JP2021143365A - 蒸着マスクおよび蒸着マスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸着不良が低減された蒸着マスクの製造方法を提供すること。【解決手段】蒸着マスクの製造方法は、枠部または桟部によって囲まれた空隙を有するマスクフレームと、空隙と平面視で重畳するとともに、枠部または桟部とは平面視で重畳しない領域に設けられた第1メッキ層と、マスクフレームと第1メッキ層とを接合する第2メッキ層と、を有し、第1メッキ層は、マスクフレームから第1方向に突出するように設けられた蒸着マスクの製造方法であって、第2メッキ層と第1メッキ層との境界において、第2メッキ層から、第1方向に突出する突起を押し倒す工程を含む。【選択図】図2H
Description
本発明は、蒸着マスクに関する。また、本発明は、蒸着マスクの製造方法に関する。特に、本発明は、マスクフレームに薄膜状のマスク本体を備えた蒸着マスクの製造方法に関する。
フラットパネル型表示装置の一例として、液晶表示装置や有機EL(Electroluminescence)表示装置が挙げられる。これらの表示装置は、絶縁体、半導体、導電体などの様々な材料を含む薄膜が基板上に積層された構造体である。これらの薄膜が適宜パターニングされ、接続されることで、表示装置としての機能が実現される。
薄膜を形成する方法は、大別すると気相法、液相法、固相法に分類される。気相法は物理的気相法と化学的気相法に分類される。物理的気相法の代表的な例として蒸着法が知られている。蒸着法のうち最も簡便な方法が真空蒸着法である。真空蒸着法は、高真空下において材料を加熱することで、材料を昇華又は蒸発させて材料の蒸気を生成する(以下、これらを総じて気化という)。この材料を堆積させるための領域(以下、蒸着領域)において、気化していた材料が固化し、堆積することで材料の薄膜が得られる。蒸着領域に対して選択的に薄膜が形成され、それ以外の領域(以下、非蒸着領域)には材料が堆積しないようにするために、マスク(蒸着マスク)を用いて真空蒸着が行われる(特許文献1及び2参照)。
蒸着マスクは、蒸着パターンが形成されたマスク本体に、マスク本体を固定するためのマスクフレームが接合されている。マスク本体とマスクフレームとを接合する工程においては、マスク本体の被蒸着基板側にバリ(端部からはみ出した突起)が生じる。バリがある場合、蒸着時に、バリが被蒸着基板を傷つけてしまう。また、蒸着マスクと被蒸着基板との間に間隙が生じ、蒸着パターンがぼやけてしまう。これらの現象は、蒸着不良と判定される。そのため、マスク本体にバリがあると、被蒸着基板を含む製品の歩留まりが低下する。したがって、マスク本体のバリをカッターなどで切断し、マスク本体からバリを除去することが行われていた。
しかしながら、バリを切断する場合、バリの位置を顕微鏡で確認しながら、作業者による手作業で行う必要がある。このような作業は、作業者の熟練度によるところが大きく、作業者によって作業時間が異なり、また、作業時間が長いものであった。さらに、切断されたバリが異物としてマスク本体に付着する問題もあった。
本発明は、上記問題に鑑み、蒸着不良が低減された蒸着マスクの製造方法を提供することを課題の1つとする。
本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法は、枠部または桟部によって囲まれた空隙を有するマスクフレームと、空隙と平面視で重畳するとともに、枠部または桟部とは平面視で重畳しない領域に設けられた第1メッキ層と、マスクフレームと第1メッキ層とを接合する第2メッキ層と、を有し、第1メッキ層は、マスクフレームから第1方向に突出するように設けられた蒸着マスクの製造方法であって、第2メッキ層と第1メッキ層との境界において、第2メッキ層から、第1方向に突出する突起を押し倒す工程を含む。
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし図面に示す例は、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本発明において、ある一つの膜に対してエッチングや光照射を行うことで複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体が配置された態様を表現する際に、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、その構造体の直上に他の構造体が配置される場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体が配置される場合と、の両方を含むものと定義される。
<第1実施形態>
図1Aおよび図1Bを参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の構成について説明する。
図1Aおよび図1Bを参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の構成について説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の平面図である。また、図1Bは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の断面図である。具体的には、図1Bは、図1に示すA−A’線に沿って切断した蒸着マスク10の断面図である。
蒸着マスク10は、マスク本体110、マスクフレーム120、および接続部材130を含む。マスク本体110は、接続部材130を介して、マスクフレーム120に接続されている。
マスクフレーム120は開口部を有し、マスクフレーム120の開口部と重畳するようにマスク本体110が設けられている。図1Aでは、マスクフレーム120は、12個の開口部を有し、各開口部と重畳してマスク本体110が設けられている。なお、マスクフレーム120に設けられる開口部の数は、これに限られない。マスクフレーム120に設けられる開口部の数は、被蒸着基板の大きさや蒸着パターンに合わせて適宜決定することができる。
マスク本体110には、マスク本体110を貫通する複数の開口113が設けられている。以下では、便宜上、マスク本体110に開口113が設けられている領域を開口領域111とし、マスク本体に開口113が設けられていない領域を非開口領域112として説明する。開口領域111と非開口領域112との境界は必ずしも明確ではないが、少なくとも非開口領域112には開口113が設けられていない点で区別をすることができる。
蒸着時には、蒸着対象の被蒸着基板における蒸着領域と開口領域111が重なり、被蒸着基板における非蒸着領域と非開口領域112が重なるように、蒸着マスク10と被蒸着基板が位置合わせされる。蒸着材料の蒸気が開口領域111の開口113を通過し、被蒸着基板の蒸着領域に蒸着材料が堆積する。
被蒸着基板が表示装置の基板である場合、表示装置の画素の配列と対応して開口領域111の開口113を配列することができる。開口113の配列は、例えば、マトリクス状である。
マスクフレーム120は、マスク本体110を支持することができる。上述したように、マスクフレーム120は開口部を含むが、言い換えると、マスクフレーム120は、外側に位置する枠部と内側に位置する桟部とを含むということもできる。桟部は、枠部に剛性を与え、枠部が反ることを防止することができる。桟部は、複数の部材が組み合わされて構成されていてもよい。例えば、桟部の1つの部材は、枠部の一方の辺から対向する他方の辺に向かって延伸している。また、桟部の部材は、縦方向(蒸着マスク10の短辺方向)および横方向(蒸着マスク10の長辺方向)に設けられることが好ましい。すなわち、桟部は、縦方向に延伸する部材と横方向に延伸する部材とが交差している井桁構造であることが好ましい。ただし、桟部の構成は、これに限られない。桟部の部材は、縦方向または横方向にのみ設けられていてもよい。また、枠部の幅および桟部(または桟部の部材)の幅は、蒸着マスク10の大きさに合わせて適宜決定することができる。なお、蒸着パターンの領域をできる限り広くするためには、桟部の幅が枠部の幅よりも小さいことが好ましい。
図1Bに示すように、接続部材130は、マスク本体110とマスクフレーム120の開口部の間隙に設けられ、マスク本体110の側面およびマスクフレーム120の開口部の側面に接する。すなわち、平面視において、マスク本体110とマスクフレーム120とは重畳していない。なお、平面視において、マスク本体110とマスクフレーム120とが重畳することもできる。
接続部材130は、マスク本体110とマスクフレーム120とを接続すればよいため、接続部材130は、マスクフレーム120の開口部の側面の全面に設けられなくてもよい。接続部材130は、マスクフレーム120の開口部の側面の少なくとも一部に設けられていればよい。一方、マスク本体110の厚さは、マスクフレームの厚さに比べて非常に小さい。例えば、マスク本体110の厚さは1μm以上10μm以下であり、マスクフレーム120の厚さは10μm以上2000μm以下である。そのため、マスク本体110とマスクフレーム120との接着強度を大きくするため、接続部材130は、マスク本体110の側面の全面に設けられていることが好ましい。
また、接続部材130は、マスク本体110とマスクフレーム120との間で階段状に形成されていてもよい。
接続部材130の間にあって、マスク本体110が設けられていない領域、すなわち、マスクフレーム120の桟部と重畳する領域には、溝部140が設けられている。言い換えると、図1Bにおいて、マスク本体110は、マスクフレーム120の底面よりも下部に突出しており、その結果生ずるマスクフレーム120とマスク本体110との段差として、この溝部140が形成される。溝部140は、溝部140の側面が接続部材130で形成され、溝部140の底面がマスクフレーム120で形成されているということもできる。溝部140の側面の端部は、突起141を有する。突起141の先端は、溝部140の底面に向かって形成されている。すなわち、突起141は、マスク本体110の表面(図1Bでは下面)より外側に突出しないように形成されている。なお、突起141の大きさは、0μmよりも大きく、100μm未満である。
マスクフレーム120の枠部と重畳する領域では、一方の側面が接続部材130で形成され、他方の側面は解放されており、構造上厳密に区別すると溝ではないということもできる。しかしながら、突起141の形成においては、上述した溝部140と同様である。そのため、以下では、便宜上、マスクフレーム120の枠部と重畳する領域に形成された突起141が溝部140に形成されているとして説明する場合がある。
突起141の形成方法については後述するが、突起141は、マスク本体110とマスクフレーム120との接続によって生じたバリを押し倒すことによって形成される。したがって、蒸着マスク10では、マスク本体110の被蒸着基板側にバリが突出していない。
本実施形態に係る蒸着マスク10によれば、マスク本体110とマスクフレーム120とが、接続部材130を介して接続されている。接続部材130間には、溝部140が形成され、溝部140の側面の端部に突起141が形成されている。また、突起141の先端は、溝部140の底面に向かって形成され、マスク本体110の表面より外側に突出していない。すなわち、蒸着マスク10では、マスク本体110の被蒸着基板側にバリが突出していない。そのため、蒸着マスク10を用いた蒸着では、蒸着時に、バリが被蒸着基板を傷つけることはなく、また、蒸着マスク10と被蒸着基板との間に間隙を生じない。したがって、蒸着マスク10を用いた蒸着では、蒸着不良が低減され、製品の歩留まりが向上する。
<第2実施形態>
図2A〜図2Gを参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法について説明する。
図2A〜図2Gを参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法について説明する。
図2A〜図2Gは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法を示す断面図である。
まず、図2Aに示すように、支持基板210上に金属層220を形成し、金属層220上に所定のパターンを有するフォトレジスト層230を形成する。
支持基板210は、蒸着マスク10の製造工程において、各層を支持する基板である。そのため、支持基板210は剛性基板であることが好ましい。また、蒸着マスク10は、熱膨張係数が小さいことが好ましい。蒸着マスク10の製造工程では、支持基板210が加熱される。加熱処理によって支持基板210が膨張または縮小すると、支持基板210上に形成されるフォトレジスト層230の位置ズレが生じ、または製造工程中に応力に伴う不良となる剥離が生ずることになる。そのため、蒸着マスク10の製造工程を安定化させるためにも、支持基板210は、熱膨張係数が小さい剛性基板であることが好ましい。支持基板210の材料としては、例えば、ステンレス(SUS304またはSUS430など)、42アロイ、インバー、スーパーインバー、またはステンレスインバーなどである。
金属層220は、後述する電鋳(または電解メッキ)の下地金属として機能することができる。金属層220の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル合金である。金属層220は、スパッタリングなどによって形成することができる。
蒸着マスク10は、電鋳ではなく、無電解メッキを用いて製造することもできる。この場合、金属層220の代わりに、絶縁層を用いることもできる。
フォトレジスト層230は、後述する電鋳の母型として機能することができる。フォトレジスト層230は、所定の膜厚を有するように、金属層220上に1つまたは複数の感光性ドライフィルムレジストを配置し、熱圧着によって形成される。感光性ドライフィルムレジストは、ポジ型またはネガ型のいずれであってもよい。なお、以下では、感光性ドライフィルムがネガ型であるとして説明する。
フォトレジスト層230は、蒸着マスク10の蒸着パターンが形成されるための所定のパターンを有する。フォトレジスト層230の所定のパターンは、フォトリソグラフィーにより形成することができる。すなわち、所定のパターンは、ドライフィルムレジストにマスクを密着させ、紫外線を照射してドライフィルムを露光し、未露光部分を溶解除去することによって形成することができる。
次に、図2Bに示すように、フォトレジスト層230をマスクとして、第1メッキ層240を形成する。第1メッキ層240は、蒸着マスク10のマスク本体110に対応するものである。第1メッキ層240は、電鋳により形成することができる。具体的には、金属層220およびフォトレジスト層230を所定の条件に建浴した電鋳漕に入れ、フォトレジスト層230に覆われていない金属層220の表面から、フォトレジスト層230の高さまで金属メッキを形成する。第1メッキ層240の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金などである。
次に、図2Cに示すように、フォトレジスト層230を剥離(除去)する。フォトレジスト層230は、例えば、アミン系の剥離液によって剥離することができる。フォトレジスト層230を剥離することによって、蒸着パターンを有する第1メッキ層240が形成される。
なお、フォトレジスト層230を剥離する前に、電鋳によって形成された第1メッキ層240を研磨してよい。第1メッキ層240を研磨することにより、第1メッキ層240の表面を平坦化することができる。
次に、図2Dに示すように、第1メッキ層240上に、接着層250が設けられたマスクフレーム260を配置する。すなわち、接着層250を介して、第1メッキ層240とマスクフレーム260とが接着される。なお、ここでの工程では、第1メッキ層240とマスクフレーム260とを完全に接着する必要はない。そのため、接着層250は、完全に硬化されていなくてもよい。
マスクフレーム260は開口を有する。マスクフレーム260は、第1メッキ層240の蒸着パターンの開口と重畳しないように位置を合わせて接着される。言い換えると、マスクフレーム260の開口は、第1メッキ層240の蒸着パターンの開口と重畳する。
接着層250は、後の工程において除去されるため、除去しやすい材料であることが好ましい。接着層250の材料としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、またはアクリル樹脂などを用いることができる。また、接着層250の材料としては、ドライフィルムレジストを用いることもできる。接着層250の材料としてドライフィルムレジストを用いる場合、ドライフィルムレジストを弱く露光しておいてもよい。ドライフィルムレジストを露光しておくことで、後の工程においてドライフィルムレジストを除去しやすくなる。
なお、この後の工程において、第1メッキ層240の蒸着パターンを保護する(例えば、工程によって発生するパーティクルによって蒸着パターンの開口が塞がれないように保護する)ため、第1メッキ層240の蒸着パターンの領域にドライフィルムレジストを設けてもよい。
次に、図2Eに示すように、支持基板210、金属層220、第1メッキ層240、接着層250、およびマスクフレーム260を覆うように、マスクフレーム260の上方にフィルム280を配置する。続いて、支持基板210とフィルム280との間の空気を排気(真空排気)し、フィルム280の下方側の圧力を下げる。フィルム280の上方側と下方側との圧力差により、フィルム280は支持基板210側に引き付けられる。フィルム280の下方側の圧力をさらに下げると、フィルム280がマスクフレーム260を押圧する。フィルム280からの押圧を受けて、マスクフレーム260は、接着層250を介して、第1メッキ層240とより強く接着する。この工程は、いわゆる真空圧着と呼ばれる工程である。
フィルム280の下方側の真空度は、大気圧を0kPaとしたゲージ圧において、−50kPa以下であり、好ましくは−70kPa以下であり、さらに好ましくは−90kPaである。
真空圧着後は、フィルム280を除去する。
次に、図2Fに示すように、第1メッキ層240とマスクフレーム260とを接続する第2メッキ層290を形成する。第2メッキ層290は、金属層220または第1メッキ層240に通電する電鋳によって形成することができる。第2メッキ層290は、蒸着マスク10の接続部材130に対応するものである。第2メッキ層290は、金属層220、第1メッキ層240、接着層250、およびマスクフレーム260と接している。具体的には、第2メッキ層290は、第1メッキ層240の溝部の一部およびマスクフレーム260の側面(蒸着マスク10の枠部および桟部の側面)と接するように形成されている。
第2メッキ層290は、第1メッキ層240と同様の方法で形成することができる。
第2メッキ層290は、第1メッキ層240の開口領域111に対応する領域には設けられていない。第1メッキ層240の開口領域111に対応する領域上に、例えば、ドライフィルムレジストを形成し、第1メッキ層240の開口領域111に対応する領域にメッキされることを防止することができる。ドライフィルムレジストは、第2メッキ層290の形成後に剥離することができる。
次に、図2Gに示すように、支持基板210、金属層220、および接着層250を剥離することにより、マスク本体110、マスクフレーム120、および接続部材130が形成される。接着層250を剥離することで、接着層250と接着していた第1メッキ層240の一部(第1メッキ層240内のマスクフレーム260と重畳する領域)も剥離され、溝部140が形成される。また、溝部140の側面および底面は、それぞれ、第2メッキ層290およびマスクフレーム260で構成される。すなわち、図2Gに示すように、マスクフレーム120の下方には、マスク本体110が設けられず、溝部140が形成される。なお、支持基板210、金属層220、および接着層250は、一度に全ての基板および層を剥離してもよく、基板および層の各々を個別に剥離してもよい。
溝部140の側面の端部には、バリ142が形成されている。バリ142は形成されないことが好ましいが、第2メッキ層290が第1メッキ層240と融着し、接着層250を剥離する場合にバリ142が生じることがある。また、金属層220と第1メッキ層240との間隙に第2メッキ層290が入り込み、接着層250を剥離した際にもバリ142が生じることがある。バリ142は、接着層250の剥離の際に形成されるため、バリ142はマスク本体110の被蒸着基板側に突出している。また、第1メッキ層240と第2メッキ層290との境界から離れる方向に向いている。以下では、バリ142の被蒸着基板側に突出している方向を第1方向として説明する場合がある。
次に、図2Hに示すように、バリ142に棒体300を押し当て、溝部140の側面の端部に沿って(図2Hの奥行き方向へ)棒体300を移動させる。バリ142は、棒体300によって、溝部140内に収まるように押し倒される。すなわち、バリ142は、溝部140の底面に向かって形成された突起141となる。言い換えると、バリ142は、第1メッキ層110の表面の延長線よりも外側に突出していないということもできる。
以上のような製造方法により、マスク本体110の被蒸着基板側の溝部140内に突起141が形成された蒸着マスク10を製造することができる。図3を参照して、さらに詳細に蒸着マスク10の突起141の形成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法を示す模式図である。具体的には、図3は、蒸着マスク10のマスク本体110の被蒸着基板側から眺めた平面図である。
図3に示すように、マスクフレーム120と重畳する溝部140では、接続部材130からバリ142が突出している。言い換えると、溝部140の側面の端部にバリ142が形成されているということもできる。棒体300は、所定の角度を有して溝部140の側面の端部に押し当てられる。続いて、棒体300を、溝部140の側面の端部に押し当てながら、溝部140の側面の端部に沿って移動させる。棒体300の移動は、1回でもよく、複数回でもよい。また、棒体300は、一方向にのみ移動させてもよく、溝部140の側面の端部に沿って往復させてもよい。
(角度についてご教示ください。)
棒体300を押し当てる所定の角度は、マスク本体110の面に対して0.1°以上45°以下であり、好ましくは1°以上30°以下であり、さらに好ましくは5°以上20°以下である。所定の角度が上記範囲であれば、バリ142を溝部140内に押し倒すことができる。
棒体300を押し当てる所定の角度は、マスク本体110の面に対して0.1°以上45°以下であり、好ましくは1°以上30°以下であり、さらに好ましくは5°以上20°以下である。所定の角度が上記範囲であれば、バリ142を溝部140内に押し倒すことができる。
バリ142は、蒸着マスク10の縦方向だけでなく、横方向にも形成されているため、蒸着マスク10の縦方向および横方向で、棒体300を移動させ、バリ142が溝部140内に収まるように押し倒し、溝部140の内部に突起141を形成する。突起141の先端は、溝部140の底面に向かって形成される。
棒体300の材料は、第2メッキ層290(すなわち、接続部材130)の材料よりも硬い材料(硬度の高い材料)であることが好ましい。棒体300の材料は、例えば、炭化タングステン(WC)などの超硬合金である。棒体300のの例としては、超硬ヘラである。
棒体300の押し当て、および移動は、自動制御で行うことができる。センサを用いて、棒体300とマスク本体110との距離を測定し、マスク本体110に対する棒体300の位置、距離、および角度を調整することができる。また、カメラまたはセンサを用いて、接続部材130とは異なるバリ142からの反射光を撮像または検知し、バリ142からの反射光が変化するように棒体300を溝部140の側面の端部に沿って移動させることができる。すなわち、突起141からの反射光の変化に基づいて、突起141が形成されたことを判定することができる。
本実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法によれば、接着層250の剥離によって生じたバリ142を切断することなく、棒体300を用いて、バリ142を溝部140内に収まるように押し倒す。バリ142は、溝部140の底面に向かって形成された突起141となる。すなわち、バリ142を切断することなく、突起141として蒸着マスク10に残す。切断されたバリ142が異物として飛散し、マスク本体110の別の場所に不用意に付着することがないため、蒸着マスク10の製造歩留まりが向上する。また、突起141の先端は、溝部140の底面に向かって形成され、マスク本体110の表面より外側に突出していない。そのため、蒸着マスク10が被蒸着基板を傷つけることがなくなり、製品の蒸着不良を低減することができる。
<変形例1>
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法の変形例について説明する。蒸着マスク10の製造においては、棒体300以外にも、回転体400を用いることができる。
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法の変形例について説明する。蒸着マスク10の製造においては、棒体300以外にも、回転体400を用いることができる。
図4は、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法を説明する模式図である。具体的には、図3は、蒸着マスク10のマスク本体110の被蒸着基板側眺めた平面図である。
図4に示すように、回転体400は、回転部410および軸部420を含む。回転部410は、軸部420を中心軸として回転することができる。回転体400は、回転部410の表面がマスク本体110の表面と平行になるように溝部140の側面の端部に押し当てられる。続いて、回転体400を、回転部410を回転させながら、溝部140の側面の端部に沿って移動させる。回転体400の移動は、1回でも良く、複数回でもよい。また、回転体400は、一方向にのみ移動させてもよく、溝部140の側面の端部に沿って往復させてもよい。
回転体400を、回転部410の表面がマスク本体110の表面と平行になるように移動させる場合、バリ142を押し倒すだけでなく、接続部材130の表面を平坦化することもできる。
回転体400は、所定の角度を有して溝部140の側面の端部に押し当て、移動させてもよい。また、回転体400は、回転部410の表面がマスク本体110の表面と平行になるように溝部140の側面の端部に押し当て移動させた後、所定の角度を有して溝部140の側面の端部に押し当て、移動させることもできる。
バリ142は、蒸着マスク10の縦方向だけでなく、横方向にも形成されているため、蒸着マスク10の縦方向および横方向で、回転体400を移動させ、バリ142が溝部140内に収まるように押し倒し、溝部140の内部に突起141を形成する。突起141の先端は、溝部140の底面に向かって形成される。
回転体400の回転部410の材料は、第2メッキ層290(すなわち、接続部材130)の材料よりも硬い材料(硬度の高い材料)であることが好ましい。回転部410の材料は、例えば、炭化タングステン(WC)などの超硬合金である。回転体400のの例としては、超硬ローラーである。
回転体400の押し当て、および移動は、自動制御で行うことができる。カメラを用いて、溝部140と回転体400との位置合わせを行う。センサを用いて、回転体400がバリ142(または接続部材130)と接触したことを検知し、所定の圧力となるまで回転体400をバリ142(または接続部材130)に押し当てる。必要であれば、回転体400の角度を調整する。また、カメラまたはセンサを用いて、接続部材130とは異なるバリ142からの反射光を撮像または検知し、バリ142からの反射光が変化するように回転体400を溝部140の側面の端部に沿って移動させることができる。すなわち、突起141からの反射光の変化に基づいて、突起141が形成されたことを判定することができる。
本変形例に係る回転体400を用いた蒸着マスク10の製造方法においても、溝部140内に突起141を形成することができる。また、突起141の先端を溝部140の底面に向けることもでき、突起141は、マスク本体110の表面より外側に突出していない。そのため、蒸着マスク10が被蒸着基板を傷つけることがなくなり、製品の蒸着不良を低減することができる。さらに、回転体400によって接続部材130の表面を平坦化することもできるため、製品の蒸着不良をさらに低減することができる。
<変形例2>
図5Aおよび図5Bを参照して、本発明の一実施形態のに係る蒸着マスク10の製造方法のさらなる変形例について説明する。蒸着マスク10の製造方法においては、棒体300および回転体400以外にも、押圧体500を用いることができる。
図5Aおよび図5Bを参照して、本発明の一実施形態のに係る蒸着マスク10の製造方法のさらなる変形例について説明する。蒸着マスク10の製造方法においては、棒体300および回転体400以外にも、押圧体500を用いることができる。
図5Aおよび図5Bのそれぞれは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法を説明する断面図である。具体的には、図5Aは、押圧体500を押し当てる前の蒸着マスク10および押圧体500の断面図であり、図5Bは、押圧体500を押し当てた後の蒸着マスク10および押圧体500の断面図である。
図5Aに示すように、押圧体500は凸部510を含む。押圧体500の凸部510は、溝部140のパターンに対応させて設けられている。凸部510は、凸部510の一部が溝部140内に入り込むように、凸部510の側面が傾斜面を有していてもよい。この場合、凸部510の側面が傾斜に合わせてバリ142が押し倒されるため、溝部140に形成された突起141の先端は、溝部140の底面を向くことになる。凸部510の断面形状は、例えば、台形または馬蹄形などを有する。図5Aに示す凸部510は台形の例であり、凸部510の上底の幅は溝部140の幅よりも大きく、凸部510の下底の幅は溝部140の幅よりも小さい。
図5Bに示すように、押圧体500は、押圧体500の表面がマスク本体110の表面と平行になるように溝部140の側面の端部に押し当てられる。続いて、押圧体500に所定の圧力を印加する。凸部510の下底の幅は、溝部140の幅よりも小さいため、凸部510の一部は溝部140に入り込む。これにより、凸部510がバリ142を上方から押圧し、溝部140の内部に突起141が形成される。また、凸部510の上底の幅は溝部140の幅よりも大きいため、凸部510も下底が溝部140の底、つまりマスクフレーム120に突き当たる前に止まることができる。
押圧体500の少なくとも凸部510の材料は、第2メッキ層290(すなわち、接続部材130)の材料よりも硬い材料(硬度の高い材料)であることが好ましい。凸部510の材料は、例えば、炭化タングステン(WC)などの超硬合金である。押圧体500のの例としては、超硬ダイスである。
押圧体500の大きさは、蒸着マスク10の大きさと同じでなくてもよい。溝部140の一部のパターンに対応する凸部510が設けられた押圧体500(例えば、1つの延伸する溝部140に対応して1つの延伸する凸部510が設けられた押圧体500)であってもよい。この場合、溝部140の位置を変えながら、押圧体500よる押圧を繰り返すことで、バリ142を押し倒し、突起141を形成することができる。
押圧体500の押し当て、および移動は、自動制御で行うことができる。カメラを用いて、溝部140と押圧体500との位置合わせを行う。続いて、センサを用いて、押圧体500がバリ142(または接続部材130)と接触したことを検知し、所定の圧力となるまで押圧体500をバリ142(または接続部材130)に押し当てる。また、カメラまたはセンサを用いて、接続部材130とは異なるバリ142からの反射光を撮像または検知し、バリ142からの反射光が変化したるように押圧体500を溝部140の側面の端部に沿って移動させることができる。すなわち、突起141からの反射光の変化に基づいて、突起141が形成されたことを判定することができる。
本変形例に係る押圧体500を用いた蒸着マスクの製造方法においても、溝部140内に突起141を形成することができる。また、突起141の先端を溝部140の底面に向けることもでき、突起141は、マスク本体110の表面より外側に突出していない。そのため、蒸着マスク10が被蒸着基板を傷つけることがなくなり、製品の蒸着不良を低減することができる。さらに、押圧体500によって接続部材130の表面を平坦化することもできるため、製品の蒸着不良をさらに低減することができる。
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
10:蒸着マスク、 20:製造装置、 110:マスク本体、 111:開口領域、 112:非開口領域、 113:開口、 120:マスクフレーム、 130:接続部材、 210:支持基板、 220:金属層、 230:フォトレジスト層、 240:第1メッキ層、 250:接着層、 260:マスクフレーム、 260:マスクフレーム、 280:フィルム、 290:第2メッキ層、 300:棒体、 400:回転体、 410:回転部、 420:軸部、 500:押圧体、 510:凸部
Claims (8)
- 枠部または桟部によって囲まれた空隙を有するマスクフレームと、前記空隙と平面視で重畳するとともに、前記枠部または桟部とは平面視で重畳しない領域に設けられた第1メッキ層と、前記マスクフレームと前記第1メッキ層とを接合する第2メッキ層と、を有し、前記第1メッキ層は、前記マスクフレームから第1方向に突出するように設けられた蒸着マスクの製造方法であって、
前記第2メッキ層と前記第1メッキ層との境界において、前記第2メッキ層から、前記第1方向に突出する突起を押し倒す工程を含む蒸着マスクの製造方法。 - 前記突起を押し倒す工程は、前記突起に、棒体を押し当てることを含み、
前記棒体の材料は、前記第2メッキ層よりも硬度の高い材料である請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。 - 前記突起を押し倒す工程は、前記突起に、回転体を押し当てることを含み、
前記回転体の前記突起に接する部分の材料は、前記第2メッキ層よりも硬度の高い材料である請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。 - 前記突起を押し倒す工程は、前記突起に、傾斜面を有する凸部を含む押圧体を押し当てることを含み、
前記凸部の材料は、前記第2メッキ層よりも硬度の高い材料である請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。 - 前記突起の先端は、前記第1メッキ層と前記第2メッキ層との境界から離れる方向に向いている請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
- 前記突起は、前記第1メッキ層の表面および前記表面の延長戦よりも前記第1方向に突出している請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
- 前記突起からの反射光の変化に基づいて、前記突起が形成されたことを判定する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
- 枠部または桟部によって囲まれた空隙を有するマスクフレームと、
前記空隙と平面視で重畳するとともに、前記枠部または桟部とは平面視で重畳しない領域に設けられた第1メッキ層と、
前記マスクフレームと前記第1メッキ層とを接合する第2メッキ層と、を有し、
前記第1メッキ層は、前記マスクフレームから第1方向に突出するように設けられ、
前記第2メッキ層と前記第1メッキ層との境界において、前記第2メッキ層の端部に突起が設けられ、
前記突起の先端は、前記第2メッキ層と前記第1メッキ層との境界から離れる方向に向くとともに、前記第1メッキ層の表面および前記表面の延長線よりも外側に突出していない蒸着マスク。
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