジペート(DOA)69.4g(9.9質量%)、及びリン酸三カルシウム6.0gを添加して混合した。そこに、助燃剤であるアルミニウム粉末900.0gを添加して混合し、さらに燃焼速度調整剤として酸化鉄(Fe)1.5gを加えて混合した。さらに結合剤であるトリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕フォスフィンオキシド(MAPO)4.6g(0.7質量%)及びN-メチルジエタノールアミン(MDA)1.7g(0.2質量%)を添加して混合した。
次に、硬化剤であるイソフォロンジイソシアネート(IPDI)45.7g(6.5質量%)を添加し真空混和を行った後、酸化剤である過塩素酸アンモニウム(AP)を加えて全量を5000gとし、60℃に加温し、真空混和を行いスラリー状の混合物を得た。それから、この混合物を10mmHg以下の減圧下で所定の容器に注型し、同圧力下で20分静置してコンポジット推進薬中に残存した微小な気泡を脱泡し、60℃で7日間硬化してコンポジット推進薬を得た。
〔実施例2~6、比較例1、2〕
表1および表2の配合に従い、同様の方法でコンポジット推進薬を製造し、その製造性及び機械的特性を以下の試験により評価した。
[製造性]
<ポットライフ>
RE80粘度計を用いて、52℃、スピンドル回転数5rpmの条件で硬化剤を投入してからの時間に対する粘度を測定した。コンポジット推進薬がロケットモータに注型できる程の流動性を有している時間のことをポットライフと呼ぶ。直填方式で製造する中型~大型のロケットモータの製造においては、ポットライフは、粘度が10kP以下で、500~950分であることが好ましい。ポットライフが500分未満では注型が完了する前にコンポジット推進薬が流動性を失ってしまい、気泡が残存するリスクが高まる。一方、950分以上であると、硬化するまでの時間が長く、工期が長期化してしまい生産性の観点から好ましくない。
<流動性試験>
容積300ml、円筒状のポリプロピレン製容器に約500gのコンポジット推進薬を常圧で流し込み、次いで、容器をすりきり、コンポジット推進薬の上端面を平坦に均した。その後、容器を52℃に調温した恒温槽内で横倒しにし、5分後におけるコンポジット推進薬の移動距離を測定した。なお、移動距離は、容器の上端からコンポジット推進薬の流出端の最も遠方の位置までの距離である。本試験は、コンポジット推進薬の注型の容易さを評価する試験であり、5分後におけるコンポジット推進薬の移動距離が140mm以上のとき流動性は高く、容易に注型することが可能である。120mm以上、140mm未満のときも注型可能である。120mm未満では流動性に乏しく注型に気泡を巻き込むリスクが高くなる。よって判定は「◎・〇・×」の3段階で判定した。
◎:コンポジット推進薬の移動距離が140mm以上(容易に注型可能)
〇:コンポジット推進薬の移動距離が120mm以上、140mm未満(注型可能)
×:コンポジット推進薬の移動距離が120mm未満(注型は可能であるが気泡が残存するリスクが伴う)
[機械的特性]
プラスチック引張試験方法「ASTM D638-84」に従い引張試験片を作製し、引張速度50mm/min、試験温度20℃にて引張試験を行い、弾性率、最大荷重時伸率、真応力を求めた。尚、引張試験片は全長が125mmで両端部は幅25mmであり、両端部間に長さ50mm、幅10mmの中央直線部がある厚さ10mmの試験片である。
Figure 2022157773000001
Figure 2022157773000002
表1の試験結果より、次のことがわかった。
実施例1~6のコンポジット推進薬は、製造性において高い流動性を維持しつつ、ポットライフが500~950分を満足しており、良好な製造性を示すことがわかった。さらに、弾性率、最大荷重時伸率及び真応力全ての項目でロケットモータ用推進薬に求められる機械的特性を満足する結果が得られた。
実施例4のコンポジット推進薬を実施例1~3と比較すると、実施例1~3のコンポジット推進薬の方が流動性が優れることから、リン酸三カルシウムの含有量は0.05~0.50質量%が好ましいことがわかった。
実施例5のコンポジット推進薬は実施例1と比較してバインダ割合を多くした配合組成であり、この場合、一般的にはポットライフが長くなり、弾性率が低くなる傾向にあるが、リン酸三カルシウムの含有量を0.12質量%とすることで、ポットライフ、機械的特性ともにロケットモータに適用可能な範囲に調整できることがわかった。
実施例6のコンポジット推進薬は実施例1と比較してバインダ割合を少なくした配合組成であり、この場合、一般的にはポットライフが短くなり、最大荷重時伸率が低くなる傾向にあるが、リン酸三カルシウムの含有量を0.12質量%とすることで、ポットライフ、機械的特性ともにロケットモータに適用可能な範囲に調整できることがわかった。
比較例1ではリン酸三カルシウムの含有量を1.00質量%まで増やしてコンポジット推進薬を製造したところ、製造性および機械的特性の両方で適用不可の結果が得られた。比較例2ではリン酸三カルシウムを含有しないコンポジット推進薬を製造したところ、ポットライフや機械的特性では良好な結果が得られたものの、流動性については適用不可の結果が得られた。

Claims (1)

  1. 末端水酸基ポリブタジエンを含有するバインダと、過塩素酸アンモニウムと、リン酸塩を含有し、リン酸塩の含有量が0.02~0.50質量%であることを特徴とするコンポジット推進薬。

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