JP2021134887A - 歯車装置およびロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】外歯歯車の内周面に近い位置に効率よく潤滑剤を供給可能な歯車装置、および、かかる歯車装置を備えるロボットを提供すること。【解決手段】内歯歯車と、前記内歯歯車に部分的に噛み合って回転し、可撓性を有する外歯歯車と、前記外歯歯車の内側に設けられ、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を前記回転軸まわりの周方向に移動させる波動発生器と、を有し、前記内歯歯車の主材料は、黒鉛粒子を含み、前記内歯歯車の内歯の歯面は、前記回転軸に沿う成分を有する第1方向に延在し、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1凸部および第2凸部を含む凸パターンを備え、前記黒鉛粒子の平均粒径をD[μm]とし、前記第2方向における前記第1凸部と前記第2凸部との離間距離をS[μm]としたとき、10≦D≦40、および、S−D≦20を満たすことを特徴とする歯車装置。【選択図】図7

Description

本発明は、歯車装置およびロボットに関するものである。
少なくとも1つのアームを含むロボットアームを備えるロボットでは、例えば、ロボットアームの関節部をモーター駆動により回動させる。モーターの回転は、減速機により減速され、ロボットアームに伝達される。
このような減速機として、例えば、特許文献1に記載されているような波動歯車装置が知られている。特許文献1に記載の波動歯車装置は、円環状をした剛性内歯歯車と、この内側に配置されているカップ状の可撓性外歯歯車と、この外歯歯車の内側に嵌め込まれた楕円形輪郭を有する波動発生器と、により構成されており、内歯歯車を構成する材料として球状黒鉛鋳鉄を用いている。球状黒鉛鋳鉄は、黒鉛粒子を含んでおり、内歯歯車と外歯歯車との噛み合い位置に対し、黒鉛粒子による良好な潤滑性を与えることができる。これにより、波動歯車装置の長寿命化を図ることができる。
特開2002−307237号公報
しかしながら、内歯歯車が黒鉛粒子を含んでいたとしても、内歯と外歯とが擦れ合う位置に露出する黒鉛粒子が少ないと、内歯歯車と外歯歯車との噛み合い位置に十分な潤滑性を与えることができない。この場合、波動歯車装置の長寿命化を図ることができないという課題がある。
本発明の適用例に係る歯車装置は、
内歯歯車と、
前記内歯歯車に部分的に噛み合って前記内歯歯車に対して回転軸まわりに相対的に回転し、可撓性を有する外歯歯車と、
前記外歯歯車の内側に設けられ、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を前記回転軸まわりの周方向に移動させる波動発生器と、
を有し、
前記内歯歯車の主材料は、黒鉛粒子を含み、
前記内歯歯車の内歯の歯面は、前記回転軸に沿う成分を有する第1方向に延在し、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1凸部および第2凸部を含む凸パターンを備え、
前記黒鉛粒子の平均粒径をD[μm]とし、前記第2方向における前記第1凸部と前記第2凸部との離間距離をS[μm]としたとき、10≦D≦40、および、S−D≦20を満たすことを特徴とする。
実施形態に係るロボットの概略構成を示す側面図である。 第1実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。 図2に示す歯車装置本体の正面図であって軸線a方向から見た図である。 図3に示す剛性歯車の単体を示す斜視図である。 図4の部分拡大図である。 図3に示す剛性歯車の内歯と可撓性歯車の外歯との噛み合い位置を部分的に拡大して示す断面図である。 図6の部分拡大図である。 従来の歯車装置において図7と同じ位置を示す図である。 S−Dと寿命との関係を示すグラフである。 図9のグラフに対する評価を示す表である。 S−Dとトルク伝達効率との関係を示すグラフである。 S−Dと起動トルクとの関係を示すグラフである。 第2実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。
以下、本発明の歯車装置およびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.ロボット
まず、ロボットについて簡単に説明する。
図1は、実施形態に係るロボットの概略構成を示す側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1中の基台側を「基端側」、その反対側、すなわちエンドエフェクター側を「先端側」と言う。なお、本明細書における「方向」は、軸に沿う一方側の方向とその反対方向の双方を含む。
図1に示すロボット100は、例えば、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業に用いられるロボットである。このロボット100は、図1に示すように、基台110と、第1アーム120と、第2アーム130と、作業ヘッド140と、エンドエフェクター150と、配管160と、を有している。以下、ロボット100の各部を順次簡単に説明する。
基台110は、例えば、図示しない床面にボルト等によって固定されている。基台110の内部には、ロボット100を統括制御する制御装置190が設置されている。また、基台110には、基台110に対して鉛直方向に沿う第1軸J1まわりに回動可能に第1アーム120が連結している。すなわち、基台110に対して第1アーム120が相対的に回動している。
ここで、基台110内には、第1アーム120を回動させる駆動力を発生させるサーボモーター等の第1モーターであるモーター170(駆動源)と、モーター170の駆動力の回転を減速する第1減速機である歯車装置10と、が設置されている。歯車装置10の入力軸は、モーター170の回転軸に連結され、歯車装置10の出力軸は、第1アーム120に連結されている。そのため、モーター170が駆動し、その駆動力が歯車装置10を介して第1アーム120に伝達されると、第1アーム120が基台110に対して第1軸J1まわりに水平面内で相対的に回動する。すなわち、モーター170は、歯車装置10に向けて駆動力を出力する駆動源である。
第1アーム120の先端部には、第1アーム120に対して第2軸J2まわりに回動可能な第2アーム130が連結している。第2アーム130内には、図示しないが、第2アーム130を回動させる駆動力を発生させる第2モーターと、第2モーターの駆動力の回転を減速する第2減速機と、が設置されている。そして、第2モーターの駆動力が第2減速機を介して第2アーム130に伝達されることにより、第2アーム130が第1アーム120に対して第2軸J2まわりに水平面内で回動する。
第2アーム130の先端部には、作業ヘッド140が配置されている。作業ヘッド140は、第2アーム130の先端部に同軸的に配置された図示しないスプラインナットおよびボールネジナットに挿通されたスプラインシャフト141を有している。スプラインシャフト141は、第2アーム130に対して、図1に示す第3軸J3まわりに回転可能であり、かつ、上下方向に移動可能となっている。
第2アーム130内には、図示しないが、回転モーターおよび昇降モーターが配置されている。回転モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってスプラインナットに伝達され、スプラインナットが正逆回転すると、スプラインシャフト141が鉛直方向に沿う第3軸J3まわりに正逆回転する。
一方、昇降モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってボールネジナットに伝達され、ボールネジナットが正逆回転すると、スプラインシャフト141が上下に移動する。
スプラインシャフト141の先端部には、エンドエフェクター150が連結されている。エンドエフェクター150としては、特に限定されず、例えば、被搬送物を把持するもの、被加工物を加工するもの等が挙げられる。
第2アーム130内に配置された各電子部品、例えば第2モーター、回転モーター、昇降モーター等に接続される複数の配線は、第2アーム130と基台110とを連結する管状の配管160内を通って基台110内まで引き回されている。さらに、かかる複数の配線は、基台110内でまとめられることによって、モーター170および図示しないエンコーダーに接続される配線とともに、基台110内に設置された制御装置190まで引き回される。
以上のように、ロボット100は、第1部材である基台110と、基台110に対して回動可能に設けられている第2部材である第1アーム120と、基台110および第1アーム120の一方側から他方側へ駆動力を伝達する歯車装置10と、歯車装置10に向けて駆動力を出力する駆動源であるモーター170と、を備える。
なお、第1アーム120および第2アーム130をまとめて「第2部材」と捉えてもよい。また、「第2部材」が、第1アーム120および第2アーム130に加え、さらに、作業ヘッド140およびエンドエフェクター150を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、第1減速機が歯車装置10で構成されているが、第2減速機が歯車装置10で構成されていてもよく、また、第1減速機および第2減速機の双方が歯車装置10で構成されていてもよい。第2減速機が歯車装置10で構成されている場合、第1アーム120を「第1部材」と捉え、第2アーム130を「第2部材」と捉えればよい。
また、本実施形態では、モーター170および歯車装置10は基台110に設けられているが、モーター170および歯車装置10を第1アーム120に設けるようにしてもよい。この場合、歯車装置10の出力軸を基台110に連結すればよい。
2.第1実施形態に係る歯車装置
次に、第1実施形態に係る歯車装置について説明する。
図2は、第1実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。図3は、図2に示す歯車装置本体の正面図であって軸線a方向から見た図である。図4は、図3に示す剛性歯車の単体を示す斜視図である。図5は、図4の部分拡大図である。図6は、図3に示す剛性歯車の内歯と可撓性歯車の外歯との噛み合い位置を部分的に拡大して示す断面図である。図7は、図6の部分拡大図である。なお、各図では、説明の便宜上、必要に応じて各部の寸法を適宜誇張して図示しており、また、各部間の寸法比は実際の寸法比とは必ずしも一致しない。
図2に示す歯車装置10は、波動歯車装置であり、例えば減速機として用いられる。この歯車装置10は、歯車装置本体1と、歯車装置本体1を収納しているケース5と、を有し、これらが一体化されている。ここで、歯車装置10のケース5内には、潤滑剤Gが配置されている。以下、歯車装置10の各部を説明する。なお、ケース5は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。
2.1.歯車装置本体
歯車装置本体1は、内歯歯車である剛性歯車2と、剛性歯車2の内側に配置されているカップ型の外歯歯車である可撓性歯車3と、可撓性歯車3の内側に配置されている波動発生器4と、を有している。
本実施形態では、剛性歯車2が前述したロボット100の基台110(第1部材)にケース5を介して接続され、可撓性歯車3が前述したロボット100の第1アーム120(第2部材)に接続され、波動発生器4が前述したロボット100の基台110に配置されているモーター170の回転軸に接続されている。
モーター170の回転軸が回転すると、波動発生器4はモーター170の回転軸と同じ回転速度で回転する。そして、剛性歯車2および可撓性歯車3は、互いに歯数が異なるため、互いの噛み合い位置が周方向に移動しながら軸線aまわりに相対的に回転する。本実施形態では剛性歯車2の歯数の方が可撓性歯車3の歯数より多いため、モーター170の回転軸の回転速度よりも低い回転速度で可撓性歯車3を回転させることができる。すなわち、波動発生器4を入力軸側、可撓性歯車3を出力軸側とする減速機を実現することができる。
なお、ケース5の形態によっては、可撓性歯車3を基台110に接続し、剛性歯車2を第1アーム120に接続しても、歯車装置10を減速機として用いることができる。また、可撓性歯車3にモーター170の回転軸を接続しても、歯車装置10を減速機として用いることができ、この場合、波動発生器4を基台110に接続し、剛性歯車2を第1アーム120に接続すればよい。また、歯車装置10を増速機として用いる場合、すなわちモーター170の回転軸の回転速度よりも高い回転速度で可撓性歯車3を回転させる場合、前述した入力側と出力側との関係を反対にすればよい。
図2および図3に示すように、剛性歯車2は、径方向に実質的に撓まない剛体で構成された歯車であって、内歯23を有するリング状の内歯歯車である。本実施形態では、剛性歯車2は平歯車である。すなわち、内歯23は、軸線aに対して平行な歯スジを有する。なお、内歯23の歯スジは、軸線aに対して傾斜していてもよい。すなわち、剛性歯車2は、はすば歯車またはやまば歯車であってもよい。
図2および図3に示すように、可撓性歯車3は、剛性歯車2の内側に挿通されている。この可撓性歯車3は、径方向に撓み変形可能な可撓性を有する歯車であって、剛性歯車2の内歯23の一部に噛み合う外歯33を有する外歯歯車である。また、可撓性歯車3の歯数は、剛性歯車2の歯数よりも少ない。このように可撓性歯車3および剛性歯車2の歯数が互いに異なることにより、減速機を実現することができる。
本実施形態では、可撓性歯車3は、軸線a方向での一端、すなわち図2中右側の端部が開口した開口部36を有するカップ状をなし、その開口部36から他端に向かって外歯33が形成されている。ここで、可撓性歯車3は、軸線aまわりの筒状をなす胴部31と、胴部31の軸線a方向での他端部に接続されている底部32と、を有する。これにより、底部32に比べ、外歯33が設けられた開口部36が径方向に撓み易くなるので、剛性歯車2に対する可撓性歯車3の良好な撓み噛み合いを実現することができる。さらに、例えば出力軸となる軸62が接続されている底部32の剛性を高めることができる。このようなことから歯車装置10は、バックラッシュが非常に小さく、反転を繰り返す用途に適していて、また同時噛み合い歯数の比率が大きく、1枚の歯にかかる力が小さくなるため、高トルク容量を得ることもできる。
図2および図3に示すように、波動発生器4は、可撓性歯車3の内側に配置され、軸線aまわりに回転可能である。そして、波動発生器4は、可撓性歯車3の開口部36の横断面を長軸Laおよび短軸Lbとする楕円形または長円形に変形させることにより、可撓性歯車3の外歯33を剛性歯車2の内歯23に噛み合わせる。ここで、可撓性歯車3および剛性歯車2は、同一の軸線aまわりに回転可能なように、互いに内外で噛み合わされることとなる。
本実施形態では、波動発生器4は、カム41と、カム41の外周に装着されている軸受42と、を有している。カム41は、軸線aまわりに回転する軸部411と、軸部411の一端部から外側に突出しているカム部412と、を有している。
軸部411には、例えば入力軸となる軸61が接続されている。カム部412の外周面は、軸線aに沿った方向から見たときに、楕円形または長円形をなしている。軸受42は、可撓性の内輪421および外輪423と、これらの間に配置されている複数のボール422と、を有している。ここで、内輪421は、カム41のカム部412の外周面に嵌め込まれ、カム部412の外周面に沿って楕円形または長円形に弾性変形している。それに伴って、外輪423も楕円形または長円形に弾性変形している。また、内輪421の外周面および外輪423の内周面は、それぞれ、複数のボール422を周方向に沿って案内しつつ転動させる軌道面を有している。また、複数のボール422は、互いの周方向での間隔を一定に保つように図示しない保持器により保持されている。なお、軸受42内には、図示しないグリースが配置されている。このグリースは、後述する潤滑剤Gと同じであっても異なっていてもよい。
このような波動発生器4は、カム41の軸線aまわりの回転に伴って、カム部412の向きが変わり、それに伴って、外輪423の外周面も変形し、剛性歯車2および可撓性歯車3の互いの噛み合い位置を周方向に移動させる。
また、剛性歯車2、可撓性歯車3および波動発生器4は、それぞれ、例えば、鋳鉄、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムモリブデン鋼(SCM)、マルエージング鋼、析出硬化型ステンレス鋼等の鉄系材料等の金属材料で構成されている。
特に、外歯歯車である可撓性歯車3は、好ましくはニッケルクロムモリブデン鋼を主材料として構成されている。ニッケルクロムモリブデン鋼は、適切な熱処理によって強靭な鋼となり、疲労強度等の機械的特性が優れているため、繰返し応力が作用する可撓性歯車3の構成材料として適している。
ニッケルクロムモリブデン鋼としては、例えば、JIS G 4053:2016に規定されている種類の鋼材が挙げられる。具体的には、JIS規格に規定されている記号として、SNCM220、SNCM240、SNCM415、SNCM420、SNCM431、SNCM439、SNCM447、SNCM616、SNCM625、SNCM630、SNCM815等の鋼材が挙げられる。このうち、可撓性歯車3の構成材料として用いるニッケルクロムモリブデン鋼としては、機械的特性に優れるという観点から、特にSNCM439を用いることが好ましい。
なお、可撓性歯車3の構成材料は、ニッケルクロムモリブデン鋼以外の材料を含んでいてもよい。すなわち、可撓性歯車3は、ニッケルクロムモリブデン鋼とそれ以外の材料とが複合してなる複合材料で構成されていてもよい。ただし、ニッケルクロムモリブデン鋼の方がそれ以外の材料よりも全体に占める質量割合の方が多い構成、すなわち主材料であることが好ましい。
一方、内歯歯車である剛性歯車2は、好ましくは黒鉛粒子21を含む材料で構成され、より好ましくは黒鉛粒子21と基地組織22とを含む球状黒鉛鋳鉄を主材料として構成されている。球状黒鉛鋳鉄は、ダクタイル鋳鉄とも呼ばれ、例えば図7に示すように、黒鉛粒子21と、その周囲に存在する基地組織22と、を含む鋳鉄である。本実施形態では、JIS G 5505:2013の附属書Bに規定されている黒鉛粒子21の丸み係数に基づく分類において、画像解析による黒鉛粒子21の丸み係数が0.56〜1.00の範囲内にある黒鉛鋳鉄を「球状黒鉛鋳鉄」とする。すなわち、画像上においてある一定程度以上の丸みを持つ黒鉛粒子21を含む黒鉛鋳鉄が球状黒鉛鋳鉄である。なお、この画像解析とは、全自動または半自動で丸み係数を求める画像解析装置による解析のことをいう。また、画像解析の対象領域の面積は4mm以上とする。
このような球状黒鉛鋳鉄では、黒鉛粒子21が球状をなしていることにより、黒鉛粒子21が亀裂の起点になり難くなるため、例えば片状黒鉛鋳鉄に比べて基地組織22の強度を最大限に発揮させることができる。その結果、球状黒鉛鋳鉄は、強度や靭性に優れたものとなる。このため、剛性歯車2の長寿命化を図ることができる。
また、球状黒鉛鋳鉄は、含まれる黒鉛粒子21が潤滑剤の働きをするため、剛性歯車2の内歯23が凝着しにくくなる。このため、剛性歯車2のさらなる低摩耗化を図ることができ、剛性歯車2の長寿命化を図ることができる。
加えて、球状黒鉛鋳鉄は、伝わってきた振動を黒鉛粒子21と基地組織22との境界において熱エネルギーに変換し、消失させることができる。このため、剛性歯車2に発生する振動や騒音を低減することができる。
さらに、球状黒鉛鋳鉄は、熱伝導率が高く、放熱性に優れる。このため、剛性歯車2の放熱性も高くなり、剛性歯車2が著しく高温になるのを抑制することができる。
以上のような効果により、歯車装置10の長寿命化を図ることができる。
なお、歯車装置10の寿命とは、例えば歯車装置10の使用開始から、歯車装置10のいずれかの部位に損傷が発生するまでの時間のことをいう。かかる損傷としては、例えば剛性歯車2または可撓性歯車3の破断が挙げられる。
また、黒鉛粒子21の平均粒径をD[μm]とするとき、剛性歯車2は、10≦D≦40を満たし、好ましくは12≦D≦30を満たす。このような剛性歯車2は、比較的大きな黒鉛粒子21を含むものとなる。このため、黒鉛粒子21による上述した効果が十分に発揮され、歯車装置10の長寿命化に寄与する剛性歯車2を実現することができる。
なお、黒鉛粒子21の粒径は、次のようにして求められる。まず、剛性歯車2の断面に鏡面研磨を施す。次に、研磨面を顕微鏡で観察し、1.3mm×1.8mmの範囲を撮影する。得られた画像に対し、画像処理を施して、黒鉛粒子21の像の面積を算出する。各像を真円とみなし、得られた面積から黒鉛粒子21の直径を算出する。このようにして求めた直径を、黒鉛粒子21の粒径とする。また、平均粒径Dは、画像に写っている黒鉛粒子21の粒径の小さい方から数を計数したときの累計個数が全体の50%になるときの粒径のことをいう。
球状黒鉛鋳鉄としては、例えば、JIS G 5502:2001に規定されている種類の材料が挙げられる。具体的には、JIS規格に規定されている記号として、FCD350−22、FCD350−22L、FCD400−18、FCD400−18L、FCD400−15、FCD400−10、FCD450−10、FCD500−7、FCD600−3、FCD700−2、FCD800−2、FCD900等が挙げられる。
また、球状黒鉛鋳鉄には、必要に応じて、焼入れ・焼戻し処理またはオーステンパー処理が施されていてもよい。これにより、球状黒鉛鋳鉄の機械的強度を高めることができ、歯車装置10のさらなる長寿命化を図ることができる。
また、球状黒鉛鋳鉄の合金組成としては、例えば、Fe(鉄)を主成分とし、C(炭素):2.0質量%以上6.0質量%以下、Si(ケイ素):0.5質量%以上3.5質量%以下、Mn(マンガン):0.4質量%以上1.0質量%以下で含む組成が挙げられる。さらに、球状黒鉛鋳鉄には、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Sn(スズ)、Mg(マグネシウム)等が含まれていてもよい。
なお、黒鉛粒子21の粒径は、剛性歯車2の製造条件によって制御することができる。例えば、剛性歯車2を鋳造する際の凝固速度を小さくすることにより、黒鉛粒子21の粒径を大きくすることができる。一方、凝固速度を大きくすることにより、これとは反対の制御が可能になる。
また、球状黒鉛鋳鉄に添加する炭素量を増やしたり、鋳造後に熱処理をした場合に冷却速度を遅くしたり、鋳型の材料に金型ではなく砂型を用いたりすることで、黒鉛粒子21の粒径を大きくすることができる。一方、炭素量を減らしたり、冷却速度を速くしたり、金型を用いたりすることで、これとは反対の制御が可能になる。
図7に示すように、剛性歯車2の主材料は、黒鉛粒子21の他に基地組織22を含んでいてもよい。
基地組織22は、剛性歯車2の主材料のうち、黒鉛粒子21以外の部分のことをいう。この基地組織22は、いかなる組織であってもよいが、例えば、パーライト組織、または、パーライト組織とフェライト組織との混合組織、を含む。
このうち、パーライト組織とは、フェライト組織と層状をなすセメンタイト組織とが交互に並ぶ混合組織のことをいい、セメンタイト組織には鉄炭化物が多く含まれる。また、層状とは、結晶組織の長径/短径で規定されるアスペクト比が、例えば5以上である状態をいう。一方、フェライト組織は、α固溶体とも呼ばれる組織である。基地組織22にこのようなパーライト組織が含まれることにより、球状黒鉛鋳鉄の疲労強度を特に高めることができる。
なお、パーライト組織は、それ単独で存在していてもよく、フェライト組織と併存していてもよい。パーライト組織とフェライト組織との併存組織は、パーライト組織において主に硬度が高められ、フェライト組織において主に靭性が高められるため、高強度と粘り強さとを両立させることができる。
また、基地組織22には、上記組織の他に、マルテンサイト組織、オーステナイト組織、ソルバイト組織、ベイナイト組織等が含まれていてもよい。その場合も、基地組織22全体において、パーライト組織およびフェライト組織の合計が占める面積割合は、60%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。これにより、上記の効果がより確実に発揮される。
2.2.ケース
図2に示すケース5は、軸受13を介して軸61を支持している略板状の蓋体11と、軸受14を介して軸62を支持しているカップ状の本体12と、を有する。ここで、蓋体11と本体12とは連結されて空間を構成しており、その空間には、前述した歯車装置本体1が収納されている。また、蓋体11および本体12の少なくとも一方には、前述した歯車装置本体1の剛性歯車2が例えばネジ止め等により固定されている。
蓋体11の内壁面111は、可撓性歯車3の開口部36を覆うように軸線aに垂直な方向に拡がる形状をなしている。また、本体12の内壁面121は、可撓性歯車3の外周面および底面に沿った形状をなしている。このようなケース5は、前述したロボット100の基台110に固定されている。ここで、蓋体11は、基台110と別体であって、例えばネジ止め等により基台110に固定されていてもよいし、基台110と一体であってもよい。また、蓋体11と本体12とを備えるケース5の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、金属材料、セラミックス材料等が挙げられる。
2.3.潤滑剤
潤滑剤Gは、例えばグリース、すなわち半固体状潤滑剤であり、噛み合い部である剛性歯車2と可撓性歯車3との間、および、接触部・摺動部である可撓性歯車3と波動発生器4との間、のうちの少なくとも一方に配置されている。以下、これら噛み合い部や接触部・摺動部のことを「潤滑対象部」という。このような潤滑対象部に潤滑剤Gを供給することにより、当該潤滑対象部の摩擦を低減することができる。
潤滑剤Gは、例えば、基油と、増ちょう剤と、有機モリブデン化合物と、を含む。
基油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系等の鉱油、ポリオレフィン、エステル、シリコーン等の合成油が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、増ちょう剤としては、例えば、カルシウム石けん、カルシウム複合石けん、ナトリウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けん、リチウム複合石けん等の石けん系、また、ポリウレア、ナトリウムテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、有機ベントナイト、シリカゲル等の非石けん系等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。このように、基油および増ちょう剤を組成として含んでいる潤滑剤Gは、増ちょう剤が形成する3次元構造体が複雑に絡み合って基油を保持しており、その保持した基油を少しずつしみ出させることで潤滑作用を発揮する。
2.4.剛性歯車の凸パターン
剛性歯車2は、図4に示すように、多数の内歯23を有するリング状の歯車である。この内歯23は、図5に示すように、歯面231と、歯面231に連続する歯底232および歯先233と、を有している。このうち、少なくとも歯面231は、図6および図7に示すように、可撓性歯車3の外歯33の歯面331と接触し、擦れ合う。これにより、剛性歯車2と可撓性歯車3との間でトルクが伝達される。
内歯23の歯面231は、図5ないし図7に示すように、軸方向A(第1方向)に沿って延在する複数の凸部71を有している。各凸部71は、互いにほぼ平行に延在しており、かつ、歯面231内において、径方向Rの成分を有する方向(第2方向)に並んでいる。このような複数の凸部71により、図5に示す凸パターン7が構成されている。
なお、凸部71同士は、完全に平行でなくてもよい。また、凸部71同士が一部で交差していたり、分岐していたりする部分を有していてもよい。さらに、凸部71が延在する第1方向は、軸方向Aの方向成分を有する方向であればよい。したがって、凸部71が延在する第1方向は、図5に示すような軸方向Aに平行な方向に限定されず、軸方向Aに対して傾いた方向であってもよい。さらに、複数の凸部71が並ぶ第2方向は、凸部71の延在方向に交差する方向であれば、特に限定されない。また、凸部71は、途中で曲がったり、途切れたりする部分を有していてもよい。
凸部71とは、その周囲よりも突出した部分のことをいう。図5では、軸方向Aに沿って線状に延びる凸部71を直線で示している。このような凸部71は、凸条とも呼ばれる。複数の凸部71は、所定の間隔で並んでいる。図7では、複数の凸部71のうち、隣り合う2つを第1凸部711および第2凸部712とする。
本実施形態では、凸部71が並ぶ方向(第2方向)における第1凸部711と第2凸部712との離間距離をS[μm]とする。ここで、離間距離Sは、第1凸部711の先端部と第2凸部712の先端部との距離である。また、前述したように、剛性歯車2の主材料は、黒鉛粒子21を含む材料であり、その平均粒径をD[μm]とする。このとき、剛性歯車2は、前述した10≦D≦40に加え、S−D≦20を満たす。
このような構成によれば、図7に示すように、剛性歯車2の内歯23の歯面231に、黒鉛粒子21が露出する確率が高くなる。また、離間距離Sと平均粒径Dとの差が前述した上限値以下であることにより、黒鉛粒子21の粒径に比べて、凸パターン7における凸部71の幅は相対的に狭くなる。そうすると、凸部71のうち、特に頂部に露出する黒鉛粒子21の比率も大きくなる。凸部71の頂部は、可撓性歯車3の外歯33の歯面331と擦れ合う確率が最も高い部位であることから、そこに黒鉛粒子21が露出することによって、内歯23と外歯33との間の潤滑性を高めることができる。その結果、歯車装置10の長寿命化を図ることができる。
図8は、従来の歯車装置において図7と同じ位置を示す図である。なお、説明の便宜のため、図8では、図7と同じ符号を付している。
図8に示す歯車装置は、S−D>20を満たしている。具体的には、図8における離間距離Sは、図7に示す離間距離Sに比べて長くなっている。このため、図8に示す歯面231の単位面積に設けられる凸部71の数は、図7に示す歯面231よりも少なくなる。これにより、凸部71の頂部に露出する黒鉛粒子21の比率も小さくなる。その結果、図8に示す凸部71の頂部では、図7に示す凸部71に比べて、可撓性歯車3の外歯33の歯面331との摩擦が大きくなる。
以上のように、歯車装置10は、内歯歯車である剛性歯車2と、外歯歯車である可撓性歯車3と、波動発生器4と、を有する。可撓性歯車3は、可撓性を有し、剛性歯車2に部分的に噛み合って剛性歯車2に対して回転軸(軸線a)まわりに相対的に回転する。波動発生器4は、可撓性歯車3の内側に設けられ、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い位置を回転軸まわりの周方向Cに移動させる。
また、剛性歯車2の主材料は、黒鉛粒子21を含む材料である。さらに、剛性歯車2の内歯23の歯面231は、第1凸部711および第2凸部712を含む凸パターン7を備える。第1凸部711および第2凸部712は、軸方向A(軸線aに沿う成分を有する第1方向)に延在し、かつ、軸方向Aと交差する方向(第1方向と交差する第2方向)に並んでいる。そして、剛性歯車2は、10≦D≦40、および、S−D≦20を満たす。
このような構成によれば、剛性歯車2の内歯23の歯面231のうち、可撓性歯車3の外歯33と擦れ合う位置に、黒鉛粒子21を高い確率で露出させることができる。これにより、黒鉛粒子21と外歯33とが接触する確率が高くなり、黒鉛粒子21が徐々に削れることに伴って、内歯23と外歯33との間の潤滑性を高めることができる。その結果、歯車装置10の長寿命化を図ることができる。
また、凸部71同士の間は、凹部となるため、そこには潤滑剤Gが溜まりやすくなる。これにより、潤滑剤Gの流れ出しが抑制され、潤滑剤Gによっても潤滑性を高めることができる。
なお、歯面231では、その少なくとも一部が、10≦D≦40およびS−D≦20を満たしていればよいが、歯面231の全面積のうち、30%以上の領域において満たしているのが好ましく、50%以上の領域において満たしているのがより好ましく、65%以上の領域において満たしているのがさらに好ましい。これにより、上記の効果がより確実に得られる。
また、離間距離Sは、第2方向における、第1凸部711の頂部と第2凸部712の頂部との距離を、第1方向の一部において測定することで求められる。または、第2方向における、第1凸部711の頂部と第2凸部712の頂部との距離を、第1方向の全長にわたって分布し、かつ、等間隔に並ぶ10点以上で測定し、その測定値の平均値として求められる。
ここで、図9は、S−Dと寿命との関係を示すグラフである。なお、図9の横軸はS−Dであり、縦軸は歯車装置10の寿命である。また、図10は、図9のグラフに対する評価を示す表である。なお、図10では、図9に示す寿命を4階級に分けて評価している。評価の階級は、A〜Dの記号で表しており、A評価が最も良好な評価に相当し、D評価が最も不良な評価に相当する。
図9に示すように、S−Dが20μm超の範囲では、S−Dを小さくすると、歯車装置10の寿命は長くなる傾向がある。一方、図9では、S−Dを20μm以下にすることで、歯車装置10の寿命が、それまでの傾向の外挿よりも急激に長くなることが示されている。したがって、S−Dという要素は、歯車装置10の長寿命化を図るという観点で、特に意義がある。
また、剛性歯車2は、S−D≦10を満たすことが好ましい。図9では、S−Dを10μm以下にすることで、歯車装置10の寿命が急激に長くなることが示されている。これにより、歯車装置10のさらなる長寿命化を図ることができる。
さらに、剛性歯車2は、S−D≦−10を満たすことが好ましい。図9では、S−Dを−10μm以下にすることで、歯車装置10の寿命が急激に長くなることが示されている。これにより、歯車装置10のさらなる長寿命化を図ることができる。
なお、S−Dの下限値は、特に設定されなくてもよいが、−30μmであるのが好ましく、−20μmであるのがより好ましい。これにより、黒鉛粒子21の粒径が大きすぎることによる不具合、例えば、剛性歯車2の機械的強度が低下するのを抑制することができる。
図10には、図9に示すグラフに基づいた評価を示している。
S−Dが20μm超の範囲では、図10に示すように、寿命の評価がD評価である。この範囲では、歯車装置10の寿命が短い傾向がある。
S−Dが10μm超20μm以下の範囲では、図10に示すように、寿命の評価がC評価である。この範囲では、歯車装置10が最低限の寿命を有している。
S−Dが−10μm超10μm以下の範囲では、図10に示すように、寿命の評価がB評価である。この範囲では、黒鉛粒子21に対する凸部71の相対的な数が多くなるため、凸部71の頂部により高い確率で黒鉛粒子21を露出させることができる。
S−Dが−10μm以下の範囲では、図10に示すように、寿命の評価がAである。この範囲では、歯車装置10の寿命が特に長くなる。
なお、歯車装置10の寿命は、例えば、次のようにして求められる。
まず、歯車装置10の入力軸に回転数3000rpm、平均負荷トルク50Nm、ピークトルク60Nmでトルクを入力し、連続運転を行う。そして、歯車装置10が破損するまでの入力軸の回転数を、歯車装置10の寿命とする。
図11は、S−Dとトルク伝達効率との関係を示すグラフである。図12は、S−Dと起動トルクとの関係を示すグラフである。図11の横軸および図12の横軸は、それぞれS−Dであり、図11の縦軸および図12の縦軸は、それぞれ歯車装置10の寿命である。
図11に示すように、S−Dが20μm超の範囲では、トルク伝達効率が65%以下と低いが、S−Dが20μm以下の範囲では、十分に高いトルク伝達効率が得られている。特に、S−Dが10μm以下の範囲では、69%以上という良好なトルク伝達効率が得られる。
図12に示すように、S−Dが20μm超の範囲では、起動トルクが0.03Nm以上と高いが、S−Dが20μm以下の範囲では、起動トルクが十分に低くて済む。
なお、トルク伝達効率は、歯車装置10の入力軸に回転数2000rpmで入力したトルクに対する、出力軸から出力されたトルクの割合である。また、起動トルクは、停止している入力軸が1°動くのに要したトルクである。
このような凸パターン7は、いかなる方法で形成されたものであってもよい。凸パターン7の形成方法としては、例えば、切削、研削のような機械加工、ローレット加工のような転造加工、サンドブラスト、ショットブラストのような研磨加工、鋳造のような成型加工等が挙げられる。このうち、機械加工によれば、精度の高い凸パターン7を形成することができる。
また、凸部71の突出高さhは、特に限定されないが、0.01μm以上30μm以下であるのが好ましく、0.10μm以上10μm以下であるのがより好ましい。これにより、内歯23と外歯33との接触面積を最適化することができる。その結果、剛性歯車2と可撓性歯車3との間の潤滑性を高めつつ、凸部71に著しい欠損等の変形が生じるのを抑制して、トルク伝達特性の大きな変化が生じるのを抑制することができる。なお、凸部71の突出高さhとは、図7に示すように、凸部71の頂部と底部との距離のことをいう。
一方、内歯23と噛み合う外歯33の歯面331は、特に限定されず、図7に示すような平坦面であってもよいし、複数の凸部を含む凸パターン、複数の凹部を含む凹パターン、または複数の凸部と凹部の双方を含む凹凸パターンを有していてもよい。
また、本実施形態に係るロボット100は、第1部材である基台110と、基台110に対して回動する第2部材である第1アーム120と、基台110に対して第1アーム120を相対的に回動させる駆動力を伝達する歯車装置10と、歯車装置10に向けて駆動力を出力する駆動源であるモーター170と、を有している。
このような構成によれば、歯車装置10において長寿命化が図られるため、メンテナンスの手間がかからず、取り扱い性が良好なロボット100を実現することができる。
3.第2実施形態に係る歯車装置
次に、第2実施形態に係る歯車装置について説明する。
図13は、第2実施形態に係る歯車装置を示す縦断面図である。
本実施形態は、外歯歯車の構成およびそれに伴うケースの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図13において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図13に示す歯車装置10Bは、歯車装置本体1Bと、歯車装置本体1Bを収納しているケース5Bと、を有する。なお、ケース5Bは、省略してもよい。
歯車装置10Bは、剛性歯車2の内側に配置されているハット型、すなわち縁つき帽子型の外歯歯車である可撓性歯車3Bを有している。この可撓性歯車3Bは、筒状の胴部31の一端部に接続され軸線aとは反対側に突出しているフランジ部32Bを有する。フランジ部32Bには、図示しない出力軸が取り付けられている。そして、可撓性歯車3Bの構成材料等は、第1実施形態に係る可撓性歯車3と同様である。
ケース5Bは、軸受13を介して、例えば入力軸となる軸61を支持している略板状の蓋体11Bと、前述した可撓性歯車3Bのフランジ部32Bに取り付けられているクロスローラーベアリング18と、を有する。
蓋体11Bは、剛性歯車2の一方、すなわち図13中右側の側面に対して例えばネジ止め等により固定されている。クロスローラーベアリング18は、内輪15と、外輪16と、これらの間に配置されている複数のコロ17と、を有する。内輪15は、可撓性歯車3の胴部31の外周に沿って設けられ、剛性歯車2の他方、すなわち図13中左側の側面に対して例えばネジ止め等により固定されている。外輪16は、前述した可撓性歯車3Bのフランジ部32Bに例えばネジ止め等により固定されている。
また、蓋体11Bの内壁面111Bは、可撓性歯車3Bの開口部36を覆うように軸線aに垂直な方向に拡がる形状をなしている。また、クロスローラーベアリング18の内輪15の内壁面151は、可撓性歯車3Bの胴部31の外周面に沿った形状をなしている。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、本発明の歯車装置およびロボットを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、前記実施形態の各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、前記実施形態に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、ロボットが備える基台が「第1部材」、第1アームが「第2部材」であり、第1部材から第2部材へ駆動力を伝達する歯車装置について説明したが、本発明は、これに限定されず、第nアームが「第1部材」、第(n+1)アームが「第2部材」であり、第nアームおよび第(n+1)アームの一方から他方へ駆動力を伝達する歯車装置についても適用可能である。なお、nは1以上の整数である。また、第2部材から第1部材へ駆動力を伝達する歯車装置についても適用可能である。
また、前述した実施形態では、水平多関節ロボットについて説明したが、本発明のロボットは、これに限定されず、例えば、ロボットの関節数は任意であり、また、垂直多関節ロボットにも適用可能である。
また、前述した実施形態では、歯車装置をロボットに組み込む場合を例に説明したが、本発明の歯車装置は、互いに回動する第1部材および第2部材の一方側から他方側へ駆動力を伝達する構成を有する各種機器に組み込んで用いることもできる。
1…歯車装置本体、1B…歯車装置本体、2…剛性歯車、3…可撓性歯車、3B…可撓性歯車、4…波動発生器、5…ケース、5B…ケース、7…凸パターン、10…歯車装置、10B…歯車装置、11…蓋体、11B…蓋体、12…本体、13…軸受、14…軸受、15…内輪、16…外輪、17…コロ、18…クロスローラーベアリング、21…黒鉛粒子、22…基地組織、23…内歯、31…胴部、32…底部、32B…フランジ部、33…外歯、36…開口部、41…カム、42…軸受、61…軸、62…軸、71…凸部、100…ロボット、110…基台、111…内壁面、111B…内壁面、120…第1アーム、121…内壁面、130…第2アーム、140…作業ヘッド、141…スプラインシャフト、150…エンドエフェクター、151…内壁面、160…配管、170…モーター、190…制御装置、231…歯面、232…歯底、233…歯先、331…歯面、411…軸部、412…カム部、421…内輪、422…ボール、423…外輪、711…第1凸部、712…第2凸部、A…軸方向、C…周方向、D…平均粒径、G…潤滑剤、J1…第1軸、J2…第2軸、J3…第3軸、La…長軸、Lb…短軸、R…径方向、S…離間距離、a…軸線、h…突出高さ

Claims (5)

  1. 内歯歯車と、
    前記内歯歯車に部分的に噛み合って前記内歯歯車に対して回転軸まわりに相対的に回転し、可撓性を有する外歯歯車と、
    前記外歯歯車の内側に設けられ、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を前記回転軸まわりの周方向に移動させる波動発生器と、
    を有し、
    前記内歯歯車の主材料は、黒鉛粒子を含み、
    前記内歯歯車の内歯の歯面は、前記回転軸に沿う成分を有する第1方向に延在し、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ第1凸部および第2凸部を含む凸パターンを備え、
    前記黒鉛粒子の平均粒径をD[μm]とし、前記第2方向における前記第1凸部と前記第2凸部との離間距離をS[μm]としたとき、10≦D≦40、および、S−D≦20を満たすことを特徴とする歯車装置。
  2. 前記内歯歯車は、S−D≦10を満たす請求項1に記載の歯車装置。
  3. 前記内歯歯車は、S−D≦−10を満たす請求項2に記載の歯車装置。
  4. 前記外歯歯車の主材料は、ニッケルクロムモリブデン鋼である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の歯車装置。
  5. 第1部材と、
    前記第1部材に対して回動する第2部材と、
    前記第2部材を前記第1部材に対して相対的に回動させる駆動力を伝達する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の歯車装置と、
    前記歯車装置に向けて前記駆動力を出力する駆動源と、
    を備えることを特徴とするロボット。
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