JP2021138653A - 油性固形化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】発汗現象によって生じる油滴や油滴跡が見えづらく、発汗現象に起因する外観の低下が抑制された油性固形化粧料を提供すること。【解決手段】油性固形化粧料は、化粧料本体10の表面に、粉体により覆われている領域である粉体被覆部22及び表面露出部21を有する。境界B上に任意に定めた第1点P1と、境界A上に任意に定めた第2点P2とを通るとともに第1点及び第2点で境界B及び境界Aにそれぞれ接し且つ表面露出部に含まれる円のうち最大面積を有する第1円C1を想定したとき、第1円における第1点と第2点とを結ぶ線分のうち最短であるものの長さLが5mm以下である表面露出部を少なくとも一つ有する。【選択図】図1

Description

本発明は油性固形化粧料に関する。
油性固形化粧料にはその構成成分として液状油が含まれている。例えば特許文献1には、グロス、口紅、アイシャドウ、アイライナー及び油性ファンデーション等のメークアップ化粧料に用いられる油性固形化粧料に、キャンデリラロウ等の固体脂や炭化水素等の液状油、及び顔料等が配合されることが開示されている。
特開2017−210414号公報
油性固形化粧料は、これを高温環境下に置くと、該化粧料中に含まれている液状油が表面に滲み出て、油滴が観察される現象が起こることがある。以下、この現象を「発汗現象」という。発汗現象は、油性固形化粧料の外観を低下させる一因となる。更に、発汗現象によって生じた油滴が固化した後に、油性固形化粧料の表面に、該油滴に起因するシミのような斑な跡が観察されることもある。このように、油性固形化粧料の発汗現象は、該化粧料の外観を低下させる一因となることから、その発生の抑制が望まれている。
したがって本発明の課題は油性固形化粧料の改良にあり、更に詳しくは発汗現象に起因する外観の低下を抑制し得る油性固形化粧料を提供することにある。
本発明は、化粧料本体と、粉体とを備えた油性固形化粧料であって、
前記化粧料本体は、20℃で液状である液状油と、油ゲル化剤とを含み、
前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われている領域である粉体被覆部を有し、
前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面の全域に前記粉体被覆部を有しているか、又は、該化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われていない領域である表面露出部を更に有しており、
前記油性固形化粧料が前記表面露出部を有している場合、該表面露出部と該表面露出部の外部との境界を境界Aとし、境界Aのうち、該表面露出部と前記粉体被覆部との境界を境界Bとしたとき、境界B上に任意に定めた第1点と、境界A上に任意に定めた第2点とを通るとともに第1点及び第2点で境界B及び境界Aにそれぞれ接し且つ該表面露出部に含まれる円のうち最大面積を有する第1円を想定し、第1円における第1点と第2点とを結ぶ線分のうち最短であるものの長さを該表面露出部の最小幅としたとき、該最小幅が5mm以下である該表面露出部を少なくとも一つ有する、油性固形化粧料を提供することによって前記の課題を解決したものである。
また、本発明は、化粧料本体と、粉体とを備えた油性固形化粧料であって、
前記化粧料本体は、20℃で液状である液状油と、油ゲル化剤とを含み、
前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われている領域である粉体被覆部を有し、
前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面の全域に前記粉体被覆部を有しているか、又は、該化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われていない領域である表面露出部を更に有しており、
前記油性固形化粧料が前記表面露出部を有している場合、該表面露出部と該表面露出部の外部との境界を境界Aとし、境界Aのうち、該表面露出部と前記粉体被覆部との境界を境界Bとし、境界B上に任意に定めた第1点と、境界A上に任意に定めた第2点とを通るとともに第1点及び第2点で境界B及び境界Aにそれぞれ接し且つ該表面露出部に含まれる円のうち最大面積を有する第1円を想定したとき、該第1円の直径が7mm以下である該表面露出部を少なくとも一つ有する、油性固形化粧料を提供することによって前記の課題を解決したものである。
本発明によれば、発汗現象によって生じる油滴や油滴跡が見えづらく、発汗現象に起因する外観の低下が抑制された油性固形化粧料が提供される。
図1(a)は、容器内に収容された本発明の一実施形態の油性固形化粧料の模式平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す油性固形化粧料の別の実施形態を示す模式平面図である。 図2は、図1(a)に示す油性固形化粧料の更に別の実施形態を部分的に示す模式平面図である。 図3(a)は、本発明の一実施形態の油性固形化粧料の模式断面図であり、図3(b)及び(c)はそれぞれ、図3(a)に示す油性固形化粧料の別の実施形態を示す模式断面図である。 図4(a)ないし(j)は、実施例1ないし7及び比較例1ないし3で製造した油性固形化粧料における粉体被覆部の形成パターンを示す図である。 図5は、実施例8で製造した油性固形化粧料の平面図及び側面図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、油性固形化粧料(以下、単に「化粧料」という場合もある。)に関するものである。本発明の化粧料は、固形である化粧料本体と、該化粧料本体の表面の少なくとも一部に付着している粉体とを有している。
化粧料本体は、好ましくは室温(25℃)において固体である。化粧料本体は、室温よりも高い温度、例えば40℃〜150℃に加熱したときに軟化又は溶融し得る性質を有することが好ましい。化粧料本体は、油剤を含む油性固形化粧料であることが好ましい。粉体を圧縮成形してなる化粧料は、本発明にいう化粧料本体から除外される。
「付着している粉体」とは、化粧料本体の原料に含まれている粉体と区別する意味で用いられ、化粧料本体が有する粘着力、濡れ性、表面張力等によって、該化粧料本体の表面に比較的弱い力で結合している粉体のことである。
化粧料本体は、本発明の油性固形化粧料の主体をなす部位である。化粧料本体は上述のとおり好ましくは室温(25℃)において固体である。化粧料本体はその融点が好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは55℃以上であり、一層好ましくは60℃以上である。化粧料本体がこの温度以上の融点を有することで、化粧料本体を製造するときの固化が容易になるとともに発汗現象が起こりづらくなる。また、化粧料本体はその融点が好ましくは150℃以下であり、更に好ましくは130℃以下であり、一層好ましくは120℃以下である。化粧料本体がこの温度以下の融点を有することで、油性固形化粧料の使用感を良好にすることができる。また、化粧料本体の製造が容易になる。化粧料本体の融点は、好ましくは50℃以上150℃以下であり、更に好ましくは55℃以上130℃以下であり、一層好ましくは60℃以上120℃以下である。
化粧料本体は通常、複数の物質を含む組成物から構成されている。この場合、化粧料本体の融点は、医薬部外品原料規格一般試験法の第1法、第2法又は第3法のいずれかにより測定される。いずれの方法を採用するかは、主に融点によって選択される。融点が80℃を超えるような高い場合には第1法を、これより融点が低い場合には第2法を、更に融点が低い場合には第3法を用いることができる。
化粧料本体は、好ましくは1種又は2種以上の油性成分からなる連続相を有する。場合によっては、化粧料本体は連続相中に分散した顔料等の粉体成分を含む。油性成分としては、ワセリン、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、水添パーム油、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、オレイン酸フィトステリル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、硬質ラノリン、還元ラノリン、ビスジグリセリルポリアシルアジペート−2等のペースト油;流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ミネラルオイル、スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸トリシクロデカンメチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、コハク酸ジ2−へチルヘキシル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ラウリン酸ヘキシル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸オクチルドデシル、グリセリン脂肪酸エステル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−ヘチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、2−エチルヘキサン酸2−ヘキシルデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリトリデシル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ダイマー酸ジイソプロピル、炭酸プロピレン等のエステル油;ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン、フッ素変性シリコーン等のフッ素油;フェノキシエタノール等が挙げられる。これらの油性成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
化粧料本体は油性成分を40質量%以上含むことが、油性固形化粧料の使用感の点から好ましい。この観点から、化粧料本体は油性成分を更に好ましくは50質量%以上、一層好ましくは55質量%以上含む。同様の観点から、化粧料本体は油性成分を好ましくは100質量%以下、更に好ましくは99質量%以下、一層好ましくは98質量%以下含む。化粧料本体は、油性成分を好ましくは40質量%以上100質量%以下、更に好ましくは50質量%以上99質量%以下、一層好ましくは55質量%以上98質量%以下含む。
化粧料本体は20℃で液状である液状油を含むことが、油性固形化粧料の使用感を高める観点から好ましい。この観点から、化粧料本体は20℃で液状である液状油を好ましくは14質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、一層好ましくは35質量%以上含む。化粧料本体は、20℃で液状である液状油を好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下、一層好ましくは93質量%以下含む。これによって、化粧料本体を製造するときの固化が容易になる。化粧料本体は、20℃で液状である液状油を好ましくは14質量%以上98質量%以下、更に好ましくは25質量%以上95質量%以下、一層好ましくは35質量%以上93質量%以下含む。このように化粧料本体は比較的多量の液状油を含んでいることから発汗現象が起こりやすくなっている。本発明においては、後述する手段を採用して発汗現象を抑制している。なお、油性成分が20℃において液状であるか否かは、例えば当該油性成分の安全データシート(SDS)の「性状」の項目を参照して判断できる。
20℃で液状である液状油としては、油性固形化粧料の具体的な用途に応じて適切なものを選択すればよい。
化粧料本体は、油ゲル化剤を含んでいてもよい。油ゲル化剤は、常温で油をゲル化(固化)させる働きを有する物質である。化粧料本体が油ゲル化剤を含むことで、化粧料本体を製造するときの固化が容易になる。また、油性固形化粧料の使用感を向上させることができる。更に、発汗現象が抑制される。油をゲル化する観点から、油ゲル化剤は、化粧料本体の質量に対して1質量%以上含まれていることが好ましく、3質量%以上含まれていることが更に好ましく、5質量%以上含まれていることが一層好ましい。また、油性固形化粧料の使用感の観点から、油ゲル化剤は、化粧料本体の質量に対して30質量%以下含まれていることが好ましく、24質量%以下含まれていることが更に好ましく、18質量%以下含まれていることが一層好ましい。油ゲル化剤は、化粧料本体の質量に対して1質量%以上30質量%以下含まれていることが好ましく、3質量%以上24質量%以下含まれていることが更に好ましく、5質量%以上18質量%以下含まれていることが一層好ましい。
油ゲル化剤としては、有機化合物及び無機化合物のいずれを用いることもできる。有機化合物としては、例えばオゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、合成ワックス等の合成炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス、水添ホホバ油、モクロウ等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、合成ミツロウ、合成モクロウ等の合成ワックス等のワックス;パルミチン酸デキストリン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン、12−ヒドロキシステアリン酸、ジブチルラウロイルグルタミド、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ポリアミド樹脂、アミノ酸系油ゲル化剤が挙げられる。一方、無機化合物としては、例えば有機変性粘土鉱物、コロイダルシリカ及び金属石けんなどが挙げられる。
化粧料本体は、粉体成分を含有していてもよい。粉体成分としては、化粧料に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。粉体成分は無機粉体でもよく、あるいは有機粉体でもよい。無機粉体と有機粉体とを併用してもよい。粉体成分を構成する粒子の形状に特に制限はなく、例えば球状、多面体状、フレーク状、紡錘状、繊維状、不定形、又はそれらの組み合わせであり得る。
化粧料本体に含まれる粉体成分としては、例えば着色顔料、光輝顔料及び体質顔料等の顔料を用いることができる。化粧料本体に占める粉体成分の割合は0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましく、1質量%以上であることが一層好ましい。また、化粧料本体に占める粉体成分の割合は60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることが更に好ましく、45質量%以下であることが一層好ましい。化粧料本体に占める粉体成分の割合は0.01質量%以上60質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上50質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以上45質量%以下であることが一層好ましい。
化粧料本体の硬度は、油性固形化粧料の使用感等に影響を与える要素の一つである。油性固形化粧料の使用感の観点から、化粧料本体の硬度は500g以下であることが好ましく、350g以下であることが更に好ましく、250g以下であることが一層好ましい。一方、化粧料本体の保形性を高める観点から、化粧料本体の硬度は好ましくは0.5g以上、更に好ましくは5g以上、一層好ましくは15g以上である。化粧料本体の硬度は0.5g以上500g以下であることが好ましく、5g以上350g以下であることが更に好ましく、15g以上250g以下であることが一層好ましい。化粧料本体の硬度は、120℃にて加熱溶融した化粧料本体を樹脂製軟膏壺(直径30mm、高さ14mm)に高さ10mmまで充填した後、20℃で2時間冷却固化し、30℃で6時間以上静置した後でレオテック社製レオメーターを用いて、直径φ2mmの冶具にてtable speedが2mm/sの速さで冶具を深さ2mmまで針入させたときの最大値を読み取ることによって測定できる。
油性固形化粧料は種々の形状を有することができる。油性固形化粧料はその表面が平面のみで構成されていてもよく、あるいは曲面のみで形成されていてもよい。例えば油性固形化粧料はその表面に滑らかな凹凸を有していてもよい。また油性固形化粧料は、その表面に平面及び曲面の双方を有していてもよい。油性固形化粧料は例えば、平板状、棒状、球状等の形状であり得る。
本発明の油性固形化粧料は、化粧料本体の表面に粉体被覆部を有している。粉体被覆部とは、化粧料本体の表面のうち粉体により覆われている領域のことである。
油性固形化粧料が粉体被覆部を有することによって、発汗現象に起因する油滴及び油滴跡が見えづらくなる。その理由は次のとおりであると本発明者は考えている。すなわち、発汗現象に起因して化粧料本体の表面に油性成分が生じたとしても、該油性成分は化粧料本体と粉体との間に拡散するので油滴とならない。また、発汗現象に起因して化粧料本体の表面に油性成分が生じたとしても、該油性成分は粉体を構成する粒子間又は粒子自体に吸収されるので油滴とならない。これらのことによって、化粧料本体の表面に生じた油性成分が、化粧料本体の表面に油滴として局所的に存在することが抑制される。その結果、発汗現象によって生じる油滴が目立たなくなる。また、化粧料本体の表面に油滴跡が残存することが抑制される。
しかも、化粧料本体の表面に粉体被覆部を配置することで、油性固形化粧料の質感を調整することも可能となる。例えば化粧料本体がマットな仕上がりの剤を含む場合、化粧料本体の表面に粉体被覆部を配置することで、マットなイメージを強調可能になる。
粉体被覆部を構成する粉体の粒子は、化粧料本体の表面において、多層状態に積み重なっていてもよく、あるいは単層状態で敷き詰められていてもよい。個々の粒子における一部が化粧料本体の内部に埋まり、他の一部だけが表面に露出していてもよい。いずれの状態であっても、発汗現象によって化粧料本体の表面に生じた油性成分を拡散ないし吸収可能である限りにおいて、粉体を構成する粒子間に隙間が存在していてもよい。例えば化粧料本体の表面における単位面積(1mm)当たりの粉体のカバー率が50%以上である領域は粉体被覆部であると判断できる。カバー率は、デジタルマイクロスコープを用いて油性固形化粧料の表面を観察及び計測することによって求めることが可能である(必要に応じて2値化等の画像処理を用いてもよい)。
本発明の化粧料は、化粧料本体の表面の全域に粉体被覆部を有していてもよいし、化粧料本体の表面に、粉体被覆部が存在していない領域、つまり化粧料本体の表面が露出している領域(以下、この領域のことを「表面露出部」ともいう。)を更に有していてもよい。表面露出部は、粉体により覆われていない領域、すなわち粉体が全く存在しないか、粉体が疎らに存在する領域である。「粉体が疎らに存在する」とは、発汗現象によって化粧料本体の表面に生じた油性成分の拡散ないし吸収が可能な程度よりも、単位面積当たりの粒子の存在個数密度が低い(言い換えると粒子間の距離が大きい)ことをいう。例えば化粧料本体の表面における単位面積(1mm)当たりの粉体のカバー率が50%未満である領域は表面露出部であると判断できる。
上述した粉体被覆部及び表面露出部の形状に特に制限はない。例えば粉体被覆部の形状は、四角形・三角形等の多角形状、円形・楕円形等の閉じた曲線形状、星形等の幾何学的形状、花・動物・建造物等の具象的な形状、不定形、又はそれらの2以上の組み合わせであり得る。また、粉体被覆部が各種文字又は文字列を構成していてもよい。表面露出部についても同様である。
粉体被覆部は、化粧料本体の表面に1箇所のみ位置していてもよく、あるいは独立した2箇所以上の複数箇所に位置していてもよい。複数の粉体被覆部が化粧料本体の表面に存在する場合、各粉体被覆部の形状は同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。また複数の粉体被覆部が化粧料本体の表面に存在する場合、各粉体被覆部における粉体の坪量は同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。また、複数の粉体被覆部の色は、1種であってもよいし、2種以上の色が組み合わさっていてもよい。また、複数の粉体被覆部の大きさは、互いに同じであってもよいし、異なる大きさのものが組み合わさっていてもよい。
表面露出部も、化粧料本体の表面に1箇所のみ位置していてもよく、あるいは独立した2箇所以上の複数箇所に位置していてもよい。複数の表面露出部が化粧料本体の表面に存在する場合、各表面露出部の形状は同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。また、複数の表面露出部の大きさは、互いに同じであってもよいし、異なる大きさのものが組み合わさっていてもよい。
表面露出部は、1又は2以上の粉体被覆部によって2以上に区画されていてもよい。あるいは、表面露出部からなる「海部」中に、1又は2以上の粉体被覆部からなる「島部」が存在する、いわゆる「海島構造」になっていてもよい。あるいは、化粧料本体の表面の全域に粉体被覆部が存在していてもよい。この場合には、化粧料本体の表面に表面露出部は存在しないことになる。
複数の粉体被覆部又は表面露出部により全体として、規則的又は不規則的な幾何学的形状、例えばハニカム形状又はポリオミノ形状等が形成されていてもよい。
発汗現象によって生じる油滴や油滴跡を効果的に見えづらくする観点から、粉体被覆部の面積の総和をS1とし、化粧料本体の表面積をS0としたとき、S0に対するS1の割合(以下、この割合のことを「粉体被覆率」ともいう。)を40%以上とすることが好ましく、70%以上とすることが更に好ましく、85%以上とすることが一層好ましい。粉体被覆率は100%であってよい。これらの観点から、粉体被覆率は40%以上100%以下であることが好ましく、70%以上100%以下であることが更に好ましく、85%以上100%以下であることが一層好ましい。
上述のS1及びS0は例えば上述のようにデジタルマイクロスコープを用いて固形化粧料の表面を観察及び計測することによって測定できる。また、油性固形化粧料が例えば容器内に充填されている場合には、外部に露出している部位の面積をもって化粧料本体の表面積S0とする。油性固形化粧料が例えば繰り出し容器内に収容されている場合には、繰り出しにより外部に露出可能な表面の範囲内で表面積S0,S1を考える。化粧料本体の表面が平面ではなく立体形状を有する場合には、当該立体形状の表面積をS0とする。尤も、平面とみなせる程度に立体の程度が低い場合には、化粧料本体の表面を平面近似してもよい。化粧料本体が球形である場合には、球の直径に基づき化粧料本体の表面積S0を算出してもよい。
化粧料本体の表面積S0の値は、油性固形化粧料の具体的な用途に応じて適切に設定すればよい。一般的にいって、表面積S0の値は0.5mm以上であることが好ましく、50mm以上であることが更に好ましく、200mm以上であることが一層好ましい。
油性固形化粧料における粉体被覆率が100%以外の場合には、油性固形化粧料は表面露出部を有する。発汗現象によって生じる油滴や油滴跡を効果的に見えづらくする観点から、表面露出部はその最小幅が5mm以下であることが好ましく、更に好ましくは3.5mm以下、一層好ましくは2.8mm以下である。表面露出部の最小幅がこの値以下であることによって、表面露出部において滲み出した油性成分が粉体被覆部に接触しやすくなり、該油性成分が粉体被覆部に吸収されて、表面露出部における油滴や油滴跡が見えづらくなる。表面露出部の最小幅は小さければ小さいほど、発汗現象によって生じる油滴や油滴跡が見えづらくなるが、1.0mm程度に該最小幅が小さければ本発明の効果が十分に奏される。
表面露出部の最小幅は、以下のようにして決定することができる。
まず、表面露出部21と該表面露出部21の外部との境界を境界Aとする。「表面露出部21の外部」とは、表面露出部21以外の領域のことである。境界Aのうち、該表面露出部21と粉体被覆部22との境界を境界Bとする(図1(a)及び(b)参照)。
次に、境界B上に任意に定めた第1点P1と、境界A上に任意に定めた第2点P2とを通るとともに第1点及び第2点で境界B及び境界Aにそれぞれに接し且つ表面露出部21に含まれる円のうち最大面積を有する第1円C1を想定する。なお境界Aが、境界Bに該当しない境界を有する場合には、第2点は、境界Aのうち境界Bに該当しない境界上に定めてよい。一方、境界Aが、境界Bに該当しない境界を有しない場合、すなわち境界Aと境界Bとが同一である場合には、境界A上の任意の位置に第1点及び第2点を定める。
そして、第1円C1における第1点P1と第2点P2とを結ぶ線分のうち最短である線分を定める。この線分の長さLを表面露出部の最小幅とする。
なお、化粧料本体10の表面が立体形状を有しており、第1円C1が化粧料本体10の表面における立体形状部分を通る場合、化粧料本体10の表面を平面に展開した状態で、第1円C1を想定することもできる。
発汗現象によって生じる油滴や油滴跡を見えづらくする観点から、化粧料本体が表面露出部を1つ有している場合、該表面露出部は最小幅が5mm以下であることが好ましい。化粧料本体が表面露出部を複数有している場合、最小幅が5mm以下である表面露出部を少なくとも一つ有していることが好ましい。また、複数の表面露出部のうち最小幅が5mm以下である表面露出部が半数以上を占めることがより好ましく、最小幅が5mm以下である表面露出部が75%以上であることが更に好ましく、すべての表面露出部の最小幅が5mm以下であることが一層好ましい。複数の表面露出部は粉体被覆部によって相互に離間していることが好ましい。
油性固形化粧料が表面露出部を有する場合、発汗現象によって生じる油滴や油滴跡を効果的に見えづらくする観点から、表面露出部に含まれる第1円の直径は7mm以下であることが好ましく、更に好ましくは5mm以下、一層好ましくは3mm以下である。第1円の直径がこの値以下であることによって、表面露出部において滲み出した油性成分が粉体被覆部に接触しやすくなり、該油性成分が粉体被覆部に吸収されて、表面露出部における油滴や油滴跡が見えづらくなる。第1円の直径は小さければ小さいほど、発汗現象によって生じる油滴や油滴跡が見えづらくなるが、1.5mm程度に該最小幅が小さければ本発明の効果が十分に奏される。
発汗現象によって生じる油滴や油滴跡を見えづらくする観点から、化粧料本体が表面露出部を1つ有している場合、該表面露出部に含まれる第1円の直径が7mm以下であることが好ましい。化粧料本体が表面露出部を複数有している場合、第1円の直径が7mm以下である表面露出部を少なくとも一つ有していることが好ましい。また、複数の表面露出部のうち第1円の直径が7mm以下である表面露出部が半数以上を占めることがより好ましく、第1円の直径が7mm以下である表面露出部が75%以上であることが更に好ましく、すべての表面露出部の第1円の直径が7mm以下であることが一層好ましい。複数の表面露出部は粉体被覆部によって相互に離間していることが好ましい。
表面露出部はその面積が小さければ小さいほど、発汗現象によって生じる油滴や油滴跡が見えづらくなる。この観点から、表面露出部のうち最大のものの面積(最大面積)が200mm以下であることが好ましく、100mm以下であることが更に好ましく、50mm以下であることが一層好ましい。表面露出部の最小面積は小さければ小さいほど、発汗現象によって生じる油滴や油滴跡が見えづらくなるが、10mm程度に該最小面積が小さければ本発明の効果が十分に奏される。
化粧料本体10が表面露出部21を1つ有する場合、該表面露出部21は、境界A上に任意に定めた2つの点P4,P5に接し且つ表面露出部21に含まれる円のうち最大面積を有する第2円C2を想定したとき(図1(a)及び(b)参照)、第2円C2の直径Dが7mm以下であることが好ましい。こうすることにより、発汗現象によって生じる油滴や油滴跡が一層見えづらくなる。
一方、前記観点から、化粧料本体10が表面露出部21を複数有している場合、直径Dが7mm以下である第2円C2を有する表面露出部21を少なくとも一つ有することが好ましい。また、複数の表面露出部のうち第2円の直径が7mm以下である表面露出部が半数以上を占めることがより好ましく、第2円の直径が7mm以下である表面露出部が75%以上であることが更に好ましく、すべての表面露出部の第2円の直径が7mm以下であることが一層好ましい。
発汗現象によって生じる油滴や油滴跡を見えづらくする観点から、表面露出部における第2円の直径は5mm以下であることがより好ましく、更に好ましくは3mm以下である。
上述した第1円C1に第1点P1で接する粉体被覆部22の面積の総和S3は、第1円C1の面積S2に対して1.5倍以上であることが好ましく、更に好ましくは2.5倍以上、一層好ましくは5倍以上である。こうすることにより、表面露出部21において滲み出した油性成分が粉体被覆部22に接触しやすくなり、該油性成分が粉体被覆部に吸収されて、表面露出部における油滴や油滴跡が見えづらくなる。
粉体被覆部22の面積の総和S3は例えば上述のようにデジタルマイクロスコープを用いて固形化粧料の表面を観察及び計測することによって測定できる。
図1(a)及び(b)に示す形態のように、第1円C1に接する粉体被覆部22が1つである場合、第1円C1に接する粉体被覆部22の面積の総和S3は該1つの粉体被覆部22の面積である。一方、図2に示す形態のように、第1円C1に接する粉体被覆部22が複数あり得る場合、第1円C1に接する粉体被覆部22の面積の総和S3は、該複数の粉体被覆部22の面積の総和であり得る。例えば、図2において、一点鎖線で示すように、2つの粉体被覆部22,22が接している第1円C1を考えると、S3は、該2つの粉体被覆部22の面積の総和である。なお、図2において、1つの粉体被覆部22のみが接している第1円C1を考えると、S3は、該1つの粉体被覆部22の面積である。
油性固形化粧料の粉体被覆部においては、化粧料本体への粉体の付着を強固なものとする観点から、図3(a)に示すとおり、粉体11を構成する粒子11aのうちの少なくとも一部の粒子11aは、当該一部の粒子11aの一部分が化粧料本体10の内部に入り込んでいることが好ましい。前記観点に加え、化粧料本体の表面へ向かおうとする油性成分を吸収するという粉体の機能から考えると、図3(b)に示すとおり、粉体11を構成する粒子11aのうちの少なくとも一部の粒子11aは、当該一部の粒子11aの全体が化粧料本体10の内部に入り込んでいることが好ましい。このような状態になっているか否かの確認には、例えば光学顕微鏡観察を用いることができる。
化粧料本体の表面に生じた油性成分を拡散させたり粒子間に浸透させたりするか、又は化粧料本体の表面へ向かおうとする油性成分を吸収する、という粉体の前記機能から考えると、該粉体は該化粧料本体の表面又はその近傍に存在している場合にその機能が最も発揮される。換言すれば、粉体が化粧料本体の奥深くに存在していても該粉体に期待される前記機能は発揮されない。この観点から、図3(c)に示すとおり、粉体被覆部において、化粧料本体を、該粉体被覆部と直交する方向に沿って断面観察したとき、化粧料本体の表面寄りの部位の方が、内部寄りの部位に比べて粉体の粒子の存在密度が相対的に高くなっていることが好ましい。例えば化粧料本体の表面に粉体が付着した油性固形化粧料の断面を光学顕微鏡により観察することで前記の存在密度を相対的に比較することができる。
粉体としては、化粧料本体の表面に生じた油性成分を拡散させたり粒子間に浸透させたりすることが可能な大きさのものが好適に用いられる。例えば粉体を構成する粒子の大きさを、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表した場合、D50は0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることが更に好ましく、1μm以上であることが一層好ましい。また、D50は500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることが更に好ましく、160μm以下であることが一層好ましい。この大きさの粉体を用いることで、粉体を化粧料本体に容易に付着させることができる。また、化粧料本体の表面に生じた油性成分を粉体の粒子間に浸透させやすくなる。D50は0.01μm以上500μm以下であることが好ましく、0.1μm以上300μm以下であることが更に好ましく、1μm以上160μm以下であることが一層好ましい。
化粧料本体の表面に生じた油性成分を粉体の粒子間に浸透させることに加えて、粉体自体に吸収させるようにするために、粉体はその吸油量が5ml/100g以上であることが好ましく、15ml/100g以上であることが更に好ましく、20ml/100g以上であることが一層好ましい。また粉体の吸油量は、化粧料本体に含まれる油性成分が過度に粉体に吸収されないようにする観点から、500ml/100g以下であることが好ましく、400ml/100g以下であることが更に好ましく、350ml/100g以下であることが一層好ましい。吸油量はJIS K5101−13−1:2004に準拠して測定される。
粉体としては、化粧料に一般的に用いられるものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えばシリカ、マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス末、硫酸バリウム、カオリン、ベントナイト、ヘクトライト、ゼオライト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びタルク等の無機粉体;ナイロン、ポリエチレン、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等のシリコーンエラストマー、ポリメタクリル酸メチル、ラウロイルリシン、シルクパウダー、セルロース末、及び各種ワックスパウダー等の有機粉体などの体質顔料:マイカ、合成フルオロフロゴパイト、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク等の板状粉体等の表面を酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、酸化スズ、水酸化クロム、金、銀、カルミン、赤色202号や黄色4号等の有機顔料等の着色剤で被覆したもの、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末等のフィルム原反を任意形状に断裁したもの等の光輝顔料:酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;更にカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β−カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素などの着色顔料などを用いることができる。これらの粉体は1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
化粧料本体の製造方法に特に制限はなく、油性固形化粧料の製造方法として従来知られている方法を採用できる。例えば、化粧料本体を構成する原料を加熱溶融させ、溶融液を型や容器内に流し込んで固化させることで化粧料本体を製造できる。
化粧料本体の表面に粉体を付着させて粉体被覆部を形成する方法も特に制限はない。例えば特開2005−144935号公報に記載されているとおり、浅底の容器に充填された化粧料本体における露出面に対向するように、所望の印刷用パターンを設けた静電印刷スクリーンを配置し、該静電印刷スクリーンと化粧料本体との間に静電界を発生させて、スクリーン上の粉体を化粧料本体の露出面に転移させ、印刷用パターンに従った模様を化粧料本体の露出面に形成することができる。あるいは特開平1−146812号公報に記載されているとおり、粉体を揮発性溶媒中に分散させてなる粉体分散液を、化粧料本体の表面に付着させ、その後、該溶媒を揮発させて該粉体分散液中の粉体のみを化粧料本体の表面に残存させることで、粉体被覆部を形成できる。
このようにして得られた油性固形化粧料は、グロス、口紅、アイシャドウ、アイライナー及び油性ファンデーション等のメークアップ化粧料として好適に用いられる。
油性固形化粧料は一般に、凹部を有する容器内に充填されて使用されることがある。この容器は例えば浅底のものであり、この場合、凹部は、その深さよりも、平面視での最大寸法の方が大きい形状を有している。このような形状を有する容器内に油性固形化粧料が充填された状態においては、(a)油性固形化粧料の高さが、凹部の深さ以下であるか、又は(b)油性固形化粧料の高さが、凹部の深さよりも高く、且つ油性固形化粧料のうち該凹部の深さを越えている部分の高さが、該凹部の深さよりも低くなっていることが、好ましい。上述した液状油を含んでおり、且つこのような充填状態になっている油性固形化粧料は、発汗現象が起こりやすく、且つ発汗現象に起因する油滴及び油滴跡が目立ちやすいという課題がある。本発明の油性固形化粧料においては、化粧料本体の表面に粉体被覆部を設けることで、これらの課題を好適に解決することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
以下の表1に原料の組成を示す。全量で300gとなる量を、直径130mmの1L容器と、直径30mmのディスパー羽根(回転数は全工程で2500r/min)を用いて配合した。初めに基材原料(着色剤以外)を120℃に加熱し、温度を維持したまま5分間均一混合した。次に、着色剤を加えて更に2分間均一混合し、脱泡した後、室温まで冷却・固化させてバルク体を得た。このバルク体から必要量を切り出し、電子レンジを用いて120℃に加熱溶融させて浅底の凹部を有するトレイ状容器内に流し込み、その後冷却させることで該凹部内に化粧料本体を形成させた。凹部は平面視して20mm×12mmの寸法であり、深さは5mmであった。化粧料本体の高さは4mmであった。化粧料本体の硬度を、先に述べた方法で測定した。その結果、硬度は40gであった。なお、粉体が化粧料本体の硬度に及ぼす影響は殆どないので、油性固形化粧料の硬度と化粧料本体の硬度とは実質的に同一と判断して差し支えない。また化粧料本体の融点は58℃であった。なお、表1で平均粒径とは前記粒径D50を意味する。
Figure 2021138653
容器内に充填された化粧料本体における上面(露出面)に、図4(a)に示すパターンで粉体を付着させて粉体被覆部を形成した。粉体としては、粒径D50が12μmであり、吸油量が90ml/100gである板状合成フルオロフロゴパイトを用いた。粉体の付着には、特開2005−144935号公報に記載されている静電印刷法を用いた。更に、粉体の付着性向上、及び余剰分の粉体除去を目的にエアブローを実施した。このようにして目的とする油性固形化粧料を得た。
得られた油性固形化粧料の断面を光学顕微鏡観察した。その結果、図3(b)に示すように、粉体を構成する板状粒子のうちの一部の粒子は、その一部分が化粧料本体の内部に入り込んでおり、また一部の粒子は、その全体が化粧料本体の内部に入り込んでいることが確認された。更に、粉体被覆部において、化粧料本体を、該粉体被覆部と直交する方向に沿って断面観察したところ、該化粧料本体の表面寄りの部位の方が、内部寄りの部位に比べて粉体の粒子の存在密度が高くなっていることが確認された。
〔実施例2ないし7及び比較例1ないし3〕
図4(b)ないし(j)に示すパターンで粉体を付着させた(比較例1では粉体を付着させなかった)。実施例2−1及び2−2では、実施例2と同じく粉体を全面に付着させたが、実施例2−1では、粉体として、粒径D50が12μmであり、吸油量が49ml/100gである板状マイカを用いた。実施例2−2では、粉体として、粒径D50が12μmであり、吸油量が300ml/100gである、多孔質の球状シリカを用いた。これ以外は実施例1と同様にして油性固形化粧料を得た。
〔実施例8〕
図5に示す立体形状の化粧料本体を製造した。容器30は実施例1と同じものを用いた。化粧料本体は、平面視して20mm×12mmの寸法であり、高さが5mmである下部と、平面視して18mm×4mmの寸法であり、高さが4mmである上部とからなる二段構造のものである。この化粧料本体の露出面の全域に粉体を付着させた。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた油性固形化粧料について、以下の方法で、50℃2日保存した後の油滴の目立ちにくさ、及び50℃2日保存した後に20℃1日保存した後の油滴跡の目立ちにくさを評価した。それらの結果を以下の表2に示す。
〔油滴の目立ちにくさ〕
各油性固形化粧料を50℃2日保存した後の状態を10名の専門パネラーに見せて、油滴の目立ちにくさを以下の基準で評価させた。結果は、専門パネラー10名の合計点で示した。
5;油滴が目立たない。
4;油滴がほぼ目立たない。
3;油滴がやや目立つ。
2;油滴が目立つ。
1;油滴がかなり目立つ。
〔油滴跡の目立ちにくさ〕
各油性固形化粧料の50℃2日保存した後に20℃1日保存した後の状態を10名の専門パネラーに見せて、油滴跡の目立ちにくさを以下の基準で評価させた。結果は、専門パネラー10名の合計点で示した。
5;油滴跡が目立たない。
4;油滴跡がほぼ目立たない。
3;油滴跡がやや目立つ。
2;油滴跡が目立つ。
1;油滴跡がかなり目立つ。
Figure 2021138653
表2に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた油性固形化粧料は、比較例の油性固形化粧料に比べて、発汗現象に起因して生じる油滴及び油滴跡が目立ちにくいことが判る。
10 化粧料本体
11 粉体
11a 粉体を構成する粒子
21 表面露出部
22 粉体被覆部
30 容器
A 表面露出部と該表面露出部の外部との境界
B 表面露出部と粉体被覆部との境界
P1 第1点
P2 第2点
C1 第1円
C2 第2円

Claims (16)

  1. 化粧料本体と、粉体とを備えた油性固形化粧料であって、
    前記化粧料本体は、20℃で液状である液状油と、油ゲル化剤とを含み、
    前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われている領域である粉体被覆部を有し、
    前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面の全域に前記粉体被覆部を有しているか、又は、該化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われていない領域である表面露出部を更に有しており、
    前記油性固形化粧料が前記表面露出部を有している場合、該表面露出部と該表面露出部の外部との境界を境界Aとし、境界Aのうち、該表面露出部と前記粉体被覆部との境界を境界Bとしたとき、境界B上に任意に定めた第1点と、境界A上に任意に定めた第2点とを通るとともに第1点及び第2点で境界B及び境界Aにそれぞれ接し且つ該表面露出部に含まれる円のうち最大面積を有する第1円を想定し、第1円における第1点と第2点とを結ぶ線分のうち最短であるものの長さを該表面露出部の最小幅としたとき、該最小幅が5mm以下である該表面露出部を少なくとも一つ有する、油性固形化粧料。
  2. 化粧料本体と、粉体とを備えた油性固形化粧料であって、
    前記化粧料本体は、20℃で液状である液状油と、油ゲル化剤とを含み、
    前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われている領域である粉体被覆部を有し、
    前記油性固形化粧料は、前記化粧料本体の表面の全域に前記粉体被覆部を有しているか、又は、該化粧料本体の表面に、前記粉体により覆われていない領域である表面露出部を更に有しており、
    前記油性固形化粧料が前記表面露出部を有している場合、該表面露出部と該表面露出部の外部との境界を境界Aとし、境界Aのうち、該表面露出部と前記粉体被覆部との境界を境界Bとし、境界B上に任意に定めた第1点と、境界A上に任意に定めた第2点とを通るとともに第1点及び第2点で境界B及び境界Aにそれぞれ接し且つ該表面露出部に含まれる円のうち最大面積を有する第1円を想定したとき、該第1円の直径が7mm以下である該表面露出部を少なくとも一つ有する、油性固形化粧料。
  3. 前記油性固形化粧料が、前記化粧料本体の表面に前記表面露出部を複数有し、前記複数の表面露出部のうち第1円の直径が7mm以下である表面露出部が半数以上を占める、請求項2に記載の油性固形化粧料。
  4. 前記粉体被覆部の面積の総和をS1とし、前記化粧料本体の表面積をS0としたとき、S0に対するS1の割合が40%以上である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  5. 前記油性固形化粧料が、前記化粧料本体の表面に前記表面露出部を有し、
    境界A上に任意に定めた2つの点に接し且つ前記表面露出部に含まれる円のうち最大面積を有する第2円を想定したとき、直径が7mm以下である第2円を有する該表面露出部を少なくとも一つ有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  6. 前記油性固形化粧料が、前記化粧料本体の表面に前記表面露出部を複数有し、前記複数の表面露出部のうち第2円の直径が7mm以下である表面露出部が半数以上を占める、請求項5に記載の油性固形化粧料。
  7. 第1円に第1点で接する前記粉体被覆部の面積の総和が、第1円の面積に対して1.5倍以上である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  8. 前記液状油が、前記化粧料本体の質量に対して14質量%以上98質量%以下含まれている、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  9. 前記油ゲル化剤が、前記化粧料本体の質量に対して1質量%以上30質量%以下含まれている、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  10. 前記化粧料本体の融点が50℃以上150℃以下である、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  11. 前記化粧料本体の硬度が0.5g以上500g以下である、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  12. 前記粉体被覆部において、該粉体被覆部と直交する方向に沿って断面観察したとき、該化粧料本体の表面寄りの部位の方が、内部寄りの部位に比べて粉体の粒子の存在密度が高くなっている、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  13. 前記粉体被覆部を構成する粉体の粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50が0.01μm以上500μm以下である、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  14. 前記粉体被覆部を構成する粉体は、その吸油量が5ml/100g以上500ml/100g以下である、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  15. 前記油性固形化粧料が、凹部を有する容器内に充填されており、
    前記油性固形化粧料の高さが、前記凹部の深さ以下であるか、又は
    前記油性固形化粧料の高さが、前記凹部の深さよりも高く、且つ油性固形化粧料のうち該凹部の深さを越えている部分の高さが、該凹部の深さよりも低くなっている、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の油性固形化粧料。
  16. 前記凹部は、その深さよりも、平面視での最大寸法の方が大きい形状を有している、請求項15に記載の油性固形化粧料。
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