本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に示す本実施形態のディスクブレーキ1は、自動車等の車両に取り付けられるものであり、制動対象となる図示略の車輪とともに回転するディスク10に摩擦抵抗を付与して車輪の回転を制動するものである。なお、以下においては、ディスク10の軸線方向をディスク軸方向と、ディスク10の回転方向をディスク回転方向と、ディスク10の径方向のうちディスクブレーキ1のディスク回転方向中心を通る線の方向をディスク径方向と、それぞれ称す。また、ディスク径方向においてディスク10の中心から離れる方向をディスク径方向外側と、ディスク10の中心に近づく方向をディスク径方向内側と、それぞれ称す。
ディスクブレーキ1は、図1に示すように、上記したディスク10と、このディスク10の外周側をディスク軸方向に跨いで車両の非回転部分に取り付けられる取付部材11と、ディスク10の軸方向の両面に対向配置されて取付部材11に支持される図3に示す一対の摩擦パッド12,12と、取付部材11に摺動可能に設けられて、一対の摩擦パッド12,12をディスク10の両面に押圧するキャリパ14とを備えている。キャリパ14は、一対の摩擦パッド12,12のうちの一方を押圧するピストン13を有している。ディスクブレーキ1は、図2,図4,図5に示すように、取付部材11の一部にそれぞれ取り付けられて、各摩擦パッド12,12をディスク径方向外側に付勢する一対のパッドスプリング16,16を備えている。
取付部材11は、鏡面対称の形状をなす一体成形品であり、図5に示すように、一対のディスクパス部20,20と、取付ベース部21と、アウタビーム部22とを有している。
一対のディスクパス部20,20は互いに離間している。取付ベース部21は、一対のディスクパス部20,20を一側で連結する。アウタビーム部22は、図2に示すように一対のディスクパス部20,20を他側で連結する。取付ベース部21には、一対のディスクパス部20,20側の両端位置に一対の取付穴24,24が形成されており、取付部材11は、これら取付穴24,24に挿通される締結部材によって車両の非回転部分に取り付けられることになる。
車両の非回転部分に取り付けられた状態で、取付部材11は、図1に示すように、一対のディスクパス部20,20が、ディスク10の外周側をディスク軸方向に跨ぐことになり、互いにディスク回転方向に離間して配置される。また、車両の非回転部分に取り付けられた状態で、取付部材11は、図2に示すように、アウタビーム部22が、一対のディスクパス部20,20のディスク径方向の内側位置でディスク回転方向に延在してこれらを連結し、図4に示すように、取付ベース部21が、一対のディスクパス部20,20のディスク径方向の内側位置でディスク回転方向に延在してこれらを連結する。図3に示すように、取付ベース部21およびアウタビーム部22は、ディスク10に対し軸方向両側に配置される。ここで、取付ベース部21はディスク10よりも車両の車幅方向の内側(以下、インナ側と称す)に配置される。また、アウタビーム部22はディスク10よりも車両の車幅方向の外側(以下、アウタ側と称す)に配置される。
図4,図5に示すように、一対のディスクパス部20,20は、それぞれのインナ側にディスク径方向に延びてインナ側の摩擦パッド12を移動可能に支持するパッドガイド26Aを有しており、これらパッドガイド26A,26Aの相互対向側には、図4に示すように凹部27A,27Aが形成されている。一方のパッドガイド26Aに形成された凹部27Aは、他方のパッドガイド26Aから離れる方向に凹んでおり、この他方のパッドガイド26Aに形成された凹部27Aは、前記一方のパッドガイド26Aから離れる方向に凹んでいる。つまり、インナ側の凹部27A,27Aは、互いにディスク回転方向に沿って離れる方向に凹んでいる。
図2に示すように、一対のディスクパス部20,20は、それぞれのアウタ側にもディスク径方向に延びてアウタ側の摩擦パッド12を移動可能に支持するパッドガイド26Bを有しており、これらパッドガイド26B,26Bの相互対向側には、凹部27B,27Bが形成されている。一方のパッドガイド26Bに形成された凹部27Bは、他方のパッドガイド26Bから離れる方向に凹んでおり、この他方のパッドガイド26Bに形成された凹部27Bは、前記一方のパッドガイド26Bから離れる方向に凹んでいる。つまり、アウタ側の凹部27B,27Bは、互いにディスク回転方向に沿って離れる方向に凹んでいる。
ディスク回転方向の同じ一側にあるインナ側の凹部27Aおよびアウタ側の凹部27Bは、同形状をなしており、ディスク回転方向およびディスク径方向の位置を合わせている。ディスク回転方向の同じ逆側にあるインナ側の凹部27Aおよびアウタ側の凹部27Bは、同形状をなしており、ディスク回転方向およびディスク径方向の位置を合わせている。
図5に示すように、一対のディスクパス部20,20は、それぞれのインナ側のパッドガイド26Aとアウタ側のパッドガイド26Bとを連結させる連結部28を有している。一方のディスクパス部20の連結部28は、ディスク回転方向一側のインナ側のパッドガイド26Aおよびアウタ側のパッドガイド26Bのディスク径方向外端部同士を連結している。他方のディスクパス部20の連結部28は、ディスク回転方向他側のインナ側のパッドガイド26Aおよびアウタ側のパッドガイド26Bのディスク径方向外端部同士を連結している。連結部28,28は、図1に示すように、ディスク10とディスク軸方向の位置を重ね合わせてディスク10よりもその径方向外側に配置される。
図4,図5に示すように、一対のディスクパス部20,20には、ディスク径方向の外端部に、インナ側からアウタ側の途中位置まで一対の嵌合穴31,31が形成されている。一方の嵌合穴31は一方の連結部28を貫通しており、他方の嵌合穴31は他方の連結部28を貫通している。
一対のパッドスプリング16,16は、共通の構成を有する共通部品である。図6〜図8に示すパッドスプリング16は、一定厚さの一枚の板材からプレス成形により形成されるものであり、図6,図8に示すように、鏡面対称の形状をなしている。パッドスプリング16は、一対のパッド支持部41,41と、一対のパッド支持部41,41を接続する接続部42と、を有している。
一対のパッド支持部41,41は、それぞれが、接続部42側の外端板部51と、外端板部51の接続部42とは反対側の端部から外端板部51に垂直に延出する外側支持板部52と、外側支持板部52の外端板部51とは反対側の端部から外側支持板部52に垂直に外端板部51から離れる方向に延出する中間板部53と、中間板部53の外側支持板部52とは反対側の端部から中間板部53にほぼ垂直に外側支持板部52と同側に延出するベース板部54とを有している。一対のパッド支持部41,41は、それぞれ、連続する外側支持板部52と中間板部53とベース板部54とが、全体として凹状に連結されて凹状部55となっている。ベース板部54は他方のパッド支持部41とは反対側に突出する突出部54aを有している。
一対のパッド支持部41,41は、それぞれが、ベース板部54の突出部54aの他方のパッド支持部41とは反対側の端部から外側支持板部52側に折り返されてベース板部54の外側支持板部52側に配置される延出板部(延出部)56を有している。
ここでは、図6〜図9に示すようにパッドスプリング16が自然状態にあるときの一方のパッド支持部41について説明する。一方のパッド支持部41は、その延出板部56が、ベース板部54の突出部54aの他方のパッド支持部41とは反対側の端部から外側支持板部52側に円弧状に折り返す折返部57と、この折返部57のベース板部54とは反対側の端部から他方のパッド支持部41の方向に他方のパッド支持部41側ほどベース板部54から離れるように傾斜して直線状に延出する内側支持板部58と、を有している。
内側支持板部58には、外側支持板部52側に膨出するリブ61が、折返部57の近傍位置から折返部57とは反対側の端部まで延びて、幅方向中央に形成されている。リブ61もプレス成形により形成されている。これにより、内側支持板部58には、リブ61の位置のベース板部54側に、折返部57の近傍位置から折返部57とは反対側の端部まで延びる図8に示す線条凹部62が形成されている。リブ61および線条凹部62は、延在方向に直交する断面が円弧状となっている。
ベース板部54には、折返部57の近傍位置に外側支持板部52側に突出する突起部63が形成されている。突起部63は球形状(突出方向前方から見ると円形をなすドーム型)となっている。延出板部56がベース板部54側に弾性変形すると、突起部63が線条凹部62に一部入り込んで延出板部56に当接する。このとき、ベース板部54は、突起部63以外が延出板部56に当接することはない。突起部63もプレス成形により形成されている。突起部63は、延出板部56の幅方向における中央部に当接するように、ベース板部54に配置されている。
他方のパッド支持部41の延出板部56も、同様に、折返部57と、リブ61および線条凹部62を含む内側支持板部58とを有しており、他方のパッド支持部41のベース板部54にも、同様の突起部63が設けられている。
接続部42は、一対のパッド支持部41,41の外端板部51,51同士を接続する接続板部66と、接続板部66における外端板部51,51の間に設けられた位置決め部67とを有している。
図2,図4,図5に示すように、一方のパッドスプリング16は、ディスク回転方向一側の一方のディスクパス部20に取り付けられる。その際に、一方のパッドスプリング16は、接続部42を一対のパッド支持部41,41よりもディスク径方向外側に配置した状態で、図4に示すように一方のパッド支持部41の凹状部55を、インナ側のパッドガイド26Aの凹部27Aに嵌合させ、図2に示すように他方のパッド支持部41の凹状部55を、アウタ側のパッドガイド26Bの凹部27Bに嵌合させると共に、図5に示すように位置決め部67をパッドガイド26A,26B間に嵌合させる。これにより、この一方のパッドスプリング16は、一対のパッド支持部41,41がディスク10の両面側に配置される状態となる。
この一方のパッドスプリング16は、位置決め部67をパッドガイド26A,26B間に嵌合させると、取付部材11にディスク軸方向の移動が規制されて設けられる。その結果、この一方のパッドスプリング16は、ディスク10に対してもディスク軸方向の移動が規制される。このように一方のパッドスプリング16は、一方のディスクパス部20に取り付けられた状態で、図2,図4に示すように凹部27A,27Bに嵌合する凹状部55,55がディスク回転方向に凹む形状となる。この状態で、凹部27Aに嵌合する凹状部55のベース板部54は、この凹状部55のディスク径方向内側に配置されて凹部27Aに当接することになり、その突出部54aが、図5に示すようにパッドガイド26Aよりもディスク軸方向の外側に突出する。同様に、凹部27Bに嵌合する凹状部55のベース板部54は、この凹状部55のディスク径方向内側に配置されて凹部27Bに当接することになり、その突出部54aがパッドガイド26Bよりもディスク軸方向の外側に突出する。
この一方のパッドスプリング16において、凹部27Aに嵌合する凹状部55から延出する一方の延出板部56は、その基端側がこの凹状部55のベース板部54の突出部54aからディスク軸方向の内側に折り返され、その先端側がこの凹状部55のベース板部54のディスク径方向外側に配置される。このベース板部54には、ディスク径方向の外側に向かって突出する突起部63が設けられている。同様に、凹部27Bに嵌合する凹状部55から延出する一方の延出板部56は、その基端側がこの凹状部55のベース板部54の突出部54aからディスク軸方向の内側に折り返され、その先端側がこの凹状部55のベース板部54のディスク径方向外側に配置される。このベース板部54には、ディスク径方向の外側に向かって突出して突起部63が設けられている。
他方のパッドスプリング16は、ディスク回転方向他側の他方のディスクパス部20に上記と同様に取り付けられる。その際に、他方のパッドスプリング16は、一方のパッド支持部41の凹状部55を、インナ側のパッドガイド26Aの凹部27Aに嵌合させ、他方のパッド支持部41の凹状部55を、アウタ側のパッドガイド26Bの凹部27Bに嵌合させると共に、位置決め部67をパッドガイド26A,26B間に嵌合させる。このように他方のパッドスプリング16は、他方のディスクパス部20に取り付けられた状態で、凹部27A,27Bに嵌合する凹状部55,55がディスク回転方向に凹む形状となる。この状態で、凹部27Aに嵌合する凹状部55のベース板部54は、この凹状部55のディスク径方向内側に配置されて凹部27Aに当接することになり、その突出部54aがパッドガイド26Aよりもディスク軸方向の外側に突出する。同様に、凹部27Bに嵌合する凹状部55のベース板部54は、この凹状部55のディスク径方向内側に配置されて凹部27Bに当接することになり、その突出部54aがパッドガイド26Bよりもディスク軸方向の外側に突出する。
この他方のパッドスプリング16において、凹部27Aに嵌合する凹状部55から延出する一方の延出板部56は、その基端側がこの凹状部55のベース板部54の突出部54aからディスク軸方向の内側に折り返され、その先端側がこの凹状部55のベース板部54のディスク径方向外側に配置される。このベース板部54には、ディスク径方向の外側に向かって突出して突起部63が設けられている。同様に、凹部27Bに嵌合する凹状部55から延出する一方の延出板部56は、その基端側がこの凹状部55のベース板部54の突出部54aからディスク軸方向の内側に折り返され、その先端側がこの凹状部55のベース板部54のディスク径方向外側に配置される。このベース板部54には、ディスク径方向の外側に向かって突出して突起部63が設けられている。
そして、図4に示すように一対のパッドスプリング16,16の互いに反対向きに凹んでインナ側の凹部27A,27Aに嵌合された凹状部55,55にインナ側の摩擦パッド12がディスク軸方向に移動可能となるように支持される。図2に示すように、一対のパッドスプリング16,16の互いに反対向きに凹んでアウタ側の凹部27B,27Bに嵌合された凹状部55,55にアウタ側の摩擦パッド12がディスク軸方向に移動可能となるように支持される。
インナ側の摩擦パッド12とアウタ側の摩擦パッド12とは、共通部品である。図4にインナ側を、図2にアウタ側を、それぞれ図示するように、摩擦パッド12は、鏡面対象の形状をなしており、裏板71と、裏板71に貼着される図3に示すライニング72とを有している。裏板71は、ライニング72が貼着される主板部75と、図2,図4に示すように主板部75の幅方向の両端部からこの幅方向に沿って互いに反対向きに突出する一対の凸部76,76とを有している。
そして、インナ側の摩擦パッド12は、一方の第1の凸部76が、一方の第1のパッドスプリング16に対して、そのインナ側の延出板部56の内側支持板部58をインナ側のベース板部54に近づけるように弾性変形させてインナ側の凹状部55の外側支持板部52とインナ側の延出板部56の内側支持板部58とに挟持される。また、他方の第2の凸部76が、他方の第2のパッドスプリング16に対して、そのインナ側の延出板部56の内側支持板部58をインナ側のベース板部54に近づけるように弾性変形させてインナ側の凹状部55の外側支持板部52とインナ側の延出板部56の内側支持板部58と挟持される。この状態で、インナ側の摩擦パッド12は、凸部76,76がディスク回転方向に突出する状態となり、これら凸部76,76と、取付部材11のインナ側の凹部27A,27Aとが、間にパッドスプリング16,16のインナ側の凹状部55,55およびインナ側の延出板部56,56を介在させて嵌合する。
このとき、第1のパッドスプリング16において、インナ側の延出板部56の先端側の内側支持板部58は、インナ側のベース板部54とインナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76との間に延出された状態となる。また、このとき、第2のパッドスプリング16において、インナ側の延出板部56の先端側の内側支持板部58は、インナ側のベース板部54とインナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76との間に延出された状態となる。
また、このとき、インナ側の摩擦パッド12は、第1の凸部76が、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56でディスク径方向外側に付勢され、第2の凸部76が、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56でディスク径方向外側に付勢される。インナ側の摩擦パッド12は、インナ側の外側支持板部52,52と、インナ側の延出板部56,56の内側支持板部58,58とを摺動する。
インナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76が、第1のパッドスプリング16のインナ側の凹状部55の外側支持板部52に当接した状態で、図10に示すように、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56は、第1のパッドスプリング16のインナ側の突起部63から離間している。この状態から、図11に示すように、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56が、第1のパッドスプリング16のインナ側の突起部63に当接するまで、インナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76には、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
ここで、インナ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が小さい状態では、図10に示すように、第1のパッドスプリング16のインナ側において延出板部56が突起部63から離間しており、インナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76には、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
インナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76が、第1のパッドスプリング16のインナ側の外側支持板部52から離間する方向(ディスク径方向内方)に移動して、図11に示すように、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56が第1のパッドスプリング16のインナ側の突起部63に当接すると、その後は、インナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76には、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。
ここで、インナ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が大きくなると、振動を生じ易くなり、このような振動でインナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76がディスク径方向内方に移動して、第1のパッドスプリング16のインナ側において延出板部56が突起部63に当接する状態になると、インナ側の摩擦パッド12の第1の凸部76には、第1のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。このバネ荷重は、折返部57を支点としたバネ荷重よりも大きい。
第1のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41において、突起部63は、ベース板部54のインナ側の摩擦パッド12よりもディスク10とは反対側に設けられて、第1の凸部76のディスク径方向内方への移動時に延出板部56に当接し第1の凸部76のディスク径方向外方への移動時に延出板部56から離間する。言い換えれば、第1のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41において、突起部63は、インナ側の摩擦パッド12が突起部63よりもディスク10に近い側に位置した状態で、延出板部56とベース板部54とを当接させる。第1のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41は、突起部63が設けられることで、延出板部56がその撓み量に応じて支点が変わる構造になっている。言い換えれば、第1のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41において、突起部63は、インナ側の摩擦パッド12の移動位置に応じて、延出板部56のベース板部54に対する支点位置を変化させる。
同様に、インナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76が、第2のパッドスプリング16のインナ側の凹状部55の外側支持板部52に当接した状態で、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56は第2のパッドスプリング16のインナ側の突起部63から離間している。この状態から、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56が第2のパッドスプリング16のインナ側の突起部63に当接するまで、インナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76には、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
インナ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が小さい状態では、第2のパッドスプリング16のインナ側において延出板部56が突起部63から離間しており、インナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76には、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
インナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76が、第2のパッドスプリング16のインナ側の外側支持板部52から離間する方向(ディスク径方向内方)に移動して、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56が第2のパッドスプリング16のインナ側の突起部63に当接すると、その後は、インナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76には、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。
インナ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が大きくなると、振動を生じ易くなり、このような振動でインナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76がディスク径方向内方に移動して、第2のパッドスプリング16のインナ側において延出板部56が突起部63に当接する状態になると、インナ側の摩擦パッド12の第2の凸部76には、第2のパッドスプリング16のインナ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。このバネ荷重は、折返部57を支点としたバネ荷重よりも大きい。
第2のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41において、突起部63は、ベース板部54のインナ側の摩擦パッド12よりもディスク10とは反対側に設けられて、第2の凸部76のディスク径方向内方への移動時に延出板部56に当接し第2の凸部76のディスク径方向外方への移動時に延出板部56から離間する。言い換えれば、第2のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41において、突起部63は、インナ側の摩擦パッド12が突起部63よりもディスク10に近い側に位置した状態で、延出板部56とベース板部54とを当接させる。第2のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41は、突起部63が設けられることで、延出板部56がその撓み量に応じて支点が変わる構造になっている。第2のパッドスプリング16のインナ側のパッド支持部41において、突起部63は、インナ側の摩擦パッド12の移動位置に応じて、延出板部56のベース板部54に対する支点位置を変化させる。
アウタ側の摩擦パッド12も、同様に、一方の第3の凸部76が、第1のパッドスプリング16に対して、そのアウタ側の延出板部56の内側支持板部58をアウタ側のベース板部54に近づけるように弾性変形させてアウタ側の凹状部55の外側支持板部52とアウタ側の延出板部56の内側支持板部58とに挟持される。また、他方の第4の凸部76が、第2のパッドスプリング16に対して、そのアウタ側の延出板部56の内側支持板部58をアウタ側のベース板部54に近づけるように弾性変形させてアウタ側の凹状部55の外側支持板部52とアウタ側の延出板部56の内側支持板部58と挟持される。この状態で、アウタ側の摩擦パッド12は、凸部76,76がディスク回転方向に突出する状態となり、これら凸部76,76と、取付部材11のアウタ側の凹部27B,27Bとが、間にパッドスプリング16,16のアウタ側の凹状部55,55およびアウタ側の延出板部56,56を介在させて嵌合する。
このとき、第1のパッドスプリング16において、アウタ側の延出板部56の先端側の内側支持板部58は、アウタ側のベース板部54とアウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76との間に延出された状態となる。第2のパッドスプリング16においても、アウタ側の延出板部56の先端側の内側支持板部58は、アウタ側のベース板部54とアウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76との間に延出された状態となる。
また、このとき、アウタ側の摩擦パッド12は、第3の凸部76が、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56でディスク径方向外側に付勢され、第4の凸部76が、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56でディスク径方向外側に付勢される。アウタ側の摩擦パッド12は、アウタ側の外側支持板部52,52と、アウタ側の延出板部56,56の内側支持板部58,58とを摺動する。
アウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76が、第1のパッドスプリング16のアウタ側の凹状部55の外側支持板部52に当接した状態で、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56は、第1のパッドスプリング16のアウタ側の突起部63から離間している。この状態から、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56が第1のパッドスプリング16のアウタ側の突起部63に当接するまで、アウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76には、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
アウタ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が小さい状態では、第1のパッドスプリング16のアウタ側において延出板部56が突起部63から離間しており、アウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76には、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
アウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76が、第1のパッドスプリング16のアウタ側の外側支持板部52から離間する方向(ディスク径方向内方)に移動して、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56が第1のパッドスプリング16のアウタ側の突起部63に当接すると、その後は、アウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76には、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。
アウタ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が大きくなると、振動を生じ易くなり、このような振動でアウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76がディスク径方向内方に移動して、第1のパッドスプリング16のアウタ側において延出板部56が突起部63に当接する状態になると、アウタ側の摩擦パッド12の第3の凸部76には、第1のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。このバネ荷重は、折返部57を支点としたバネ荷重よりも大きい。
第1のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41において、突起部63は、ベース板部54のアウタ側の摩擦パッド12よりもディスク10とは反対側に設けられて、第3の凸部76のディスク径方向内方への移動時に延出板部56に当接し第3の凸部76のディスク径方向外方への移動時に延出板部56から離間する。言い換えれば、第1のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41において、突起部63は、アウタ側の摩擦パッド12が突起部63よりもディスク10に近い側に位置した状態で、延出板部56とベース板部54とを当接させる。第1のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41は、突起部63が設けられることで、延出板部56がその撓み量に応じて支点が変わる構造になっている。第1のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41において、突起部63は、アウタ側の摩擦パッド12の移動位置に応じて、延出板部56のベース板部54に対する支点位置を変化させる。
同様に、アウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76が、第2のパッドスプリング16のアウタ側の凹状部55の外側支持板部52に当接した状態で、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56は、第2のパッドスプリング16のアウタ側の突起部63から離間している。この状態から、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56が第2のパッドスプリング16のアウタ側の突起部63に当接するまで、アウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76には、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
アウタ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が小さい状態では、第2のパッドスプリング16のアウタ側において延出板部56が突起部63から離間しており、アウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76には、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の折返部57を支点としたバネ荷重が加わる。
アウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76が、第2のパッドスプリング16のアウタ側の外側支持板部52から離間する方向(ディスク径方向内方)に移動して、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56が第2のパッドスプリング16のアウタ側の突起部63に当接すると、その後は、アウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76には、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。
アウタ側の摩擦パッド12がディスク10から受ける力が大きくなると、振動を生じ易くなり、このような振動でアウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76がディスク径方向内方に移動して、第2のパッドスプリング16のアウタ側において延出板部56が突起部63に当接する状態になると、アウタ側の摩擦パッド12の第4の凸部76には、第2のパッドスプリング16のアウタ側の延出板部56の突起部63を支点としたバネ荷重が加わる。このバネ荷重は、折返部57を支点としたバネ荷重よりも大きい。
第2のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41において、突起部63は、ベース板部54のアウタ側の摩擦パッド12よりもディスク10とは反対側に設けられて、第4の凸部76のディスク径方向内方への移動時に延出板部56に当接し第4の凸部76のディスク径方向外方への移動時に延出板部56から離間する。言い換えれば、第2のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41において、突起部63は、アウタ側の摩擦パッド12が突起部63よりもディスク10に近い側に位置した状態で、延出板部56とベース板部54とを当接させる。第2のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41は、突起部63が設けられることで、延出板部56がその撓み量に応じて支点が変わる構造になっている。第2のパッドスプリング16のアウタ側のパッド支持部41において、突起部63は、アウタ側の摩擦パッド12の移動位置に応じて、延出板部56のベース板部54に対する支点位置を変化させる。
図4,図5に示す取付部材11の一対の嵌合穴31,31には、図1に示すキャリパ14が一対のスライドピン90,90を摺動可能に嵌合させており、これにより、キャリパ14が取付部材11にディスク軸方向に摺動可能に支持されている。
キャリパ14は、図3に示すように、ピストン13をディスク軸方向に摺動可能に支持してインナ側の摩擦パッド12のディスク10とは反対側に配置する有底筒状のシリンダ部91と、このシリンダ部91のディスク径方向における外側からディスク10の外周部を跨いで延出するブリッジ部92と、このブリッジ部92のシリンダ部91に対し反対側からアウタ側の摩擦パッド12のディスク10に対し反対側に対向するように延出する爪部93とを有するキャリパ本体94を有している。
ブレーキペダルによるブレーキ操作でブレーキ液圧がシリンダ部91とピストン13との間に導入されると、ピストン13に液圧が作用してディスク10の方向への推進力が発生する。すると、ピストン13がディスク10の方向に移動することにより、インナ側の摩擦パッド12を取付部材11およびディスク10に対してディスク軸方向に移動させてディスク10に押圧する。その際に、インナ側の摩擦パッド12は、取付部材11のインナ側のパッドガイド26A,26Aに設けられた一対のパッドスプリング16,16のそれぞれのインナ側のパッド支持部41,41を摺動することになる。
また、この押圧の反力で、爪部93をディスク10側に移動させるようにキャリパ本体94がインナ側に移動してアウタ側の摩擦パッド12を爪部93で取付部材11およびディスク10に対してディスク軸方向に移動させてディスク10に押圧する。その際に、アウタ側の摩擦パッド12は、取付部材11のアウタ側のパッドガイド26B,26Bに設けられた一対のパッドスプリング16,16のそれぞれのアウタ側のパッド支持部41,41を摺動することになる。
以上のようにして、一対の摩擦パッド12,12がディスク10に押圧される。すると、ディスク10と一体に一対の摩擦パッド12,12がディスク回転方向出口側に移動しようとすることになり、このとき生じる摩擦パッド12,12のトルクを、主に取付部材11のディスク回転方向出口側のパッドガイド26A,26Bが、ディスク回転方向出口側のパッドスプリング16のパッド支持部41,41を介して受ける。
特許文献1に記載されたディスクブレーキは、パッドスプリングの径方向付勢部にディスク径方向内側に折り曲げられた突片部を有している。この突片部は、パッドガイドの下側壁面に当接することで、径方向付勢部がパッドスプリングの下面板に当接することを防止するものである。このようなパッドスプリングでは、バネ荷重が大きいと摩擦パッドに引き摺りを生じ易く、逆にバネ荷重が小さいと異音を発生しやすい。
これに対し、本実施形態のディスクブレーキ1は、パッドスプリング16のベース板部54の延出板部56への連結側つまりディスク10とは反対側に、摩擦パッド12の凸部76のディスク径方向内方への移動時に延出板部56に当接する突起部63が設けられている。このため、延出板部56が折返部57を支点として弾性変形して凸部76を付勢する際のバネ荷重を小さくして摩擦パッド12の引き摺りを抑制しても、摩擦パッド12の振動時には、ベース板部54の突起部63に当接して延出板部56が突起部63を支点として弾性変形して凸部76を付勢することになり、バネ荷重を高めることになって、パッドラトル音等の異音の発生を抑制することができる。したがって、摩擦パッド12の引き摺りおよび異音の発生を抑制することができる。
しかも、突起部63は、摩擦パッド12が突起部63よりもディスク10に近い側に位置した状態で、ベース板部54と延出板部56とを当接させるため、ベース板部54および延出板部56の摩擦パッド12よりも相互連結側に突起部63が設けられることになり、突起部63に当接後の延出板部56のバネ荷重の設定自由度が高くなる。したがって、パッドラトル音等の異音の発生を抑制する効果が高い。
また、このベース板部54に、ディスク径方向の外側に向かって突出して突起部63が設けられているため、パッドスプリング16のプレス加工による製造が容易となる。
また、突起部63は、延出板部56の幅方向における中央部に当接するように、ベース板部54に配置されているので、延出板部56が突起部63に当接した状態でも、延出板部56のおける摩擦パッド12の付勢方向が変化することなく、摩擦パッド12の摩耗時においてもブレーキ鳴きの発生を抑制することができる。
ここで、図12に示すように、パッドスプリング16の延出板部56に、突起部63を、ディスク10からの距離を異ならせて複数設けても良い。このように延出板部56の弾性変形の支点となる突起部63を、ディスク10からの距離を異ならせて複数設けることによって、ライニング72の摩耗量によって変化する凸部76のディスク軸方向の位置に対応して、振動時のバネ荷重を良好に高めることができる。
突起部63は、ベース板部54から延出板部56側に突出させる以外に、延出板部56からベース板部54側に突出させるようにしても良い。また、突起部63は、球形状とする以外にも、角柱形状とすることも可能である。しかし、線条凹部62の延在方向に直交する断面が円弧状であるため、球形状にする方が接触状態が安定する。さらに、突起部63は、摩擦パッド12の摺動方向に対して直交する方向に延びる凸状部としてもよい。
上記実施形態は、ディスクの外周側をディスク軸方向に跨いで車両に取り付けられ、前記ディスクの両面に対向配置される少なくとも一対の摩擦パッドを移動可能に支持するパッドガイドを有する取付部材と、該取付部材に摺動可能に設けられ、前記一対の摩擦パッドを前記ディスクの両面に押圧するキャリパと、前記取付部材の一部にそれぞれ取り付けられ、前記各摩擦パッドをディスク径方向に付勢するパッドスプリングと、を有するディスクブレーキにおいて、前記パッドスプリングは、前記パッドガイドに当接して配置され、前記パッドガイドよりもディスク軸方向の外側に突出する突出部を有するベース板部と、基端側が前記突出部からディスク軸方向の内側に折り返され、先端側が前記ベース板部と前記摩擦パッドとの間に延出されて、前記摩擦パッドが摺動する延出部と、前記摩擦パッドの移動位置に応じて、前記延出部の前記ベース板部に対する支点位置を変化させて前記延出部と前記ベース板部とを当接させる突起部と、を有し、前記突起部は、前記摩擦パッドが該突起部よりも前記ディスクに近い側に位置した状態で、前記延出部と前記ベース板部とを当接させる位置に配置されている。これにより、摩擦パッドの引き摺りおよび異音の発生を抑制することができる。
また、前記突起部は、前記ベース板部にディスク径方向の外側に向かって突出して設けられるため、パッドスプリングの製造が容易となる。