WO2021039414A1

WO2021039414A1 - ディスクブレーキ

Info

Publication number: WO2021039414A1
Application number: PCT/JP2020/030753
Authority: WO
Inventors: 伸二鈴木
Original assignee: 日立Astemo株式会社
Priority date: 2019-08-28
Filing date: 2020-08-13
Publication date: 2021-03-04

Abstract

このディスクブレーキは、第１のパッドガイドおよび第２のパッドガイドを有する取付部材と、パッドスプリングと、キャリパと、摩擦パッドと、を備える。前記摩擦パッドは、前記第１のパッドガイド内に配置される第１の耳部と、前記第２のパッドガイド内に配置される第２の耳部と、を有する。前記第１の耳部は、前記第１のパッドガイドに直接当接可能に構成される。前記第２の耳部は、前記第２のパッドガイドに直接当接可能に構成される。前記取付部材は、前記第１のパッドガイドの位置以外かつ前記第２のパッドガイドの位置以外の位置に、支持される。そして、前記パッドスプリングの付勢部は、前記ディスク回転方向の付勢力と、前記ディスク回転方向に直交するディスク径方向外側に向けた付勢力との両方を、前記摩擦パッドに付与する。

Description

ディスクブレーキ

　本発明は、ディスクブレーキに関する。
　本願は、２０１９年８月２８日に、日本国に出願された特願２０１９－１５５２０４号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　ディスクブレーキにおいて、パッドスプリングで摩擦パッドを弾性的に支持するものがある（例えば、下記特許文献１参照）。

日本国特開２００７－２７１０６４号公報

　ディスクブレーキにおいては、微圧制動時に発生するブレーキ鳴きである微圧鳴きを抑制することが望まれている。

　本発明の目的は、微圧制動時に発生する微圧鳴きを抑制することが可能なディスクブレーキを提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
　すなわち、本発明に係る第１の態様は、車両の車輪と共に回転するディスクの回転を制動するディスクブレーキであり、前記ディスクの回転方向をディスク回転方向とし、前記ディスクの中心軸線の延在方向をディスク軸線方向としたときに、前記ディスクの外周側を前記ディスク軸線方向に跨いで前記車両の非回転部分に取り付けられるように構成され、前記ディスク回転方向に互いに離間して配置された第１のパッドガイドおよび第２のパッドガイドを有する取付部材と、前記取付部材に設けられたパッドスプリングと、前記取付部材に移動可能に設けられるキャリパと、前記ディスクの側面に対向して設けられ、前記キャリパによって前記ディスクの側面に押圧される摩擦パッドと、を備え、前記摩擦パッドが、前記ディスク回転方向の一端側にある前記第１のパッドガイド内に配置される第１の耳部と、前記ディスク回転方向の他端側にある前記第２のパッドガイド内に配置される第２の耳部と、を有し、前記第１の耳部が、前記第１のパッドガイドに直接当接可能に構成され、前記第２の耳部が、前記第２のパッドガイドに直接当接可能に構成され、前記取付部材が、前記第１のパッドガイドの位置以外かつ前記第２のパッドガイドの位置以外の位置に支持され、前記付勢部が、前記ディスク回転方向の付勢力と、前記ディスク回転方向に直交するディスク径方向外側に向けた付勢力との両方を、前記摩擦パッドに付与する。

　本発明に係る第２の態様は、車両の車輪と共に回転するディスクの回転を制動するディスクブレーキであり、前記ディスクの回転方向をディスク回転方向とし、前記ディスクの中心軸線の延在方向をディスク軸線方向とし、前記ディスク回転方向に直交する方向をディスク径方向としたときに、前記車両の非回転部分に取り付けられるように構成され、パッドガイドを有する取付部材と、前記取付部材に移動可能に設けられるキャリパと、前記パッドガイドに配置される嵌合部を有し、前記キャリパによって前記ディスクの側面に押圧される摩擦パッドと、前記取付部材に取り付けられ、前記摩擦パッドを弾性的に支持するパッドスプリングと、を備え、前記摩擦パッドが、前記嵌合部が前記パッドガイドの一部に直接当接可能に支持され、前記パッドスプリングが、前記取付部材における前記パッドガイド以外の位置で前記摩擦パッドの側面と対向する対向面部に沿う基端平板部と、前記基端平板部の一端から折り曲げられて形成された突出板部と、前記基端平板部の他端から前記ディスク軸線方向に延出した後に前記突出板部に近づくように湾曲する中間湾曲板部と、前記中間湾曲板部から延出しつつ湾曲し、前記取付部材に対して弾性的に当接する当接部と、前記取付部材から離れる方向に向かって前記当接部から延出し、前記摩擦パッドに近づく方向に湾曲する延出湾曲部と、前記ディスク軸線方向であって前記突出板部に近づく方向に向かって前記延出湾曲部から延出する付勢部と、を有し、前記付勢部が、前記ディスク回転方向の付勢力と前記ディスク径方向の付勢力との両方を、前記摩擦パッドに付与する。

　本発明に係る第３の態様は、車両の車輪と共に回転するディスクの回転を制動するディスクブレーキであり、前記ディスクの回転方向をディスク回転方向とし、前記ディスクの中心軸線の延在方向をディスク軸線方向としたときに、前記車両の非回転部分に取り付けられるように構成され、パッドガイドを有する取付部材と、前記取付部材に移動可能に設けられるキャリパと、前記パッドガイドに配置される嵌合部を有し、前記キャリパによって前記ディスクの側面に押圧される摩擦パッドと、前記取付部材に取り付けられ、前記摩擦パッドを弾性的に支持するパッドスプリングと、を備え、前記摩擦パッドが、前記ディスクの中心と前記摩擦パッドの中心とを結ぶディスク径方向線と、前記ディスクの、前記ディスク径方向線と交わる位置から延びる接線方向線と、の両方に交わる延長線を有する斜面部が形成され、前記嵌合部が、前記パッドガイドの一部に直接当接可能に支持され、前記パッドスプリングが、前記斜面部と対向して前記パッドガイド以外の位置に設けられる前記取付部材の取付部に対し、弾性的に固定される固定部と、前記取付部材から離れる方向に向かって前記固定部から延出して、前記摩擦パッドに近づく方向に湾曲する延出湾曲部と、前記ディスク軸線方向に沿って前記ディスクに近づく方向に向かって前記延出湾曲部から延出して、前記斜面部に当接する付勢部と、を有する。

　本発明の上記各態様によれば、微圧制動時に発生する微圧鳴きを抑制することが可能となる。

本発明の第１実施形態のディスクブレーキを示す平面図である。同ディスクブレーキの取付部材、摩擦パッドおよびパッドスプリングを示す斜視図である。同ディスクブレーキの取付部材、摩擦パッドおよびパッドスプリングを図２の矢視Ａより見た図であって、インナ側から見た背面図である。同ディスクブレーキのパッドスプリング周辺を示す図３のＩＶ－ＩＶ断面図である。本発明の第２実施形態のディスクブレーキの取付部材、摩擦パッドおよびパッドスプリングを示すインナ側から見た背面図である。同ディスクブレーキのパッドスプリング周辺を示す図５のＶＩ－ＶＩ断面図である。本発明の第３実施形態のディスクブレーキの取付部材、摩擦パッドおよびパッドスプリングを示す図であって、インナ側から見た部分背面図である。

［第１実施形態］
　本発明の第１実施形態を、図１～図４を参照して以下に説明する。本第１実施形態のディスクブレーキ１０は、自動車等の車両用であって、車両に制動力を付与するものである。図１に示すように、ディスクブレーキ１０は、図示略の車輪と共に回転する円板状のディスク１１の回転を止めることで車両の走行を制動する。ディスク１１は互いに反対を向く一対の平坦な側面１２と、円筒面状の外周面１３と、を有している。

　ディスクブレーキ１０は、取付部材２１と、キャリパ２２と、一対のブーツ２３とを備えている。また、ディスクブレーキ１０は、図２に示すように、一対の摩擦パッド２５と、複数のパッドスプリング２６とを備えている。

　以下、ディスク１１の中心軸線をディスク軸線、ディスク軸線の延びる方向をディスク軸線方向、ディスク１１の径方向をディスク径方向、ディスク１１の周方向、つまり回転方向をディスク回転方向と称す。また、ディスク径方向におけるディスク１１の中心側をディスク径方向内側、ディスク径方向におけるディスク１１の中心とは反対側をディスク径方向外側と称す。また、ディスク回転方向における中央側をディスク回転方向内側、ディスク回転方向における中央とは反対側をディスク回転方向外側と称す。また、ディスク回転方向における入口側をディスク回転方向入側、ディスク回転方向における出口側をディスク回転方向出側と称す。また、ディスク軸線と、取付部材２１及びキャリパ２２および摩擦パッド２５の非制動時のディスク回転方向の中央位置と、を通ってディスク径方向に沿うディスク径方向線を、径方向基準線と称す。この径方向基準線は、ディスク軸線に直交する。また、車両（不図示）の車幅方向外側をアウタ側と称し、車両の車幅方向内側をインナ側と称す。

　取付部材２１は、鋳造により形成される一体成形品であり、インナビーム部３１、一対のインナ側壁部３２、一対のピン挿嵌部３３、一対のアウタ側壁部３６およびアウタビーム部３７を有している。取付部材２１は、鏡面対称の形状となっている。

　インナビーム部３１は、ディスク１１に対してディスク軸線方向の一方側に配置された状態で、車両の非回転部分に取り付けられる。ここで、取付部材２１が取り付けられる車両の非回転部分は、ディスク１１よりもインナ側に配置されている。この非回転部分に取り付けられるインナビーム部３１も、ディスク１１よりもインナ側に配置されている。インナビーム部３１は、ディスク回転方向に延在するように配置されている。インナビーム部３１のディスク回転方向両側には、それぞれディスク軸線方向に沿う取付穴４１を有する一対の取付ボス部４２が設けられている。インナビーム部３１は、一対の取付ボス部４２において、車両の非回転部分に取り付けられる。以下では、取付部材２１を、車両の非回転部分に取り付けられた状態をもって説明する。

　図３に示すように、一対のインナ側壁部３２のうちの一方は、インナビーム部３１のディスク回転方向一方側の端部からディスク径方向外側に向かって延出している。また、一対のインナ側壁部３２のうちの他方は、インナビーム部３１のディスク回転方向他方側の端部からディスク径方向外側に向かって延出している。図２に示すように、一対のインナ側壁部３２は、インナビーム部３１と同様に、ディスク１１よりもインナ側に配置されている。

　一対のピン挿嵌部３３の一方は、ディスク回転方向一方側にあるインナ側壁部３２のディスク径方向外側の端部から、ディスク軸線方向にディスク１１の外周側を跨いでアウタ側に延出している。また、一対のピン挿嵌部３３の他方は、ディスク回転方向他方側のインナ側壁部３２のディスク径方向外側の端部から、ディスク軸線方向にディスク１１の外周側を跨いでアウタ側に延出している。

　一方のインナ側壁部３２およびこれに繋がる一方のピン挿嵌部３３と、他方のインナ側壁部３２およびこれに繋がる他方のピン挿嵌部３３とのそれぞれには、ディスク軸線方向に沿って延びるピン挿入穴４３が形成されている。これら一対のピン挿入穴４３は、それぞれ、インナ側壁部３２のインナ側の端面から、ピン挿嵌部３３内の途中位置まで形成されている。

　取付部材２１に備わる一対のピン挿入穴４３には、図１に示すキャリパ２２のディスク回転方向両側にある一対のスライドピン４５が摺動可能に嵌合する。これにより、取付部材２１は、その一対のピン挿嵌部３３において、キャリパ２２をディスク軸線方向に摺動可能に支持する。言い換えれば、キャリパ２２においては、ディスク回転方向両側に設けられた一対のスライドピン４５が、それぞれ、図２に示す取付部材２１の対応するピン挿入穴４３に摺動可能に嵌合されることになる。これにより、図１に示すキャリパ２２は、取付部材２１に対し、ディスク軸線方向に変位可能に設けられている。

　図２に示すように、一対のアウタ側壁部３６は、一方のアウタ側壁部３６が、ディスク回転方向一方側にあるピン挿嵌部３３のインナ側壁部３２とは反対側（すなわち、アウタ側の端部からディスク径方向内側）に向かって延出している。一対のアウタ側壁部３６の他方は、ディスク回転方向他方側にあるピン挿嵌部３３のアウタ側の端部からディスク径方向内側に向かって延出している。一対のアウタ側壁部３６は、ディスク１１よりもアウタ側に配置されている。

　アウタビーム部３７は、ディスク回転方向に延びて一対のアウタ側壁部３６のディスク径方向内側の端部同士を連結している。アウタビーム部３７は、一対のアウタ側壁部３６と同様、ディスク１１よりもアウタ側に配置されている。

　以上説明の構成により、取付部材２１は、ディスク１１の外周側をディスク軸線方向に跨いで配置された状態で、車両の非回転部分に取り付けられる。インナビーム部３１および一対のインナ側壁部３２は、取付部材２１において、車両の非回転部分への取り付け側となるインナ側に配置されている。一方、一対のアウタ側壁部３６およびアウタビーム部３７は、取付部材２１において、インナ側とは反対となるアウタ側に配置されている。

　一対のインナ側壁部３２および一対のアウタ側壁部３６のそれぞれのディスク径方向内側に向く内面５１側の構成は、ディスク回転方向一方側とディスク回転方向他方側とで向きが逆である以外、同様の構成となっている。ディスク回転方向に沿って同じ一方側にあるインナ側壁部３２およびアウタ側壁部３６のそれぞれの内面５１は、ディスク径方向およびディスク回転方向の位置を揃えて、ディスク軸線方向に離間している。ディスク回転方向に沿って同じ他方側にあるインナ側壁部３２およびアウタ側壁部３６のそれぞれの内面５１は、ディスク径方向およびディスク回転方向の位置を揃えて、ディスク軸線方向に離間している。以下では、一対のインナ側壁部３２の内面５１側の構成を例にとり、主に図３を参照して説明する。

　鏡面対称形状を持つ一対のインナ側壁部３２の内面５１側の構成のうちの、一方について説明する。一方のインナ側壁部３２の内面５１は、ディスク径方向外側の端部にある外側内面部５２と、外側内面部５２のディスク径方向内側にある傾斜内面部５３と、傾斜内面部５３のディスク径方向内側にある外側壁面部５４と、外側壁面部５４のディスク径方向内側にある底面部５５と、底面部５５のディスク径方向内側にある内側壁面部５６と、内側壁面部５６のディスク径方向内側にある対向面部５７と、対向面部５７のディスク径方向内側にあって内面５１のディスク径方向内側の端部に配置される内側内面部５８と、を有している。内面５１を構成する、これらの外側内面部５２、傾斜内面部５３、外側壁面部５４、底面部５５、内側壁面部５６、対向面部５７および内側内面部５８は、いずれも平面状であり、いずれもディスク軸線方向に沿っている。

　外側内面部５２は、ディスク回転方向内側に向いており、径方向基準線に沿っている。傾斜内面部５３は、ディスク径方向内側かつディスク回転方向内側に向いている。傾斜内面部５３は、外側内面部５２のディスク径方向内側の端縁部から、ディスク径方向内側に、ディスク径方向内側に向かうほど径方向基準線から離れるように傾斜して広がっている。傾斜内面部５３は、外側内面部５２とのインナ側壁部３２の内側でのなす角の角度が鈍角である。外側壁面部５４は、ディスク径方向内側に向いており、傾斜内面部５３のディスク径方向内側かつディスク回転方向外側の端縁部からディスク回転方向外側に広がっている。外側壁面部５４は、傾斜内面部５３との間でインナ側壁部３２の内側においてなす角の角度が、鈍角である。外側壁面部５４は、径方向基準線に直交する平面内で広がっている。

　底面部５５は、ディスク回転方向内側に向いており、外側壁面部５４のディスク回転方向外側の端縁部からディスク径方向内側に広がっている。底面部５５は、径方向基準線に沿っている。内側壁面部５６は、ディスク径方向外側に向いており、底面部５５のディスク径方向内側の端縁部からディスク回転方向内側に広がっている。内側壁面部５６は、径方向基準線に直交する平面内で広がっている。

　対向面部５７は、ディスク径方向外側かつディスク回転方向内側に向いている。対向面部５７は、内側壁面部５６のディスク回転方向内側の端縁部からディスク径方向内側に、ディスク径方向内側に向かうほど径方向基準線に近づくように傾斜して広がっている。対向面部５７は、内側壁面部５６のディスク回転方向内側の端縁部からディスク径方向内側に、ディスク径方向内側に向かうほどディスク回転方向内側に位置するように傾斜して広がっている。対向面部５７は、内側壁面部５６との間でインナ側壁部３２の内側においてなす角の角度が、鈍角である。

　内側内面部５８は、ディスク回転方向内側に向いており、対向面部５７のディスク径方向内側かつディスク回転方向内側の端縁部からディスク径方向内側に広がっている。内側内面部５８は、対向面部５７との間でインナ側壁部３２の内側においてなす角の角度が鈍角である。内側内面部５８は、径方向基準線に沿っている。

　よって、内面５１において、外側内面部５２、底面部５５および内側内面部５８が互いに平行である。また、外側壁面部５４および内側壁面部５６が互いに平行である。また、傾斜内面部５３と対向面部５７とは垂直である。傾斜内面部５３は、外側内面部５２および外側壁面部５４に対して交差している。対向面部５７は、内側壁面部５６および内側内面部５８に対して交差している。外側内面部５２は、内側内面部５８よりもディスク回転方向外側にある。底面部５５は、外側内面部５２よりもディスク回転方向外側にある。

　一方のインナ側壁部３２には、傾斜内面部５３と対向面部５７との間に、これらよりもディスク回転方向外側に向かって凹む形状のパッドガイド６１が形成されている。パットガイド６１は、外側壁面部５４、底面部５５および内側壁面部５６を含む。このパッドガイド６１の凹み方向奥側が、ディスク回転方向内側が底面部５５となる底部６２を構成している。また、この一方のインナ側壁部３２は、パッドガイド６１よりもディスク径方向内側に、スプリング取付部６５（取付部）を有している。スプリング取付部６５のディスク回転方向内側は、対向面部５７となる。スプリング取付部６５は、取付部材２１におけるパッドガイド６１以外の位置に設けられている。

　ここまで、一対のインナ側壁部３２のうちの一方のインナ側壁部３２の内面５１側の構成について説明したが、これと鏡面対称状を持つ他方のインナ側壁部３２の内面５１側の構成も同様である。他方のインナ側壁部３２も、同様のパッドガイド６１およびスプリング取付部６５を有している。

　よって、一対のインナ側壁部３２には、相互対向側に、ディスク回転方向に沿って互いに離れる方向に凹む凹状のパッドガイド６１が形成されている。パッドガイド６１は、その形成先のインナ側壁部３２をディスク軸線方向に貫通している。一対のインナ側壁部３２のパッドガイド６１に、一対の摩擦パッド２５のうちの一方であるインナ側の摩擦パッド２５が支持される。よって、取付部材２１は、一対のインナ側壁部３２に、一対のパッドガイド６１を有している。一対のパッドガイド６１は、ディスク回転方向に沿って互いに離間して配置された状態で、インナ側の摩擦パッド２５を支持する。

　図２に示す一対のアウタ側壁部３６も、それぞれの内面５１側の構成が、インナ側壁部３２の内面５１側の構成と同様である。よって、一対のアウタ側壁部３６にも、同様の凹形状のパッドガイド６１が設けられている。また、図２に一方のみを示すが、一対のアウタ側壁部３６にも同様のスプリング取付部６５が設けられている。一対のアウタ側壁部３６のパッドガイド６１に、一対の摩擦パッド２５のうちの他方のアウタ側の摩擦パッド２５が支持される。

　よって、取付部材２１は、ディスク回転方向に凹む形状の４箇所のパッドガイド６１を有している。また、取付部材２１は、４箇所のパッドガイド６１のディスク径方向内側に、４箇所のスプリング取付部６５を有している。

　一対の摩擦パッド２５は、同形状の共通部品である。摩擦パッド２５は、金属製の裏板７１と、摩擦材であるライニング７２と、を有している。ライニング７２は、裏板７１の板厚方向一側の面に貼着されている。

　一対の摩擦パッド２５は、裏板７１において取付部材２１に支持されている。一対の摩擦パッド２５は、それぞれのライニング７２がディスク１１の側面１２に対向する。すなわち、一対のインナ側壁部３２に支持された状態のインナ側の摩擦パッド２５は、ライニング７２においてディスク１１のインナ側に向く側面１２に対向している。また、一対のアウタ側壁部３６に支持された状態のアウタ側の摩擦パッド２５は、ライニング７２においてディスク１１のアウタ側に向く側面１２に対向している。よって、一対の摩擦パッド２５は、いずれも、ライニング７２において、それぞれが対向するディスク１１の側面１２に接触することになる。

　一対の摩擦パッド２５は共通部品であるため、以下では、インナ側の摩擦パッド２５について、主に図３を参照して説明する。裏板７１は、鏡面対称の形状となっており、ライニング７２が貼着される主板部８１と、主板部８１の長さ方向の両端部から主板部８１の長さ方向に沿って外側に突出する耳部８２（嵌合部）と、を有している。

　鏡面対称形状を持つ一対の耳部８２のうちの、一方の耳部８２について説明する。耳部８２は、略矩形状であり、先端面部９１と外向面部９２と内向面部９３と面取り９４とを有している。先端面部９１、外向面部９２、内向面部９３および面取り９４は、いずれも平面状であって裏板７１の厚さ方向に広がっている。外向面部９２および内向面部９３は、互いに平行であり、先端面部９１に対しては垂直である。面取り９４は、先端面部９１と内向面部９３との間を、これらに対して同等の角度をなすように傾斜して繋いでいる。

　一対の耳部８２において、一対の先端面部９１が互いに平行であり、一対の外向面部９２が同一平面上に配置され、一対の内向面部９３も同一平面上に配置されている。

　主板部８１は、その外周の側面１０１が、一対の耳部８２の外向面部９２に繋がる一対の外側面部１０２と、これら外側面部１０２を繋ぐ外端面部１０３と、一対の耳部８２の内向面部９３に繋がる一対の斜面部１０４と、一対の斜面部１０４に繋がる一対の内側面部１０５と、一対の内側面部１０５に繋がる一対の内端面部１０６と、これら内端面部１０６を繋ぐ面部１０７と、を有している。一対の外側面部１０２、外端面部１０３、一対の斜面部１０４、一対の内側面部１０５、一対の内端面部１０６および面部１０７は、いずれも裏板７１の厚さ方向に広がっている。一対の外側面部１０２、一対の斜面部１０４、一対の内側面部１０５および一対の内端面部１０６は、いずれも平面状である。外端面部１０３および面部１０７は、円弧状に湾曲している。

　一方の外側面部１０２は、一方の耳部８２の外向面部９２の先端面部９１とは反対側の端縁部から垂直に広がっている。他方の外側面部１０２は、他方の耳部８２の外向面部９２の先端面部９１とは反対側の端縁部から垂直に広がっている。一対の外側面部１０２は、互いに平行である。外端面部１０３は、一対の外側面部１０２の一対の外向面部９２とは反対側の端縁部同士を結んでいる。外端面部１０３は、裏板７１の外側に向けて凸の円弧状をなしている。

　一方の斜面部１０４は、一方の耳部８２の内向面部９３の面取り９４とは反対側の端縁部から、この内向面部９３と裏板７１の外側でのなす角の角度が鈍角をなすように広がっている。他方の斜面部１０４は、他方の耳部８２の内向面部９３の面取り９４とは反対側の端縁部から、この内向面部９３と裏板７１の外側でのなす角の角度が鈍角をなすように広がっている。

　一方の内側面部１０５は、一方の斜面部１０４の内向面部９３とは反対側の端縁部から、この斜面部１０４と裏板７１の外側でのなす角の角度が鈍角をなすように広がっている。他方の内側面部１０５は、他方の斜面部１０４の内向面部９３とは反対側の端縁部から、この斜面部１０４と裏板７１の外側でのなす角の角度が鈍角をなすように広がっている。

　一方の内端面部１０６は、一方の内側面部１０５の斜面部１０４とは反対側の端縁部から垂直に広がっている。他方の内端面部１０６は、他方の内側面部１０５の斜面部１０４とは反対側の端縁部から垂直に広がっている。一対の内端面部１０６は、一対の内側面部１０５から互いに近づくように広がっており、同一平面に配置されている。面部１０７は、一対の内端面部１０６の一対の内側面部１０５とは反対側の端縁部同士を結んでいる。面部１０７は、裏板７１の内側に向けて凹む円弧状をなしている。

　一方のインナ側壁部３２において、外側内面部５２と底面部５５との距離は、摩擦パッド２５の一方の耳部８２側にある外側面部１０２と、この耳部８２の先端面部９１との距離よりも短い。一方のインナ側壁部３２において、内側内面部５８と底面部５５との距離は、摩擦パッド２５の一方の内側面部１０５と、これと同側にある先端面部９１との距離よりも短い。

　インナ側の摩擦パッド２５は、一対の耳部８２がディスク回転方向両端側に配置された状態で、一対のインナ側壁部３２のそれぞれの凹状のパッドガイド６１に挿入されることになる。このようにして取付部材２１に係合されたインナ側の摩擦パッド２５は、ディスク回転方向に延在する状態となり、ディスク１１の一面側に位置してかつ取付部材２１に対してディスク軸線方向に移動可能となる。このように、一対のインナ側壁部３２の凹状のパッドガイド６１には、インナ側の摩擦パッド２５の一対の耳部８２が入れ子状に配置されることになる。一対のインナ側壁部３２のパッドガイド６１は、インナ側の摩擦パッド２５に備わる一対の耳部８２の、ディスク径方向およびディスク回転方向の移動を制限する。

　インナ側壁部３２のパッドガイド６１においては、インナ側の摩擦パッド２５の耳部８２の先端面部９１が底面部５５に当接すると、この耳部８２からディスク回転方向の制動トルクを、この底面部５５を含む底部６２で受ける。

　よって、パッドガイド６１は、ディスク径方向およびディスク回転方向の移動を制限しつつ摩擦パッド２５のディスク軸線方向の移動を案内する。加えて、パッドガイド６１は、摩擦パッド２５からの制動トルクを底部６２で受ける。言い換えれば、摩擦パッド２５の移動を案内するパッドガイド６１内に、摩擦パッド２５からの制動トルクを受けるトルク受部として、底部６２が設けられている。

　このように、インナ側の摩擦パッド２５においては、その裏板７１の一方の耳部８２が、一方のインナ側壁部３２のパッドガイド６１内に配置されている。また、裏板７１の他方の耳部８２が、他方のインナ側壁部３２のパッドガイド６１内に配置されている。インナ側の摩擦パッド２５は、取付部材２１の一対のインナ側壁部３２の内面５１側に、ディスク軸線方向に沿って移動可能に支持される。

　インナ側の摩擦パッド２５の裏板７１は、このように取付部材２１に支持された係合状態で、板厚方向をディスク軸線方向に沿わせる。裏板７１は、ディスク回転方向の一端に、一方のパッドガイド６１（第１のパッドガイド）に配置される耳部８２（第１の耳部）を有するとともに、ディスク回転方向の他端に、他方のパッドガイド６１（第２のパッドガイド）に配置される耳部８２（第２の耳部）を有する。

　また、インナ側の摩擦パッド２５の裏板７１は、この係合状態で、一対の耳部８２が、先端面部９１をディスク回転方向の端部に配置し、外向面部９２をディスク径方向外側に配置し、内向面部９３をディスク径方向内側に配置する。また、インナ側の摩擦パッド２５の裏板７１は、この係合状態で、主板部８１が外端面部１０３をディスク径方向の外端位置に配置し、一対の内端面部１０６をディスク径方向の内端位置に配置する。

　図２に示すアウタ側の摩擦パッド２５も、インナ側の摩擦パッド２５の一対のインナ側壁部３２の内面５１側による支持と同様とする。すなわち、アウタ側の摩擦パッド２５も、取付部材２１の一対のアウタ側壁部３６の内面５１側に、ディスク軸線方向に移動可能に支持される。

　パッドスプリング２６は、一枚の一定幅を有する帯状の板材が曲げられて形成されるものである。図４に示すように、パッドスプリング２６は、長方形状の基端平板部１２１と、基端平板部１２１の長さ方向の一端から折り曲げられて形成される突出板部１２２と、基端平板部１２１の長さ方向の他端から延出しつつ湾曲する中間湾曲板部１２３と、中間湾曲板部１２３から延出しつつ湾曲する当接部１２４と、当接部１２４から延出して湾曲する延出湾曲部１２５と、突出板部１２２に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出する付勢部１２６と、を有している。パッドスプリング２６は、高さが一定になっている。パッドスプリング２６は、この高さの範囲内で適宜曲げられて、基端平板部１２１、突出板部１２２、中間湾曲板部１２３、当接部１２４、延出湾曲部１２５および付勢部１２６が形成されている。

　基端平板部１２１は、長方形の平板状をなしている。突出板部１２２は、長方形の平板状であり、基端平板部１２１の長さ方向の一端縁部から基端平板部１２１に対して垂直に延出している。

　中間湾曲板部１２３は、略半円筒状であり、その曲率の中心軸線が、基端平板部１２１の長さ方向の突出板部１２２とは反対側の他端縁部を、基端平板部１２１の長さ方向における位置はそのままで、基端平板部１２１の厚さ方向において突出板部１２２が突出する側にオフセットした位置に配置されている。中間湾曲板部１２３は、基端平板部１２１の長さ方向の突出板部１２２とは反対の他端縁部から、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２とは反対側かつ基端平板部１２１の厚さ方向における突出板部１２２側に向けて斜めに延出した後、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２側かつ基端平板部１２１の厚さ方向における突出板部１２２側に向けて斜めに延出するように湾曲している。

　当接部１２４は、略半円筒状である。当接部１２４は、その曲率の中心軸線が、基端平板部１２１の長さ方向の突出板部１２２とは反対側の他端縁部を、基端平板部１２１の長さ方向において突出板部１２２とは反対側であって基端平板部１２１の厚さ方向において中間湾曲板部１２３よりも基端平板部１２１とは反対側にオフセットした位置に配置されている。中間湾曲板部１２３および当接部１２４は、それぞれの曲率の中心軸線が平行である。当接部１２４は、中間湾曲板部１２３の基端平板部１２１とは反対側の端縁部から、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２側かつ基端平板部１２１の厚さ方向における中間湾曲板部１２３とは反対側に向けて斜めに延出した後、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２とは反対側かつ基端平板部１２１の厚さ方向における中間湾曲板部１２３とは反対側に向けて斜めに延出するように湾曲している。

　延出湾曲部１２５は、湾曲した板状である。延出湾曲部１２５は、その曲率の中心軸線が、基端平板部１２１の長さ方向における中間湾曲板部１２３および当接部１２４よりも基端平板部１２１とは反対側であって基端平板部１２１の厚さ方向における当接部１２４の中間湾曲板部１２３とは反対側の端部よりも中間湾曲板部１２３側に配置されている。延出湾曲部１２５は、その曲率の中心軸線が、中間湾曲板部１２３および当接部１２４の曲率の中心軸線と平行である。延出湾曲部１２５は、当接部１２４の中間湾曲板部１２３とは反対側の端縁部から、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２とは反対側で、基端平板部１２１を基端平板部１２１の厚さ方向において越えるように延出している。

　延出湾曲部１２５は、当接部１２４の中間湾曲板部１２３とは反対側の端縁部から、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２とは反対側に向けて延出した後、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２とは反対側かつ基端平板部１２１の厚さ方向における基端平板部１２１側に向けて斜めに延出し、その後、基端平板部１２１の長さ方向における突出板部１２２側に、基端平板部１２１の厚さ方向において基端平板部１２１を越えて延出するように湾曲している。

　付勢部１２６は、長方形の平板状をなしている。付勢部１２６は、延出湾曲部１２５の当接部１２４とは反対側の端縁部から、延出湾曲部１２５の当接部１２４とは反対側の端部の延長方向に延出している。図示は略すが、パッドスプリング２６が外力を受けない自然状態にあるとき、付勢部１２６は、基端平板部１２１に対して、延出湾曲部１２５側を中心とする鋭角をなして傾斜する。パッドスプリング２６は、主に延出湾曲部１２５を弾性変形させることによって、付勢部１２６を基端平板部１２１に対し、平行にすることが可能となっている。

　パッドスプリング２６は、図３に示すように一対のインナ側壁部３２のそれぞれのスプリング取付部６５と、図２に一方のみを示すように一対のアウタ側壁部３６のそれぞれのスプリング取付部６５と、に対して取り付けられる。その際に、パッドスプリング２６は、図４に示すように、取り付け先のスプリング取付部６５の対向面部５７に基端平板部１２１を面接触で当接させる。また、取り付け先のスプリング取付部６５のディスク１１側の面部１３１に、突出板部１２２を面接触で当接させる。また、取り付け先のスプリング取付部６５のディスク１１とは反対側の面部１３２に、当接部１２４を線接触で当接させる。また、取り付け先のスプリング取付部６５の対向面部５７に対向する摩擦パッド２５の斜面部１０４に、付勢部１２６を当接させる。

　すると、パッドスプリング２６は、取り付け先のスプリング取付部６５を突出板部１２２と当接部１２４とで付勢力をもって挟持することになる。その結果、パッドスプリング２６は、スプリング取付部６５に固定される。よって、パッドスプリング２６においては、基端平板部１２１と突出板部１２２と中間湾曲板部１２３と当接部１２４とが、摩擦パッド２５の斜面部１０４と対向してパッドガイド６１以外の位置に設けられる取付部材２１のスプリング取付部６５へ弾性的に固定される固定部１４１となる。パッドスプリング２６は、固定部１４１によってスプリング取付部６５に取り付けられることで、取付部材２１に対してディスク軸線方向に位置決めされる。

　パッドスプリング２６は、このようにスプリング取付部６５に取り付けられた取付状態で、延出湾曲部１２５が、ディスク軸線方向において取付部材２１から離れる方向に固定部１４１から延出した後、摩擦パッド２５に近づく方向に湾曲する。また、パッドスプリング２６は、付勢部１２６が、ディスク軸線方向であってディスク１１に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出して、固定部１４１の固定先のスプリング取付部６５の対向面部５７に対向する摩擦パッド２５の斜面部１０４に当接する。

　この取付状態で、パッドスプリング２６は、基端平板部１２１が、取付部材２１におけるパッドガイド６１以外の位置で摩擦パッド２５の側面１０１と対向するスプリング取付部６５の対向面部５７に沿ってこの対向面部５７に面接触で当接する。また、この取付状態で、パッドスプリング２６は、突出板部１２２が、基端平板部１２１の一端から折り曲がり、スプリング取付部６５のディスク１１側の面部１３１に沿ってこの面部１３１に面接触で当接する。

　また、この取付状態で、パッドスプリング２６は、中間湾曲板部１２３が、基端平板部１２１の他端からディスク軸線方向に沿ってディスク１１とは反対側に延出した後、突出板部１２２に近づくように湾曲する。また、この取付状態で、パッドスプリング２６は、当接部１２４が、中間湾曲板部１２３から延出しつつ湾曲してスプリング取付部６５のディスク１１とは反対側の面部１３２に弾性的に当接する。

　また、パッドスプリング２６は、この取付状態で、延出湾曲部１２５が、ディスク軸線方向に沿って取付部材２１のスプリング取付部６５から離れる方向に当接部１２４から延出し、その後、ディスク回転方向内側で折り返して、このスプリング取付部６５の近傍のパッドガイド６１に支持されている摩擦パッド２５に近づく方向に湾曲する。また、パッドスプリング２６は、この取付状態で、付勢部１２６が、ディスク軸線方向であって突出板部１２２に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出して、このスプリング取付部６５の近傍のパッドガイド６１に支持されている摩擦パッド２５の、このスプリング取付部６５の対向面部５７に対向する斜面部１０４に当接する。パッドスプリング２６は、この取付状態で、付勢部１２６が、主に延出湾曲部１２５を弾性変形させることによって、基端平板部１２１に対して略平行になって、摩擦パッド２５を対向面部５７に対して垂直な方向に押圧する。

　図３に示すように、一対のインナ側壁部３２のそれぞれのスプリング取付部６５に、このようにパッドスプリング２６が取り付けられる。すると、一対のインナ側壁部３２に支持されたインナ側の摩擦パッド２５に、一対のパッドスプリング２６のそれぞれの付勢部１２６から、ディスク回転方向内側かつディスク径方向外側に向けた付勢力が付与される。言い換えれば、一対のインナ側壁部３２に取り付けられたパッドスプリング２６は、インナ側の摩擦パッド２５に、付勢部１２６から、ディスク回転方向の付勢力と、ディスク回転方向に直交するディスク径方向の付勢力との両方を付与する。よって、取付部材２１の一対のインナ側壁部３２に取り付けられたパッドスプリング２６は、摩擦パッド２５を弾性的に支持する。

　インナ側の摩擦パッド２５は、ディスク１１に接触しない非制動状態では、一対のパッドスプリング２６からの付勢力を受けて、取付部材２１に対して図３に示す中立位置にある。また、非制動状態では、一対の耳部８２のうちの一方の耳部８２が、その配置先のパッドガイド６１の外側壁面部５４に対して外向面部９２を面接触で直接当接させる。また、非制動状態では、一対の耳部８２のうちの他方の耳部８２が、その配置先のパッドガイド６１の外側壁面部５４に外向面部９２を面接触で直接当接させる。

　また、インナ側の摩擦パッド２５においては、この非制動状態では、一対の耳部８２のうちの一方が、その配置先のパッドガイド６１の底面部５５に対しては先端面部９１を、隙間をもって対向させるとともに、パッドガイド６１の内側壁面部５６に対しては内向面部９３を、隙間をもって対向させる。また、インナ側の摩擦パッド２５においては、この非制動状態では、一対の耳部８２のうちの他方が、その配置先のパッドガイド６１の底面部５５に対しては先端面部９１を、隙間をもって対向させるとともに、このパッドガイド６１の内側壁面部５６に対しては内向面部９３を、隙間をもって対向させる。

　また、インナ側の摩擦パッド２５においては、この非制動状態では、斜面部１０４の延長線が、径方向基準線と、ディスク１１の外周面１３の径方向基準線と交わる位置から延びる接線方向線と、の両方に交わっている。また、インナ側の摩擦パッド２５においては、この非制動状態では、斜面部１０４が対向面部５７と平行をなすように対面する。

　パッドスプリング２６は、図４に示すように、斜面部１０４と対向してパッドガイド６１以外の位置に設けられる取付部材２１のスプリング取付部６５へ弾性的に固定される固定部１４１と、取付部材２１から離れる方向に固定部１４１から延出して摩擦パッド２５に近づく方向に湾曲する延出湾曲部１２５と、ディスク軸線方向であってディスク１１に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出して斜面部１０４に当接する付勢部１２６と、を有している。

　なお、この非制動状態にあるとき、インナ側の摩擦パッド２５において、図３に示すように、一対の耳部８２のうちの一方の耳部８２の先端面部９１と、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１の底面部５５とのディスク回転方向の距離は、主板部８１のこの耳部８２側の外側面部１０２と、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１側の外側内面部５２とのディスク回転方向の距離よりも短い。また、前記距離は、主板部８１のこの耳部８２側の内側面部１０５と、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１側の内側内面部５８とのディスク回転方向の距離よりも短い。

　よって、インナ側の摩擦パッド２５が、一対の耳部８２のうちの一方の先端面部９１を、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１の底面部５５に近づけるようにディスク回転方向に移動すると、これら先端面部９１と底面部５５とが直接当接する。また、インナ側の摩擦パッド２５が、この耳部８２の内向面部９３を、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１の内側壁面部５６に近づけるようにディスク径方向に移動すると、これら内向面部９３と内側壁面部５６とが直接当接する。

　同様に、この非制動状態では、一対の耳部８２のうちの他方の先端面部９１と、この耳部８２の配置先にあるパッドガイド６１の底面部５５とのディスク回転方向の距離は、主板部８１のこの耳部８２側の外側面部１０２と、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１側の外側内面部５２とのディスク回転方向の距離よりも短い。また、前記距離は、主板部８１のこの耳部８２側の内側面部１０５と、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１側の内側内面部５８とのディスク回転方向の距離よりも短い。

　よって、インナ側の摩擦パッド２５が、一対の耳部８２のうちの他方の先端面部９１を、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１の底面部５５に近づけるようにディスク回転方向に移動すると、これら先端面部９１と底面部５５とが直接当接する。また、インナ側の摩擦パッド２５が、この耳部８２の内向面部９３を、この耳部８２の配置先のパッドガイド６１の内側壁面部５６に近づけるようにディスク径方向に移動すると、これら内向面部９３と内側壁面部５６とが直接当接する。

　以上により、インナ側の摩擦パッド２５の一対の耳部８２のうちの一方の耳部８２（第１の耳部）が、一対のパッドガイド６１のうちの一方のパッドガイド６１（第１のパッドガイド）に対して直接当接可能となっている。また、一対の耳部８２のうちの他方の耳部８２（第２の耳部）が、一対のパッドガイド６１のうちの他方のパッドガイド６１（第２のパッドガイド）に対して直接当接可能となっている。言い換えれば、インナ側の摩擦パッド２５は、耳部８２がインナ側壁部３２のパッドガイド６１の一部に直接当接可能なように、支持されている。

　また、取付部材２１の一対のインナ側壁部３２には、一対のパッドガイド６１以外の位置であるスプリング取付部６５に支持され、ディスク回転方向の付勢力と、ディスク回転方向に直交するディスク径方向外側に向けた付勢力との両方をインナ側の摩擦パッド２５に付与する付勢部１２６を有する、パッドスプリング２６が設けられている。

　ここで、取付部材２１には、摩擦パッド２５と直接接触可能な部位である、パッドガイド６１の外側壁面部５４、底面部５５および内側壁面部５６に、例えば、亜鉛ニッケルめっき等が富に施されている。これにより、取付部材２１は、摩擦パッド２５と直接接触する部位が高耐食性となって錆が抑制されている。

　図２に示すアウタ側の摩擦パッド２５も、インナ側の摩擦パッド２５の一対のインナ側壁部３２への取り付けと同様に、一対のアウタ側壁部３６に取り付けられる。よって、アウタ側の摩擦パッド２５は、図２においてディスク回転方向一方側のみを示すが、一対のアウタ側壁部３６のそれぞれのスプリング取付部６５に取り付けられたパッドスプリング２６の付勢部１２６から、ディスク回転方向内側かつディスク径方向外側に向けた付勢力が付与される。言い換えれば、一対のアウタ側壁部３６に取り付けられたパッドスプリング２６は、アウタ側の摩擦パッド２５に、付勢部１２６から、ディスク回転方向の付勢力と、ディスク回転方向に直交するディスク径方向の付勢力との両方を付与する。アウタ側の摩擦パッド２５も、インナ側の摩擦パッド２５と同様に、一対のアウタ側壁部３６のパッドガイド６１に直接当接可能となっている。

　図１に示すように、キャリパ２２は、ほぼ鏡面対称の形状となっている。キャリパ２２は、キャリパボディ１５１と、図示略のピストンとを備えている。

　キャリパボディ１５１は、鋳造により一体成形されている。キャリパボディ１５１は、ディスク１１よりもディスク軸線方向のインナ側に配置されるシリンダ部１５２と、シリンダ部１５２のディスク径方向外側からディスク１１の外周を跨ぐようにディスク軸線方向に沿ってアウタ側に延出するブリッジ部１５３と、ブリッジ部１５３のシリンダ部１５２とは反対側からディスク径方向内側に延出してディスク１１のディスク軸線方向のアウタ側に配置される押圧爪１５４と、シリンダ部１５２からディスク回転方向の両側に延出する一対のピン取付部１５５と、を有している。

　キャリパボディ１５１は、ディスク回転方向一方側のピン取付部１５５にスライドピン４５が取り付けられており、ディスク回転方向他方側のピン取付部１５５にもスライドピン４５が取り付けられている。図２に示す一対のピン挿入穴４３に、図１に示すキャリパ２２のディスク回転方向両側にある一対のスライドピン４５が摺動可能に嵌合する。これにより、キャリパボディ１５１を含むキャリパ２２が、取付部材２１に対し、ディスク軸線方向に移動可能に設けられる。一対のブーツ２３は、それぞれ、対応するスライドピン４５の取付部材２１から突出する部分を被覆している。

　シリンダ部１５２には、図示略の一対のピストンが、ディスク軸線方向に移動可能となるように収容されている。これら一対のピストンは、互いに同形状であり、ディスク径方向の位置を互いに合わせて、ディスク回転方向に並んで設けられている。

　ディスクブレーキ１０には、図示略のブレーキ配管を介して、キャリパ２２のシリンダ部１５２にブレーキ液が導入される。すると、シリンダ部１５２において前記一対のピストンにブレーキ液圧が作用する。その結果、前記一対のピストンが、ディスク１１側に前進し、これらピストンとディスク１１との間に配置されたインナ側の摩擦パッド２５をディスク１１に向かって押圧する。

　すると、インナ側の摩擦パッド２５においては、図３に示す一対の耳部８２が、一対のインナ側壁部３２のパッドガイド６１の外側壁面部５４および一対のインナ側のパッドスプリング２６の付勢部１２６で案内されながら、ディスク軸線方向に移動し、ライニング７２においてディスク１１に接触する。このディスク１１への接触により、インナ側の摩擦パッド２５は、インナ側且つディスク回転方向出側にあるパッドスプリング２６のうちの主に延出湾曲部１２５を弾性変形させながら、ディスク１１とともにディスク回転方向出側に移動する。その結果、インナ側の摩擦パッド２５は、ディスク回転方向出側の耳部８２が、その先端面部９１において、インナ側且つディスク回転方向出側にあるパッドガイド６１の底部６２の底面部５５に直接当接する。これにより、インナ側の摩擦パッド２５の制動トルクが、そのディスク回転方向出側の耳部８２からインナ側且つディスク回転方向出側の底部６２に伝達される。

　このとき、インナ側の摩擦パッド２５のディスク回転方向入側にある耳部８２は、その先端面部９１と、インナ側且つディスク回転方向入側にあるパッドガイド６１の底部６２の底面部５５との距離が拡大する。そして、これに追従して、インナ側且つディスク回転方向入側にあるパッドスプリング２６が、主に延出湾曲部１２５の弾性変形を戻しつつ、付勢部１２６と斜面部１０４との当接状態を維持する。

　このようなピストンによる押圧の反力で、キャリパボディ１５１が取付部材２１に対してスライドピン４５をスライドさせてディスク軸線方向に移動する。そして、押圧爪１５４が、押圧爪１５４とディスク１１との間に配置されたアウタ側の摩擦パッド２５を、ディスク１１に向かって押圧する。

　すると、図２に示すアウタ側の摩擦パッド２５は、図示略の一対の耳部が、一対のアウタ側のパッドガイド６１および一対のアウタ側のパッドスプリング２６の付勢部１２６で案内されてディスク軸線方向に移動し、ライニング７２においてディスク１１に接触する。この接触により、アウタ側の摩擦パッド２５は、アウタ側且つディスク回転方向出側にあるパッドスプリング２６の主に延出湾曲部１２５を弾性変形させながら、ディスク１１とともにディスク回転方向出側に移動する。その結果、アウタ側の摩擦パッド２５は、ディスク回転方向出側にある図示略の耳部が、アウタ側且つディスク回転方向出側にあるパッドガイド６１の底部６２の底面部５５に直接当接する。これにより、アウタ側の摩擦パッド２５の制動トルクが、そのディスク回転方向出側の耳部からアウタ側且つディスク回転方向出側にある底部６２に伝達される。

　このとき、アウタ側の摩擦パッド２５のディスク回転方向入側の耳部は、アウタ側且つディスク回転方向入側にあるパッドガイド６１の底部６２との距離が拡大する。これに追従して、アウタ側且つディスク回転方向入側にあるパッドスプリング２６が、主に延出湾曲部１２５の弾性変形を戻しつつ、付勢部１２６と斜面部１０４との当接状態を維持する。

　取付部材２１に対して移動可能に設けられた図１に示すキャリパ２２は、このようにして、複数の図示略のピストンの作動により、これらピストンと押圧爪１５４とで一対の摩擦パッド２５をディスク軸線方向の両側から挟持する。そして、これら摩擦パッド２５をディスク１１の両側面１２に押圧する。その結果、キャリパ２２は、ディスク１１に摩擦抵抗を付与して、制動力を発生させることになる。キャリパ２２は、いわゆるフィスト型（スライド型）のキャリパである。言い換えれば、ディスク１１の両側の側面１２に対向して設けられる一対の摩擦パッド２５が、キャリパ２２によってディスク１１の両側の側面１２に押圧される。

　以上説明の第１実施形態のディスクブレーキ１０は、図３にインナ側を示すように、インナ側およびアウタ側の両方において、取付部材２１に対して摩擦パッド２５がスライドする部位であるパッドガイド６１には、ステンレス板等の板材を介在させていない。そして、摩擦パッド２５が、直接、パッドガイド６１の外側壁面部５４、底面部５５および内側壁面部５６の全部に直接当接可能となっている。そして、取付部材２１には、摩擦パッド２５がスライドする範囲であるパッドガイド６１以外の部位であるスプリング取付部６５に、摩擦パッド２５を付勢するパッドスプリング２６を設けている。よって、パッドスプリング２６は、その全体がパッドガイド６１から離れて設けられている。

　上記した特許文献１には、摩擦パッドを付勢するバネ部を有するパッドスプリングに設けられた凹状部を、取付部材の凹形状のパッドガイドに配置し、摩擦パッドの耳部を、パッドスプリングの凹状部を介して取付部材のパッドガイドに挿入して支持する構造のディスクブレーキが記載されている。すなわち、このディスクブレーキは、取付部材のパッドガイドと摩擦パッドとの間に、トルク受部であるパッドガイドの凹み方向奥側の底部を覆うようにして、パッドスプリングの凹状部を介在させている。そして、このパッドスプリングに、摩擦パッドを付勢するバネ部が設けられている。

　このパッドスプリングは、トルク受部であるパッドガイドの底部に錆が発生したときに摩擦パッドがトルク受部に固着してしまう作動不具合を防止するため、通常、ステンレス板で形成されている。しかしながら、ステンレス板からなるパッドスプリングにバネ部と凹状部とが一体に設けられていると、バネ部の付勢力によって、凹状部がパッドガイドの底部から浮いてしまうことがある。

　ここで、パッドスプリングは、通常の制動時には、基本的に、凹状部の底部が摩擦パッドの耳部とパッドガイドの底部とで挟まれることになる。しかし、上記のようにバネ部の付勢力等によって凹状部がパッドガイドの底部から浮いてしまっていると、軽いブレーキを負荷する微圧制動時には、摩擦パッドの耳部とパッドガイドの底部とで凹状部の底部を挟む力が不足して、これらが密着できない可能性がある。その結果、微圧制動時に、摩擦パッドの耳部が、トルク受部であるパッドガイドの底部に対して浮いてしまう可能性がある。すると、摩擦パッドの挙動が不安定となり、ブレーキ鳴きを発生させてしまう可能性がある。ディスクブレーキにおいては、このような微圧制動時に発生するブレーキ鳴きである微圧鳴きを抑制することが望まれている。

　本第１実施形態のディスクブレーキ１０は、摩擦パッド２５の一対の耳部８２のうちの一方が、取付部材２１の一対のパッドガイド６１のうちの一方に、他方の耳部８２が他方のパッドガイド６１に、それぞれ直接当接可能となっている。そして、取付部材２１の一対のパッドガイド６１以外の位置であるスプリング取付部６５に、ディスク回転方向の付勢力と、ディスク回転方向に直交するディスク径方向外側に向けた付勢力との両方を摩擦パッド２５に付与する付勢部１２６を有するパッドスプリング２６を支持している。

　よって、微圧制動であっても、摩擦パッド２５のディスク回転方向出側の耳部８２の、ディスク回転方向出側にあるトルク受部であるパッドガイド６１の底部６２に対する浮きを抑制する。その結果、これら耳部８２と底部６２とを確実に当接させることができる。しかも、微圧制動であっても、耳部８２と底部６２とを素早く確実に当接させることができる。したがって、摩擦パッド２５のディスク回転方向出側にある耳部８２の、ディスク回転方向出側にあるパッドガイド６１の底部６２に対する浮きを抑制できる。よって、摩擦パッド２５の挙動が不安定になりにくくなって、微圧鳴きを抑制することができる。

　ここで、パッドガイド６１に生じる錆については、パッドガイド６１の外側壁面部５４、底面部５５および内側壁面部５６に、耐食性を高めるために、例えば、亜鉛ニッケルめっき等を施すことで、その発生を抑制する。

　また、取付部材２１の一対のパッドガイド６１以外の位置であるスプリング取付部６５に、パッドスプリング２６を支持する構造を採用している。そのため、パッドスプリング２６から、摩擦パッド２５のスライドを案内する役目を除外できることになる。したがって、パッドスプリング２６をシンプルな構造にでき、コスト低減を図ることができる。

　本第１実施形態のディスクブレーキ１０は、摩擦パッド２５の耳部８２がパッドガイド６１の一部である底部６２等に直接当接可能に支持されている。そして、パッドスプリング２６は、取付部材２１におけるパッドガイド６１以外の位置であるスプリング取付部６５で摩擦パッド２５の側面１０１と対向する対向面部５７に沿う基端平板部１２１と、基端平板部１２１の一端から折り曲げられて形成される突出板部１２２と、基端平板部１２１の他端からディスク軸線方向に延出した後に突出板部１２２に近づくように湾曲する中間湾曲板部１２３と、中間湾曲板部１２３から延出しつつ湾曲してスプリング取付部６５に弾性的に当接する当接部１２４と、スプリング取付部６５から離れる方向に当接部１２４から延出して摩擦パッド２５に近づく方向に湾曲する延出湾曲部１２５と、ディスク軸線方向であって突出板部１２２に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出する付勢部１２６と、を有している。この付勢部１２６が、ディスク回転方向の付勢力と、ディスク回転方向に直交するディスク径方向の付勢力との両方を、摩擦パッド２５に付与する。

　よって、微圧制動であっても、摩擦パッド２５のディスク回転方向出側の耳部８２の、ディスク回転方向出側にあるトルク受部であるパッドガイド６１の底部６２に対する浮きを抑制して、これら耳部８２と底部６２とを確実に当接させることができる。しかも、微圧制動であっても、耳部８２と底部６２とを素早く確実に当接させることができる。したがって、摩擦パッド２５のディスク回転方向出側にある耳部８２の、ディスク回転方向出側にあるパッドガイド６１の底部６２に対する浮きを抑制できる。よって、摩擦パッドの挙動が不安定になりにくくなって、微圧鳴きを抑制することができる。

　また、パッドスプリング２６は、上記した基端平板部１２１と突出板部１２２と中間湾曲板部１２３と当接部１２４と延出湾曲部１２５と付勢部１２６とを有する構成である。そのため、簡素な構成で、スプリング取付部６５への良好な取り付けと、摩擦パッド２５への付勢力の付与とを行うことができる。

　本第１実施形態のディスクブレーキ１０は、摩擦パッド２５が、ディスク１１の中心と摩擦パッド２５の中心とを結ぶディスク径方向線である径方向基準線と、ディスク１１の外周面１３の径方向基準線と交わる位置から延びる接線方向線と、の両方に交わる延長線を有する斜面部１０４を有する。そして、耳部８２が、パッドガイド６１の一部である底部６２等に直接当接可能に支持されている。また、パッドスプリング２６は、斜面部１０４と対向してパッドガイド６１以外の位置に設けられる取付部材２１のスプリング取付部６５へ弾性的に固定される固定部１４１と、取付部材２１から離れる方向に、固定部１４１から延出して摩擦パッド２５に近づく方向に湾曲する延出湾曲部１２５と、ディスク軸線方向であってディスク１１に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出して斜面部１０４に当接する付勢部１２６と、を有している。

　よって、微圧制動であっても、摩擦パッド２５のディスク回転方向出側の耳部８２の、ディスク回転方向出側にあるトルク受部であるパッドガイド６１の底部６２に対する浮きを抑制する。その結果、これら耳部８２と底部６２とを確実に当接させることができる。しかも、微圧制動であっても、耳部８２と底部６２とを素早く確実に当接させることができる。したがって、摩擦パッド２５のディスク回転方向出側の耳部８２のディスク回転方向出側にあるパッドガイド６１の底部６２に対する浮きを抑制できる。よって、摩擦パッドの挙動が不安定になりにくくなって、微圧鳴きを抑制することができる。

　また、パッドスプリング２６は、上記のような固定部１４１と延出湾曲部１２５と付勢部１２６とを有している。そして、摩擦パッド２５の径方向基準線とディスク１１の外周面１３の径方向基準線と交わる位置から延びる接線方向線との両方に交わる延長線を有する斜面部１０４に当接する構成である。そのため、簡素な構成で、摩擦パッド２５へのディスク回転方向の付勢力とディスク径方向外側に向けた付勢力との両方を付与することができる。

　加えて、本第１実施形態のディスクブレーキ１０は、摩擦パッド２５と取付部材２１との間に、パッドスプリングを介在させずに済む。そのため、摩擦パッド２５と取付部材２１との間において、少なくともパッドスプリングの板厚公差分の隙間を縮めることができる。これにより、パッドガイド６１に対する摩擦パッド２５の衝突加速度が小さくなるため、クロンク音等の異音の発生を抑制することが可能となる。

　また、摩擦パッド２５と取付部材２１との間に、パッドスプリング２６を介在させずに済むため、パッドスプリング２６のばね定数を低くできる。したがって、取付部材２１に対するパッドスプリング２６の組み付け方が多少ばらついても、パッドスプリング２６のセット荷重への影響が少なくなり、ロバストな構造となる。

［第２実施形態］
　次に、本発明の第２実施形態を、主に図５，図６に基づいて上記第１実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、上記第１実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。

　本第２実施形態のディスクブレーキ１０Ａは、上記第１実施形態の取付部材２１とは一部が異なる取付部材２１Ａを有している。図５に、一対のインナ側壁部３２Ａを示すが、これら一対のインナ側壁部３２Ａが、上記第１実施形態の一対のインナ側壁部３２とは一部が異なっている。一対のインナ側壁部３２Ａは、上記第１実施形態のスプリング取付部６５に対して一部が変更されたスプリング取付部６５Ａを有している。なお、本第２実施形態の取付部材２１Ａでは、上記第１実施形態の一対のインナ側壁部３２のスプリング取付部６５に対して行う変更を、一対のアウタ側壁部３６（図２参照）についても行っている（図示略）。

　スプリング取付部６５Ａには、対向面部５７から凹む位置決め凹部２０１が形成されている。位置決め凹部２０１も、その形成先のインナ側壁部３２Ａをディスク軸線方向に貫通している。位置決め凹部２０１は、取付部材２１Ａの鋳造時の鋳出しにより形成される。図６に示すように、位置決め凹部２０１は、その凹み方向奥側にある底面２０２と摩擦パッド２５の斜面部１０４との距離が、対向面部５７と斜面部１０４との距離よりも長くなっている。

　本第２実施形態のディスクブレーキ１０Ａは、上記第１実施形態のインナ側のパッドスプリング２６に対して一部が変更されたパッドスプリング２６Ａを有している。パッドスプリング２６Ａは、底面２０２と斜面部１０４との距離のうち、対向面部５７と斜面部１０４との距離よりも長くなった分だけ、延出湾曲部１２５Ａの基端平板部１２１からの基端平板部１２１の厚さ方向における付勢部１２６側への突出長さが長くなっている。なお、本第２実施形態では、上記第１実施形態の一対のインナ側のパッドスプリング２６に対して行う変更を、一対のアウタ側のパッドスプリング２６（図２参照）についても行っている（図示略）。

　そして、パッドスプリング２６Ａは、基端平板部１２１を位置決め凹部２０１に嵌合させて底面２０２に面接触で当接させた状態で、固定部１４１によってスプリング取付部６５Ａに取り付けられる。このように位置決め凹部２０１に嵌合されることで、パッドスプリング２６Ａは、スプリング取付部６５Ａに対してディスク径方向およびディスク回転方向に位置決めされる。パッドスプリング２６Ａは、固定部１４１によってスプリング取付部６５Ａに取り付けられることで、スプリング取付部６５Ａに対してディスク軸線方向にも位置決めされる。

　一対のパッドスプリング２６Ａは、それぞれの付勢力によって、ディスク１１に接触していないインナ側の摩擦パッド２５を、上記第１実施形態と同様に、取付部材２１Ａに対して図５に示す中立位置に位置させる。

　本第２実施形態のディスクブレーキ１０Ａによれば、スプリング取付部６５Ａに、対向面部５７から凹む位置決め凹部２０１が形成されている。そのため、この位置決め凹部２０１にパッドスプリング２６Ａの基端平板部１２１を入り込ませて当接させることにより、パッドスプリング２６Ａを位置決めすることができる。したがって、パッドスプリング２６Ａの位置ずれおよび外れを抑制することができる。また、パッドスプリング２６Ａを取付部材２１Ａに対して位置決めして取り付ける際の作業が容易となる。

［第３実施形態］
　次に、本発明の第３実施形態を、主に図７に基づいて上記第１実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、上記第１実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。

　本第３実施形態のディスクブレーキ１０Ｂは、上記第１実施形態の取付部材２１とは一部が異なる取付部材２１Ｂを有している。図７に、一方のインナ側壁部３２Ｂを示す。インナ側壁部３２Ｂが、上記第１実施形態のインナ側壁部３２とは一部が異なっている。一方のインナ側壁部３２Ｂは、上記第１実施形態の内面５１を変更した内面５１Ｂを有している。なお、本第３実施形態においては、上記第１実施形態の一方のインナ側壁部３２に対して行う変更を、他方のインナ側壁部３２（図３参照）および一対のアウタ側壁部３６（図２参照）についても行っている。よって、取付部材２１Ｂも鏡面対称状である。

　インナ側壁部３２Ｂの内面５１Ｂは、ディスク径方向外側の端部にある外側内面部５２Ｂと、外側内面部５２Ｂのディスク径方向内側にある傾斜内面部５３Ｂと、傾斜内面部５３Ｂのディスク径方向内側にある外側壁面部５４Ｂと、外側壁面部５４Ｂのディスク径方向内側にある底面部５５Ｂと、底面部５５Ｂのディスク径方向内側にある内側壁面部５６Ｂと、内側壁面部５６Ｂのディスク径方向内側にある中間内面部２１１と、中間内面部２１１のディスク径方向内側にある対向面部５７Ｂと、対向面部５７Ｂのディスク径方向内側にあって内面５１Ｂのディスク径方向内側の端部に配置される内側内面部５８Ｂと、を有している。内面５１Ｂを構成する、これらの外側内面部５２Ｂ、傾斜内面部５３Ｂ、外側壁面部５４Ｂ、底面部５５Ｂ、内側壁面部５６Ｂ、中間内面部２１１、対向面部５７Ｂおよび内側内面部５８Ｂは、いずれも平面状であり、いずれもディスク軸線方向に沿っている。

　外側内面部５２Ｂは、ディスク回転方向内側に向いており、径方向基準線に沿っている。傾斜内面部５３Ｂは、ディスク径方向内側かつディスク回転方向内側に向いている。傾斜内面部５３Ｂは、外側内面部５２Ｂのディスク径方向内側の端縁部から、ディスク径方向内側に、ディスク径方向内側ほど径方向基準線から離れるように傾斜して広がっている。傾斜内面部５３Ｂは、外側内面部５２Ｂとのインナ側壁部３２Ｂの内側でのなす角の角度が鈍角である。外側壁面部５４Ｂは、ディスク径方向内側に向いており、傾斜内面部５３Ｂのディスク径方向内側かつディスク回転方向外側の端縁部からディスク回転方向外側に広がっている。外側壁面部５４Ｂは、傾斜内面部５３Ｂとのインナ側壁部３２Ｂの内側でのなす角の角度が鈍角である。外側壁面部５４Ｂは、径方向基準線に直交する平面内で広がっている。

　底面部５５Ｂは、ディスク回転方向内側に向いており、外側壁面部５４Ｂのディスク回転方向外側の端縁部からディスク径方向内側に広がっている。底面部５５Ｂは、径方向基準線に沿っている。内側壁面部５６Ｂは、ディスク径方向外側に向いており、底面部５５Ｂのディスク径方向内側の端縁部からディスク回転方向内側に広がっている。内側壁面部５６Ｂは、径方向基準線に直交する平面内で広がっている。

　中間内面部２１１は、ディスク回転方向内側に向いており、径方向基準線に沿っている。中間内面部２１１は、内側壁面部５６Ｂのディスク回転方向内側の端縁側からディスク径方向内側に広がっている。対向面部５７Ｂは、ディスク径方向外側かつディスク回転方向内側に向いている。対向面部５７Ｂは、中間内面部２１１のディスク径方向内側の端縁部からディスク径方向内側にディスク径方向内側ほど径方向基準線に近づくように傾斜して広がっている。対向面部５７Ｂは、中間内面部２１１とのインナ側壁部３２Ｂの外側でのなす角の角度が鈍角である。内側内面部５８Ｂは、ディスク回転方向内側に向いており、対向面部５７Ｂのディスク径方向内側かつディスク回転方向内側の端縁部からディスク径方向内側に広がっている。内側内面部５８Ｂは、対向面部５７Ｂとのインナ側壁部３２Ｂの内側でのなす角の角度が鈍角である。内側内面部５８Ｂは、径方向基準線に沿っている。

　よって、内面５１Ｂは、外側内面部５２Ｂ、底面部５５Ｂ、中間内面部２１１および内側内面部５８Ｂが、互いに平行である。また、外側壁面部５４Ｂおよび内側壁面部５６Ｂが、互いに平行である。また、傾斜内面部５３Ｂと対向面部５７Ｂとは、互いに垂直である。傾斜内面部５３Ｂは、外側内面部５２Ｂおよび外側壁面部５４Ｂに対して交差している。対向面部５７Ｂは、中間内面部２１１および内側内面部５８Ｂに対して交差している。中間内面部２１１は、内側内面部５８Ｂよりもディスク回転方向外側にある。外側内面部５２Ｂは、中間内面部２１１よりもディスク回転方向外側にある。底面部５５Ｂは、外側内面部５２Ｂよりもディスク回転方向外側にある。

　インナ側壁部３２Ｂには、傾斜内面部５３Ｂと中間内面部２１１との間に、これらよりもディスク回転方向外側に向かって凹む形状のパッドガイド６１Ｂが、外側壁面部５４Ｂ、底面部５５Ｂおよび内側壁面部５６Ｂを含んで形成されている。このパッドガイド６１Ｂの凹み方向奥側が、ディスク回転方向内側が底面部５５Ｂとなる底部６２Ｂを構成している。また、インナ側壁部３２Ｂは、パッドガイド６１Ｂよりもディスク径方向内側に、ディスク回転方向内側が対向面部５７Ｂとなるスプリング取付部６５Ｂ（取付部）を有している。スプリング取付部６５Ｂは、取付部材２１Ｂにおけるパッドガイド６１Ｂ以外の位置に設けられている。

　また、インナ側壁部３２Ｂは、中間内面部２１１を含む中間内面部２１１側の部分がトルク受部２１６を構成している。トルク受部２１６は、取付部材２１Ｂにおけるパッドガイド６１Ｂ以外の位置に設けられている。

　本第３実施形態のディスクブレーキ１０Ｂは、上記第１実施形態の摩擦パッド２５とは一部が異なる摩擦パッド２５Ｂを有している。摩擦パッド２５Ｂも鏡面対称形状である。摩擦パッド２５Ｂは、裏板７１Ｂが上記第１実施形態の裏板７１とは一部が異なっている。図７に、インナ側の摩擦パッド２５Ｂの裏板７１Ｂの一方の耳部８２Ｂ（嵌合部）側の構成を示す。この一方の耳部８２Ｂ側の構成が、上記第１実施形態のインナ側の摩擦パッド２５の裏板７１の耳部８２側の構成に対して変更されている。なお、本第３実施形態においては、上記第１実施形態のインナ側にある摩擦パッド２５の裏板７１の一方の耳部８２側の構成に対して行う変更を、この裏板７１の他方の耳部８２側の構成および一対のアウタ側の摩擦パッド２５の裏板７１の両側の耳部側の構成についても行っている（図示略）。

　裏板７１Ｂは、鏡面対称の形状となっており、上記第１実施形態の主板部８１とは一部が異なる主板部８１Ｂと、上記第１実施形態の耳部８２とは一部が異なる耳部８２Ｂと、を有している。

　耳部８２Ｂは、略矩形状であり、先端面部９１Ｂと外向面部９２Ｂと内向面部９３Ｂと面取り９４Ｂとを有している。先端面部９１Ｂ、外向面部９２Ｂ、内向面部９３Ｂおよび面取り９４Ｂは、いずれも平面状であって裏板７１Ｂの厚さ方向に広がっている。外向面部９２Ｂおよび内向面部９３Ｂは、互いに平行であり、先端面部９１Ｂに対しては垂直である。面取り９４Ｂは、先端面部９１Ｂと内向面部９３Ｂとをこれらに対して同等の角度で傾斜して繋いでいる。

　主板部８１Ｂは、耳部８２Ｂ側に、耳部８２Ｂの外向面部９２Ｂに繋がる外側面部１０２Ｂと、耳部８２Ｂの内向面部９３Ｂに繋がる中間面部２２１と、中間面部２２１に繋がる斜面部１０４Ｂと、斜面部１０４Ｂに繋がる内側面部１０５Ｂと、を有している。主板部８１Ｂは、その外周の側面１０１Ｂが、外側面部１０２Ｂ、中間面部２２１、斜面部１０４Ｂおよび内側面部１０５Ｂを有している。外側面部１０２Ｂ、中間面部２２１、斜面部１０４Ｂおよび内側面部１０５Ｂは、いずれも裏板７１Ｂの厚さ方向に広がっている。外側面部１０２Ｂ、中間面部２２１、斜面部１０４Ｂおよび内側面部１０５Ｂは、いずれも平面状である。

　外側面部１０２Ｂは、耳部８２Ｂの外向面部９２Ｂの先端面部９１Ｂとは反対側の端縁部から垂直に広がっている。中間面部２２１は、耳部８２Ｂの内向面部９３Ｂの面取り９４Ｂとは反対側の端縁部から外側面部１０２Ｂとは反対方向に垂直に広がっている。中間面部２２１は、外側面部１０２Ｂよりも先端面部９１Ｂから離れている。斜面部１０４Ｂは、中間面部２２１の内向面部９３Ｂとは反対側の端縁部から、この中間面部２２１と裏板７１Ｂの内側とのなす角の角度が、鈍角をなすように広がっている。内側面部１０５Ｂは、斜面部１０４Ｂの中間面部２２１とは反対側の端縁部から、この斜面部１０４Ｂと裏板７１Ｂの外側とのなす角の角度が、鈍角をなすように広がっている。

　インナ側の摩擦パッド２５Ｂは、耳部８２Ｂが、インナ側壁部３２Ｂの凹状のパッドガイド６１Ｂに入れ子状に挿入される。これにより、インナ側の摩擦パッド２５Ｂは、取付部材２１Ｂのインナ側壁部３２Ｂの内面５１Ｂ側に、ディスク軸線方向に移動可能に支持される。インナ側壁部３２Ｂは、インナ側の摩擦パッド２５Ｂの主板部８１Ｂの中間面部２２１が、これに対向する中間内面部２１１に当接すると、この主板部８１Ｂからディスク回転方向の制動トルクをトルク受部２１６で受ける。言い換えれば、パッドガイド６１Ｂは、摩擦パッド２５Ｂをディスク径方向に位置決めして、そのディスク軸線方向の移動を案内することになる。そして、パッドガイド６１Ｂ以外の位置に設けられたトルク受部２１６が摩擦パッド２５Ｂをディスク回転方向に位置決めして、摩擦パッド２５Ｂからの制動トルクを受ける。さらに言い換えれば、摩擦パッド２５Ｂをディスク径方向に位置決めするパッドガイド６１Ｂ内に、摩擦パッド２５Ｂからの制動トルクを受けるトルク受部は設けられていない。

　インナ側の摩擦パッド２５Ｂの裏板７１Ｂは、このように取付部材２１Ｂに支持された係合状態で、板厚方向をディスク軸線方向に沿わせる。インナ側の摩擦パッド２５Ｂの裏板７１Ｂは、ディスク回転方向の一端に一方のパッドガイド６１Ｂ（第１のパッドガイド）に配置される耳部８２Ｂ（第１の耳部）を有し、図示略のディスク回転方向の他端に他方のパッドガイド（第２のパッドガイド）に配置される耳部（第２の耳部）を有する。

　インナ側の摩擦パッド２５Ｂの裏板７１Ｂは、この係合状態で、耳部８２Ｂが、先端面部９１Ｂをディスク回転方向外側の端部に配置し、外向面部９２Ｂをディスク径方向外側に配置し、内向面部９３Ｂをディスク径方向内側に配置する。また、この係合状態で、主板部８１Ｂが外端面部１０３をディスク径方向の外端位置に配置し、一対の内端面部１０６をディスク径方向の内端位置に配置する。

　裏板７１Ｂの外側面部１０２Ｂと中間面部２２１との距離は、インナ側壁部３２Ｂの外側内面部５２Ｂと中間内面部２１１との距離よりも短い。中間内面部２１１と先端面部９１Ｂとの距離は、中間内面部２１１と底面部５５Ｂとの距離よりも短い。

　本第３実施形態においては、上記第１実施形態と同様のパッドスプリング２６が、一方のインナ側壁部３２Ｂのスプリング取付部６５Ｂに、上記第１実施形態と同様に取り付けられる。本第３実施形態においても、取付部材２１Ｂのインナ側のディスク回転方向両側およびアウタ側のディスク回転方向両側の４箇所に、パッドスプリング２６が取り付けられる。

　その際に、パッドスプリング２６は、取り付け先のスプリング取付部６５Ｂの対向面部５７Ｂに基端平板部１２１を面接触で当接させ、取り付け先のスプリング取付部６５Ｂのディスク１１側の面部に突出板部１２２（図４参照）を面接触で当接させる。さらに、パッドスプリング２６は、取り付け先のスプリング取付部６５Ｂのディスク１１とは反対側の面部１３２Ｂに当接部１２４（図４参照）を線接触で当接させる。さらに、パッドスプリング２６は、取り付け先のスプリング取付部６５Ｂの対向面部５７Ｂに対向する摩擦パッド２５Ｂの斜面部１０４Ｂに、付勢部１２６を当接させる。

　すると、パッドスプリング２６は、取り付け先のスプリング取付部６５Ｂを、固定部１４１の突出板部１２２（図４参照）と当接部１２４（図４参照）とで付勢力をもって挟持することになって、スプリング取付部６５Ｂに固定される。また、パッドスプリング２６は、延出湾曲部１２５が、ディスク軸線方向において取付部材２１Ｂから離れる方向に固定部１４１から延出した後、インナ側の摩擦パッド２５Ｂに近づく方向に湾曲する。また、インナ側のパッドスプリング２６は、付勢部１２６が、ディスク軸線方向であってディスク１１に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出して、取り付け先のスプリング取付部６５Ｂの対向面部５７Ｂに対向するインナ側の摩擦パッド２５Ｂの斜面部１０４Ｂに当接する。

　このようにスプリング取付部６５Ｂに取り付けられた取付状態で、パッドスプリング２６は、基端平板部１２１が、取付部材２１Ｂにおけるパッドガイド６１Ｂ以外の位置で摩擦パッド２５Ｂの側面１０１Ｂと対向するスプリング取付部６５Ｂの対向面部５７Ｂに沿ってこの対向面部５７Ｂに面接触で当接する。また、この取付状態では、突出板部１２２が、基端平板部１２１の一端から折り曲がり、スプリング取付部６５Ｂのディスク１１側の面部に沿ってこの面部に面接触で当接する。また、この取付状態では、中間湾曲板部１２３が、基端平板部１２１の他端からディスク軸線方向に沿ってディスク１１側に延出した後、突出板部１２２に近づくように湾曲する。また、この取付状態では、当接部１２４（図４参照）が、中間湾曲板部１２３から延出しつつ湾曲して取付部材２１Ｂのスプリング取付部６５Ｂのディスク１１とは反対側の面部１３２Ｂに弾性的に当接する。

　また、この取付状態では、延出湾曲部１２５が、ディスク軸線方向に沿って取付部材２１Ｂから離れる方向に当接部１２４（図４参照）から延出し、その後、ディスク回転方向内側で折り返して、パッドガイド６１Ｂに支持されているインナ側の摩擦パッド２５Ｂに近づく方向に湾曲する。また、この取付状態では、付勢部１２６が、ディスク軸線方向であって突出板部１２２（図４参照）に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出して、パッドガイド６１Ｂに支持されているインナ側の摩擦パッド２５Ｂの、このスプリング取付部６５Ｂの対向面部５７Ｂに対向する斜面部１０４Ｂに当接する。この取付状態で、パッドスプリング２６は、主に延出湾曲部１２５を弾性変形させることによって、付勢部１２６が基端平板部１２１に対して略平行になっている。

　そして、パッドスプリング２６Ｂは、インナ側壁部３２Ｂのスプリング取付部６５Ｂに、このように取り付けられると、インナ側の摩擦パッド２５Ｂに、付勢部１２６から、ディスク回転方向内側かつディスク径方向外側に向けた付勢力を付与する。言い換えれば、インナ側壁部３２Ｂに取り付けられたパッドスプリング２６は、インナ側の摩擦パッド２５Ｂに、付勢部１２６から、ディスク回転方向の付勢力と、ディスク回転方向に直交するディスク径方向の付勢力との両方を付与する。よって、取付部材２１Ｂのインナ側壁部３２Ｂに取り付けられたパッドスプリング２６は、摩擦パッド２５Ｂを弾性的に支持する。

　インナ側の摩擦パッド２５Ｂは、ディスク１１に接触しない非制動状態では、一対のパッドスプリング２６Ｂからの付勢力によって、取付部材２１Ｂに対して、図７に示す中立位置にある。加えて、耳部８２Ｂが、その配置先のパッドガイド６１Ｂの外側壁面部５４Ｂに対して外向面部９２Ｂを面接触で直接当接させるととともに、その配置先のパッドガイド６１Ｂの底面部５５Ｂに対して先端面部９１Ｂを、隙間をもって対向させる。さらに、このパッドガイド６１Ｂの内側壁面部５６Ｂに対して内向面部９３Ｂを、隙間をもって対向させる。

　また、インナ側の摩擦パッド２５Ｂは、この非制動状態では、斜面部１０４Ｂの延長線が、径方向基準線と、ディスク１１の外周面１３の径方向基準線と交わる位置から延びる接線方向線と、の両方に交わっている。この非制動状態では、斜面部１０４Ｂは、対向面部５７Ｂと平行に対面する。

　パッドスプリング２６は、斜面部１０４Ｂと対向してパッドガイド６１Ｂ以外の位置に設けられる取付部材２１Ｂのスプリング取付部６５Ｂへ弾性的に固定される固定部１４１と、取付部材２１Ｂから離れる方向に固定部１４１から延出して摩擦パッド２５Ｂに近づく方向に湾曲する延出湾曲部１２５と、ディスク軸線方向であってディスク１１に近づく方向に延出湾曲部１２５から延出して斜面部１０４Ｂに当接する付勢部１２６と、を有している。

　なお、インナ側の摩擦パッド２５Ｂは、この非制動状態では、一方の耳部８２Ｂの先端面部９１Ｂと、この耳部８２Ｂの配置先のパッドガイド６１Ｂの底面部５５Ｂとのディスク回転方向の距離が、この耳部８２Ｂ側の内側面部１０５Ｂと、これに対向する内側内面部５８Ｂとのディスク回転方向の距離と同等である。そして、主板部８１Ｂの耳部８２Ｂ側の外側面部１０２Ｂと、この耳部８２Ｂの配置先のパッドガイド６１Ｂ側の外側内面部５２Ｂとのディスク回転方向の距離よりも長い。また、この非制動状態で、主板部８１Ｂのこの耳部８２Ｂ側の外側面部１０２Ｂと、この耳部８２Ｂの配置先のパッドガイド６１Ｂ側の外側内面部５２Ｂとのディスク回転方向の距離は、主板部８１Ｂのこの耳部８２Ｂ側の中間面部２２１と、この耳部８２Ｂの配置先のパッドガイド６１Ｂ側の中間内面部２１１とのディスク回転方向の距離よりも長い。

　よって、インナ側の摩擦パッド２５Ｂが、一方の耳部８２Ｂの先端面部９１Ｂを、この耳部８２Ｂの配置先のパッドガイド６１Ｂの底面部５５Ｂに近づけるようにディスク回転方向に移動すると、主板部８１Ｂのこの耳部８２Ｂ側の中間面部２２１と、この耳部８２Ｂの配置先のパッドガイド６１Ｂ側の中間内面部２１１とが直接当接する。

　取付部材２１Ｂのインナ側壁部３２Ｂのパッドガイド６１Ｂの外側壁面部５４Ｂおよび内側壁面部５６Ｂに、インナ側の摩擦パッド２５Ｂの一方の耳部８２Ｂが直接当接可能となっている。一方、このパッドガイド６１Ｂの底面部５５Ｂには、前記一方の耳部８２Ｂは直接当接可能となっていない。言い換えれば、インナ側の摩擦パッド２５Ｂは、耳部８２Ｂがインナ側壁部３２Ｂのパッドガイド６１Ｂの一部である外側壁面部５４Ｂおよび内側壁面部５６Ｂに、直接当接可能に支持されている。

　また、取付部材２１Ｂのインナ側壁部３２Ｂには、パッドガイド６１Ｂ以外の位置であるスプリング取付部６５Ｂに支持され、ディスク回転方向の付勢力と、ディスク回転方向に直交するディスク径方向外側に向けた付勢力との両方をインナ側の摩擦パッド２５Ｂに付与する付勢部１２６を有するパッドスプリング２６が設けられている。

　ここで、インナ側壁部３２Ｂの内面５１Ｂのうち少なくとも、摩擦パッド２５Ｂと直接接触する部位である、外側壁面部５４Ｂ、内側壁面部５６Ｂおよび中間内面部２１１には、例えば、亜鉛ニッケルめっき等が他の面よりも厚く被覆されている。これにより、取付部材２１Ｂと摩擦パッド２５Ｂとの直接接触する部位が高耐食性となって錆が抑制されるようになっている。

　摩擦パッド２５Ｂは、キャリパ２２（図１参照）で押圧されてディスク軸線方向に移動する際には、耳部８２Ｂが、パッドガイド６１Ｂの外側壁面部５４Ｂおよびインナ側のパッドスプリング２６の付勢部１２６で案内されて移動する。摩擦パッド２５Ｂは、ディスク１１に接触すると、ディスク回転方向出側にあるパッドスプリング２６Ｂの主に延出湾曲部１２５を弾性変形させながらディスク１１とともにディスク回転方向出側に移動する。そして、主板部８１Ｂのディスク回転方向出側にある中間面部２２１において、ディスク回転方向出側にあるトルク受部２１６の中間内面部２１１に直接当接する。これにより、摩擦パッド２５Ｂの制動トルクが、ディスク回転方向出側にあるトルク受部２１６に伝達される。

　上記第１実施形態ではパッドガイド６１内に、摩擦パッド２５の制動トルクを受けるトルク受部としての底部６２が設けられている。これに対し、本第３実施形態は、パッドガイド６１Ｂ外に、摩擦パッド２５Ｂの制動トルクを受けるトルク受部２１６が設けられている点が、上記第１実施形態に対する主な相違点である。本第３実施形態のそれ以外の構成は、上記第１実施形態と略同様である。よって、本第３実施形態においても、上記第１実施形態と同様の効果を奏することができる。

　なお、本第３実施形態のスプリング取付部６５Ｂに、上記第２実施形態の位置決め凹部２０１を設け、本第３実施形態のパッドスプリング２６に代えて、上記第２実施形態のパッドスプリング２６Ａを設けることも、勿論採用可能である。

　以上説明の各実施形態の骨子を以下に纏める。
　すなわち、本発明に係る第１の態様は、車両の車輪と共に回転するディスクの回転を制動するディスクブレーキであり、前記ディスクの回転方向をディスク回転方向とし、前記ディスクの中心軸線の延在方向をディスク軸線方向としたときに、前記ディスクの外周側を前記ディスク軸線方向に跨いで前記車両の非回転部分に取り付けられるように構成され、前記ディスク回転方向に互いに離間して配置された第１のパッドガイドおよび第２のパッドガイドを有する取付部材と、前記取付部材に設けられたパッドスプリングと、前記取付部材に移動可能に設けられるキャリパと、前記ディスクの側面に対向して設けられ、前記キャリパによって前記ディスクの側面に押圧される摩擦パッドと、を備え、前記摩擦パッドが、前記ディスク回転方向の一端側にある前記第１のパッドガイド内に配置される第１の耳部と、前記ディスク回転方向の他端側にある前記第２のパッドガイド内に配置される第２の耳部と、を有し、前記第１の耳部が、前記第１のパッドガイドに直接当接可能に構成され、前記第２の耳部が、前記第２のパッドガイドに直接当接可能に構成され、前記取付部材が、前記第１のパッドガイドの位置以外かつ前記第２のパッドガイドの位置以外の位置に支持され、前記付勢部が、前記ディスク回転方向の付勢力と、前記ディスク回転方向に直交するディスク径方向外側に向けた付勢力との両方を、前記摩擦パッドに付与する。

　本発明によれば、微圧制動時に発生する微圧鳴きを抑制することが可能となる。よって、産業上の利用可能性は大である。

　１０，１０Ａ，１０Ｂ　ディスクブレーキ
　１１　ディスク
　１２　側面
　２１，２１Ａ，２１Ｂ　取付部材
　２２　キャリパ
　２５，２５Ｂ　摩擦パッド
　２６，２６Ａ　パッドスプリング
　５７，５７Ｂ　対向面部
　６１，６１Ｂ　パッドガイド、第１のパッドガイド、第２のパッドガイド
　６５，６５Ａ，６５Ｂ　スプリング取付部（取付部）
　８２，８２Ｂ　耳部（嵌合部）
　１０１，１０１Ｂ　側面
　１０４，１０４Ｂ　斜面部
　１２１　基端平板部
　１２２　突出板部
　１２３　中間湾曲板部
　１２４　当接部
　１２５，１２５Ａ　延出湾曲部
　１２６　付勢部
　１４１　固定部

Claims

　車両の車輪と共に回転するディスクの回転を制動するディスクブレーキであり、
　前記ディスクの回転方向をディスク回転方向とし、前記ディスクの中心軸線の延在方向をディスク軸線方向としたときに、
　前記ディスクの外周側を前記ディスク軸線方向に跨いで前記車両の非回転部分に取り付けられるように構成され、前記ディスク回転方向に互いに離間して配置された第１のパッドガイドおよび第２のパッドガイドを有する取付部材と、
　前記取付部材に設けられたパッドスプリングと、
　前記取付部材に移動可能に設けられるキャリパと、
　前記ディスクの側面に対向して設けられ、前記キャリパによって前記ディスクの側面に押圧される摩擦パッドと、
を備え、
　前記摩擦パッドが、前記ディスク回転方向の一端側にある前記第１のパッドガイド内に配置される第１の耳部と、前記ディスク回転方向の他端側にある前記第２のパッドガイド内に配置される第２の耳部と、を有し、
　前記第１の耳部が、前記第１のパッドガイドに直接当接可能に構成され、
　前記第２の耳部が、前記第２のパッドガイドに直接当接可能に構成され、
　前記取付部材が、前記第１のパッドガイドの位置以外かつ前記第２のパッドガイドの位置以外の位置に支持され、
　前記付勢部が、前記ディスク回転方向の付勢力と、前記ディスク回転方向に直交するディスク径方向外側に向けた付勢力との両方を、前記摩擦パッドに付与する、
ディスクブレーキ。
　車両の車輪と共に回転するディスクの回転を制動するディスクブレーキであり、
　前記ディスクの回転方向をディスク回転方向とし、前記ディスクの中心軸線の延在方向をディスク軸線方向とし、前記ディスク回転方向に直交する方向をディスク径方向としたときに、
　前記車両の非回転部分に取り付けられるように構成され、パッドガイドを有する取付部材と、
　前記取付部材に移動可能に設けられるキャリパと、
　前記パッドガイドに配置される嵌合部を有し、前記キャリパによって前記ディスクの側面に押圧される摩擦パッドと、
　前記取付部材に取り付けられ、前記摩擦パッドを弾性的に支持するパッドスプリングと、
を備え、
　前記摩擦パッドが、前記嵌合部が前記パッドガイドの一部に直接当接可能に支持され、
　前記パッドスプリングが、
　　前記取付部材における前記パッドガイド以外の位置で前記摩擦パッドの側面と対向する対向面部に沿う基端平板部と、
　　前記基端平板部の一端から折り曲げられて形成された突出板部と、
　　前記基端平板部の他端から前記ディスク軸線方向に延出した後に前記突出板部に近づくように湾曲する中間湾曲板部と、
　　前記中間湾曲板部から延出しつつ湾曲し、前記取付部材に対して弾性的に当接する当接部と、
　　前記取付部材から離れる方向に向かって前記当接部から延出し、前記摩擦パッドに近づく方向に湾曲する延出湾曲部と、
　　前記ディスク軸線方向であって前記突出板部に近づく方向に向かって前記延出湾曲部から延出する付勢部と、
を有し、
　前記付勢部が、前記ディスク回転方向の付勢力と前記ディスク径方向の付勢力との両方を、前記摩擦パッドに付与する、
ディスクブレーキ。
　車両の車輪と共に回転するディスクの回転を制動するディスクブレーキであり、
　前記ディスクの回転方向をディスク回転方向とし、前記ディスクの中心軸線の延在方向をディスク軸線方向としたときに、
　前記車両の非回転部分に取り付けられるように構成され、パッドガイドを有する取付部材と、
　前記取付部材に移動可能に設けられるキャリパと、
　前記パッドガイドに配置される嵌合部を有し、前記キャリパによって前記ディスクの側面に押圧される摩擦パッドと、
　前記取付部材に取り付けられ、前記摩擦パッドを弾性的に支持するパッドスプリングと、
を備え、
　前記摩擦パッドが、前記ディスクの中心と前記摩擦パッドの中心とを結ぶディスク径方向線と、前記ディスクの、前記ディスク径方向線と交わる位置から延びる接線方向線と、の両方に交わる延長線を有する斜面部が形成され、
　前記嵌合部が、前記パッドガイドの一部に直接当接可能に支持され、
　前記パッドスプリングが、
　　前記斜面部と対向して前記パッドガイド以外の位置に設けられる前記取付部材の取付部に対し、弾性的に固定される固定部と、
　　前記取付部材から離れる方向に向かって前記固定部から延出して、前記摩擦パッドに近づく方向に湾曲する延出湾曲部と、
　　前記ディスク軸線方向に沿って前記ディスクに近づく方向に向かって前記延出湾曲部から延出して、前記斜面部に当接する付勢部と、
を有する、ディスクブレーキ。