JP4475496B2 - 有機el素子用の蒸着マスクとその製造方法 - Google Patents

有機el素子用の蒸着マスクとその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4475496B2
JP4475496B2 JP2003144124A JP2003144124A JP4475496B2 JP 4475496 B2 JP4475496 B2 JP 4475496B2 JP 2003144124 A JP2003144124 A JP 2003144124A JP 2003144124 A JP2003144124 A JP 2003144124A JP 4475496 B2 JP4475496 B2 JP 4475496B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mask
vapor deposition
layer
frame
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003144124A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004349086A (ja
Inventor
和彦 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu Hitachi Maxell Ltd
Original Assignee
Kyushu Hitachi Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu Hitachi Maxell Ltd filed Critical Kyushu Hitachi Maxell Ltd
Priority to JP2003144124A priority Critical patent/JP4475496B2/ja
Publication of JP2004349086A publication Critical patent/JP2004349086A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4475496B2 publication Critical patent/JP4475496B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸着マスク法で有機EL素子の発光層を形成する際に用いられる有機EL素子用蒸着マスク、およびこの有機EL素子用蒸着マスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特許文献1には、図6に示すごとく、マスク本体2の外周縁に、該マスク本体2の変形防止用の枠体3が装着された蒸着マスクが開示されている。そこでの枠体3は、被蒸着基板30と同等の熱線膨張係数を有する素材、あるいは低熱線膨張係数の素材からなる。枠体3は、耐熱セラミック系接着剤や耐熱エポキシ樹脂接着剤など温度変化に対して安定した接着剤からなる接着剤層8を介してマスク本体2上に固定されている。マスク本体2は、多数独立の蒸着通孔5からなる有機EL素子の発光層31の形成用蒸着パターン6を、パターン形成領域4内に備えている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−371349号公報(請求項1、請求項3、段落0019、0022、0023、図1(b)、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の蒸着マスクによれば、マスク本体2の形成素材が有する熱線膨張係数が被蒸着基板30のそれと異なる場合でも、マスク本体2は被蒸着基板30と同等の熱線膨張係数を有する枠体3の膨張に追随して形状変化し、あるいは低熱線膨張係数を有する枠体3に抑制されて形状変化しない。従って、常温時における被蒸着基板30に対するマスク本体2の整合精度を蒸着窯内における昇温時においても良好に担保できるので、被蒸着基板30上に発光層31を高精度に再現性良く形成できる利点がある。
【0005】
但し、パターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aが表面に露出しているため、接着剤層8を構成する接着剤が、マスクの洗浄時や蒸着パターン6の作成時などに使用される有機溶剤で変質されやすく、マスク本体2と枠体3との間の接合強度が低下するおそれがある。このように接合強度が低下すると、枠体3のマスク体2に対する形状抑制機能が良好に発揮されず、被蒸着基板30およびマスク本体2は、それぞれの熱線膨張係数に基づく寸法変化の挙動を示すため、発光層31の外形寸法に誤差が生じたり、発光層31の形成位置に位置ずれが生じて、発光層31の再現精度が低下する。最悪の場合にはマスク本体2が枠体3から剥がれ落ちるおそれもある。加えて、蒸着槽内での昇温時に接着剤層8から有機物等の不純物が蒸発し、これが発光層31の再現精度を低下させるおそれもあった。
【0006】
本発明の目的は、被蒸着基板30とは熱線膨張係数が異なる素材からなるマスク本体2を用いて蒸着を行った場合でも、常温時の被蒸着基板30に対するマスク本体2の整合精度を蒸着窯内における昇温時にも良好に担保でき、従って発光層31を高精度に再現性良く形成できる有機EL素子用の蒸着マスクおよびその製造方法を得るにある。
【0007】
そのうえで本発明の目的は、マスク本体2と枠体3との間に介在された接着剤層8の変質を防いで、マスク本体2と枠体3との良好な接合状態を長期にわたって維持し、以て発光層31の再現精度の信頼性向上に貢献できる有機EL素子用蒸着マスクおよびその製造方法を得るにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機EL素子用蒸着マスク1は、図1に示すごとく、多数独立の蒸着通孔5からなる有機EL素子の発光層形成用の蒸着パターン6をパターン形成領域4内に備えるマスク本体2と、パターン形成領域4の外周縁4aに接着剤層8を介して固定された、低熱線膨張係数の材質からなるマスク本体2の補強用の枠体3とを含む。そして、パターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aが、パターン形成領域4の外周縁4aにメッキ法により積層された金属層9で覆われていることを特徴とする。枠体3は、線膨張係数の小さなニッケル−鉄合金であるインバー材、あるいはニッケル−鉄−コバルト合金であるスーパーインバー材を材質とするものが好ましい。かかる材質を採用することで、初期寸法を確保できれば、熱影響によるマスク本体の形状変化・寸法変化をよく抑えることができる。
【0009】
接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体は、電着金属層9で覆う形態が好ましい。これによれば、確実に接着剤層8の側部8aを電着金属層9で確実に覆うことができる。
【0010】
また、本発明は、図1に示すような多数独立の蒸着通孔5からなる有機EL素子の発光層形成用の蒸着パターン6をパターン形成領域4内に備えるマスク本体2と、パターン形成領域4の外周縁4aに接着剤層8を介して固定された、低熱線膨張係数の材質からなるマスク本体2の補強用の枠体3とを含む有機EL素子用の蒸着マスクの製造方法において、図2(c)に示すごとく導電性の母型10の表面に、レジスト体14aを有する一次パターンレジスト14を設ける第1のパターンニング工程と、図2(d)に示すごとく母型10上に電着金属を電鋳して、マスク本体2に対応する一次電着層15を形成する第1の電鋳工程と、図3(c)に示すごとく、マスク本体2に対応する該一次電着層15のパターン形成領域4の外周縁4a上面に接着剤層8を介して補強用の枠体3を固定する工程と、図3(d)に示すごとく枠体3およびパターン形成領域4の外周縁4aの表面に露出する一次電着層15上に、金属メッキによりパターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体を覆うように金属層9を形成する工程と、母型10から一次電着層15、枠体3および金属層9を一体に剥離する剥離工程と、前記剥離工程と前後して、一次および二次パターンレジスト14を除去する工程とを含む。
【0011】
これによれば、レジスト体14aの除去に伴い、一次電着層15に蒸着通孔5が形成される。パターン形成領域4の外周縁4aにメッキ形成された金属層9によって、パターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体を覆うことができる。パターンレジスト14は、フォトレジスト等を使用したリソグラフィー法その他の任意の方法で形成でき、パターンレジスト14の形成手段は問わない。
【0012】
詳しくは、金属層9は、パターン形成領域の外周縁4aに係る表面に露出する一次電着層15の上面に順次積層されていく。そして、金属層9が接着剤層8の高さ寸法を超えて枠体3に至ると、枠体3の表面に金属層9が形成される。
【0013】
前記有機EL素子用蒸着マスクの製造方法には、図3(b)に示すごとく、マスク本体2のパターン形成領域4を覆うように、レジスト体19aを有する二次パターンレジスト19を設ける第2のパターンニング工程を含ませることができる。
【0014】
【発明の作用効果】
かかる本発明に係る蒸着マスクによれば、図1に示すごとく、パターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aが金属層9で被覆されているので、洗浄処理等において使用される有機溶媒が接着剤層8に作用することに起因する接着剤層8の変質を効果的に防いで、マスク本体2と枠体3との間の良好な接合状態を長期に亘ってよく維持できる。従って、熱影響によるマスク本体2の形状変化・寸法変化を阻止するという枠体3の機能を良好に担保でき、有機EL素子用蒸着マスク1による発光層31(図6参照)の再現精度の信頼性向上に貢献できる。加えて、蒸着槽内での昇温時に、接着剤層8から有機物等の不純物が蒸発した場合でも、接着剤層8を被覆する金属層9により有機物等が外部へ流出することがなく、支障なく蒸着作業を進めることができる点でも有利である。
【0015】
接着剤層8による接着力に加えて、金属層9によってもマスク本体2と枠体3とを結着できるので、両者の一体不可分的な接合状態が良好に維持される。従って、この点においても枠体3のマスク本体2に対する形状抑制機能を長期に亘って良好に担保でき、有機EL素子用蒸着マスク1による発光層31の位置精度や再現性の向上に貢献できる。
【0016】
金属層9は、パターン形成領域4の外周縁4aに係るマスク本体2の上面から順次積層されていく。そして、金属層9が接着剤層8の高さ寸法を超えて枠体3に到ると、この枠体3が母型10と導電状態となって、その表面に金属層9が積層される。つまり、請求項2記載の本発明において、接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体が金属層9で被覆された形態とは、該接着剤層8の側部8aが金属層9で確実に覆われていて、接着剤層8が表面に一切露出しない形態を意味する。これにて、接着剤層8の変質に起因する接合強度の低下を確実に阻止できる。
【0017】
本発明に係る有機EL素子用蒸着マスクの製造方法によれば、金属メッキ法により金属層9を形成したので、高精度にしかも生産性を確保してつくれる利点を有する。
【0018】
図3(c)および図4に示すごとく、マスク本体2となる一次電着層15が母型10上に形成された状態で、該マスク本体2と枠体3を一体化して蒸着マスク1を作成するので、母型10を利用して枠体3を適正に位置決めすることが容易である。従って、マスク本体2を別個に作成してから、これを枠体3と一体化する形態に比べて、マスク本体2の位置ずれや角度ずれを確実に防止でき、マスク1製造の歩留まりが向上する。特に図4に示すごとく、複数個のマスク本体2を一つの枠体3に一体化する際には、各マスク本体2と枠体3とを適正に位置決めすることは容易でないが、マスク本体2となる一次電着層15が母型10上に形成された状態で、枠体3の位置決めを母型10を利用して行うことにより、各マスク本体2の枠体3に対する組み付けが正確にしかも容易に行える。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1および図4は本発明の第1実施形態に係る有機EL素子用蒸着マスクを示す。図1において有機EL素子用蒸着マスク1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、その他の電着金属を素材として、電鋳方法により形成されたマスク本体2と、このマスク本体2を囲むように装着された枠体3とを含む。図4においてマスク本体2は、例えば200mm×200mmの正方形に形成されており、その内部に4つの略正方形のパターン形成領域4を備える。パターン形成領域4には、多数独立の蒸着通孔5からなる発光層形成用の蒸着パターン6が形成されている。
【0020】
マスク本体2の厚みは、好ましくは10〜100μmの範囲とし、本実施例では15μmに設定した。各蒸着通孔5は、例えば平面視で前後の長さ寸法が200μm、左右幅寸法が30〜80μmの四角形状を有しており、これら蒸着通孔5は、前後方向に直線的に並ぶ複数個の通孔群を列とし、複数個の列が左右方向に並列状に配設されたマトリクス状の蒸着パターン6を構成した。なお、図1の縦断面図は、実際の蒸着パターン6の様子を示したものではなく、それを模式的に示している。
【0021】
マスク本体2の上面側には、マスク本体2の補強用の枠体が装着される。この枠体3は、ニッケル−鉄合金であるインバー材、あるいはニッケル−鉄−コバルト合金であるスーパーインバー材等のような低熱線膨張係数の材質からなる。枠体3は、マスク本体2よりも肉厚の成形品であり、パターン形成領域4の外周縁4aに接着剤層8を介して固定される。ここでは図4に示すごとく、マスク本体2上には4個のパターン形成領域4が形成されており、このマスク本体4を1枚の枠体3で支持している。枠体3は、マスク本体2に対応する4つの開口3aを備える平板形状に形成されており、その開口3aの周縁がパターン形成領域4の外周縁4aに接着剤層8を介して接着されている。枠体3の厚み寸法は、例えば100〜500μm程度とし、本実施例においては200μmに設定した。
【0022】
枠体3の形成素材としてインバー材やスーパーインバー材を採用したのは、その線膨張係数が2×10-6/℃、あるいは1×10-6/℃以下と極めて小さく、蒸着工程における熱影響によるマスク本体4の寸法変化を良好に抑制できることに拠る。すなわち、例えば上述のようにマスク本体4がニッケルからなるものであると、その線膨張係数は12.80×10-6/℃であり、被蒸着基板30(図6参照)である一般ガラスの線膨張係数3.20×10-6/℃に比べて数倍大きいため、蒸着時の高温による熱膨張率の違いから、常温下で蒸着マスク1を被蒸着基板30に整合させた際の蒸着位置と、実際の蒸着時における蒸着物質の蒸着位置との間に位置ズレが生じることは避けられない。そこで、マスク本体2を保持する枠体3の形成素材として、インバー材などの線膨張係数の小さな素材を採用してあると、昇温時におけるマスク本体2の膨張に起因する寸法変化、形状変化をよく抑えて、常温時における整合精度を蒸着時の昇温時にも良好に保つことができる。
【0023】
接着剤層8は、温度変化に安定した耐熱性エポキシ樹脂系接着剤、あるいは耐熱セラミックス系接着剤、UV硬化シート接着剤などからなり、パターン形成領域4の外周縁4aにかかるマスク本体2の上面に、5μm以下の厚みで形成されている。ここでは、パターン形成領域4から1mm離れた位置に接着剤層8を形成し、該接着剤層8上に枠体3を接着固定した。
【0024】
図1において符号9は、パターン形成領域の外周縁4aに係るマスク本体2の上面にメッキ法により積層されたニッケルやニッケル−コバルト合金等の金属層を示す。金属層9は、パターン形成領域4を除くマスク本体2の上面から枠体3の表面全体を覆うように形成されており、従ってパターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aが、該電着金属層9で覆われている点が着目される。このように接着剤層8の側部8aを金属層9で覆ってあると、洗浄処理等において使用される有機溶媒が接着剤層8に作用することに起因する接着剤の変質を効果的に防ぐことができるので、マスク本体2と枠体3との間の良好な接合状態を長期に亘って良好に維持できる。従って、熱影響によるマスク本体2の寸法変化を阻止するという枠体3の機能を長期に亘って良好に担保でき、有機EL素子用蒸着マスク1による発光層31(図6参照)の再現精度の信頼性向上に貢献できる。また、本マスク1を使用した蒸着作業における蒸着槽内での昇温時に、接着剤層8から有機物等の不純物が蒸発した場合も、接着剤層8を被覆する金属層9により有機物等が外部へ流出することがなく、支障なく蒸着作業を進めることができる。
【0025】
図2および図3は本実施例に係る有機EL素子用電着マスクの製造方法を示す。まず図2(a)に示すごとく、導電性を有する例えばステンレスや真ちゅう鋼製の母型10の表面にフォトレジスト層11を形成する。このフォトレジスト層11は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成した。
【0026】
図2(b)に示すごとくフォトレジスト層11の上に、前記蒸着通孔5に対応する透光孔12aを有するパターンフィルム12(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図2(c)に示すごとく、前記蒸着通孔5に対応するストレート状のレジスト体14aを有する一次パターンレジスト14を母型10上に形成した。
【0027】
続いて、上記母型10を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図2(d)に示すごとく先のレジスト体14aの高さの範囲内で、母型10のレジスト体14aで覆われていない表面にニッケル合金等の電着金属を好ましくは10〜100μm厚の範囲、本実施例では15μm厚で一次電鋳して、一次電着層15、すなわち前記マスク本体2となる層を形成した。ここでは、母型10の略全面にわたって、一次電着層15を形成した。
【0028】
次に、図3(a)に示すごとく、一次電着層15およびレジスト体14aを覆うように、フォトレジスト層17を形成した。このフォトレジスト層17の上に、前記パターン形成領域4よりも若干大きめに対応する透光孔18aを有するパターンフィルム18(ガラスマスク)を密着させたのち、紫外光ランプ13で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図3(b)に示すごとく、パターン形成領域4に対応するストレート状のレジスト体19aを有する二次パターンレジスト19を一次電着層15およびレジスト体14a上に形成した。ここでは、約20μm程度の厚さでレジスト体19aを形成した。
【0029】
次に、図3(c)に示すごとく、枠体3裏面側に接着剤を塗布して接着剤層8を形成した後、該枠体3を上記パターン形成領域4の外周縁4aに係るマスク本体2の上面に、接着剤層8を介して固定した。
【0030】
次に図3(d)に示すごとく、一次電着層14の二次パターンレジスト19および接着剤層8で覆われていない部分に、ニッケル合金等の電着金属をメッキし、金属層9となる層を一次電着層14と不離一体的に形成した。この金属層9は、パターン形成領域4の外周縁4aに係る表面に露出する一次電着層15の上面から順次積層されていき、そして、メッキ層が接着剤層8の高さ寸法を超えて枠体3に到ると、枠体3の表面にメッキ層が形成される。かくして、パターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体を覆うように、金属層9を形成することができた。
【0031】
最後に、一次および二次パターンレジスト14・19を溶解除去してから、母型10から一次電着層15、枠体3および金属層9を一体に剥離することにより、図1に示すようなマスク1を得た。
【0032】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る有機EL素子用蒸着マスクを示す。本実施形態の蒸着マスク1では、一次電着層14のパターン形成領域4の外周縁4aに係るマスク本体2の上面に、電鋳により20〜60μm程度の厚の二次電着層25を形成したうえで、該二次電着層25上に接着剤層8を介して枠体3を固定してある点が、先の第1実施形態と相違する。金属層9は、パターン形成領域4に臨む二次電着層25の側部25a、接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体を覆うように形成されている。
【0033】
パターン形成領域4での蒸着精度を上げるために一次電着層14の厚みを10〜20μm程度に薄く形成した場合、この一次電着層14のパターン形成領域4の外周縁4aに直接接着剤層8を介して枠体3を接着すると、接着剤層8自体の凹凸がそのまま一次電着層14の裏面まで移し出され、蒸着作業時のガラス基板側との密着性に影響を及ぼすおそれがある。その点、本実施形態のごとく、外周縁4a部分を二次電着層25により肉厚に形成することで、上述のような接着剤層8の凹凸が一次電着層14裏面へ移し出される不具合を効果的に抑えることができる。
【0034】
上記実施形態のほかに、一次パターンレジスト14を除去し、一次電着層15を研磨により平滑化してから、パターン形成領域4に二次パターンレジスト19を形成するようにしてもよい。上記実施形態では、マスク本体2が200mm×200mmの正方形状を呈するものとしたが、その大きさはこれに限られない。また、マスク本体2は4つの略正方形のパターン形成領域4を備えるものとしたが、その数や形状はこれに限られない。
【0035】
枠体3の材質としては、実施形態に示すインバー材等のような金属材料のほか、できる限り被蒸着基板であるガラス等に近い低熱線膨張係数の材料、例えばガラスやセラミックのようなものを選択することができる。この場合にはこれら材料の少なくとも表面に導電性を付与させることが好ましい。さらに、形成された有機EL素子用蒸着マスク1を引っ張り状態で、その外周縁に別途ステンレス等の枠を周知の方法で固定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL素子用蒸着マスクの縦断側面図
【図2】第1実施形態に係る有機EL素子用蒸着マスクの製造過程の工程説明図
【図3】第1実施形態に係る有機EL素子用蒸着マスクの製造過程の工程説明図
【図4】第1実施形態に係る有機EL素子用蒸着マスクの分解斜視図
【図5】本発明の第2実施形態に係る有機EL素子用蒸着マスクの縦断側面図
【図6】従来例の有機EL素子用蒸着マスクを示す縦断面図
【符号の説明】
1 有機EL素子用蒸着マスク
2 マスク本体
3 枠体
4 パターン形成領域
4a パターン形成領域の外周縁
5 蒸着通孔
6 蒸着パターン
8 接着剤層
8a 接着剤層の側部
9 電着金属層
10 母型
14 一次パターンレジスト
14a レジスト体
15 電着金属層
19 二次パターンレジスト
19a レジスト体

Claims (4)

  1. 多数独立の蒸着通孔5からなる有機EL素子の発光層形成用の蒸着パターン6をパターン形成領域4内に備えるマスク本体2と、
    パターン形成領域4の外周縁4aに接着剤層8を介して固定された、低熱線膨張係数の材質からなるマスク本体2の補強用の枠体3とを含み、
    パターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aが、パターン形成領域4の外周縁4aにメッキ法により積層された金属層9で覆われていることを特徴とする有機EL素子用の蒸着マスク。
  2. 接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体が、金属層9で覆われている請求項1記載の有機EL素子用の蒸着マスク。
  3. 多数独立の蒸着通孔5からなる有機EL素子の発光層形成用の蒸着パターン6をパターン形成領域4内に備えるマスク本体2と、パターン形成領域4の外周縁4aに接着剤層8を介して固定された、低熱線膨張係数の材質からなるマスク本体2の補強用の枠体3とを含む有機EL素子用の蒸着マスクの製造方法であって、
    導電性の母型10の表面に、レジスト体14aを有する一次パターンレジスト14を設ける第1のパターンニング工程と、
    母型10上に電着金属を電鋳して、マスク本体2に対応する一次電着層15を形成する第1の電鋳工程と、
    マスク本体2に対応する該一次電着層15のパターン形成領域4の外周縁4a上面に接着剤層8を介して補強用の枠体3を固定する工程と、
    枠体3およびパターン形成領域4の外周縁4aの表面に露出する一次電着層15上に、金属メッキによりパターン形成領域4に臨む接着剤層8の側部8aおよび枠体3の表面全体を覆うように金属層9を形成する工程と、
    母型10から一次電着層15、枠体3および金属層9を一体に剥離する剥離工程と、
    前記剥離工程と前後して、一次パターンレジスト14を除去する工程とを含むことを特徴とする有機EL素子用蒸着マスクの製造方法。
  4. マスク本体2のパターン形成領域4を覆うように、レジスト体19aを有する二次パターンレジスト19を設ける第2のパターンニング工程を有する請求項3記載の有機EL素子用蒸着マスクの製造方法。
JP2003144124A 2003-05-21 2003-05-21 有機el素子用の蒸着マスクとその製造方法 Expired - Fee Related JP4475496B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003144124A JP4475496B2 (ja) 2003-05-21 2003-05-21 有機el素子用の蒸着マスクとその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003144124A JP4475496B2 (ja) 2003-05-21 2003-05-21 有機el素子用の蒸着マスクとその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004349086A JP2004349086A (ja) 2004-12-09
JP4475496B2 true JP4475496B2 (ja) 2010-06-09

Family

ID=33531689

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003144124A Expired - Fee Related JP4475496B2 (ja) 2003-05-21 2003-05-21 有機el素子用の蒸着マスクとその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4475496B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4847081B2 (ja) * 2005-09-20 2011-12-28 九州日立マクセル株式会社 メタルマスクおよびその製造方法
JP4832160B2 (ja) * 2006-05-19 2011-12-07 トッキ株式会社 有機el素子形成用マスク,アライメント方法並びに有機el素子形成装置
KR100847047B1 (ko) * 2007-03-29 2008-07-18 한국기계연구원 열선 제조방법
KR100847046B1 (ko) * 2007-03-29 2008-07-18 한국기계연구원 열선
KR101135544B1 (ko) * 2009-09-22 2012-04-17 삼성모바일디스플레이주식회사 마스크 조립체, 이의 제조 방법 및 이를 이용한 평판표시장치용 증착 장치
KR101126128B1 (ko) 2010-06-11 2012-03-29 주식회사 엔엔피 지그 일체형 마스크 및 그 제조방법
JP5751810B2 (ja) * 2010-11-26 2015-07-22 日立マクセル株式会社 メタルマスクの製造方法、枠部材及びその製造方法
JP6709534B2 (ja) * 2016-04-06 2020-06-17 大日本印刷株式会社 蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法
JP6722512B2 (ja) * 2016-05-23 2020-07-15 マクセルホールディングス株式会社 蒸着マスクおよびその製造方法
KR102314854B1 (ko) * 2017-05-02 2021-10-18 주식회사 오럼머티리얼 프레임 일체형 마스크의 제조 방법
KR20190013534A (ko) * 2017-07-31 2019-02-11 맥셀 홀딩스 가부시키가이샤 증착 마스크
JP7332301B2 (ja) * 2019-01-31 2023-08-23 株式会社ジャパンディスプレイ 蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法
JP6875480B2 (ja) * 2019-09-27 2021-05-26 マクセルホールディングス株式会社 蒸着マスク及びその製造方法
JP7391719B2 (ja) * 2020-03-05 2023-12-05 株式会社ジャパンディスプレイ 蒸着マスクユニットの作製方法
JP7049400B2 (ja) * 2020-06-22 2022-04-06 マクセル株式会社 蒸着マスク

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001237071A (ja) * 2000-02-24 2001-08-31 Tohoku Pioneer Corp メタルマスク及びその製造方法
JP3082805U (ja) * 2001-06-20 2002-01-11 株式会社オプトニクス精密 蒸着用マスク
JP2003077660A (ja) * 2001-09-05 2003-03-14 Ritsuo Inaba 有機el素子作製用メタルマスク及び有機elの製造方法
JP2003107723A (ja) * 2001-09-25 2003-04-09 Eastman Kodak Co メタルマスクの製造方法およびメタルマスク

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004349086A (ja) 2004-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4369199B2 (ja) 蒸着マスクとその製造方法
JP4677363B2 (ja) 蒸着マスクおよびその製造方法
JP5751810B2 (ja) メタルマスクの製造方法、枠部材及びその製造方法
JP4475496B2 (ja) 有機el素子用の蒸着マスクとその製造方法
JP2008255449A (ja) 蒸着マスクとその製造方法
JP6851820B2 (ja) 蒸着用マスク並びにその設置方法及び製造方法
JP5607312B2 (ja) 蒸着マスク及びその製造方法
JP2006152396A (ja) メタルマスク、電鋳用マスク原版及びマスター原版の製造方法
JP7157841B2 (ja) 電鋳用母型
JP6599103B2 (ja) 蒸着マスク及びその製造方法
JP2022103212A (ja) 枠体および蒸着マスク
TWI791549B (zh) 蒸鍍罩
JP4782548B2 (ja) 蒸着方法
JP7421617B2 (ja) 蒸着マスク
JP2021105221A (ja) 支持装置
JP2022121537A (ja) メタルマスク
JP4808954B2 (ja) 印刷用メタルマスク版の製造方法と印刷用メタルマスク版
JP7450076B2 (ja) 蒸着マスク
JP7149859B2 (ja) メタルマスクの製造方法
JP2023042234A (ja) メタルマスク
JP2011042877A (ja) 金属多孔体とその製造方法
JP2019036754A (ja) 半田ボールの配列用マスク、およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060516

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20061124

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070712

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100303

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100304

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140319

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140319

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees