JP4505980B2 - アクリロニトリル系重合体の製造法 - Google Patents

アクリロニトリル系重合体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子量分布がシャープであり、広範なプロセスへの適応が容易で、成形性に優れ、高強度炭素繊維前駆体などの製造に適したアクリロニトリル系重合体の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維はその優れた機械特性、特に比強度・比弾性率が高いことから、宇宙航空関係、レジャー用品及び工業材料等の各種補強材料の強化材として広く用いられている。炭素繊維の原料としては、セルロース、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン、ピッチ、ポリアクリロニトリル(以下、単にPANという)等何種類か挙げられる。この中でPAN系繊維から得られる炭素繊維は比強度、比弾性率などの力学特性に優れており、品質、性能を均一かつ安定的に製造できるため、広く工業的に生産されている。
【0003】
前駆体のPAN系繊維原糸の製造方法については、繊維の力学的特性、プロセス性、製造コストの観点からこれまで様々な検討が加えられてきた。その製糸プロセスで重要視される原糸の特性の一つに延伸性が挙げられる。延伸性が高いポリマーほど延伸倍率が大きく製糸速度が速くでき、生産効率が向上するからである。
【0004】
延伸性を向上させるには、一つは、PANよりも延伸性に富む他のビニル系モノマーを共重合成分に組み込む方法がある。しかし、かかる共重合成分の含有量が多くなると、続く耐炎化工程において耐熱性の低下により収率が低下するという欠点を有している。もう一つは、分子量分布の狭いPAN系ポリマーを用いる方法である。延伸性に乏しいポリマーは糸切れを起こしやすいが、これは主に低分子量分が原因である。より具体的には、例えば重量平均分子量(以下、単にMwという)が同じであっても数平均分子量(以下、単にMnという)が小さい(すなわち低分子の割合が多い)ポリマーはMnの大きいポリマーよりも糸切れを起こしやすい。また、単糸接着防止の観点からも低分子量成分の含有は好ましくない。
【0005】
分子量分布の狭いPAN系重合体の製造方法については、例えば、特開昭63−182317号公報、特開昭61−275309号公報、特開平3−234720号公報、特開昭61−97415号公報に記載がある。
【0006】
特開昭63−182317号公報では、不均一溶液重合であり、重合中にポリマーが析出し、製糸の原液として使用する場合には、濾別、再溶解の工程が必要となり、作業が繁雑となる。
【0007】
特開昭61−275309号公報では、溶融賦形可能なPAN系重合体を得るための製法として紹介されているが、溶融賦形を実現するためにはMwを数万以下に抑える必要があり、これは、力学的特性の点から好ましくない。また、流動性を確保するために共重合成分としてメチルアクリレート等のビニルモノマーを共重合成分として含有させなければならず、これは炭化収率が低下する点で不利である。
【0008】
特開平3−234720号公報は、懸濁重合で、従来の懸濁重合に比べ、重量平均分子量(以下、単にMwという)と数平均分子量(以下、単にMnという)の比で表される分子量分布(以下、単にMw/Mnという)の狭いPANが得られるとしているが、実際には、Mw/Mnは2.0以上であり、Mw40万以下のPAN系重合体であって、かかる重合体では、十分な延伸性が得られない。
【0009】
特開昭61−97415号公報は、水系懸濁重合でMw/Mnが7.0以下のPAN系重合体が得られるとしているが、実施例などからもわかるように、この製法では、Mw/Mnが2.0以下のPAN系重合体を得ることは実質困難であり、さらにMw40万以下のPAN系重合体も得られず、十分な延伸性が得られない。
【0010】
さらに、特開昭63−182317号公報、特開平3−2347200号公報、特開昭61−97415号公報に関しては、取り扱っているPAN系重合体がMw40万以上と高いものである。平均分子量そのものを高くすると、原理的には延伸倍率が高く、力学的特性に有利な繊維ができるが、反面、原液の粘度が高くなり、口金からの吐出がスムーズに行かなくなったり、それを避けるためにポリマー濃度を下げると、生産効率低下、廃液量の増大を招き工業生産のプロセスへの適応が困難となる。すなわち、かかる超高分子量重合体は、これらの欠点を有するので、高強度炭素繊維の前駆体として総合的に見てバランスの良いポリマーとは言い難いものであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、分子量分布が狭く、延伸性に優れ、力学的特性、プロセス性、製造コストのバランスのよい工業生産に適したPAN系重合体の製造法を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のPAN系重合体の製造法は、アクリロニトリル成分を50〜100モル%含有するPAN系重合体製造方法であって、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタンから選ばれた少なくとも1種の構造を有する有機化合物を潜在性安定ラジカル源として、全共重合系ビニルモノマーの0.001〜1モル%加えることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり分子量分布が狭く、力学的特性、プロセス性、製造コストのバランスが良く工業生産に適したPAN系重合体の製造法について、鋭意検討し、潜在性安定ラジカル源となる有機化合物を、アクリロニトリルを溶液重合する際に、添加してみたところ、意外にも、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0014】
本発明の製造法で得られるアクリロニトリル系重合体は、Mwが、1〜40万で、Mw/Mnが1.3〜2.0と、極めて狭いことが特徴的であるが、繊維の力学的特性、プロセス性、製造コストのバランスを考慮すると、Mwが好ましくは数万〜40万、Mw/Mnは好ましくは2以下であり、さらに好ましくは原液中のポリマー濃度が10〜30%の範囲であるPAN系重合体がよい。
【0015】
高強度炭素繊維の前駆体として用いられるPAN系重合体の、Mwは1〜40万、好ましくは10万〜20万がよい。Mwが1万未満では分子量が低すぎて、高強度炭素繊維前駆体としての強度が不足し、単糸間接着を起こしやすい。40万を越える超高分子量になると、溶剤への溶解性が小さくなるので、紡糸原液中のポリマー濃度が小さくなり、生産性が悪くなる傾向がある。
【0016】
また、Mw/Mnは、好ましくは1.3〜1.9、より好ましくは1.3〜1.8である。本発明の製造法で得られる、このような特定な分子量分布の狭いPAN系重合体によって、延伸性に優れた前駆体を提供することができ、かつ、高質な高強度炭素繊維を容易に提供することができることを究明したものである。
【0017】
本発明の製造法で得られるPAN系重合体は、延伸性に優れたポリマであるが、かかる延伸性が高いポリマーであるほど、延伸倍率が大きく、製糸速度を速くすることができ、生産効率を向上させることができるが、Mw/Mnが2を越えると、低分子成分が多分に含まれるため、糸切れが十分に改善されず、延伸性に劣る欠点を有するものとなる。かかるMw/Mnは1に近い方が、延伸性に優れたものを提供するので好ましいが、実際の重合で、収率よく重合体を得るためには、Mw/Mnの下限を1.3程度に制御するのが好ましい。
【0018】
本発明の製造法で得られるPAN系重合体中に含まれるアクリロニトリル成分は50〜100モル%がよく、好ましくは90〜99.9モル%、より好ましくは93〜99.8モル%である。アクリロニトリル成分が50%未満では、炭化収率が極端に小さくなり、力学的特性も満足なものが得られない。
【0019】
かかるPAN系重合体は、上述の如き優れた延伸性を有し、もって繊維の力学的特性、プロセス性、製造コストのバランスに優れた特徴を有するものであるが、その製造方法としては、アクリロニトリルを溶液重合する際に、潜在性安定ラジカル源を添加してみて、初めて、達成されることを発見したものである。
【0020】
かかる分子量分布の狭いPAN系重合体を得るには、重合中に成長ラジカルとモノマーの反応が選択的に進行することが必要であるが、実際のラジカル重合では、ポリマーの成長種が中性のラジカル種であり、成長種同士が副反応を起こすため、分子量分布を制御することは困難である。そこで後述する潜在性安定ラジカル源を添加してみたところ、この化合物は、酸素中心ラジカルやビニルモノマーと反応せず、炭素中心ラジカルと素早く結合し、かつ、結合・解離が可逆的で、その交換反応が十分に速いので、成長種同士の副反応を抑制し、系内に存在する成長ラジカルの割合を制限することができるので、該PAN系重合体の分子量分布を有効に制御することを突き止めて、本発明に到達したものである。また、潜在性安定ラジカル源に加えてラジカルスカベンジャーと呼ばれる安定ラジカルを加えても良い。
【0021】
かかるラジカルスカベンジャーとしては、ニトロキシド、潜在性安定ラジカル源としては、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタンから選ばれた少なくとも1種の構造を有する有機化合物を使用することができる。
【0022】
まず、ニトロキシドとしては、下記のような化合物が好ましく使用される。
【0023】
【化1】
Figure 0004505980
【0024】
また、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン構造を有する有機化合物は、熱や光で安定ラジカルを発生させるものであり、かかる化合物としては下記のような化合物が好ましく使用される。
【0025】
【化1】
Figure 0004505980
【0026】
かかるラジカルスカベンジャーおよび/または潜在性安定ラジカル源である化合物の添加量は、全モノマーに対して、0.001〜1モル%、好ましくは、0.005〜0.1モル%がよい。0.001モル%より少ないと、添加した効果が小さく、1モル%を越えると、該化合物の連鎖移動による重合抑制が顕著となり、重合時間が長大となるので好ましくない。
【0027】
かかる重合には、均一溶液重合が適している。均一溶液重合は、平均分子量、分子量分布の制御がしやすく、重合後の後処理が簡易に行えて、プロセス性、製造コストの面で優れているからである。
【0028】
また、重合に仕込む全共重合性モノマーの濃度は、好ましくは10〜80重量%がよく、さらに好ましくは20〜70重量%がよい。全モノマー濃度が10重量%未満では、重合の生産性が低く、そのままでは、低濃度で低粘度すぎて紡糸原液には適さない。全モノマーが80重量%を越えると、重合で生成するポリマーが析出し、不均一系になり、操作性が悪くなると共に、平均分子量、分子量分布の制御にも支障を来すので好ましくない。
【0029】
共重合成分としてアクリロニトリルと共に仕込むモノマーとしては、共重合性を有するビニル化合物の中から、その目的に応じて選択すればよく、特に限定されないが、アクリル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、p−スチレンスルホン酸ソーダ等を例示することができる。
【0030】
本発明に用いられる溶剤としては、均一溶液重合を行う観点から、アクリロニトリル、上述した共重合成分として仕込むモノマーおよびPAN系重合体に対し溶解性を有する溶剤がよい。該当する溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド(以下、単にDMSOという)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(以下、単にDMFという)、チオシアン酸ソーダおよび塩化亜鉛の濃厚水溶液、硝酸などがあるが、好ましくは連鎖移動定数が1×10-4以下であるDMSO、チオシアン酸ソーダや塩化亜鉛の濃厚水溶液がよく、特に好ましくはDMSOがよい。
【0031】
かかる重合溶液を用いて重合を開始させるには、ラジカル重合開始剤が用いられる。かかるラジカル開始剤としては、過酸化物やアゾ化合物等の熱重合開始剤、放射線、紫外線により励起される光開始剤等が用いられるが、好ましくはアゾ系熱重合開始剤がよく、特に好ましくはアゾビスイソブチロニトリル(以下、単にAIBNという)、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)がよい。
【0032】
かくして得られるPAN系重合体は、優れた延伸性を有し、かつ、繊維の力学的特性、プロセス性、製造コストのバランスに優れた、高質な高強度炭素繊維を提供するのに好適なものである。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
なお、以下の実施例において、
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、単にGPCという)法により、下記の測定装置および条件を用いて測定したGPC曲線より、分子量分布曲線を求め、Mn,Mwを算出した。
【0035】
GPC装置:CLASS−LC10(島津)
カラム :TSK−GEL−GMH4(×2)
溶媒 :DMF(0.01N−LiCl)
流速 :1ml/min
温度 :40℃
試料濃度 :0.1重量%
試料濾過 :0.5μ−FHLP FILTER(MILLIPORE)
注入量 : 0.1ml
検出器 :示唆屈折率検出器 RID−10AV(島津)
アクリルにトリル系重合体の分子量校正曲線は、基準として単分散ポリスチレンを用い、ユニバーサルキャリブレーション法により求めた。
【0036】
なお、ポリスチレン(PSt)からアクリルにトリル系重合体への分子量変換は、次式の各係数を用いて行った。
【0037】
【数1】
Figure 0004505980
参考例1
アクリロニトリル100部、イタコン酸1部、DMSO371部、AIBN0.4部、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピリジニルオキシ(TEMPO)0.04部を還流管、攪拌バネを備えた反応容器に仕込んだ。窒素置換後、65℃で5時間、75℃で7時間加熱し重合液を得た。得られた重合液11.20gを取り水に注いでポリマーを沈殿させ、それを熱湯で2時間洗浄、70℃で4時間乾燥して、乾燥ポリマー2.11g(ポリマーの収率88%)を得た。乾燥ポリマーをDMFで稀釈し、GPCで分析したところMwは14.5×104 、Mw/Mnは1.7であった。
【0038】
参考例1で得た重合原液を脱モノマー、アンモニア中和した後、50℃に保温して紡糸原液とした。これを孔径0.15mmのノズルから0.06g/分の割合で、30%のDMSOを含む5℃の水溶液中に、ノズル面から5mmの空気層を介して吐出した。次いでその凝固糸を70℃の水中に浸漬しながら30m/分で引き取り、油剤処理し、200℃の加熱ローラーに接触後、スチームで延伸しながら巻き取った。最終巻取速度150m/分で巻き取った糸の引張強度は5.0dtexであった。最終巻取速度を150m/分から次第に速めてゆき、糸が破断したときの速度は、340m/分であった(最大延伸倍率34)。参考例2
TEMPOを0.08部に替えた以外は参考例1と同様の方法で重合を行い、重合液を得た。重合液12.6gを取り水に注いでポリマーを沈殿させ、それを熱湯で2時間洗浄、70℃で4時間乾燥して、乾燥ポリマー2.34g(ポリマーの収率87%)を得た。乾燥ポリマーをDMFで稀釈し、GPCで分析したところMwは13.5×104 、Mw/Mnは1.8であった。参考例1と同様に製糸した結果、最大延伸倍率は34と高い値であった。
【0039】
実施例
アクリロニトリル100部、イタコン酸1部、DMSO371部、AIBN0.2部、1,1,2,2-テトラフェニル-1,2-ジシアノエタン0.2部を還流管、攪拌バネを備えた反応容器に仕込んだ。窒素置換後、65℃で5時間、75℃で7時間加熱し重合液を得た。得られた重合液10.8gを取り水に注いでポリマーを沈殿させ、それを熱湯で2時間洗浄、70℃で4時間乾燥して、乾燥ポリマー1.99g(ポリマーの収率86%)を得た。乾燥ポリマーをDMFで稀釈し、GPCで分析したところMwは13.9×104 、Mw/Mnは1.7であった。参考例1と同様に製糸した結果、最大延伸倍率は35と高い値であった。
【0040】
比較例1
アクリロニトリル100部、イタコン酸1部、DMSO371部、AIBN0.4部、オクチルメルカプタン1部を還流管、攪拌バネを備えた反応容器に仕込んだ。窒素置換後、65℃で5時間、75℃で7時間加熱し重合液を得た。得られた重合液10.10gを取り水に注いでポリマーを沈殿させ、それを熱湯で2時間洗浄、70℃で4時間乾燥して、乾燥ポリマー1.90g(ポリマーの収率88%)を得た。乾燥ポリマーをDMFで稀釈し、GPCで分析したところMwは14.0×104 、Mw/Mnは2.1であった。参考例1と同様に製糸した結果、最大延伸倍率は27と低いものであった。
【0041】
比較例2
オクチルメルカプタンを無添加にした以外は比較例1と同様の方法で重合を行い、、重合液を得た。重合液11.4gを取り水に注いでポリマーを沈殿させ、それを熱湯で2時間洗浄、70℃で4時間乾燥して、乾燥ポリマー2.00g(ポリマーの収率82%)を得た。乾燥ポリマーをDMFで稀釈し、GPCで分析したところMwは11.9×104 、Mw/Mnは2.5であった。
【0042】
参考例1と同様に製糸した結果、最大延伸倍率は22と低いものであった。
【0043】
【表1】
Figure 0004505980
【0044】
表1から明らかなように、ニトロキシドおよび潜在性安定ラジカル種を加えた系では分子量分布が2未満の重合液が得られた。これに対し、チオール型連鎖移動剤を加えた系(比較例1)、ニトロキシル化合物、連鎖移動剤連鎖いずれも添加しない系(比較例2)では、分子量分布がそれぞれ2.1、2.5であった。このことから、ニトロキシドおよび潜在性安定ラジカル源が分子量分布シャープ化に効果があることが確認できた。
【0045】
また、参考例1と比較例1を比較すると、15倍延伸時の引張強度に違いは見られないが、ニトロキシドを添加して得た、Mw/Mnがより狭い重合体を用いた方が、糸切れ速度が大であり、延伸性が優れていることを確認できた。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、分子量分布がシャープであり、現行プロセスへの適応が容易で、成形性に優れ、高強度炭素繊維前駆体などの製造に適したアクリロニトリル系重合体を提供することができる。

Claims (3)

  1. アクリロニトリル成分を50〜100モル%含有するアクリルニトリル系重合体製造方法であって、ジフェニルメタンおよびトリフェニルメタンから選ばれた少なくとも1種の構造を有する有機化合物を潜在性安定ラジカル源として、全共重合系ビニルモノマーの0.001〜1モル%加えることを特徴とするアクリルニトリル系重合体の製造法。
  2. さらに、ラジカルスカベンジャーを、ラジカルスカベンジャーおよび前記潜在性安定ラジカル源の合計が全共重合系ビニルモノマーの0.001〜1モル%となる範囲で加える請求項1に記載のアクリルニトリル系重合体の製造法。
  3. ラジカルスカベンジャーが、ニトロキシド構造を有する有機化合物であることを特徴とする請求項2記載のアクリルニトリル系重合体の製造法。
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