JP2021119794A - 緑色食品用退色抑制剤 - Google Patents

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正樹 田木
剛 亀谷
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剛 亀谷
通雄 笠井
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通雄 笠井
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Abstract

【課題】本発明の課題は、様々な種類の緑色食品において、誰でも簡便に実施できると共に、光照射下での長期にわたる保存時においても、緑色の退色を抑制するための退色抑制剤、緑色の退色が抑制された緑色食品及びその製造方法、並びに、緑色の退色を抑制する方法を提供することである。【解決手段】緑色食品に、中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上となるように含有させて、退色が抑制された緑色食品を製造する。また、前記緑色食品としては、液体状食品が好ましく、バジルソース等のソース類がより好ましい。【選択図】図5

Description

本発明は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする緑色食品用退色抑制剤および当該退色抑制剤を含む緑色の退色が抑制された緑色食品に関する。より詳しくは、光照射下での長期にわたる保存時においても、緑色の退色が抑制された緑色食品及びその製造方法並びに緑色食品の退色抑制方法にも関する。
緑色食品は、鮮やかな緑色を有するため、食卓に彩りを与え、食欲を増進するとともに、食事に対しては栄養価を与える重要な食品である。しかしながら、緑色食品は、製造後、一定時間を経過すると、鮮やかな緑色が失われ、退色してしまうことが良く知られている。この原因の1つは、クロロフィルがフェオフィチンへ分解されるためであるといわれている。クロロフィルは酸性状態では分解されやすく、加熱を受けたりあるいは光照射を受けたりすると容易に退色を引き起こすことが知られている。また、クロロフィルは比較的安定な中性もしくは弱アルカリ性状態下でも、光(特に紫外線)を受けると分解されやすいことが知られている。一方、近年、緑色食品は、特に加工食品として、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの棚に陳列されて販売されることが多くなってきている。このような場合、蛍光灯などによる光照射下での保存が避けられないため、緑色食品の退色が非常に起こりやすいという問題があった。
従来技術における緑色の退色抑制剤としては、例えば、フェルラ酸またはそのアルカリ金属塩を有効成分として含有する、クロロフィルの分解防止剤が知られている(特許文献1)。
また、ミネラル含有乳酸菌体と、有機酸及びその塩からなる群より選ばれた1種以上の化合物とを含有する、クロロフィル含有食品の緑色の退色防止剤又は退色した緑色復元剤が知られている(特許文献2)。
さらに、リゾチーム、グリシン乃至その塩、有機酸乃至その酸性塩、酢酸ナトリウム、酸化防止剤、及び炭酸塩を含有する、緑色野菜の日持向上及び退色防止剤が知られている(特許文献3)。
しかしながら、これらの退色抑制剤はいずれも独特の風味があるため、様々な種類の緑色食品に対して使用しづらいという欠点があった。また、これらの有効成分は一般に容易入手可能なものではなく、誰でも簡便に実施できるものではなかった。そこで、様々な種類の緑色食品において、誰でも簡便に実施できる退色抑制剤が求められていた。
特開2000−041622号公報 特開2006−217914号公報 特開2015−000018号公報
本発明の課題は、様々な種類の緑色食品において、誰でも簡便に実施できると共に、光照射下での長期にわたる保存時においても、緑色の退色を抑制するための退色抑制剤、緑色の退色が抑制された緑色食品及びその製造方法、並びに、緑色の退色を抑制する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、緑色食品に対して、中鎖脂肪酸トリグリセリドを特定量配合することにより、本課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様によれば、中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする、緑色食品用退色抑制剤を提供することができる。
また、本発明の一態様によれば、有効成分である中鎖脂肪酸トリグリセリドが中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む油脂の全質量に対して5質量%以上含有する、緑色食品用退色抑制剤を提供することができる。
さらに、本発明の一態様によれば、緑色食品と、上記退色抑制剤とを含有する、退色が抑制された緑色食品を提供することができる。
そして、本発明の好ましい一態様によれば、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上である、上記緑色食品を提供することができる。
そして、本発明のより好ましい一態様によれば、前記緑色食品が、液体状食品である、上記緑色食品を提供することができる。
また、本発明の一態様によれば、緑色食品と、中鎖脂肪酸トリグリセリドとを、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上となるように混合する工程を含む、退色が抑制された緑色食品の製造方法を提供することができる。
そして、本発明のより好ましい一態様によれば、前記緑色食品が、液体状食品である、上記製造方法を提供することができる。
また、本発明の一態様によれば、緑色食品と、中鎖脂肪酸トリグリセリドとを、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上となるように混合する工程を含む、緑色食品に退色を抑制する方法を提供することができる。
そして、本発明のより好ましい一態様によれば、前記緑色食品が、液体状食品である、上記方法を提供することができる。
本発明によれば、一般に容易入手可能な中鎖脂肪酸トリグリセリドを緑色食品に特定量含有させることにより、緑色の退色が抑制された緑色食品を誰でも簡便に製造することができる。
また、本発明の退色が抑制された緑色食品は、光照射下での長期にわたる保存時においても、退色が十分に抑制され得るため、製造直後の緑色を維持することも可能であり、そのため大変嗜好性が高く、従来の緑色食品では満足できなかった人々の需要に応えることができる。特に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの棚で長期にわたり陳列される加工食品(例えば瓶詰のソース類等)に対して、本発明は好適に使用することができる。
さらに本発明は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする、緑色食品用退色抑制剤や緑色食品の退色を抑制する方法を提供することができる。中鎖脂肪酸トリグリセリドはそれ自体に独特の風味がなく、ほぼ無味無臭であるので、どのような種類の緑色食品に加えても、当該緑色食品本来の風味を損なうことがなく、むしろ、当該緑色食品本来の風味を引き立たせる可能性さえあるので、様々な緑色食品に対して、本発明は好適に使用することができる。
退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルAである、保存後1週間における1000lx下で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルAである、保存後1週間における暗所(10℃)で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルAである、保存後2週間における1000lx下で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルAである、保存後2週間における暗所(10℃)で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルAである、保存後1か月における1000lx下で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルAである、保存後1か月における暗所(10℃)で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルBである、保存後1か月における1000lx下で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルBである、保存後1か月における暗所(10℃)で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルCである、保存後1か月における1000lx下で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルCである、保存後1か月における暗所(10℃)で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルDである、保存後1か月における1000lx下で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルDである、保存後1か月における暗所(10℃)で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルEである、保存後1か月における1000lx下で保存したバジルソースのa値を示す図である。 退色抑制剤の有効成分が中鎖オイルEである、保存後1か月における暗所(10℃)で保存したバジルソースのa値を示す図である。
[緑色食品用退色抑制剤]
本発明の一態様は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分として含有する、緑色食品用退色抑制剤である。以下、当該緑色食品用退色抑制剤について詳しく説明する。
[構成脂肪酸]
本発明の緑色食品用退色抑制剤は、油脂の1種である中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分として含有する。当該、中鎖脂肪酸トリグリセリド(本明細書では、「MCT」又は「中鎖オイル」ということもある)は、構成脂肪酸が炭素数6〜12の中鎖脂肪酸のみから構成されているトリアシルグリセロールである。例えば、グリセロールにオクタン酸(炭素数8)又はデカン酸(炭素数10)が3分子エステル結合した単酸基又は混酸基トリアシルグリセロールが挙げられる。また、本発明において用いられる中鎖脂肪酸トリグリセリドは、例えば、複数種の中鎖脂肪酸トリグリセリドの混合物であってもよい。また、本発明では、炭素数が8及び/又は10である中鎖脂肪酸のみから構成されていることがより好ましい。また、後述するように、炭素数8又は炭素数10の中鎖脂肪酸のみから構成されるものであっても効果を有するので、炭素数8と炭素数10の中鎖脂肪酸の比率は任意であって構わないが、その比率は75:25〜30:70であることがさらに好ましい。
また、液体状、固体状、または粉末体状など、中鎖脂肪酸トリグリセリドの形態は特に問わない。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドの形態は対象とする緑色食品の形態にも依存するが、取扱いの容易性等を考慮すると、液体状であることがより好ましい。
本発明で使用される中鎖脂肪酸トリグリセリドは、従来公知の方法で製造できる。例えば、炭素数8及び/又は炭素数10の脂肪酸(必要に応じて他の中鎖脂肪酸も含み得る)とグリセロールとを、触媒下、好ましくは無触媒下、また、好ましくは減圧下で、50〜250℃、より好ましくは120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。
ここで、触媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、通常のエステル交換に用いられる酸触媒又は塩基触媒等を使用することができる。減圧下とは、例えば、0.01〜100Pa、好ましくは、0.05〜75Pa、より好ましくは、0.1〜50Paである。このとき系内の水分は少ない方が好ましく、更に好ましくは0.2質量%以下である。
本発明の緑色食品用退色抑制剤は、有効成分であると上述した中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有したものであればよく、この他に、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、ココアバター等やこれらの混合油、加工油脂等の他の油脂、デキストリン、澱粉等の賦形剤、その他の添加剤等を含有させたものであってもよい。しかしながら、これら有効成分以外の他の成分は、その量が多くなればなるほど退色抑制効果に悪影響を及ぼす可能性もあることから、本発明の緑色食品用退色抑制剤は、中鎖脂肪酸トリグリセリドのみからなるか、もしくは中鎖脂肪酸トリグリセリドと他の油脂との組み合わせのみからなることが好ましい。
但し、中鎖脂肪酸トリグリセリド含有量は、本発明の緑色食品用退色抑制剤中の中鎖脂肪酸トリグリセリドと他の油脂とを合わせた油脂の全質量の5質量%以上となることが好ましい。これは後述するように、前述の有効成分である中鎖脂肪酸トリグリセリドが中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む油脂の全質量に対して5質量%以上含まれていないと所望の効果が得られないことによる。また、退色抑制効果は、原則、有効成分である中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量に比例して生じると推測されるため、本発明の緑色食品用退色抑制剤中の中鎖脂肪酸トリグリセリドと他の油脂とを合わせた油脂の全質量に対する、中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量は、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、殊更好ましくは20質量%以上である。もちろん、油脂のすべて(つまり油脂の100質量%)が中鎖脂肪酸トリグリセリドであってもよい。
他方、後述するように、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類によっては、5〜10質量%程度のところに効果のピークがある可能性も想定されるので、場合によっては、例えば、5〜20質量%であることも好ましく、5〜15質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることもさらに好ましい。
なお、本発明のメカニズムについては定かでないが、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、他の油脂に比べて水への相溶性が高いため、一定濃度以上になるとクロロフィルの周りに存在する水を排除し、中鎖脂肪酸トリグリセリドがクロロフィルの周りを取り囲んで、クロロフィルを光分解から保護し退色を抑制しているとも考えられる。しかし、ここで説明したメカニズムは本発明の理解する上での参考程度にすぎず、本発明はこのメカニズムによって何ら制限されない。
[緑色食品]
本発明の好ましい態様は、緑色食品と、上記緑色食品用退色抑制剤とを含有することを特徴とする、退色が抑制された緑色食品を含む。ここで、本発明の「緑色食品」とは、クロロフィルを多少なりとも含んでいる食品又は食品素材であって、中鎖脂肪酸トリグリセリドのような油脂を含むことができるものであれば、特に制限されない。
本発明で用いられる「緑色食品」の例としては、例えば、バジルソース、ホウレンソウソース、グリンピースソース等のソース類、抹茶、緑茶、青汁などの飲料類、エンドウマメスナック、グリンピーススナック等のスナック類、メロンシャーベット、抹茶アイスクリーム等の冷菓類、メロンゼリー、抹茶プリンなどのデザート類、メロンケーキ、抹茶クッキー等の菓子類、抹茶蒸しパン、ホウレンソウパン等のパン類、マスカットラムネ、タブレット等の錠菓類などの固体状もしくは液体状食品が挙げられる。さらに、粉末抹茶チョコレート、粉末緑色ドレッシング、海苔ふりかけ等の粉末状もしくは顆粒状食品も挙げられる。本発明の緑色食品としては、ソース類等の液体状食品が好ましい。液体状食品は水分を多く含むため光照射による退色が起こりやすいが、本発明によれば、このような水分を多く含む液体状食品であっても、光照射による退色を十分に抑制することができる。このことは本発明の重要な特徴の1つである。なお、液体状食品の中でもソース類がより好ましく、特にバジルソースがさらに好ましい。
[退色が抑制された緑色食品中の中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量]
本発明の退色が抑制された緑色食品は、上記緑色食品と、上記緑色食品用退色抑制剤とを含有する。特に、中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して、1.5質量%以上であることが適当である。これは後述するように、前述の有効成分である中鎖脂肪酸トリグリセリドが中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上ないと所望の効果が得られないことによる。また、本発明の退色が抑制された緑色食品に含まれる、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量は、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して、1.8質量%以上であることがより好ましく、2.0質量%以上であることがさらに好ましく、3.9質量%以上であることが殊更好ましく、7.9質量%以上であることが最も好ましい。
他方、後述するように、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類によっては、2.0〜3.9質量%程度のところに効果のピークがある可能性も想定されるので、場合によっては、例えば、2.0〜3.9質量%であることも好ましく、2.5〜3.5質量%であることがより好ましく、2.8〜3.3質量%であることもさらに好ましい。
そして、退色が抑制された緑色食品に含まれる中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が上記範囲内にあると、光照射下で長期にわたり保存しても(例えば、1か月程度保存しても)、製造直後の緑色が維持されることもあり、中鎖脂肪酸トリグリセリドが含まれていない無添加区と比べて明らかに退色が抑制された、嗜好性の高い緑色食品が得られるので好ましい。
[退色が抑制された緑色食品の製造方法]
以下、本発明の退色が抑制された緑色食品の製造方法について順を追って記述する。
本発明の退色が抑制された緑色食品の製造方法は、上述したような緑色食品を原料とし、該緑色食品と中鎖脂肪酸トリグリセリドとを、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上となるように混合する工程を含む。
ここで、原料となる緑色食品、中鎖脂肪酸トリグリセリド、当該中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量の定義や好ましい範囲などについては上述のとおりである。
本発明の緑色食品と中鎖脂肪酸トリグリセリドとの混合は、従来から公知の方法に従って行うことができる。具体的には、例えば、まず、従来公知の方法で緑色食品又はその原材料を用意する。そして、この緑色食品又はその原材料に、上記中鎖脂肪酸トリグリセリドを添加し、例えば、良く撹拌して、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドが該緑色食品又はその原材料中に十分に分散又は乳化された状態の緑色食品を得る。この緑色食品をそのまま喫食することもあるが、必要に応じて、例えば、煮る、蒸す、焼く、揚げる、冷やすなどの調理工程を行い、上述した緑色食品を完成することもある。つまり、本発明における「混合する工程」とは、既に最終形態にある緑色食品に、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドを混合する場合もあれば、最終形態にない緑色食品の原材料に前記中鎖脂肪酸トリグリセリドを混合する場合も含み得る。後者の場合、その後の調理工程を経て、最終形態の緑色食品が出来上がる。ここで、混合の温度は、緑色食品に応じて異なるが、一般に常温(20℃)程度であればよく、攪拌には、通常の攪拌で常用されるミキサー、パドルミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、流動層ミキサー、Vブレンダー、ホモゲナイザー等の機械器具を用いることができる。
[緑色食品に退色を抑制する方法]
ところで、以上述べたように、中鎖脂肪酸トリグリセリドを緑色食品に添加すると、緑色の退色が抑制された、外観が良く、嗜好性の高い緑色食品へと改変することができることから、本発明は、緑色食品と中鎖脂肪酸トリグリセリドとを、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上となるように混合する工程を含む、緑色食品に退色を抑制する方法にも関する。
ここで、原料として用いられる緑色食品、中鎖脂肪酸トリグリセリド、当該中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量の定義や好ましい範囲もしくは混合工程などについては、上述のとおりである。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を意味する。
油脂に含まれるトリアシルグリセロールの組成の分析は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)及び銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)を用いて行った。
油脂に含まれるトリアシルグリセロール(TAG)の有する構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)を用いて行った。
<原料油脂>
(1)中鎖脂肪酸トリグリセリド
中鎖オイルA(日清オイリオグループ株式会社製、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸がオクタン酸(炭素数8)とデカン酸(炭素数10)であり、前記トリグリセリドを構成する脂肪酸の割合(質量比)がオクタン酸:デカン酸=60:40である、炭素数8及び10の中鎖脂肪酸のみで構成されているトリグリセリド)
中鎖オイルB(日清オイリオグループ株式会社製、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸がオクタン酸(炭素数8)とデカン酸(炭素数10)であり、前記トリグリセリドを構成する脂肪酸の割合(質量比)がオクタン酸:デカン酸=75:25である、炭素数8及び10の中鎖脂肪酸のみで構成されているトリグリセリド)
中鎖オイルC(日清オイリオグループ株式会社製、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸がオクタン酸(炭素数8)とデカン酸(炭素数10)であり、前記トリグリセリドを構成する脂肪酸の割合(質量比)がオクタン酸:デカン酸=30:70である、炭素数8及び10の中鎖脂肪酸のみで構成されているトリグリセリド)
中鎖オイルD(日清オイリオグループ株式会社製、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸がオクタン酸(炭素数8)のみで構成されているトリグリセリド)
中鎖オイルE(日清オイリオグループ株式会社製、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸がデカン酸(炭素数10)のみで構成されているトリグリセリド)
(2)キャノーラ油
キャノーラ油(日清オイリオグループ株式会社製、商品名:日清キャノーラ油)
<退色抑制剤の調製>
下記表1に示した配合比率で、中鎖オイルAとキャノーラ油(油脂)とを合計100gとなるように混合し、実施例1〜2の退色抑制剤、比較例1〜3の油脂(前記退色抑制剤の対照)を調製した。
Figure 2021119794
<バジルソースの調製>
下記表2に示した配合で、バジルソースを製造した。具体的には、まず、松の実、アンチョビ、にんにくをフードプロセッサーに入れて20秒ほど撹拌混合し、次いで、実施例1〜2の退色抑制剤又は比較例1〜3の油脂と生バジルとを加えて、さらに3分間ほど撹拌混合し、製造した。以下、実施例1〜2の退色抑制剤又は比較例1〜3の油脂を含むバジルソースをそれぞれ実施例1〜2のバジルソース又は比較例1〜3のバジルソースと略していう。
Figure 2021119794
<光照射保存及び色度測定>
実施例1〜2、比較例1〜3のバジルソースを100mlのサンプル瓶に70g(グラム)ずつ取り、製造直後の色を、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。次に、10℃の暗所で保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で保存したものとについて、保存後(1週間後、2週間後、1か月後)の色を、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。
なお、色度の測定について、より具体的に説明すると、実施例1〜2、比較例1〜3のバジルソースを7gずつ採取し、色差計にセットし、L値(明度)、a値及びb値(いずれも色度)をそれぞれ測定した。ここで、a値は、大きければ大きいほど赤色を帯びており、小さければ小さいほど緑色を帯びていることを示すから、a値の値が対照よりも小さくなることを指標として、緑色の退色抑制効果を測定した。なお、L値は、大きければ大きいほど白色を帯びており、小さければ小さいほど黒色を帯びていることを示し、b値は、大きければ大きいほど黄色を帯びており、小さければ小さいほど青色を帯びていることを示す。
[実験例1]製造直後の退色抑制効果
上述のとおり、実施例1〜2、比較例1〜3のバジルソースを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、製造直後の色を測定した。その結果を以下の表3に示した。なお、表中の「配合比率」は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む油脂の全質量中の中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量を指す。また、「MCT含有率」は、バジルソース(退色が抑制された緑色食品)の全質量中に含まれる中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量(小数点第2位を四捨五入)を指す(以下同様)。
Figure 2021119794
上記表3をみると、製造直後のバジルソースでは、a値が概ね-6.0付近にあるため、中鎖脂肪酸トリグリセリドの配合比率及び含有量の差による、緑色の差異は大きく見られなかった。したがって、中鎖脂肪酸トリグリセリドそれ自体は緑色食品の緑色に影響を及ぼすものではないことがわかった。
[実験例2]保存1週間後の退色抑制効果
実施例1〜2、比較例1〜3のバジルソースを、10℃の暗所で1週間保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で1週間保存したものとを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、保存後の色を測定した。その結果をそれぞれ以下の表4〜5、図1〜2に示した。
Figure 2021119794
Figure 2021119794
上記表4〜5及び図1〜2をみると、1000xl光照射下で保存したものは、暗所で保存したもの(対照)と比較して、若干、緑色が退色しているように見えたものの、1週間程度の保存状態では、さほど緑色に差異が生じているとは感じられなかった。また、1000xl光照射下で保存したものどうしを比較しても、中鎖脂肪酸トリグリセリドの配合比率及び含有率の差によって、緑色の退色の差異はほとんど感じられなかった。
[実験例3]保存2週間後の退色抑制効果
実施例1〜2、比較例1〜3のバジルソースを、10℃の暗所で2週間保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で2週間保存したものとを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、保存後の色を測定した。その結果をそれぞれ以下の表6〜7、図3〜4に示した。
Figure 2021119794
Figure 2021119794
上記表6〜7及び図3〜4をみると、1000xl光照射下で保存したもの及び暗所で保存したものの両方において、中鎖脂肪酸トリグリセリドの配合比率及び含有量が多い実施例1、2では、当該配合比率及び含有量が少ない比較例1〜3と比較して、緑色の退色が抑制されているように感じられた。特に、1000xl光照射下において、中鎖脂肪酸トリグリセリドを全く配合してない比較例1との対比では、実施例1〜2の場合は、緑色の退色が抑制されていると考えられる。
[実験例4]保存1か月後の退色抑制効果
実施例1〜2、比較例1〜3のバジルソースを、10℃の暗所で1か月保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で1か月保存したものとを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、保存後の色を測定した。その結果をそれぞれ以下の表8〜9、図5〜6に示した。
Figure 2021119794
Figure 2021119794
Figure 2021119794
上記表8〜10及び図5〜6をみると、1000xl光照射下で1か月保存したものにおいて、中鎖脂肪酸トリグリセリドの配合比率及び含有量が多い実施例1、2では、当該配合比率及び含有量が少ない比較例1〜3と比較して、緑色の退色が明らかに抑制されていることがわかった。すなわち、例えば、比較例1は中鎖脂肪酸トリグリセリドを含まない、油脂のみからなる場合であるが、a値は1か月で1.84増加し、その分、緑色の退色が進行していると考えられる。他方、実施例1及び2はそれぞれ中鎖脂肪酸トリグリセリドを5%、10%含む場合であるが、a値は1か月でそれぞれ0.95、0.03しか増加しておらず、前述の比較例1に比べて、a値の変動が明らかに小さいので、緑色の退色が抑制されていることが理解できる。特に、中鎖脂肪酸トリグリセリドを10質量%配合している実施例2では、保存1か月後においても、製造時の緑色をほぼ維持しているといえるので、中鎖脂肪酸トリグリセリドの緑色退色効果は非常に高いことがうかがえる。なお、暗所で保存したものにおいては、いずれの場合も比較例1(中鎖脂肪酸トリグリセリドを全く含まない)と同等もしくはそれよりも退色した結果を示しており、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、光照射下における緑色の退色抑制効果を有していることがわかった。
次に、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸の比率を変えても、同等の効果が奏されることを確認するため、また、中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量に効果の上限があるかどうかを確認するために、以下の実験を実施した。
<退色抑制剤の調製>
下記表11に示した配合比率で、中鎖オイルBとキャノーラ油(油脂)とを合計100gとなるように混合し、実施例3〜5の退色抑制剤、比較例4の油脂(前記退色抑制剤の対照)を調製した。
Figure 2021119794
<バジルソースの調製>
上記表2に示した配合を用いて、バジルソースを同様に製造した。以下、実施例3〜5の退色抑制剤又は比較例4の油脂を含むバジルソースをそれぞれ実施例3〜5のバジルソース又は比較例4のバジルソースと略していう。
[実験例5]製造直後の退色抑制効果
上述のとおり、実施例3〜5、比較例4のバジルソースを用意した。これらについて、段落0024と同様に、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、製造直後の色を測定した。その結果を以下の表12に示した。
Figure 2021119794
上記表12をみると、製造直後のバジルソースでは、a値がほぼ-10.0付近であるため、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類、配合比率及びその含有量の差による、緑色の変化は大きく見られなかった。したがって、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類や配合比率を変えても、また、その含有量を多くしても、緑色食品の緑色に大きな影響を及ぼすものではないことがわかった。
[実験例6]保存1か月後の退色抑制効果
実施例3〜5、比較例4のバジルソースを、10℃の暗所で1か月保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で1か月保存したものとを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、段落0024と同様に、保存後の色を測定した。その結果をそれぞれ以下の表13〜14、図7〜8に示した。
Figure 2021119794
Figure 2021119794
Figure 2021119794
上記表13〜15及び図7〜8をみると、1000xl光照射下で保存したものにおいて、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合している実施例3〜5では、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合していない比較例4と比較して、a値の差分(退色の大きさ)がいずれも低下しており、緑色の退色が抑制されていることがわかった。なお、暗所で保存したものにおいても、中鎖脂肪酸トリグリセリド配合している実施例は容量依存的に抑制効果があるように見えた。いずれにしても、他の種類の中鎖脂肪酸トリグリセリドでも、光照射下における緑色の退色抑制効果を有していることが確認できた。
次に、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸をデカン酸が多いような別の比率を変えても、同等の効果が奏されることを確認するため、また、中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量に効果の上限があるかどうかを確認するために、以下の実験を実施した。
<退色抑制剤の調製>
下記表16に示した配合比率で、中鎖オイルCとキャノーラ油(油脂)とを合計100gとなるように混合し、実施例6〜8の退色抑制剤、比較例4の油脂(前記退色抑制剤の対照)を調製した。
Figure 2021119794
<バジルソースの調製>
上記表2に示した配合を用いて、バジルソースを同様に製造した。以下、実施例6〜8の退色抑制剤又は比較例4の油脂を含むバジルソースをそれぞれ実施例6〜8のバジルソース又は比較例4のバジルソースと略していう。
[実験例7]製造直後の退色抑制効果
上述のとおり、実施例6〜8、比較例4のバジルソースを用意した。これらについて、段落0024と同様に、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、製造直後の色を測定した。その結果を以下の表17に示した。
Figure 2021119794
上記表17をみると、製造直後のバジルソースでは、a値がばらついており、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類、配合比率及びその含有量の差による、緑色変化はあり得ると考えられるが、見た目においては大きな違いは確認できなかった。
[実験例8]保存1か月後の退色抑制効果
実施例6〜8、比較例4のバジルソースを、10℃の暗所で1か月保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で1か月保存したものとを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、段落0024と同様に、保存後の色を測定した。その結果をそれぞれ以下の表18〜20、図9〜10に示した。
Figure 2021119794
Figure 2021119794
Figure 2021119794
上記表18〜20及び図9及び10をみると、1000xl光照射下で保存したものにおいて、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合している実施例6〜8では、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合していない比較例4と比較して、a値の差分(退色の大きさ)がいずれも低下しており、緑色の退色が抑制されていることがわかった。特に、中鎖脂肪酸トリグリセリドを20質量%配合している実施例5が最も抑制効果を有していたので、容量依存的に効果があるものと予測される。なお、暗所で保存したものにおいては、中鎖脂肪酸トリグリセリド配合している実施例が容量依存的に抑制効果があるようには見えない。いずれにしても、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸をデカン酸が多いような別の比率を変えても光照射下における緑色の退色抑制効果を有していることが確認できた。
次に、中鎖脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸が単一種であっても、同様の効果が奏されることを確認するため、また、中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量に上限があるかどうかを確認するために、以下の実験を実施した。
<退色抑制剤の調製>
下記表21に示した配合比率で、中鎖オイルD(オクタン酸のみで構成)とキャノーラ油とを合計100gとなるように混合し、実施例9〜11の退色抑制剤、比較例4の油脂(前記退色抑制剤の対照)を調製した。
Figure 2021119794
<バジルソースの調製>
上記表2に示した配合で、バジルソースを同様に製造した。以下、実施例9〜11の退色抑制剤又は比較例4の油脂を含むバジルソースをそれぞれ実施例9〜11のバジルソース又は比較例4のバジルソースと略していう。
[実験例9]製造直後の退色抑制効果
上述のとおり、実施例9〜11、比較例4のバジルソースを用意した。これらについて、段落0024と同様に、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、製造直後の色を測定した。その結果を以下の表22に示した。
Figure 2021119794
上記表22をみると、製造直後のバジルソースでは、a値が概ね-10.0付近であったが、実施例6においては低く出てしまった(原因不明)。ただし、見た目においてさほど大きな違いはなかった。したがって、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類や配合利比率を変えても、また、その含有量を多くしても、さほど緑色食品の緑色に大きな影響を及ぼすものではないと考えられた。
[実験例10]保存1か月後の退色抑制効果
実施例9〜11、比較例4のバジルソースを、10℃の暗所で1か月保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で1か月保存したものとを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、段落0024と同様に、保存後の色を測定した。その結果をそれぞれ以下の表22〜23、図11〜12に示した。
Figure 2021119794
Figure 2021119794
Figure 2021119794
上記表23〜25及び図11〜12をみると、1000xl光照射下で保存したものにおいて、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合している実施例9〜10では、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合していない比較例4と比較して、a値の差分(退色の大きさ)がいずれも低下しており、緑色の退色が抑制されていることがわかった。なお、実施例11において、退色効果が低くなることから、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類によっては、含有量のピークがある場合も考えられる。なお、暗所で保存したものにおいても、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、同様のピークを感じさせる抑制効果が見られた。いずれにしても、他の種類の中鎖脂肪酸トリグリセリドでも光照射下における緑色の退色抑制効果を有していることが確認できた。
次に、別の単酸基を有する中鎖脂肪酸トリグリセリドであっても、同様の効果が奏されることを確認するため、また、中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量の上限があるかどうかを確認するために、以下の実験を実施した。
<退色抑制剤の調製>
下記表18に示した配合比率で、中鎖オイルE(デカン酸のみで構成)とキャノーラ油とを合計100gとなるように混合し、実施例12〜14の退色抑制剤、比較例4の油脂(前記退色抑制剤の対照)を調製した。
Figure 2021119794
<バジルソースの調製>
上記表2に示した配合で、バジルソースを同様に製造した。以下、実施例12〜14の退色抑制剤又は比較例4の油脂を含むバジルソースをそれぞれ実施例12〜14のバジルソース又は比較例4のバジルソースと略していう。
[実験例11]製造直後の退色抑制効果
上述のとおり、実施例12〜14、比較例4のバジルソースを用意した。これらについて、段落0024と同様に、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、製造直後の色を測定した。その結果を以下の表26に示した。
Figure 2021119794
上記表26をみると、製造直後のバジルソースでは、a値が概ね-10.0前後であり、ほぼ一定に保たれている。したがって、中鎖脂肪酸トリグリセリドの種類を変えても、また、その含有量を多くしても、緑色食品の緑色に大きな影響を及ぼすものではないことが確認できた。
[実験例12]保存1か月後の退色抑制効果
実施例12〜14、比較例4のバジルソースを、10℃の暗所で1か月保存したもの(対照)と、1000lx(ルクス)の光照射条件下(常温20℃)で1か月保存したものとを用意した。これらについて、色差計(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて、段落0024と同様に、保存後の色を測定した。その結果をそれぞれ以下の表28〜30、図13〜14に示した。
Figure 2021119794
Figure 2021119794
Figure 2021119794
上記表28〜30及び図13〜14をみると、1000xl光照射下で保存したものにおいて、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合している実施例12〜14では、中鎖脂肪酸トリグリセリドを配合していない比較例4と比較して、a値の差分(退色の大きさ)がいずれも低下しており、緑色の退色が抑制されていることがわかった。特に、中鎖脂肪酸トリグリセリドを10質量%配合している実施例10が最も抑制効果が高かった。これは単酸基である中鎖脂肪酸トリグリセリドにおいては、10質量%程度のところに効果のピークがあるかもしれないことを示している。なお、暗所で保存したものにおいても、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、多少抑制効果があるようにも見えた。いずれにしても、他の種類の中鎖脂肪酸トリグリセリドでも光照射下における緑色の退色抑制効果を有していることが確認できた。
なお、オクタン酸又はデカン酸のいずれか単独から構成される中鎖脂肪酸トリグリセリドであっても効果があるので、オクタン酸及びデカン酸の比率はいかなるものであっても効果があることが予想された。

Claims (9)

  1. 中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする、緑色食品用退色抑制剤。
  2. 有効成分である中鎖脂肪酸トリグリセリドが中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む油脂の全質量に対して5質量%以上含有する、請求項1に記載の緑色食品用退色抑制剤。
  3. 緑色食品と、請求項1又は2に記載の退色抑制剤とを含有する、退色が抑制された緑色食品。
  4. 前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上である、請求項3に記載の緑色食品。
  5. 前記緑色食品が、液体状食品である、請求項3又は4に記載の緑色食品。
  6. 緑色食品と、中鎖脂肪酸トリグリセリドとを、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上となるように混合する工程を含む、退色が抑制された緑色食品の製造方法。
  7. 前記緑色食品が、液体状食品である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 緑色食品と、中鎖脂肪酸トリグリセリドとを、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドの含有量が、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む緑色食品の全質量に対して1.5質量%以上となるように混合する工程を含む、緑色食品に退色を抑制する方法。
  9. 前記緑色食品が、液体状食品である、請求項8に記載の方法。
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