JP2021122255A - 水耕栽培により作られた桑の根、およびその抽出物 - Google Patents

水耕栽培により作られた桑の根、およびその抽出物 Download PDF

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Abstract

【課題】 一年を通して効率的に収穫することができ、一定の品質を有する桑の根、およびこのような桑の根から得られる各種用途を有する抽出物を提供する。【解決手段】 水耕栽培された桑の根。【選択図】 なし

Description

本発明は、水耕栽培により作られた桑の根、およびその抽出物に関する。
桑(Morus sp.)は、古くから養蚕飼料として露地で栽培されている。その根、茎、葉、実の全ての部分が民間薬や生薬としても利用されている。特に、マグワ(Morus alba)の根は、桑白皮として日本薬局方(非特許文献1)にも収載されている。桑白皮の主成分は、モルシン、シクロモルシン、クワノン、オキシジヒドロモルシン、α-アミリン、β-アミリン、ベツリン酸、1−デオキシノジリマイシンなどで、漢方では消炎性利尿、緩下剤、去たん鎮咳薬として利用されている。主な処方は五虎湯、清肺湯、補肺湯、杏蘇散などである。中国では冠状動脈硬化性高血圧症および本態性高血圧症、また急性腎炎の初期に常用されるとある(非特許文献2)。
桑白皮は、通常、5年以上露地栽培された桑の根を春の萌芽前に掘り起こした根から調製されている。露地栽培により得られる桑の根は、コルク層を多く含む主根、側根および細根と、わずかなひげ根から構成されており、桑白皮は掘り起こした太い根から細い側根と細根を除き、軽く叩いて、コルク層を除いた根皮を蒸し、天日乾燥することで調製される。桑白皮をはじめとする従来の桑の根の利用には、露地栽培であるために天候の影響を受けやすい、品質が一定していない、収穫まで時間がかかる、周年で根を採取できない、掘り起こしや採取した根の洗浄などの加工に手間がかかる、散布された農薬や、雨水、土壌などに含まれる重金属が残留している恐れがあるなどの多くの問題があった。このため、一年を通して効率的に収穫することができ、一定の品質を有する桑の根、およびそれから得られる抽出物が求められていた。
植物の栽培方法についてみると、植物の栽培は、露地栽培と養液栽培に分けられ、養液栽培のうち天然培地や人工培地などの固定培地を用いない栽培方法が水耕栽培と呼ばれる。水耕栽培は植物工場で多く利用されており、栽培環境を制御することにより安定して植物を生産できる。しかし、水耕栽培の技術は、専ら蔬菜など草本類に用いられ、桑のような木本類の栽培には用いられない。
第十七改正日本薬局方医薬品各条1843ページ 矢作ら、生薬学雑誌、71:1−36,2017
本発明は、上記の課題を有しない、すなわち一年を通して効率的に収穫することができ、一定の品質を有する桑の根を提供することを目的とする。更に、このような桑の根から得られる各種用途を有する抽出物を提供することを目的とする。
本発明者らは、桑を従来の露地栽培ではなく水耕栽培することにより上記の課題が解決され、更にはこのようにして得られる桑の根およびその抽出物には、各種有用な成分が予想外に多く含まれることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、
[1] 水耕栽培された桑の根;
[2] 水耕栽培された桑の根の乾燥体;
[3] 水耕栽培された桑の根の乾燥体の抽出物;
[4] ポリフェノール類を没食子酸当量として250mgE/g以上含む、上記[3]記載の抽出物;
[5] クワノンCおよびモルシンから選択される脂溶性ポリフェノール類を3.0mg/g以上含む、上記[3]記載の抽出物;
[6] フラボノイド類をクエルセチン当量として100mgE/g以上含む、上記[3]記載の抽出物;
[7] 上記[2]記載の乾燥体、または上記[3]〜[6]のいずれか1項記載の抽出物を含む、医薬;
[8] 糖尿病、高血圧、肝機能障害、認知症、がん、または花粉症およびアトピー性皮膚炎を含むアレルギー疾患の処置用の上記[7]記載の医薬;
[9] 上記[2]記載の乾燥体、または上記[3]〜[6]のいずれか1項記載の抽出物を含む、石鹸、歯磨き、サプリメント、抗菌および抗ウイルスサニタリー製品、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品;
[10] 上記[2]記載の乾燥体、または上記[3]〜[6]のいずれか1項記載の抽出物を含む、化粧料;
[11] 美白用である、上記[10]記載の化粧料;
[12] 上記[2]記載の乾燥体、または上記[3]〜[6]のいずれか1項記載の抽出物を含む、育毛剤;
が提供される。
本発明の水耕栽培された桑の根は、外界の物理的、化学的影響を受けていないので、一定の品質を有しており、また1年未満の短期間で周年で収穫でき、掘り起こしや乾燥、根の洗浄などの加工に手間がかからない。また、水耕栽培された桑の根は、加工に伴いひげ根が除去されてしまう露地栽培された桑の根と比較すると、コルク層を多く含む主根、側根が少なく、有用な成分を多く含むひげ状の根が大部分を占めているため、柔らかであり、かつ有用な成分を多く含むひげ状の根を効率的に使用できる。更に、農薬や重金属を含まない。更にまた、本発明の水耕栽培された桑の根、および桑の根から得られる抽出物には、1−デオキシノジリマイシン、ファゴミンに代表されるアザ糖、ムルベロシドA、クロロゲン酸、オキシレスベラトロール−3’−グルコシド、オキシレスベラトロール、レスベラトロール、クワノンC、モラシン、およびモルシンなどのポリフェノール類に代表される有用な成分が多く含まれるので、糖尿病、高血圧、肝機能障害、認知症、がん、または花粉症およびアトピー性皮膚炎を含むアレルギー疾患の処置用の各種医薬;石鹸、歯磨き、サプリメント、抗菌および抗ウイルスサニタリー製品、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品;美白用などの化粧料;育毛剤;などとして用いることができる。
桑の水耕栽培システムの正面概略図である。 図1に対して90度横から見た場合の概略図である。 給水路11を備えた水槽2を上面から見た図である。 給水路11を備えた水槽2を側面から見た図である。 給水路25を備えた水槽2を上面から見た図である。 水槽2の上面に栽培パネル31を配置した場合の上面概略図である。 水槽2の上面に栽培パネル31を配置した場合の断面概略図である。 3か月水耕栽培して得られた桑の写真である。 本発明の水耕栽培された桑の根の写真である。 露地栽培された桑の根の写真である。 本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体ならびに露地栽培された桑の根の乾燥体(桑白皮)から、メタノール抽出物、酢酸エチル抽出物および水抽出物を得る工程を示す図である。 本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体および桑白皮の抽出物の総ポリフェノール量および総フラボノイド量を示す図である。 本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体および露地栽培された桑の根の乾燥体(桑白皮)のメタノール抽出物のHPLCクロマトグラムを示す図である。
以下、本発明の水耕栽培された桑の根について説明する。
本発明の水耕栽培された桑の根においては、任意のクワ属の植物を用いることができる。クワ属の植物としては、例えば、Morus lhou(ログワ)、Morus bombycis(ヤマグワ)、Morus laevigata(ナガミグワ)、Morus tiliaefolia(ケグワ)、Morus boninensis(オガサワラグワ)、Morus serrata(テンジクグワ)、Morus rubra(レッドマルベリー)、Morus alba(カラヤマグワ、マグワ、ホワイトマルベリー)、Morus nigra(クロミグワ)、Morus mesozygia(ブラックマルベリー)などを挙げることできる。これらの中でも特にMorus alba(カラヤマグワ、マグワ、ホワイトマルベリー)を好ましく用いることができる。
本発明において、水耕栽培とは、桑を、植物の水耕栽培に通常使用されているシステムを用いて栽培することを意味する。そのようなシステムとして例えば、水槽と、水槽を保持するフレームと、桑の成長に必要な栄養分を含む養液を水槽に供給する給水路と、桑の苗を固定し、水槽上部に配置される栽培パネルと、栽培パネルに形成された孔に固定された桑の苗に光を照射する照明とを備え、水槽は、養液の上流側が高くなるように、水平よりも所定の角度だけ傾斜するように設置されているシステムを用いることができる。水耕栽培システムの一例を図1および図2に示す。代表的には、特開2018−61455号に記載のシステムを用いることができる。
桑の水耕栽培は、上記のようなシステムを用いて行うことができる。例えば、まず桑の種をウレタンなどの培地に播種した後、茎の長さが2〜3cm、根の長さが2〜5cmになるまで育苗してから栽培パネルに苗を植えることができる。または桑の成長木から得た枝を接木または挿し木するなどの方法で、栽培パネルに桑の苗を植えてもよい。植えた後、窒素・リン酸・カリウムなどを含む養液を栽培ラックに循環し、LED照明または蛍光灯照明により光合成に適した光量を照射して、室内温度20〜25℃、湿度70〜85%の環境条件で栽培を行う。
このようにして、播種してから3〜6か月程度、栽培ラックで栽培する。桑の苗には成長差があるが、1〜2週間毎に剪定作業を行って、照明への接触を防止したり風通しを良好に保つ。播種から6か月程度の栽培で根部が約15〜30cmになるまで成長するので、これから本発明の桑の根を採取することができる。
次に、採取した根を洗浄し乾燥する。乾燥は、乾燥機温度40〜60℃で24〜36時間乾燥を行い、桑根水分を5〜10%になるまで乾燥する。乾燥室または乾燥機内の湿度を除湿器などを用いて20〜30%にすることで乾燥時間を短縮してもよい。
このようにして得られた本発明の桑の根の乾燥体は、必要に応じて適宜粉砕加工して、各種用途に用いることができる。粉砕には、生薬を粉砕するのに通常使用される各種粉砕機、例えばハンマーミル、石臼型粉砕機などを用い、目的とする粒径に応じて適宜選択して使用することができる。
また、本発明の桑の根の乾燥体またはそれから得られた粉末から抽出物を得て、それを用いることもできる。抽出には、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法を使用することができる。例えば、抽出に使用する溶媒(抽出溶媒)を入れた槽内に、適宜粉砕されて粉末状になっていてもよい桑の根の乾燥体を入れ、静置若しくは必要に応じて撹拌しながら、可溶性成分を抽出する。得られた抽出物は、ろ過などにより固液分離し、固形分を除去し、必要に応じて精製して使用される。また、必要に応じてソックスレー抽出、炭酸ガス超臨界抽出法なども利用することができる。
抽出溶媒としては、例えば、水若しくは親水性有機溶媒、またはこれらの混合物(含水親水性有機溶媒)、あるいは非親水性有機溶媒を挙げることができる。水としては、特には制限されないが、精製水、イオン交換水、生理食塩水やそれらから調製される緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、またはリン酸緩衝生理食塩水)などを使用することができる。
また、親水性有機溶媒としては、例えば炭素数1〜6の低級アルコール、好ましくは炭素数1〜4の低級アルコール;炭素数1〜4の低級脂肪族ケトン;および炭素数2〜5の多価アルコール、好ましくは炭素数2〜4の多価アルコールを挙げることができる。ここで炭素数1〜4の低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、およびブタノールを挙げることができる。好ましくはメタノール、エタノール、プロピルアルコール、およびイソプロピルアルコールであり、より好ましくはメタノールおよびエタノールである。炭素数1〜4の低級脂肪族ケトンとしては、例えば、アセトン、およびメチルエチルケトンを挙げることができる。炭素数2〜4の多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、およびグリセリンを挙げることができる。好ましくは1,3−ブチレングリコールである。
非親水性有機溶媒としては、例えば炭素数2〜6の低級カルボン酸アルキルエステル、好ましくは炭素数3〜5の低級カルボン酸アルキルエステルを挙げることができる。炭素数3〜5の低級カルボン酸アルキルエステルとしては、例えば酢酸エチル、およびプロピオン酸エチルを挙げることができる。
抽出溶媒として含水親水性有機溶媒を用いる場合、抽出効率の観点から、含水親水性有機溶媒における親水性有機溶媒の含有率は10〜90容量%が好ましく、40〜70容量%がより好ましい。
抽出温度としては、抽出効率の点から、20℃以上、使用する抽出溶媒の沸点温度以下の範囲内を挙げることができ、例えば抽出溶媒として水を用いる場合には、50〜95℃を挙げることができ、この場合1〜4時間程度で抽出物を得ることができる。また、抽出溶媒として含水エタノールを用いる場合には、例えば40〜75℃を挙げることができ、この場合30分〜4時間程度で抽出物を得ることができる。但し、これらの条件に制限されるものではない。
抽出物は、必要に応じて、その後、精製されてもよく、精製方法としては、例えば、活性炭、吸着樹脂、またはイオン交換樹脂等を用いた精製方法を挙げることができる。
上記のようにして水耕栽培した桑の根の乾燥体から得られる抽出物は、ポリフェノール類(ムルベロシドA、クロロゲン酸、およびオキシレスベラトロール−3´-グルコシドなどの水溶性ポリフェノール類;ならびにオキシレスベラトロール、レスベラトロール、クワノンC、およびモルシンなどの脂溶性ポリフェノール類);ベンゾフラン類(モラシンなど);トリテルペン類;ならびにノジリマイシン類(1−デオキシノジリマイシンおよびファゴミンなど)を主な薬効成分として含むが、なかでもポリフェノール類(ムルベロシドA、クロロゲン酸、およびオキシレスベラトロール−3´-グルコシドなどの水溶性ポリフェノール類;ならびにオキシレスベラトロール、レスベラトロール、クワノンC、およびモルシンなどの脂溶性ポリフェノール類)を多く含有する。フラボノイド類は、脂溶性ポリフェノール類の一種であり、なかでもクワノンCおよびモルシンなどのプレニルフラボノイド類に代表される。
このように、本発明の水耕栽培した桑の根の乾燥体から得られる抽出物は、露地栽培により得られる桑白皮では極めて微量な成分であるオキシレスベラトロール、ムルベロシド、クワノン類を多く含むことを特徴とする。そしてこれらの成分を多く含むことで、血糖上昇抑制作用、血圧低下作用、抗酸化作用、がん細胞致死作用、脳神経細胞保護作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、鎮痛作用、鎮咳作用、抗ウイルス作用、抗菌作用、抗チロシナーゼ活性、α−グリコシダーゼ阻害作用などが期待される(Review of bioactive compounds from root barks of Morus plants (Sang-Bai-Pi) and their pharmacological effects. Hua Wei, Jing-Jing Zhu, Xiao-Qian Liu, Wei-Hong Feng, Zhi-Min Wang and Li-Hua Yan. Cogent Chemistry)。
抽出物に含まれる糖関連成分、ポリフェノール類およびフラボノイド類の含有量は、用いる抽出溶媒、抽出条件によって異なるので、抽出される成分内容をもとに応用目的を定めたエキスを調製するために、各種抽出条件(方法、溶媒、温度、時間など)が選択される。例えば抽出溶媒としてメタノールを用いた場合、抽出物には、没食子酸当量(フォーリンチオカルト法により測定)として例えば50mgE/g以上、好ましくは70mgE/g以上のポリフェノール類、クエルセチン当量(塩化アルミニウム法により測定)として例えば5mgE/g以上、好ましくは10mgE/g以上のフラボノイド類;酢酸エチルを用いた場合、没食子酸当量として例えば250mgE/g以上、好ましくは300mgE/g以上のポリフェノール類、およびクエルセチン当量として例えば100mgE/g以上、好ましくは150mgE/g以上のフラボノイド類;水を用いた場合、没食子酸当量として例えば10mgE/g以上、好ましくは30mgE/g以上のポリフェノール類、およびクエルセチン当量として例えば1mgE/g、好ましくは5mgE/g以上のフラボノイド類が含まれる。
なかでも特に有用な脂溶性ポリフェノール類の一種であり、プレニルフラボノイド類であるクワノンCおよびモルシンは、本発明の抽出物中、3.0mg/g以上、好ましくは5.0mg/g、更に好ましくは8.0mg/g以上含まれる。
用途
上記のようにして得られる本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物は、1−デオキシノジリマイシンなどの擬似糖、クロロゲン酸などの単純フェノール、ムルベロシドA、オキシレスベラトロール−3’−グルコシド、オキシレスベラトロール、レスベラトロールなどのスチルベン誘導体、クワノンC、およびモルシンなどの脂溶性ポリフェノール(プレニルフラボノイド類)の含量が桑白皮に比べると特段に高いという特徴を持つ。これらの成分の示す抗酸化性、抗炎症作用、α-グルコシダーゼ阻害作用、チロシナーゼ阻害活性、抗菌、抗ウイルス作用、がん細胞致死作用、インスリン抵抗性改善作用、抗肥満作用、脂質代謝改善作用、脳神経細胞損傷防御作用など多彩な機能から、従来の桑白皮の応用範囲に加えて例えば糖尿病、高血圧、肝機能障害、認知症、がん、または花粉症およびアトピー性皮膚炎を含むアレルギー疾患の処置用の医薬;石鹸、歯磨き、サプリメント、抗菌および抗ウイルスサニタリー製品、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品;例えば美白用の化粧料;育毛剤などに配合することができる。
医薬
医薬に配合する場合、その具体的な形態は、特に限定されない。例えば、本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物を医薬として用いる場合は、その形態または剤型として、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、ドリンク剤、シロップ剤、注射剤、輸液、点鼻剤、点眼剤、坐剤、貼付剤、噴霧剤などが挙げられる。
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物を配合した医薬には、医薬の形態または剤型に応じて、医薬の業界で公知の種々の成分や添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、薬剤学的に許容される賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、着色剤、溶剤、増粘剤、分散剤、pH調整剤、保湿剤、安定化剤、保存料、香料などを挙げることができる。また、特定作用強化のために他の天然物あるいはエキスなどを適宜配合した混合処方とすることができる。
これらの添加剤は、剤型などに応じて、適宜選択される。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤などの形態である場合には、用いる賦形剤としては、乳糖、蔗糖、グルコース、ソルビトール、ラクチトールなどの単糖または二糖類、コーンスターチ、ポテトスターチのような澱粉類、結晶セルロース、軽質シリカゲル、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。
結合剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、アラビアガム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩、メチルセルロース、結晶性セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドンがなど挙げられる。
崩壊剤としては、澱粉類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステルなどが、滑沢剤としては、タルク、ロウ、蔗糖脂肪酸エステル、水素添加植物油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどが、流動性促進剤としては、無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物を含む医薬は、各種医薬用途、例えば糖尿病、高血圧、肝機能障害、認知症、がん、または花粉症およびアトピー性皮膚炎を含むアレルギー疾患の処置に用いることができる。投与方法としては、例えば、経口、注射、経皮、点鼻、点眼、経腸、直腸内などから適宜選択することができる。1日当たりの投与量は、その製剤形態、投与方法や経路、対象者の年齢および体重、疾患の重症度などによって異なるが、例えば水耕栽培された桑の根の乾燥体の抽出物を経口投与する場合、ヒトでは、一般的には、抽出物の量として約0.01mg〜10mg/kg体重/日、好ましくは約0.1〜約10mg/kg体重/日、最も好ましくは約1.0〜5.0mg/kg体重/日を、一度にまたは分割して、投与することができる。
石鹸、歯磨き、サプリメント、抗菌および抗ウイルスサニタリー製品、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物は、石鹸、歯磨き、サプリメント、抗菌および抗ウイルスサニタリー製品、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品にも配合することができる。サプリメント、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品に配合する場合、その配合量は、上述の医薬に配合した場合の投与量に準じて適宜決定することができる。石鹸、歯磨きについても、配合量は、必要に応じて適宜決定することができるが、石鹸に配合する場合、石鹸全体に対して例えば、抽出物として約0.01〜10mg/g、好ましくは約0.1〜1.0mg/g、歯磨きに配合する場合、歯磨きに対して例えば、約0.01〜10mg/g、好ましくは約0.1〜1.0mg/gとすることができる。抗菌および抗ウイルスサニタリー製品としては具体的には、手指消毒剤を挙げることができ、配合量は、必要に応じて適宜決定することができるが、例えば消毒スプレーに配合する場合、その配合量は、例えば抽出物として約0.01〜10mg/g、好ましくは約0.1〜1.0mg/gとすることができる。また、手指消毒剤のほか、抗菌、抗インフルエンザマスク、褥瘡用消毒綿、消毒用噴霧剤、入れ歯洗浄保存液などを挙げることができ、配合量は、必要に応じて適宜決定することができるが、例えば 消毒用噴霧剤に配合する場合、その配合量は、例えば抽出物として約0.1〜0.5mg/g、好ましくは約0.2〜0.4mg/gとすることができる。
化粧料
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物は、各種化粧料、特に美白用化粧料に配合することができる。また、抽出物自体を化粧料としてもよい。化粧料の種類としては、特に制限はなく、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、アストリンゼント、ヘアートニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、ボディシャンプー、シャンプー、リンスなどが挙げられる。
かかる化粧料には、更に必要に応じて本発明の目的および作用効果を損なわない範囲で、化粧料の製造に通常使用される各種主剤、助剤、その他の成分を添加することができる。その他の成分は、本発明の抽出物の効果を妨げない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが挙げられる。
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物を化粧料に配合する場合の配合量は、用途に応じて適宜決定することができる。例えば、美白用の美容液の場合、本発明の抽出物を、約0.01〜10mg/ml、好ましくは約0.1〜1mg/ml、クリームの場合、水耕栽培された桑の根の乾燥体の抽出物を、約0.01〜10mg/g、好ましくは約0.1〜1mg/g、配合することができる。
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物を含む美容液またはクリームなどの化粧料は、必要に応じて適宜適用することができる。乾燥体の抽出物を含む美容液またはクリームを適用する場合、1回当たり抽出物として約0.002〜2mg、好ましくは約0.05〜0.2mgが適用される量の美容液またはクリームを1日2〜5回皮膚に適用することができる。
育毛剤
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物は、育毛剤にも配合することができる。かかる育毛剤の剤型としては、例えば、ヘアートニック、ヘアリキッドなどが挙げられる。
かかる育毛剤には、更に必要に応じて本発明の目的および作用効果を損なわない範囲で、育毛剤の製造に通常使用される各種主剤、助剤、その他の成分を添加することができる。その他の成分は、本発明の抽出物の効果を妨げない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが挙げられる。
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物を育毛剤に配合する場合の配合量は、適宜決定することができる。例えば、ヘアートニックの場合、水耕栽培された桑の根の乾燥体の抽出物を、約0.01〜10mg/ml、好ましくは約0.1〜1mg/ml、配合することができる。
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体、または乾燥体の抽出物を含む育毛剤は、必要に応じて適宜適用することができる。乾燥体の抽出物を含む育毛剤を適用する場合、1回当たり抽出物として約0.002〜2mg、好ましくは約0.05〜0.2mgが適用される量の育毛剤を1日2〜5回頭皮に適用することができる。
以下に、例を示して、本発明をより具体的に説明する。
実施例1:桑の水耕栽培
図1〜図7に示すように、薄型の水槽2;水槽2を保持するフレーム1;水槽2に、桑の成長に必要な栄養分を含む養液を供給する給水路11;桑の苗を固定させ、水槽上部に配置される栽培パネル31;栽培パネル31に固定された桑の苗に光を照射するための照明3;を備える水耕栽培システムを構築した。水槽は、養液が水槽内で留まることなく一定の速度で流れるように、養液の上流側が高くなるように設置した。給水路11には、複数の穴を設けて、給水路に供給される養液を水槽2内に供給させた。
桑の苗としては、ウレタンフォームに桑園から採取した桑の種子(一ノ瀬)を播種し、プラスチックトレイに水を張り、温度20〜25℃、湿度40〜60%の暗所で発芽させ、その後蛍光灯下(照度160lx)で育苗し、全長約10cmまで成長させた桑の苗を用いた。
水槽2の上面に、桑の苗を植えるための孔を有する栽培パネル31を配置し、栽培パネル31に設けられた孔に桑の苗を植えた。その後、システムに養液を流速3〜5cm/秒で流し、温度20〜25℃、湿度40〜60%、光照射条件(平均照度 160lx)で、3カ月栽培を行った。
養液の組成は、以下のとおりであった。
養液は、ウォーターファーム1号(清和肥料工業株式会社)150gと硝酸石灰100gを100Lに溶解し、pH6.4となるように調整したものを用いた。
このようにして水耕栽培により桑を3カ月間栽培したところ、根部と地上部とを合わせ全長約80cmの桑が得られた(地上部約60cm、根部約20cm)。3か月水耕栽培して得られた桑の写真を図8に示す。桑を栽培パネル31からはずし、根の部分を切断して、本発明の水耕栽培された桑の根を得た。本発明の水耕栽培された桑の根は、コルク層を多く含む主根が少なく、ほとんどがひげ根であった。本発明の水耕栽培された桑の根の写真を図9に示す。
この根を水で洗浄し、45℃で24時間、乾燥することによって、本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体を得た。
次に、得られた本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体を小型粉砕機(ミニスピードミルMS−05ラボネクト株式会社)を用いて粉砕後、更にφ0.1mmのふるいを通じて、粒径約0.1mmの粉末を得た。
比較例1:桑の露地栽培
従来行われている方法を用いて、桑を露地栽培した。具体的には、市販のプランターに市販培養土(花・野菜の培養土、アイリスオーヤマ社製)を入れ、そこにあらかじめ発根させた桑の種子を25cm間隔で播種した。種子は実施例1の水耕栽培のものと同一のものを用いた。栽培は5月から8月の3ヶ月間行い、追肥はせず適宜潅水し栽培した。3か月後に桑の木を掘り上げ、掘り上げた桑の木から根を切断した。露地栽培された桑の根は、主に主根と側根から構成され、細根はわずかであった。露地栽培された桑の根の写真を図10に示す。
実施例2:抽出物の調製
実施例1で得られた本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体の粉末、および露地栽培された桑の根の乾燥体の粉末から抽出物を得た。露地栽培された桑の根の乾燥体の粉末は、市販の局方桑白皮(株式会社小島漢方、中国産)を小型粉砕機(ミニスピードミルMS−05ラボネクト株式会社)を用いて粉砕後、更にφ0.1mmのふるいを通じて得た。
抽出物の調製に際しては、本発明の乾燥体の粉末25.053g、および桑白皮粉末25.003gを70%メタノールにより24時間常温で抽出し、減圧濃縮後に凍結乾燥してメタノール抽出物を得た。次いで、メタノール抽出物を酢酸エチルと水(1:1)で分画し、酢酸エチル画分(AcOEt画分)および水画分を得た。各画分を減圧濃縮後凍結乾燥して、本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体の酢酸エチル抽出物0.941g、および水抽出物3.908g、ならびに桑白皮の酢酸エチル抽出物0.348gおよび水抽出物4.902gを得た。以上の工程を図11に示す。
実施例3:総ポリフェノール量および総フラボノイド量の定量
実施例2で得られた本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体ならびに桑白皮それぞれのメタノール抽出物、酢酸エチル抽出物および水抽出物に含まれる総ポリフェノール量および総フラボノイド量を測定した。総ポリフェノール量は、以下に述べるフォーリンチオカルト法を用い、没食子酸当量として算出した。また、総フラボノイド量は、以下に述べる塩化アルミニウム法を用い、クエルセチン当量として算出した。
フォーリンチオカルト法
試験管に蒸留水2mLと70%メタノールで溶解したサンプル50μLを加えてボルテックスミキサーを用いて十分に撹拌し、蒸留水で5倍希釈したフォーリンチオカルト試薬(Merck社)を500μL加えて混和し、正確に8分間静置した。その後、10%炭酸ナトリウム水溶液500μLを加えて混和し、暗所で30分間静置後、分光光度計を用い、750nmの吸光度を測定した。標品として没食子酸を用い、10〜500μL/mLの濃度で検量線を作成し、各サンプル中の総ポリフェノール濃度を没食子酸当量として算出した。各サンプルにつき3回測定を行った。
塩化アルミニウム法
試験管に70%メタノール600μLと5%硝酸ナトリウム水溶液60μL、70%メタノールで溶解したサンプル100μLを加えて十分に撹拌し、正確に5分間静置した。次に10%塩化アルミニウム水溶液を60μL加えて撹拌し、正確に5分間静置した。その後1mM水酸化ナトリウム水溶液400μLと70%メタノールを2000μL加え、分光光度計を用いて430nmの吸光度を測定した。標品としてクエルセチンを用い、10〜500μL /mLの濃度で検量線を作成し、各サンプル中の総フラボノイド濃度をクエルセチン当量として算出した。各サンプルにつき3回測定を行った。
更に、LC/MSを用いて主要なポリフェノール類の定量を行った。LC/MSの分析条件を表1に、LC/MS定量分析に使用した化合物を表2に示す。
Figure 2021122255
Figure 2021122255
各抽出物の総ポリフェノール量および総フラボノイド量を図12に示す。図12のグラフ中、黒色の棒グラフは、本発明の各抽出物、白色の棒グラフは、桑白皮の各抽出物の総ポリフェノール量および総フラボノイド量を表す。図12に示されるとおり、メタノール抽出物中の総ポリフェノール量は、本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体の抽出物で109.87±4.61mgE/g、桑白皮の抽出物で33.52±1.76mgE/gであり、本発明の抽出物の方が有意にポリフェノール含有量が高かった。また、メタノール抽出物中の総フラボノイド量も同様に本発明の抽出物で16.65±1.01mgE/g、桑白皮の抽出物で1.19±0.14mgE/gであり、本発明の抽出物の方が、桑白皮の抽出物よりも顕著に高いフラボノイド含有量を有していた。
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体および桑白皮のメタノール抽出物のHPLCクロマトグラム(検出波長280nm)を図13に示す。図13から明らかなように、本発明の抽出物は、桑白皮の抽出物とは大きく異なる構成成分を有していた。
更に、本発明の抽出物と桑白皮の抽出物に含まれる主要ポリフェノール類の定量分析を以下のように行った。
抽出した各サンプルを70%メタノールで溶解したものを0.45μm孔のフィルターを用いて濾過し、濾液を分析に供した。分析条件は表1の通りに行い、定量サンプルについてはジオメスチン(Sigma-Aldrich Co. LLC)を内部標準とした内部標準法を用いて定量を行った。定性分析では、各サンプルのメタノール画分、酢酸エチル画分、水画分と水耕栽培桑根の酢酸エチル画分から更に単離したピーク1−1、1−2、2、3、4についてエレクトロイオン化スプレー法を用いてスキャンを行い、m/z 100〜1000の範囲で正イオン(positive)及び負イオン(negative)の両モードで検出を行った。
定性及び定量用の標品はレスベラトロール(富士フイルム和光純薬株式会社)、オキシレスベラトロール(東京化成工業株式会社)、オキシレスベラトロール3’−O−β−D−グルコピラノシド(Chem Faces)、クロロゲン酸(Sigma-Aldrich Co. LLC)、クエルセチン(富士フイルム和光純薬株式会社)、イソクエルシトリン (Sigma-Aldrich Co. LLC)、アストラガリン(Chem Faces)、ケンフェロール(Chem Faces)、ムルベロシドA(Chem Faces)、ムルベリン(Chem Faces)、モルシン(Chem Faces) を用い、10〜100μg/mLの範囲で検量線を作成した。主要ポリフェノール類の定量結果を表3に示す。
Figure 2021122255
表3に示されるとおり、本発明の抽出物では、特にオキシレスベラトロール類(ムルベロシドA、オキシレスベラトロール−3’−グルコシド、オキシレスベラトロール)の含有量が桑白皮と比較して非常に高かった。また、プレニルフラボノイド類であるクワノンCやモルシンの含有量も桑白皮と比較して非常に高かった。
実施例4:抽出物の機能性分析
本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体および露地栽培された桑の根の乾燥体の抽出物のチロシナーゼ阻害活性および抗酸化活性を検討するために、実施例2に記載した方法で、本発明の水耕栽培された桑の根の乾燥体および局方桑白皮それぞれのメタノール抽出物、酢酸エチル抽出物および水抽出物を凍結乾燥体として調製した。各抽出物について70%メタノールで適宜段階希釈を行い、それらを更に1/10希釈したものを用いて、チロシナーゼ阻害活性試験、および抗酸化活性試験を行った。また調製時に溶解できなかった濃度については実験を行わなかった。
チロシナーゼ阻害活性試験
以下に述べる方法でマッシュルーム由来チロシナーゼを用い、L−DOPAを基質として用い、一定時間後吸光度(490nm)を測定して、本発明の抽出物および桑白皮の抽出物の各画分のチロシナーゼ50%阻害率(IC50値)を算出した。
96穴プレートに0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)100μL、50u/mL マッシュルーム由来チロシナーゼ(Sigma)40μL及びサンプル10μLを加えてマイクロプレートミキサーで撹拌し3分間室温でプレインキュベーションし、2.5mML−DOPAを50μL加えて直ちに490nmの吸光度を測定した(0分)。その後正確に10分間室温でインキュベートし、再び490nmの吸光度を測定した(10分)。リン酸緩衝液、チロシナーゼ、サンプルを入れる系をA、チロシナーゼの代わりに緩衝液を加える系をB、サンプルの代わりに7%メタノール溶液を加える系をCとし、次式よりチロシナーゼ阻害率を算出した。
Figure 2021122255
各濃度につき3回測定を行った。結果を表4に示す。
Figure 2021122255
本発明のメタノール抽出物のチロシナーゼに対するIC50値は0.019mg/mLであり、本発明のメタノール抽出物は、桑白皮のメタノール抽出物のIC50値(0.769mg/ml)と比較すると、約40倍高いチロシナーゼ阻害活性を有することが認められた。また、陽性対照であるコウジ酸と比較しても、約2.5倍高い阻害活性が認められた。酢酸エチル抽出物および水抽出物についても同様に桑白皮の抽出物と比較して高いチロシナーゼ阻害活性が認められ、本発明の抽出物が顕著に高いチロシナーゼ阻害活性を有していることが認められた。チロシナーゼは、チロシンからメラニンを生成する過程で作用する酵素であるため、高いチロシナーゼ阻害活性を有する本発明の抽出物が、優れた美白作用を有することが確認された。
抗酸化活性試験
DPPH法を用い、抗酸化活性をトロロックス当量として算出した。結果を表5に示す。
DPPH法を用い、抗酸化活性をトロロックス当量として算出した。具体的には、メタノール20mLと0.2M MES 20mLを加え混合し、最後に0.4mM DPPH溶液を20mL加え、DPPH混合溶液を調製し、DPPH混合溶液2mLに対し、各サンプルを70%メタノールで溶解したものを1mL加え、添加後10分後に520nmでの吸光度を測定した。ブランクとして70%メタノール、コントロールとしてトロロックス(Sigma)溶液を用いた。トロロックス溶液は段階稀釈し(10、25、50、75、100、150μM)得られた吸光度から回帰直線を作成し、各サンプル1mgあたりのDPPHラジカル消去活性をトロロックス当量として算出した。
Figure 2021122255
本発明の抽出物のメタノール抽出物のDPPHラジカル消去活性は、桑白皮のメタノール抽出物のDPPHラジカル消去活性よりも高いことが認められた。
本発明の水耕栽培された桑の根は、柔らかであり、かつ根全体を効率的に使用できる。また、本発明の水耕栽培された桑の根、および桑の根から得られる抽出物には、ポリフェノール類に代表される有用な成分が多く含まれるので、糖尿病、高血圧、肝機能障害、認知症、がん、または花粉症およびアトピー性皮膚炎を含むアレルギー疾患の処置用などの各種医薬;石鹸、歯磨き、サプリメント、抗菌および抗ウイルスサニタリー製品、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品;美白用などの化粧料;育毛剤;などとして用いることができる。
1…フレーム
2…水槽
3…照明
4…ポンプ
5…水路
11…給水路
21…ブリッジ
22…排水口
23…排水路
25…給水路
31…栽培パネル
41…スペーサー

Claims (12)

  1. 水耕栽培された桑の根。
  2. 水耕栽培された桑の根の乾燥体。
  3. 水耕栽培された桑の根の乾燥体の抽出物。
  4. ポリフェノール類を没食子酸当量として250mgE/g以上含む、請求項3記載の抽出物。
  5. クワノンCおよびモルシンから選択される脂溶性ポリフェノール類を3.0mg/g以上含む、請求項3記載の抽出物。
  6. フラボノイド類をクエルセチン当量として100mgE/g以上含む、請求項3記載の抽出物。
  7. 請求項2記載の乾燥体、または請求項3〜6のいずれか1項記載の抽出物を含む、医薬。
  8. 糖尿病、高血圧、肝機能障害、認知症、がん、または花粉症およびアトピー性皮膚炎を含むアレルギー疾患の処置用の請求項7記載の医薬。
  9. 請求項2記載の乾燥体、または請求項3〜6のいずれか1項記載の抽出物を含む、石鹸、歯磨き、サプリメント、抗菌および抗ウイルスサニタリー製品、加工食品、ドリンク剤、または栄養補助食品。
  10. 請求項2記載の乾燥体、または請求項3〜6のいずれか1項記載の抽出物を含む、化粧料。
  11. 美白用である、請求項10記載の化粧料。
  12. 請求項2記載の乾燥体、または請求項3〜6のいずれか1項記載の抽出物を含む、育毛剤。

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