以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置、及び、接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
また、「略**」との記載は実質的に**と認められるものを含む意図であり、例えば「略円弧状」を例に挙げて説明すると、完全な円弧状はもとより、実質的に円弧状と認められるものを含む意図である。
また、以下の実施の形態で説明に用いられる図面においては座標軸が示される場合がある。Z軸のマイナス側が床面(図示しない)側、Z軸のプラス側が天井(図示しない)側を表している。また、X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向に垂直な平面(水平面)上において、互いに直交する方向である。X−Y平面は、照明器具が備える器具本体の一方側の面に平行な平面である。なお、説明の都合上、図2及び図3では、照明器具を通常の使用時の姿勢とは上下逆の姿勢で図示している。
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る照明器具について説明する。
[1.照明器具の構成]
[1−1.照明器具の全体構成]
まず、本実施の形態に係る照明器具1の全体構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る照明器具1の天井側の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明器具1の床面側の外観を示す斜視図である。図3は、本実施の形態に係る照明器具1を分解して示す分解斜視図である。
照明器具1は、例えば住宅等の建物の天井に設置され、建物の内部の空間を照明するためのシーリングライトである。図1〜図3に示すように、照明器具1は、器具本体10、電源ユニット20、発光モジュール30、レンズカバー40、側方カバー50、外郭カバー60、枠体70、及び、クッション部材80を備えている。なお、天井は、照明器具1が取り付けられる造営材の設置面の一例である。
以下、照明器具1の各構成要素について、図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。
[1−2.器具本体]
器具本体10について、図1及び図3を参照しながら説明する。
器具本体10は、電源ユニット20、発光モジュール30、側方カバー50及びクッション部材80を支持するための筐体である。器具本体10は、中央部に円形状の開口部11を有するリング状に形成されている。器具本体10は、例えばアルミニウム板又は鋼板等の板金をプレス加工することによって形成される。
開口部11の周縁部には、器具本体10を器具取付部材(図示しない)に装着するためのホルダ12が固定されている。ホルダ12の内部には、器具取付部材が脱着自在に嵌合される。なお、器具取付部材とは、天井に設置された引っ掛けシーリングボディ(図示しない)に器具本体10を脱着自在に取り付けるためのアダプタである。また、引っ掛けシーリングボディは、商用電源(図示しない)と電線(図示しない)を介して電気的に接続されている。照明器具1が天井に設置されることにより、商用電源からの交流電力が電線及び引っ掛けシーリングボディを介して照明器具1に供給される。
なお、器具本体10は、発光モジュール30からの熱を放熱するためのヒートシンクとしても機能する。
さらに、図1に示すように、器具本体10の一方側の面(本実施の形態では、天井側の面)には、例えば、ウレタン等で形成されたクッション部材80が複数取り付けられている。複数のクッション部材80は、器具本体10の周方向に沿って配置されている。照明器具1が天井に設置された際に、複数のクッション部材80が器具本体10と天井との間に挟み込まれることにより、器具本体10のぐらつき又は回転が抑制される。
[1−3.電源ユニット]
次に、電源ユニット20について、図1及び図3を参照しながら説明する。電源ユニット20は、発光モジュール30を発光させるための電力を生成するためのユニットである。電源ユニット20は、例えば、器具本体10の一方側の面に配置される。電源ユニット20は、基板21と、基板21に実装された複数の回路部品22と、基板21及び複数の回路部品22を覆うケース23を有している。
基板21は、複数の回路部品22を実装するためのプリント配線基板である。基板21は、複数の回路部品22が床面側を向くようにして、ケース23の他方側の面(本実施の形態では、床面側の面)に取り付けられている。
複数の回路部品22の各々は、発光モジュール30を発光させるための電力を生成するための電源回路を構成する電源用回路部品である。複数の回路部品22は、上述した商用電源から電線を介して供給されてきた交流電力を直流電力に変換する。複数の回路部品22で生成された直流電力が発光モジュール30に供給されることにより、発光モジュール30が発光する。
なお、複数の回路部品22には、上述した電源用回路部品だけでなく、その他の回路を構成する回路部品が含まれていてもよい。例えば、複数の回路部品22は、調光回路又は昇圧回路等を構成する駆動用回路部品を含んでいてもよく、あるいは、通信回路を構成する通信用回路部品(通信モジュール)等を含んでいてもよい。
ケース23は、基板21及び複数の回路部品22を覆うためのカバーである。本実施の形態では、基板21はケース23の他方側の面に固定されている。ケース23は、例えば、金属又は樹脂などにより形成されている。ケース23が金属で形成されている場合、基板21及び複数の回路部品22で発生した熱を効率よく放熱することができる。
[1−4.発光モジュール]
次に、発光モジュール30について、図3を参照しながら説明する。
発光モジュール30は、例えば白色光を発するための光源である。白色光とは、例えば、色温度(相関色温度)が2600K〜7100Kの光である。発光モジュール30は、複数の基板31と、複数の基板31の各々に実装された複数の発光素子32とを有している。発光モジュール30は、部屋全体を明るくする、室内照明用途の光源である。
基板31は、複数の発光素子32を実装するためのプリント配線基板であり、略円弧状に形成されている。複数の基板31の各々は、器具本体10の開口部11を囲むようにして、器具本体10の他方側の面(本実施の形態では、床面側の面)にネジ(図示しない)により取り付けられている。なお、本実施の形態では発光モジュール30は4つの基板31から構成されている例について説明しているが、基板31の数はこれに限定されない。
基板31としては、例えば、樹脂をベースとする樹脂基板、金属をベースとするメタルベース基板、セラミックからなるセラミック基板等を用いることができる。また、基板31は、リジッド基板に限定されず、フレキシブル基板であってもよい。
複数の発光素子32は、基板31の径方向に配置されている。本実施の形態では、複数の発光素子32は、基板31の周方向に6列配置されている。各列において、複数の発光素子32は、基板31の周方向に間隔を置いて配置されている。これにより、発光モジュール30全体としては、複数の発光素子32はリング状に配置されるようになる。
発光素子32の各々は、パッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型の白色LED素子である。すなわち、発光素子32の各々は、凹部を有する白色樹脂製のパッケージ(容器)と、パッケージの凹部の底面に一次実装されたLEDチップと、パッケージの凹部内に封入された封止部材とを有している。LEDチップは、例えば青色光を発する青色LEDチップである。封止部材には、青色LEDチップからの青色光を励起光として蛍光発光するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)等の黄色蛍光体が含有されている。
このように、発光素子32の各々は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって構成されたB−Yタイプの白色LED素子である。具体的には、封止部材に含有される黄色蛍光体は、青色LEDチップからの青色光の一部を吸収することにより励起されて黄色光を放出する。この放出された黄色光と黄色蛍光体に吸収されなかった青色光とが混ざることにより、白色光が生成される。このようにして発光素子32の各々から白色光が出射される。
なお、照明器具1の光源は、特に限定されるものではない。例えば、発光モジュール30の代わりに、半導体レーザ等の半導体発光素子、有機EL素子(OLED)、無機EL素子、又は、その他の固体発光素子を用いて構成された発光モジュールが用いられてもよい。また、発光モジュール30の代わりに、蛍光管が用いられてもよい。また、発光モジュール30は白色光を発光する例について説明したが、これに限定されない。
[1−5.レンズカバー]
次に、レンズカバー40について、図3を参照しながら説明する。レンズカバー40は、発光素子32の各々からの光の配光角を拡大するための光学部材である。
レンズカバー40は、リング状に形成されている。また、レンズカバー40は、透光性を有する材料(例えば、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などの透明な樹脂等)で形成されている。レンズカバー40は、複数の基板31の各々を覆うようにして、器具本体10の他方側の面にネジ(図示しない)により取り付けられる。
レンズカバー40には、複数の発光素子32の各々に対応する複数のレンズ41が形成されている。複数の発光素子32の各々からの光は、対応するレンズ41を透過する。このとき、複数のレンズ41の各々は、透過する光の配光角を拡大させる。
[1−6.側方カバー]
次に、側方カバー50について、図3を参照しながら説明する。側方カバー50は、発光モジュール30を囲む枠状の部材であり、発光モジュール30から側方カバー50に入射した光を有効に活用するための光学部材である。言い換えると、側方カバー50は、発光モジュール30を側方から覆うように配置されている。
側方カバー50は、一端部(天井側の端部)から他端部(床面側の端部)に向けて外方に傾斜している。例えば、側方カバー50は、設置面である天井から遠ざかるにつれ、テーパ状に広がっている。側方カバー50は、器具本体10と外郭カバー60との間に配置されており、器具本体10に側方カバー50の一端部が固定さることで、器具本体と10に側方カバー50が取り付けられる。また、側方カバー50の他端部には、枠体70を介して外郭カバー60が取り付けられる。
側方カバー50は、例えば、透光性を有する材料で形成されている。例えば、側方カバー50は、透光性を有するアクリル樹脂で形成されている。これにより、発光モジュール30から側方カバー50に入射した光は、側方カバー50を透過して外部に出射される。側方カバー50から出射された光により、主に天井面又は壁面が照らされる。これにより、照明器具1が照明する空間をより明るくすることができる。
また、側方カバー50には、例えば、光拡散材が内部に分散された乳白色の拡散パネルを用いることができる。これにより、発光モジュール30から側方カバーに入射した光は、側方カバー50を透過することで散乱されるので、側方カバー50から出射された光は、略均一の明るさで天井面又は壁面を照らすことができる。
なお、側方カバー50が透光性を有している例について説明したが、これに限定されない。側方カバー50は、透光性を有しておらず、反射性(光反射性)を有していてもよい。例えば、側方カバー50は、アルミニウム板又は鋼板等の板金をプレス加工することによって形成されてもよい。さらに、側方カバー50の内周面に反射性を高めて光取り出し効率を向上させるために、白色塗料が塗布、又は、反射性金属材料が蒸着されていてもよい。当該側方カバー50の内周面に入射した光は外郭カバー60に向けて反射される。これにより、照明器具1の外郭カバー60から出射する光の光量を増やすことができる。
[1−7.外郭カバー]
次に、外郭カバー60について、図2〜図5を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態に係る照明器具1の断面の一例を示す断面図である。具体的には、図4の(a)は、図1のIV−IV線における断面図である。図4の(b)は、図4の(a)の破線領域の拡大断面図である。より詳しくは、後述する図6のIV(b)−IV(b)における断面図である。ここで、断面図とは、切断された照明器具1の断面のみを示しており、以降においても同様である。
外郭カバー60(下面パネル)は、発光モジュール30を覆うカバーである。本実施の形態では、外郭カバー60の平面視形状は、略円形状である。
図4の(a)に示すように、外郭カバー60は、側方カバー50の他端部及び枠体70により側方カバー50に固定される。側方カバー50の他端部に枠体70がネジ71により取り付けられている。外郭カバー60の外周部が側方カバー50の他端部と枠体70とに挟まれることで、外郭カバー60は側方カバー50に固定される。
なお、外郭カバー60の断面視形状は、略矩形状である。言い換えると、外郭カバー60は、平板状のカバーである。なお、断面視とは、天井と垂直な平面(例えば、Y軸とZ軸とで規定される平面)で切断された断面を、当該平面と直交する方向から見ることであり、以降においても同様である。
器具本体10に取り付けられた発光モジュール30が出射した光はレンズカバー40を介して外郭カバー60に入射する。そして、外郭カバー60を透過した光は、照明光として床面などを照らす。なお、発光モジュール30から出射され側方カバー50で反射した光も、外郭カバー60に入射する。
また、側方カバー50と外郭カバー60とは、別々に製造されたカバーであり、上記で説明したように、ネジなどにより側方カバー50に外郭カバー60が固定される。
図4の(b)に示すように、外郭カバー60は、透明基材61、装飾層62及び光拡散層63により構成されている。光拡散層63は、発光モジュール30から出射された光を散乱させるための部材である。透明基材61は、光拡散層63で散乱された光を透過するための部材である。装飾層62は、外郭カバー60に所定の模様を構成するための部材である。本実施の形態に係る外郭カバー60は、透明基材61及び光拡散層63の間に装飾層62が配置されている点に特徴を有する。発光モジュール30からの光は、外郭カバー60の光拡散層63に入射し、透明基材61から照明光として出射される。
透明基材61は、透明な材料で形成される基材である。本実施の形態では、透明基材61は、透明なアクリル樹脂により形成されている。これにより、光拡散層63により散乱された光を透過することができる。
透明基材61の断面視形状は、略矩形状である。つまり、透明基材61は、平板状の部材である。これにより、透明基材61上に装飾層62及び光拡散層63を印刷又は塗布などにより形成する場合、装飾層62及び光拡散層63が形成しやすくなる。言い換えると、透明基材61が平板状であることで、装飾層62及び光拡散層63を形成する際の生産性が向上する。また、透明基材61の厚みは、特に限定されないが、一例として3mmである。なお、透明基材61は、透明シート又は透明フィルムなどであってもよい。
装飾層62は、外郭カバー60に浮かび上がらす所定の模様を構成する。装飾層62は、透明基材61の発光モジュール30側の面(以降、内面とも記載する)に設けられる。装飾層62は、例えば、シルク印刷用のインクをシルク印刷により透明基材61の内面に印刷することで形成される。装飾層62は、透明基材61の内面の一部に形成される。なお、印刷手法はシルク印刷に限定されない。本実施の形態に係る透明基材61は平板状であり凹凸が少ないので、例えば、インクジェットプリントなど様々な印刷手法で容易に装飾層62を形成することができる。また、上記では、透明基材61の内面に装飾層62を形成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、透明基材61と装飾層62との間に、別の層が形成されていてもよい。つまり、装飾層62は透明基材61に対して、発光モジュール30側に形成されていればよい。
装飾層62の厚みは、特に限定されないが、一例として5μm以上10μm以下である。これにより、装飾層62は、光拡散層63で散乱された光を所定の割合透過させることができる。言い換えると、光拡散層63で散乱された光は装飾層62を透過することで、光の強度が弱められる。つまり、装飾層62を透過していない光に比べ、装飾層62を透過した光は暗くなる。よって、床面から照明器具1を見ると、装飾層62に対応した模様(例えば、明暗のある模様)が外郭カバー60に浮かび上がる。
なお、装飾層62は、上記材料又は形成方法に限定されない。例えば、装飾層62は、所定の模様が印刷された透明なシート又はフィルムなどを透明基材61の内面に配置することで実現されてもよい。また、装飾層62が設けられるとは、シルク印刷などにより装飾層62が形成される又はシートなどにより装飾層62が配置されることを含む意図である。
また、図4の(b)に示すように、外郭カバー60の装飾層62が形成されている部分は第1カバー部60aの一例であり、外郭カバー60の装飾層62が形成されていない部分は第2カバー部60bの一例である。
光拡散層63は、装飾層62が形成された透明基材61の内面に設けられる。光拡散層63は、透光性を有する材料で形成される。例えば、光拡散層63は、アクリル系の塗料を装飾層62が形成された透明基材61の内面に塗装することにより形成される。例えば、光拡散層63は、装飾層62が形成された透明基材61の内面に拡散塗装を施すことで形成される。
光拡散層63の厚みは、特に限定されないが、一例として10μm以上15μm以下である。
図4の(b)に示すように拡散塗装を施すことで形成された光拡散層63は、断面視において、装飾層62が設けられている部分では装飾層62の発光モジュール30側の面と接しており、装飾層62が設けられていない部分では透明基材61の内面と接している。
なお、光拡散層63は、上記材料又は形成方法に限定されない。例えば、光拡散層63は、所定の拡散度合いを有するシート又はフィルムなどを装飾層62が形成された透明基材61の内面に配置することで実現されてもよい。また、上記では、装飾層62が形成された透明基材61の内面に光拡散層63を形成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、透明基材61と光拡散層63との間、又は、装飾層62と光拡散層63との間に、別の層が形成されていてもよい。つまり、光拡散層63は透明基材61に対して、発光モジュール30側に形成されていればよい。
ここで、光拡散層63がシート又はフィルムである場合について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る照明器具1の断面の他の一例を示す断面図である。具体的には、図5の(a)は、図1のIV−IV線における断面図であり、図5の(b)は、図5の(a)の破線領域の拡大断面図である。なお、図5の(a)は図4の(a)と同じ断面図であるので、説明を省略する。
図5の(b)に示すように、光拡散層63aがシート又はフィルムである場合、断面視において、光拡散層63aは、装飾層62が設けられている部分では装飾層62の発光モジュール30側の面と接している。一方、装飾層62が設けられていない部分では、光拡散層63aは、透明基材61の内面とは接していない。つまり、装飾層62が設けられていない部分では、透明基材61と光拡散層63aとの間には、例えば、空気層64が形成される。言い換えると、光拡散層63aは、透明基材61に対して、発光モジュール30側に形成されている。この場合も、後述する拡散塗装により光拡散層63を形成した場合の効果と、同様の効果を奏する。
なお、図5の(b)に示すように、外郭カバー60の装飾層62が形成されている部分は第1カバー部60aの一例であり、外郭カバー60の装飾層62が形成されていない部分(例えば、空気層64が形成されている部分)は第2カバー部60bの一例である。
なお、光拡散層63が設けられるとは、塗料を塗装することにより光拡散層63が形成される又はシートなどにより光拡散層63が配置されることを含む意図である。
上記のように、本実施の形態に係る外郭カバー60は、装飾層62が透明基材61及び光拡散層63の間に設けられている。
続いて、照明器具1の点灯時に外郭カバー60に浮かび上がる模様の例について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態に係る外郭カバー60に浮かび上がる模様の一例を示す図である。言い換えると、照明器具1の点灯時に、床面から照明器具1を見た場合、外郭カバー60に浮かび上がっている模様の一例を示す図である。具体的には、図2の破線領域Rの模様を示している。また、図6において、黒く図示している部分は光が暗いことを示しており、白く図示している部分は光が明るいことを示している。
本実施の形態に係る外郭カバー60の第1カバー部60aと第2カバー部60bとの透過率の差は10%以上あるので、図6に示すように明暗がくっきりした模様を外郭カバー60に浮かび上がらせることができる。なお、図6の黒く図示している部分は、図4の(b)の第1カバー部60aを透過した光により形成されている。また、図6の白く図示している部分は、図4の(b)の第2カバー部60bを透過した光により形成されている。
なお、外郭カバー60に浮かび上がらせる模様は、図6に示す模様に限定されない。例えば、模様は、文字、図形(幾何学模様)、絵画等であってもよい。また、模様は、図6に示すように明暗の2階調であることに限定されない。例えば、3階調以上の模様であってもよい。または、模様は複数の色から構成されていてもよい。これは、例えば、所定の顔料などを含んだインクを印刷することで実現される。
[1−8.枠体]
次に、枠体70について、図1〜図4の(a)を参照しながら説明する。枠体70は、外郭カバー60を側方カバー50に固定するための部材である。
図4の(a)に示すように、枠体70の断面視形状は、略L字状である。枠体70の天井側の面には、天井側に突出したネジ穴(図示しない)が形成されている。側方カバー50及び外郭カバー60には、枠体70のネジ穴に対応した貫通孔(例えば、切欠き状の開口)が形成されている。当該貫通孔に枠体70のネジ穴を挿入しネジ71がネジ穴にねじ込まれることにより、外郭カバー60は側方カバー50に固定される。これにより、衝撃などで外郭カバー60が周方向に回転することを抑制できる。
枠体70に形成されるネジ穴は、枠体70の天井側の面から天井側に突出して形成されているので、図2に示すように床面側から照明器具1を見てもネジ71を視認することはできない。言い換えると、枠体70を用いることで、照明器具1の美観を損ねることなく、外郭カバー60を側方カバー50に固定することができる。
[2.点灯時と非点灯時における模様の見え方]
続いて、本実施の形態の照明器具1が点灯しているとき及び消灯しているときの模様の見え方について、図7を参照しながら説明する。図7は、本実施の形態に係る照明器具1の点灯時及び消灯時での模様の見え方を説明するための図である。図7の(a)は照明器具1の点灯時、図7の(b)は照明器具1の消灯時の模様の見え方を説明するための図である。なお、図中の矢印は、光の一例を示している。図7の(a)の光は、照明器具1の発光モジュール30からの光である。図7の(b)の光は、照明器具1の外部から照明器具1の外郭カバー60へ入射する外光である。なお、外光とは、発光モジュール30からの光以外に外郭カバー60に入射する光のことである。例えば、外光は、太陽光、テレビなどの映像表示装置、又は他の照明器具からの光などである。
図7の(a)に示すように、発光モジュール30からの光は外郭カバー60の光拡散層63に入射する。言い換えると、発光モジュール30と光拡散層63とは対向して配置されており、発光モジュール30からの光は外郭カバー60の中で最初に光拡散層63に入射する。光拡散層63に入射した光は、光拡散層63により散乱される。
外郭カバー60のうちの第1カバー部60aでは、光拡散層63で散乱された光が、装飾層62に入射する。装飾層62は所定の透過率を有しており、装飾層62に入射した光は、装飾層62の透過率に応じて減光される。減光された光は透明基材61を透過することで、照明器具1から照射される。一方、外郭カバー60の第2カバー部60bでは、光拡散層63で散乱された光が、透明基材61に入射し、透明基材61を透過することで、照明器具1から照射される。つまり、外郭カバー60のうちの第1カバー部60aを透過した光(暗い光とも記載する)は、第2カバー部60bを透過した光(明るい光とも記載する)に比べ、装飾層62が有する光透過率に応じた分だけ減光される。これにより、床面側から照明器具1を見ると、外郭カバー60に光の明暗により形成された模様が見える。具体的には、第1カバー部60aを透過した光は、第2カバー部60bを透過した光より暗く見える。なお、図7の(a)では、矢印の幅を小さくすることで、減光されていることを表している。
模様は、暗い光と明るい光との明るさの差が大きいほどくっきりと見える。言い換えると、第1カバー部60aと第2カバー部60bとの光透過率(全光線透過率)の差が大きいほど、模様はくっきりと見える。例えば、外郭カバー60の第1カバー部60aと、第2カバー部60bとの光透過率の差は、10%以上である。言い換えると、第1カバー部60aの光透過率は、第2カバー部60bの光透過率に比べ、10%以上低い。これにより、照明器具1が点灯しているときに、模様がくっきりと見える。また、光透過率の差は、例えば、装飾層62の厚みにより制御される。例えば、装飾層62の厚みを5μm以上とすることで、第1カバー部60aと第2カバー部60bとの光透過率の差を10%以上とすることができる。
第1カバー部60aの光透過率は、一例として44%である。また、第2カバー部60bとの光透過率は、一例として59%である。
ここで、比較例として、基材(本実施の形態では透明基材61)が光拡散機能を有しており、装飾層が基材の光源側の面に形成されている場合について説明する。この場合、装飾層で減光された光が基材により散乱されて、照明器具から照射される。また、装飾層を透過しない光は、直接基材に入射し、基材を透過することで散乱される。そのため、基材を平面視した場合において、装飾層が形成されている部分と装飾層が形成されていない部分との境界付近の領域では、装飾層を透過して減光された光と装飾層を透過していない光とが混ざって基材から照射される。よって、当該照明器具を床面側から見ると、模様の輪郭がくっきりと見えないことがある。一方、本実施の形態に係る外郭カバー60では、装飾層62は透明基材61と光拡散層63との間に設けられている。言い換えると、装飾層62と透明基材61との間には、光拡散層63は設けられていない。これにより、装飾層62を透過した光が光拡散層63により散乱されることがないので、本実施の形態に係る照明器具1は比較例に比べ模様の輪郭がくっきりと見える。言い換えると、本実施の形態に係る照明器具1によれば、照明の演出効果を従来よりも高めることができる。
なお、照明器具1が点灯しているときに、照明器具1に外光が入射することはあるが、図7の(a)では点灯時に入射する外光を省略している。
続いて、図7の(b)を参照しながら、照明器具1が消灯しているときの装飾層62の見え方について説明する。照明器具1が消灯している、つまり発光モジュール30から光が出射されていない場合、照明器具1には外光が入射することがある。
外光は、外郭カバー60の透明基材61の床面側の面(裏面とも記載する)に入射する。外郭カバー60は透明な基材であり、入射する外光を透明基材61の裏面で反射させる。例えば、所定の角度から入射する外光を全反射させる。つまり、透明基材61が透明な基材であり外光を反射させるので、透明基材61を透過する外光を減光することができる。
透明基材61を透過した外光のうちの装飾層62が形成されている部分を透過する外光は、装飾層62を透過し光拡散層63に入射する。このとき、装飾層62を透過することで、透明基材61を透過した外光は、さらに減光される。一方、透明基材61を透過した外光のうちの装飾層62が形成されていない部分を透過する外光は、光拡散層63に入射する。例えば、装飾層62が形成されていない部分を透過する外光は、直接光拡散層63に入射する。つまり、装飾層62を透過しないので、装飾層62により減光されない。そして、装飾層62を透過した外光及び装飾層62を透過しなかった外光は、光拡散層63を透過することで散乱される。光拡散層63により床面側に散乱された外光は、透明基材61を透過して床面側に照射される。
外郭カバー60のうちの装飾層62が形成されている部分を透過し光拡散層63で散乱され透明基材61から照射される外光(暗い外光とも記載する)と、装飾層62が形成されていない部分を透過し光拡散層63で散乱され透明基材61から照射される外光(明るい外光とも記載する)とは、明るさが異なる。具体的には、暗い外光は、装飾層62に透過するときに減光するので、その分明るい外光よりも暗い。暗い外光と明るい外光との明るさの差が大きいと、床面側から見たときに模様がよく見える。
本実施の形態に係る外郭カバー60では、外光はまず透明基材61の床面側の面で反射されるので、透明基材61を透過する外光の光量は、透明基材61に入射した外光の光量より少なくなる。暗い外光と明るい外光とは、装飾層62の透過の有無に応じて明るさに差が発生するが、透明基材61を透過する外光の光量自体が少ないので、暗い外光と明るい外光との明るさの差(輝度差)は少ない。つまり、床面側から、消灯しており外光が照射している照明器具1を見ても、装飾層62による模様が見え難い。よって、照明器具1が消灯しているときに照明器具1の外郭カバー60に模様が浮かび上がり、照明器具1の美観を損ねることを低減することができる。言い換えると、本実施の形態に係る照明器具1によれば、消灯時の照明器具1の美観を従来よりも高めることができる。
ここで、比較例として、基材(本実施の形態では透明基材61)が光拡散機能を有しており、装飾層が基材の床面側の面に形成されている場合について説明する。つまり、基材と装飾層とで外郭カバーを構成している。この場合、装飾層が形成されている部分では、外光は直接装飾層に入射する。また、装飾層が形成されていない部分では、外光は直接基材に入射する。つまり、本実施の形態に係る照明器具1とは異なり、外光が装飾層又は基材に入射する前に、外光が減光されない。そのため、装飾層を透過し基材で散乱された外光と、装飾層を透過せず基材で散乱された外光との明るさの差が照明器具1より大きくなる。よって、比較例に係る照明器具では、照明器具の消灯時に模様が見えやすい。さらに、比較例に係る基材の床面側の面には装飾層による凹凸が形成されているので、当該凹凸による陰影が見えやすい。
一方、本実施の形態に係る外郭カバー60では、装飾層62は透明基材61と光拡散層63との間に設けられている。言い換えると、透明基材61の裏面には、装飾層62による凹凸が形成されていない。そのため、装飾層62の陰影が見え難い。これにより、比較例に比べ消灯時に模様が見えにくい。
なお、第1カバー部60aと第2カバー部60bとの光透過率の差が大きい、つまり装飾層62の厚みが厚いと、消灯時に模様が見えやすくなる。消灯時の模様の見えを低減する観点から、装飾層62の厚みは10μm以下であることが好ましい。
[3.効果]
次に、本実施の形態に係る照明器具1の効果について説明する。
本実施の形態に係る照明器具1は、光源(例えば、発光モジュール30)と、光源を覆う外郭カバー60と、を備える。外郭カバー60は、透明基材61と、透明基材61の光源側に設けられ透光性を有する光拡散層63と、透明基材61及び光拡散層63の間に設けられ、所定の模様を構成する装飾層62とから構成される。
これにより、照明器具1が消灯しており、かつ照明器具1に外光が入射している場合、外光は透明基材61で反射されるので、透明基材61を透過する外光の光量は透明基材61に入射した外光の光量より少なくなる。外郭カバー60のうちの装飾層62が形成されている部分を透過し光拡散層63で散乱され透明基材61から照射される外光(暗い外光)と、装飾層62が形成されていない部分を透過し光拡散層63で散乱され透明基材61から照射される外光(明るい外光)とは、装飾層62の透過の有無に応じて明るさに差が発生する。照明器具1では、透明基材61を透過する外光の光量自体が少ないので、暗い外光と明るい外光との明るさの差(輝度差)も少なくなる。つまり、消灯しているときに照明器具1の外郭カバー60に模様が浮かび上がり、照明器具1の美観を損ねることを低減することができる。言い換えると、本実施の形態に係る照明器具1によれば、消灯時の照明器具1の美観を高めることができる。
さらに、装飾層62が透明基材61及び光拡散層63の間に設けられている、つまり装飾層62を透過した光は光拡散層63により散乱されることがないので、床面側から照明器具1を見ると、輪郭がくっきりした模様が見える。よって、従来に比べ照明の演出効果を高めることができる。
また、外郭カバー60は、装飾層62が形成されている第1カバー部60aと、装飾層62が形成されていない第2カバー部60bと、を有し、第1カバー部60aの光透過率は、第2カバー部60bの光透過率に比べ10%以上低い。
これにより、照明器具1が点灯している場合、装飾層62により構成される模様が、照明器具1の床面側からくっきりと見える。
また、透明基材61の形状は、平板状である。
これにより、透明基材61に装飾層62及び光拡散層63を形成する場合、透明基材61の表面に凹凸がないので、印刷などの容易な方法で装飾層62及び光拡散層63を形成することができる。
また、装飾層62は、シルク印刷により形成される。
これにより、シルク印刷といった一般的な印刷手法で、装飾層62を形成することができる。
また、装飾層62の厚みは、5μm以上10μm以下である。
これにより、外郭カバー60の装飾層62が形成されている部分の光透過率を、外郭カバー60の装飾層62が形成されていない部分の光透過率に比べ10%以上低くすることができる。言い換えると、装飾層62の厚みを、5μm以上10μm以下とすることで、模様をくっきりと見せることができる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、照明器具1が取り付けられる造営材の設置面が天井である場合について説明したが、設置面はこれに限定されない。例えば、造営材の設置面は、建物の壁等であってもよい。なお、設置面が壁である場合、一方側の面は、照明器具1が設置されている壁などであり、他方側の面は設置面と対向する壁などである。
これにより、造営材の設置面が天井である場合と同様の効果を奏する。
また、上記実施の形態では、透明基材61は平板状の部材である例について説明したが、透明基材61の形状は特に限定されない。例えば、透明基材61はドーム状であってもよいし、その他の形状であってもよい。例えば、透明基材61の平面視形状は矩形状(スクウェア状)であってもよいし、長尺状であってもよい。なお、透明基材61がドーム状である場合、外郭カバー60は直接器具本体10に取り付けられてもよい。つまり、透明基材61がドーム状である場合、照明器具1は、側方カバー50を備えていなくてもよい。
これにより、透明基材61が平板状である場合と同様の効果を奏する。
また、上記実施の形態では、照明器具1をシーリングライトとしたが、これに限定されない。例えば、ブラケットライト、バスルームライト又はキッチンライト等としてもよい。
また、上記実施の形態では、発光素子をSMD構造としたが、これに限定されない。例えば、LEDチップを基板に直接実装したCOB(Chip On Board)構造であってもよい。この場合、封止部材によって、基板上に実装された複数のLEDチップを一括に封止してもよく、あるいは、個別に封止してもよい。また、封止部材には、上述した黄色蛍光体等の波長変換材が含有されていてもよい。
また、上記実施の形態では、複数の基板31をリング状に並べることにより発光モジュール30を構成したが、これに限定されない。例えば、1つのリング状の基板で発光モジュール30を構成してもよい。
また、上記実施の形態では、発光素子32が基板31に複数配置されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、基板31に配置される発光素子32は1つであってもよい。
また、上記実施の形態では、側方カバー50と外郭カバー60とが別体である例について説明したが、これに限定されない。例えば、側方カバー50と外郭カバー60とは一体形成されてもよい。
また、上記実施の形態では、外郭カバー60に1種類の模様が浮かび上がる例について説明したが、これに限定されない。複数種類の異なる模様を外郭カバー60に浮かび上がらせてもよい。
また、図5の(b)では、装飾層62が形成されていない部分において、透明基材61と光拡散層63との間に空気層64が形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、装飾層62が形成されていない部分において、透明基材61と光拡散層63との間には、透明な樹脂などによる樹脂層が形成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、器具本体10がリング状である例について説明したが、器具本体10の形状は特に限定されない。
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の主旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。