以下に、本開示の実施の形態に係る電力変換装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの開示が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置100の構成例を示す第1の図である。電力変換装置100は、交流電源1および負荷12に接続される。交流電源1は、電力変換装置100に交流電力を供給する。交流電源1は、一般的な商用電源であるが、これに限定されない。図1に示す交流電源1の電源電圧Vsの矢印の方向を正極とする。負荷12は、例えば、圧縮機、ファンなどを駆動するモータ、またはモータを駆動するインバータなどであるが、これらに限定されない。電力変換装置100は、交流電源1から出力される交流電力を直流電力に変換し、負荷12に出力する。以降の説明において、負荷12を第1の負荷と称することがある。
電力変換装置100の構成について説明する。電力変換装置100は、電源遮断用スイッチ2と、電流検出部3と、電力貯蓄用リアクトル4と、電流検出部5と、整流回路10と、コンデンサ11と、制御部13と、並列負荷接続部14と、スイッチ15と、負荷18と、を備える。
電源遮断用スイッチ2は、交流電源1と電流検出部3との間において、電源オンオフ切替用途、および過電流時に強制遮断する用途の交流電源1の遮断用スイッチ、すなわちブレーカーである。
電流検出部3は、過電流による交流電源1および電源遮断用スイッチ2の故障を防ぐため、電源遮断用スイッチ2の後段に設置されている。具体的には、電流検出部3は、電源遮断用スイッチ2と並列負荷接続部14との間に設置されている。電流検出部3は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されている場合は整流回路10に流れる整流回路側電流Irおよび負荷18に流れる負荷側電流Ilの合計電流である一次電流Isの電流値を検出する。電流検出部3は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されていない場合は整流回路10に流れる整流回路側電流Irである一次電流Isの電流値を検出する。一次電流Is、整流回路側電流Ir、および負荷側電流Ilについては、図1に示す矢印の方向を正方向とする。電流検出部3は、例えば、カレントトランス、シャント抵抗などの電流検出素子、および電流検出素子で検出された一次電流Isの電流値を制御部13が取り扱い可能な範囲内の電圧に変換して出力する増幅器によって構成されるが、電流検出部3の構成はこれに限定されない。以降の説明において、電流検出部3を第1の電流検出部と称することがある。
電力貯蓄用リアクトル4は、力率改善を行うために挿入しており、電力貯蓄用リアクトル4を挿入することで交流電源1から出力される一次電流Isの通流期間を延ばすことで力率改善を行うことが可能となる。また、電力貯蓄用リアクトル4を交流電源1に対して短絡するスイッチングを行うことで更なる力率改善、および整流回路10の出力電圧(直流電圧)を昇圧することも可能である。図1の例では、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14と電流検出部5との間に配置されている。
電流検出部5は、並列負荷接続部14と整流回路10との間に設置されている。電流検出部5は、整流回路10に流れる整流回路側電流Irの電流値を検出する。電流検出部5は、例えば、カレントトランス、シャント抵抗などの電流検出素子、および電流検出素子で検出された整流回路側電流Irの電流値を制御部13が取り扱い可能な範囲内の電圧に変換して出力する増幅器によって構成されるが、電流検出部5の構成はこれに限定されない。以降の説明において、電流検出部5を第2の電流検出部と称することがある。
整流回路10は、スイッチング素子S1〜S4を備える。スイッチング素子S1〜S4は、例えば、MOSFETなどの半導体スイッチ6〜9である。以降では、半導体スイッチ6〜9がMOSFETである場合を例にして説明する。半導体スイッチ6〜9には各々ダイオード6a〜9aが接続されているが、ダイオード6a〜9aは、MOSFETに存在する寄生ダイオードであってもよいし、別途接続されるダイオードであってもよい。スイッチング素子S1〜S4のオンオフは、制御部13によって制御される。整流回路10は、スイッチング素子S1〜S4を用いて電力変換を行う。具体的には、整流回路10は、交流電源1から出力される交流電力を整流し、整流後の直流電力を、コンデンサ11を介して負荷12に出力する。整流回路10は、制御部13からの制御が無い場合などスイッチング素子S1〜S4が全てオフの状態では、ダイオード6a〜9aによってブリッジ整流器の構成となる。整流回路10では、ダイオード6a〜9aに電流が流れる場合、ダイオード6a〜9aの順方向損失およびリカバリー損失によって変換効率が低下することになる。整流回路10において、交流電力が入力される入力側の端子を入力端子10A,10Bとし、直流電力が出力される出力側の端子を出力端子10C,10Dとする。入力端子10Aには、半導体スイッチ6のソースおよび半導体スイッチ7のドレインが接続されている。入力端子10Bには、半導体スイッチ8のソースおよび半導体スイッチ9のドレインが接続されている。また、正側の出力端子10Cには、半導体スイッチ6のドレインおよび半導体スイッチ8のドレインが接続されている。負側の出力端子10Dには、半導体スイッチ7のソースおよび半導体スイッチ9のソースが接続されている。
ここで、スイッチング素子S1〜S4には、シリコンを用いた半導体素子を始め、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などを代表としたワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子が用いられる。また、スイッチング素子S1〜S4としては、MOSFETの他に、スーパージャンクションMOSFETなどが用いられる。ダイオード6a〜9aについても、シリコン、炭化珪素(SiC)などの材料が用いられる。ダイオード6a〜9aには、通常の整流ダイオード、リカバリー特性の良いファストリカバリ品、ショットキーバリアダイオードなどが用いられる。
コンデンサ11は、整流回路10による電力変換後の直流電力の電圧を平滑化するためのコンデンサである。コンデンサ11は、例えば、電界コンデンサである。コンデンサ11の両端には、負荷12が接続されている。コンデンサ11は、直流電圧Voutの直流電力を負荷12へ供給する。
制御部13は、電流検出部3で検出された一次電流Isの電流値、または電流検出部5で検出された整流回路側電流Irの電流値に基づいて、整流回路10が備えるスイッチング素子S1〜S4の動作を制御する。本実施の形態では、制御部13は、交流電源1の電源電圧Vsの極性に基づいて整流回路10のスイッチング素子S2,S4のオンオフを制御し、整流回路側電流Irの電流値、すなわち電流検出部3の電流値または電流検出部5の電流値に基づいて整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。また、制御部13は、スイッチ15のオンオフを制御する。すなわち、制御部13は、並列負荷接続部14と負荷18とが接続可能な場合は並列負荷接続部14と負荷18との接続を、スイッチ15をオンオフすることによって制御することができる。制御部13は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出された電流値に基づいてスイッチング素子S1,S3の動作を制御する。制御部13は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されている場合、電流検出部5で検出された電流値に基づいてスイッチング素子S1,S3の動作を制御する。なお、図1に示す電力変換装置100では、制御部13が整流回路10を直接制御しているが、一例であり、これに限定されない。電力変換装置100は、整流回路10を駆動するための駆動部を備えていてもよい。この場合、制御部13は、制御信号を生成して駆動部に出力する。駆動部は、制御部13から取得した制御信号に基づいて、駆動信号を生成して出力する。
並列負荷接続部14は、交流電源1と整流回路10との間において、整流回路10と並列に、スイッチ15を介して負荷18を接続可能な接続部である。並列負荷接続部14は、例えば、電力変換装置100が実装される基板において、スイッチ15を介して負荷18と接続可能なように設けられたパターン、コネクタなどである。
スイッチ15は、整流回路10に対して並列に負荷18を接続させるか否かを制御するためのスイッチである。スイッチ15は、並列負荷接続部14と負荷18との間において、制御部13によってオンオフの切り替えが可能なスイッチである。本実施の形態において、スイッチ15は、電子制御式のスイッチを想定しており、例えば、リレーである。
負荷18は、インダクタンス成分16および抵抗成分17を備える。負荷18は、例えば、電力変換装置100に対してオプションとして接続可能な部品である。負荷18は、スイッチ15を介して並列負荷接続部14に接続される。電力変換装置100において、スイッチ15および負荷18は、電流検出部3の後段で整流回路10に対して並列に接続される。以降の説明において、負荷18を第2の負荷と称することがある。
つづいて、電力変換装置100の動作について説明する。電力変換装置100において、制御部13は、前述のように、過電流保護のための電流検出部3の電流値に基づいて、整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。具体的には、制御部13は、電流検出部3の電流値の絶対値が電流閾値以上になっている期間において、スイッチング素子S1またはスイッチング素子S3の一方をオンする。しかしながら、電流検出部3は、図1に示すように、負荷18が接続されていない場合は整流回路10に流れる整流回路側電流Irの電流値を一次電流Isの電流値として検出するが、負荷18が接続されている場合は整流回路10に流れる整流回路側電流Irおよび負荷18に流れる負荷側電流Ilの合計電流である一次電流Isの電流値を検出する。そのため、電流検出部3は、負荷18が接続されている場合、整流回路10に流れる整流回路側電流Irの電流値のみを検出できない。この場合、一次電流Isには整流回路側電流Irの他に負荷側電流Ilが含まれるため、制御部13は、一次電流Isの電流値と、整流回路10に流れる整流回路側電流Irに対して設定された電流閾値とを比較しても、整流回路側電流Irが電流閾値以上になるタイミング、および整流回路側電流Irが電流閾値未満になるタイミングを正確に判断することができない。
ここで、電力変換装置100では、制御部13がスイッチ15のオンオフを制御することで、負荷18の接続を操作することができる。制御部13は、スイッチ15を制御できるので、電力変換装置100に負荷18が接続されているか否かを判定できる。そのため、制御部13は、負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出される一次電流Isに基づいて整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。制御部13は、負荷18が接続されている場合、電流検出部5で検出される整流回路側電流Irに基づいて整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。このように、制御部13は、負荷18が接続されているか否かによって、整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する電流値を検出する電流検出部を切り替える。なお、制御部13は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されていない場合、電流検出部5をオフにしていてもよい。これにより、電力変換装置100は、負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出される一次電流Isのみで整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御できることから、電流検出部5の消費電力を低減することができる。
図2は、実施の形態1に係る電力変換装置100に流れる各電流の電流波形および各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングを示す第1の図である。図2において、1段目は交流電源1の電源電圧Vsを示し、2段目は整流回路10に流れる整流回路側電流Irを示し、3段目は負荷18に流れる負荷側電流Ilを示し、4段目は交流電源1から電流検出部3に流れる一次電流Isを示す。前述のように、一次電流Is=整流回路側電流Ir+負荷側電流Ilである。また、図2において、5段目は交流電源1の電源電圧Vsの極性を表わす電源極性信号を示し、6〜9段目は制御部13から各スイッチング素子S1〜S4への駆動信号を示す。制御部13は、例えば、交流電源1の電源電圧Vsの極性を検知する図示しない検出器から電源極性信号を取得できるが、電源極性信号を取得する方法はこれに限定されない。また、図2において、a〜dは電流閾値を示し、A〜Lは制御部13の制御に関連するタイミングを示す。なお、整流回路側電流Irに対する電流閾値aおよび一次電流Isに対する電流閾値cは同じ値であり、整流回路側電流Irに対する電流閾値bおよび一次電流Isに対する電流閾値dは同じ値である。
制御部13は、制御信号によってスイッチ15をオン状態にして負荷18を整流回路10と並列に接続した場合、スイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する電流値を検出する電流検出部を電流検出部3から電流検出部5に切り替える。すなわち、制御部13は、スイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する電流値を電流検出部3の一次電流Isから電流検出部5の整流回路側電流Irに切り替える。
図2に示すように、負荷18のインダクタンス成分16およびその他のインダクタンス成分の影響によって負荷側電流Ilの位相が遅れ、その影響により一次電流Isの位相も電源電圧Vsの位相に比べて遅れる。また、一次電流Isは、整流回路側電流Irと負荷側電流Ilとの合計電流のため、整流回路側電流Irと比較して増加する。整流回路10の出力側から入力側に不要な回生が行われない条件として、整流回路側電流Irが流れているときはスイッチング素子S1の駆動信号をH信号に、流れていないときはスイッチング素子S1の駆動信号をL信号にする必要がある。この結果、整流回路側電流Irが適切な方向に流れている区間においてスイッチング素子S1はオン状態となり、また、整流回路側電流Irが流れていない区間においてスイッチング素子S1はオフ状態となる。これにより、電力変換装置100は、不要な回生が行われないため、低損失かつ安定な電力変換を行うことができる。
図2に示すように、交流電源1の電源投下前において、スイッチング素子S1〜S4は、駆動信号としてL信号が入力されているためドレインソース間は高インピーダンス状態である。なお、スイッチング素子S1〜S4は、Hアクティブのため、H信号入力時にオン状態でドレインソース間は低インピーダンス状態となり、L信号入力時にオフ状態でドレインソース間は高インピーダンス状態となる。交流電源1の電源が投下され、電源極性が正の場合、デッドタイム経過後のタイミングAで制御部13からスイッチング素子S4に駆動信号としてH信号が入力される。
一次電流Isが正方向に流れ始めると、タイミングBにおいて、一次電流Isが正方向の電流閾値c以上になる。しかしながら、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、タイミングBにおいて駆動信号の出力を変化させない。整流回路側電流Irが正方向に流れ始めると、整流回路側電流Irが正方向の電流閾値a以上になるまでの区間において、整流回路10では、整流回路側電流Irがダイオード6a,9aを流れるため、ダイオード6a,9aによる損失が発生する。電力変換装置100では、図2において整流回路側電流Irが電流閾値a以上になるタイミングCで制御部13からスイッチング素子S1に駆動信号としてH信号が入力される。すなわち、図1において、スイッチング素子S1,S4がオン状態であり、スイッチング素子S2,S3がオフ状態である。整流回路10では、整流回路側電流Irがスイッチング素子S1,S4の半導体スイッチ6,9のドレインソース間を流れるため、ダイオード6a,9aによる損失は発生しない。
電力変換装置100では、図2において整流回路側電流Irが電流閾値a未満になるタイミングDで制御部13からスイッチング素子S1に駆動信号としてL信号が入力される。すなわち、図1において、スイッチング素子S1がオフ状態となる。整流回路10では、整流回路側電流Irが0Aになるまでダイオード6a,9aを流れるため、ダイオード6a,9aによる損失が発生する。制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、一次電流Isが電流閾値c未満になるタイミングEにおいて駆動信号の出力を変化させない。
電力変換装置100では、交流電源1の電源極性が正から負に変化するときにアーム短絡による部品破壊を防ぐため、デッドタイムが設けられている。タイミングFで制御部13からスイッチング素子S4に駆動信号としてL信号が入力され、スイッチング素子S4がオフ状態となる。デッドタイム経過後のタイミングGで制御部13からスイッチング素子S2に駆動信号としてH信号が入力され、スイッチング素子S2がオン状態となる。これにより、スイッチング素子S2,S4のオンオフが反転する。
一次電流Isが負方向に流れ始めると、タイミングHにおいて、一次電流Isが負方向の電流閾値d以下になる。しかしながら、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、タイミングHにおいて駆動信号の出力を変化させない。整流回路側電流Irが負方向に流れ始めると、整流回路側電流Irが負方向の電流閾値b以下になるまでの区間において、整流回路10では、整流回路側電流Irがダイオード7a,8aを流れるため、ダイオード7a,8aによる損失が発生する。電力変換装置100では、図2において整流回路側電流Irが電流閾値b以下になるタイミングIで制御部13からスイッチング素子S3に駆動信号としてH信号が入力される。すなわち、図1において、スイッチング素子S2,S3がオン状態であり、スイッチング素子S1,S4がオフ状態である。整流回路10では、整流回路側電流Irがスイッチング素子S2,S3の半導体スイッチ7,8のドレインソース間を流れるため、ダイオード7a,8aによる損失は発生しない。
電力変換装置100では、図2において整流回路側電流Irが電流閾値bを超えるタイミングJで制御部13からスイッチング素子S3に駆動信号としてL信号が入力される。すなわち、図1において、スイッチング素子S3がオフ状態となる。整流回路10では、整流回路側電流Irが0Aになるまでダイオード7a,8aを流れるため、ダイオード7a,8aによる損失が発生する。制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、一次電流Isが電流閾値dを超えるタイミングKにおいて駆動信号の出力を変化させない。
電力変換装置100では、交流電源1の電源極性が負から正に変化するときにアーム短絡による部品破壊を防ぐため、デッドタイムが設けられている。タイミングLで制御部13からスイッチング素子S2に駆動信号としてL信号が入力され、スイッチング素子S2がオフ状態となる。
電力変換装置100は、負荷12を駆動中、上記の動作を繰り返し実施する。これにより、電力変換装置100は、整流回路10の出力側から入力側への不要な回生動作を回避し、安定かつ高効率に交直の電力変換を行うことが可能となる。
制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合において、仮に、電流検出部3で検出された一次電流Isの電流値と電流閾値cとを比較した結果に基づいてスイッチング素子S1を制御する場合、一次電流Isが電流閾値c以上になるタイミングBでスイッチング素子S1をオンし、一次電流Isが電流閾値c未満になるタイミングEでスイッチング素子S1をオフすることになる。同様に、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合において、仮に、電流検出部3で検出された一次電流Isの電流値と電流閾値dとを比較した結果に基づいてスイッチング素子S3を制御する場合、一次電流Isが電流閾値d以下になるタイミングHでスイッチング素子S3をオンし、一次電流Isが電流閾値dを超えるタイミングKでスイッチング素子S3をオフすることになる。本実施の形態では、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合において、使用する電流検出部を変更する。これにより、制御部13は、タイミングBからタイミングCの間およびタイミングDからタイミングEの間でスイッチング素子S1をオンさせる事態を回避し、タイミングHからタイミングIの間およびタイミングJからタイミングKの間でスイッチング素子S3をオンさせる事態を回避することができる。
すなわち、電力変換装置100は、整流回路側電流Irが流れ込まない期間にスイッチング素子S1またはスイッチング素子S3がオン状態となることを防止し、電位差の関係によりDC出力側からAC入力側または負荷18に電流が流れて不要な回生動作を招く事態を回避することができる。電力変換装置100は、出力電圧のリンギングに起因し、不安定な動作を引き起こす可能性を回避することができる。
本実施の形態において、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、すなわちスイッチ15を制御して負荷18を電力変換装置100に接続させている場合、整流回路10の上段のスイッチング素子S1,S3のオンオフを切り替えるための電流条件を、一次電流Isから整流回路側電流Irに変更する。さらに、制御部13は、上段のスイッチング素子S1に駆動信号としてH信号を出力する場合、対応する下段のスイッチング素子S4にH信号の駆動信号を出力していることを条件とする。また、制御部13は、上段のスイッチング素子S3に駆動信号としてH信号を出力する場合、対応する下段のスイッチング素子S2にH信号の駆動信号を出力していることを条件とする。
前述の電流条件の変更理由および効果について説明する。整流回路10において、DC出力側からAC入力側に不要な回生を行わず高効率な交直の電力変換を行う条件として、整流回路側電流Irが流れている時は電流が流れているスイッチング素子の駆動信号をH信号にし、整流回路側電流Irが流れていない時は電流が流れていないスイッチング素子の駆動信号をL信号にする必要がある。上記条件を満たす方法として、上段のスイッチング素子S1,S3の制御材料である電流を一次電流Isから整流回路側電流Irに切り替えることで、不要な回生を発生させない安定した電力変換が可能となる。加えて、下段のスイッチング素子S2,S4の駆動信号がH信号であることを条件とすることで、仮に、電流波形が大きく変化してもアーム短絡による懸念が解消され、その結果、低損失かつ安定な電力変換を行う効果を奏する。
電力変換装置100では、上記の動作を行うことで、課題であったDC出力側からAC入力側への不要な回生動作が改善され、安定かつ高効率に交直の電力変換を行うことが可能となる。
電力変換装置100における上記の動作を、フローチャートを用いて説明する。図3は、実施の形態1に係る電力変換装置100が同期整流制御に使用する電流値を検出する電流検出部を変更するか否かを判定する動作を示すフローチャートである。電力変換装置100において、制御部13は、スイッチ15を介して負荷18が並列負荷接続部14に、すなわち整流回路10の前段に接続されているか否かを判定する(ステップST1)。制御部13は、負荷18が接続されている場合(ステップST1:Yes)、制御条件を変更する(ステップST2)、すなわち電流検出部5で検出される電流値である整流回路側電流Irを同期整流制御に使用する。制御部13は、負荷18が接続されていない場合(ステップST1:No)、制御条件を変更しない(ステップST3)、すなわち電流検出部3で検出される電流値である一次電流Isを同期整流制御に使用する。
なお、図1に示す電力変換装置100において、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14、すなわち負荷18の後段に配置されていたが、一例であり、これに限定されない。電力変換装置において、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14、すなわち負荷18の前段に配置されていてもよい。図4は、実施の形態1に係る電力変換装置100aの構成例を示す第2の図である。図4に示す電力変換装置100aは、図1に示す電力変換装置100に対して、電力貯蓄用リアクトル4の配置を、並列負荷接続部14と電流検出部5との間から、電流検出部3と並列負荷接続部14との間に変更したものである。すなわち、図4の例では、電力貯蓄用リアクトル4は、電流検出部3と並列負荷接続部14との間に配置されている。
図4に示す電力変換装置100aでは、負荷18を整流回路10と並列、かつ電力貯蓄用リアクトル4の後段に接続したため、負荷側電流Ilの位相が電力貯蓄用リアクトル4の影響を受けて遅れることと予想される。図5は、実施の形態1に係る電力変換装置100aに流れる各電流の電流波形および各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングを示す第2の図である。
図5に示すように、交流電源1の電源投下前において、スイッチング素子S1〜S4は、駆動信号としてL信号が入力されているためドレインソース間は高インピーダンス状態である。なお、スイッチング素子S1〜S4は、Hアクティブのため、H信号入力時にオン状態でドレインソース間は低インピーダンス状態となり、L信号入力時にオフ状態でドレインソース間は高インピーダンス状態となる。交流電源1の電源が投下され、電源極性が正の場合、デッドタイム経過後のタイミングAで制御部13からスイッチング素子S4に駆動信号としてH信号が入力される。
一次電流Isが正方向に流れ始めると、タイミングBにおいて、一次電流Isが正方向の電流閾値c以上になる。しかしながら、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、タイミングBにおいて駆動信号の出力を変化させない。整流回路側電流Irが正方向に流れ始めると、整流回路側電流Irが正方向の電流閾値a以上になるまでの区間において、整流回路10では、整流回路側電流Irがダイオード6a,9aを流れるため、ダイオード6a,9aによる損失が発生する。電力変換装置100では、図5において整流回路側電流Irが電流閾値a以上になるタイミングCで制御部13からスイッチング素子S1に駆動信号としてH信号が入力される。すなわち、図4において、スイッチング素子S1,S4がオン状態であり、スイッチング素子S2,S3がオフ状態である。整流回路10では、整流回路側電流Irがスイッチング素子S1,S4の半導体スイッチ6,9のドレインソース間を流れるため、ダイオード6a,9aによる損失は発生しない。
電力変換装置100aでは、図5において整流回路側電流Irが電流閾値a未満になるタイミングDで制御部13からスイッチング素子S1に駆動信号としてL信号が入力される。すなわち、図4において、スイッチング素子S1がオフ状態となる。整流回路10では、整流回路側電流Irが0Aになるまでダイオード6a,9aを流れるため、ダイオード6a,9aによる損失が発生する。なお、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、後述するタイミングG以降であって、一次電流Isが電流閾値c未満になるタイミングEにおいて駆動信号の出力を変化させない。
電力変換装置100では、交流電源1の電源極性が正から負に変化するときにアーム短絡による部品破壊を防ぐため、デッドタイムが設けられている。タイミングFで制御部13からスイッチング素子S4に駆動信号としてL信号が入力され、スイッチング素子S4がオフ状態となる。デッドタイム経過後のタイミングGで制御部13からスイッチング素子S2に駆動信号としてH信号が入力され、スイッチング素子S2がオン状態となる。これにより、スイッチング素子S2,S4のオンオフが反転する。
一次電流Isは、前述のように、負荷側電流Ilの位相が電力貯蓄用リアクトル4の影響を受けて遅れているので、タイミングEで電流閾値c未満になる。その後、一次電流Isが負方向に流れ始めると、タイミングHにおいて、一次電流Isが負方向の電流閾値d以下になる。しかしながら、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、タイミングHにおいて駆動信号の出力を変化させない。整流回路側電流Irが負方向に流れ始めると、整流回路側電流Irが負方向の電流閾値b以下になるまでの区間において、整流回路10では、整流回路側電流Irがダイオード7a,8aを流れるため、ダイオード7a,8aによる損失が発生する。電力変換装置100aでは、図5において整流回路側電流Irが電流閾値b以下になるタイミングIで制御部13からスイッチング素子S3に駆動信号としてH信号が入力される。すなわち、図4において、スイッチング素子S2,S3がオン状態であり、スイッチング素子S1,S4がオフ状態である。整流回路10では、整流回路側電流Irがスイッチング素子S2,S3の半導体スイッチ7,8のドレインソース間を流れるため、ダイオード7a,8aによる損失は発生しない。
電力変換装置100aでは、図5において整流回路側電流Irが電流閾値bを超えるタイミングJで制御部13からスイッチング素子S3に駆動信号としてL信号が入力される。すなわち、図4において、スイッチング素子S3がオフ状態となる。整流回路10では、整流回路側電流Irが0Aになるまでダイオード7a,8aを流れるため、ダイオード7a,8aによる損失が発生する。なお、制御部13は、負荷18が整流回路10に並列に接続されている場合、一次電流Is、すなわち電流検出部3の電流値を利用しないため、一次電流Isが電流閾値dを超える図示しないタイミングKにおいて駆動信号の出力を変化させない。
電力変換装置100aでは、交流電源1の電源極性が負から正に変化するときにアーム短絡による部品破壊を防ぐため、デッドタイムが設けられている。タイミングLで制御部13からスイッチング素子S2に駆動信号としてL信号が入力され、スイッチング素子S2がオフ状態となる。
電力変換装置100aは、負荷12を駆動中、上記の動作を繰り返し実施する。これにより、電力変換装置100aは、整流回路10の出力側から入力側への不要な回生動作を回避し、安定かつ高効率に交直の電力変換を行うことが可能となる。
つづいて、電力変換装置100,100aが備える制御部13のハードウェア構成について説明する。図6は、実施の形態1に係る電力変換装置100,100aが備える制御部13を実現するハードウェア構成の一例を示す図である。制御部13は、プロセッサ201およびメモリ202により実現される。
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)といった不揮発性または揮発性の半導体メモリを例示できる。また、メモリ202は、これらに限定されず、磁気ディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)でもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置100,100aにおいて、制御部13は、MOSFETである半導体スイッチ6〜9を整流用部品であるスイッチング素子S1〜S4として使用した整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、整流回路10の上段のスイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する制御材料を一次電流Isから整流回路側電流Irに変更することとした。これにより、電力変換装置100,100aは、スイッチング素子S1〜S4を用いた整流回路10と並列に負荷18が接続された場合において、DC出力側からAC入力側に回生が行われることによる出力電圧の乱れ、リンギングなどの発生を抑制することができる。この結果、電力変換装置100,100aは、整流回路10を高効率かつ安定して動作させることができる。
電力変換装置100,100aは、商用電源である交流電源1から得られる交流電力を直流電力に変換する際に用いる整流回路だけでなく、その他の整流回路においても適応可能である。
実施の形態2.
実施の形態1では、電力変換装置100,100aは、整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、整流回路10に流れる整流回路側電流Irを使用してスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御していた。実施の形態2では、電力変換装置は、整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、整流回路10のスイッチング素子S1,S3の電圧に応じてスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する場合について説明する。
図7は、実施の形態2に係る電力変換装置100bの構成例を示す第1の図である。電力変換装置100bは、図1に示す電力変換装置100に対して、電流検出部5を削除し、電圧検出部19,20を追加したものである。図7の例では、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14と整流回路10との間に配置されている。電圧検出部19は、スイッチング素子S1において、MOSFETである半導体スイッチ6のドレインソース間に接続され、MOSFETである半導体スイッチ6のドレインソース間の電位差、すなわち電圧を検出する。電圧検出部20は、スイッチング素子S3において、MOSFETである半導体スイッチ8のドレインソース間に接続され、MOSFETである半導体スイッチ8のドレインソース間の電位差、すなわち電圧を検出する。
スイッチング素子S1は、前述のように、整流回路10が備えるスイッチング素子のうち、整流回路10が直流電力を出力する正側の出力端子10Cに第1の端子が接続され、交流電源1からの交流電力の入力端子10Aに第2の端子が接続されるスイッチング素子である。スイッチング素子S3は、前述のように、整流回路10が備えるスイッチング素子のうち、整流回路10が直流電力を出力する正側の出力端子10Cに第1の端子が接続され、交流電源1からの交流電力の入力端子10Bに第2の端子が接続されるスイッチング素子である。なお、スイッチング素子S1,S3において、MOSFETである半導体スイッチのドレインを第1の端子とし、MOSFETである半導体スイッチのソースを第2の端子とする。
実施の形態2において、制御部13は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出された電流値に基づいてスイッチング素子S1,S3の動作を制御する。制御部13は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されている場合、電圧検出部19,20で検出された電圧値に基づいてスイッチング素子S1,S3の動作を制御する。
実施の形態1で説明したように、電力変換装置100bでは、整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、高効率に交直の電力変換を行う上ではDC出力側からAC入力側への不要な回生を回避する必要がある。電力変換装置100bにおいて回生が起こる条件はとしては、整流回路10の出力側電圧が入力側電圧よりも高く、かつ整流回路10の上段のスイッチング素子S1,S3の駆動信号がH信号の場合である。
すなわち、電力変換装置100bは、整流回路10での電力変換前後の電圧を比較し、入力側電圧が出力側電圧よりも高く、かつ整流回路10の下段のスイッチング素子S4の駆動信号がH状態のときに上段のスイッチング素子S1の駆動信号をH信号にする、または、入力側電圧が出力側電圧よりも高く、かつ整流回路10の下段のスイッチング素子S2の駆動信号がH状態のときに上段のスイッチング素子S3の駆動信号をH信号にする。電力変換装置100bは、上記のような条件でスイッチング素子S1,S3の駆動信号をH信号にする、すなわちスイッチング素子S1,S3をオンすることによって、不要な回生を行わず、かつ高効率な電力変換が可能となる。
電力変換装置100bの各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングについては、図2に示す実施の形態1の電力変換装置100の各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングと同様になる。
電力変換装置100bでは、制御部13がスイッチ15のオンオフを制御することで、負荷18の接続を操作することができる。制御部13は、スイッチ15を制御できるので、電力変換装置100bに負荷18が接続されているか否かを判定できる。そのため、制御部13は、負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出される一次電流Isに基づいて整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。制御部13は、負荷18が接続されている場合、電圧検出部19,20で検出される電圧値に基づいて整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。このように、制御部13は、負荷18が接続されているか否かによって、整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する制御材料を切り替える。なお、制御部13は、負荷18が接続されていない場合、電圧検出部19,20をオフにしていてもよい。これにより、電力変換装置100bは、負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出される一次電流Isのみで整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御できることから、電圧検出部19,20の消費電力を低減することができる。
なお、図7に示す電力変換装置100bにおいて、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14、すなわち負荷18の後段に配置されていたが、一例であり、これに限定されない。電力変換装置において、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14、すなわち負荷18の前段に配置されていてもよい。図8は、実施の形態2に係る電力変換装置100cの構成例を示す第2の図である。図8に示す電力変換装置100cは、図7に示す電力変換装置100bに対して、電力貯蓄用リアクトル4の配置を、並列負荷接続部14と整流回路10との間から、電流検出部3と並列負荷接続部14との間に変更したものである。すなわち、図8の例では、電力貯蓄用リアクトル4は、電流検出部3と並列負荷接続部14との間に配置されている。
図4に示す電力変換装置100aでは、負荷18を整流回路10と並列、かつ電力貯蓄用リアクトル4の後段に接続したため、負荷側電流Ilの位相が電力貯蓄用リアクトル4の影響を受けて遅れることと予想される。電力変換装置100cの各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングについては、図5に示す実施の形態1の電力変換装置100aの各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングと同様になる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置100b,100cにおいて、制御部13は、MOSFETである半導体スイッチ6〜9を整流用部品であるスイッチング素子S1〜S4として使用した整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、整流回路10の上段のスイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する制御材料を一次電流Isから電圧検出部19,20で検出される電圧値に変更することとした。この場合においても、電力変換装置100b,100cは、実施の形態1の電力変換装置100,100aと同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態2では、電力変換装置100b,100cは、整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、整流回路10のスイッチング素子S1,S3の電圧に応じてスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御していた。実施の形態3では、電力変換装置は、整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、スイッチング素子S1,S3のそれぞれに電流検出用として直列接続された電流検出部で検出された電流に応じて、スイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する場合について説明する。
図9は、実施の形態3に係る電力変換装置100dの構成例を示す第1の図である。電力変換装置100dは、図1に示す電力変換装置100に対して、電流検出部5を削除し、スイッチング素子に流れる電流を検出するための電流検出部21,22を追加し、電流検出部21と並列に電子制御可能なスイッチ23を追加し、電流検出部22と並列に電子制御可能なスイッチ24を追加したものである。図9の例では、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14と整流回路10との間に配置されている。電流検出部21は、スイッチング素子S1において、MOSFETである半導体スイッチ6のドレイン側に直列で接続され、MOSFETである半導体スイッチ6のドレインソース間に流れる電流を検出する。同様に、電流検出部22は、スイッチング素子S3において、MOSFETである半導体スイッチ8のドレイン側に直列で接続され、MOSFETである半導体スイッチ8のドレインソース間に流れる電流を検出する。
すなわち、電流検出部21は、整流回路10が備えるスイッチング素子のうち、整流回路10が直流電力を出力する正側の出力端子10Cに電流検出部21を介して第1の端子が接続され、交流電力の入力端子10Aに第2の端子が接続されるスイッチング素子S1に流れる電流を検出する。同様に、電流検出部22は、整流回路10が備えるスイッチング素子のうち、整流回路10が直流電力を出力する正側の出力端子10Cに電流検出部22を介して第1の端子が接続され、交流電力の入力端子10Bに第2の端子が接続されるスイッチング素子S3に流れる電流を検出する。電流検出部21,22は、例えば、シャント抵抗を備え、電流が流れることによってシャント抵抗に発生する電位に基づいて、電流検出部21,22が接続されている経路に電流が流れていることを検出する。以降の説明において、電流検出部3を第1の電流検出部と称し、電流検出部21,22を第2の電流検出部と称することがある。
電流検出部21と並列接続されたスイッチ23、および電流検出部22と並列接続されたスイッチ24は、制御部13の制御によって、スイッチ15と同期してオンオフが切り替えられる。電力変換装置100dにおいてスイッチ15がオンとなって整流回路10に対して並列に負荷18が接続される場合、スイッチ23,24は、スイッチ15がオンされると同時にオフとなる。このとき、整流回路10では、電流検出部21,22を経由して電流が流れる。電力変換装置100dにおいてスイッチ15がオフとなって負荷18との接続が切断される場合、スイッチ23,24は、スイッチ15がオフされると同時にオンとなる。このとき、整流回路10では、スイッチ23,24を経由して電流が流れる。
スイッチング素子S1は、前述のように、整流回路10が備えるスイッチング素子のうち、電流検出部21、および電流検出部21に並列接続されたスイッチ23の一端に第1の端子が接続され、交流電源1からの交流電力の入力端子10Aに第2の端子が接続されるスイッチング素子である。スイッチング素子S3は、前述のように、整流回路10が備えるスイッチング素子のうち、電流検出部22、および電流検出部22に並列接続されたスイッチ24の一端に第1の端子が接続され、交流電源1からの交流電力の入力端子10Bに第2の端子が接続されるスイッチング素子である。なお、スイッチング素子S1,S3において、MOSFETである半導体スイッチのドレインを第1の端子とし、MOSFETである半導体スイッチのソースを第2の端子とする。
実施の形態3において、制御部13は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されていない場合、電流検出部21に並列接続されたスイッチ23をオンとし、電流検出部22に並列接続されたスイッチ24をオンとし、電流検出部3で検出された電流値に基づいてスイッチング素子S1,S3の動作を制御する。制御部13は、並列負荷接続部14に負荷18が接続されている場合、電流検出部21に並列接続されたスイッチ23をオフとし、電流検出部22に並列接続されたスイッチ24をオフとし、電流検出部21,22で検出された電流に基づいてスイッチング素子S1,S3の動作を制御する。
電力変換装置100dは、整流回路10で流れる電流を電流検出部21,22で検出する。電力変換装置100dは、電流検出部21に流れる電流によって入力側の電位が正であり、かつ整流回路10の下段のスイッチング素子S4の駆動信号がH状態のときに上段のスイッチング素子S1の駆動信号をH信号にする。また、電力変換装置100dは、電流検出部22に流れる電流によって入力側の電位が正であり、かつ整流回路10の下段のスイッチング素子S2の駆動信号がH状態のときに上段のスイッチング素子S3の駆動信号をH信号にする。電力変換装置100dは、上記のような条件でスイッチング素子S1,S3の駆動信号をH信号にする、すなわちスイッチング素子S1,S3をオンすることによって、不要な回生を行わず、かつ高効率な電力変換が可能となる。
電力変換装置100dの各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングについては、図2に示す実施の形態1の電力変換装置100の各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングと同様になる。
電力変換装置100dでは、制御部13がスイッチ15のオンオフを制御することで、負荷18の接続を操作することができる。制御部13は、スイッチ15を制御できるので、電力変換装置100dに負荷18が接続されているか否かを判定できる。そのため、制御部13は、負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出される一次電流Isに基づいて整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。制御部13は、負荷18が接続されている場合、電流検出部21,22で検出される電流に基づいて整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御する。このように、制御部13は、負荷18が接続されているか否かによって、整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する制御材料を切り替える。なお、制御部13は、負荷18が接続されていない場合、電流検出部21に並列接続されたスイッチ23をオンし、電流検出部22に並列接続されたスイッチ24をオンすることで、電流検出部21,22をオフにしていてもよい。これにより、電力変換装置100dは、負荷18が接続されていない場合、電流検出部3で検出される一次電流Isのみで整流回路10のスイッチング素子S1,S3のオンオフを制御できることから、電流検出部21,22の消費電力を低減することができる。
なお、図9に示す電力変換装置100dにおいて、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14、すなわち負荷18の後段に配置されていたが、一例であり、これに限定されない。電力変換装置において、電力貯蓄用リアクトル4は、並列負荷接続部14、すなわち負荷18の前段に配置されていてもよい。図10は、実施の形態3に係る電力変換装置100eの構成例を示す第2の図である。図10に示す電力変換装置100eは、図9に示す電力変換装置100dに対して、電力貯蓄用リアクトル4の配置を、並列負荷接続部14と整流回路10との間から、電流検出部3と並列負荷接続部14との間に変更したものである。すなわち、図10の例では、電力貯蓄用リアクトル4は、電流検出部3と並列負荷接続部14との間に配置されている。
図4に示す電力変換装置100aでは、負荷18を整流回路10と並列、かつ電力貯蓄用リアクトル4の後段に接続したため、負荷側電流Ilの位相が電力貯蓄用リアクトル4の影響を受けて遅れることと予想される。電力変換装置100eの各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングについては、図5に示す実施の形態1の電力変換装置100aの各スイッチング素子S1〜S4のオンオフのタイミングと同様になる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置100d,100eにおいて、制御部13は、MOSFETである半導体スイッチ6〜9を整流用部品であるスイッチング素子S1〜S4として使用した整流回路10に対して負荷18が並列に接続されている場合、整流回路10の上段のスイッチング素子S1,S3のオンオフの制御に使用する制御材料を一次電流Isから電流検出部21,22で検出される電流に変更することとした。この場合においても、電力変換装置100d,100eは、実施の形態1の電力変換装置100,100aと同様の効果を得ることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。