JP2021147729A - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維前駆体繊維の製造方法 Download PDF

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貴也 藻寄
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Abstract

【課題】炭素繊維前駆体繊維の品位低下原因となる直径0.1〜0.3μmのボイドを抑制した炭素繊維前駆体繊維を提供する。【解決手段】ポリアクリロニトリル共重合体および溶媒を含有する紡糸原液を紡糸して凝固糸を得て該凝固糸を延伸する工程を含む炭素繊維前駆体繊維の製造方法において、紡糸原液中の遊離硫酸イオン濃度を20ppm以下とすることを特徴とする、炭素繊維前駆体繊維の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維の製造に用いる炭素繊維前駆体繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は優れた機械特性、特に高い比強度・比弾性率を有することから、宇宙航空関係、レジャー用品及び工業材料等の各種補強材料の強化材として広く用いられている。その優れた機械特性から自動車などの軽量化が見込め、深刻化する二酸化炭素削減問題に対する一環として注目されている。
炭素繊維は、前駆体である有機ポリマーから調製した繊維を酸素存在下に耐炎化処理し、次いで炭素化することで製造される。前駆体として例えば、セルロース、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、ピッチ、ポリアクリロニトリル(以下、単にPANと称することがある)が挙げられるが、なかでもPAN系繊維から得られる炭素繊維が比強度、比弾性率などの力学特性に優れており、品質、性能を均一かつ安定的に製造できるため、工業的に大量に生産されている。
PAN系繊維は、一般的に湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により生産される。いずれの方法でも、原料のPANを溶剤に溶解した紡糸原液を使用することが一般的である。炭素繊維の高性能化には炭素繊維前駆体繊維の品位向上が効果的である。例えば、紡糸原液中のゲルの生成や増加を抑制する目的で、紡糸原液中のアクリロニトリル残存量を制御する技術(例えば、特許文献1)が提案されている。
また、紡糸原液中の異物をろ過捕集する目的で、フィルター濾材と紡糸原液のろ過速度に関する技術(例えば、特許文献2)が提案されている。
特開2018−84002号公報 特開2017−128838号公報
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、炭素繊維前駆体繊維の品位低下の原因となるボイド、特に直径0.1〜0.3μmの微小なボイドを抑制した炭素繊維前駆体繊維を提供することにある。
すなわち本発明は、ポリアクリロニトリル共重合体および溶媒を含有する紡糸原液を紡糸して凝固糸を得て該凝固糸を延伸する工程を含む炭素繊維前駆体繊維の製造方法において、紡糸原液中の遊離硫酸イオン濃度を20ppm以下とすることを特徴とする、炭素繊維前駆体繊維の製造方法である。
本発明によれば、炭素繊維前駆体繊維の品位低下の原因となるボイド、特に直径0.1〜0.3μmの微小なボイドを抑制した炭素繊維前駆体繊維を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、紡糸原液中の遊離硫酸イオン濃度を20ppm以下、好ましくは19ppm以下とする。この遊離硫酸イオンは、化学式SO 2−で表されるイオンであり、ポリアクリロニトリル共重合体に結合していないものである。本発明では、この遊離硫酸イオンを20ppm以下にすることにより炭素繊維前駆体繊維のボイドを抑制することができる。なお、ポリアクリロニトリル共重合体に置換基として結合した硫酸イオン基はそもそも炭素繊維前駆体繊維のボイドの発生原因にならない。本発明では、紡糸原液中の遊離硫酸イオン濃度を20ppm以下にすることで炭素繊維前駆体繊維のボイドを抑制することができる。
〔ポリアクリロニトリル共重合体〕
ポリアクリロニトリル共重合体は、ポリアクリロニトリルに、共重合モノマーとして重合性不飽和化合物を共重合した共重合ポリマーである。この重合性不飽和化合物として不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、芳香族ビニル化合物、複素環式ビニル化合物を用いることができ、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリルアミド、イタコン酸エステル、ビニルスルホン酸を用いることができる。なかでも、炭素繊維前駆体繊維から炭素繊維を得るときの生産性を高くする観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。
ポリアクリロニトリル共重合体におけるアクリロニトリル成分の割合は、炭素化収率や炭素繊維としての力学特性の観点から、好ましくは90〜99.5重量%、さらに好ましくは94〜99.5重量%である。
本発明においてポリアクリロニトリル共重合体を得るに際し、フリーラジカル重合法、イオン重合法など公知の重合反応により得ることができるが、生産性の観点からフリーラジカル重合法が好ましい。また、重合開始剤は過酸化物系、アゾ系、レドックス系などの公知のラジカル開始剤を用いることができるが、遊離硫酸イオン濃度を低くする観点から、過酸化物系、アゾ系のラジカル開始剤を用いることが好ましい。この際、重合方法として溶液重合、懸濁重合など公知の重合方法を用いることができるが、重合開始剤の溶解性と紡糸原液の生産性を考慮し、溶液重合を採用することが好ましい。溶液重合法で重合開始剤としてアゾ系または過酸化物系を用いることで、硫酸や硫酸塩を添加しない限り、本発明において紡糸原液にはポリアクリロニトリル共重合体の溶液重合法による重合反応に供する原材料に由来するもの以外の硫酸イオンは含まれない。
他方、懸濁重合により重合したポリアクリロニトリル共重合体は、重合開始剤の活性を保つため添加されている硫酸や硫酸塩に由来する遊離硫酸イオンがポリアクリロニトリル共重合体に混入しており、遊離硫酸イオンとしてポリアクリロニトリル共重合体に多量に含有されている。これらはポリアクリロニトリル共重合体の水洗浄によりある程度は除去することができるが、本発明者の知見によると十分に除去することは困難である。
なお、ポリアクリロニトリル共重合体中の遊離硫酸イオン濃度は、イオンクロマトグラフィーにより測定および算出される硫酸イオン濃度である。
本発明では、溶液重合の溶媒として、ポリアクリロニトリル共重合体が可溶な無機溶剤および有機溶剤を用いることができ、好ましくは有機溶剤である。さらに好ましくはジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドおよび/またはジメチルホルムアミドである。これらは一種類を用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
〔紡糸原液〕
紡糸原液中のこの遊離硫酸イオン濃度は、溶液重合により得られたポリアクリロニトリル共重合体を用いることで達成することができる。すなわち本発明では、紡糸原液中の遊離硫酸イオンが、ポリアクリロニトリル共重合体の溶液重合に供する原材料に含有される硫酸または硫酸塩化合物に由来し、好ましくは紡糸原液中の全ての遊離硫酸イオンが、ポリアクリロニトリル共重合体の溶液重合法による重合反応に供する原材料に含有される硫酸または硫酸塩化合物に由来する。
この遊離硫酸イオンの対となるカチオン種として、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンを例示することができる。
紡糸原液における、ポリアクリロニトリル共重合体の濃度は、好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。この範囲の濃度とすることによって、優れた生産性で炭素繊維前駆体繊維を得ることができる。
紡糸原液の調製後、紡糸原液をフィルター濾材に通してゲル状異物や非溶解成分を濾別し、湿式紡糸または乾湿式紡糸により紡糸を行い、凝固糸を得る。凝固糸を得る紡糸におけるフィラメント数は、製造効率の観点から好ましくは1000本以上とする。
凝固糸を、水洗、乾燥、延伸およびオイリングすることで、炭素繊維前駆体繊維を得る。水洗、乾燥、延伸およびオイリングは、いずれも周知の方法により行うことができる。
凝固制御性の観点から、紡糸原液は、溶媒中での溶液重合により得られたポリアクリロニトリル共重合体溶液にアンモニアガスを吹込み、ポリアクリロニトリル共重合体溶液中の酸成分を中和することで得られた紡糸原液であることが好ましい。
〔ボイド〕
本発明において、工程Bにおける凝固糸中の直径0.1〜0.3μmのボイドの個数は、好ましくは1個以下、さらに好ましくは0個である。1個を超えると品位低下や炭素繊維の性能低下の原因となる。
なお、凝固糸中の直径0.1〜0.3μmのボイドの数は、透過型電子顕微鏡により画像から、目視にて数えた個数である。ボイドが円形でない場合、画像上で最も長い径を直径とする。
以下、実施例により本発明方法を更に詳しく具体的に説明する。測定または評価は、以下の方法で行った。
(1)遊離硫酸イオン濃度
ポリアクリロニトリル共重合体の遊離硫酸イオン濃度は、ポリアクリロニトリル共重合体から遊離の硫酸イオンを抽出し、イオンクロマトグラフィーにより算出した。抽出作業としては、ポリアクリロニトリル共重合体を25g/Lとなるように、ジメチルスルホキシドに溶解し、徐々に1重量%トリエタノールアミン水溶液を加えていき、ポリアクリロニトリル共重合体を析出させた。析出したポリアクリロニトリル共重合体を除き、得られた抽出液を使用してイオンクロマトグラフィーを行った。測定装置として、ICS−6000(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、カラムにはIonPac AS11−HC(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、溶離液にはKOH水溶液を用いた。既知の硫酸イオン濃度を有する溶液を使用して検量線を作成し、硫酸イオンに該当するピーク強度より遊離硫酸イオン濃度を算出した。
(2)凝固糸中のボイドの個数
凝固糸中のボイドの個数は、透過型電子顕微鏡(日本FEI社製TECNAIG2)での観察により測定した。凝固糸は凝固浴から引きあげられた箇所にて採取し、糸中の残存溶剤を水置換した。続いて、樹脂で包埋したうえで、ウルトラミクロトームを用いて、繊維軸に対して垂直方向断面で、約90nm厚の切片を作製した。透過型電子顕微鏡による観察は、加速電圧120kVで、観察倍率5000倍とし、エネルギーフィルターを用いて0 loss像を観察した。1箇所当たりの観察視野は、繊維断面において繊維表面から繊維軸に対して垂直方向に4μmの範囲かつ30μmとした。観察箇所は、観察視野の中心部が繊維断面の中心部に対して円周方向に等間隔となるように6箇所とした。得られた観察画像から直径0.1〜0.3μmのボイドを数えた。この際、ボイドの径は画像処理ソフトウェアImageJを用いて測定を行った。ボイドが楕円の場合は長軸を直径とした。サンプル数は無作為に選択した3点とし、ボイド数の合計値を求めた。
〔実施例1〕
攪拌翼と温水ジャケットと窒素導通管を備えた容積150Lの反応槽に、ジメチルスルホキシドを78Kg、アクリロニトリルを22kg、イタコン酸を0.22kg仕込み、均一になるように攪拌混合し、60℃まで昇温させた。60℃に到達後、アゾビスイソブチロニトリルを0.09Kg、オクチルメルカプタンを0.02Kg投入し、反応を開始した。反応開始後4時間までは反応温度が60℃となるように温度制御を行った。その後、10℃/時間の速度で2時間昇温した。続く6時間について、反応温度が80℃となるように温度制御を行い、ドープを得た。得られたドープを減圧することで、未反応のアクリロニトリルを留去させた。続いて、ドープにアンモニアガスを吹込み、均一になるように攪拌混合させ、紡糸原液を得た。
この時、原料として使用したジメチルスルホキシドおよび、アクリロニトリル、イタコン酸にそれぞれ含まれる硫酸イオン濃度を測定したところ、それぞれ0ppm、25ppm、13ppmであった。なお、重合反応の反応系には、これらの原料に由来するもの以外の硫酸や硫酸塩を添加していない。得られた紡糸原液に含まれる遊離硫酸イオン濃度は6ppmであった。
前記紡糸原液を目開き3μmのフィルターに通過させ、温度30℃に保温し、直径0.15mmの口金を用いて、一旦空気中(行程長3mm)に吐出し、行程長3mmの空気中を通過させた後、濃度35重量%、浴温度3℃のジメチルスルホキシド水溶液に導入して、凝固糸を得た。
凝固糸中の残存溶媒を水置換し、凝固糸の断面を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、直径が0.1〜0.3μmのボイドの個数は0個であった。
〔実施例2〕
攪拌翼と温水ジャケットと窒素導通管を備えた容積150Lの反応槽に、ジメチルスルホキシドを78Kg、アクリロニトリルを22kg、イタコン酸を0.22kg仕込み、均一になるように攪拌混合し、60℃まで昇温させた。60℃に到達後、アゾビスイソブチロニトリルを0.09Kg、オクチルメルカプタンを0.02Kg投入し、重合反応を開始した。反応開始後4時間までは反応温度が60℃となるように温度制御を行った。その後、10℃/時間の速度で2時間昇温した。続く6時間について、反応温度が80℃となるように温度制御を行い、ドープを得た。得られたドープを減圧することで、未反応のアクリロニトリルを留去させた。続いて、ドープにアンモニアガスを吹込み、均一になるように攪拌混合させ、紡糸原液を得た。
このとき、ジメチルスルホキシドは凝固液を回収精製して得られたものを使用した。ジメチルスルホキシド、アクリロニトリル、イタコン酸にそれぞれ含まれる硫酸イオン濃度を測定したところ、それぞれ1ppm、25ppm、13ppmであった。なお、重合反応の反応系には、これらの原料に由来するもの以外の硫酸や硫酸塩を添加していない。得られた紡糸原液に含まれる遊離硫酸イオン濃度は7ppmであった。
前記紡糸原液を目開き3μmのフィルターに通過させ、温度30℃に保温し、直径0.15mmの口金を用いて、一旦空気中(行程長3mm)に吐出し、行程長3mmの空気中を通過させた後、濃度35重量%、浴温度3℃のジメチルスルホキシド水溶液に導入して、凝固糸を得た。
凝固糸中の残存溶媒を水置換し、凝固糸の断面を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、直径が0.1〜0.3μmのボイドの個数は0個であった。
〔比較例1〕
攪拌翼と温水ジャケットと窒素導通管を備えた、容積40Lのオーバーフロー付き反応槽に窒素吹込みにより脱酸素させたイオン交換水40Lを仕込み、濃硫酸を使用してpHを3に調整した。
反応液Aとして、亜硫酸水素アンモニウム(50重量%水溶液)を濃度0.58重量%、硫酸鉄7水和物を濃度0.0006重量%、硫酸を濃度0.06重量%となるように、脱酸素させたイオン交換水に溶解させ、反応液Aを調製した。
反応液Bとして、過硫酸アンモニウムを濃度0.3重量%となるように、脱酸素させたイオン交換水に溶解させ、反応液Bを調製した。
反応液Cとして、イタコン酸を濃度0.57重量%、亜硫酸アンモニウム(50重量%水溶液)を濃度0.58重量%、硫酸鉄7水和物を濃度0.0006重量%、硫酸を濃度0.06重量%となるように、脱酸素させたイオン交換水に溶解させ、反応液Cを調製した。
反応停止剤液として、重炭酸アンモニウムを濃度0.22重量%、シュウ酸アンモニウムを濃度0.13重量%となるように、脱酸素させたイオン交換水に溶解させ、反応停止剤液を調製した。
前記反応槽内の攪拌を開始し、反応槽内に窒素を導通し、反応槽の内温が60℃となるように昇温を行った。その後、プランジャーポンプを使用し、反応液Aを毎時467gの速度で、反応液Bを毎時339gの速度で連続フィードを30分間行った。続けて、反応液Bを毎時168gの速度で、反応液Cを毎時233gの速度で、アクリロニトリルを毎時132gの速度で連続フィードを5時間行うことで重合反応を行った。
この間、反応槽内の温度が60℃となるように温度調節を行った。その後、連続フィードを終了し、反応停止剤液1000gを反応槽へフィードし、均一に攪拌することで重合反応を停止させた。
重合反応の停止の後、得られた重合体の洗浄を以下の操作で行った。1回目の洗浄操作として、反応槽内の水懸濁液を取り出し、イオン交換水を使用して固形分濃度が18重量%となるように希釈した。希釈した水懸濁液を50℃に保温して2時間攪拌した。その後、前記水懸濁液を、脱水機を用いた濾過により脱水して固形分(白色湿潤固体)を得た。
続いて2回目の洗浄操作として、上記で得られた固形分(白色湿潤固体)を乾燥固形分濃度が16重量%となるように再度イオン交換水中に分散させて水懸濁液とし、50℃に保温して2時間攪拌した。
その後、水懸濁液を吸引漏斗して固形分(白色湿潤固体)を得た。得られた固形分(白色湿潤固体)を真空乾燥機内に静置し、真空下にて温度70℃で乾燥させて精製ポリアクリロニトリル共重合体を得た。この精製ポリアクリロニトリル共重合体に含まれる遊離硫酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーにて測定したところ、204ppmであった。
前記の精製ポリアクリロニトリル共重合体を濃度20.5重量%となるようにジメチルスルホキシドと混合して温度を50℃に保温し攪拌して溶解させ、ジメチルスルホキシド溶液を得た。その後、この溶液にアンモニアガスを吹込みpH8.5とすることで紡糸原液を調製した。この操作により紡糸原液中の遊離硫酸イオン濃度は42ppmとなった。
紡糸原液を目開き3μmのフィルターに通過させ、温度を30℃に保温し、直径0.15mmの口金を用いて一旦空気中(行程長3mm)に吐出し、行程長3mmの空気中を通過させた後、浴温度3℃の、ジメチルスルホキシド水溶液(濃度35重量%)に導入して凝固糸を得た。
凝固糸中の残存溶媒を水置換し、凝固糸の断面を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、直径0.1〜0.3μmのボイドの個数は3個であった。
Figure 2021147729
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、炭素繊維の製造に用いることができる。

Claims (6)

  1. ポリアクリロニトリル共重合体および溶媒を含有する紡糸原液を紡糸して凝固糸を得て該凝固糸を延伸する工程を含む炭素繊維前駆体繊維の製造方法において、紡糸原液中の遊離硫酸イオン濃度を20ppm以下とすることを特徴とする、炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  2. 溶媒が有機溶剤である、請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  3. ポリアクリロニトリル共重合体が、溶液重合により得られたポリアクリロニトリル共重合体である、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  4. 紡糸原液中の遊離硫酸イオンが、ポリアクリロニトリル共重合体の溶液重合に供する原材料に含有される硫酸または硫酸塩化合物に由来する、請求項3に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  5. 紡糸原液が、溶媒中での溶液重合により得られたポリアクリロニトリル共重合体溶液にアンモニアガスを吹込み、ポリアクリロニトリル共重合体溶液中の酸成分を中和することで得られた紡糸原液である、請求項1乃至4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  6. 凝固糸中の直径0.1〜0.3μmのボイドの個数が1個以下である、請求項1乃至5のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
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