JP2021124006A - 雨樋システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軒樋10と、竪樋45と、軒樋よりも下流側に配置され、竪樋の上端部に連なる接続継手35と、縮径部を有し竪樋に設けられたサイフォン継手50と、を備える雨樋システム1であって、軒樋の流路断面積Sは11000mm2以上であり、竪樋の内径は65mm以上であり、接続継手とサイフォン継手との間に位置する竪樋の長さL7は1m以上である。
【選択図】図1
Description
ところで、軒樋と縮径部との間にエルボ(接続継手)がある場合、縮径部でサイフォン現象が発生しない場合や、縮径部で発生したサイフォン現象が、雨水が流れる上流側の軒樋まで伝わらない場合がある。このような場合、軒樋から縮径部にかけて排出されない雨水がたまり、軒樋から雨水が溢れる虞がある。
本発明の雨樋システムは、軒樋と、竪樋と、前記軒樋よりも下流側に配置され、前記竪樋の上端部に連なる接続継手と、縮径部を有し前記竪樋に設けられたサイフォン継手と、を備える雨樋システムであって、前記軒樋の流路断面積は11000mm2以上であり、前記竪樋の内径は65mm以上であり、前記接続継手と前記サイフォン継手との間に位置する前記竪樋の長さは1m以上であることを特徴としている。
ここで言う軒樋の流路断面積とは、軒樋の長手方向に沿って見たときの、軒樋内で雨水が流れ得る断面積のことを意味する。
この際に、本願の発明者らは、接続継手とサイフォン継手との間に位置する竪樋の長さが1m以上であることで、縮径部を有するサイフォン継手でサイフォン現象をより確実に発生させるとともに、サイフォン継手で発生したサイフォン現象を雨樋システムにおける上流側の部分に安定して伝達することができることを見い出した。
従って、縮径部を備える大型の雨樋システムであっても、サイフォン現象をより確実に発生させるとともに、発生したサイフォン現象を上流側の部分に安定して伝達することができる。
この発明によれば、接続継手の軸線に沿う方向の一方の端部から接続継手内に流れ込んだ雨水は、接続継手の内周側の内壁面で滞らず、内壁面で雨水の流速が低下し難い。このため、接続継手内に流れ込んだ雨水を接続継手の軸線に沿う方向の他方の端部に向かって円滑に流すことができる。
ここで言う接続部の軸線同士のなす角度は、両軸線のなす角度のうち、鋭角の方の角度を意味する。
この発明によれば、接続継手の一方の接続部から接続継手内に流れ込んだ雨水は、接続継手内で滞らず、接続継手内で雨水の流速が低下し難い。このため、接続継手内に流れ込んだ雨水を接続継手の他方の接続部に向かって円滑に流すことができる。
ここで言う呼び樋の軸線と竪樋の軸線とのなす角度とは、両軸線のなす角度のうち鋭角の方の角度を意味する。
この発明によれば、雨樋システムから単位時間当たりに排出する雨水の流量をより多くすることができる。
この発明によれば、拡径部内において雨水が負圧になることで、竪樋における拡径部よりも上流側の部分での雨水の流量を、さらに多くすることができる。従って、雨樋システムを流れる雨水の流量を、さらに多くすることができる。
以下、本発明に係る雨樋システムの第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の雨樋システム1は、物流倉庫等の建築物200に用いられる大型の雨樋システムである。
雨樋システム1は、軒樋10と、第1接続継手20と、呼び樋30と、第2接続継手(接続継手)35と、竪樋45と、サイフォン継手50と、を備えている。
軒樋10は、建築物200の軒下に配置されている。すなわち、軒樋10は、建築物200の屋根201の端201aの下方に配置されている。軒樋10は、屋根201の端201aに沿う第1方向Xに沿って延びている。図1では、軒樋10を第1方向Xに直交する方向に破断している。
例えば、第1方向Xは水平面に沿う方向である。軒樋10は、上方が開口するU字形に形成されている。軒樋10は、底壁11と、第1側壁12と、第2側壁13と、を備えている。
底壁11の幅方向は、第1方向X及び上下方向Zにそれぞれ直交する第2方向Yである。
例えば、軒樋10は、塩化ビニル鋼板等を折り曲げることで形成されている。
この例では、第1側壁12の上端は、第2側壁13の上端よりも上方に配置されている。この例の軒樋10は、いわゆる前高樋である。
第1側壁12は、上下方向Zに見たときに、屋根201の端201aよりも第2方向Yの第1側に配置されている。第2側壁13は、上下方向Zに見たときに、屋根201の端201aよりも第2方向Yの第2側に配置されている。
流路断面積Sは、11000mm2以上である。流路断面積Sは、29000mm2以上であることが好ましく、40000mm2以上であることがより好ましい。
なお、軒樋は、第1側壁の上端の上下方向Zの位置と、第2側壁の上端の上下方向Zの位置とが互いに等しい、いわゆる平行樋等であってもよい。軒樋が平行樋である場合、流路断面積Sは、底壁、第1側壁、第2側壁、及び各側壁の上端を通り水平面に沿う基準線により囲われる面積のことを意味する。
曲管部21の軸線を含む断面において、曲管部21の中心角度は、約45°である。
第1接続部22は、曲管部21の軸線方向の第1端部に配置されている。第1接続部22は、軒樋10における開口部11bの周縁部に接続されている。
第2接続部23は、受け口である。第2接続部23の内径は、曲管部21の内径よりも大きい。第2接続部23は、曲管部21の軸線方向の第1端部とは反対の第2端部に配置されている。
なお、第1接続継手において、第2接続部は差し口であってもよい。
呼び樋30の第1端部は、第1接続継手20の第2接続部23内に挿入されている。第2接続部23と呼び樋30とは、水密に保持されている。呼び樋30は軒樋10における、雨水が流れる下流側に接続されている。第1接続継手20は、軒樋10と呼び樋30とを接続している。すなわち、呼び樋30は軒樋10の下流側に接続されている。
呼び樋30の長さは、3m以下である。ここで言う呼び樋30の長さとは、呼び樋30の長さのうち、受け口に覆われていない部分の長さのことを意味する。この例では、呼び樋30の実際の長さから、受け口である第1接続継手20の第2接続部23、及び第2接続継手35の後述する第1接続部37により呼び樋30が覆われた長さを引いた長さL6のことを意味する。
呼び樋30の長さL6は、2m以下であることがより好ましい。長さL6の下限は特に限るものではなく、第1接続継手20の第2接続部23の端部と、第2接続継手35の第1接続部37の端部とが接触していてもよい。この場合、呼び樋30は、第2接続部23と第1接続部37で隠れてしまう程度の長さになる。
図2に示すように、本実施形態では、曲管部36の中心角度θ1は、約45°である。 第1接続部37は、受け口である。第1接続部37の内径は、曲管部36の内径よりも大きい。曲管部36と第1接続部37との接続部分には、第1接続部37から径方向内側に突出して曲管部36に達する第1段部39が形成されている。
第1接続部37及び第2接続部38は、第2接続継手35の両端に設けられている。第1接続部37の軸線O1と第2接続部38の軸線O2のなす角度θ2は、約45°(45°)である。ここで言う軸線O1と軸線O2とのなす角度θ2は、両軸線O1,O2のなす角度のうち、鋭角の方の角度を意味する。
この角度θ2は、45°以下であることが好ましい。なお、この角度θ2の下限は、例えば1°である。
図1に示すように、第2接続継手35は、軒樋10よりも下流側に配置されている。第1接続部37には、呼び樋30の第2端部が挿入されている。
竪樋46,47は、それぞれ上下方向Zに沿って延びている。第1竪樋46は、第2竪樋47よりも上方に配置されている。第1竪樋46の上端部は、第2接続継手35の第2接続部38内に挿入されている。すなわち、第2接続継手35は、第1竪樋46(竪樋45)の上端部に連なっている。呼び樋30は、第2接続継手35を介して竪樋45に接続されている。
第2接続部38と第1竪樋46とは、水密に保持されている。第2接続継手35は、呼び樋30と第1竪樋46(竪樋45)とを接続している。
例えば、サイフォン継手50は、図3に示すように、外筒部51、内筒部52と、段部53と、縮径部54と、を備えている。
段部53は、リング状に形成されている。段部53は、内筒部52の上端から径方向外側に向かって突出している。段部53は、外筒部51における上下方向Zの中間部に連結されている。
縮径部54は、リング状に形成され、段部53上に固定されている。縮径部54の内径は、段部53の内径及び内筒部52の内径よりもそれぞれ小さい。
第2竪樋47の上端部は、外筒部51と内筒部52との間に配置されている。外筒部51及び内筒部52と第2竪樋47とは、水密に保持されている。
図1に示すように、第2接続継手35とサイフォン継手50との間に位置する竪樋45の長さL7は、1m以上である。長さL7は、第2接続継手35とサイフォン継手50との距離でもある。この長さL7は、1.5m以上であることが好ましい。この長さL7は、4m以下であることが好ましい。この長さL7は、3m以下であることがより好ましく、2.8m以下であることが最も好ましい。
呼び樋30の軸線O3と竪樋45の軸線O4とのなす角度θ4は、45°以下である。ここで言う両軸線O3,O4のなす角度θ4とは、両軸線O3,O4のなす角度のうち鋭角の方の角度を意味する。例えば、この角度θ4の下限は1°である。
例えば、第1接続継手20、呼び樋30、第2接続継手35、竪樋45、及びサイフォン継手50は、塩化ビニル等の樹脂を押出し成形、射出成形することで形成されている。
この際に、本願の発明者らは、第2接続継手35とサイフォン継手50との間に位置する竪樋45の長さL7が1m以上であることで、縮径部54を有するサイフォン継手50でサイフォン現象をより確実に発生させるとともに、サイフォン継手50で発生したサイフォン現象を、雨樋システム1における上流側の部分に安定して伝達することができることを見い出した。
従って、縮径部54を備える大型の雨樋システム1であっても、サイフォン現象をより確実に発生させるとともに、発生したサイフォン現象を上流側の部分に安定して伝達することができる。
第2接続継手35の第1接続部37の軸線O1と第2接続部38の軸線O2のなす角度θ2は、45°以下である。第2接続継手35の第1接続部37から第2接続継手35内に流れ込んだ雨水は、第2接続継手35内で滞らず、第2接続継手35内で雨水の流速が低下し難い。このため、第2接続継手35内に流れ込んだ雨水を第2接続継手35の第2接続部38に向かって円滑に流すことができる。
第1接続継手55は、第1接続継手20の第2接続部23に代えて、直管部56を備えている。直管部56の外径は、呼び樋30の外径と同一である。直管部56は、図4中に二点鎖線で示すように、雨樋システム1Aを施工する前には、充分に長い長さに形成されている。第1接続継手55では、雨樋システム1Aの仕様が決まったときに、施工現場等で直管部56の長さが調節される。そして、長さが調節された直管部56が、第2接続継手35の第1接続部37内に挿入される。
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、本実施形態の雨樋システム2は、第1実施形態の竪樋45に代えて、竪樋45Aと、インクリーザ(拡径部)60と、地中埋設配管65と、を備えている。
竪樋45Aは、竪樋45の各構成に加えて、第3竪樋48を備えている。第3竪樋48は、第2竪樋47よりも下方に配置されている。第3竪樋48の内径は、第2竪樋47の内径よりも大きい。
接続管67は、地中に水平面に沿って配置されている。第1エルボ66は、第3竪樋48の下端部と接続管67の第1端部とを接続している。第2エルボ68は、接続管67の第2端部に接続されている。第2エルボ68における接続管67に接続された端部とは反対側の端部は、下方を向いている。接続管67の第2端部及び第2エルボ68は、地中に埋設された雨水マス69内に配置されている。
インクリーザ60は、竪樋45Aにおける、サイフォン継手50と地中埋設配管65との間に設けられている。
雨水マス69には、配管70が接続されている。
第3竪樋48および地中埋設配管65の呼び径は第2竪樋47の呼び径よりも1サイズ大きいものが好ましく、2サイズ大きいことがより好ましい。
具体的には、第3竪樋48および地中埋設配管65はJISK6741の記号VPまたはVUで規定される呼び径75A〜200Aの管および継手が用いられる。そのため、第2竪樋47が75Aである場合には第3竪樋48および地中埋設配管65が100A以上、第3竪樋48が100Aである場合には地中埋設配管65が125A以上の管継手を用いることが好ましい。
また、地中埋設配管65は第3竪樋48よりも大きな呼び径を有していてもよく、これにより、雨水マス69や第2竪樋47と第3竪樋48との接合部からの雨水の溢れを抑えることができる。
さらに、インクリーザ60内において雨水が負圧になることで、竪樋45Aにおけるインクリーザ60よりも上流側の部分での雨水の流量を、さらに多くすることができる。従って、雨樋システム2を流れる雨水の流量を、さらに多くすることができる。
なお、雨樋システム2の竪樋45Aから排水された雨水は、地中埋設配管65を通して、雨水マス69内に流れ込む。そして、配管70を通して、雨樋システム2の系外に排出される。
第2接続継手35の軸線を含む断面おいて、第2接続継手35の内壁面の曲率半径は、64mm以下でもよいし、125mm以上でもよい。第2接続継手の角度θ2は、45°を超えてもよい。
竪樋45が第1竪樋46、第2竪樋47等に分割されているとした。しかし、竪樋は、1本の竪樋として一体に構成されてもよい。
呼び樋30の軸線O3と竪樋45の軸線O4とのなす角度θ4は、45°を超えてもよい。
雨樋システム1,2は、第1接続継手20及び呼び樋30を備えなくてもよい。
なお、第1エルボ66の内面の曲率半径R1は100mm以上であることが好ましく、110mm以上であることがより好ましく、125mm以上であることがさらに好ましい。前記曲率半径R1は、第1エルボ66を竪樋45Aの軸線、及び、接続管67の軸線の両軸線を含む面で見たときの曲率半径である。
(実施例)
以下では、本発明の実施例及び比較例を具体的に示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例では、軒樋10の流路断面積Sは11000mm2以上とし、竪樋45の呼び径は75(竪樋45の内径は78mm又は84mm)としている。(実施例1)
表1に示す仕様No.1〜4のように、第2接続継手35とサイフォン継手50との間に位置する竪樋45の長さL7を変化させた。そして、軒樋10の開口部11b(落し口)での雨水の流量を測定した。
仕様No.2では、竪樋45の長さL7を2mとし、軒樋10の開口部11bでの雨水の流量を15L/sとした。この場合、サイフォン現象が発生していたため、軒樋10からの雨水の溢れは無かった。
仕様No.3では、竪樋45の長さL7を1.2mとし、軒樋10の開口部11bでの雨水の流量を10L/sとした。この場合、サイフォン現象が発生していたため、軒樋10からの雨水の溢れは無かった。
そして、仕様No.4では、竪樋45の長さL7を0.8mとし、軒樋10の開口部11bでの雨水の流量を7L/sとした。この場合、サイフォン現象が遮断されていたため、軒樋10から雨水が溢れた。
実施例1では、仕様No.1から仕様No.3が実施例となり、仕様No.4が比較例となることが分かった。
表2に示す仕様No.6〜10のように、呼び樋30の軸線O3と竪樋45の軸線O4とのなす角度θ4、及び呼び樋30の長さL6を変化させた。そして、雨水の流量を測定した。
仕様No.7では、角度θ4を25°とし、呼び樋30の長さL6を1mとした。この場合、雨水の流量は23L/sとなった。
仕様No.8では、角度θ4を45°とし、呼び樋30の長さL6を2mとした。この場合、雨水の流量は12L/sとなった。
仕様No.9では、角度θ4を45°とし、呼び樋30の長さL6を3mとした。この場合、雨水の流量は10L/sとなった。
そして、仕様No.10では、角度θ4を45°とし、呼び樋30の長さL6を4mとした。この場合、雨水の流量は5L/sとなった。
実施例2では、仕様No.6から仕様No.10においてサイフォン現象が発生し、軒樋10からの雨水の溢れは無かった。このため、仕様No.6から仕様No.10が実施例となることが分かった。
10 軒樋
30 呼び樋
35 第2接続継手(接続継手)
36a 内壁面
45,45A 竪樋
50 サイフォン継手
54 縮径部
60 インクリーザ(拡径部)
65 地中埋設配管
L6,L7 長さ
O1,O2,O3,O4 軸線
S 流路断面積
θ2,θ4 角度
Claims (5)
- 軒樋と、竪樋と、前記軒樋よりも下流側に配置され、前記竪樋の上端部に連なる接続継手と、縮径部を有し前記竪樋に設けられたサイフォン継手と、を備える雨樋システムであって、
前記軒樋の流路断面積は11000mm2以上であり、
前記竪樋の内径は65mm以上であり、
前記接続継手と前記サイフォン継手との間に位置する前記竪樋の長さは1m以上である雨樋システム。 - 前記接続継手の軸線を含む断面おいて、前記接続継手の内周側の内壁面の曲率半径が、64mmよりも大きくかつ125mmよりも小さい請求項1に記載の雨樋システム。
- 前記接続継手の両端に設けられた接続部の軸線同士のなす角度は、45°以下である請求項1又は2に記載の雨樋システム。
- 前記軒樋の前記下流側に接続され、前記竪樋に接続された呼び樋を備え、
前記呼び樋の長さは3m以下であり、
前記呼び樋の軸線と前記竪樋の軸線とのなす角度は45°以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の雨樋システム。 - 前記竪樋における前記下流側の端部に接続された地中埋設配管と、
前記竪樋における、前記サイフォン継手と前記地中埋設配管との間に設けられた拡径部と、
を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の雨樋システム。
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