JP2021116270A - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1では、パルミチン酸L−アスコルビルを用いたリップクリームが開示されている。
[1] アスコルビン酸と、
油性ゲル化剤と、
多価アルコールと、
を含み、かつ、
アスコルビン酸の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0.5質量%以上である皮膚外用剤。
[2] 更に、油剤を含む[1]に記載の皮膚外用剤。
[3] 水を含まないか、又は、水の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0質量%を超えて10質量%以下の範囲である[1]又は[2]に記載の皮膚外用剤。
[4] 多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンメチルグルコシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[5] 油性ゲル化剤が、アミノ酸系油性ゲル化剤である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[6] アミノ酸系油性ゲル化剤が、L−グルタミン酸誘導体、L−イソロイシン誘導体、及びL−バリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である[5]に記載の皮膚外用剤。
[7] 多価アルコールの含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、20質量%以上98.5質量%以下の範囲である[1]〜[6]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[8] 油性ゲル化剤の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下の範囲である[1]〜[7]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[9] 多価アルコールの含有量が、アスコルビン酸の含有量に対して、質量基準で、3倍以上197倍以下の範囲である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
[10] 多価アルコールの含有量が、油性ゲル化剤の含有量に対して、質量基準で、2倍以上98.5倍以下の範囲である[1]〜[9]のいずれか1つに記載の皮膚外用剤。
本開示では、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、皮膚外用剤中の各成分の量は、各成分に該当する物質が皮膚外用剤中に複数存在する場合には、特に断らない限り、皮膚外用剤中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示の皮膚外用剤は、アスコルビン酸と、油性ゲル化剤と、多価アルコールと、を含み、かつ、アスコルビン酸の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0.5質量%以上である。
また、本開示の皮膚外用剤は、皮膚に塗布した際のべたつきが生じ難いという効果を奏し得る。
また、本開示の皮膚外用剤は、保湿感に優れるという効果を奏し得る。
本開示の皮膚外用剤は、アスコルビン酸を含む。
また、本開示の皮膚外用剤におけるアスコルビン酸の含有率は、皮膚外用剤の全質量に対して、0.5質量%以上である。
アスコルビン酸の市販品の例としては、L(+)-アスコルビン酸〔商品名、成分名:L−アスコルビン酸、富士フイルム和光純薬(株)〕が挙げられる。
本開示の皮膚外用剤は、油性ゲル化剤を含む。
本開示において、「油性ゲル化剤」とは、25℃における水への溶解度が0.1質量%未満(1g/L未満)であるゲル化剤を意味する。
本開示において、「ゲル化剤」とは、ゲル化能を有する化合物を指す。ゲル化能を発現するための具体的な機構には、例えば、網目状の高次構造を作るオレガノゲルを形成する、板状の分子性結晶同士が物理的にかみ合うカードハウスを形成する等といった機構が包含される。
油性ゲル化剤は、固体であることが好ましく、25℃で固体であることがより好ましい。ここで、油性ゲル化剤が「25℃で固体」とは、油性ゲル化剤の融点又は軟化点が25℃以上であることを意味する。
これらの中でも、油性ゲル化剤としては、アミノ酸誘導体、糖脂肪酸エステル、石油ワックス、植物ワックス、及び鉱物ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、アミノ酸誘導体及び糖脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アミノ酸誘導体が更に好ましい。
本開示において、油性ゲル化剤であるアミノ酸誘導体、即ち、「アミノ酸系油性ゲル化剤」とは、アミノ酸のアミド、エステル、又はアミン塩である油性ゲル化剤を意味し、詳細には、アミノ酸と長鎖脂肪酸とからなり、水素結合のような非共有結合をとおして分子が自己会合することにより繊維状会合体を形成し、最終的にネットワーク構造を形成し、溶媒分子を取り込むことでゲル化が進行する化合物をいう。
これらの中でも、アミノ酸系油性ゲル化剤としては、L−グルタミン酸誘導体が好ましい。
L−グルタミン酸誘導体の具体例としては、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド(化粧品成分表示名称:ジブチルラウロイルグルタミド)、N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド(化粧品成分表示名称:ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)、ラウロイルグルタミン酸ステアリルアミド、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α、γ−ビス−n−ブチルアミド等が挙げられる。
L−イソロイシン誘導体の具体例としては、N−オクタデシル−L−イソロイシンアミド等が挙げられる。
L−バリン誘導体の具体例としては、N−オクタデシル−L−バリンアミド等が挙げられる。
石油ワックスの具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
植物ワックスの具体例としては、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、コメヌカロウ、ヒマワリ種子ロウ、ホホバ種子油、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
鉱物ワックスの具体例としては、セレシン、モンタンワックス、オゾケライト等が挙げられる。
油性ゲル化剤の市販品の例としては、アミノ酸系油ゲル化剤GP−1〔商品名、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド(化粧品成分表示名称:ジブチルラウロイルグルタミド)、味の素(株)〕、アミノ酸系油ゲル化剤EB−21〔商品名、N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド(化粧品成分表示名称:ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)、味の素(株)〕、AJK−IS3613〔商品名、ジブチルラウロイルグルタミド(27.0質量%)、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(9.0質量%)、及びイソステアリン酸(64.0質量%)の混合物、高級アルコール工業(株)〕、AJK−OD2046〔商品名、ジブチルラウロイルグルタミド(12.0質量%)、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(8.0質量%)、及びオクチルドデカノール(80.0質量%)の混合物、高級アルコール工業(株)〕、レオパールKL2〔商品名、パルミチン酸デキストリン、千葉製粉(株)〕、レオパールMKL2〔商品名、ミリスチン酸デキストリン、千葉製粉(株)〕、レオパールWX〔商品名、(パルミチン酸/ヘキシルデカン酸)デキストリン、千葉製粉(株)〕、レオパールISL2〔商品名、ステアリン酸イヌリン、千葉製粉(株)〕、精製マイクロクリスタリンワックス〔商品名、マイクロクリスタリンワックス、日興リカ(株)〕、精製パラフィンワックス〔商品名、パラフィンワックス(化粧品成分表示名称:パラフィン)、日興リカ(株)〕、キャンデリラワックス MK−4〔商品名、キャンデリラワックス(化粧品成分表示名称:キャンデリラロウ)、横関油脂工業(株)〕、精製カルナウバワックス R−100〔商品名、カルナウバワックス(化粧品成分表示名称:カルナウバロウ)、横関油脂工業(株)〕、ヒマシ硬化脂肪酸〔商品名、12−ヒドロキシステアリン酸(化粧品成分表示名称:ヒドロキシステアリン酸、日油(株)〕、精製セレシンN〔商品名、セレシン、日興リカ(株)〕、CERESIN #820〔商品名、合成ワックス(化粧品成分表示名称:セレシン)、日興リカ(株)〕等が挙げられる。
本開示の皮膚外用剤における油性ゲル化剤の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して上記範囲内であると、皮膚外用剤がより良好にゲル化し、アスコルビン酸の保存安定性がより向上し得る。また、皮膚外用剤がより良好にゲル化すると、例えば、皮膚外用剤の形態が液状である場合に、皮膚外用剤を皮膚に付与した際の液だれがより生じ難くなる傾向がある。また、皮膚外用剤がより良好にゲル化すると、例えば、皮膚外用剤を皮膚に塗布した際のべたつきがより生じ難くなる傾向がある。
本開示の皮膚外用剤は、多価アルコールを含む。
本開示の皮膚外用剤において、多価アルコールは、既述の油性ゲル化剤との組み合わせにより、アルコルビン酸の保存安定性の向上に寄与する。また、本開示の皮膚外用剤において、多価アルコールは、アスコルビン酸の溶解性の向上に寄与する。
これらの中でも、多価アルコールとしては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンメチルグルコシドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びエトキシジグリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本開示の皮膚外用剤における多価アルコールの含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して上記範囲内であると、アスコルビン酸をより高濃度に含む皮膚外用剤を実現できる傾向がある。
本開示の皮膚外用剤における多価アルコールの含有量が、アスコルビン酸の含有量に対して、質量基準で、上記範囲内であると、アスコルビン酸をより高濃度に含む皮膚外用剤を実現できる傾向がある。
本開示の皮膚外用剤における多価アルコールの含有量が、油性ゲル化剤の含有量に対して、質量基準で、上記範囲内であると、アスコルビン酸の保存安定性がより向上する傾向がある。
また、本開示の皮膚外用剤における多価アルコールの含有量が、油性ゲル化剤の含有量に対して、質量基準で、2倍以上であると、皮膚外用剤を皮膚に付与した際のべたつきがより生じ難くなる傾向がある。
また、本開示の皮膚外用剤における多価アルコールの含有量が、油性ゲル化剤の含有量に対して、質量基準で、98.5倍以下であると、皮膚外用剤の形態が液状である場合に、皮膚外用剤を皮膚に付与した際の液だれがより生じ難くなる傾向がある。
本開示の皮膚外用剤は、更に、油剤を含むことが好ましい。
本開示の皮膚外用剤において、油剤は、保湿感の向上に寄与する。
本開示において、「高級脂肪酸」とは、炭素数が12〜24の脂肪酸を意味する。
本開示において、「高級アルコール」とは、炭素数が12〜24の炭化水素基を有するアルコールを意味する。
炭化水素油の具体例としては、流動パラフィン、スクワラン等が挙げられる。
シリコーン油の具体例としては、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、フェニルジメチコン等が挙げられる。
高級脂肪酸の具体例としては、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
高級アルコールの具体例としては、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
本開示の皮膚外用剤における油剤の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して1質量%以上であると、保湿感がより向上する傾向がある。
なお、油剤の種類によっては、含有率が高すぎると、皮膚外用剤を皮膚に付与した際にべたつきが生じる可能性が考えられる。
本開示の皮膚外用剤における油剤の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して80質量%以下であると、皮膚外用剤を皮膚に付与した際のべたつきがより生じ難くなる傾向がある。
本開示の皮膚外用剤は、水を含んでいてもよい。
水は、皮膚外用剤に使用可能な水であれば、特に限定されない。
水の具体例としては、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水(例えば、Milli−Q水)等が挙げられる。
これらの中でも、水としては、不純物が少ないという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、又は超純水が好ましい。
本開示の皮膚外用剤は、例えば、アスコルビン酸の加水分解による変性をより抑制する観点から、水を含まないか、又は、水の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0質量%を超えて10質量%以下の範囲であることが好ましく、水を含まないか、又は、水の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0質量%を超えて5質量%以下の範囲であることがより好ましく、水を含まないか、又は、水の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0質量%を超えて1質量%以下の範囲であることが更に好ましく、水を含まないことが特に好ましい。
本開示において、「水を含まない」とは、水の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して0質量%であるか、又は、水を実質的に含まないことを意味する。また、「水を実質的に含まない」とは、不可避的に混入した水の存在は許容するが、意図して添加された水の存在は許容しないことを意味する。
本開示の皮膚外用剤は、本開示の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述の成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、皮膚外用剤において通常用いられる添加成分(以下、単に「添加成分」ともいう。)が挙げられる。
本開示の皮膚外用剤は、添加成分を含んでいてもよい。
添加成分としては、例えば、化粧料(所謂、化粧品及び薬用化粧品)である皮膚外用剤に使用した際に有用な美容効果(保湿効果、美白効果、整肌効果等)を示す機能性成分が挙げられる。
このような機能性成分としては、パルミチン酸L−アスコルビル等のアスコルビン酸誘導体;β−カロテン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、リコピン、ルテイン等のカロテノイド;トコフェロール、トコトリエノール等のビタミンE;コエンザイムQ10等のユビキノン;ヒアルロン酸;グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等のスフィンゴ糖脂質;加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン等のコラーゲン;アセチルヒドロキシプロリン等のアミノ酸;加水分解シロバナルーピンタンパク;ニコチン酸アミドなどが挙げられる。
その他、添加成分としては、防腐剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、着色剤、香料等が挙げられる。
これらの添加成分は、1つの成分が2つ以上の機能を担うものであってもよい。
本開示の皮膚外用剤は、アスコルビン酸を高濃度で含み、かつ、アスコルビン酸の保存安定性に優れるため、アスコルビン酸に起因する有用な効果が長期間保持される。ここで、「アスコルビン酸に起因する有用な効果」とは、チロシナーゼ活性阻害及びメラニン産生抑制による色素沈着抑制効果、繊維芽細胞増殖及びコラーゲン合成促進による老化防止効果等が挙げられる。このため、本開示の皮膚外用剤は、例えば、化粧品、医薬部外品(例えば、薬用化粧品)等として、好適に用いることができる。
本開示の皮膚外用剤の形態(所謂、剤型)は、特に限定されない。
本開示の皮膚外用剤の形態としては、例えば、スティック、バーム(所謂、練り)、クリーム、乳液、エッセンス等の形態が挙げられる。
本開示の皮膚外用剤の容器は、特に限定されない。
本開示の皮膚外用剤の容器としては、スティックタイプ、コンパクトタイプ、ジャータイプ、チューブタイプ、ポンプタイプ等の容器が挙げられる。
本開示の皮膚外用剤の製造方法は、特に限定されず、公知の製造方法を適用することができる。
以下、本開示の皮膚外用剤の好適な製造方法の一例について説明する。但し、既述の皮膚外用剤と共通する事項、例えば、皮膚外用剤の成分及びその量については、説明を省略する。
なお、皮膚外用剤を容器に充填する場合には、第2の溶液を容器に充填した後、室温まで冷却してもよく、第2の溶液を室温まで冷却した後、容器に充填してもよく、皮膚外用剤の形態(即ち、剤型)によって、適宜選択することができる。
混合手段としては、特に限定されず、公知の混合手段を適用することができる。
混合手段の具体例としては、撹拌機を用いる機械的撹拌、撹拌棒を用いる手撹拌等の混合手段が挙げられる。
第1の溶液に含まれる成分を混合する時間は、各成分を十分に混合することができれば、特に限定されず、例えば、混合手段、各成分の種類等に応じて、適宜設定することができる。
冷却手段としては、特に限定されず、公知の冷却手段を適用することができる。
冷却手段の具体例としては、冷却器を用いる冷却手段が挙げられる。
(実施例1)
油性ゲル化剤であるジブチルラウロイルグルタミド(化粧品成分表示名称)〔商品名:アミノ酸系油ゲル化剤GP−1、成分名:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、味の素(株)〕2.0質量部と、多価アルコールであるプロピレングリコール〔富士フイルム和光純薬(株)〕97.0質量部と、を120℃に加熱しながら撹拌することにより混合し、第1の溶液を得た。次いで、第1の溶液を、撹拌を継続しながら、液温が60℃になるまで冷却した。次いで、冷却後の第1の溶液に、アスコルビン酸〔商品名:L(+)-アスコルビン酸、成分名:L−アスコルビン酸、富士フイルム和光純薬(株)〕1.0質量部を添加した後、撹拌することにより混合し、第2の溶液を得た。次いで、第2の溶液をガラス容器に流し込んだ後、室温まで冷却することにより、実施例1の皮膚外用剤を得た。
実施例1において、皮膚外用剤の組成を表1に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜実施例11の各皮膚外用剤を得た。
実施例1において、皮膚外用剤の組成を表2に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例12〜実施例24の各皮膚外用剤を得た。
実施例1において、皮膚外用剤の組成を表3に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例25〜実施例29の各皮膚外用剤を得た。
実施例1において、皮膚外用剤の組成を表4に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1〜比較例6の各皮膚外用剤を得た。
実施例1〜実施例29、及び比較例1の各皮膚外用剤について、以下の評価を行った。結果を表1〜表4に示す。
なお、比較例2〜比較例6の各皮膚外用剤は、アスコルビン酸が溶解しなかったため、以下の評価を行わなかった。
本発明者らは、アスコルビン酸を高濃度で含む皮膚外用剤では、アスコルビン酸の酸化、加水分解等、アスコルビン酸の変性に起因して、着色及び臭いが生じるとの知見を得ている。アスコルビン酸が変性していない皮膚外用剤は、無色透明であって、かつ、無臭である。そこで、本評価では、皮膚外用剤の着色及び臭いに基づき、アスコルビン酸の保存安定性を評価した。なお、実施例1〜実施例29、及び比較例1の皮膚外用剤は、いずれも無色透明であって、かつ、無臭である。
そして、判定結果に基づき、下記の評価基準に従って、アスコルビン酸の保存安定性を評価した。「着色」及び「臭い」の評価結果が、いずれも「A」又は「B」であれば、アスコルビン酸の保存安定性に優れる皮膚外用剤であると判断した。なお、下記の評価基準において、最も優れるものは「A」である。
A:全く着色していない。
B:僅かに着色している。
C:顕著に着色している。
A:臭いが全く感じられない。
B:臭いが僅かに感じられる。
C:臭いが顕著に感じられる。
各皮膚外用剤について、皮膚に塗布した際の液だれを評価した。
化粧品評価の専門パネラー1人に、皮膚外用剤を使用してもらった。具体的には、皮膚外用剤0.1gを、前腕の皮膚に塗布してもらい、塗布した際の液だれの有無及び程度を判定してもらった。そして、判定結果に基づき、下記の評価基準に従って、液だれを評価した。評価結果が、「A」又は「B」であれば、液だれが生じ難い皮膚外用剤であると判断した。なお、下記の評価基準において、最も優れるものは「A」である。
A:液だれが全く生じない。
B:液だれが僅かに生じるが、気にならない程度である。
C:液だれが顕著に生じる。
各皮膚外用剤について、皮膚に塗布した際のべたつきを評価した。
化粧品評価の専門パネラー1人に、皮膚外用剤を使用してもらった。具体的には、皮膚外用剤0.1gを、前腕の皮膚に塗布してもらい、塗布した際のべたつきの有無及び程度を判定してもらった。そして、判定結果に基づき、下記の評価基準に従って、べたつきを評価した。評価結果が、「A」又は「B」であれば、べたつきが生じ難い皮膚外用剤であると判断した。なお、下記の評価基準において、最も優れるものは「A」である。
A:べたつきが全く感じられない。
B:べたつきが僅かに感じられるが、気にならない程度である。
C:べたつきが顕著に感じられる。
各皮膚外用剤について、保湿感を評価した。
化粧品評価の専門パネラー1人に、皮膚外用剤を使用してもらった。具体的には、皮膚外用剤0.1gを、前腕の内側に対し、25cm2程度に塗り広げてもらった。そして、塗り広げてから1分間後に、皮膚の表面に残るしっとりとした感触(所謂、保湿感)の程度を判定してもらった。そして、判定結果に基づき、下記の評価基準に従って、保湿感を評価した。評価結果が、「A」又は「B」であれば、保湿感に優れる皮膚外用剤であると判断した。なお、下記の評価基準において、最も優れるものは「A」である。
A:皮膚の表面に残るしっとりとした感触が非常に強い。
B:皮膚の表面に残るしっとりとした感触が強い。
C:皮膚の表面に残るしっとりとした感触が弱い。
表1〜表4では、便宜上、アスコルビン酸、油性ゲル化剤、多価アルコール、及び油剤に該当する成分を、それぞれ(A)、(B)、(C)、及び(D)に分類して表記した。
<(A):アルコルビン酸>
・アスコルビン酸〔商品名:L(+)-アスコルビン酸、成分名:L−アスコルビン酸、富士フイルム和光純薬(株)〕
−アミノ酸系油性ゲル化剤−
・ジブチルラウロイルグルタミド(化粧品成分表示名称)〔商品名:アミノ酸系油ゲル化剤GP−1、成分名:N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、味の素(株)〕
・ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(化粧品成分表示名称)〔商品名:アミノ酸系油ゲル化剤EB−21、成分名:N−2−エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、味の素(株)〕
−糖脂肪酸エステル−
・パルミチン酸デキストリン〔商品名:レオパールKL2、千葉製粉(株)〕
・ミリスチン酸デキストリン〔商品名:レオパールMKL2、千葉製粉(株)〕
・ステアリン酸イヌリン〔商品名:レオパールISL2、千葉製粉(株)〕
−石油ワックス−
・パラフィン(化粧品成分表示名称)〔商品名:精製パラフィンワックス、成分名:パラフィンワックス、日興リカ(株)〕
・マイクロクリスタリンワックス〔商品名:精製マイクロクリスタリンワックス、日興リカ(株)〕
−植物ワックス−
・キャンデリラロウ(化粧品成分表示名称)〔商品名:キャンデリラワックス MK−4、成分名:キャンデリラワックス、横関油脂工業(株)〕
・カルナウバロウ(化粧品成分表示名称)〔商品名:精製カルナウバワックス R−100、成分名:カルナウバワックス、横関油脂工業(株)〕
−鉱物ワックス−
・セレシン(化粧品成分表示名称)〔商品名:CERESIN #820、日興リカ(株)〕
上記「(B)油性ゲル化剤」は、いずれも25℃で固体である。
・プロピレングリコール〔富士フイルム和光純薬(株)〕
・BG(化粧品成分表示名称)〔成分名:1,3−ブチレングリコール、(株)ダイセル〕
・エトキシジグリコール〔商品名:トランスキトールCG、池田物産(株)〕
・ペンチレングリコール〔商品名:Hydrolite(登録商標)−5、シムライズ社〕
・ヘキサンジオール〔商品名:Hydrolite(登録商標)−6、シムライズ社〕
・ジプロピレングリコール〔交洋ファインケミカル(株)〕
・グリセリン〔商品名:化粧品用濃グリセリン、花王(株)〕
・ジグリセリン〔商品名:ジグリセリン801、阪本薬品工業(株)〕
・メチルグルセス−10(化粧品成分表示名称)〔商品名:マクビオブライド(登録商標) MG−10E、医薬部外品成分表示名称:ポリオキシエチレンメチルグルコシド、日油(株)〕
・メチルグルセス−20(化粧品成分表示名称)〔商品名:マクビオブライド(登録商標) MG−20E、医薬部外品成分表示名称:ポリオキシエチレンメチルグルコシド、日油(株)〕
・PEG−6(化粧品成分表示名称)〔商品名:PEG#300、医薬部外品成分表示名称:ポリエチレングリコール300、日油(株)〕
・PEG−12(化粧品成分表示名称)〔商品名:PEG#600、医薬部外品成分表示名称:ポリエチレングリコール600、日油(株)〕
−エステル油−
・イソステアリン酸〔高級アルコール工業(株)〕
・ミリスチン酸イソプロピル〔商品名:NIKKOL(登録商標) IPM−100、日光ケミカルズ(株)〕
・セバシン酸ジイソプロピル〔商品名:FineNeo(登録商標) −iPSE、日本精化(株)〕
−炭化水素油−
・スクワラン〔商品名:NIKKOL(登録商標) 精製オリーブスクワラン、日光ケミカルズ(株)〕
−シリコーン油−
・シクロペンタシロキサン〔商品名:KF−995、信越化学工業(株)〕
上記「(D)油剤」は、いずれも25℃で液体又はペーストである。
一方、表4に示すように、アスコルビン酸及び多価アルコールを含み、かつ、油性ゲル化剤を含まない比較例1の皮膚外用剤は、着色及び臭いが顕著であり、アスコルビン酸の保存安定性に劣ることが確認された。また、比較例1の皮膚外用剤は、皮膚に塗布した際に液だれが顕著に生じた。また、比較例1の皮膚外用剤は、皮膚に塗布した際にべたつきが顕著に感じられた。また、比較例1の皮膚外用剤は、保湿感に劣ることが確認された。
多価アルコールの代わりに油剤を含む比較例2〜比較例6の皮膚外用剤は、いずれもアルコルビン酸が溶解せず、アスコルビン酸を高濃度に配合できないことが確認された。
〔実施例30〕スティック
下記の(1)〜(10)のうち、(2)〜(8)を100℃に加熱しながら撹拌することにより混合し、第1の溶液を得た。次いで、第1の溶液を、撹拌を継続しながら、液温が60℃になるまで冷却した。次いで、冷却後の第1の溶液に、(1)、(9)、及び(10)を添加した後、撹拌することにより混合し、第2の溶液を得た。次いで、第2の溶液をスティック容器に充填した後、室温まで冷却することにより、剤型がスティックである皮膚外用剤を製造した。
(1)アスコルビン酸 3.0質量%
(2)ジブチルラウロイルグルタミド 4.0質量%
(3)ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド 1.4質量%
(4)プロピレングリコール 29.49質量%
(5)1,3−ブチレングリコール 5.0質量%
(6)エトキシジグリコール 42.0質量%
(7)グリセリン 5.0質量%
(8)イソステアリン酸 9.6質量%
(9)アスタキサンチン 0.01質量%
(10)トコフェロール 0.5質量%
下記の(1)〜(9)のうち、(2)〜(7)を100℃に加熱しながら撹拌することにより混合し、第1の溶液を得た。次いで、第1の溶液を、撹拌を継続しながら、液温が60℃になるまで冷却した。次いで、冷却後の第1の溶液に、(1)、(8)、及び(9)を添加した後、撹拌することにより混合し、第2の溶液を得た。次いで、第2の溶液をジャー容器に充填した後、室温まで冷却することにより、剤型がバーム(所謂、練り)である皮膚外用剤を製造した。
(1)アスコルビン酸 3.0質量%
(2)ジブチルラウロイルグルタミド 2.0質量%
(3)プロピレングリコール 39.49質量%
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0質量%
(5)エトキシジグリコール 40.0質量%
(6)グリセリン 5.0質量%
(7)ジメチコン 5.0質量%
(8)アスタキサンチン 0.01質量%
(9)トコフェロール 0.5質量%
下記の(1)〜(9)のうち、(2)〜(7)を100℃に加熱しながら撹拌することにより混合し、第1の溶液を得た。次いで、第1の溶液を、撹拌を継続しながら、液温が60℃になるまで冷却した。次いで、冷却後の第1の溶液に、(1)、(8)、及び(9)を添加した後、撹拌することにより混合し、第2の溶液を得た。次いで、第2の溶液を室温まで冷却した後、チューブ容器に充填することにより、剤型がクリームである皮膚外用剤を製造した。
(1)アスコルビン酸 3.0質量%
(2)ジブチルラウロイルグルタミド 1.0質量%
(3)プロピレングリコール 40.49質量%
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0質量%
(5)エトキシジグリコール 30.0質量%
(6)グリセリン 10.0質量%
(7)スクワラン 10.0質量%
(8)アスタキサンチン 0.01質量%
(9)トコフェロール 0.5質量%
Claims (10)
- アスコルビン酸と、
油性ゲル化剤と、
多価アルコールと、
を含み、かつ、
アスコルビン酸の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0.5質量%以上である皮膚外用剤。 - 更に、油剤を含む請求項1に記載の皮膚外用剤。
- 水を含まないか、又は、水の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、0質量%を超えて10質量%以下の範囲である請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
- 多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンメチルグルコシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- 油性ゲル化剤が、アミノ酸系油性ゲル化剤である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- アミノ酸系油性ゲル化剤が、L−グルタミン酸誘導体、L−イソロイシン誘導体、及びL−バリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の皮膚外用剤。
- 多価アルコールの含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、20質量%以上98.5質量%以下の範囲である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- 油性ゲル化剤の含有率が、皮膚外用剤の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下の範囲である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- 多価アルコールの含有量が、アスコルビン酸の含有量に対して、質量基準で、3倍以上197倍以下の範囲である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
- 多価アルコールの含有量が、油性ゲル化剤の含有量に対して、質量基準で、2倍以上98.5倍以下の範囲である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
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