実施形態を図面を参照して以下に説明する。図1〜図3に示す実施形態のディスクブレーキ10は、自動車等の車両用であって車両に制動力を付与するものであり、具体的には四輪自動車の前輪制動用のものである。ディスクブレーキ10は、図示略の車輪と共に回転する円板状のディスク11の回転を止めることで車両を制動する。
図1に示すように、ディスクブレーキ10は、取付部材21と、キャリパ22と、一対のブーツ23とを備えている。また、ディスクブレーキ10は、図2,図3に示すように、一対の摩擦パッド25と、4つのパッドスプリング26とを備えている。
以下、ディスク11の中心軸線をディスク軸線、ディスク軸線の延びる方向をディスク軸線方向、ディスク11の径方向をディスク径方向、ディスク11の周方向つまり回転方向をディスク回転方向と称す。また、ディスク径方向におけるディスク11の中心側をディスク径方向内側、ディスク径方向におけるディスク11の中心とは反対側をディスク径方向外側と称す。また、ディスク回転方向における中央側をディスク回転方向内側、ディスク回転方向における中央とは反対側をディスク回転方向外側と称す。また、車両の前進時のディスク回転方向Rにおける入口側をディスク回入側、車両の前進時のディスク回転方向Rにおける出口側をディスク回出側と称す。また、ディスク軸線と、取付部材21およびキャリパ22のディスク回転方向の中央とを通ってディスク径方向に沿う線を径方向基準線と称す。この径方向基準線はディスク軸線に直交する。また、車両の車幅方向における外側をアウタ側と称し、内側をインナ側と称す。
取付部材21は、図2に示すように、インナビーム部31、一対のインナ側トルク受部32および一対のピン挿嵌部33を有しており、図3に示すように、一対のアウタ側トルク受部36およびアウタビーム部37を有している。取付部材21は、ディスク回転方向の中央を基準とする鏡面対称の形状となっている。
図1に示すように、インナビーム部31は、ディスク11に対しディスク軸線方向の一側に配置されて車両の非回転部分に取り付けられる。ここで、取付部材21が取り付けられる車両の非回転部分は、ディスク11に対しインナ側に配置されており、この非回転部分に取り付けられるインナビーム部31も、ディスク11に対しインナ側に配置されている。図2に示すように、インナビーム部31は、ディスク回転方向に延びるように配置されており、ディスク回転方向両側に、それぞれディスク軸線方向に沿う取付穴41を有する一対の取付ボス部42が設けられている。インナビーム部31は、一対の取付ボス部42において車両の非回転部分に取り付けられる。
一対のインナ側トルク受部32は、一方のインナ側トルク受部32が、インナビーム部31のディスク回転方向一側の端部からディスク径方向外側に延出している。また、一対のインナ側トルク受部32は、他方のインナ側トルク受部32が、インナビーム部31のディスク回転方向他側の端部からディスク径方向外側に延出している。一対のインナ側トルク受部32は、インナビーム部31と同様、ディスク11に対しインナ側に配置されている。
図1に示すように、一対のピン挿嵌部33は、一方のピン挿嵌部33が、ディスク回転方向一側のインナ側トルク受部32のディスク径方向外側の端部から、ディスク軸線方向にディスク11の外周側を跨いで、アウタ側に延出している。また、一対のピン挿嵌部33は、他方のピン挿嵌部33が、ディスク回転方向他側のインナ側トルク受部32のディスク径方向外側の端部から、ディスク軸線方向にディスク11の外周側を跨いで、アウタ側に延出している。
図2に示すように、一方のインナ側トルク受部32およびこれに繋がる一方のピン挿嵌部33と、他方のインナ側トルク受部32およびこれに繋がる他方のピン挿嵌部33とには、それぞれ、ディスク軸線方向に沿って延びるピン挿入穴43が形成されている。これら一対のピン挿入穴43は、それぞれ、インナ側トルク受部32のインナ側の端面から、ピン挿嵌部33内の途中位置まで形成されている。
取付部材21には、一対のピン挿入穴43に、図1に示すキャリパ22のディスク回転方向両側の一対のスライドピン45が摺動可能に嵌合する。これにより、取付部材21は、その一対のピン挿嵌部33において、キャリパ22をディスク軸線方向に摺動可能に支持する。言い換えれば、キャリパ22は、ディスク回転方向両側に設けられた一対のスライドピン45が、それぞれ、図2に示す取付部材21の対応するピン挿入穴43に摺動可能に嵌合されることになる。これにより、図1に示すキャリパ22は、取付部材21に、ディスク軸線方向に変位可能に支持されている。
一対のアウタ側トルク受部36は、一方のアウタ側トルク受部36が、ディスク回転方向一側のピン挿嵌部33のインナ側トルク受部32とは反対側すなわちアウタ側の端部からディスク径方向内側に延出している。一対のアウタ側トルク受部36は、他方のアウタ側トルク受部36が、ディスク回転方向他側のピン挿嵌部33のアウタ側の端部からディスク径方向内側に延出している。一対のアウタ側トルク受部36は、ディスク11に対しアウタ側に配置されている。
アウタビーム部37は、ディスク回転方向に延びて一対のアウタ側トルク受部36のディスク径方向内側の端部同士を連結している。アウタビーム部37は、一対のアウタ側トルク受部36と同様、ディスク11に対しアウタ側に配置されている。
以上により、取付部材21は、ディスク11の外周側を跨いで配置されて車両の非回転部分に取り付けられる。インナビーム部31および一対のインナ側トルク受部32は、取付部材21において、車両の非回転部分への取り付け側となるインナ側に配置されており、一対のアウタ側トルク受部36およびアウタビーム部37は、取付部材21において、インナ側とは反対となるアウタ側に配置されている。
図2および図3に示すように、一対のインナ側トルク受部32および一対のアウタ側トルク受部36には、同様の凹形状のパッドガイド部48がそれぞれ形成されている。
すなわち、図2に示すように、一方のインナ側トルク受部32には、そのディスク回転方向内側に向くディスク径方向外側の内面46およびディスク径方向内側の内面47からディスク回転方向外側に向かって凹む形状のパッドガイド部48が形成されており、他方のインナ側トルク受部32にも、そのディスク回転方向内側に向くディスク径方向外側の内面46およびディスク径方向内側の内面47からディスク回転方向外側に向かって凹む形状のパッドガイド部48が形成されている。よって、一対のインナ側トルク受部32には、相互対向側に、ディスク回転方向に沿って互いに離れる方向に凹む凹状のパッドガイド部48が形成されている。パッドガイド部48は、その形成先のインナ側トルク受部32をディスク軸線方向に貫通している。一対のインナ側トルク受部32に設けられた一対のパッドガイド部48に、一対の摩擦パッド25のうちの一方の摩擦パッド25が支持される。内面46および内面47は、いずれもディスク軸線方向に沿い且つ径方向基準線に沿っている。
また、図3に示すように、一方のアウタ側トルク受部36には、そのディスク回転方向内側に向くディスク径方向外側の内面46およびディスク径方向内側の内面47からディスク回転方向外側に向かって凹む形状のパッドガイド部48が形成されており、他方のアウタ側トルク受部36にも、そのディスク回転方向内側に向くディスク径方向外側の内面46およびディスク径方向内側の内面47からディスク回転方向外側に向かって凹む形状のパッドガイド部48が形成されている。よって、一対のアウタ側トルク受部36には、相互対向側に、ディスク回転方向に沿って互いに離れる方向に凹む凹状のパッドガイド部48が形成されている。パッドガイド部48は、その形成先のアウタ側トルク受部36をディスク軸線方向に貫通している。一対のアウタ側トルク受部36に設けられた一対のパッドガイド部48に、一対の摩擦パッド25のうちの他方の摩擦パッド25が支持される。
よって、取付部材21は、ディスク回転方向に凹む形状のパッドガイド部48を4箇所有しており、これらは同様の形状をなしている。4箇所のパッドガイド部48のうちの1箇所のパッドガイド部48を例にとり図4を参照してさらに説明する。図4はディスク回出側のインナ側トルク受部32の周辺を示している。
パッドガイド部48は、その凹み方向奥側にあってディスク回転方向内側に向く底面51と、ディスク径方向外側にあってディスク径方向内側に向く壁面52と、ディスク径方向内側にあってディスク径方向外側に向く壁面53と、を有している。底面51、壁面52および壁面53は、いずれも平面状である。壁面52は、底面51のディスク径方向外側の端縁部からディスク回転方向内側に広がっている。壁面53は、底面51のディスク径方向内側の端縁部からディスク回転方向内側に広がっている。
底面51は、ディスク軸線方向に沿い且つ径方向基準線に沿っている。壁面52および壁面53は、いずれも径方向基準線に直交する平面内に配置されている。よって、壁面52および壁面53は、平行であり、これらに対し底面51は垂直である。底面51、壁面52および壁面53は、いずれもディスク軸線方向に沿っている。
図2,図3に示すように、一対のインナ側トルク受部32および一対のアウタ側トルク受部36には、それぞれのパッドガイド部48の位置に、個別にパッドスプリング26が取り付けられている。つまり、一つの取付部材21に、四つのパッドスプリング26が取り付けられている。ここで、インナ側のディスク回入側に配置されるパッドスプリング26と、アウタ側のディスク回出側に配置されるパッドスプリング26とは同形状の共通部品であり、インナ側のディスク回出側に配置されるパッドスプリング26と、アウタ側のディスク回入側に配置されるパッドスプリング26とは同形状の共通部品となっている。インナ側のディスク回入側およびアウタ側のディスク回出側のパッドスプリング26と、インナ側のディスク回出側およびアウタ側のディスク回入側のパッドスプリング26とは、鏡面対称の形状となっている。
パッドスプリング26は、一枚の板材からプレス成形により形成されるものである。パッドスプリング26について、鏡面対称の形状をなすパッドスプリング26のうちの一方の形状のものを例にとり、図5〜図8を参照して説明する。図5〜図8に示すパッドスプリング26は、インナ側のディスク回出側およびアウタ側のディスク回入側に配置されるものである。
パッドスプリング26は、凹形状の案内部82を有している。案内部82は、いずれも平板状の基板部83(被覆板部)と外側板部84と内側板部85とを有している。基板部83は矩形状であり、外側板部84は基板部83の一端縁部から基板部83に対し垂直に延出する矩形状である。内側板部85は、基板部83のこの一端縁部と平行な他端縁部から外側板部84と平行をなすように延出している。内側板部85は、矩形状であり、基板部83の板厚方向において基板部83に対し外側板部84と同側に配置されている。
パッドスプリング26は、挟持板部91と、挟持板部92と、突片板部93と、延出板部94と、バネ板部95(支持部)と、バネ板部96とを有している。
挟持板部91は、基板部83の外側板部84が設けられた一端縁部と直交する端縁部のうちの一方の端縁部から延出しており、挟持板部92は、基板部83の外側板部84が設けられた一端縁部と直交する端縁部のうちの他方の端縁部から延出している。挟持板部91と挟持板部92とは基板部83の板厚方向において同側に配置されている。
挟持板部91は、湾曲する板状である。挟持板部91は、基板部83の板厚方向における外側板部84および内側板部85とは反対側で挟持板部92側に折り返し、さらに基板部83の板厚方向における外側板部84および内側板部85とは反対側で挟持板部92とは反対側に折り返すことでS字状をなしている。
挟持板部92は、基板部83の外側板部84が設けられた一端縁部と直交する端縁部のうちの他方の端縁部から基板部83の板厚方向において外側板部84および内側板部85とは反対方向に突出する平板状の主板部101と、主板部101の基板部83とは反対側の端縁部から基板部83とは反対側かつ挟持板部91とは反対方向に斜めに突出する先端板部102とを有している。突片板部93は、外側板部84の挟持板部91側の端縁部から外側板部84と同一平面で延出した後、内側板部85とは反対方向に斜めに突出している。
延出板部94は、外側板部84の基板部83とは反対側の端縁部から基板部83と平行をなして内側板部85とは反対方向に突出している。バネ板部95は、延出板部94の挟持板部91側の端縁部から外側板部84とは反対側に折り返されている。バネ板部96は、内側板部85の挟持板部91側の端縁部から外側板部84側に折り返されている。バネ板部96は、基板部83、外側板部84および内側板部85と共に凹状の案内部82を構成する。
本実施形態において、パッドスプリング26には、基板部83から挟持板部92の主板部101にかけて連続的に開口する連続開口部111が形成されている。連続開口部111は、基板部83の外側板部84と内側板部85とを結ぶ方向における中間部分に形成されて挟持板部92側に抜ける形状をなす基板開口部112(開口部)と、主板部101の外側板部84と内側板部85とを結ぶ方向における中間部分に形成されて基板部83側に抜ける形状をなす主板開口部113とからなっている。言い換えれば、基板部83は、外側板部84と内側板部85とを結ぶ方向における中間部分が切り欠かれており、主板部101も、外側板部84と内側板部85とを結ぶ方向における中間部分が切り欠かれている。基板開口部112と主板開口部113とは連続している。基板開口部112は、基板部83よりも一回り小さい矩形状をなして、基板部83を厚さ方向に貫通している。主板開口部113は、主板部101よりも一回り小さい矩形状をなして主板部101を厚さ方向に貫通している。
パッドスプリング26は、一つずつ、それぞれの凹形状の案内部82が、図2に示す一対のインナ側トルク受部32および図3に示す一対のアウタ側トルク受部36のそれぞれの凹状のパッドガイド部48に嵌合されることになる。よって、4つのパッドスプリング26の案内部82は、図4にインナ側かつディスク回出側の案内部82を例示するように、それぞれ対応するパッドガイド部48に対し、外側板部84が壁面52に面接触で当接し、基板部83が底面51に面接触で当接し、内側板部85が壁面53に面接触で当接する。よって、パッドスプリング26の案内部82は、対応する凹形状のパッドガイド部48のディスク径方向外側の壁面52と凹み方向奥側の底面51とディスク径方向内側の壁面53とに当接可能に設けられている。また、パッドスプリング26は、延出板部94が、内面46と隙間をもって対向する。
パッドスプリング26の基板部83は、パッドガイド部48の凹み方向奥側の底面51を覆うことになるが、図9に示すように、基板部83に形成された基板開口部112は、底面51をディスク回転方向内方に露出させる。
図2,図3に示すように、パッドスプリング26は、一つずつ、それぞれの案内部82が、一対のインナ側トルク受部32および一対のアウタ側トルク受部36のそれぞれの凹状のパッドガイド部48に嵌合されることになる。その際に、インナ側トルク受部32に取り付けられるパッドスプリング26は、図5および図6に示す挟持板部91と挟持板部92とで、図2に示すインナ側トルク受部32をディスク軸線方向に挟持する。また、アウタ側トルク受部36に取り付けられるパッドスプリング26は、挟持板部91と挟持板部92とで、図3に示すアウタ側トルク受部36をディスク軸線方向に挟持する。
その際に、図2に示すように、一対のインナ側トルク受部32に取り付けられる2つのパッドスプリング26は、いずれも挟持板部91をディスク軸線方向においてインナ側、すなわちディスク11とは反対側に配置して取り付けられており、いずれも挟持板部92をディスク軸線方向においてアウタ側、すなわちディスク11側に配置して取り付けられている。
また、その際に、図3に示すように、一対のアウタ側トルク受部36に取り付けられる2つのパッドスプリング26は、いずれも挟持板部91をディスク軸線方向においてアウタ側、すなわちディスク11とは反対側に配置して取り付けられており、いずれも挟持板部92をディスク軸線方向においてインナ側、すなわちディスク11側に配置して取り付けられている。
図2,3に示す一対の摩擦パッド25は共通部品である。摩擦パッド25は、金属製の裏板121と、摩擦材である図示略のライニングとを有している。図示略のライニングは、裏板121の板厚方向一側に貼着されている。裏板121の板厚方向の図示略のライニングとは反対側の押圧面126には、これを覆うようにシム128が設けられている。シム128は裏板121に係合されている。
一対の摩擦パッド25は、裏板121においてパッドスプリング26を介して取付部材21に支持され、その際に、それぞれが図示略のライニングにおいてディスク11に対向する。よって、摩擦パッド25は、図示略のライニングがディスク11に接触することになる。裏板121は、ディスク軸線方向において、押圧面126がディスク11とは反対側に向いている。
裏板121は、鏡面対称の形状となっており、図示略のライニングが貼着される主板部131と、主板部131の長手方向の両端部から主板部131の長手方向に沿って外側に突出する一対の突出部132とを有している。図2に示すインナ側の摩擦パッド25の一対の突出部132と、図3に示すアウタ側の摩擦パッド25の一対の突出部132とは同様の形状をなしている。これらの突出部132のうちの1箇所の突出部132を例にとり図4および図9を参照してさらに説明する。図4および図9はインナ側の摩擦パッド25のディスク回出側の突出部132の周辺を示している。
突出部132は、略矩形状であり、図9に示す先端面部141と、図4に示す外側面部142と内側面部143と切欠面部144と切欠面部145と切欠面部146と切欠面部147とを有している。先端面部141、外側面部142、内側面部143、切欠面部144、切欠面部145、切欠面部146および切欠面部147は、いずれも平面状であり、裏板121の厚さ方向に広がっている。
図9に示すように、先端面部141は、突出部132の主板部131とは反対側の端部に設けられている。切欠面部144は、先端面部141の一端縁部から主板部131側に延出している。切欠面部146は、先端面部141の切欠面部144とは反対側の他端縁部から主板部131側に延出している。切欠面部144と切欠面部146とは互いに平行をなしており、先端面部141に対し垂直に広がっている。
図4に示すように、切欠面部145は、切欠面部144の主板部131側の端縁部から切欠面部146とは反対側に延出している。外側面部142は、切欠面部145の切欠面部144とは反対側の端縁部から主板部131側に延出している。
切欠面部147は、切欠面部146の主板部131側の端縁部から切欠面部144とは反対側に延出している。内側面部143は、切欠面部147の切欠面部146とは反対側の端縁部から主板部131側に延出している。
切欠面部145と切欠面部147とは、同一平面に配置されており、先端面部141と平行をなしている。切欠面部144と切欠面部146と外側面部142と内側面部143とは平行であり、先端面部141、切欠面部145および切欠面部147に対して垂直に広がっている。
図9に示すように、突出部132は、切欠面部144と切欠面部145とが切欠部151を構成しており、切欠面部146と切欠面部147とが切欠部152を構成している。そして、切欠部151と切欠部152との間が、切欠面部145,147よりも主板部131とは反対側に突出する凸部155となっている。凸部155の切欠面部145,147からの突出長さは、パッドスプリング26の基板部83の板厚よりも長い。
図2に示すように、インナ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132が、一対のインナ側トルク受部32に取り付けられた一対のパッドスプリング26の案内部82に挿入されることになり、その結果、一対のインナ側トルク受部32に形成された一対のパッドガイド部48に挿入されることになる。その際に、主板部131が、ディスク回転方向両側に設けられた一対のバネ板部95を弾性変形させる。また、その際に、一対の突出部132がディスク径方向内側に設けられた一対のバネ板部96を弾性変形させる。
このように一対のパッドスプリング26を介して取付部材21に取り付けられた状態のインナ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132が主板部131のディスク回転方向両外側に配置される。また、この状態のインナ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132において、切欠部151がディスク径方向外側の端部に配置され、切欠部152がディスク径方向内側の端部に配置され、凸部155がディスク回転方向外側の端部に配置される。さらに、先端面部141および切欠面部145,147が径方向基準線に沿い、外側面部142、内側面部143および切欠面部144,146が径方向基準線に直交する。インナ側の摩擦パッド25は、その厚さ方向がディスク軸線方向に沿うとき、先端面部141、切欠面部144〜147、外側面部142および内側面部143がディスク軸線方向に沿う。
また、取付部材21に取り付けられたインナ側の摩擦パッド25は、ディスク11の一面側に位置して取付部材21に対してディスク軸線方向に移動可能となる。インナ側の一対のパッドスプリング26は、取付部材21に取り付けられて、対応するインナ側の摩擦パッド25を、一対のバネ板部95がディスク回転方向に弾性的に支持することになり、一対のバネ板部96がディスク径方向に弾性的に支持することになる。
一対のインナ側トルク受部32の凹状のパッドガイド部48には、インナ側の摩擦パッド25の一対の突出部132が、一対のパッドスプリング26の案内部82を介して入れ子状に配置されることになる。よって、一対のインナ側トルク受部32のパッドガイド部48は、インナ側の摩擦パッド25の一対の突出部132のディスク径方向の移動を制限することになり、インナ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132で一対のインナ側トルク受部32のパッドガイド部48に案内されてディスク軸線方向に移動可能となる。
また、その際に、インナ側の摩擦パッド25の一対の突出部132は、図9に示すように、一方の突出部132の凸部155がインナ側の一方のパッドスプリング26の基板開口部112を通って対向する一方のインナ側トルク受部32のパッドガイド部48の底面51に当接可能となり、他方の突出部132の凸部155がインナ側の他方のパッドスプリング26の基板開口部112を通って対向する他方のインナ側トルク受部32のパッドガイド部48の底面51に当接可能となる。よって、インナ側トルク受部32のパッドガイド部48は、インナ側の摩擦パッド25の凸部155からディスク回転方向の制動トルクを直接受ける。その際に、摩擦パッド25の凸部155の先端面部141は、パッドガイド部48の底面51に面接触可能である。
インナ側の摩擦パッド25は、その裏板121の一方の突出部132が、対応するパッドスプリング26の案内部82を介して一方のインナ側トルク受部32のパッドガイド部48内に配置されており、その裏板121の他方の突出部132が、対応するパッドスプリング26の案内部82を介して他方のインナ側トルク受部32のパッドガイド部48内に配置されている。これにより、インナ側の摩擦パッド25は、取付部材21に、ディスク軸線方向に移動可能に支持されている。
その際に、インナ側の摩擦パッド25は、その裏板121の両側の突出部132が、それぞれ当接するパッドスプリング26のバネ板部96でディスク径方向外側に押圧されている。これにより、インナ側の摩擦パッド25は、図4に片側のみ示すように、両側の突出部132の外側面部142が、パッドスプリング26の案内部82の外側板部84に面接触で当接する。ここで、インナ側の摩擦パッド25は、図9に片側のみ示すように、両側の突出部132の先端面部141が、それぞれ挿入先のパッドガイド部48の底面51に面接触で当接可能となる。加えて、インナ側の摩擦パッド25は、その裏板121の主板部131が、当接する一対のパッドスプリング26のバネ板部95でディスク回転方向の中央側に付勢されている。
よって、インナ側のディスク回転方向両側に配置されたパッドスプリング26のそれぞれの案内部82が、嵌合先のパッドガイド部48のディスク径方向外側の壁面52に当接可能に設けられて、インナ側の摩擦パッド25の対応する突出部132のディスク軸線方向移動を案内する。また、インナ側のディスク回転方向両側に配置されたパッドガイド部48のそれぞれの底面51が、インナ側の摩擦パッド25の対応する突出部132のディスク軸線方向移動を案内する。
インナ側のディスク回転方向両側に配置されたパッドスプリング26のそれぞれの基板部83の基板開口部112は、インナ側の摩擦パッド25の突出部132の摺動範囲にわたって開口しており、よって、インナ側の摩擦パッド25は、ディスク軸線方向の位置によらずに、インナ側トルク受部32のパッドガイド部48の底面51に直接当接可能となっている。言い換えれば、インナ側のディスク回転方向両側に配置されたパッドスプリング26のそれぞれの基板部83は、インナ側の摩擦パッド25の突出部132の摺動範囲にわたって切り欠かれている。
アウタ側の摩擦パッド25は、図3に示すように、一対の突出部132が、一対のアウタ側トルク受部36に取り付けられた一対のパッドスプリング26の案内部82に挿入されることになり、その結果、一対のアウタ側トルク受部36に形成された一対のパッドガイド部48に挿入されることになる。その際に、主板部131が、ディスク回転方向両側に設けられた一対のバネ板部95を弾性変形させる。また、その際に、一対の突出部132が一対のバネ板部96を弾性変形させる。
このように一対のパッドスプリング26を介して取付部材21に取り付けられた状態のアウタ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132が主板部131のディスク回転方向両外側に配置される。また、この状態のアウタ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132において、切欠部151がディスク径方向外側の端部に配置され、切欠部152がディスク径方向内側の端部に配置され、凸部155がディスク回転方向外側の端部に配置される。さらに、先端面部141および切欠面部145,147が径方向基準線に沿い、外側面部142、内側面部143および切欠面部144,146が径方向基準線に直交する。アウタ側の摩擦パッド25は、その厚さ方向がディスク軸線方向に沿うとき、先端面部141、切欠面部144〜147、外側面部142および内側面部143がディスク軸線方向に沿う。
このように取付部材21に取り付けられたアウタ側の摩擦パッド25は、ディスク11の他面側に位置して取付部材21に対してディスク軸線方向に移動可能となる。アウタ側の一対のパッドスプリング26は、取付部材21に取り付けられて、対応するアウタ側の摩擦パッド25を、一対のバネ板部95がディスク回転方向に弾性的に支持することになり、一対のバネ板部96がディスク径方向に弾性的に支持することになる。
一対のアウタ側トルク受部36の凹状のパッドガイド部48には、アウタ側の摩擦パッド25の一対の突出部132が、一対のパッドスプリング26の案内部82を介して入れ子状に配置されることになる。よって、アウタ側トルク受部36のパッドガイド部48は、アウタ側の摩擦パッド25の一対の突出部132のディスク径方向の移動を制限することになり、アウタ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132で一対のアウタ側トルク受部36のパッドガイド部48に案内されてディスク軸線方向に移動可能となる。
また、その際に、アウタ側の摩擦パッド25の一対の突出部132は、一方の突出部132の凸部155がアウタ側の一方のパッドスプリング26の基板開口部112を通って対向する一方のアウタ側トルク受部36のパッドガイド部48の底面51に当接可能となり、他方の突出部132の凸部155がアウタ側の他方のパッドスプリング26の基板開口部112を通って対向する他方のアウタ側トルク受部36のパッドガイド部48の底面51に当接可能となる。よって、アウタ側トルク受部36のパッドガイド部48は、アウタ側の摩擦パッド25の凸部155からディスク回転方向の制動トルクを直接受ける。その際に、摩擦パッド25の凸部155の先端面部141は、パッドガイド部48の底面51に面接触可能である。
アウタ側の摩擦パッド25は、その裏板121の一方の突出部132が、対応するパッドスプリング26の案内部82を介して一方のアウタ側トルク受部36のパッドガイド部48内に配置されており、その裏板121の他方の突出部132が、対応するパッドスプリング26の案内部82を介して他方のアウタ側トルク受部36のパッドガイド部48内に配置されている。これにより、アウタ側の摩擦パッド25は、取付部材21に、ディスク軸線方向に移動可能に支持されている。
その際に、アウタ側の摩擦パッド25は、その裏板121の両側の突出部132が、それぞれ当接するパッドスプリング26のバネ板部96でディスク径方向外側に押圧されている。これにより、アウタ側の摩擦パッド25は、両側の突出部132の外側面部142が、パッドスプリング26の案内部82の外側板部84に面接触で当接する。ここで、アウタ側の摩擦パッド25は、両側の突出部132の先端面部141が、それぞれ挿入先のパッドガイド部48の底面51に面接触で当接可能となる。加えて、アウタ側の摩擦パッド25は、その裏板121の主板部131が、当接する一対のパッドスプリング26のバネ板部95でディスク回転方向の中央側に付勢されている。
アウタ側のディスク回転方向両側に配置されたパッドスプリング26のそれぞれの基板部83の基板開口部112は、アウタ側の摩擦パッド25の突出部132の摺動範囲にわたって開口しており、よって、アウタの摩擦パッド25は、ディスク軸線方向の位置によらずに、アウタ側トルク受部36のパッドガイド部48の底面51に直接当接可能となっている。言い換えれば、アウタ側のディスク回転方向両側に配置されたパッドスプリング26のそれぞれの基板部83は、アウタ側の摩擦パッド25の突出部132の摺動範囲にわたって切り欠かれている。
以上により、取付部材21には、図2に示すように、インナ側トルク受部32が、インナ側の摩擦パッド25の制動トルクを受承するようにディスク回入側とディスク回出側とにそれぞれ形成されている。また、取付部材21には、図3に示すように、アウタ側トルク受部36が、アウタ側の摩擦パッド25の制動トルクを受承するようにディスク回入側とディスク回出側とにそれぞれ形成されている。
図1に示すように、キャリパ22は、ほぼ鏡面対称の形状となっている。キャリパ22は、キャリパボディ171と、図2に二点鎖線で示すピストン172とを備えている。
キャリパボディ171は、鋳造により一体成形されており、ディスク11に対しディスク軸線方向のインナ側に配置されるシリンダ部181と、シリンダ部181のディスク径方向外側からディスク11の外周を跨ぐようにディスク軸線方向に沿ってアウタ側に延出するブリッジ部182と、ブリッジ部182のシリンダ部181とは反対側からディスク径方向内側に延出してディスク11のディスク軸線方向のアウタ側に配置される押圧爪183と、シリンダ部181からディスク回転方向の両側に延出する一対のピン取付部184とを有している。
キャリパボディ171は、ディスク回転方向一側のピン取付部184にスライドピン45が取り付けられており、ディスク回転方向他側のピン取付部184にもスライドピン45が取り付けられている。図2に示す一対のピン挿入穴43に、図1に示すキャリパ22のディスク回転方向両側の一対のスライドピン45が摺動可能に嵌合する。一対のブーツ23は、それぞれ、対応するスライドピン45の取付部材21から突出する部分を被覆している。
シリンダ部181には、図2に二点鎖線で示すピストン172がディスク軸線方向に移動可能となるように収容されている。ピストン172は、同形状であり、ディスク径方向の位置を合わせて、ディスク回転方向に並んで設けられている。
ディスクブレーキ10には、図示略のブレーキ配管を介して、キャリパ22のシリンダ部181にブレーキ液が導入される。すると、シリンダ部181において一対のピストン172にブレーキ液圧が作用する。その結果、一対のピストン172が、ディスク11側に前進し、これらピストン172とディスク11との間に配置されたインナ側の摩擦パッド25をディスク11に向かって押圧する。すると、インナ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132が、一対のインナ側のパッドスプリング26の案内部82を介して一対のインナ側のパッドガイド部48で案内されてディスク軸線方向に移動し、図示略のライニングにおいてディスク11に接触する。すると、インナ側の摩擦パッド25は、ディスク11とともにディスク回出側に移動しようとして、ディスク回出側の凸部155が、インナ側且つディスク回出側のパッドスプリング26の基板部83に形成された基板開口部112内で、インナ側且つディスク回出側のパッドガイド部48の底面51に当接する。これにより、インナ側の摩擦パッド25の制動トルクが、ディスク回出側の突出部132から、インナ側且つディスク回出側のパッドガイド部48に直接伝達される。
また、この押圧の反力で、キャリパボディ171が取付部材21に対しスライドピン45をスライドさせてディスク軸線方向に移動し、押圧爪183が、押圧爪183とディスク11との間に配置されたアウタ側の摩擦パッド25をディスク11に向かって押圧する。すると、アウタ側の摩擦パッド25は、一対の突出部132が、一対のアウタ側のパッドスプリング26の案内部82を介して一対のアウタ側のパッドガイド部48で案内されてディスク軸線方向に移動し、図示略のライニングにおいてディスク11に接触する。すると、アウタ側の摩擦パッド25は、ディスク11とともにディスク回出側に移動しようとして、ディスク回出側の凸部155が、アウタ側且つディスク回出側のパッドスプリング26の基板部83に形成された基板開口部112内で、アウタ側且つディスク回出側のパッドガイド部48の底面51に当接する。これにより、アウタ側の摩擦パッド25の制動トルクが、ディスク回出側の突出部132から、アウタ側且つディスク回出側のパッドガイド部48に直接伝達される。
取付部材21に摺動可能に支持されたキャリパ22は、このようにして、複数のピストン172の作動により、これらピストン172と押圧爪183とで一対の摩擦パッド25をディスク軸線方向の両側から挟持してこれら摩擦パッド25をディスク11の両面に押圧する。その結果、キャリパ22は、ディスク11に摩擦抵抗を付与して、制動力を発生させることになる。キャリパ22は、いわゆるフィスト型(スライド型)のキャリパである。
上記した特許文献1には、摩擦パッドの突出部を、取付部材の凹形状のパッドガイド部に挿入して支持する構造のディスクブレーキにおいて、パッドスプリングで摩擦パッドを付勢するものが開示されている。
ところで、ディスクブレーキにおいては、搭載車両の燃費向上のニーズから、制動操作を解除した際の摩擦パッドとディスクとの接触状態の維持、いわゆる引き摺りを低減させるため、摩擦パッドをディスクから容易に離れるようにパッドスプリングによるパッド支持力を抑制するようになっている。このパッド支持力の抑制に伴って、制動時に摩擦パッドがトルク受部に衝突して発生するクロンク音や、摩擦パッド単体が振動して発生するパッドラトル音が発生し易くなる。実施形態のディスクブレーキ10においては、ディスク回転方向両側のパッドスプリング26のバネ板部95によって摩擦パッド25を挟み、非制動時に摩擦パッド25を取付部材21のディスク回転方向の中央位置に保持するようにしてクロンク音やパッドラトル音の発生を抑制している。ただし、クロンク音やパッドラトル音の発生を十分に抑制するためには、両側のバネ板部95によるバネ荷重を比較的大きくする必要がある。
一方で、ディスクブレーキにおいては、微圧制動時に発生するブレーキ鳴きである微圧鳴きを抑制することが望まれている。微圧制動時は、ピストン172による押圧力が小さいため、ディスク11と摩擦パッド25との間で発生する摩擦力も小さい。パッドスプリング26の基板部83に基板開口部112がなく、摩擦パッド25がディスク回転方向においてパッドスプリング26の基板部83を介して取付部材21の底面51に突き当たる構造であると、クロンク音やパッドラトル音の対策のため両側のバネ板部95によるバネ荷重を大きくしていることも相まって、微圧制動時には、摩擦パッド25はバネ板部95を十分に変形させることができず、ディスク回転方向において基板部83に当接する力が小さくなる。パッドスプリング26の組み付けのバラツキ等に起因する微小な隙間が、基板部83と突出部132との間あるいは基板部83と底面51との間にあると、パッドスプリング26に撓みが発生し、摩擦パッド25を比較的弱いバネで支える状態になってしまう。このため、摩擦振動により摩擦パッド25が振動し易い状態となり、微圧鳴きに繋がる可能性がある。
すなわち、パッドスプリング26には、ディスク半径方向外側に摩擦パッド25をディスク回転方向に付勢するバネ板部95があり、摩擦パッド25をディスク回転方向両側のパッドスプリング26のバネ板部95で中立位置に留めている。制動時には、ディスク11との摩擦力が摩擦パッド25をディスク回出側に変位させようとするが、バネ板部95がこれに抗するように変位に応じた反力を発生させる。微圧制動時は、摩擦力が小さいため、パッドスプリング26のパッドガイド部48への摩擦パッド25からの作用力は小さくなる。パッドスプリング26は、比較的ディスク半径方向内側にある挟持板部91,92で取付部材21を挟んで取付部材21に取り付けられているため、この取付位置とバネ板部95に作用する力点位置とがディスク半径方向にずれている。そのため、パッドスプリング26には、ディスク軸線に沿う線を中心とするモーメントが作用する。これにより、パッドスプリング26は、微圧制動時に、案内部82のディスク半径方向内側部分がディスク回転方向内側に浮き上がろうとする。
摩擦パッド25からの作用力が小さいことと、上記したモーメントによる浮き上がりとにより、パッドスプリング26に基板開口部112がなければ、微圧制動時に、摩擦パッド25がパッドスプリング26を介して取付部材21に当接するため、取付部材21に剛に当接することができない。これにより、振動系として、摩擦パッド25が比較的弱いバネで支えられた状態となり、微圧鳴きが発生する可能性がある。
これに対し、実施形態のディスクブレーキ10は、パッドスプリング26の、取付部材21のパッドガイド部48の凹み方向奥側の底面51を覆う基板部83が、摩擦パッド25の突出部132の摺動範囲にわたって開口する基板開口部112を有するため、摩擦パッド25の突出部132を基板開口部112を通して取付部材21のパッドガイド部48の底面51に直接当接させることができる。よって、微圧制動時に、パッドスプリング26の案内部82にディスク回出側のトルク受面であるパッドガイド部48の底面51に対する浮き上がりが発生しても、突出部132とパッドガイド部48の底面51とを直接当接させることができ、支持剛性を高めることができる。しかも、微圧制動であっても、突出部132とパッドガイド部48とを素早く当接させることができる。したがって、摩擦パッド25の挙動が不安定になりにくくなって、微圧鳴きを抑制することができる。
ここで、パッドガイド部48に生じる錆については、パッドガイド部48の少なくとも底面51に、耐食性を高める、例えば、亜鉛ニッケルめっき等を施すことで、その発生を抑制するようになっている。
また、実施形態のディスクブレーキ10は、摩擦パッド25の突出部132が、基板開口部112を通ってパッドガイド部48の底面51に当接可能であるため、微圧制動であっても、摩擦パッド25のディスク回出側の突出部132とパッドガイド部48とを確実に当接させることができる。
また、実施形態のディスクブレーキ10は、摩擦パッド25の突出部132が、ディスク径方向の両側に切欠部151,152を有し、これら切欠部151,152の間の凸部155が基板開口部112を通ってパッドガイド部48の底面51に当接可能であるため、パッドガイド部48および案内部82のディスク径方向寸法の拡大を抑制することができる。
以上に述べた実施形態の第1の態様は、車両の非回転部分に取り付けられディスク回転方向に凹む形状のパッドガイド部を有する取付部材と、前記パッドガイド部に挿入される突出部を有し該突出部で前記パッドガイド部に案内されてディスク軸線方向に移動可能となる摩擦パッドと、前記取付部材に支持されて前記摩擦パッドをディスクに押圧するキャリパと、前記取付部材に取り付けられ前記摩擦パッドを弾性的に支持するパッドスプリングと、を備えるディスクブレーキであって、前記パッドスプリングは、前記パッドガイド部の凹み方向奥側の底面を覆う被覆板部と、前記摩擦パッドをディスク回転方向に弾性的に支持する支持部と、を有し、前記被覆板部が、前記突出部の摺動範囲にわたって開口する開口部を有する。これにより、微圧制動時に発生するブレーキ鳴きである微圧鳴きを抑制することが可能となる。
第2の態様は、第1の態様において、前記摩擦パッドは、前記突出部が、前記開口部を通って前記底面に当接可能である。
第3の態様は、第2の態様において、前記突出部は、ディスク径方向の両側に切欠部を有し、これら切欠部の間の凸部が前記開口部を通って前記底面に当接可能である。