「第1実施形態」
第1実施形態を図1〜図6を参照して以下に説明する。
図1は、ディスクブレーキ1を示すものである。このディスクブレーキ1は、自動車等の車両用のもの、具体的には四輪自動車用のものである。ディスクブレーキ1は、図示略の車輪と共に回転するディスク2の回転を止めることで車両を制動する。以下、ディスク2の中心軸線の方向をディスク軸方向、ディスク2の径方向をディスク径方向、ディスクの回転方向をディスク回転方向と称す。
ディスクブレーキ1は、取付部材3と、一対の摩擦パッド4と、キャリパ6とを備えている。取付部材3は、ディスク2の外周側を跨いで配置されて車両の非回転部に固定される。一対の摩擦パッド4は、取付部材3にディスク軸方向に移動可能となるように支持されてディスク2の両面にそれぞれ対向配置される。キャリパ6は、取付部材3にディスク軸方向に摺動可能となるように支持されており、一対の摩擦パッド4を挟持してこれらをディスク2の両面に押圧する。
キャリパ6は、キャリパボディ7と、ピストン8とを有しており、キャリパボディ7は、シリンダ10と、シリンダ10からディスク2の外周を跨ぐように延出するブリッジ部11と、ブリッジ部11のシリンダ10とは反対側から延出してシリンダ10に対向する爪部12とを有している。
シリンダ10には、爪部12側に一端が開口するボア部14が形成されており、このボア部14には、ピストン8がディスク軸方向に移動可能となるように収容されている。ボア部14が形成されることにより、シリンダ10は、爪部12とは反対側の底部15と、底部15の外周縁部から筒状をなして爪部12側に延出する筒状部16とを有している。シリンダ10の底部15にはブレーキ液をボア部14内に導入するための貫通孔17が形成されている。
ディスクブレーキ1は、キャリパボディ7のボア部14内に貫通孔17からブレーキ液が導入されると、ピストン8にブレーキ圧が作用する。すると、ピストン8が、ディスク2側に前進し、ピストン8とディスク2との間に配置された摩擦パッド4をディスク2に向かって押圧する。これにより、この摩擦パッド4が移動してディスク2に接触する。また、この押圧の反力で、キャリパボディ7が移動し、爪部12が、爪部12とディスク2との間に配置された摩擦パッド4をディスク2に向かって押圧する。これにより、この摩擦パッド4が、ディスク2に接触する。このようにして、キャリパ6は、ピストン8の作動により、ピストン8と爪部12とで一対の摩擦パッド4を両側から挟持してディスク2の両面に押圧する。言い換えれば、一対の摩擦パッド4は、キャリパ6によってディスク2の両面に押圧される。その結果、キャリパ6は、ディスク2に摩擦抵抗を付与して、制動力を発生させる。
図2に示すように、取付部材3は、鏡面対称の形状をなす一体成形品であり、一対のディスクパス部20と、四カ所のトルク受部21と、一カ所の取付ベース22と、一カ所のアウタビーム23と、を有している。
一対のディスクパス部20は互いに平行をなして離間している。四カ所のトルク受部21は、一対のディスクパス部20のそれぞれの延在方向の両端から同方向に延出している。取付ベース22は、一対のディスクパス部20の延在方向の同側に配置された二カ所のトルク受部21の一対のディスクパス部20とは反対側の端部同士を連結している。アウタビーム23は、残り二カ所のトルク受部21の一対のディスクパス部20とは反対側の端部同士を連結している。取付ベース22には、各トルク受部21側となる延在方向の両端位置に一対の取付穴24が貫通形成されている。
取付部材3は、一対の取付穴24に挿通される締結部材によって車両の非回転部分に取り付けられることになる。その際に、一対の取付穴24は、いずれもディスク軸方向に沿うことになり、互いにディスク回転方向に離間して配置されることになる。取付部材3には、一対のディスクパス部20のそれぞれに、取付ベース22とアウタビーム23とを結ぶ方向の取付ベース22側の端部からアウタビーム23側の途中位置まで、支持穴25が、取付穴24と平行に形成されている。一対の支持穴25は、図1に示すキャリパ6の図示略のピンを摺動可能に嵌合させる部分である。
図2に示す取付部材3が上記のように車両の非回転部分に取り付けられた状態で、一対のディスクパス部20は、それぞれディスク軸方向に延在して、ディスク2の外周側をディスク軸方向に跨ぎ、互いにディスク回転方向に離間して配置される。また、取付部材3が車両の非回転部分に取り付けられた状態で、一対のディスクパス部20に対してディスク軸方向の同側に配置された二カ所のトルク受部21は、ディスク2のディスク軸方向一側に配置されて一対のディスクパス部20からディスク径方向内方に向けて延び、一対のディスクパス部20に対しディスク軸方向逆側に配置された二カ所のトルク受部21は、ディスク2のディスク軸方向逆側に配置されて、一対のディスクパス部20からディスク径方向内方に向けて延びる。
また、取付部材3が車両の非回転部分に取り付けられた状態で、取付ベース22が、ディスク2のディスク軸方向一側に配置された二カ所のトルク受部21のディスク径方向の内端位置でディスク回転方向に延在してこれらを連結し、アウタビーム23が、ディスク2のディスク軸方向逆側に配置された二カ所のトルク受部21のディスク径方向の内端位置でディスク回転方向に延在してこれらを連結する。よって、取付ベース22およびアウタビーム23は、ディスク2に対し軸方向両側に配置される。ここで、取付ベース22はディスク2よりも車両の車幅方向の内側(以下、インナ側と称す)に配置され、アウタビーム23はディスク2よりも車両の車幅方向の外側(以下、アウタ側と称す)に配置される。
四カ所のトルク受部21には、図3にインナ側の一方のトルク受部21を示すように、それぞれに凹状のパッドガイド30が形成されている。パッドガイド30は、トルク受部21のディスク軸方向の位置が合う他のトルク受部21(図3では図示略)側の先端面31から、この他のトルク受部21から離れる方向に凹んでおり、ディスク径方向外方の内側面32と、ディスク径方向内方の内側面33と、これらを繋ぐ底面34と、を有している。内側面32、内側面33および底面34は、いずれもディスク軸方向に沿っており、内側面32および内側面33は互いに平行をなして先端面31からディスク回転方向に沿って延出している。底面34は内側面32および内側面33に直交して、これらの先端面31とは反対側を繋いでいる。凹状のパッドガイド30が形成されることによって、トルク受部21は、パッドガイド30よりもディスク径方向外側に配置され、ディスク回転方向に向かって他のトルク受部21の方向に延出する延出部38を有している。
トルク受部21のディスク径方向外方の外側面である、延出部38のディスク径方向外方の外側面35は、その主面部36よりもディスク径方向内方に凹む矩形状の凹部37を有している。凹部37は、図3,図4に示すように、開口縁部が全周にわたって主面部36に囲まれている。凹部37は、取付部材3の鋳造時に金型形状で形成され、あるいは鋳造後に加工により形成される。
四カ所のトルク受部21は、それぞれ同様の構造となっている。ディスク2に対しインナ側に配置された二カ所のトルク受部21は、相互対向側に、互いにディスク回転方向に沿って離れる方向に凹む凹状のパッドガイド30が形成されており、ディスク2に対しインナ側に配置された二カ所のトルク受部21には、相互対向側に、互いにディスク回転方向に沿って離れる方向に凹む凹状のパッドガイド30が形成されている。
図2に示すように、取付部材3には、四カ所のトルク受部21のそれぞれに個別にパッドスプリング41が取り付けられている。つまり、一つの取付部材3に、トルク受部21の数と同数の四つのパッドスプリング41が取り付けられている。インナ側のディスク回転方向一側に配置されるパッドスプリング41と、アウタ側のディスク回転方向他側に配置されるパッドスプリング41とは共通部品であり、インナ側のディスク回転方向他側に配置されるパッドスプリング41と、アウタ側のディスク回転方向一側に配置されるパッドスプリング41とは共通部品である。インナ側のディスク回転方向一側およびアウタ側のディスク回転方向他側のパッドスプリング41と、インナ側のディスク回転方向他側およびアウタ側のディスク回転方向一側のパッドスプリング41とは、鏡面対称の形状となっている。
パッドスプリング41は、一枚の板材からプレス成形により形成されるものであり、図5に示すように、矩形状の基板部42と、基板部42の一端縁部から基板部42に対し垂直に延出する板部43と、基板部42の他端縁部から板部43に平行をなして板部43と同側に延出する板部44とを有する凹状の案内部45を有している。
パッドスプリング41は、この案内部45が図3に示すトルク受部21の凹状のパッドガイド30に嵌合されることになり、この状態では、案内部45の板部43がパッドガイド30のディスク径方向外方の内側面32に当接可能となり、基板部42がパッドガイド30の底面34に当接可能となり、板部44がパッドガイド30のディスク径方向内方の内側面33に当接可能となる。具体的には、板部43が内側面32に当接し、基板部42が底面34に当接し、板部44が内側面33に当接する。
パッドガイド30に取り付けられた状態で、パッドスプリング41は、案内部45の板部43の基板部42とは反対側の端縁部からディスク径方向外側に延出して、ディスク回転方向の板部43側に折り返される係止部51を有している。係止部51は、板部43からディスク径方向外側に延出する板部52と、板部52の板部43とは反対側の端縁部から板部43に平行に延出する板部53と、板部53の板部52とは反対側の端縁部から板部43側に突出する矩形状の凸部54とを有している。図6に示すように、係止部51は、取付部材3の延出部38のディスク径方向外方の外側面35に対向する。
係止部51は、凸部54が延出部38の外側面35に形成された凹部37に入り込んでおり、これにより、凸部54と凹部37とが係合している。つまり、パッドスプリング41の係止部51と延出部38の外側面35とが凹凸係合されている。この凹凸係合の結果、パッドスプリング41は、取付部材3に対してディスク軸方向およびディスク回転方向の移動が規制される。
また、パッドスプリング41は、凹凸係合時に、係止部51が延出部38の外側面35に当接し、これと同時に案内部45が図3に示すパッドガイド30の内側面32に当接して、これら係止部51および案内部45で、トルク受部21の外側面35と内側面32との間の部分である延出部38を挟んでおり、これにより、ディスク径方向の移動も規制されている。具体的には、係止部51の凸部54が外側面35の凹部37の底面に当接し、これと同時に案内部45の板部43がパッドガイド30の内側面32に当接する。
図5に示すパッドスプリング41は、板部44のディスク2とは反対側となる端縁部からディスク径方向において板部43側に折り返されるスプリング部57と、板部52のディスク2とは反対側となる端縁部からディスク回転方向において板部53とは反対側に折り返されるスプリング部58とを有している。スプリング部57は、基板部42、板部43および板部44と共に案内部45を構成している。
図2に示す一対の摩擦パッド4は、共通部品であり、それぞれが、裏板71と、裏板71に貼着されるライニング72とを有している。摩擦パッド4は、裏板71において取付部材3に支持され、ライニング72においてディスク2に接触する。
裏板71は、ライニング72が貼着される主板部75と、主板部75の幅方向の両端部からこの幅方向に沿って互いに反対向きに突出する一対の突出部76とを有している。摩擦パッド4は、その突出部76が、図5に示すパッドスプリング41の案内部45に挿入されることになり、その際に、突出部76がスプリング部57を弾性変形させた状態で板部43とスプリング部57とに挟持されると共に主板部75がスプリング部58を弾性変形させる。よって、パッドスプリング41は、摩擦パッド4を弾性的に支持する。突出部76は、パッドスプリング41の案内部45の板部43およびスプリング部57に案内されてディスク軸方向に移動する。突出部76は、スプリング部57の付勢力によってディスク径方向外側に押圧されて板部43に当接することになり、ディスク径方向内側に力を受けると、スプリング部57を弾性変形させながらディスク径方向内側に若干移動する。言い換えれば、パッドスプリング41の案内部45が、摩擦パッド4をディスク軸方向に案内する。
図1に示すキャリパ6は、キャリパボディ7のディスク回転方向両側に取り付けられた図示略のピンが、図2に示す取付部材3の一対の支持穴25に摺動可能に嵌合されることになり、これにより、取付部材3にディスク軸方向に移動可能に支持される。その際に、キャリパ6は、図1に示すようにキャリパボディ7のシリンダ10およびピストン8をインナ側の摩擦パッド4のディスク2と反対側に、爪部12をアウタ側の摩擦パッド4のディスク2と反対側に、それぞれ配置する。
特許文献1に記載のディスクブレーキは、アンカーブラケットとブレーキパッドとの間に配設されるブレーキグリップに、アンカーブラケットの上部表面に係合する保持タブが設けられている。しかしながら、保持タブはアンカーブラケットの平面状の上部表面に当接する構造であるため、アンカーブラケットに対しディスク軸方向に位置ズレを生じる可能性がある。このため、ブレーキグリップでアンカーブラケットを挟む構造となっている。
これに対して、第1実施形態のディスクブレーキ1は、パッドスプリング41が、取付部材3のパッドガイド30に嵌合して摩擦パッド4の突出部76をディスク軸方向に案内する案内部45と、この案内部45からディスク径方向外側に延出して折り返され、取付部材3の延出部38のディスク径方向外方の外側面35に対向する係止部51と、を備えていて、係止部51と延出部38の外側面35とが凹凸係合されている。このため、パッドスプリング41の取付部材3に対するディスク軸方向およびディスク回転方向の位置ズレを抑制することができる。
また、凹凸係合時に、係止部51が延出部38の外側面35に当接し、これと同時に案内部45がパッドガイド30の内側面32に当接して、これら係止部51および案内部45で、トルク受部21の外側面35と内側面32との間の部分である延出部38を挟んでいるため、パッドスプリング41の取付部材3に対するディスク径方向の位置ズレを抑制することができる。
しかも、位置ズレ抑制のために、パッドスプリング41がトルク受部21をディスク軸方向に挟む構造ではないため、パッドスプリング41を共用化しても、トルク受部21のディスク軸方向の肉厚をインナ側とアウタ側とで合わせる必要がなく、それぞれの肉厚を最適化できるため、取付部材3の軽量化が図れる。
また、凹凸係合によりパッドスプリング41を取付部材3に取り付ける構造であるため、パッドスプリング41の取付部材3に対する位置が安定する。よって、摩擦パッド4の引き摺りを抑制できるとともに、ラトル音の発生を抑制することができる。また、パッドスプリング41の位置ズレによって摩擦パッド4の拘束力が低下することで生じる弱ブレーキ時の微圧鳴きを抑制できる。
また、係止部51が凸部54を有し、延出部38の外側面35が凹部37を有して、これら凸部54と凹部37とが係合するため、簡素な構造でパッドスプリング41の取付部材3に対するディスク軸方向およびディスク回転方向の位置ズレを抑制することができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図7〜図10に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、図7,図8に示すように、取付部材3の延出部38の外側面35が主面部36よりもディスク径方向内方に凹む矩形状の凹部37Aを有しているが、この凹部37Aが、先端面31に抜ける形状をなしている。凹部37Aも、取付部材3の鋳造時に金型形状で形成され、あるいは鋳造後に加工により形成される。第2実施形態の取付部材3は、この変更に伴う部分以外は第1実施形態の取付部材3と同様になっている。
また、第2実施形態においては、図9に示すように、パッドスプリング41の係止部51が、第1実施形態の板部53をより長く板部52から延出させた形状の板部53Aを有しており、第1実施形態の凸部54は設けられていない。第2実施形態のパッドスプリング41は、この変更に伴う部分以外は第1実施形態のパッドスプリング41と同様になっている。
そして、第2実施形態のパッドスプリング41は、案内部45が第2実施形態の取付部材3のパッドガイド30に嵌合される際に、図10に示すように、係止部51の板部53Aが、外側面35に形成された凹部37Aに入り込み、これにより、板部53Aと凹部37Aとが係合する。このようにして、第2実施形態においても、パッドスプリング41の係止部51と延出部38の外側面35とが凹凸係合され、その結果、パッドスプリング41は、取付部材3に対してディスク軸方向の移動が規制される。
第2実施形態においては、延出部38の外側面35が凹部37Aを有し、この凹部37Aに係止部51の板部53Aが係合するため、簡素な構造でパッドスプリング41の取付部材3に対する位置ズレを抑制することができる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図11〜図14に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、図11,図12に示すように、取付部材3の延出部38の外側面35の凹部37Bが、円形状をなして主面部36よりもディスク径方向内方に凹んでいる。凹部37Bも、取付部材3の鋳造時に金型形状で形成され、あるいは鋳造後に加工により形成される。第3実施形態の取付部材3は、この変更に伴う部分以外は第1実施形態の取付部材3と同様になっている。
また、第3実施形態においては、図13(a),図13(b)に示すように、パッドスプリング41の係止部51の板部52から垂直に延出する板部53Bが、第1実施形態の板部53よりも長くなっている。係止部51には、この板部53Bよりも板部43側に突出する円形の凸部54Bが設けられている。第3実施形態のパッドスプリング41は、この変更に伴う部分以外は第1実施形態のパッドスプリング41と同様になっている。
そして、第3実施形態のパッドスプリング41は、案内部45が第3実施形態の取付部材3のパッドガイド30に嵌合される際に、図14に示すように、係止部51の凸部54Bが、図11に示す外側面35に形成された凹部37Bに入り込み、これにより、係止部51の凸部54Bと凹部37Bとが係合する。このようにして、第3実施形態においても、パッドスプリング41の係止部51と延出部38の外側面35とが凹凸係合され、その結果、パッドスプリング41は、取付部材3に対してディスク軸方向およびディスク回転方向の移動が規制される。
第3実施形態においては、係止部51が凸部54Bを有し、延出部38の外側面35が凹部37Bを有して、これら凸部54Bと凹部37Bとが係合するため、簡素な構造でパッドスプリング41の取付部材3に対する位置ズレを抑制することができる。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態を主に図15〜図18に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第4実施形態においては、図15,図16に示すように、取付部材3の延出部38の外側面35に主面部36よりもディスク径方向外方に突出する円柱状の凸部37Cが形成されている。凸部37Cは、取付部材3の鋳造時に金型形状で形成され、あるいは鋳造後に周囲が加工されることにより形成される。第4実施形態の取付部材3は、この変更に伴う部分以外は第1実施形態の取付部材3と同様になっている。
また、第4実施形態においては、図17(a),図17(b)に示すように、パッドスプリング41の係止部51の板部52から垂直に延出する板部53Cが、第1実施形態の板部53よりも長くなっている。係止部51には、この板部53Cに、ディスク径方向に貫通する円形の孔54Cが設けられている。パッドスプリング41は、この変更に伴う部分以外は第1実施形態のパッドスプリング41と同様になっている。
そして、第4実施形態のパッドスプリング41は、案内部45が第4実施形態の取付部材3のパッドガイド30に嵌合される際に、外側面35に形成された凸部37Cが、係止部51の孔54Cに入り込み、これにより、係止部51の孔54Cと凸部37Cとが係合する。このようにして、第4実施形態においても、パッドスプリング41の係止部51と延出部38の外側面35とが凹凸係合され、その結果、パッドスプリング41は、取付部材3に対してディスク軸方向およびディスク回転方向の移動が規制される。
第4実施形態においては、係止部51が孔54Cを有し、延出部38の外側面35が凸部37Cを有して、これら凸部37Cと孔54Cとが係合するため、簡素な構造でパッドスプリング41の取付部材3に対する位置ズレを抑制することができる。
以上に述べた実施形態のディスクブレーキは、車両の非回転部分に取り付けられ凹状のパッドガイドを有する取付部材と、該取付部材に摺動可能に設けられるキャリパと、前記パッドガイドに挿入される突出部を有し、前記キャリパによってディスクの両面に押圧される一対の摩擦パッドと、前記取付部材に取り付けられ前記摩擦パッドを弾性的に支持するパッドスプリングと、を備えるディスクブレーキにおいて、前記取付部材は、前記ディスクの外周を跨いで配置されるディスクパス部と、該ディスクパス部からディスク径方向内方に向けて延び、前記パッドガイドが形成されるトルク受部と、を備え、該トルク受部は、前記パッドガイドよりもディスク径方向外側に配置され、ディスク回転方向に向かって延出する延出部を有し、前記パッドスプリングは、前記パッドガイドのディスク径方向外方の内側面と底面とに当接可能に取り付けられ前記摩擦パッドをディスク軸方向に案内する案内部と、該案内部からディスク径方向外側に延出して折り返され、前記延出部のディスク径方向外方の外側面に対向する係止部と、を備え、該係止部と前記延出部の外側面とが凹凸係合されている。このため、パッドスプリングの取付部材に対するディスク軸方向の位置ズレを抑制することができる。
前記係止部は凸部を有し、前記延出部の外側面は凹部を有し、前記凸部と前記凹部とが係合しているため、簡素な構造でパッドスプリングの取付部材に対する位置ズレを抑制することができる。
前記延出部の外側面は凹部を有し、該凹部と前記係止部とが係合しているため、簡素な構造でパッドスプリングの取付部材に対する位置ズレを抑制することができる。
前記係止部は孔を有し、前記延出部の外側面は凸部を有し、該凸部と前記孔とが係合しているため、簡素な構造でパッドスプリングの取付部材に対する位置ズレを抑制することができる。