JP2005127483A - 減速機とそれを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車とを備え、これまでよりも低トルク化された減速機と、かかる減速機を用いた、ハンドル戻り性や動力伝達効率に優れた電動パワーステアリング装置とを提供する。
【解決手段】 減速機50は、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車11と大歯車12の噛み合い部分を含む領域に、基油とソルビタン脂肪酸エステルとを含む潤滑剤組成物を充てんした。電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータMの出力を、上記の減速機50を介して減速して舵取機構に伝える。
【選択図】 図1
【解決手段】 減速機50は、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車11と大歯車12の噛み合い部分を含む領域に、基油とソルビタン脂肪酸エステルとを含む潤滑剤組成物を充てんした。電動パワーステアリング装置は、操舵補助用の電動モータMの出力を、上記の減速機50を介して減速して舵取機構に伝える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車とを備えた減速機と、かかる減速機を備えた電動パワーステアリング装置とに関するものである。
自動車用の電動パワーステアリング装置には減速機が用いられる。例えばコラム型EPSでは、電動モータの回転を、減速機において、ウォーム等の小歯車からウォームホイール等の大歯車に伝えることで減速するとともに出力を増幅したのち、コラムに付与することで、ステアリング操作をトルクアシストしている。近年、電動パワーステアリング装置においては、歯打ち音の低減による低騒音化や軽量化、摺動抵抗の低減等を考慮して、減速機の、小歯車と大歯車のうちの一方、より好ましくは大歯車を樹脂化することが一般化しつつある(特許文献1参照)。
特開2002−54695号公報(第0002欄)
減速機には、ハンドル戻り性の向上や動力伝達効率の向上などを目的として低トルク化が求められる。また減速機の低トルク化を実現するためには、摩擦面としての、大歯車と小歯車の歯面間の潤滑に寄与するグリースや潤滑油などの潤滑剤組成物の役割が重要であり、できるだけ広い温度範囲で、摩擦の低減に安定した効果を発揮し得る潤滑剤組成物を用いることが必要である。
本発明の目的は、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車とを備え、これまでよりも低トルク化された減速機と、かかる減速機を用いた、ハンドル戻り性や動力伝達効率に優れた電動パワーステアリング装置とを提供することにある。
上記課題を解決するための、本発明の減速機は、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車とを備え、両歯車の噛み合い部分を含む領域に、基油とソルビタン脂肪酸エステルとを含む潤滑剤組成物を充てんしたことを特徴とするものである。
かかる構成では、潤滑剤組成物にソルビタン脂肪酸エステルを添加することによって、当該潤滑剤組成物の、一方を樹脂、他方を金属にて形成した大歯車および小歯車の歯面などへの付着性やぬれ性を向上して、摩擦面である大歯車と小歯車の歯面間の隙間に、潤滑剤組成物によって、広い温度範囲で、摩擦の低減に寄与する安定な油膜を常時、形成することができる。このため本発明によれば、歯面間での油切れによるトルクの上昇を防止して、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車とを備えた減速機をこれまでよりもさらに低トルク化することが可能となる。
かかる構成では、潤滑剤組成物にソルビタン脂肪酸エステルを添加することによって、当該潤滑剤組成物の、一方を樹脂、他方を金属にて形成した大歯車および小歯車の歯面などへの付着性やぬれ性を向上して、摩擦面である大歯車と小歯車の歯面間の隙間に、潤滑剤組成物によって、広い温度範囲で、摩擦の低減に寄与する安定な油膜を常時、形成することができる。このため本発明によれば、歯面間での油切れによるトルクの上昇を防止して、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車とを備えた減速機をこれまでよりもさらに低トルク化することが可能となる。
潤滑剤組成物に添加するソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノオレエートを用いるのが好ましい。またソルビタン脂肪酸エステルの添加量は、潤滑剤組成物の総量中の0.1〜25重量%とするのが好ましい。さらに潤滑剤組成物の基油としては、合成炭化水素油を用いるのが好ましい。
また本発明の電動パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータの出力を、上記減速機を介して減速して舵取機構に伝えることを特徴としており、ハンドル戻り性や動力伝達効率をこれまでよりも向上できる点で好ましい。
また本発明の電動パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータの出力を、上記減速機を介して減速して舵取機構に伝えることを特徴としており、ハンドル戻り性や動力伝達効率をこれまでよりも向上できる点で好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
〈潤滑剤組成物〉
本発明の減速機において、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車の噛み合い部分を含む領域に充てんする潤滑剤組成物は、前記のように基油とソルビタン脂肪酸エステルとを含むものである。このうちソルビタン脂肪酸エステルとしては、多価アルコールとしてのソルビタンと脂肪酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステルなどを挙げることができる。また脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸などの、炭素数8〜30程度の脂肪酸を挙げることができる。
〈潤滑剤組成物〉
本発明の減速機において、一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車の噛み合い部分を含む領域に充てんする潤滑剤組成物は、前記のように基油とソルビタン脂肪酸エステルとを含むものである。このうちソルビタン脂肪酸エステルとしては、多価アルコールとしてのソルビタンと脂肪酸とのモノエステル、ジエステル、トリエステルなどを挙げることができる。また脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸などの、炭素数8〜30程度の脂肪酸を挙げることができる。
かかるソルビタン脂肪酸エステルの具体的化合物としては、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジベヘネートなどを挙げることができる。中でも特に、前述した潤滑剤組成物の、一方を樹脂、他方を金属にて形成した大歯車および小歯車の歯面などへの付着性やぬれ性を向上する効果に優れたソルビタンモノオレエートが好ましい。
ソルビタン脂肪酸エステルの添加量は、潤滑剤組成物の総量中の0.1〜25重量%とするのが好ましい。添加量が0.1重量%未満では、ソルビタン脂肪酸エステルを添加したことによる、潤滑剤組成物の、歯面などへの付着性やぬれ性を向上する効果が十分に得られないため、減速機を十分に低トルク化できないおそれがある。
また添加量が25重量%を超えても、添加に見合う十分な低トルク化の効果が得られないだけでなく、過剰のソルビタン脂肪酸エステルが基油に溶けきらずに析出して、潤滑剤組成物の流動性を低下させる結果、摩擦面である大歯車と小歯車の歯面間の隙間に安定な油膜を形成できなくなって、却って減速機を低トルク化できないおそれがある。またソルビタン脂肪酸エステルは微弱ながら樹脂への攻撃性を有しているため、潤滑剤組成物中に過剰に添加した場合には、樹脂製の歯車が、そのあらかじめ設定した寿命以前に急速に摩耗したり破損したりするおそれもある。
また添加量が25重量%を超えても、添加に見合う十分な低トルク化の効果が得られないだけでなく、過剰のソルビタン脂肪酸エステルが基油に溶けきらずに析出して、潤滑剤組成物の流動性を低下させる結果、摩擦面である大歯車と小歯車の歯面間の隙間に安定な油膜を形成できなくなって、却って減速機を低トルク化できないおそれがある。またソルビタン脂肪酸エステルは微弱ながら樹脂への攻撃性を有しているため、潤滑剤組成物中に過剰に添加した場合には、樹脂製の歯車が、そのあらかじめ設定した寿命以前に急速に摩耗したり破損したりするおそれもある。
なお減速機を低トルク化する効果をさらに向上することを考慮すると、ソルビタン脂肪酸エステルの添加量は、上記の範囲内でも特に5重量%以上であるのが好ましく、7重量%以上であるのがさらに好ましい。また減速機を低トルク化する効果を維持しつつ、樹脂製の歯車が早期に摩耗したり、破損したりするのを防止することを考慮すると、ソルビタン脂肪酸エステルの添加量は、上記の範囲内でも特に15重量%以下であるのが好ましく、13重量%以下であるのがさらに好ましい。
上記ソルビタン脂肪酸エステルを添加する潤滑剤組成物は、液状の潤滑油と半固体状のグリースのいずれでも良い。このうち潤滑油は、任意の基油に所定量のソルビタン脂肪酸エステルを添加して構成される。基油としてはエステル系合成油、合成炭化水素油、ポリグリコール系合成油、シリコーン系合成油、ふっ素系合成油等の合成油や鉱油など、種々の基油を用いることができるが、特にポリαオレフィン油、ポリブテン油などの合成炭化水素油が好ましい。
合成炭化水素油は、エステル系合成油などに比べて樹脂への攻撃性が小さいため、樹脂製の歯車が早期に摩耗したり破損したりするのを防止する効果の点で優れているとともに、鉱油などに比べて広い温度範囲で安定した潤滑を維持できる上、ポリグリコール系合成油やシリコーン系合成油などに比べて潤滑性能に優れており、しかもふっ素系合成油に比べて安価であるという利点を有している。
基油の動粘度は5〜200mm2/s(40℃)、とくに20〜100mm2/s(40℃)とするのが、減速機に使用する上で好ましい。また潤滑油には、必要に応じて固体潤滑剤(二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE等)、リン系や硫黄系の極圧添加剤、トリブチルフェノール、メチルフェノール等の酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、油性剤などを添加してもよい。
またグリースは、これも任意の基油に所定量のソルビタン脂肪酸エステルと、増ちょう剤とを添加して構成される。基油としては前述した種々の合成油や鉱油が使用可能であるが、やはり前記と同様の理由でポリαオレフィン油、ポリブテン油などの合成炭化水素油が好ましい。基油の動粘度は、やはり5〜200mm2/s(40℃)、とくに20〜100mm2/s(40℃)とするのが、減速機に使用する上で好ましい。
また増ちょう剤としては、従来公知の種々の増ちょう剤(石けん系、非石けん系)が使用できる。さらにグリースには、やはり必要に応じて固体潤滑剤(二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE等)、リン系や硫黄系の極圧添加剤、トリブチルフェノール、メチルフェノール等の酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、油性剤などを添加してもよい。グリースのちょう度は、NLGI(National Lubricating Grease Institute)番号で表してNo.3〜No.000、とくにNo.2〜No.00、日本工業規格JIS K2220 5.3で規定した混和ちょう度で表して220〜475、とくに265〜430とするのが、減速機に使用する上で好ましい。
〈減速機および電動パワーステアリング装置〉
図1は、本発明の一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の概略断面図である。また図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
図1を参照して、この例の電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイール1を取り付けている入力軸としての第1の操舵軸2と、ラックアンドピニオン機構等の舵取機構(図示せず)に連結される出力軸としての第2の操舵軸3とがトーションバー4を介して同軸的に連結されている。
図1は、本発明の一実施形態にかかる電動パワーステアリング装置の概略断面図である。また図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
図1を参照して、この例の電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイール1を取り付けている入力軸としての第1の操舵軸2と、ラックアンドピニオン機構等の舵取機構(図示せず)に連結される出力軸としての第2の操舵軸3とがトーションバー4を介して同軸的に連結されている。
第1および第2の操舵軸2、3を支持するハウジング5は、例えばアルミニウム合金からなり、車体(図示せず)に取り付けられている。ハウジング5は、互いに嵌め合わされるセンサハウジング6とギヤハウジング7により構成されている。具体的には、ギヤハウジング7は筒状をなし、その上端の環状縁部7aがセンサハウジング6の下端外周の環状段部6aに嵌め合わされている。ギヤハウジング7は減速機構としてのウォームギヤ機構8を収容し、センサハウジング6はトルクセンサ9および制御基板10等を収容している。ギヤハウジング7にウォームギヤ機構8を収容することで減速機50が構成されている。
ウォームギヤ機構8は、第2の操舵軸3の軸方向中間部に一体回転可能でかつ軸方向移動を規制されたウォームホイール12と、このウォームホイール12と噛み合い、かつ電動モータMの回転軸32に、スプライン継手33を介して連結されるウォーム軸11(図2参照)とを備える。
このうちウォームホイール12は、第2の操舵軸3に一体回転可能に結合される環状の芯金12aと、芯金12aの周囲を取り囲んで外周面部に歯を形成する樹脂部材12bとを備えている。芯金12aは、例えば樹脂部材12bの樹脂成形時に金型内にインサートされる。そしてこのインサートした状態での樹脂成形によって、芯金12aと樹脂部材12bとが結合、一体化される。
このうちウォームホイール12は、第2の操舵軸3に一体回転可能に結合される環状の芯金12aと、芯金12aの周囲を取り囲んで外周面部に歯を形成する樹脂部材12bとを備えている。芯金12aは、例えば樹脂部材12bの樹脂成形時に金型内にインサートされる。そしてこのインサートした状態での樹脂成形によって、芯金12aと樹脂部材12bとが結合、一体化される。
樹脂部材12bを形成する樹脂としては、減速機の歯車用として従来公知の種々の樹脂を使用することができる。かかる樹脂としては、例えばPA6、PA66、PA46、PA12、PA11、PA612、PA610、PA6T、PA9T、MC(モノマーキャスティング)ナイロンなどのポリアミド樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリアセタール(POM)などを挙げることができる。
第2の操舵軸3は、ウォームホイール12を軸方向の上下に挟んで配置される第1および第2の転がり軸受13、14により回転自在に支持されている。
第1の転がり軸受13の外輪15は、センサハウジング6の下端の筒状突起6b内に設けられた軸受保持孔16に嵌め入れられて保持されている。また外輪15の上端面は環状の段部17に当接しており、センサハウジング6に対する軸方向上方への移動が規制されている。
第1の転がり軸受13の外輪15は、センサハウジング6の下端の筒状突起6b内に設けられた軸受保持孔16に嵌め入れられて保持されている。また外輪15の上端面は環状の段部17に当接しており、センサハウジング6に対する軸方向上方への移動が規制されている。
一方、第1の転がり軸受13の内輪18は、第2の操舵軸3に締まりばめにより嵌め合わされている。また内輪18の下端面は、ウォームホイール12の芯金12aの上端面に当接している。
第2の転がり軸受14の外輪19は、ギヤハウジング7の軸受保持孔20に嵌め入れられて保持されている。また外輪19の下端面は、環状の段部21に当接し、ギヤハウジング7に対する軸方向下方への移動が規制されている。
第2の転がり軸受14の外輪19は、ギヤハウジング7の軸受保持孔20に嵌め入れられて保持されている。また外輪19の下端面は、環状の段部21に当接し、ギヤハウジング7に対する軸方向下方への移動が規制されている。
一方、第2の転がり軸受14の内輪22は、第2の操舵軸3に一体回転可能で、かつ軸方向の相対移動を規制されて取り付けられている。また内輪22は、第2の操舵軸3の段部23と、第2の操舵軸3のねじ部に締め込まれるナット24との間に挟持されている。
トーションバー4は、第1および第2の操舵軸2、3を貫通している。トーションバー4の上端4aは、連結ピン25により第1の操舵軸2と一体回転可能に連結され、下端4bは、連結ピン26により第2の操舵軸3と一体回転可能に連結されている。第2の操舵軸3の下端は、図示しない中間軸を介して、前記のようにラックアンドピニオン機構等の舵取機構に連結されている。
トーションバー4は、第1および第2の操舵軸2、3を貫通している。トーションバー4の上端4aは、連結ピン25により第1の操舵軸2と一体回転可能に連結され、下端4bは、連結ピン26により第2の操舵軸3と一体回転可能に連結されている。第2の操舵軸3の下端は、図示しない中間軸を介して、前記のようにラックアンドピニオン機構等の舵取機構に連結されている。
連結ピン25は、第1の操舵軸2と同軸に配置される第3の操舵軸27を、第1の操舵軸2と一体回転可能に連結している。第3の操舵軸27はステアリングコラムを構成するチューブ28内を貫通している。
第1の操舵軸2の上部は、例えば針状ころ軸受からなる第3の転がり軸受29を介してセンサハウジング6に回転自在に支持されている。第1の操舵軸2の下部の縮径部30と第2の操舵軸3の上部の孔31とは、第1および第2の操舵軸2、3の相対回転を所定の範囲に規制するように、回転方向に所定の遊びを設けて嵌め合わされている。
第1の操舵軸2の上部は、例えば針状ころ軸受からなる第3の転がり軸受29を介してセンサハウジング6に回転自在に支持されている。第1の操舵軸2の下部の縮径部30と第2の操舵軸3の上部の孔31とは、第1および第2の操舵軸2、3の相対回転を所定の範囲に規制するように、回転方向に所定の遊びを設けて嵌め合わされている。
次いで図2を参照して、ウォーム軸11は、ギヤハウジング7により保持される第4および第5の転がり軸受34、35によりそれぞれ回転自在に支持されている。
第4および第5の転がり軸受34、35の内輪36、37は、ウォーム軸11の対応するくびれ部に嵌合されている。また外輪38、39は、ギヤハウジング7の軸受保持孔40、41にそれぞれ保持されている。
第4および第5の転がり軸受34、35の内輪36、37は、ウォーム軸11の対応するくびれ部に嵌合されている。また外輪38、39は、ギヤハウジング7の軸受保持孔40、41にそれぞれ保持されている。
ギヤハウジング7は、ウォーム軸11の周面の一部に対して径方向に対向する部分7bを含んでいる。
また、ウォーム軸11の一端部11aを支持する第4の転がり軸受34の外輪38は、ギヤハウジング7の段部42に当接して位置決めされている。一方、内輪36は、ウォーム軸11の位置決め段部43に当接することによって他端部11b側への移動が規制されている。
また、ウォーム軸11の一端部11aを支持する第4の転がり軸受34の外輪38は、ギヤハウジング7の段部42に当接して位置決めされている。一方、内輪36は、ウォーム軸11の位置決め段部43に当接することによって他端部11b側への移動が規制されている。
またウォーム軸11の他端部11b(継手側端部)の近傍を支持する第5の転がり軸受35の内輪37は、ウォーム軸11の位置決め段部44に当接することによって一端部11a側への移動が規制されている。また外輪39は、予圧調整用のねじ部材45により、第4の転がり軸受34側へ付勢されている。ねじ部材45は、ギヤハウジング7に形成されるねじ孔46にねじ込まれることにより、一対の転がり軸受34、35に予圧を付与すると共に、ウォーム軸11を軸方向に位置決めしている。47は、予圧調整後のねじ部材45を止定するため、当該ねじ部材45に係合されるロックナットである。
ギヤハウジング7内において、ウォーム軸11とウォームホイール12の噛み合い部分Aを少なくとも含む領域には、先に述べたソルビタン脂肪酸エステルを含む潤滑剤組成物を充てんする。すなわち潤滑剤組成物は、噛み合い部分Aのみに充てんしても良いし、噛み合い部分Aとウォーム軸11の周縁全体に充てんしても良いし、ギヤハウジング7内全体に充てんしても良い。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば本発明の減速機の構成を、電動パワーステアリング装置以外の装置用の減速機に適用することができる等、本発明の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で、種々の変更を施すことができる。
以下に本発明を、実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
実施例1
基油としてのポリαオレフィン油〔動粘度47.1mm2/s(40℃)〕に、ソルビタン脂肪酸エステルとしてのソルビタンモノオレエートを添加して実施例1の潤滑油を構成した。ソルビタンモノオレエートの添加量は、潤滑油の総量中の5重量%とした。
実施例1
基油としてのポリαオレフィン油〔動粘度47.1mm2/s(40℃)〕に、ソルビタン脂肪酸エステルとしてのソルビタンモノオレエートを添加して実施例1の潤滑油を構成した。ソルビタンモノオレエートの添加量は、潤滑油の総量中の5重量%とした。
比較例1
実施例1で使用したのと同じポリαオレフィン油を、ソルビタンモノオレエートを添加せずに単独で、比較例1の潤滑油とした。
上記実施例1、比較例1の潤滑油の潤滑性能を、図3に示すピン・オン・ディスク型摩擦試験機を用いて評価した。図の装置は、それぞれ潤滑性能を評価したい2種の材料にて形成した上部ピンPNと下部プレートPLとを、図中に白矢印で示すように上部ピンPNに荷重をかけて当接させた状態で、回転軸AXを中心として下部プレートPLを図中に実線の矢印で示す方向に回転させた際に、上部ピンPNに、図中に黒矢印で示す方向に加わる荷重を、ロードセルなどを用いて測定して、その測定結果から摩擦係数を求めるものである。
実施例1で使用したのと同じポリαオレフィン油を、ソルビタンモノオレエートを添加せずに単独で、比較例1の潤滑油とした。
上記実施例1、比較例1の潤滑油の潤滑性能を、図3に示すピン・オン・ディスク型摩擦試験機を用いて評価した。図の装置は、それぞれ潤滑性能を評価したい2種の材料にて形成した上部ピンPNと下部プレートPLとを、図中に白矢印で示すように上部ピンPNに荷重をかけて当接させた状態で、回転軸AXを中心として下部プレートPLを図中に実線の矢印で示す方向に回転させた際に、上部ピンPNに、図中に黒矢印で示す方向に加わる荷重を、ロードセルなどを用いて測定して、その測定結果から摩擦係数を求めるものである。
この例では、金属製のウォームと樹脂製のウォームホイールとの組み合わせにおける潤滑油の潤滑性能を評価すべく、上部ピンPNを、一般的なウォームの形成材料である軸受鋼SUJ2にて、下部プレートPLに当接させる先端を半径5mmの球面に形成し、下部プレートPLを、一般的なウォームホイールの形成材料であるMCナイロンにて形成した。上部ピンPNの、下部プレートPLに当接させる先端は中心線平均粗さRa=0.2μmに仕上げた。また下部プレートPLの、上部ピンPNを当接させる表面は中心線平均粗さRa=0.2μmに仕上げた。
そして下部プレートPL上に実施例1、または比較例1の潤滑油を塗布した状態で、温度25℃で、上部ピンPNに9.8Nの荷重をかけながら、当該上部ピンPNと下部プレートPLとの滑り速度が1mm/秒となるように下部プレートPLを回転させながら、図中に黒矢印で示す方向に加わる荷重を、ロードセルを用いて測定して摩擦係数を求めた。
結果を表1に示す。なお表では、比較例1における摩擦係数を1としたときの、摩擦係数の相対値を示している。
結果を表1に示す。なお表では、比較例1における摩擦係数を1としたときの、摩擦係数の相対値を示している。
表より、ソルビタン脂肪酸エステルとしてのソルビタンモノオレエートを添加することによって摩擦係数をおよそ25.5%低減して、潤滑油の潤滑性能を向上できることがわかった。
実施例2〜7
基油としてのポリαオレフィン油〔動粘度48.0mm2/s(40℃)〕に、ウレア系増ちょう剤と、ソルビタン脂肪酸エステルとしてのソルビタンモノオレエートとを添加して実施例2〜7のグリースを構成した。上記化合物の添加量は、グリースの総量中の1重量%(実施例2)、5重量%(実施例3)、10重量%(実施例4)、15重量%(実施例5)、20重量%(実施例6)および25重量%(実施例7)とした。
実施例2〜7
基油としてのポリαオレフィン油〔動粘度48.0mm2/s(40℃)〕に、ウレア系増ちょう剤と、ソルビタン脂肪酸エステルとしてのソルビタンモノオレエートとを添加して実施例2〜7のグリースを構成した。上記化合物の添加量は、グリースの総量中の1重量%(実施例2)、5重量%(実施例3)、10重量%(実施例4)、15重量%(実施例5)、20重量%(実施例6)および25重量%(実施例7)とした。
比較例2
上記化合物を添加しなかったこと以外は実施例2〜7と同様にして、比較例2のグリースを構成した。
上記実施例2〜7、比較例2のグリースの潤滑性能を、前記と同じピン・オン・ディスク型摩擦試験機を用いて評価した。
上記化合物を添加しなかったこと以外は実施例2〜7と同様にして、比較例2のグリースを構成した。
上記実施例2〜7、比較例2のグリースの潤滑性能を、前記と同じピン・オン・ディスク型摩擦試験機を用いて評価した。
結果を表2、図4に示す。なお表および図では、比較例2における摩擦係数を1としたときの、摩擦係数の相対値を示している。また表には、各グリースの混和ちょう度も併記した。
表および図より、ソルビタン脂肪酸エステルとしてのソルビタンモノオレエートを0.1〜25重量%の範囲で添加することによって摩擦係数を低減して、グリースの潤滑性能を向上できることがわかった。また実施例2〜7の結果より、ソルビタンモノオレエートの添加量は5重量%以上、特に7重量%以上であるのが好ましいことがわかった。さらに実施例2〜7の結果より、ソルビタンモノオレエートの添加量は15重量%以下、特に13重量%以下であるのが好ましいこともわかった。
11 ウォーム軸(小歯車)
12 ウォームホイール(大歯車)
50 減速機
M 電動モータ
12 ウォームホイール(大歯車)
50 減速機
M 電動モータ
Claims (5)
- 一方を樹脂、他方を金属にて形成した小歯車と大歯車とを備え、両歯車の噛み合い部分を含む領域に、基油とソルビタン脂肪酸エステルとを含む潤滑剤組成物を充てんしたことを特徴とする減速機。
- ソルビタン脂肪酸エステルとして、ソルビタンモノオレエートを用いた潤滑剤組成物を充てんした請求項1記載の減速機。
- ソルビタン脂肪酸エステルの添加量を、潤滑剤組成物の総量中の0.1〜25重量%とした潤滑剤組成物を充てんした請求項1記載の減速機。
- 基油として、合成炭化水素油を用いた潤滑剤組成物を充てんした請求項1記載の減速機。
- 操舵補助用の電動モータの出力を、請求項1ないし4のいずれかに記載の減速機を介して減速して舵取機構に伝えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003366426A JP2005127483A (ja) | 2003-10-27 | 2003-10-27 | 減速機とそれを用いた電動パワーステアリング装置 |
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Family Applications (1)
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-
2003
- 2003-10-27 JP JP2003366426A patent/JP2005127483A/ja active Pending
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