以下では、本発明の実施の形態に係る照明器具について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、工程、工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
以降、本明細書において、「前方」とは、照明器具(発光モジュール)の主たる光の出射方向であり、「後方」とは、「前方」の反対の方向である。
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。実施の形態では、z軸方向を鉛直方向(上下方向)とし、z軸に垂直な方向(xy平面に平行な方向)を水平方向としている。また、z軸の正方向を鉛直下方としている。なお、これらの事項は、本発明に係る照明器具の使用時の姿勢を限定するものではない。
また、以下の実施の形態及び特許請求の範囲において、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
(実施の形態)
[照明器具の概要]
まず、実施の形態に係る照明器具1の概要について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態に係る照明器具1の斜視図である。図2は、実施の形態に係る照明器具1の分解斜視図である。
図1及び図2に示される照明器具1は、例えば、住宅などの建物の造営材に設置される。一例として、照明器具1は、建物の天井に固定されるシーリングライトであり、建物の内部の空間を照明する。具体的には、照明器具1は、天井に固定された引っ掛けシーリングボディ(図示せず)に取り付けられることによって天井に設置される。
なお、各図において、z軸の負側が天井側であり、z軸の正側が床側を表している。つまり、図1及び図2では、照明器具1を通常の使用時の姿勢とは上下逆の姿勢で図示している。
図1及び図2に示すように、照明器具1は、器具本体10と、発光モジュール20と、光源カバー30と、カバー40と、電源回路70とを備える。電源回路70は、器具本体10に固定された回路カバー75に収容された状態で照明器具1に備えられている。
発光モジュール20は、電源回路70から供給される電力によって光を発する。発光モジュール20が発する光は、光源カバー30及びカバー40を透過して、照明器具1の外部に放出される。
次に、図1及び図2を参照しながら、さらに、図3〜図7を用いて、照明器具1の各構成部品について詳細に説明する。
[器具本体]
図3は、実施の形態に係る器具本体10及び発光モジュール20を示す平面図である。図2及び図3に示すように、器具本体10は、発光モジュール20を支持する部材である。器具本体10は、前方に光を出射するように発光モジュール20が載置される載置面11を有し、かつ、後方に電源回路70を保持している。
より詳細には、器具本体10は、図2及び図3に示すように、載置面11と、周縁部13と、貫通孔14とを有する。平面視(z軸の正側から見た場合)における器具本体10形状は、中央に貫通孔14が設けられた円盤状(すなわち、円環状)である。器具本体10において、載置面11は、貫通孔14を囲むように、貫通孔14の全周に亘って円環状に設けられている。また、載置面11を囲むように全周に亘って周縁部13が設けられている。中央の貫通孔14には、引掛シーリングボディに取り付けるためのアダプタ(図示せず)が挿入される。
載置面11は、器具本体10を天井に設置した場合における床側の主面であり、発光モジュール20が取り付けられる面である。図2に示すように、載置面11は、その外周に沿って環状に設けられた周縁部13よりも前方(z軸の正側)に位置している。これにより、載置面11の反対側には、電源回路70を収納するためのスペースが設けられている。
器具本体10は、例えばアルミニウム板又は鋼板などの板金をプレス加工することによって作製される。器具本体10の一方側の面(載置面11を含む面)には、反射性を高めて光取り出し効率を向上させるために、白色塗料が塗布されていてもよく、あるいは、反射性金属材料が蒸着されていてもよい。
[カバー]
カバー40は、透光性を有する透光カバーであり、例えば「グローブ」とも呼ばれる。図1及び図2に示すように、カバー40は、照明器具1の外郭を構成する外郭カバーである。カバー40は、器具本体10の前面側に配置されることで、発光モジュール20、及び光源カバー30を覆っている。本実施の形態では、カバー40は、中央が前方に突出するように形成された緩やかな曲面(光出射面)を有している。
カバー40は、LED素子22が発する光を透過させる。具体的には、カバー40は、LED素子22から発せられ、光源カバー30を通過した光を透過させる。
カバー40は、透光性を有する樹脂材料を用いて形成されている。カバー40の材料は、例えば、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリ塩化ビニルなどである。
カバー40は、光拡散性(光散乱性)を有してもよい。これにより、カバー40に入射する光を拡散(散乱)させることができ、カバー40の全体から略均一に光を外部に取り出すことができる。この場合、カバー40は、例えば、乳白色であり、光拡散粒子を分散させた樹脂材料によって形成することができる。また、カバー40の内面又は外面に乳白色の光拡散膜を形成してもよく、カバー40に複数の光拡散ドット又は微小凹凸(シボ)を形成してもよい。
カバー40は、器具本体10に着脱自在に取り付けられる。取り付け方法については、特に限定されないが、例えば、カバー40は、器具本体10の周縁部に設けられた係止部に引っかかるようにして固定される。
[光源カバー]
光源カバー30は、透光性を有するカバー部材である。図2及び図3に示すように、光源カバー30は、発光モジュール20を覆うように器具本体10に取り付けられている。本実施の形態では、光源カバー30は、器具本体10の載置面11に、ネジ(図示せず)を用いて固定されている。
光源カバー30は、透光性を有する樹脂材料を用いて形成されている。光源カバー30の材料は、例えば、PMMA、PC、PET又はポリ塩化ビニルなどである。
光源カバー30は、例えば、発光モジュール20を外部の埃等の異物から保護したり、人が触れないように保護するとともに、発光モジュール20が発した光を制御して透過させる機能を有する。
より詳細には、光源カバー30は、複数のレンズ部31を有する。複数のレンズ部31は、発光モジュール20が有する複数のLED素子22と一対一に対応して設けられている。レンズ部31は、例えば、対応するLED素子22からの光の配光角を拡大する。すなわち、レンズ部31は、光を発散させる機能を有する。このように、個々のLED素子22に対応してレンズ部31を配置することで、例えば、複数のLED素子22それぞれからの光の一部を、平面視において光源が存在しない中央領域に効率よく向かわせることが可能である。複数のレンズ部31による効果等については、図8を用いて後述する。
[電源回路]
電源回路70は、発光モジュール20を点灯させるための電力を生成するための電源装置である。電源回路70は、例えば、系統電源又は蓄電池などの外部の電源から引掛シーリングボディ及びアダプタ(図示せず)を介して供給される交流電力を直流電力に変換して発光モジュール20に供給する。
電源回路70は、具体的には、発光モジュール20の点灯(全点灯)及び消灯を制御する。電源回路70は、発光モジュール20の調光又は調色を行ってもよい。
電源回路70は、例えば、回路基板と、回路基板に実装された複数の回路素子とを有している。複数の回路素子のそれぞれは、例えば、整流回路素子、検知抵抗、ヒューズ素子、抵抗、コンデンサ、チョークコイル、ダイオード又はトランジスタなどである。この電源回路70を収容する回路カバー75が、器具本体10の載置面11の反対側にネジを用いて固定されることで、電源回路70が器具本体10に取り付けられる。
[発光モジュール]
発光モジュール20は、照明器具1の器具本体10に取り付けられた発光部であり、白色などの所定の色(波長)の光を発する。本実施の形態では、発光モジュール20は、白色光を発するよう構成されている。
図2及び図3に示すように、発光モジュール20は、光源基板21と、複数のLED素子22とを有する。なお、本実施の形態において、光源基板21は、円環状に並べられた互いに別体の4枚の基板が接続されることで構成されているが、説明の便宜上、これら4枚の基板の集合体を、1枚の光源基板21として扱う。なお、光源基板21を構成する基板の枚数は4であることは必須ではなく、1〜3のいずれかでもよく、また、5以上であってもよい。
光源基板21は、複数のLED素子22が実装される実装基板である。光源基板21は、例えば、プリント配線基板であり、光源基板21の一方の面には、金属配線が所定形状でパターン形成されている。図2に示すように、光源基板21は、複数のLED素子22が床面側を向くようにして、器具本体10の載置面11に載置されている。つまり、発光モジュール20は、前方に光を照射する姿勢で器具本体10に取り付けられている。具体的には、光源基板21は、器具本体10の載置面11に、複数のネジ(図示せず)を用いて固定されている。
光源基板21は、平面視において環状に形成されている。つまり、発光モジュール20は、前方から見た場合において環状に形成されている。
光源基板21は、例えば、絶縁性樹脂材料からなる樹脂基板、表面が樹脂被膜された金属材料からなるメタルベース基板、セラミック材料の焼結体であるセラミック基板、又は、ガラス材料からなるガラス基板などである。光源基板21は、リジッド基板に限らず、フレキシブル基板でもよい。光源基板21の表面には、金属配線を覆うように、絶縁被膜としてレジスト膜が形成されていてもよい。
また、本実施の形態に係るLED素子22は、表面実装(SMD:Surface Mount Device)型LED素子である。
図4は、実施の形態に係るLED素子22の構成を示す平面図である。LED素子22は、図4に示すように、容器23と、容器23内に収容されたLED光源24と、LED光源24からの光の波長を変換する波長変換材26aとを有する。本実施の形態では、LED光源24は2つのLEDチップ25を含む。
容器23は、例えば樹脂を素材とする部材であり、本実施の形態では、平面視における形状は、互いに直交する第一辺23a及び第二辺23bを有する矩形である。容器23の中央部には、LED光源24と、波長変換材26aを含む波長変換層26とを収容する凹部が形成されている。
なお、図4におけるA軸は、第一辺23aに平行な軸であり、B軸は、第二辺23bに平行な軸である。これらA軸及びB軸に関する事項は、後述する図5及び図7にも適用される。
本実施の形態では、LEDチップ25として、例えば青色光を発する青色LEDチップが採用されている。青色LEDチップとしては、例えばInGaN系の材料によって構成された、中心波長が440nm〜470nmの窒化ガリウム系の半導体発光素子が採用される。
波長変換材26aは、本実施の形態では蛍光体粒子であり、当該蛍光体粒子及び透光性樹脂材料26bを含む波長変換層26として、LED素子22に備えられている。
波長変換材26aを有する波長変換層26は、LED光源24を構成する2つのLEDチップ25を覆うように配置されており、LEDチップ25が発する光の波長(色)が波長変換材26aによって変換される。このような波長変換層26としては、例えば、蛍光体粒子を含有する絶縁性の樹脂材料(蛍光体含有樹脂)が例示される。蛍光体粒子は、LEDチップ25が発する光によって励起されて所望の色(波長)の光を放出する。
波長変換層26を構成する透光性樹脂材料26bとしては、例えば、シリコーン樹脂が用いられる。また、波長変換層26には、シリカなどの光拡散材が含まれていてもよい。なお、波長変換層26は、必ずしも樹脂材料によって形成される必要はなく、フッ素系樹脂などの有機材のほか、低融点ガラスやゾルゲルガラス等の無機材によって形成されてもよい。
波長変換層26に波長変換材26aとして含有させる蛍光体粒子としては、例えば、青色LEDチップであるLEDチップ25が発する光を用いて白色光を得るために、例えばYAG系の黄色蛍光体粒子が採用される。
これにより、LEDチップ25が発した青色光の一部は、波長変換層26に含まれる波長変換材26aである黄色蛍光体粒子によって黄色光に波長変換される。そして、黄色蛍光体粒子に吸収されなかった青色光と黄色蛍光体粒子による波長変換により得られた黄色光とが合成されて、波長変換層26から合成光(本例の場合、主として白色光)となって出射される。
なお、LEDチップ25が発する青色光は、第一光の一例であり、波長変換材26aによる青色光の波長の変換後の光である黄色光は、第二光の一例である。
また、本実施の形態では、LED素子22が備える2つのLEDチップ25が、LED素子22が有する1つのLED光源24として扱われるが、2つのLEDチップ25のそれぞれが、LED素子22が有する1つのLED光源24として扱われてもよい。つまり、LED素子22が有するLED光源24は、1以上のLEDチップ25によって実現される。
ここで、上記LED素子22のように、LEDチップと波長変換材との組み合わせによって、LEDチップの発光色とは異なる色の光を生成して放出する場合、観察される発光色に偏りが生じる場合がある。すなわち、例えば平面視において、LED素子を中心とする全方位に均等な光色が得られない場合がある。具体的には、本実施の形態に係るLED素子22は、図5に示されるような配光特性を有している。
図5は、実施の形態に係るLED素子22における発光色の偏りを表す模式図である。なお、図5では、計測または観察される黄色の濃さが、ドットの濃淡によって模式的に表されている。
実施の形態に係るLED素子22では、図5に示すように、A軸方向(A軸に平行な両方向)に放出される合成光には比較的に黄色が濃く現れ、B軸方向(B軸に平行な両方向)に放出される合成光には黄色が薄く現れる、または黄色が現れない。つまり、簡単に言うと、LED素子22は、A軸方向に黄色っぽい光を放出し、B軸方向に白っぽい光を放出する。
すなわち、LED素子22において、A軸方向に放出する合成光に含まれる黄色光の割合は、他の方向(図5ではB軸方向)に放出する合成光に含まれる黄色光の割合よりも大きい。
ここで、合成光に含まれる黄色光の割合は、定量的には、例えば、図5に示す分光分布におけるグラフと横軸(波長軸)との間の総面積Saに対する、黄色光に対応する面積Syの割合として求められる。なお、面積Syの横幅は黄色波長帯域(例えば、570nm〜590nm)によって規定される。また、合成光に含まれる黄色光の割合の大小は、例えば、計測装置を用いた実測値を用いて判断されてもよく、また、人による目視によって判断されてもよい。いずれかの方法により、本実施の形態に係るLED素子22については、A軸方向に放出する合成光に含まれる黄色光の割合が、他の方向の一つである、B軸方向に放出する合成光に含まれる黄色光の割合よりも大きいと判断することができる。
このような配光特性が生じる一つの要因として、例えば、波長変換層26内におけるLEDチップ25が発する光の光路長が、A軸方向とB軸方向とで異なることが考えられる。
具体的には、LED素子22を平面視した場合、A軸方向におけるLED光源24から波長変換層26の端までの長さLaは、B軸方向におけるLED光源24から波長変換層26の端までの長さLbよりも大きい。また、本実施の形態では、波長変換層26の表面(図4における手前側の面)は平坦であり、LaとLbとの大小関係は、おおよそ、LED光源24が発する青色光のA軸方向における波長変換層26の通過長さと、LED光源24が発する青色光のB軸方向における波長変換層26の通過長さとの大小関係と一致する。
つまり、A軸方向における、LED光源24が発する青色光が波長変換層26を通過する長さは、他の方向(本実施の形態ではB軸方向)における、青色光が波長変換層26を通過する長さよりも長い。その結果、LED光源24がA軸方向に発する青色光のうちの、波長変換材26aによって波長変換される光量が比較的に多くなり、その結果、LED素子22がA軸方向に放出する合成光には黄色が比較的に濃く現れる。また、LED光源24がB軸方向に発する青色光については、波長変換材26aによって波長変換される光量が比較的に少ないため、その結果、LED素子22がB軸方向に放出する合成光には黄色が現れ難く(目立ち難く)なる。
なお、上記配光特性が生じる要因としては、上記の方向による光路長の差の他に、LED光源24のA軸方向の幅がB軸方向の幅よりも大きいことで、B軸方向に放出される青色光の光量が、A軸方向に放出される青色光の光量よりも多いこと等も考えられる。また、容器23の形状が、LED素子22の配光特性に影響していることも考えられる。
以上説明したように、本実施の形態に係るLED素子22は、発光色に偏りが存在するという配光特性を有している。
本願発明者らは、LED素子22が、上記の配光特性を有することに着目し、平面視におけるLED素子22の向き(姿勢)が、照明器具1が放出する光の色むらに影響を与えることを見出した。
以下、実施の形態に係る照明器具1における、複数のLED素子22それぞれの姿勢等について、図6及び図7を用いて説明する。
[LED素子の姿勢]
図6は、実施の形態に係る光源基板21における複数のLED素子22の配置レイアウトを示す平面図である。図7は、実施の形態に係るLED素子22の平面視における姿勢を説明するための拡大図である。
本実施の形態に係る照明器具1では、上記のような配光特性を有するLED素子22が、図6に示すように、多重環状に配置されている。具体的には、平面視において中心点Pを中心とする複数の同心円それぞれに沿って、複数のLED素子22が配置されている。
このように環状に並んで配置された複数のLED素子22を有する発光モジュール20では、中央領域には光源が存在しない。そのため、カバー40(図2参照)の中央部分(中央領域に対向する部分)からは、複数のLED素子22それぞれが発する光のうちの中央領域に向かう光の集合が、照明光として中央領域から放出される。
そのため、例えば、複数のLED素子22のそれぞれが、平面視において、A軸方向が中心点Pの方向を向く姿勢で配置されている場合、比較的に黄色が濃く現れる合成光(以下、「黄白色光」という。)が、各LED素子22から中央領域に集まる。その結果、外観上、カバー40の中央部分が、中央部分の外側の周縁部分よりも黄色く見える状態となる。また、カバー40の中央部分は、発光モジュール20において光源が存在しない中央領域に対向する部分であり、集約された黄白色光が目立ちやすい部分であると言える。
そこで、本実施の形態に係る照明器具1では、複数のLED素子22のそれぞれは、平面視において、A軸方向を中心点Pに向けない姿勢で光源基板21に配置される。
具体的には、多重環状に配置された複数のLED素子22のうちの、最内周の円周Cに沿って配置された複数のLED素子22に着目した場合、これらLED素子22の姿勢は以下のように説明される。
すなわち、図7に示すように、複数のLED素子22のそれぞれは、複数のLED素子22の並び方向(円周Cの接線方向)とA軸方向とが直交しない姿勢で、光源基板21に配置されている。より具体的には、複数のLED素子22のそれぞれは、複数のLED素子22の並び方向(円周Cの接線方向)とA軸方向とが平行な姿勢で、光源基板21に配置されている。
これにより、複数のLED素子22それぞれの黄白色光を放出する方向が、円周Cの中心から最も離れた向きに向けられる。その結果、各LED素子22から放出される黄白色光の中央領域への集約がより確実に抑制される。従って、照明器具1の外観上において、カバー40の中央部分が周縁部分よりも黄色く見える可能性がより確実に低減される。
なお、複数のLED素子22のそれぞれから放出される黄白色光は、当該LED素子22が配置された位置における、円周Cの接線方向に向かうため、例えば、カバー40の内面のどの位置においても集約し難い。つまり、各LED素子22から放出される黄白色光は、様々な方向に向かうため、照明器具1が放出する光の全体の中では目立ちにくくなる。
すなわち、照明器具1から放出される光の色むらの原因となる、各LED素子22からの黄白色光は、カバー40の中央部分において集約し難いだけでなく、カバー40の他の部分においても集約し難い。そのため、例えば、照明器具1のカバー40の全体において、特定の領域に濃い黄色が現れる可能性は低い。
また、図7では、最内周の円の円周Cに沿って配置された複数のLED素子22の姿勢を示し、その説明を行ったが、本実施の形態では、多重環状に配置された全てのLED素子22が、図7に示す姿勢で光源基板21に配置されている。つまり、光源基板21に配置された全てのLED素子22のそれぞれは、平面視において、黄白色光を放出する向きが中心点Pを向かないように配置されている。これにより、例えば、照明器具1が放出する光の色むらの抑制がより確実化される。
また、本実施の形態では、光源カバー30が備える複数のレンズ部31は、各LED素子22からの光の一部が、発光モジュール20の中央領域に効率よく集まるよう構成されている。これにより、例えば、照明器具1のカバー40における中央部分と周縁部分との明るさの差が低減される。
図8は、実施の形態に係る光源カバー30が備える複数のレンズ部31の構成例を示す断面図である。なお、図8では、光源基板21の径方向に並ぶ6つのLED素子22を通り、かつ、光源基板21の法線方向に平行な平面で照明器具1を切断した場合の部分断面が図示されている。また、図8では、複数のレンズ部31に含まれる複数種類のレンズ部のそれぞれを区別するために、互いに異なる符号(31a、31b、31c)が付されている。
図8に示すように、光源カバー30は、例えば複数種類のレンズ部(31a、31b、31c)を有しており、各種類のレンズ部(31a、31b、31c)は配光特性が互いに異なる。
具体的には、レンズ部(31a、31b、31c)それぞれにおける配光ピーク角度が互いに異なる。配光ピーク角度は、LED素子22の光軸方向と、レンズ部の光強度分布の光強度が最大となる方向とがなす角度である。
より詳細には、本実施の形態に係る光源カバー30において、中央領域に最も近いレンズ部31aの配光ピーク角度が最も小さく、レンズ部31b、レンズ部31cの順に、つまり、中央領域から遠ざかるほど配光ピーク角度が大きくなっている。
そのため、径方向(図8における左右方向)に並ぶ複数のLED素子22からの光の一部のそれぞれは、効率よくカバー40の中央部分に集められる。これにより、照明器具1のカバー40における中央部分と周縁部分との明るさの差が低減される。
なお、図8に示す例では、3種類のレンズ部31について説明したが、光源カバー30が有するレンズ部31の種類は、2種類であってもよく、また、4種類以上であっても構わない。
ここで、複数のLED素子22からの光の一部のそれぞれを、効率よくカバー40の中央部分に集めるように光源カバー30が構成されている場合、各LED素子22から放出される黄白色光が、カバー40の中央部分に集約される可能性がある。
しかしながら、本実施の形態に係る照明器具1では、上述のように、各LED素子22は、平面視において、黄白色光を放出する方向が、中心点P(図6参照)を向かない姿勢で光源基板21に配置されている。
そのため、平面視における中央領域に暗部が生じやすい構造を有する照明器具1において、光源カバー30がその弱点を補うように、中央領域に光が集まるよう構成されている場合であっても、例えば、カバー40の中央部分が黄色く見える可能性は低減される。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明器具1は、器具本体10と、器具本体10に取り付けられた光源基板21と、光源基板21において、環状に並んで配置された複数のLED素子22とを備える。複数のLED素子22のそれぞれは、LED光源24と波長変換材26aとを有し、LED光源24が発する青色光と、波長変換材26aによる青色光の波長の変換後の光である黄色光とが合成されることで生成される合成光を放出する。複数のLED素子22のそれぞれにおいて、A軸方向(図5参照)に放出する合成光に含まれる黄色光の割合は、他の方向(本実施の形態ではB軸方向、以下同じ)に放出する合成光に含まれる黄色光の割合よりも大きい。複数のLED素子22のそれぞれは、複数のLED素子22の並び方向に、A軸方向が直交しない姿勢で、光源基板21に配置されている。
この構成によれば、複数のLED素子22のそれぞれは、複数のLED素子22の配列により形成される環形状の中央に、黄白色光が向かい難い姿勢で、光源基板21に配置される。そのため、例えば、照明器具1のカバー40の中央部分への黄白色光の集約が抑制され、その結果、カバー40の中央部分が周縁部分よりも黄色く見える可能性が低減される。すなわち、照明器具1から放出される光の色むらが抑制される。
また、本実施の形態では、複数のLED素子22のそれぞれにおいて、LED光源24は、波長変換材26aを含む波長変換層26に覆われており、A軸方向における、LED光源24が発する白色光が波長変換層26を通過する長さは、他の方向における白色光が波長変換層26を通過する長さよりも長い。
つまり、本実施の形態では、LED光源24(2つのLEDチップ25)から放出される青色光の、波長変換材26aによる波長変換を受ける距離(光路長)が、A軸方向とB軸方向とで異なる。具体的には、A軸方向の光路長がB軸方向の光路長よりも長い。その結果、LED素子22からはA軸方向に黄白色光が放出される。従って、例えば、ある種類のLED素子を、環状に複数並べて光源基板21に配置する場合に、当該種類のLED素子におけるLED光源(LEDチップ)の位置等を確認し、他の方向に比べて光路長が長い方向を、例えば円周C(図7参照)の接線方向に向けて配置する。これにより、例えば、照明器具1のカバー40の中央部分への、特定の色の光の集約を抑制することができる。つまり、例えばLED素子の配光特性を実測せずに、そのLED素子の光源基板21に配置する際の平面視における姿勢であって、照明器具1が放出する光の色むらを抑制するための姿勢を決定することができる。
また、本実施の形態では、複数のLED素子のそれぞれにおいて、LED光源24は、波長変換材26aを含む波長変換層26に覆われており、平面視において、A軸方向におけるLED光源24から波長変換層26の端までの長さLaは、他の方向におけるLED光源24から波長変換層26の端までの長さLbよりも短い。
この場合、例えば、LED光源24が発する青色光がA軸方向において波長変換層26を通過する長さは、LED光源24が発する青色光がB軸方向において波長変換層26の通過する長さよりも長いとみなすことができる。この場合、LED素子22は、A軸方向に黄白色光を放出する可能性が高いと言える。従って、例えば、ある種類のLED素子を、環状に複数並べて光源基板21に配置する場合に、当該種類のLED素子におけるLED光源(LEDチップ)の位置等を確認し、他の方向に比べて波長変換層の端までの長さが長い方向を、例えば円周C(図7参照)の接線方向に向けて配置する。これにより、例えば、照明器具1のカバー40の中央部分への、特定の色の光の集約を抑制することができる。つまり、例えばLED素子の配光特性を実測せずに、そのLED素子の光源基板21に配置する際の平面視における姿勢であって、照明器具1が放出する光の色むらを抑制するための姿勢を決定することができる。
また、本実施の形態において、複数のLED素子22のそれぞれは、LED光源24及び波長変換材26aを収容する容器23を有する。容器23の平面視における形状は、互いに直交する第一辺23a及び第二辺23bを有する矩形である。複数のLED素子22のそれぞれにおいて、A軸方向である第一辺23aに沿った方向に放出する合成光における黄色光の割合は、B軸方向である第二辺23bに沿った方向に放出する合成光における黄色光の割合よりも大きい。
この構成によれば、例えば、発光モジュール20の光源として、平面視で矩形の容器を有するLED素子を採用する場合、直交する2辺に沿った2方向(例えば図4のA軸方向及びB軸方向)に放出される光を計測または観察することで、例えば、どちらの方向を発光モジュール20の中心(図6の中心点P)に向けないか、を決定することができる。つまり、例えばLED素子を中心とする全周について、合成光に含まれる黄色光の割合の大小を比較することなく、簡易的にLED素子の姿勢を決定できる。
また、本実施の形態において、複数のLED素子22は、円周上に並んで配置されており、複数のLED素子22のそれぞれは、円周上の当該LED素子22が配置される位置における接線方向に、A軸方向が沿う姿勢で、光源基板21に配置されている。
この構成によれば、例えば、配置される複数のLED素子22それぞれの、黄白色光を放出する方向が、円周の中心から最も離れた向きに向けられる。そのため、例えばカバー40の中央部分が周縁部分よりも黄色く見える可能性がより確実に低減される。また、複数のLED素子22から放出される黄白色光は、様々な方向に向かうため、照明器具1が放出する光の全体の中では目立ちにくくなる。すなわち、例えば、照明器具1のカバー40の全体において、特定の領域に濃い黄色が現れる可能性は低くなる。
また、本実施の形態に係る照明器具1は、光源基板21において、環状に配置された複数のLED素子22を囲むように配置された、複数の他のLED素子22を備える。
具体的には、例えば、図6に示す円周C上に配置された複数のLED素子22の外周に、これら複数のLED素子22を囲むように複数の他のLED素子22が配置されている。これにより、照明器具1が放出する光の光束を向上させることができる。
ここで、円周C上に配置された複数のLED素子22は、図7に示すように、黄白色光を放出する方向であるA軸方向を、円周Cの中心に向けない姿勢(A軸方向が円周Cと直交しない姿勢)で配置されおり、これにより、黄白色光の集約が抑制される。このようなLED素子22の姿勢は、円周Cよりも外側の円周に沿う複数のLED素子22のそれぞれに採用されてもよく、また、採用されなくてもよい。つまり、多重環状を形成するように配置された複数のLED素子22において、少なくとも、最内周の環を形成する複数のLED素子22のそれぞれが、A軸方向(黄白色光を放出する方向)を、複数のLED素子22の並び方向と直交しない姿勢で配置されていればよい。
すなわち、発光モジュール20が有する全てのLED素子22のうちの、少なくとも、発光モジュール20の中央領域に最も近い位置の複数のLED素子22が、上記姿勢で配置されていればよい。これにより、カバー40の中央部分が周縁部分よりも黄色く見える可能性が低減される。つまり、照明器具1が放出する光の色むらの抑制効果を得ることができる。
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る照明器具について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、複数のLED素子22のそれぞれは、複数のLED素子22の並び方向(例えば図7における円周Cの接線方向)とA軸方向とが平行な姿勢でなくてもよい。例えば、複数のLED素子22のそれぞれは、平面視においてA軸方向が当該並び方向に対して傾いた姿勢(A軸方向と当該並び方向とのなす角が0°以上90°未満)で光源基板21に配置されていてもよい。また、複数のLED22の姿勢(A軸方向と当該並び方向とのなす角)が統一されていなくてもよい。いずれの場合であっても、複数のLED素子22のそれぞれのA軸方向が当該並び方向に対して直交していなければ、例えばカバー40の中央部分への黄白色光の集約は抑制される。
また、光源基板21は平面視において円環状に形成されているとしたが、これに限らない。例えば、光源基板21は、平面視において矩形かつ中央に孔がない形状であってもよい。この場合であっても、光源基板21に、複数のLED素子22が環状に配置される場合であれば、複数のLED素子22のそれぞれの姿勢を、各LED素子22からの黄白色光が中央領域に集約しない姿勢とすることで、光の色むらの抑制効果を得ることができる。
また、複数のLED素子22の並びによって形成される形状は、円環である必要はない。複数のLED素子22は、例えば正多角形などの角環状に並んで配置されていてもよい。この場合であっても、複数のLED素子22のそれぞれの姿勢を、各LED素子22からの黄白色光が中央領域に集約しない姿勢とすることで、光の色むらの抑制効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係る照明器具1は、複数のLED素子22により形成される環状の発光素子列に含まれる他の1以上のLED素子22であって、複数のLED素子22の並び方向にA軸方向が直交する姿勢で配置された他の1以上のLED素子を備えてもよい。
つまり、例えば、図4において円周C上に配置された複数のLED素子22のうちの1以上のLED素子22のA軸方向が、円周Cに直交していてもよい。
すなわち、発光モジュール20が備える全てのLED素子22のA軸方向を、当該LED素子22に対応する円周の接線方向に向けると、カバー40の中央部分が周囲よりもかえって白く浮いて見える場合もあると考えられる。そこで、例えば一部のLED素子22のA軸を中心点P方向に向けることで、カバー40の中央部分における黄白色光を調節して、これにより、全体の発光色のバランスを取ることも可能である。
また、発光モジュール20が有するLED素子22は、SMD型LED素子であるとしたが、これに限らない。例えば、ベアチップが基板上に直接実装されたCOB(Chip
On Board)型の発光モジュールが照明器具1に備えられてもよい。
この場合、例えば、複数のLEDチップを個別に封止する封止部材(波長変換層の一例)であって、上述の黄色蛍光体等の波長変換材を含む封止部材を配置することで、複数のLEDチップからの光の波長を所定の波長に変換させることができる。また、この場合、例えば、1つのLEDチップと、当該1つのLEDチップを覆う封止部材との組み合わせを、1つのLED素子として捉えることもできる。つまり、LED素子は、1以上のLEDチップ(LED光源)を収容する容器を備えなくてもよい。この場合であっても、LED素子からの光を計測または観察することで、例えば黄白色光が放出される方向を特定することは可能である。
また、例えば、上記の実施の形態では、照明器具1がシーリングライトである例について示したが、これに限らない。例えば、照明器具1は、ダウンライト又はペンダントライトなどでもよい。
その他、実施の形態及びその変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施の形態または変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。