JP2020026554A - 蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法 - Google Patents

蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法 Download PDF

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昌人 牛草
Masato Ushikusa
昌人 牛草
健次 迫
Kenji Sako
健次 迫
市原 俊明
Toshiaki Ichihara
俊明 市原
修人 小山
Shuto Koyama
修人 小山
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Abstract

【課題】貫通孔の壁面の形状が修正された蒸着マスクの製造方法を提供する。【解決手段】金属材料からなり、第1面64a及び第2面64bを有する板状の基材64に、第1壁面311を有する複数の第1貫通孔31を形成する第1貫通孔形成工程と、第1貫通孔31の第1壁面311の過剰部を検出する第1検出工程と、過剰部の少なくとも一部を、切削工具を用いて加工して、第2壁面321を有する第2貫通孔32を形成する第2貫通孔形成工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法。【選択図】図5

Description

本発明は、蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が500ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラハイディフィニション(UHD)に対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが求められる。
応答性の良さや消費電力の低さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料などの蒸着を行う。
蒸着マスクの製造方法としては、例えば特許文献1に開示されているように、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成する方法が知られている。例えば、はじめに、金属板の第1面上に第1レジストパターンを形成し、また金属板の第2面上に第2レジストパターンを形成する。次に、金属板の第2面のうち第2レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第2面に第2凹部を形成する。その後、金属板の第1面のうち第1レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第1面に第1凹部を形成する。この際、第1凹部と第2凹部とが通じ合うようにエッチングを行うことにより、金属板を貫通する貫通孔を形成することができる。
その他にも、蒸着マスクの製造方法として、例えば特許文献2に開示されているように、めっき処理を利用して蒸着マスクを製造する方法が知られている。例えば特許文献2に記載の方法においては、はじめに、導電性を有する基材を準備する。次に、基材の上に、所定の隙間を空けてレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、蒸着マスクの貫通孔が形成されるべき位置に設けられている。その後、レジストパターンの隙間にめっき液を供給して、電解めっき処理によって基材の上に金属層を析出させる。その後、金属層を基材から分離させることにより、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを得ることができる。
蒸着マスクを製造する際に、一部の貫通孔の寸法が設計値からずれてしまう場合がある。この場合に、貫通孔を補修する方法が知られている。例えば特許文献3に記載の方法においては、補修対象の貫通孔に樹脂を設けた後、樹脂にレーザーを照射して樹脂を部分的に除去する。
特許第5382259号公報 特開2001−234385号公報 特開2018−44219号公報
蒸着マスクのうちレーザー照射によって気化した部分が再び蒸着マスクに付着すると、蒸着マスクの不良の原因になり得る。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る蒸着マスク及び蒸着マスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属材料からなり、第1面及び第2面を有する板状の基材に、第1壁面を有する複数の第1貫通孔を形成する第1貫通孔形成工程と、前記第1貫通孔の前記第1壁面の過剰部を検出する第1検出工程と、前記過剰部の少なくとも一部を、切削工具を用いて加工して、第2壁面を有する第2貫通孔を形成する第2貫通孔形成工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法である。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第2貫通孔形成工程は、前記基材の厚み方向にドリルを動かし、前記ドリルの先端部を前記基材の前記第2面側から前記第1面側へ貫通させるドリル工程を有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記ドリルの前記先端部は、60度以上120度以下の先端角を有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第2貫通孔形成工程は、前記ドリル工程の後、前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させるエンドミル工程を更に有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第2貫通孔形成工程は、前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させるエンドミル工程を有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記エンドミル工程は、前記基材の厚み方向における第1位置において前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させる第1エンドミル工程と、前記基材の厚み方向において前記第1位置よりも前記第1面側の第2位置において前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させる第2エンドミル工程と、を少なくとも有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第2エンドミル工程の前記第2位置において前記基材の面方向に前記エンドミルが動く第2移動範囲の外縁が、前記第1エンドミル工程の前記第1位置において前記基材の面方向に前記エンドミルが動く第1移動範囲の外縁よりも内側に位置してもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第1移動範囲の外縁と前記第2移動範囲の外縁とを結ぶ直線が前記第1面に対してなす角度が60度以下であってもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記エンドミルは、湾曲面を有するボールエンドミルであってもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第2貫通孔形成工程は、前記基材の前記第1面が台座によって支持された状態で実施されてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法は、前記第2貫通孔形成工程の後、前記第2貫通孔の前記第2壁面のうち前記基材の前記第1面側の端部を前記基材の前記第1面側から加工するバリ除去工程を更に備えてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第2貫通孔形成工程は、前記切削工具を用いて前記過剰部を加工することによって生じる異物を吸引する吸引工程を有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第2貫通孔形成工程は、前記基材にガスを吹き付けるパージ工程を有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法は、前記第1貫通孔の前記第1壁面の欠落部を検出する第2検出工程と、前記第1貫通孔の前記欠落部及びその周囲に補修材を設ける補修材供給工程と、前記補修材の少なくとも一部を、前記切削工具を用いて加工して、少なくとも部分的に前記補修材によって構成される第3壁面を有する第3貫通孔を形成する第3貫通孔形成工程と、を更に備えてもよい。
本発明は、金属材料からなり、第1面及び第2面を有する板状の基材と、前記第1面から前記第2面へ前記基材を貫通する複数の貫通孔と、を備え、前記複数の貫通孔は、第1壁面を有する複数の第1貫通孔と、第2壁面を有する第2貫通孔と、を有し、前記第1壁面のうち、前記第1貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分が、前記第1面と前記第2面との間に位置し、前記第2壁面のうち、前記第2貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分の少なくとも一部が、前記基材の前記第1面と同一平面上に位置する、蒸着マスクである。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第2壁面のうち、前記第2貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分の少なくとも一部と、前記第2壁面と前記基材の前記第2面とが交わる第2面開口部の縁部とを結ぶ直線が前記第1面に対してなす角度が60度以下であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第2壁面は、前記基材の厚み方向における第1位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第1湾曲面と、前記基材の厚み方向において前記第1位置よりも前記第1面側の第2位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第2湾曲面と、を有してもよい。
本発明は、金属材料からなり、第1面及び第2面を有する板状の基材と、前記第1面から前記第2面へ前記基材を貫通する複数の貫通孔と、を備え、前記複数の貫通孔は、第1壁面を有する複数の第1貫通孔と、第2壁面を有する第2貫通孔と、を有し、前記第2壁面は、前記基材の厚み方向における第1位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第1湾曲面と、前記基材の厚み方向において前記第1位置よりも前記第1面側の第2位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第2湾曲面と、を有する、蒸着マスクである。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記第2壁面と前記基材の前記第2面とが交わる第2面開口部の面積は、前記第2壁面と前記基材の前記第1面とが交わる第1面開口部の面積よりも大きく、前記第2壁面のうち、前記第2貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分の少なくとも一部と、前記第2面開口部の縁部と、を結ぶ直線が前記第1面に対してなす角度が60度以下となってもよい。
本発明によれば、貫通孔の壁面の形状が修正された蒸着マスクを提供することができる。
本発明の一実施形態による蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す図である。 図1に示す蒸着マスク装置を用いて製造した有機EL表示装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態による蒸着マスク装置を示す平面図である。 図3に示された蒸着マスクの有効領域を示す部分平面図である。 図4のV−V線に沿った断面図である。 図4のVI−VI線に沿った断面図である。 図5において符号VIIが付された一点鎖線で囲まれた部分における蒸着マスクを拡大して示す断面図である。 図7に示す第2貫通孔の平面図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第1の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第1の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第1の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第1の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第2の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第4の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第4の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第5の変形例を説明するための図である。 第2貫通孔形成工程の第5の変形例を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法の第1の変形例を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法の第1の変形例を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法の第2の変形例を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法の第2の変形例を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法の第2の変形例を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法の第2の変形例を説明するための図である。 蒸着マスクの製造方法の第3の変形例を説明するための図である。 検出工程の変形例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図17は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクの製造方法を例に挙げて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクの製造に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着装置)
まず、本実施の形態における蒸着マスクの製造方法を用いて作製される蒸着マスクを含む蒸着装置90について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置90は、その内部に、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、及び蒸着マスク装置10を備える。また、蒸着装置90は、蒸着装置90の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備える。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容する。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料98を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されている。
(蒸着マスク装置)
以下、蒸着マスク装置10について説明する。図1に示すように、蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20と、蒸着マスク20を支持するフレーム15と、を備える。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20をその面方向に引っ張った状態で支持する。蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着マスク20が、蒸着材料98を付着させる対象物である基板、例えば有機EL基板92に対面するよう、蒸着装置90内に配置される。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、有機EL基板92側の面を第1面20aと称し、第1面20aの反対側に位置する面を第2面20bと称する。
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、有機EL基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石93を備えていてもよい。磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させることができる。また、静電気力(クーロン力)を利用する静電チャックを用いて蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させてもよい。
図3は、蒸着マスク装置10を、蒸着マスク20の第1面20a側から見た場合を示す平面図である。図3に示すように、蒸着マスク装置10は、複数の蒸着マスク20を備える。各蒸着マスク20は、一対の長辺26及び一対の短辺27を含んでおり、例えば矩形状の形状を有している。各蒸着マスク20は、一対の短辺27又はその近傍の部分において、例えば溶接によってフレーム15に固定されている。
蒸着マスク20は、複数の貫通孔30を備える。るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔30を通って有機EL基板92に付着する。これによって、蒸着マスク20の貫通孔30の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を有機EL基板92の表面に成膜することができる。
図2は、図1の蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、有機EL基板92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備える。
なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着装置90に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
次に、本実施の形態における蒸着マスクの製造方法を用いて作製される蒸着マスク20の平面視における構造について詳細に説明する。図3に示すように、蒸着マスク20は、蒸着マスク20の一対の短辺27を含む一対の耳部(第1耳部17a及び第2耳部17b)と、一対の耳部17a,17bの間に位置する中間部18と、を備えている。
(耳部)
まず、耳部17a,17bについて詳細に説明する。耳部17a,17bは、蒸着マスク20のうちフレーム15に固定される部分である。図3に示す例において、耳部17a,17bは、中間部18と一体的に構成されている。なお、耳部17a,17bは、中間部18とは別の部材によって構成されていてもよい。この場合、耳部17a,17bは、例えば溶接によって中間部18に接合される。
(中間部)
次に、中間部18について説明する。中間部18は、蒸着マスク20の第1面20aから第2面20bに至る貫通孔30が形成された、少なくとも1つの有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含む。有効領域22は、蒸着マスク20のうち、有機EL基板92の表示領域に対面する領域である。
図3に示す例において、中間部18は、蒸着マスク20の長辺26に沿って所定の間隔を空けて配列された複数の有効領域22を含む。一つの有効領域22は、一つの有機EL表示装置100の表示領域に対応する。このため、図1に示す蒸着マスク装置10によれば、有機EL表示装置100の多面付蒸着が可能である。なお、一つの有効領域22が複数の表示領域に対応する場合もある。
図3に示すように、有効領域22は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有する。なお図示はしないが、各有効領域22は、有機EL基板92の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
蒸着マスク20の有効領域22についてさらに詳細に説明する。図4は、蒸着マスク20の有効領域を蒸着マスク20の第2面20bの側から示す部分平面図である。図4に示すように、各有効領域22に形成された複数の貫通孔30は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。
図4に示すように、複数の貫通孔30は、複数の第1貫通孔31と、少なくとも1つの第2貫通孔32とを含む。第2貫通孔32は、所望の第1貫通孔31の壁面と比べて、過剰な部分を有する壁面を有する第1貫通孔31を修正することにより形成される貫通孔である。
図5は、図4の有効領域22のV−V方向に沿った断面図である。図6は、図4の有効領域22のVI−VI方向に沿った断面図である。蒸着マスク20は、金属材料からなる板状の基材64を備える。複数の貫通孔30は、基材の第1面64aから第2面64bに至るよう基材64を貫通している。なお、貫通孔30の壁面とは、基材64の面のうち貫通孔30を囲う面であって、基材64の第1面64aから第2面64bに至るよう広がっている面である。
基材64は、第1面64a及び第2面64bを有する板状の部材である。基材64の第1面64a及び第2面64bは、基材64を用いて蒸着マスクが製造された場合には、それぞれ蒸着マスク20の第1面20a及び第2面20bを構成する面である。
基材64の金属材料について説明する。蒸着マスク20を用いた蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。
このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20を構成する基材64の金属材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、基材64の金属材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe−Ni系めっき合金などを挙げることができる。
なお蒸着処理の際に、蒸着マスク20および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、蒸着マスク20の熱膨張係数を、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、基材64の金属材料として、上述の鉄合金以外の材料を用いてもよい。例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。また、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、鉄合金以外の合金を用いてもよい。
(第1貫通孔)
次に、第1貫通孔31の構成について詳細に説明する。図6に示すように、第1貫通孔31は、基材64の一方の側となる第1面64aから、第1面64aの、基材64の他方の側となる第2面64bへ貫通している。
図6に示す例においては、第1面64aに第1凹部34が形成されており、第2面64bに第2凹部35が形成されている。第1凹部34は、第2凹部35に接続され、これによって第2凹部35と第1凹部34とが互いに通じ合うように形成されている。第1貫通孔31は、第2凹部35と、第2凹部35に接続された第1凹部34とによって構成されている。
基材64の面方向における第1凹部34の寸法及び面積は、第1面64a側から第2面64b側に向かうにつれて小さくなっている。また、基材64の面方向における第2凹部35の寸法及び面積は、第2面64b側から第1面64a側に向かうにつれて小さくなっている。この場合、第1貫通孔31の寸法及び面積は、図6に示すように、第1面64aと第2面64bとの間の、第1凹部34と第2凹部35とが接続される接続部37において最小になっている。
貫通孔において、貫通孔の壁面と基材64の第1面64aとが交わる部分を「第1面開口部」とも称し、貫通孔の壁面と基材64の第2面64bとが交わる部分を「第2面開口部」とも称する。図4に示すように、第2面開口部314の寸法及び面積は、第1面開口部313の寸法及び面積よりも大きい。例えば、平面視における第2面開口部314の輪郭は、平面視における第1面開口部313の輪郭を囲んでいる。
図4に示す例においては、第1貫通孔31の第1面開口部313及び第2面開口部314が、平面視において円形状の輪郭を有する。なお、図示はしないが、第1貫通孔31の第1面開口部313及び第2面開口部314は、平面視において楕円形や、略四角形、より具体的には略矩形の輪郭を有していてもよい。なお、「略四角形状」とは、四角形の角部が丸められている形状を含む概念である。
図4に示す例において、符号312は、第1貫通孔31の貫通領域を表す。第1貫通孔31の貫通領域312は、第1貫通孔31のうち第2面20b側から見た場合に第1壁面311によって囲われている領域として定義される。第1貫通孔31の貫通領域312の形状及び面積は、基材64の法線方向Nに沿って進む平行光を第1面64a又は第2面64bの一方の側から第1貫通孔31に入射させた場合に、第1面64a又は第2面64bの他方の側において第1貫通孔31から出射する光の像の形状及び面積に等しい。図4に示す例においては、第1凹部34と第2凹部35との接続部37が、第1貫通孔31の貫通領域312の輪郭312aを画定している。
図4に示す例において、第1貫通孔31の貫通領域312の輪郭312aは、第1面開口部313及び第2面開口部314と同様に円形状である。なお、図示はしないが、第1貫通孔31の貫通領域312の輪郭312aは、楕円形や、略四角形、より具体的には略矩形であってもよい。
第1貫通孔31の貫通領域312の寸法は、有機EL表示装置100の寸法及び表示画素数に応じて適宜定められるが、例えば40μm以下であり、30μm以下又は20μm以下であってもよい。また、第1貫通孔31の貫通領域312の面積は、例えば1600μm以下であり、900μm以下又は400μm以下であってもよい。なお、第1貫通孔31の貫通領域312の寸法は、貫通領域312の輪郭312aが円形である場合には、円の直径として定義され、貫通領域312の輪郭312aが楕円形である場合には、楕円の短径として定義され、貫通領域312の輪郭312aが矩形状又は略矩形状である場合には、矩形の短辺の長さとして定義される。第2貫通孔32の後述する貫通領域の寸法も同様に定義される。
図4及び図6に示す例においては、蒸着マスク20の第2面20b側において、隣り合う二つの第1貫通孔31は、基材64の第2面64bに沿って互いから離間している。すなわち、隣り合う二つの第1貫通孔31の第2凹部35の間に基材64の第2面64bが、後述するエッチング工程においてエッチングされることなく残存している。以下の説明において、基材64の第2面64bの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部36とも称する。このようなトップ部36が残るように蒸着マスク20を作製することにより、蒸着マスク20に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などに蒸着マスク20が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部36の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料の利用効率が低下することがある。従って、トップ部36の幅βが過剰に大きくならないように蒸着マスク20が作製されることが好ましい。
蒸着マスク20を用いた蒸着処理においては、蒸着源から飛来した蒸着材料が、第1貫通孔31の第2凹部35及び第1凹部34を順に通過して有機EL基板などの基板に付着する。ところで、図6において第2面64b側から第1面64aへ向かう矢印Aで示すように、蒸着材料98は、有機EL基板などの基板に向かって基材64の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。第1貫通孔31は、このように斜めに移動する蒸着材料をより多く通過させるよう構成されていることが好ましい。これにより、蒸着材料の利用効率を高めることができる。
図6において、符号L1が付された線は、第1壁面311のうち第1貫通孔31の貫通領域312を画定する部分である、接続部37と、第1貫通孔31の第2面開口部314の縁部314aとを通る直線である。斜めに移動する蒸着材料が第1貫通孔31の第2凹部35の壁面に付着することを抑制するためには、直線L1が基材64の第1面64aに対してなす第1角度θ1が小さいことが好ましい。第1角度θ1は、好ましくは60度以下であり、より好ましくは45度以下である。
第2面開口部314の平面視における形状、基材64の第1面64aを延長した平面と第1貫通孔31の接続部37との距離、及び接続部37の形状が一定である場合、基材64の厚みt1が小さくなるほど第1貫通孔31の第1角度θ1が小さくなる。従って、蒸着材料の利用効率を高めるためには、蒸着マスク20の強度を確保できる範囲内で可能な限り基材64の厚みt1を小さくすることが好ましいと言える。この点を考慮し、本実施の形態において、基材64の厚みt1は、100μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、35μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。一方、基材64の厚みが小さくなり過ぎると、蒸着マスク20の強度が低下し、蒸着マスク20に損傷や変形が生じやすくなる。この点を考慮し、基材64の厚みt1は、5μm以上であってもよく、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよく、13μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。なお厚みt1は、周囲領域23の厚み、すなわち基材64のうち貫通孔が形成されていない部分の厚みである。
(第2貫通孔)
次に、第2貫通孔32の構成について、図7及び図8を参照して詳細に説明する。図7は、図5において符号VIIが付された一点鎖線で囲まれた部分における、第2貫通孔32を拡大して示す断面図である。図8は、図7に示す第2貫通孔32の平面図である。第2貫通孔32は、第1貫通孔31と同様に、基材64を第1面64aから第2面64bへ貫通している。
本実施の形態における第2貫通孔32のうち、第2貫通孔32の貫通領域322の輪郭322aを画定する部分の少なくとも一部は、基材64の第1面64aと同一平面上に位置する。図7に示す例においては、第2貫通孔32の面積及び寸法は、第1面64a側から第2面64b側に向かうにつれて小さくなっている。この場合、第2貫通孔32の面積及び寸法は、第2貫通孔32のうち第1面64aと同一平面上に位置する部分、すなわち第1面開口部323において最小になる。従って、図7に示す第2貫通孔32においては、第1面開口部323の縁部323aが、第2貫通孔32の貫通領域322の輪郭322aを全域にわたって画定している。なお、第2貫通孔32の貫通領域322は、第1貫通孔31の貫通領域312の場合と同様に、第2貫通孔32のうち蒸着マスク20の第2面20b側(基材64の第2面64b側)から見た場合に第2壁面321によって囲われている領域として定義される。第2貫通孔32の貫通領域322の輪郭322aが基材64の第1面64aで画定されていることにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができる。
第1貫通孔31の場合と同様に、第2貫通孔32の第2面開口部324の寸法及び面積は、第2貫通孔32の第1面開口部323の寸法及び面積より大きい。例えば、図8に示すように、平面視における第2面開口部324の輪郭は、平面視における第1面開口部323の輪郭を囲んでいる。第2貫通孔32の貫通領域322の形状、並びに第1面開口部323及び第2面開口部324の平面視における形状は、第1貫通孔31と同様に、円形状である。図示はしないが、第2貫通孔32の貫通領域322の形状、並びに第1面開口部323及び第2面開口部324の平面視における形状は、楕円形や、略四角形、より具体的には略矩形であってもよい。
第2貫通孔32の貫通領域322の寸法W1は、第1貫通孔31の場合と同様に、例えば40μm以下であり、30μm以下又は20μm以下であってもよい。また、第2貫通孔32の貫通領域322の面積は、例えば1600μm以下であり、900μm以下又は400μm以下であってもよい。
なお、上述の第1貫通孔31のように、貫通領域312を画定している接続部37が第1面64aと第2面64bとの間に位置している場合、第1貫通孔31を通って有機EL基板92に付着する蒸着材料98の寸法は、蒸着材料98の回り込みなどに起因して、貫通領域312の寸法よりも大きくなることが考えられる。一方、図7に示す例の第2貫通孔32においては、貫通領域322を画定している部分が、基材64の第1面64aと同一平面上に位置する第1面開口部323である。この場合、第2貫通孔32を通って有機EL基板92に付着する蒸着材料98の寸法は、貫通領域322の寸法よりも大きくなりにくい。このような相違を考慮し、第2貫通孔32の貫通領域322の寸法又は面積は、第1貫通孔31の貫通領域312の寸法又は面積よりも大きくてもよい。例えば、第2貫通孔32の貫通領域322の寸法又は面積は、第2貫通孔32に隣接する複数の第1貫通孔31の貫通領域312の寸法又は面積の平均値の1.01倍以上であってもよく、1.05倍以上であってもよい。また、第2貫通孔32の貫通領域322の寸法又は面積は、第2貫通孔32に隣接する複数の第1貫通孔31の貫通領域312の寸法又は面積の平均値の1.1倍以下であってもよい。
図7において、符号L2が付された線は、第2壁面321のうち第2貫通孔32の貫通領域322を画定する部分である、第1面開口部323の縁部323aと、第2貫通孔32の第2面開口部324の縁部324aとを通る直線である。斜めに移動する蒸着材料98が第2貫通孔32の第2壁面321に付着することを抑制するためには、直線L2が基材64の第1面64aに対してなす第2角度θ2が小さいことが好ましい。第2貫通孔32の第2角度θ2は、第1貫通孔31の第1角度θ1と同様に、好ましくは60度以下であり、より好ましくは45度以下である。
(蒸着マスクの製造方法)
(第1貫通孔形成工程)
次に、上述の蒸着マスク20を製造する方法に相当する、本実施の形態における蒸着マスクの製造方法について説明する。
まず、金属材料からなる板状の基材64を準備し、基材64に第1貫通孔31を形成する、第1貫通孔形成工程を行う。
図9は、上述の蒸着マスク20における図5に示された部分の製造方法を示す部分断面図である。まず、図9に示すように、金属材料からなる板状の基材64の第1面64a上に第1レジストパターン65cを形成し、基材64の第2面64b上に第2レジストパターン65dを形成する。具体的には、まず、基材64の第1面64a上及び第2面64b上に感光性のレジスト材料を塗布して第1レジスト膜65a及び第2レジスト膜65bを形成する。次に、第1レジスト膜65a及び第2レジスト膜65bを露光及び現像して、基材64の第1面64a上に第1レジストパターン65cを形成し、基材64の第2面64b上に第2レジストパターン65dを形成する。
図9において、符号γは、基材64の第2面64bのうち、蒸着マスク20の上述のトップ部36となる部分を覆う第2レジストパターン65dの幅を表す。幅γは、例えば40μm以下である。幅γは、5μm以上であってもよい。
続いて、第1レジストパターン65c及び第2レジストパターン65dをマスクとして基材64をエッチングする。具体的には、まず、基材64の第1面64aのうち第1レジストパターン65cによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする。例えば、第1エッチング液を、基材64の第1面64aに対面する側に配置されたノズルから、第1レジストパターン65c越しに基材64の第1面64aに向けて噴射する。この結果、図10に示すように、基材64のうちの第1レジストパターン65cによって覆われていない領域で、第1エッチング液による浸食が進む。これによって、基材64の第1面64aに多数の第1凹部34が形成される。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものを用いる。
次に、図11に示すように、基材64の第2面64bのうち第2レジストパターン65dによって覆われていない領域をエッチングし、第2面64bに第2凹部35を形成する。第2面64bのエッチングは、第1凹部34と第2凹部35とが互いに通じ合い、これによって第1貫通孔31が形成されるようになるまで実施される。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものを用いる。なお、第2面64bのエッチングの際、図11に示すように、第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって第1凹部34が被覆されていてもよい。
その後、基材64から樹脂69、第1レジストパターン65c及び第2レジストパターン65dを除去する。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、樹脂69と同時に、第1レジストパターン65c及び第2レジストパターン65dも除去される。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂69とは別途に第1レジストパターン65c及び第2レジストパターン65dを除去してもよい。
以上のようにして、図12に示すように、複数の第1貫通孔31が形成された基材64を得ることができる。
(検出工程)
次に、検出工程について説明する。上述の第1貫通孔形成工程において形成された第1貫通孔31は、図12に示すように、第1貫通孔31の壁面である第1壁面311に、所望の第1貫通孔31の第1壁面311と比べて過剰な部分である過剰部44を含むことがある。検出工程においては、第1壁面311の過剰部44を検出する。
過剰部44について更に詳細に説明する。図12における破線は、図示された3つの第1貫通孔31のうち、中央の第1貫通孔31に、所望の第1貫通孔の形状を重ねて示した仮想の線である。図12に示す例においては、中央の第1貫通孔31の壁面に、所望の第1貫通孔の第1壁面と比べて過剰に基材64が存在する過剰部44が生じている。
過剰部44は、例えば、上述の第1貫通孔形成工程において、レジストパターン65c,65dに覆われていない領域に侵入するエッチング液の量が少なかったために、第1凹部34,第2凹部35が、所望の第1貫通孔31の第1凹部34,第2凹部35と比較して小さく形成された場合に、生じ得る。また、過剰部44は、レジストパターン65c,65dの隙間が設計値よりも小さい場合に生じ得る。図12に示す例においては、図10に示すように第1凹部34が小さく形成されたことにより、過剰部44が生じた場合を示している。
図12に示す過剰部44について、図13及び図14を参照してさらに説明する。図13は、図12において符号XIIIが付された一点鎖線で囲まれた部分における、過剰部44が存在する第1貫通孔31を拡大して示す断面図である。図14は、図13に示す第1貫通孔31を、基材64の第2面64b側から見た場合を示す平面図である。図14において符号44aが付された二点鎖線は、第1貫通孔31の貫通領域312の所望の輪郭を仮想的に表している。図14に示す例において、過剰部44が存在する第1貫通孔31の貫通領域312の寸法W3及び面積は、理想的な輪郭44aを有する貫通領域312の寸法W2及び面積よりも小さい。
図12〜図14に示すような過剰部44を検出するため、第1貫通孔形成工程の後に、第1検出工程を実施する。第1検出工程においては、所望の第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法を基準値として、形成された第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法の基準値からのずれが所定の許容値以下であるか否かを検査する。また、貫通領域312の面積又は寸法の基準値からのずれが所定の許容値を超えている第1貫通孔31を、過剰部44を含む第1貫通孔31として認定する。このようにして、過剰部44を検出する。
図15は、第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法を検査する際の検査方法の一例を示す図である。検出工程においては、基材64の法線方向に沿って、光源82から、平行光R1を基材64の第1面64a又は第2面64bの一方に入射させ、第1貫通孔31を透過して第1面64a又は第2面64bの他方から出射させる。図15に示す例においては、平行光R1を基材64の第1面64aに入射させ、第1貫通孔31を透過して第2面64bから出射させている。そして、出射した光R1を検出器81によって受光し、出射した光R1が基材64の面方向において占める領域の面積又は寸法を、第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法として測定する。
基準値及び許容値は、蒸着マスク20を用いて製造する表示装置の画素密度などに応じて設定される。面積の検査により過剰部44を検出する場合において、面積の基準値を900μmとするときには、面積の許容値は、例えば135μmである。この場合、検査工程においては、第1貫通孔31の貫通領域312の面積が765μm以上且つ1035μm以下の範囲内の所定値であるか否かを検査して、面積が765μmを下回っている第1貫通孔31を、過剰部44を含む第1貫通孔31として検出する。寸法の検査により過剰部44を検出する場合において、寸法の基準値を30μmとするときには、寸法の許容値は、例えば2μmである。この場合、検査工程においては、第1貫通孔31の貫通領域312の寸法が28μm以上且つ32μm以下の範囲内の所定値であるか否かを検査して、寸法が28μmを下回っている第1貫通孔31を、過剰部44を含む第1貫通孔31として検出する。
検出工程においては、基材64に形成された第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法のばらつきが所定の許容ばらつき値以下であるか否かを検査してもよい。例えば、隣接する2つの第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法の差が所定の許容ばらつき値以下であるか否かを検査する。
(第2貫通孔形成工程)
その後、過剰部44の少なくとも一部を、切削工具を用いて加工して、基材64に第2貫通孔32を形成する、第2貫通孔形成工程を行う。本実施の形態においては、切削工具としてドリルを用いる。
図16及び図17は、切削工具としてドリルを用いて過剰部44を加工する方法の一例を示す図である。図16は、ドリル73を、過剰部44を含む基材64に接触させる前の様子を示す。図17は、ドリル73を基材64に接触させ、基材64にドリル73の先端部73aを貫通させた様子を示す。
図16及び図17に示す例においては、第2貫通孔形成工程を、基材64の第1面64aが台座72に支持された状態で実施する。基材64の第1面64aが台座72に支持された状態で第2貫通孔形成工程を実施することにより、ドリル73等の切削工具を用いて第2貫通孔を形成する際に、基材64の第1面側にバリが発生することを抑制することができる。
台座72は、例えばステンレス材などの硬質の材料を含む。台座の厚みは、例えば10mm以上である。台座72は、基材64のうち、過剰部44を有する第1貫通孔31の周辺の第1面64aのみを支持してもよく、基材64の第1面64aの全体を支持してもよい。基材64は、例えば、基材64と台座72とを吸着させる方法、エアー吸引等の方法により、台座72に設置することができる。
本実施の形態の第2貫通孔形成工程は、基材64の厚み方向D1にドリル73を動かすことにより第2貫通孔32を形成するドリル工程を有する。
図16及び図17に示すドリル73は、回転軸Xを中心に回転する。また、ドリル73は、過剰部44を含む基材64に接触することにより基材64を削る先端部73aを有する。先端部73aの形状は、例えば略円錐形状である。なお、「略円錐形状」とは、円錐の側面に螺旋状の溝が形成されているような形状も含む概念である。また、図16及び図17においては、先端部73aの側面の溝などの図示は省略し、略円錐形状である先端部73aの概形のみを図示している。
ドリル工程においては、まず、図16に示すように、ドリル73の回転軸Xが基材64の厚み方向D1に平行になるように、基材64の第2面64b側にドリル73を配置する。次に、回転軸Xを中心としてドリル73を回転させながら、ドリル73を基材64の厚み方向D1に動かし、基材64のうち過剰部44が存在する部分に接触させる。これによって、過剰部44及びその周囲の第1壁面311を削る。厚み方向D1におけるドリル73の移動は、少なくともドリル73の先端部73aが基材64の第2面64b側から第1面64a側へ貫通するまで継続する。図16に示す例においては、過剰部44を有する第1貫通孔31の第1面開口部313の寸法が、形成しようとする第2貫通孔32の貫通領域322の寸法よりも小さい。この場合には、図17に示すように、ドリル73の先端部73aのうち貫通領域322の寸法W1に対応する寸法を有する部分が第1面64aに到達するまで、厚み方向D1におけるドリル73の移動を継続する。このようにして、ドリル73の先端部73aに対応した形状の第2壁面321を有する第2貫通孔32を形成することができる。図17に示すように、ドリル73は、台座72の一部を削ってもよい。
ドリル73の先端部73aの先端角θ3の大きさは、形成しようとする第2貫通孔32の第2角度θ2に応じて決定される。例えば形成しようとする第2貫通孔32の第2角度θ2が60度のときは、先端角θ3が60度の先端部73aを有するドリル73を用いることができる。また、形成しようとする第2貫通孔32の第2角度θ2が45度のときは、先端角θ3が90度の先端部73aを有するドリル73を用いることができる。先端角θ3の大きさは、例えば60度以上120度以下である。先端角θ3の大きさは、60度以上90度以下であることがより好ましい。
ドリル73の直径W4は、形成しようとする第2貫通孔32の第2面開口部324の寸法よりも大きく、且つ、第2面開口部324の寸法に比べて大き過ぎないことが好ましい。ドリル73の直径W4は、800ppi以上の画素密度を有する表示装置を製造可能な蒸着マスク20を製造する場合には、好ましくは40μm以下であり、例えば30μmである。また、ドリル73の直径W4は、400ppi以上の画素密度を有する表示装置を製造可能な蒸着マスク20を製造する場合には、好ましくは60μm以下であり、例えば50μmである。
一例として、図16に示す例において、ドリル73を用いて、20μmの厚みを有する基材64に、円形の輪郭322aを有する寸法20μmの貫通領域322を有し、45度の第2角度θ2を有し、かつ基材64の第1面64aから第2面64bまで達するテーパー形状の第2壁面321を有する、第2貫通孔32を形成する場合について考える。この場合には、先端角θ3が90度の先端部73aを有する、直径60μm以上のドリル73を用いて、基材64の第2面64bの位置よりも30μm分だけ台座72側の位置までドリル73の先端部73aが到達するように、厚み方向D1におけるドリル73の移動を継続する。
ドリル73としては、例えば、先端角θ3が90度の先端部73aを有する、直径30μmの超硬NCポインティングドリル(サイトウ製作所製)を用いることができる。
ドリル工程は、例えば、ドリル73が取り付けられるドリル支持部と、基材64を固定する基材固定部と、ドリル73及びドリル支持部を基材64の厚み方向D1に移動させる駆動部と、ドリル73を回転させる動力部と、を有する加工機を用いて行うことができる。加工機としては、例えば小型精密加工機μV1(三菱重工工作機械製)を用いることができる。この場合、例えばドリル回転数5000rpm(共振抑制範囲±500rpm)とし、環境温度を23±1℃に制御して、ドリル工程を行うことができる。基材固定部には、エアサスペンションなどの防振機構が設けられていてもよい。
以下、ドリル73等の切削工具の先端の位置を制御するための機構の一例について説明する。加工機は、例えば、ドリル73等の切削工具の先端の基材64の厚み方向D1における位置を測定する、工具先端位置測定システムと、基材64の第2面64bの基材64の厚み方向D1における位置を測定する、ワーク上端位置測定システムと、を有する。工具先端位置測定システムは、例えばドリル73の回転軸Xの延長線上に配置可能な投光部及び受光部を有する。投光部は、ドリル73の回転軸Xの延びる方向と同一方向に、ドリル73の先端に向かってラインレーザー光を照射する。この場合、投光部からレーザー光を照射し、ドリル73の先端において反射されたレーザー光を受光部によって受光することにより、ドリル73の先端の位置を測定する。また、ワーク上端位置測定システムは、例えばドリル73の回転軸Xの延びる方向と同一方向に、基材64の第2面64bに向かってレーザー光を照射する投光部、及び受光部を有する。この場合、投光部からレーザー光を照射し、基材64の第2面64bにおいて反射されたレーザー光を受光部によって受光することにより、基材64の第2面64bの位置を測定する。工具先端位置測定システムによってドリル73の先端の位置を把握し、ワーク上端位置測定システムによって基材64の第2面64bの位置を把握することによって、ドリル73を、精度良く図17に示す位置まで動かすことができる。これにより、第2貫通孔32を形成することができる。
第2貫通孔形成工程は、異物を吸引する吸引工程を有していてもよい。吸引工程においては、少なくとも第2貫通孔32を形成する部分の近傍において、ドリル73等の切削工具を用いて過剰部44を加工することによって生じる異物を吸引する。過剰部44を加工することによって生じる異物とは、例えば過剰部44を含む基材64や台座72が切削工具によって削られることによって生じるカスである。吸引工程を実施することにより、加工によって生じて飛散する異物が基材64に付着することを抑制することができる。吸引工程においては、例えば加工部外周に沿ってノズルを配置し、ノズルを用いて異物を吸引することで、飛散する異物を回収することができる。
第2貫通孔形成工程は、基材64にガスを吹き付けるパージ工程を有していてもよい。パージ工程においては、例えば、基材64のうち第2貫通孔32が形成される部分の近傍にガスを吹き付ける。これにより、ドリル73等の切削工具による加工の際に生じる熱を放散させることができる。また、ドリル73等の切削工具を用いて過剰部44を加工することによって生じる異物を基材64から遠ざけることができる。パージ工程においては、例えば、基材64のうち第2貫通孔32が形成される部分の近傍の温度が23℃となるようにガスを吹き付ける。ガスを吹き付ける流速は、例えば0.1m/分である。パージ工程において基材64に吹き付けるガスは、例えば窒素ガスである。基材64にガスを吹き付ける装置としては、例えば加工機に設けられたワーク空冷装置を用いることができる。
第2貫通孔形成工程は、パージ工程と吸引工程との両方を有していてもよい。この場合、以下のような方法で、パージ工程及び吸引工程を行うことができる。基材64の第2貫通孔32を形成する部分の近傍にガスを吹き付けるように、パージ工程を行う。これにより、過剰部44の加工によって生じた異物を、基材64の表面から吹き飛ばす。また、基材64の表面から吹き飛ばされた異物を吸引可能な位置において異物を吸引するように、吸引工程を行う。以上により、過剰部44の加工によって生じた異物をより効率的に除去することができる。
(検査工程)
次に、第2貫通孔32の形状を検査する検査工程を行ってもよい。
第2貫通孔32の形状を検査する方法は、特に限定されない。第2貫通孔32の形状を検査する方法は、上述の検出工程において第1貫通孔31の形状を検査する方法と同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、第2貫通孔32の形状を二次元的に検査してもよく、三次元的に検査してもよい。
二次元的な検査方法としては、例えば、上述の検出工程において説明した、図15に示す装置を用いて、第2貫通孔32の貫通領域322の面積又は寸法の基準値からのずれが所定の許容値以下であるか否かを検査する方法を行うことができる。この場合、基準値及び許容値は、例えば、上述の検出工程において説明した第1貫通孔31の検査における基準値及び許容値と同様とすることができる。
三次元的な検査方法としては、例えば、深さ方向のプロファイルを観察可能な顕微鏡(オリンパス株式会社製、製品名「デジタルマイクロスコープDSX500」)を用いて第2貫通孔32を観察する方法を行うことができる。
以上の工程により、図4及び図5に示すように、過剰部44が存在しない第1貫通孔31と、過剰部44が存在する第1貫通孔31の過剰部を、ドリル73を用いて加工することにより形成された第2貫通孔32と、を有する蒸着マスク20を得ることができる。
本実施の形態における蒸着マスク20の製造方法の効果について説明する。
本実施の形態においては、過剰部44が存在する第1貫通孔31を検出した場合に、過剰部44を、切削工具を用いて加工することにより、第2貫通孔32を得る。切削工具を用いた加工においては、例えば、第2貫通孔32の貫通領域322の寸法又は面積が、欠落部41が存在しない第1貫通孔31の貫通領域312の寸法又は面積と同等になるよう、過剰部44を加工する。過剰部44が存在する第1貫通孔31をこのように修正することにより、過剰部44の存在に起因して不良品として破棄される蒸着マスク20の数を低減することができる。すなわち、蒸着マスク20の歩留まりを向上させることができる。
また、本実施の形態においては、過剰部44を、切削工具を用いて加工する。このため、過剰部44の加工の際には、固体の削りカスが生じる。このため、過剰部44にレーザーを照射して過剰部44を気化させる場合に比べて、削りカスが再び蒸着マスク20に付着することを抑制することができる。また、パージ工程による基材64の表面からの削りカスの除去、及び吸引工程による削りカスの吸引を容易に行うことができる。
また、切削工具を用いて加工する場合には、レーザー照射によって加工する場合と比較して、加工のために必要となる装置が安価となる。
また、切削工具としてドリル73を用いた場合には、ドリル73を厚み方向D1に一方向に移動させる単純な操作によって、第2貫通孔32を形成することができる。また、先端角θ3の角度を決めることにより、第2貫通孔32の第2角度θ2を精度よく決めることができる。
(第2貫通孔形成工程の第1の変形例)
上述の実施の形態においては、第2貫通孔形成工程において、切削工具としてドリル73を用いて、過剰部44を加工する例について説明した。しかしながら、用いられる切削工具はドリル73に限られない。図18は、第2貫通孔形成工程の第1の変形例を示す図である。第2貫通孔形成工程の第1の変形例においては、切削工具としてエンドミル74を用いる。第2貫通孔形成工程の第1の変形例においては、基材64の面方向にエンドミル74を動かし、エンドミル74の先端部74aを過剰部44に接触させるエンドミル工程を行う。
図18に示すエンドミル74は、回転軸Yを中心に回転する。また、エンドミル74は、過剰部44を含む基材64に接触することにより基材64を削る先端部74aを有する。先端部74aの形状は、形成しようとする第2貫通孔32の第2壁面321の形状に応じて決定される。先端部74aの形状は、例えば、図18に示すように、略球形状である。図示はしないが、先端部74aは、先端に平坦面を有していてもよい。先端部74aが略球形状であるエンドミル74を、ボールエンドミルとも称する。図示はしないが、先端部74aの形状は、略円柱形状であってもよい。また、エンドミル工程においては、先端部74aの形状の異なる複数のエンドミル74を用いてもよい。なお、「略球形状」とは、球の面に螺旋状の溝が形成されているような形状も含む概念である。また、「略円柱形状」とは、円柱の側面に螺旋状の溝が形成されているような形状も含む概念である。また、図18においては、先端部74aの側面の溝などの図示は省略し、先端部74aの概形のみを図示している。エンドミル74は、図18に示すように、湾曲面74bを有していてもよい。図18に示す例において、湾曲面74bは、先端部74aの略球形状の部分の面である。
エンドミル74がボールエンドミルである場合において、エンドミル74の先端部74aは、例えば半径4μm以上12μm以下の略球形状である。エンドミル74が略円柱形状の先端部74aを有する場合いおいて、先端部74aの直径は、例えば5μm以上12μm以下である。ボールエンドミルであるエンドミル74としては、例えば、半径5μmの略球形状の先端部74aを有する、超硬ボールエンドミルマイクロボール(日進工具製)を用いることができる。略円柱形状の先端部74aを有するエンドミル74としては、例えば、直径8μmの略円柱形状の先端部74aを有する、micro1枚刃スクエアエンドミル(イワタツール製)を用いることができる。
エンドミル工程におけるエンドミル74の動かし方について説明する。図19は、エンドミル工程におけるエンドミル74の動かし方を示す図である。本変形例の第2貫通孔形成工程は、基材64の厚み方向における特定の位置P1(以下、「第1位置」とも称する)において基材64の面方向にエンドミル74を動かし、エンドミル74の先端部74aを過剰部44に接触させる第1エンドミル工程と、基材64の厚み方向において、第1位置よりも第1面64a側の位置P2(以下、「第2位置」とも称する)において基材64の面方向にエンドミル74を動かし、エンドミル74の先端部74aを過剰部44に接触させる第2エンドミル工程と、を少なくとも有する。図19に示す例においては、基材64の面方向にエンドミル74を動かす位置のうち、最も第2面64b側の位置を、第1位置P1として示している。ここで、第1位置P1においてエンドミルを動かす、とは、エンドミル74が略球状の先端部74aを有するボールエンドミルである場合には、例えば、基材64の厚み方向において、先端部74aの略球の中心点が第1位置P1に位置した状態で、基材64の面方向にエンドミル74を動かすことを意味する。本変形例の第2貫通孔形成工程は、第1エンドミル工程から、エンドミル74の先端部74aが、基材64の厚み方向における基材64の第1面64aに到達した位置である第N位置において、基材64の面方向にエンドミル74を動かす、第Nエンドミル工程までの、N個の工程を含んでいてもよい。図19に示す例においては、第6位置P6において先端部74aが基材64の第1面64aまで到達する例を示している。この場合、第2貫通孔形成工程は、第1エンドミル工程から第6エンドミル工程までの6個の工程を含む。
本変形例においては、第2エンドミル工程の、第2位置P2において基材64の面方向にエンドミル74が動く第2移動範囲A2の外縁A2aが、第1エンドミル工程の第1位置P1において基材64の面方向にエンドミル74が動く第1移動範囲A1の外縁A1aよりも内側に位置する。第2移動範囲A2の外縁A2aが、第1移動範囲A1の外縁A1aよりも内側に位置する場合には、少なくとも第1位置P1と第2位置P2との間において、第2壁面321を、テーパー形状とすることができる。エンドミル工程が、第1エンドミル工程から第Nエンドミル工程までのN個の工程を有する場合には、nは1以上N未満の整数として、第(n+1)エンドミル工程の、第(n+1)位置において基材64の面方向にエンドミル74が動く第(n+1)移動範囲の外縁が、第nエンドミル工程の第n位置において基材64の面方向にエンドミル74が動く第n移動範囲の外縁よりも内側に位置する、という関係が成立してもよい。図19に示す例においては、第1エンドミル工程から第6エンドミル工程までの6個の工程を行った場合において、上記の関係が成立する例を示している。
本変形例において、第1移動範囲A1の外縁A1aと第2移動範囲A2の外縁A2aとを結ぶ直線L4が、第1面64aに対してなす角度θ4は、60度以下であることが好ましい。エンドミル工程が、第1エンドミル工程から第Nエンドミル工程までのN個の工程を有する場合には、nは1以上N未満の整数として、第n移動範囲の外縁と第(n+1)移動範囲の外縁とを結ぶ直線が、第1面64aに対してなす角度が、60度以下である、という関係が成立してもよい。
本変形例の第2貫通孔形成工程において作成された第2貫通孔32の第2壁面321の形状について説明する。図20は、図19に示すようにエンドミル工程を行った後、基材64を台座72から取り外した場合の第2貫通孔32を示す断面図である。図21は、図20に示す第2貫通孔32の平面図である。図20及び図21に示す第2貫通孔32の第2壁面321は、基材64の厚み方向における第1位置P1において第1面64a側に凸となるよう湾曲した第1湾曲面3211と、基材64の厚み方向において第1位置P1よりも第1面64a側の第2位置P2において第1面64a側に凸となるよう湾曲した第2湾曲面3212と、を有する。第1湾曲面3211及び第2湾曲面3212の形状は、それぞれエンドミル74の先端部74aの湾曲面74bの形状に対応する。エンドミル工程が、第1エンドミル工程から第Nエンドミル工程までのN個の工程を有する場合には、第2壁面321は、第1湾曲面3211から第N湾曲面までのN個の湾曲面を有する。図20及び図21に示す例においては、第2壁面321が、第1湾曲面3211から第6湾曲面3216までの6個の湾曲面を有する例を示している。
図21に示すように、第2壁面321と基材64の第2面64bとが交わる第2面開口部324の面積は、第2壁面321と基材64の第1面64aとが交わる第1面開口部323の面積よりも大きくなっている。この場合、第2壁面321のうち、第2貫通孔32の貫通領域322の輪郭322aを画定する部分の少なくとも一部と、第2面開口部324の縁部324aと、を結ぶ直線が第1面64aに対してなす角度が、60度以下となることが好ましく、45度以下となることがより好ましい。図20及び図21に示す第2貫通孔32においては、図21に示すように、第1面開口部323の縁部323aが、第2貫通孔32の貫通領域322の輪郭322aを画定している。この場合には、第2壁面321のうち、第1面開口部323の縁部323aと、第2面開口部324の縁部324aと、を結ぶ直線L2が第1面64aに対してなす角度θ2が、60度以下となることが好ましく、45度以下となることがより好ましい。
(第2貫通孔形成工程の第2の変形例)
上述の第1の変形例においては、第1貫通孔形成工程において円形状の貫通領域312を有する第1貫通孔31を形成する場合に、第2貫通孔形成工程において、エンドミル74を用いて、円形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成する例を示した。しかしながら、形成する第2貫通孔32の形状はこれに限られない。図22は、第2貫通孔形成工程の第2の変形例において形成される第2貫通孔32を示す平面図である。例えば、第1貫通孔形成工程において略矩形状の貫通領域312を有する第1貫通孔31を形成する場合には、第2貫通孔形成工程において、エンドミル74を用いて、略矩形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成してもよい。第2貫通孔形成工程において、切削工具としてエンドミル74を用い、エンドミル74を基材64の面方向に動かす範囲を変えることにより、図22に示す略矩形等の、所望の形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成することができる。
(第2貫通孔形成工程の第3の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、切削工具として、ドリル73又はエンドミル74のいずれか一方を用いて、第2貫通孔32を形成する例を示した。しかしながら、過剰部44を加工して第2貫通孔32を形成する方法はこれに限定されず、ドリル73及びエンドミル74の両方を用いて、第2貫通孔32を形成してもよい。例えば、ドリル73を用いたドリル工程の後、エンドミル74を用いたエンドミル工程を行うことにより、第2貫通孔32を形成することができる。この場合、例えば以下の方法により、図22に示すような略矩形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成することができる。
まず、ドリル73を用いて、過剰部44の少なくとも一部を加工するドリル工程を行い、図7及び図8に示す第2貫通孔32と同様の、円形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成する。次に、エンドミル74を用いて、円形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32の第2壁面321に残る過剰部44の少なくとも一部を加工するエンドミル工程を行い、図22に示す略矩形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成する。
(第2貫通孔形成工程の第4の変形例)
複数の円の一部が重なった形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32をドリル工程で形成した後、エンドミル工程を実施してもよい。これにより、図23に示すような、略矩形の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成することができる。略矩形の貫通領域322の長辺の長さは、短辺の長さの例えば1.5倍以上である。
以下、図23に示す第2貫通孔32を形成する方法について説明する。まず、ドリル工程において、図24に示すような、過剰部44の少なくとも一部を加工し、複数の円の一部が重なった形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成する。図24に示す例においては、3つの円が直線的に重なった形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32が示されている。図24に示す第2貫通孔32は、基材64の厚み方向にドリル73を動かし、ドリル73の先端部73aを基材64の第2面64b側から第1面64a側へ貫通させる操作を、基材64の面方向におけるドリル73の位置を変えて複数回行うことによって、形成することができる。ドリル工程の後に、図24に示す第2貫通孔32の第2壁面321に残る過剰部44の少なくとも一部を加工するエンドミル工程を行う。以上により、図23に示す略矩形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成することができる。
第2貫通孔形成工程の第3の変形例及び第4の変形例では、ドリル工程において円形状、又は複数の円の一部が重なった形状の貫通領域322を有する第2貫通孔32を形成した後、エンドミル工程において、第2壁面321に残る過剰部44をさらに加工する。このため、エンドミル74のみを用いて第2貫通孔形成工程を行う場合に比べて、エンドミル工程に要する工数、労力などを低減することができる。
(第2貫通孔形成工程の第5の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、切削工具による過剰部44の加工が、基材64の第1面64aまで到達するように、第2貫通孔32を形成する例を示した。しかしながら、第2貫通孔形成工程はこれに限られない。図25は、第2貫通孔32の第1の変形例を示す平面図である。図26は、図25に示す第2貫通孔32のXXVI−XXVI方向に沿った断面図である。例えば図25及び図26に示すように、切削工具による過剰部44の加工が、基材64の第1面64aまで到達していなくてもよい。この場合には、形成された第2貫通孔32の貫通領域322の輪郭322aを画定する部分が、基材64の厚み方向における第1面64aの位置に位置しない場合がある。図25及び図26に示す例においては、基材64の第1面64aと第2面64bとの間に位置する接続部37が、第2貫通孔32の貫通領域322の輪郭322aを画定している。
(蒸着マスクの製造方法の第1の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、第1貫通孔31が基材64の第1面64aから第2面64bまで貫通している場合において、第1貫通孔31の第1壁面311が過剰部44を有する場合に、第1検出工程において過剰部44を検出し、第2貫通孔形成工程において過剰部44の少なくとも一部を加工して第2貫通孔を形成する蒸着マスクの製造方法を示した。しかしながら、蒸着マスクの製造方法はこれに限られない。図27は、第1貫通孔形成工程において、第1凹部34と第2凹部35とが通じ合わなかったことにより、基材64の第1面64aから第2面64bまで貫通する第1貫通孔31が形成されなかった場合を示す図である。図28は、第1貫通孔形成工程において、第1凹部34及び第2凹部35が形成されなかったことにより、基材64の第1面64aから第2面64bまで貫通する第1貫通孔31が形成されなかった場合を示す図である。図27及び図28における破線は、所望の第1貫通孔の形状を重ねて示した仮想の線である。図27及び図28に示す場合においても、所望の第1貫通孔の第1壁面と比べて過剰に基材64が存在する部分を、第1貫通孔31の第1壁面311に生じた過剰部44とみなして、第1検出工程において過剰部44を検出し、第2貫通孔形成工程において第2貫通孔を形成してもよい。
(蒸着マスクの製造方法の第2の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、第1壁面311に過剰部44を有する第1貫通孔31の形状を修正する蒸着マスクの製造方法について説明した。しかしながら、これに限られることなく、第1壁面311に欠落部を有する第1貫通孔31の形状を修正する工程を更に行ってもよい。第1壁面311に欠落部を有する第1貫通孔31の形状を修正する工程は、例えば、第1貫通孔31の第1壁面311の欠落部を検出する第2検出工程と、第1貫通孔31の欠落部及びその周囲に補修材を設ける補修材供給工程と、補修材の少なくとも一部を、切削工具を用いて加工して、少なくとも部分的に補修材によって構成される第3壁面を有する第3貫通孔を形成する第3貫通孔形成工程と、を備える。
(第2検出工程)
第2検出工程について説明する。上述の第1貫通孔形成工程において形成された第1貫通孔31は、図29に示すように、第1貫通孔31の壁面である第1壁面311に、所望の第1貫通孔31の第1壁面311と比べて欠落した欠落部41を含むことがある。第2検出工程においては、第1壁面311の欠落部41を検出する。
欠落部41について更に詳細に説明する。図29における破線は、図示された3つの第1貫通孔31のうち、中央の第1貫通孔31に、所望の第1貫通孔の形状を重ねて示した仮想の線である。図29に示す例においては、中央の第1貫通孔31の壁面に、所望の第1貫通孔31の第1壁面311と比べて欠落した欠落部41が形成されている。
欠落部41は、例えば、上述の第1貫通孔形成工程において、基材64の表面に対するレジストパターン65c,65dの密着性が低いために、基材64の表面とレジストパターン65c,65dとの間にエッチング液が浸入する場合に形成され得る。
図29に示すような欠落部41を検出するため、第1貫通孔形成工程の後に、第2検出工程を実施する。第2検出工程において欠落部41を検出する方法としては、上述の第1検出工程において過剰部44を検出する方法と同様の方法を用いることができる。第2検出工程は、第1検出工程に用いられる装置と同じ装置を用いて、第1検出工程と並行して行ってもよい。第2検出工程における基準値及び許容値は、例えば、第1検出工程における基準値及び許容値と同様である。
(補修材供給工程)
次に、例えば図30に示すように、上述の第2検出工程において検出された欠落部41及びその周囲に補修材42を設ける、補修材供給工程を行う。補修材供給工程においては、例えば、欠落部41が存在する第1貫通孔31の内部に流動性材料43を供給する流動性材料供給工程を行った後、流動性材料43を焼成する焼成工程を行うことにより、図30に示すように補修材42を形成することができる。
流動性材料供給工程について説明する。図31は、流動性材料供給工程における、図29に示す欠落部41が存在する第1貫通孔31の様子を示す部分断面図である。流動性材料供給工程においては、まず、図31に示すように、基材64の第1面64a側に、第1貫通孔31の第1面開口部313を塞ぐように支持板71を設置する。次に、流動性材料43を、欠落部41が存在する第1貫通孔31の内部に供給する。図31に示す例においては、流動性材料43を、欠落部41が存在する第1貫通孔31を充填するように供給している。また、図31に示す例においては、基材64の第1面64a側に支持板71を設置した上で、第2面開口部314から流動性材料43を供給する。この場合には、図31に示すように、基材64の第1面64a側を下、第2面64b側を上に向けた状態で流動性材料43を供給することが好ましい。これによって、重力の作用を利用して流動性材料43を第1貫通孔31に供給することができる。支持板71を設置することによって、流動性材料43が第1貫通孔31から流れ落ちることを抑制することができる。また、基材64の流動性材料43を供給する側とは反対側の面に、流動性材料43が回り込むことを抑制することができる。図31に示す例においては、基材64の第2面64b側から流動性材料43を供給する場合において、支持板71によって、基材64の第1面64aに流動性材料43が回り込むことを抑制することができる。
支持板71の材料は特に限定されないが、例えば金属、ガラス又は樹脂である。支持板71は、支持板71の材料として金属又はガラスを用いる場合には、例えば、基材64に支持板71を吸着させることによって、又は磁石の作用によって、基材64の第1面64aに取り付けられる。また、支持板71の材料として樹脂を用いる場合には、例えば、弱粘着性の粘着剤を用いて、基材64の第1面64aに取り付けられる。また、材料を樹脂とする支持板71として、弱粘着性の樹脂テープを用いてもよい。ここで、弱粘着性とは、例えば、補修材供給工程の間は支持板71を基材64に密着させ、補修材供給工程の後は基材64から支持板71を取り外せる程度の粘着性である。
補修材42を、流動性材料43を焼成して形成する場合、流動性材料43としては、金属粒子又は樹脂を含む材料であって、焼成により補修材42を形成可能な材料を用いることができる。
補修材42が主成分として金属粒子を含む場合、流動性材料43は、金属粒子及びバインダーを少なくとも含み、さらに溶剤を含んでいてもよい。金属粒子は、補修材42を構成する上述の金属材料の粒子であり、例えば銀粒子である。金属粒子の粒径は、例えば2μm以上5μm以下である。流動性材料43の粘度は、50000mPa・s以上150000mPa・s以下であり、例えば100000mPa・sである。
補修材42が主成分として樹脂を含む場合、流動性材料43は、補修材42を構成する上述の樹脂の前駆体及び溶媒を含む。例えば、補修材42が主成分としてポリイミドを含む場合、流動性材料43はポリアミック酸及び溶媒を含む。流動性材料43の粘度は、例えば5000mPa・s以上8000mPa・s以下である。なお、流動性材料43がポリアミック酸を含む場合、加熱によってポリアミック酸のイミド化反応が進行してポリイミドが得られる。
次に、焼成工程について説明する。焼成工程においては、第1貫通孔31に供給された流動性材料43を加熱して乾燥させることにより、図30に示すように、第1貫通孔31を充填する補修材42を得ることができる。補修材42の体積は、焼成工程において流動性材料43中から溶剤などが除かれることに起因して、流動性材料43の体積よりも小さくなってもよい。この場合、図30に示すように、第1貫通孔31が位置する位置において、補修材42の表面に窪みが形成されてもよい。
(第3貫通孔形成工程)
その後、図32に示すように、補修材42の少なくとも一部を、切削工具を用いて加工して、少なくとも部分的に補修材42によって構成される第3壁面383を有する第3貫通孔38を形成する、第3貫通孔形成工程を行う。第2貫通孔形成工程において、切削工具を用いて第2貫通孔32を形成する方法と同様の方法によって、第3貫通孔38を形成することができる。
なお、第3貫通孔38は、基材64から支持板71を取り除いた後に形成してもよく、基材64の第1面64aに支持板71が設置されたまま第3貫通孔38の形成をし、第3貫通孔38の形成の後に基材64から支持板71を取り除いてもよい。
なお、上述の補修材供給工程において、欠落部41が存在する第1貫通孔31の周囲などにおいて、欠落部41が存在しない第1貫通孔31の内部にも流動性材料43が供給され、補修材42が形成される場合がある。この場合には、内部に補修材42が形成された第1貫通孔31においても、第3貫通孔38を形成してもよい。
(蒸着マスクの製造方法の第3の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、第2貫通孔形成工程を、基材64の第1面64aが台座72に支持された状態で実施する例について説明した。しかしながら、第2貫通孔形成工程を、基材64の第1面64aが台座72などに支持されていない状態で実施してもよい。この場合、図33に示すように、第2貫通孔32の第2壁面321のうち基材64の第1面64a側には、第2貫通孔形成工程での切削工具による加工に起因して、バリ39が生じるおそれがある。この場合は、第2貫通孔32の第2壁面321のうち基材64の第1面64a側の端部を基材64の第1面64a側から加工する、バリ除去工程を行ってもよい。バリ除去工程は、図33に示すように、第2貫通孔形成工程において用いられるものと同様のドリル73を、基材64の第1面64a側から、第2壁面321の端部に接触させることにより、行うことができる。バリ除去工程は、図示はしないが、第2貫通孔形成工程において用いられるものと同様のエンドミル74を、基材64の第1面64a側から、第2壁面321の端部に接触させることにより、行ってもよい。
(第1検出工程及び第2検出工程の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、第1検出工程及び第2検出工程において、第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法を検査することにより、第1壁面311の過剰部44及び欠落部41を検出する例について説明した。しかしながら、過剰部44及び欠落部41を検出する方法は、これに限られない。例えば、形成された第1貫通孔31の第1壁面311の3次元的な形状を検査することができる。この場合、形成された第1貫通孔31と所望の第1貫通孔31との間において、第1壁面311の形状を3次元的に比較して、第1壁面311の形状のずれが大きい第1貫通孔31を、過剰部44又は欠落部41を含む第1貫通孔31として検出することができる。
3次元的な形状の検査方法としては、例えば、基材64からみて検出器が位置する側から基材64に光を照射し、基材64の表面からの反射光を検出器によって受光することによる検査方法を用いることができる。図34は、図15に示す例と同様に第1貫通孔31を透過する光を受光するとともに、基材64の表面からの反射光を受光して第1壁面311の3次元的な形状を検査する際の検査方法の一例を示す図である。検出工程においては、基材64の第2面64b側に配置した光源82から、平行光R2を、検出器81と基材64との間に配置したハーフミラー83の面83aに向けて照射する。ハーフミラー83の面83aは平行光R2に対して傾けられており、平行光R2の一部を、検査対象の第1貫通孔31の第1壁面311に向かうよう、基材64の第2面64bに垂直な方向に反射させる。第1壁面311に照射された平行光R2の一部は、第1壁面311の形状に応じて反射され、ハーフミラー83を透過して、検出器81に向かう。この、第1壁面311の形状に応じて反射された平行光R2を検出器81によって受光することにより、第1貫通孔31の第1壁面311の形状を3次元的に検査することができる。
なお、図34に示す例においては、反射光を利用する方法を用いるに際して、検出器81の位置する方向から基材64に光を照射する、いわゆる同軸落射照明の方法が用いられている。しかし、反射光を利用するに際しての照明の方法は、これに限定されない。例えば、検出器81が位置する方向とは異なる方向から、基材64の第2面64bに光を照射する、いわゆる斜め落射照明の方法を用いてもよい。また、同軸落射照明による検査と斜め落射照明による検査の両方を行ってもよい。
同軸落射照明を用いた場合においては、光を基材64の第2面64bに垂直な方向に照射して、第2面64bに垂直な方向に反射された光を検出器81によって受光する。このため、基材64のうち第2面64b側に平面を有する部分を検査した場合には、検出器81は反射光を受光し、基材64のうち第1貫通孔31が形成されている部分などの第2面64b側に平面を有しない部分を検査した場合には、検出器81は反射光を受光しない。これにより、反射光が受光されなかった部分として、第1貫通孔31を検出することができる。これに対して、斜め落射照明を用いた場合においては、基材64のうち第2面64b側の表面が平面である部分を検査した場合には、検出器81は反射光を受光しないが、基材64のうち第1貫通孔31の第1壁面311が形成されている部分などの第2面64b側の表面が傾斜した部分を検査した場合には、検出器81は当該部分において反射された光の一部を受光し得る。これにより、反射光が受光された部分として、第1貫通孔31の第1壁面311を検出することができる。
なお、検出工程においては、図34に示すように、第1壁面311の3次元的な形状を検査するとともに、上述の実施の形態において説明した方法と同様の方法により、基材64の第1面64a側に位置する光源82から平行光R1を照射して、第1貫通孔31の貫通領域312の面積又は寸法を検査してもよい。
10 蒸着マスク装置
15 フレーム
17a、17b 耳部
18 中間部
20 蒸着マスク
20a 第1面
20b 第2面
22 有効領域
23 周囲領域
26 長辺
27 短辺
30 貫通孔
31 第1貫通孔
311 第1壁面
312 貫通領域
312a 輪郭
313 第1面開口部
314 第2面開口部
314a 縁部
32 第2貫通孔
321 第2壁面
3211 第1湾曲面
3212 第2湾曲面
322 貫通領域
322a 輪郭
323 第1面開口部
323a 縁部
324 第2面開口部
324a 縁部
34 第1凹部
35 第2凹部
36 トップ部
37 接続部
38 第3貫通孔
39 バリ
41 欠落部
42 補修材
43 流動性材料
44 過剰部
44a 輪郭
64 基材
64a 第1面
64b 第2面
65a 第1レジスト膜
65b 第2レジスト膜
65c 第1レジストパターン
65d 第2レジストパターン
69 樹脂
71 支持板
72 台座
73 ドリル
73a 先端部
74 エンドミル
74a 先端部
74b 湾曲面
81 検出器
82 光源
83 ハーフミラー
83a 面
90 蒸着装置
92 有機EL基板
93 磁石
94 るつぼ
96 ヒータ
98 蒸着材料
100 有機EL表示装置

Claims (19)

  1. 金属材料からなり、第1面及び第2面を有する板状の基材に、第1壁面を有する複数の第1貫通孔を形成する第1貫通孔形成工程と、
    前記第1貫通孔の前記第1壁面の過剰部を検出する第1検出工程と、
    前記過剰部の少なくとも一部を、切削工具を用いて加工して、第2壁面を有する第2貫通孔を形成する第2貫通孔形成工程と、を備える、蒸着マスクの製造方法。
  2. 前記第2貫通孔形成工程は、前記基材の厚み方向にドリルを動かし、前記ドリルの先端部を前記基材の前記第2面側から前記第1面側へ貫通させるドリル工程を有する、請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
  3. 前記ドリルの前記先端部は、60度以上120度以下の先端角を有する、請求項2に記載の蒸着マスクの製造方法。
  4. 前記第2貫通孔形成工程は、前記ドリル工程の後、前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させるエンドミル工程を更に有する、請求項2又は3に記載の蒸着マスクの製造方法。
  5. 前記第2貫通孔形成工程は、前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させるエンドミル工程を有する、請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
  6. 前記エンドミル工程は、
    前記基材の厚み方向における第1位置において前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させる第1エンドミル工程と、
    前記基材の厚み方向において前記第1位置よりも前記第1面側の第2位置において前記基材の面方向にエンドミルを動かし、前記エンドミルの先端部を前記過剰部に接触させる第2エンドミル工程と、を少なくとも有する、請求項5に記載の蒸着マスクの製造方法。
  7. 前記第2エンドミル工程の前記第2位置において前記基材の面方向に前記エンドミルが動く第2移動範囲の外縁が、前記第1エンドミル工程の前記第1位置において前記基材の面方向に前記エンドミルが動く第1移動範囲の外縁よりも内側に位置する、請求項6に記載の蒸着マスクの製造方法。
  8. 前記第1移動範囲の外縁と前記第2移動範囲の外縁とを結ぶ直線が前記第1面に対してなす角度が60度以下である、請求項7に記載の蒸着マスクの製造方法。
  9. 前記エンドミルは、湾曲面を有するボールエンドミルである、請求項8に記載の蒸着マスクの製造方法。
  10. 前記第2貫通孔形成工程は、前記基材の前記第1面が台座によって支持された状態で実施される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  11. 前記第2貫通孔形成工程の後、前記第2貫通孔の前記第2壁面のうち前記基材の前記第1面側の端部を前記基材の前記第1面側から加工するバリ除去工程を更に備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  12. 前記第2貫通孔形成工程は、前記切削工具を用いて前記過剰部を加工することによって生じる異物を吸引する吸引工程を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  13. 前記第2貫通孔形成工程は、前記基材にガスを吹き付けるパージ工程を有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  14. 前記第1貫通孔の前記第1壁面の欠落部を検出する第2検出工程と、
    前記第1貫通孔の前記欠落部及びその周囲に補修材を設ける補修材供給工程と、
    前記補修材の少なくとも一部を、前記切削工具を用いて加工して、少なくとも部分的に前記補修材によって構成される第3壁面を有する第3貫通孔を形成する第3貫通孔形成工程と、を更に備える、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  15. 金属材料からなり、第1面及び第2面を有する板状の基材と、
    前記第1面から前記第2面へ前記基材を貫通する複数の貫通孔と、を備え、
    前記複数の貫通孔は、第1壁面を有する複数の第1貫通孔と、第2壁面を有する第2貫通孔と、を有し、
    前記第1壁面のうち、前記第1貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分が、前記第1面と前記第2面との間に位置し、
    前記第2壁面のうち、前記第2貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分の少なくとも一部が、前記基材の前記第1面と同一平面上に位置する、蒸着マスク。
  16. 前記第2壁面のうち、前記第2貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分の少なくとも一部と、前記第2壁面と前記基材の前記第2面とが交わる第2面開口部の縁部とを結ぶ直線が前記第1面に対してなす角度が60度以下である、請求項15に記載の蒸着マスク。
  17. 前記第2壁面は、前記基材の厚み方向における第1位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第1湾曲面と、前記基材の厚み方向において前記第1位置よりも前記第1面側の第2位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第2湾曲面と、を有する、請求項15又は16に記載の蒸着マスク。
  18. 金属材料からなり、第1面及び第2面を有する板状の基材と、
    前記第1面から前記第2面へ前記基材を貫通する複数の貫通孔と、を備え、
    前記複数の貫通孔は、第1壁面を有する複数の第1貫通孔と、第2壁面を有する第2貫通孔と、を有し、
    前記第2壁面は、前記基材の厚み方向における第1位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第1湾曲面と、前記基材の厚み方向において前記第1位置よりも前記第1面側の第2位置において前記第1面側に凸となるよう湾曲した第2湾曲面と、を有する、蒸着マスク。
  19. 前記第2壁面と前記基材の前記第2面とが交わる第2面開口部の面積は、前記第2壁面と前記基材の前記第1面とが交わる第1面開口部の面積よりも大きく、
    前記第2壁面のうち、前記第2貫通孔の貫通領域の輪郭を画定する部分の少なくとも一部と、前記第2面開口部の縁部と、を結ぶ直線が前記第1面に対してなす角度が60度以下となる、請求項15に記載の蒸着マスク。
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