JP2018194034A - ロボット、歯車装置および歯車ユニット - Google Patents

ロボット、歯車装置および歯車ユニット Download PDF

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坂田 正昭
Masaaki Sakata
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Abstract

【課題】歯車装置の長寿命化を図ることができるロボット、歯車装置および歯車ユニットを提供すること。【解決手段】内歯歯車と、前記内歯歯車に部分的に噛み合う可撓性の外歯歯車と、前記外歯歯車の内周面に接触し、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を周方向に移動させる波動発生器と、前記内歯歯車と前記外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤と、を有し、前記第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあり、前記第1潤滑剤のちょう度が300以上400以下の範囲内にあることを特徴とする歯車装置。【選択図】図2

Description

本発明は、ロボット、歯車装置および歯車ユニットに関するものである。
少なくとも1つのアームを含んで構成されたロボットアームを備えるロボットでは、例えば、ロボットアームの関節部をモーターにより駆動するが、一般に、そのモーターからの駆動力の回転を減速機(歯車装置)により減速することが行われている。
このような歯車装置として、例えば、特許文献1に記載されているような波動歯車装置が知られている。特許文献1に記載の波動歯車装置は、内歯歯車としてのサーキュラスプラインと、外歯歯車としてのフレックススプラインと、波動機構としてのウェーブジェネレータと、出力部材としての出力ケースと、を備え、これらがハウジングに支持されている。ここで、フレックススプラインの両端部に半径方向に伸びる溝状に切り欠いた複数の凹状部を設けている。これにより、フレックススプラインの外周側で加熱された空気を、凹状部を介してフレックススプラインの内周側に送り出したり、フレックススプラインの外周側に対して凹状部を介して空気を送り込んだりして放熱を行う。
特開2015−102110号公報
しかし、特許文献1に記載の波動歯車装置では、フレックススプラインに複数の凹状部を設けることで、フレックススプラインの機械的強度が低下し、その結果、波動歯車装置の寿命を長くすることが難しいという課題がある。
本発明の目的は、歯車装置の長寿命化を図ることができるロボット、歯車装置および歯車ユニットを提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
本適用例のロボットは、第1部材と、
前記第1部材に対して回動可能に設けられている第2部材と、
前記第1部材および前記第2部材の一方側から他方側へ駆動力を伝達する歯車装置と、を備え、
前記歯車装置は、
内歯歯車と、
前記内歯歯車に部分的に噛み合う可撓性の外歯歯車と、
前記外歯歯車の内周面に接触し、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を周方向に移動させる波動発生器と、
前記内歯歯車と前記外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤と、を有し、
前記内歯歯車、前記外歯歯車および前記波動発生器よりなる群から選択される2つの部材のうちの一方の部材が前記第1部材に対して接続され、他方の部材が前記第2部材に対して接続され、
前記第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあり、
前記第1潤滑剤のちょう度が300以上400以下の範囲内にあることを特徴とする。
このようなロボットによれば、内歯歯車と外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤が、そのちょう度が300以上400以下の範囲内にあることで、内歯歯車と外歯歯車との噛み合い部に対して流入と流出とを繰り返すことができる。そのため、第1潤滑剤が当該噛み合い部に供給されている状態を長く維持することができ、当該噛み合い部における潤滑不良を低減することができる。その上で、第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあることで、前述したような第1潤滑剤の流動性を実現しつつ、第1潤滑剤の熱導電性を高めることができる。このような第1潤滑剤の流動性および熱伝導性の相乗効果により、当該噛み合い部および当該噛み合い部にある第1潤滑剤を効率的に放熱し、第1潤滑剤の温度上昇による潤滑性能の低下を低減することができる。その結果、歯車装置の長寿命化を図ることができる。
本適用例のロボットでは、前記歯車装置は、前記波動発生器に配置されていて前記第1潤滑剤よりもちょう度が小さい第2潤滑剤を有し、
前記第2潤滑剤のちょう度が200以上300以下の範囲内にあることが好ましい。
これにより、第2潤滑剤により波動発生器に適した潤滑を行うことができる。特に、第2潤滑剤のちょう度を最適化することで、第2潤滑剤を波動発生器に留まりやすくし、波動発生器での潤滑不良を低減することができる。
本適用例のロボットでは、前記波動発生器は、
非円形状の外周面を有するカムと、
前記外歯歯車の内周面と前記カムの外周面との間に配置されている軸受と、を有し、
前記第2潤滑剤は、前記軸受に配置されていることが好ましい。
これにより、波動発生器の軸受での潤滑不良を低減することができる。
本適用例のロボットでは、前記第2潤滑剤の滴点は、200℃以上280℃以下の範囲内にあることが好ましい。
これにより、温度上昇による波動発生器での潤滑不良を低減することができる。
本適用例のロボットでは、前記第1潤滑剤は、炭素材料、金属材料およびセラミックス材料のうちの少なくとも1種で構成されている伝熱性添加剤を含有していることが好ましい。
これにより、第1潤滑剤の潤滑性能を優れたものとしつつ、第1潤滑剤の熱伝導率を容易に高めることができる。
本適用例の歯車装置は、内歯歯車と、
前記内歯歯車に部分的に噛み合う可撓性の外歯歯車と、
前記外歯歯車の内周面に接触し、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を周方向に移動させる波動発生器と、
前記内歯歯車と前記外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤と、を有し、
前記第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあり、
前記第1潤滑剤のちょう度が300以上400以下の範囲内にあることを特徴とする。
このような歯車装置によれば、内歯歯車と外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤が、そのちょう度が300以上400以下の範囲内にあることで、内歯歯車と外歯歯車との噛み合い部に対して流入と流出とを繰り返すことができる。そのため、第1潤滑剤が当該噛み合い部に供給されている状態を長く維持することができ、当該噛み合い部における潤滑不良を低減することができる。その上で、第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあることで、前述したような第1潤滑剤の流動性を実現しつつ、第1潤滑剤の熱導電性を高めることができる。このような第1潤滑剤の流動性および熱伝導性の相乗効果により、当該噛み合い部および当該噛み合い部にある第1潤滑剤を効率的に放熱し、第1潤滑剤の温度上昇による潤滑性能の低下を低減することができる。その結果、歯車装置の長寿命化を図ることができる。
本適用例の歯車ユニットは、本適用例の歯車装置と、
前記歯車装置の少なくとも一部を覆っているケースと、を備えることを特徴とする。
このような歯車ユニットによれば、内歯歯車と外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤が、そのちょう度が300以上400以下の範囲内にあることで、内歯歯車と外歯歯車との噛み合い部に対して流入と流出とを繰り返すことができる。そのため、第1潤滑剤が当該噛み合い部に供給されている状態を長く維持することができ、当該噛み合い部における潤滑不良を低減することができる。その上で、第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあることで、前述したような第1潤滑剤の流動性を実現しつつ、第1潤滑剤の熱導電性を高めることができる。このような第1潤滑剤の流動性および熱伝導性の相乗効果により、当該噛み合い部および当該噛み合い部にある第1潤滑剤を効率的に放熱し、第1潤滑剤の温度上昇による潤滑性能の低下を低減することができる。その結果、歯車装置の長寿命化を図ることができる。
本発明の実施形態に係るロボットの概略構成を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る歯車ユニットを示す縦断面図である。 図2に示す歯車ユニットが備える歯車装置の正面図である。 本発明の第2実施形態に係る歯車ユニットを示す縦断面図である。
以下、本発明のロボット、歯車装置および歯車ユニットの製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.ロボット
まず、本発明のロボットの実施形態について簡単に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るロボットの概略構成を示す側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1中の基台側を「基端」、その反対側(エンドエフェクター側)を「先端」と言う。また、図1の上下方向を「鉛直方向」とし、左右方向を「水平方向」とする。
図1に示すロボット100は、例えば、精密機器やこれを構成する部品(対象物)の給材、除材、搬送および組立等の作業に用いられるロボットである。このロボット100は、図1に示すように、基台110と、第1アーム120と、第2アーム130と、作業ヘッド140と、エンドエフェクター150と、配線引き回し部160と、を有している。以下、ロボット100の各部を順次簡単に説明する。
基台110は、例えば、図示しない床面にボルト等によって固定されている。基台110の内部には、ロボット100を統括制御する制御装置190が設置されている。また、基台110には、基台110に対して鉛直方向に沿う第1軸J1(回動軸)まわりに回動可能に第1アーム120が連結している。
ここで、基台110内には、第1アーム120を回動させる駆動力を発生させるサーボモーター等の第1モーターであるモーター170と、モーター170の駆動力の回転を減速する第1減速機である歯車装置1を含む歯車ユニット10と、を有する駆動源が設置されている。歯車装置1の入力軸は、モーター170の回転軸に連結され、歯車装置1の出力軸は、第1アーム120に連結されている。そのため、モーター170が駆動し、その駆動力が歯車装置1を介して第1アーム120に伝達されると、第1アーム120が基台110に対して第1軸J1まわりに水平面内で回動する。
第1アーム120の先端部には、第1アーム120に対して鉛直方向に沿う第2軸J2(回動軸)まわりに回動可能に第2アーム130が連結している。第2アーム130内には、図示しないが、第2アーム130を回動させる駆動力を発生させる第2モーターと、第2モーターの駆動力の回転を減速する第2減速機とを有する駆動源が設置されている。そして、第2モーターの駆動力が第2減速機を介して第2アーム130に伝達されることにより、第2アーム130が第1アーム120に対して第2軸J2まわりに水平面内で回動する。
第2アーム130の先端部には、作業ヘッド140が配置されている。作業ヘッド140は、第2アーム130の先端部に同軸的に配置されたスプラインナットおよびボールネジナット(ともに図示せず)に挿通されたスプラインシャフト141を有している。スプラインシャフト141は、第2アーム130に対して、その軸J3まわりに回転可能であり、かつ、上下方向に移動(昇降)可能となっている。
第2アーム130内には、図示しないが、回転モーターおよび昇降モーターが配置されている。回転モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってスプラインナットに伝達され、スプラインナットが正逆回転すると、スプラインシャフト141が鉛直方向に沿う軸J3まわりに正逆回転する。
一方、昇降モーターの駆動力は、図示しない駆動力伝達機構によってボールネジナットに伝達され、ボールネジナットが正逆回転すると、スプラインシャフト141が上下に移動する。
スプラインシャフト141の先端部(下端部)には、エンドエフェクター150が連結されている。エンドエフェクター150としては、特に限定されず、例えば、被搬送物を把持するもの、被加工物を加工するもの等が挙げられる。
第2アーム130内に配置された各電子部品(例えば、第2モーター、回転モーター、昇降モーター等)に接続される複数の配線は、第2アーム130と基台110とを連結する管状の配線引き回し部160内を通って基台110内まで引き回されている。さらに、かかる複数の配線は、基台110内でまとめられることによって、モーター170および図示しないエンコーダーに接続される配線とともに、基台110内に設置された制御装置190まで引き回される。
以上のように、ロボット100は、第1部材である基台110と、基台110に対して回動可能に設けられている第2部材である第1アーム120と、基台110および第1アーム120の一方側から他方側へ駆動力を伝達する歯車ユニット10(歯車装置1および後述する歯車装置1の少なくとも一部を覆っているケース5を含む)と、を備える。
なお、第1アーム120および第2アーム130をまとめて「第2部材」と捉えてもよい。また、「第2部材」が、第1アーム120および第2アーム130に加え、さらに、作業ヘッド140およびエンドエフェクター150を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、第1減速機が歯車ユニット10で構成されているが、第2減速機が歯車ユニット10で構成されていてもよく、また、第1減速機および第2減速機の双方が歯車ユニット10で構成されていてもよい。第2減速機が歯車装置1で構成されている場合、第1アーム120を「第1部材」と捉え、第2アーム130を「第2部材」と捉えればよい。
また、本実施形態では、モーター170および歯車ユニット10が基台110に設けられているが、モーター170および歯車ユニット10を第1アーム120に設けてもよい。この場合、歯車装置1の出力軸を基台110に連結すればよい。
2.歯車ユニット
以下、本発明の歯車ユニットの実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図2は、本発明の第1実施形態に係る歯車ユニットを示す縦断面図である。図3は、図2に示す歯車ユニットが備える歯車装置の正面図である。なお、各図では、説明の便宜上、必要に応じて各部の寸法を適宜誇張して図示しており、また、各部間の寸法比は実際の寸法比とは必ずしも一致しない。
図2に示す歯車ユニット10は、歯車装置1と、この歯車装置1を収納しているケース5と、を有し、歯車装置1には、第1潤滑剤G1および第2潤滑剤G2が配置されている。以下、歯車ユニット10の各部を説明する。
(歯車装置)
歯車装置1は、波動歯車装置であり、例えば減速機として用いられる。この歯車装置1は、内歯歯車である剛性歯車2と、剛性歯車2の内側に配置されているカップ型の外歯歯車である可撓性歯車3と、可撓性歯車3の内側に配置されている波動発生器4と、を有している。
本実施形態では、剛性歯車2が前述したロボット100の基台110(第1部材)に対してケース5を介して接続(固定)され、可撓性歯車3が前述したロボット100の第1アーム120(第2部材)に対して接続され、波動発生器4が前述したロボット100のモーター170の回転軸に接続されている。
モーター170の回転軸が回転する(すなわち駆動力が発生する)と、波動発生器4はモーター170の回転軸と同じ回転速度で回転する。そして、剛性歯車2および可撓性歯車3は、互いに歯数が異なるため、互いの噛み合い位置が周方向に移動しながら軸線aまわりに相対的に回転する。本実施形態では剛性歯車2の歯数の方が可撓性歯車3の歯数より多いため、モーター170の回転軸の回転速度よりも低い回転速度で可撓性歯車3を回転させることができる。すなわち、波動発生器4を入力軸側、可撓性歯車3を出力軸側とする減速機を実現することができる。
なお、ケース5の形態によっては、可撓性歯車3を基台110に対して接続(固定)し、剛性歯車2を第1アーム120に対して接続しても、歯車装置1を減速機として用いることができる。また、可撓性歯車3にモーター170の回転軸を接続しても、歯車装置1を減速機として用いることができ、この場合、波動発生器4を基台110に対して接続(固定)し、剛性歯車2を第1アーム120に対して接続すればよい。また、歯車装置1を増速機として用いる場合(モーター170の回転軸の回転速度よりも高い回転速度で可撓性歯車3を回転させる場合)、前述した入力側と出力側との関係を反対にすればよい。
図2および図3に示すように、剛性歯車2は、径方向に実質的に撓まない剛体で構成された歯車であって、内歯23を有するリング状の内歯歯車である。本実施形態では、剛性歯車2は、平歯車である。すなわち、内歯23は、軸線aに対して平行な歯スジを有する。なお、内歯23の歯スジは、軸線aに対して傾斜していてもよい。すなわち、剛性歯車2は、はすば歯車またはやまば歯車であってもよい。
図2および図3に示すように、可撓性歯車3は、剛性歯車2の内側に挿通されている。この可撓性歯車3は、径方向に撓み変形可能な可撓性を有する歯車であって、剛性歯車2の内歯23に噛み合う外歯33(歯)を有する外歯歯車である。また、可撓性歯車3の歯数は、剛性歯車2の歯数よりも少ない。このように可撓性歯車3および剛性歯車2の歯数が互いに異なることにより、減速機を実現することができる。
本実施形態では、可撓性歯車3は、軸線a方向での一端(図2中右側の端部)が開口した開口部36を有するカップ状をなし、その開口部36側の端部に外歯33が形成されている。ここで、可撓性歯車3は、軸線aまわりの筒状(より具体的には円筒状)の胴部31(筒部)と、胴部31の軸線a方向での他端部側に接続されている底部32と、を有する。これにより、胴部31の底部32側に比べ開口部36側の端部を径方向に撓み易くすることができる。そのため、剛性歯車2に対する可撓性歯車3の良好な撓み噛み合いを実現することができる。また、胴部31の底部32側にある端部の剛性を高めることができる。この底部32には、軸202(例えば出力軸)が接続されている。
図2および図3に示すように、波動発生器4は、可撓性歯車3の内側に配置され、軸線aまわりに回転可能である。そして、図3に示すように、波動発生器4は、可撓性歯車3の開口部(底部32とは反対側の部分)の横断面を長軸Laおよび短軸Lbとする楕円形または長円形に変形させて外歯33を剛性歯車2の内歯23に噛み合わせる。ここで、可撓性歯車3および剛性歯車2は、同一の軸線aまわりに回転可能に互いに内外で噛み合わされることとなる。
本実施形態では、波動発生器4は、カム41と、カム41の外周に装着されている軸受42と、を有している。カム41は、軸線aまわりに回転する軸部411と、軸部411の一端部から外側に突出しているカム部412と、を有している。
軸部411には、軸201(例えば入力軸)が接続されている。カム部412の外周面は、軸線aに沿った方向から見たときに、楕円形または長円形をなしている。軸受42は、可撓性の内輪421および外輪423と、これらの間に配置されている複数のボール422と、を有している。ここで、内輪421は、カム41のカム部412の外周面に嵌め込まれ、カム部412の外周面に沿って楕円形または長円形に弾性変形している。それに伴って、外輪423も楕円形または長円形に弾性変形している。また、内輪421の外周面および外輪423の内周面は、それぞれ、複数のボール422を周方向に沿って案内させつつ転動させる軌道面となっている。また、図示しないが、複数のボール422は、互いの周方向での間隔を一定に保つように保持器により保持されている。
ここで、波動発生器4には、後述する第2潤滑剤G2が配置されている。詳述すると、波動発生器4の軸受42の内部、すなわち内輪421と外輪423との間の空間に第2潤滑剤G2が配置されている。これにより、軸受42のより円滑な回転が得られる。
このような波動発生器4は、カム41の軸線aまわりの回転に伴って、カム部412の向きが変わり、それに伴って、外輪423の外周面も変形し、剛性歯車2および可撓性歯車3の互いの噛み合い位置を周方向に移動させる。
また、剛性歯車2、可撓性歯車3および波動発生器4は、それぞれ、金属材料で構成されていることが好ましく、特に、機械的特性および加工性に優れ、かつ、比較的安価であることから、鉄系材料を用いることが好ましい。かかる鉄系材料としては、特に限定されないが、例えば、鋳鉄、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムモリブデン鋼(SCM)、マルエージング鋼および析出硬化型ステンレス鋼のうちのいずれか1つであることが好ましい。なお、剛性歯車2および波動発生器4は、それぞれ、実質的な剛体であるため、セラミックス材料等で構成することも可能であるが、可撓性歯車3との強度のバランスから、金属材料を用いることが好ましい。これらの部材の強度差が大きすぎると、強度の低い側の部材が極端に摩耗しやすくなり、その結果、歯車装置1の寿命が短くなってしまう。
(ケース)
図2に示すケース5は、軸受13を介して軸201(例えば入力軸)を支持している略板状の蓋体11と、軸受14を介して軸202(例えば出力軸)を支持しているカップ状の本体12と、を有する。ここで、蓋体11と本体12との間には、前述した歯車装置1が収納されている。また、蓋体11および本体12の少なくとも一方には、前述した歯車装置1の剛性歯車2が例えばネジ止め等により固定されている。
蓋体11の内壁面111は、可撓性歯車3の開口部36を覆うように軸線aに直角な方向に拡がる形状をなしている。また、本体12の内壁面121は、可撓性歯車3の外周面および底面に沿った形状をなしている。このようなケース5は、前述したロボット100の基台110に固定されている。ここで、蓋体11は、基台110と別体であって例えばネジ止め等により基台110に固定されていてもよいし、基台110と一体であってもよい。
また、ケース5(蓋体11、本体12)の構成材料としては、特に限定されないが、金属材料等を用いることが好ましい。これにより、後述する第1潤滑剤G1を用いた放熱の効果を高めることができる。
(第1潤滑剤)
第1潤滑剤G1は、グリース(半固体状潤滑剤)であり、少なくとも剛性歯車2と可撓性歯車3との間に配置されている。
この第1潤滑剤G1は、波動発生器4の回転に伴って、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部を通じて、可撓性歯車3の胴部31の外周面上とケース5の蓋体11上との間を往復運動するように流動する。これは、波動発生器4の回転に伴う剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い状態の変化がポンプのごとく働くためである。このように、波動発生器4の回転に伴って、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部に第1潤滑剤G1を供給することができる。なお、可撓性歯車3の胴部31の外周面上およびケース5の蓋体11上のうちの少なくとも一方に第1潤滑剤G1を配置しておけば、波動発生器4の回転に伴って、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部に第1潤滑剤G1を供給することができる。
また、第1潤滑剤G1の一部は、波動発生器4の回転に伴って、可撓性歯車3と波動発生器4との間の隙間を通じて、可撓性歯車3の胴部31内とケース5の蓋体11上との間を往復運動するように流動する。これは、波動発生器4の回転に伴う可撓性歯車3と波動発生器4との接触状態の変化がポンプのごとく働くためである。このように、波動発生器4の回転に伴って、可撓性歯車3と波動発生器4との接触部にも第1潤滑剤G1を供給することができる。なお、可撓性歯車3の胴部31内およびケース5の蓋体11上のうちの少なくとも一方に第1潤滑剤G1を配置しておけば、波動発生器4の回転に伴って、可撓性歯車3と波動発生器4との接触部にも第1潤滑剤G1を供給することができる。
ここで、第1潤滑剤G1のちょう度は、300以上400以下の範囲内にある。これにより、前述したように剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部に対する流入と流出とを繰り返すように第1潤滑剤G1を流動させることができる。そのため、第1潤滑剤G1が当該噛み合い部に供給されている状態を長く維持することができ、当該噛み合い部における潤滑不良を低減することができる。また、第1潤滑剤G1のちょう度は、前述した範囲内にあればよいが、前述した効果をより顕著に発揮させる観点から、320以上380以下の範囲内にあることが好ましく、340以上360以下の範囲内にあることがより好ましい。
これに対し、第1潤滑剤G1のちょう度が小さすぎると、第1潤滑剤G1の流動性が不十分となり、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部に十分に第1潤滑剤G1を供給することが難しく、また、後述するような第1潤滑剤G1による放熱効果を十分に得ることが難しい。一方、第1潤滑剤G1のちょう度が大きすぎると、第1潤滑剤G1の流動性が高くなり過ぎて、歯車装置1の外部(例えば、ケース5内の不本意な位置またはケース5の外部)へ第1潤滑剤G1が漏れやすくなるため、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部への第1潤滑剤G1の供給が不安定となり、かえって、当該噛み合い部における潤滑不良を生じやすくなる。
また、第1潤滑剤G1の熱伝導率は、0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にある。これにより、前述したような第1潤滑剤G1の流動性を実現しつつ、第1潤滑剤G1の熱導電性を高めることができる。このように、第1潤滑剤G1は、優れた流動性および熱伝導性を有する。そのため、第1潤滑剤G1を剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部を通じて流通させ、当該噛み合い部および当該噛み合い部にある第1潤滑剤G1の熱を他の部分(例えばケース5)に逃すことができる。その結果、第1潤滑剤G1の温度上昇による潤滑性能の低下を低減することができる。また、第1潤滑剤G1の熱伝導率は、前述したような範囲内にあればよいが、前述した効果をより顕著に発揮させる観点から、0.5W/m・K以上1.2W/m・K以下の範囲内にあることが好ましく、0.7W/m・K以上1.2W/m・K以下の範囲内にあることがより好ましい。
これに対し、第1潤滑剤G1の熱伝導率が小さすぎると、前述したような第1潤滑剤G1による放熱効果を十分に得ることができない。一方、第1潤滑剤G1の熱伝導率が大きすぎると、第1潤滑剤G1中に添加する後述の伝熱性添加物の添加量を多くしなければならず、そのため、第1潤滑剤G1の流動性が悪くなってしまい、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部に十分に第1潤滑剤G1を供給することが難しい。
このような第1潤滑剤G1は、基油および増ちょう剤を含んで構成されるのが好ましい。基油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系等の鉱油(精製鉱物油)、ポリオレフィン、エステル、シリコーン等の合成油が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、増ちょう剤としては、例えば、カルシウム石けん、カルシウム複合石けん、ナトリウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けん、リチウム複合石けん等の石けん系、また、ポリウレア、ナトリウムテレフタメート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、有機ベントナイト、シリカゲル等の非石けん系等が挙げられ、これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、第1潤滑剤G1中における基油の含有量が80質量%以上90質量%以下であり、かつ、第1潤滑剤G1中における増ちょう剤の含有量が5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。これにより、第1潤滑剤G1の潤滑性能を高めることができる。
また、第1潤滑剤G1は、炭素材料、金属材料およびセラミックス材料のうちの少なくとも1種(単一材料または複合材料)で構成されている伝熱性添加剤(熱伝導率を高めることができる添加剤)を含有していることが好ましい。これにより、第1潤滑剤G1の潤滑性能を優れたものとしつつ、第1潤滑剤G1の熱伝導率を容易に高めることができる。炭素材料で構成されている伝熱性添加剤としては、例えば、炭素繊維、カーボン粒子等が挙げられる。また、金属材料で構成されている伝熱性添加剤としては、例えば、銀粒子、銅粒子等の金属粒子が挙げられる。また、セラミックス材料で構成されている伝熱性添加剤としては、例えば、アルミナ粒子、窒化ケイ素粒子等のセラミックス粒子が挙げられる。このような伝熱性添加剤の添加量は、特に限定されないが、例えば、第1潤滑剤G1中、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、3質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
また、伝熱性添加剤の平均粒径は、特に限定されないが、0.01μm以上10μm以下の範囲内にあることが好ましく、0.1μm以上5μm以下の範囲内にあることが好ましい。これにより、第1潤滑剤G1中における伝熱性添加物の添加量を多くしても、第1潤滑剤G1を比較的軟らかくすることができる。
また、第1潤滑剤G1は、酸化防止剤、極圧剤、防錆剤等の添加剤、また、黒鉛、硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑剤等を含んでいることが好ましく、特に、極圧剤を含んでいることが好ましい。これにより、潤滑対象部が極圧潤滑状態となっても、焼き付きやスカッフィングを効果的に防止することができる。特に、極圧剤として、有機モリブデン化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いることが好ましい。第1潤滑剤G1が有機モリブデン化合物を含んでいることにより、潤滑対象部における摩擦を効果的に低減することができる。特に、有機モリブデンは、二硫化モリブデンと同等の極圧性および耐摩耗性を発揮し、しかも、二硫化モリブデンに比べて酸化安定性に優れる。そのため、グリースの長寿命化を図ることができる。
ここで、第1潤滑剤G1中における極圧剤の含有量は、例えば、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、極圧剤による第1潤滑剤G1の特性向上が顕著となる。
(第2潤滑剤)
第2潤滑剤G2は、グリース(半固体状潤滑剤)であり、波動発生器4の軸受42内に配置(充填)されている。第2潤滑剤G2は、基油および増ちょう剤を含んで構成される。基油および増ちょう剤は、ぞれぞれ、前述した第1潤滑剤G1と同様の基油および増ちょう剤を用いることができる。また、第2潤滑剤G2は、酸化防止剤、極圧剤、防錆剤等の添加剤、また、黒鉛、硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑剤等を適宜含んでいてもよい。
第2潤滑剤G2は、前述した第1潤滑剤G1と同じであってもよいが、第1潤滑剤G1とは異なる潤滑性能を有することが好ましい。すなわち、歯車装置1は、波動発生器4に配置されていて第1潤滑剤G1とは異なる潤滑性能を有する第2潤滑剤G2を有することが好ましい。特に、第2潤滑剤G2のちょう度は、第1潤滑剤G1のちょう度よりも小さいことが好ましく、具体的には、200以上300以下の範囲内にあることが好ましく、220以上280以下の範囲内にあることがより好ましい。これにより、第2潤滑剤G2により波動発生器4に適した潤滑を行うことができる。特に、第2潤滑剤G2のちょう度を最適化(比較的小さく)することで、第2潤滑剤G2を波動発生器4に留まりやすくし、波動発生器4での潤滑不良を低減することができる。また、波動発生器4の軸受42に特殊なシール構造を設けなくても、第2潤滑剤G2が軸受42から漏れ出すことを低減可能なだけでなく、第1潤滑剤G1が軸受42に侵入するのを実質的に防ぐことができるという利点がある。
これに対し、第2潤滑剤G2のちょう度が小さすぎると、第2潤滑剤G2が硬くなり過ぎて、軸受42の回転抵抗が大きくなり、その結果、歯車装置1の駆動力の伝達効率が低下したり歯車装置1に生じる発熱が大きくなったりしやすくなる傾向を示す。一方、第2潤滑剤G2のちょう度が大きすぎると、第2潤滑剤G2が軟らかくなり過ぎて、軸受42でのグリース切れが発生しやすくなる傾向を示す。
ここで、前述したように、波動発生器4は、非円形状の外周面を有するカム41と、可撓性歯車3(外歯歯車)の内周面とカム41の外周面との間に配置されている軸受42と、を有し、第2潤滑剤G2は、軸受42に配置されている。これにより、波動発生器4の軸受42での潤滑不良を低減することができる。
また、例えば、第2潤滑剤G2中における増ちょう剤の含有量を前述した第1潤滑剤中における増ちょう剤の含有量よりも多くすることで、第2潤滑剤G2のちょう度を第1潤滑剤G1のちょう度よりも小さくすることができる。
また、第2潤滑剤G2の滴点は、200℃以上280℃以下の範囲内にあることが好ましく、230℃以上260℃以下の範囲内にあることがより好ましい。これにより、温度上昇による波動発生器4での潤滑不良を低減することができる。
これに対し、第2潤滑剤G2の滴点が小さすぎると、第2潤滑剤G2の温度上昇に伴う粘度低下が大きくなり、その結果、軸受42のグリース切れが発生しやすくなる傾向を示す。一方、第2潤滑剤G2の滴点が大きすぎると、第2潤滑剤G2が硬くなり過ぎて、軸受42の回転抵抗が大きくなり、その結果、歯車装置1の駆動力の伝達効率が低下したり歯車装置1に生じる発熱が大きくなったりしやすくなる傾向を示す。
以上のように、ロボット100が備える歯車ユニット10は、歯車装置1と、歯車装置1の少なくとも一部を覆っているケース5と、を備える。そして、歯車装置1は、内歯歯車である剛性歯車2と、剛性歯車2に部分的に噛み合う可撓性の外歯歯車である可撓性歯車3と、可撓性歯車3の内周面に接触し、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い位置を周方向に移動させる波動発生器4と、剛性歯車2と可撓性歯車3との間に配置されている第1潤滑剤G1と、を有する。剛性歯車2、可撓性歯車3および波動発生器4は、基台110(第1部材)と第1アーム120(第2部材)の一方から他方へ駆動力を伝達する駆動力伝達経路の途中(始点から終点までの間)に設けられている。ここで、剛性歯車2、可撓性歯車3および波動発生器4よりなる群から選択される2つの部材のうちの一方の部材が基台110(第1部材)に対して接続(固定)され、他方の部材が第1アーム120(第2部材)に対して接続されている。
特に、第1潤滑剤G1の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあり、かつ、第1潤滑剤G1のちょう度が300以上400以下の範囲内にある。
このようなロボット100(歯車ユニット10、歯車装置1)によれば、剛性歯車2と可撓性歯車3との間に配置されている第1潤滑剤G1が、そのちょう度が300以上400以下の範囲内にあることで、剛性歯車2と可撓性歯車3との噛み合い部に対して流入と流出とを繰り返すことができる。そのため、第1潤滑剤G1が当該噛み合い部に供給されている状態を長く維持することができ、当該噛み合い部における潤滑不良を低減することができる。
その上で、第1潤滑剤G1の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあることで、前述したような第1潤滑剤G1の流動性を実現しつつ、第1潤滑剤G1の熱導電性を高めることができる。
このような第1潤滑剤G1の流動性および熱伝導性の相乗効果により、当該噛み合い部および当該噛み合い部にある第1潤滑剤G1を効率的に放熱し、第1潤滑剤G1の温度上昇による潤滑性能の低下を低減することができる。その結果、歯車装置1の長寿命化を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る歯車ユニットを示す縦断面図である。
本実施形態は、外歯歯車の構成およびそれに伴うケースの構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図4において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図4に示す歯車ユニット10Bは、歯車装置1Bと、歯車装置1Bを収納しているケース5Bと、を有する。歯車装置1Bは、剛性歯車2の内側に配置されているハット型の外歯歯車である可撓性歯車3Bを有している。この可撓性歯車3Bは、筒状の胴部31の一端部に接続され軸線aとは反対側に突出しているフランジ部32B(接続部)を有する。フランジ部32Bには、図示しない出力軸が取り付けられている。
ケース5Bは、軸受13を介して軸201(例えば入力軸)を支持している略板状の蓋体11Bと、前述した可撓性歯車3Bのフランジ部32Bに取り付けられているクロスローラーベアリング18と、を有する。
ここで、蓋体11Bは、剛性歯車2の一方(図4中右側)の側面に対して例えばネジ止め等により固定されている。また、クロスローラーベアリング18は、内輪15と、外輪16と、これらの間に配置されている複数のコロ17と、を有する。そして、内輪15は、可撓性歯車3Bの胴部31の外周に沿って設けられ、剛性歯車2の他方(図4中左側)の側面に例えばネジ止め等により固定されている。一方、外輪16は、前述した可撓性歯車3Bのフランジ部32Bの胴部31側の面に例えばネジ止め等により固定されている。
また、蓋体11Bの内壁面111Bは、可撓性歯車3Bの開口部36を覆うように軸線aに直角な方向に拡がる形状をなしている。また、クロスローラーベアリング18の内輪15の内壁面151は、可撓性歯車3Bの胴部31の外周面に沿った形状をなしている。
このような歯車ユニット10Bにおいても、剛性歯車2と可撓性歯車3Bとの間に配置されている第1潤滑剤G1と、波動発生器4に配置されている第2潤滑剤G2と、を有する。そして、第1潤滑剤G1の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあり、かつ、第1潤滑剤G1のちょう度が300以上400以下の範囲内にある。これにより、剛性歯車2と可撓性歯車3Bとの噛み合い部および当該噛み合い部にある第1潤滑剤G1を効率的に放熱し、第1潤滑剤G1の温度上昇による潤滑性能の低下を低減することができる。その結果、歯車装置1Bの長寿命化を図ることができる。
以上、本発明のロボット、歯車装置および歯車ユニットを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
前述した実施形態では、ロボットが備える基台が「第1部材」、第1アームが「第2部材」であり、第1部材から第2部材へ駆動力を伝達する歯車装置について説明したが、本発明は、これに限定されず、第n(nは1以上の整数)アームが「第1部材」、第(n+1)アームが「第2部材」であり、第nアームおよび第(n+1)アームの一方から他方へ駆動力を伝達する歯車装置についても適用可能である。また、第2部材から第1部材へ駆動力を伝達する歯車装置についても適用可能である。
また、前述した実施形態では、6軸の垂直多関節ロボットについて説明したが、本発明のロボットは、これに限定されず、例えば、ロボットの関節数は任意であり、また、水平多関節ロボットにも適用可能である。
また、前述した実施形態では、歯車ユニットをロボットに組み込む場合を例に説明したが、本発明の歯車ユニットは、互いに回動する第1部材および第2部材の一方側から他方側へ駆動力を伝達する構成を有する各種機器に組み込んで用いることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
1.歯車装置(減速機)の製造
(実施例1)
図2に示すような構成の歯車装置を製造した。
ここで、製造した歯車装置は、内歯歯車の外径φ70、内歯歯車の内径および外歯歯車の外径(かみ合い基準円直径)φ53、減速比80であった。また、内歯歯車の構成材料として鋳鉄、外歯歯車の構成材料としてニッケルクロムモリブデン鋼を用いた。
また、第1潤滑剤として、基油、増ちょう剤としてのリチウム石けん、極圧剤としての有機モリブデン、伝熱性添加剤としてのカーボン粒子を含み、ちょう度400、熱伝導率0.3W/m・Kのグリースを用いた。また、第2潤滑剤として、基油、増ちょう剤としてのリチウム石けん、極圧剤としての有機モリブデンを含み、ちょう度240、滴点250℃のグリースを用いた。なお、ちょう度および滴点の測定は、JIS K2220に準拠して行った。また、熱伝導率の測定は、ISO 22007−2に規定されるホットディスク法に準拠して行った。
(実施例2〜12、比較例1、2)
第1潤滑剤および第2潤滑剤のちょう度、熱伝導率および滴点のうちの少なくとも1つを表1に示すように変更した以外は、前述した実施例1と同様にして歯車装置を製造した。
Figure 2018194034
2.評価
前述した1.で得られた各歯車装置について、入力軸回転数3000rpm、平均負荷トルク70Nmにて連続運転を行い、歯車装置が破損するまでの入力軸の総回転数を測定した。その結果を表1に併せて示す。
なお、表1中、「BA1」は、歯車装置の破損原因が波動発生器の軸受の摩耗であることを示し、「BA2」は、歯車装置の破損原因が波動発生器の軸受のボールの焼き付きによる破損であることを示し、「G」は、歯車装置のケースの外部への第1潤滑剤の漏れ出しによる潤滑不足であることを示し、「FS」は、歯車装置の破損原因が潤滑不足による外歯歯車の破損であることを示す。
表1から明らかなように、各実施例は、各比較例に比べて、寿命が格段に長くなっていることがわかる。
1…歯車装置、1B…歯車装置、2…剛性歯車(内歯歯車)、3…可撓性歯車(外歯歯車)、3B…可撓性歯車(外歯歯車)、4…波動発生器、5…ケース、5B…ケース、10…歯車ユニット、10B…歯車ユニット、11…蓋体、11B…蓋体、12…本体、13…軸受、14…軸受、15…内輪、16…外輪、17…コロ、18…クロスローラーベアリング、23…内歯、31…胴部、32…底部、32B…フランジ部、33…外歯、36…開口部、41…カム、42…軸受、100…ロボット、110…基台(第1部材)、111…内壁面、111B…内壁面、120…第1アーム(第2部材)、121…内壁面、130…第2アーム、140…作業ヘッド、141…スプラインシャフト、150…エンドエフェクター、151…内壁面、160…部、170…モーター、190…制御装置、201…軸、202…軸、411…軸部、412…カム部、421…内輪、422…ボール、423…外輪、G1…第1潤滑剤、G2…第2潤滑剤、J1…第1軸、J2…第2軸、J3…軸、La…長軸、Lb…短軸、a…軸線

Claims (7)

  1. 第1部材と、
    前記第1部材に対して回動可能に設けられている第2部材と、
    前記第1部材および前記第2部材の一方側から他方側へ駆動力を伝達する歯車装置と、を備え、
    前記歯車装置は、
    内歯歯車と、
    前記内歯歯車に部分的に噛み合う可撓性の外歯歯車と、
    前記外歯歯車の内周面に接触し、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を周方向に移動させる波動発生器と、
    前記内歯歯車と前記外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤と、を有し、
    前記内歯歯車、前記外歯歯車および前記波動発生器よりなる群から選択される2つの部材のうちの一方の部材が前記第1部材に対して接続され、他方の部材が前記第2部材に対して接続され、
    前記第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあり、
    前記第1潤滑剤のちょう度が300以上400以下の範囲内にあることを特徴とするロボット。
  2. 前記歯車装置は、前記波動発生器に配置されていて前記第1潤滑剤よりもちょう度が小さい第2潤滑剤を有し、
    前記第2潤滑剤のちょう度が200以上300以下の範囲内にある請求項1に記載のロボット。
  3. 前記波動発生器は、
    非円形状の外周面を有するカムと、
    前記外歯歯車の内周面と前記カムの外周面との間に配置されている軸受と、を有し、
    前記第2潤滑剤は、前記軸受に配置されている請求項2に記載のロボット。
  4. 前記第2潤滑剤の滴点は、200℃以上280℃以下の範囲内にある請求項2または3に記載のロボット。
  5. 前記第1潤滑剤は、炭素材料、金属材料およびセラミックス材料のうちの少なくとも1種で構成されている伝熱性添加剤を含有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボット。
  6. 内歯歯車と、
    前記内歯歯車に部分的に噛み合う可撓性の外歯歯車と、
    前記外歯歯車の内周面に接触し、前記内歯歯車と前記外歯歯車との噛み合い位置を周方向に移動させる波動発生器と、
    前記内歯歯車と前記外歯歯車との間に配置されている第1潤滑剤と、を有し、
    前記第1潤滑剤の熱伝導率が0.3W/m・K以上1.5W/m・K以下の範囲内にあり、
    前記第1潤滑剤のちょう度が300以上400以下の範囲内にあることを特徴とする歯車装置。
  7. 請求項6に記載の歯車装置と、
    前記歯車装置の少なくとも一部を覆っているケースと、を備えることを特徴とする歯車ユニット。
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