JP2019131524A - 化粧料及び皮膚外用剤 - Google Patents

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恵理子 中矢
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恵理子 中矢
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Abstract

【課題】成分(a)ジブチルヒドロキシトルエン及び成分(b)ビタミンEを含む化粧料又は皮膚外用剤の経時的な変色を抑制する組成物の提供。【解決手段】次の成分(a)〜(c);(a)ジブチルヒドロキシトルエン、(b)ビタミンE、(c)ナイアシンアミドを含有する組成物。該組成物中に、さらに成分(d)グリチルリチン酸ジカリウムを含有することが好ましく、該組成物の40質量%以上が水性成分であることが好ましい。前記成分(c)の含有質量に対する、成分(a)と成分(b)との合計含有質量の割合[(a)+(b)]/(c)が、0.1〜12000であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本技術は、化粧料、皮膚外用剤、並びにジブチルヒドロキシトルエン及びビタミンEを同時に含有する組成物の変色を抑制する方法に関する。
ビタミンEは、脂溶性ビタミンとして食品、医薬品及び化粧品等に広く用いられ、また抗酸化剤としても利用されている。また、ジブチルヒドロキシトルエンも、抗酸化剤として食品、化粧品、医薬品、プラスティック製品など、多岐の分野で利用されている。
このように、ジブチルヒドロキシトルエン及びビタミンEは、酸化防止の目的で化粧料や皮膚外用剤等の製品に配合され得る成分である。また、化粧料や皮膚外用剤等に用いる原料においても酸化防止の目的で、いわゆるキャリーオーバー成分として配合されており、開発者が意図しないにも関わらず、製品中に同時に含有される場合も多い。
例えば、特許文献1には、ジブチルヒドロキシトルエン及び/又はビタミンEを酸化防止として含有する化粧料が開示されている。
また、特許文献2には、特定の植物エキスの保存安定化剤として、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロールおよびその誘導体などの成分を配合したことを特徴とする化粧料が開示されている。
また、特許文献3にはトリテルペン酸、その誘導体及び/又はそれらの塩に加えて、抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンEなどを含有する皮膚外用剤が開示されている。
特開2000−212061号公報 特開2002−167307号公報 特開2010−030931号公報
本発明者らは、後記〔表1(実験例1)〕に示すように、ジブチルヒドロキシトルエンとビタミンEとを同時に配合した組成物が経時的に変色していることに気づいた。また、特に組成物中の水分が多いほど、経時的な変色の程度が顕著であった。
通常であれば、他成分の劣化を、ビタミンE、あるいは、ジブチルヒドロキシトルエンが、その抗酸化作用によって抑えることができると考えられる。しかしながら、実際には、これらを混合した組成物で変色が発生した。
化粧料や皮膚外用剤等の製品において、変色は製品の外観上、好ましくなく、また変色が発生する製品の場合、有効成分の劣化等も懸念される。
そこで、本発明では、ジブチルヒドロキシトルエン及びビタミンEを含む組成物の変色を抑制することを主な目的とする。
本発明者らは、成分(a)ジブチルヒドロキシトルエン及び成分(b)ビタミンEを含む組成物の変色を抑制するため、該組成物と種々の成分との組み合わせを検討した。その結果、後記〔表3〕に示すように、ナイアシンアミドが、前記成分(a)及び成分(b)を含む組成物の変色を抑制することができることを見出した。更に、グリチルリチン酸ジカリウムの添加により、それらの変色の抑制効果が高まることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の成分(a)〜(c);
(a)ジブチルヒドロキシトルエン
(b)ビタミンE
(c)ナイアシンアミド
を含有する組成物である。
また、本発明は、ナイアシンアミドを使用する、次の成分(a)及び成分(b)を含有する組成物の変色を抑制する方法である。
(a)ジブチルヒドロキシトルエン
(b)ビタミンE
さらに本発明は、成分(d)グリチルリチン酸ジカリウムを含むものであってもよく、
前記組成物の40質量%以上が水性成分であってもよく、
前記成分(c)の含有質量に対する、成分(a)と成分(b)との合計含有質量の割合[(a)+(b)]/(c)が、0.1〜1000であってもよい。
本発明によれば、成分(c)ナイアシンアミドを使用することにより、成分(a)ジブチルヒドロキシトルエン及び成分(b)ビタミンE、を含む組成物の変色を抑制することができる。
また、これらの成分が相互に安定化することにより、各成分の有用性が長期にわたり発揮される優れた製品を提供することが可能となる。
本技術は、成分(a)ジブチルヒドロキシトルエン、成分(b)ビタミンE、及び成分(c)ナイアシンアミドを含有する組成物である。前記組成物は、化粧料及び皮膚外用剤であることが望ましい。
また、本技術は、成分(c)を使用することにより、成分(a)及び成分(b)に起因する変色を抑制することができ、またこれら成分(a)及び成分(b)を含む組成物の変色を抑制することができる。
すなわち、本技術は、前記成分(a)、前記成分(b)、及び前記成分(c)を含み、前記成分(a)及び前記成分(b)による変色を抑制する組成物を提供することができる。
一般的に「変色」を促進させる原因として、例えば、光(特に紫外線)、温度(特に熱、高温)、pH等が挙げられ、経時的に変色することが問題視される。
通常、化粧料又は皮膚外用剤は製造後に梱包され一定期間保管されることが多く、その間に様々な温度変化や光にさらされても経時的に安定であることが求められる。とくに外観は化粧料や皮膚外用剤にとって重要な品質であることから、使用者が開封したときや使用期間中に製品の経時的な変色を抑制できることが重要となる。
本技術において、前記成分(a)及び成分(b)による経時的な変色を常温において長期間抑制できることは、製品開発にとって有利な点である。
本発明で使用される成分(a)ジブチルヒドロキシトルエンは、化学名2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、略称BHTと呼ばれる油溶性化合物である。当該成分(a)は本来、主に抗酸化剤として食品、化粧品、医薬品等の製品、あるいは、その原材料に添加され、色、におい、味等の劣化を防ぐものであるが、後述する成分(b)ビタミンEと併用することで変色が生じると考えられる。
前記成分(a)は、市販品を使用すればよく、分離精製品又は合成品を使用することが好ましい。
本発明で使用される成分(a)の含有量は、前記組成物中、0.000001質量%〜0.5質量%が好ましく、0.00001質量%〜0.05質量%がより好ましく、0.0001質量%〜0.01質量%がさらに好ましい。
本発明で使用される成分(b)ビタミンEは、油溶性ビタミンの一種であり、抗酸化作用、血行促進作用等が知られており、食品、化粧品等に利用されている。当該成分(b)としては、トコフェロール(例えば、α−,β−,γ−,δ−トコフェロール)及びトコトリエノール(例えば、α−,β−,γ−,δ−トコトリエノール)が挙げられ、このうちから1種又は2種以上を選択することができる。
前記成分(b)は、市販品を使用すればよく、天然由来であっても合成品であっても良い。また天然由来である場合は分離精製品が好ましい。
一般的に、合成ビタミンEは、素材原料を化学合成にて製造されたもの(例えば、dl−α−トコフェロール等)である。
また、一般的に、天然由来ビタミンEは、植物油又は微生物(例えば、藻類等)の生産油から抽出したものである。このうち、植物油由来のビタミンEが、化粧品等に多く利用されているので、好ましい。この植物として、大豆、ヒマワリ種子、コムギ胚芽、菜種等が挙げられる。また藻類としては、ユーグレナ、クロレラ、スピルリナ等が挙げられる。
一般的に、植物油由来のビタミンE又は藻類由来のビタミンEは、α―トコフェロール、β―トコフェロール、γ―トコフェロール、δ―トコフェロールを含み、これらから選ばれる1種又は2種以上の混合物である。通常、このうちの、2種、3種又は4種を含有していることが多い。
一般的に市販されている植物油由来ビタミンEの組成比は、α―トコフェロール5〜20質量%、β―トコフェロール0〜10質量%、γ―トコフェロール30〜90質量%、δ―トコフェロール5〜60質量%などがある。この市販品の植物油由来ビタミンEは、別名として、天然ビタミンEとも呼ばれている。
前記ビタミンEのうち、トコフェロールが好ましい。トコフェロールとして、合成トコフェロールであってもよいし、天然トコフェロールであってもよい。
このうち、α―トコフェロール、β―トコフェロール、γ―トコフェロール及びδ―トコフェロールから選ばれる混合物である点で、天然トコフェロールが好ましい。また、混合物であれば、合成トコフェロールでもよい。
本発明で使用される成分(b)の含有量は、前記組成物中、0.000001質量%〜5質量%が好ましく、0.00001質量%〜1質量%がより好ましく、0.0001質量%〜0.2質量%がさらに好ましい。
本発明で使用される成分(c)ナイアシンアミドは、水溶性ビタミンであるビタミンB群の一つであり、ニコチン酸アミドともよばれる、ニコチン酸の誘導体である。当該成分(c)には、肌あれ改善効果、美白効果、抗老化効果なども知られている。
前記成分(c)は、米ぬかなどの天然物から抽出されたり、あるいは公知の方法によって合成することができる。市販品を使用してもよく、具体的には、第17改正日本薬局方に収載されているものを用いることが出来る。
そして、後記実施例に示すように、本発明の成分(c)は、成分(a)及び成分(b)を含むことにより生じる変色を抑制する作用を有する。すなわち、前記成分(c)を有効成分として含有する、前記成分(a)及び成分(b)を含む組成物の変色抑制組成物を提供することができる。
本発明で使用される成分(c)の含有量は、前記組成物中、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%がさらに好ましい。
さらに本発明において、成分(d)グリチルリチン酸ジカリウムを用いることが出来る。当該成分(d)は、グリチルリチン酸の2カリウム塩であり、優れた抗炎症効果を有し、総合感冒薬、眼科用薬、点鼻薬、外用薬、口内炎薬、医薬部外品、化粧品など多くの分野で利用されている。成分(d)は、市販品を使用すればよい。
本発明の成分(d)は、前記成分(c)と同様に、成分(a)及び成分(b)を含むことにより生じる変色を抑制する作用を有すると解されるが、本発明においては、成分(c)と同時に添加されることにより、それらの変色の抑制効果が相乗的に高まるものである。
すなわち、本発明の成分(c)及び成分(d)は、前記成分(a)及び成分(b)による変色を抑制する方法に使用することができる。また、前記成分(a)及び成分(b)を含有する組成物の変色を抑制するための、成分(c)及び成分(d)を提供することができる。また、前記成分(a)及び成分(b)による変色を抑制できる組成物を製造するために、成分(c)及び成分(d)を使用することができる。
本発明で使用される成分(d)の含有量は、前記組成物中、0.0001質量%〜5質量%が好ましく、0.001質量%〜1質量%がより好ましく、0.01質量%〜0.5質量%がさらに好ましい。
また本発明の組成物は、前記成分(c)及び成分(d)を使用することにより、前記成分(a)及び成分(b)に起因する変色を抑制することができるものであるため、成分(c)及び成分(d)の溶媒として、水を含有することが好ましい。
本発明で使用される水は特に規定するものではなく、原水、純水、常水、水道水、天然水、水素水、海洋深層水、温泉水、ラベンダー水、オレンジフラワー水などの植物由来の水蒸気蒸留水などが挙げられ、いずれを用いてもよいが、純水に分類される精製水がより好ましい。
本発明で使用される水の含有量は、前記組成物中、40質量%〜95質量%が好ましく、45質量%〜90質量%がより好ましく、50質量%〜95質量%がさらに好ましい。
また、本発明の組成物には、前記成分(a)〜(d)以外に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤等の種々の製剤に使用される成分を加えることができる。当該成分として、例えば、多価アルコール、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等が挙げられる。これらから適宜1種又は2種以上選択して使用することができる。
本発明の組成物、又は変色抑制方法におけるpHは、特に限定されず、適宜pH調整剤にて調整することができる。
本発明の組成物のpH(20℃)は、好ましくは3.0〜9.0であり、より好ましくは4.0〜8.0である。当該pHに調整することで、前記成分(c)及び成分(d)が、前記成分(a)及び成分(b)による変色を抑制し易い点で、好適である。
本発明の組成物は、公知の製法によって得ることができる。
また、本発明の組成物は、例えば、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤、化粧料、美白剤、デオドラント剤、洗剤等が挙られるが、成分(b)及び成分(c)の薬剤的な有用性である、美白効果やエモリエント効果等を期待するような、肌に使用する化粧料及び皮膚外用剤が好適である。
本発明の化粧料及び皮膚外用剤としては、具体的には、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、オールインワンジェル、日焼け止め、洗浄料などの基礎化粧料、メイク下地、BBクリーム、ファンデーション、頬紅、口紅等のメイクアップ化粧料、養毛料、ヘアトニック、シャンプー、リンス等の頭髪用化粧料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等のいずれの形態であってもよい。
以下、実施例、試験例等を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
<試料>
ジブチルヒドロキシトルエンとして、市販品(東京化成工業社製)の2,6-Di-tert-butyl-p-cresolを購入し、使用した。
ビタミンEとして、市販品(タマ生化学社製)の天然由来ビタミンE(植物由来)を購入し、使用した。当該市販品は、植物由来のビタミンEであり、少なくともα―トコフェロール、γ―トコフェロール及びδ―トコフェロールを含んでいる。
ナイアシンアミドとして、市販品(和光純薬工業社製)のニコチンアミドを購入し、使用した。
グリチルリチン酸ジカリウムとして、市販品(東京化成工業社製)のグリチルリチン酸二カリウムを購入し、使用した。
<色差測定方法>
50℃用及び5℃用の試料を入れるガラス瓶を準備した。試料をそれぞれのガラス瓶に分注し、ガラス瓶内の空気を置換せずにそのままの状態で、蓋をした。試料入りガラス瓶を、それぞれ50℃及び5℃の恒温器に入れて、一定期間静置した。
一定期間静置した各試料を測定用ガラスセルに移し、日本電色色差計SE−2000を用いてL*,a*,b*値を測色し、測色値から、Δb=b*(50℃)−b*(5℃)を算出した。
<実験例1:経時的安定性(変色)試験>
表1に示す各成分を混合して、試験例1〜3の試料を作製した。この試験例1〜3の試料を、上記色差測定方法にて測定を行い、5日間静置した後の5℃保管品と50℃保管品との色差Δbを求めた。外観の色は目視にて評価した。
天然由来ビタミンE単独の試験例2及びジブチルヒドロキシトルエン単独の試験例3では、変色はほとんど生じていなかった。しかし、ジブチルヒドロキシトルエン及び天然由来ビタミンEを併用した試験例1では、それぞれ試験例2及び試験例3と比較すると、色差Δbが試験開始わずか5日目という短期間であっても約20倍以上であり、肉眼においても強い変色(黄変)が確認された。
<実験例2:経時的安定性(変色)試験>
表2に示す各成分を混合して、試験例5〜8の試料を作製した。この試験例5〜8の試料を、上記色差測定方法にて測定を行い、13日間静置した後の5℃保管品と50℃保管品との色差Δbを求めた。外観の色は目視にて評価した。
ジブチルヒドロキシトルエン及び天然由来ビタミンEを併用していない試験例8をでは、色差がほぼ0であり変色は生じていなかった。しかし、ジブチルヒドロキシトルエン及び天然由来ビタミンEを併用した試験例5〜7では、試験開始13日目という短期間であっても強い変色(黄変)が確認できたことから、経時的に変色がさらに進行することが予想された。
実験例1及び2より、ジブチルヒドロキシトルエン及びビタミンEを配合することで、数日間で相乗効果的に色差が大きくなったことは全くの意外であった。本発明者らはそのメカニズムについて検討しており、このメカニズムは未だ不明であるが、ジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE及び水分に起因した変色と考えている。
化粧料や皮膚外用剤等の製品において、変色は好ましくないことであり、一方で、ジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE又は水分の何れかの含有量を減らすことも考えられるが、何れも化粧料及び皮膚外用剤ではよく使用される成分であり、これをできるだけ自由な含有量で使用したい。
そこで、ジブチルヒドロキシトルエン及びビタミンEの含有量を気にすることなく、これらを含む組成物の変色を抑制できる成分の探索が必要となった。本発明者らは、表3に示すように、変色を抑制する成分のスクリーニングを実施し、その結果、ナイアシンアミドが優れた変色抑制効果を示すことを見出した。
[実施例1、2:化粧水]
表3に示す組成の化粧水を、下記の製造方法にて調製し、その経時的変色を、数日間静置した後の5℃保管品と50℃保管品の色差Δbを用いて評価した(上記<色差測定方法>参照)。その結果を合わせて表3に示す。
<製造方法>
1.成分(1)及び成分(5)〜(7)をあわせて均一に混合する
2.成分(2)〜(4)、(8)を均一に混合する。
3.1を撹拌しながら2を徐々に添加し、添加終了後5分間まで撹拌して、化粧水を得た。
実際の製品である化粧水においても、成分(c)ナイアシンアミドを添加していない比較例は、経時的に強い変色が生じ、化粧料や皮膚外用剤に重要である良好な経時安定性が認められなかった。
本発明者らは、偶然にも、ナイアシンアミド及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムにおいて、ジブチルヒドロキシトルエン及び天然由来ビタミンEを含む組成物の変色を抑制することができることを見出した。しかも、色差評価ではほとんど問題ないレベルまで達しており、格別顕著な効果といえる。また、ジブチルヒドロキシトルエン及び天然由来ビタミンE以外の成分を含む実用品において、変色抑制効果が認められたため、化粧料、皮膚外用剤、その他組成物といった幅広い製品にも応用可能であると考える。
[実施例3:化粧水]
(成分) (%)
1.グリセリン 5.0
2.1,3−ブチレングリコール 5.0
3.乳酸 0.05
4.乳酸ナトリウム 0.1
5.ナイアシンアミド(注1) 2.0
6.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.2
7.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
8.エタノール 8.0
9.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
10.合成ビタミンE(注2) 0.01
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12.香料 0.1
13.精製水 残量
(注1)和光純薬工業社製
(注2)DL-α-Tocopherol(東京化成工業社製)
(製造方法)
A.下記成分(6)〜(12)を混合溶解する。
B.下記成分(1)〜(5)と(13)を混合溶解する。
C.前記BにAを加え混合し、化粧水を得た。
実施例3の化粧水は変色がなく経時安定性が良好であった。
[実施例4:水中油乳化型化粧水]
(成分) (%)
1.ジブチルヒドロキシトルエン 0.0001
2.水素添加大豆リン脂質 2.0
3.コレステロール 0.8
4.イソステアリン酸 3.0
5.天然ビタミンE(注3) 0.1
6.テトラ−2エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1.0
7.グリセリン 8.0
8.ジプロピレングリコール 8.0
9.精製水 残量
10.ナイアシンアミド 5.0
11.グリコシルトレハロース 5.0
12.ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0
13.エタノール 5.0
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.香料 0.2
(注3)イーミックス70L(エーザイフード・ケミカル社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を70℃に加熱溶解する。
B:成分(7)〜(9)を70℃に加熱溶解後、前記Aに添加し乳化する。
C:前記Bを室温まで冷却する。
D:前記Cをマイクロフルイダイザーにて高圧処理(処理圧200MPa)する。
E:前記Dに成分(10)〜(15)を均一に混合して水中油乳化型化粧水を得た。
実施例4の化粧水は変色がなく経時安定性が良好であった。
[実施例5:美容液]
(成分) (%)
1.ジプロピレングリコール 5.0
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.アクリル酸・メタクリル酸アルキル(C10−30)
クロスポリマー(注4) 0.2
4.キサンタンガム 0.2
5.精製水 残量
6.水酸化ナトリウム2%水溶液 2.0
7.ナイアシンアミド 0.5
8.ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
9.加水分解エラスチン 0.01
10.加水分解コラーゲン 0.1
11.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
12.イソステアリン酸 0.2
13.ジブチルヒドロキシトルエン 0.001
14.天然ビタミンE(注3) 0.01
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
16.エタノール 2.0
17.香料 0.02
(注4)CARBOPOL1382(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)
(製造方法)
A.下記成分(1)〜(10)を混合溶解する。
B.下記成分(11)〜(17)を混合溶解する。
C.前記AにBを加え混合し、美容液を得た。
実施例5の美容液は変色がなく経時安定性が良好であった。
[実施例6:美容液]
(成分) (%)
1.ジブチルヒドロキシトルエン 0.00001
2.セラミド3 0.1
3.トリエチルヘキサン酸グリセリル 3.0
4.セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
5.ジメチルポリシロキサン(注5) 2.0
6.dl−α−トコフェロール(注6) 0.002
7.グリセリン 3.0
8.1,3−ブチレングリコール 5.0
9.1,2−ペンタンジオール 2.0
10.キサンタンガム 0.05
11.精製水 残量
12.リン酸 0.1
13.リン酸一水素ナトリウム 0.1
14.ナイアシンアミド 0.001
15.カルボキシメチルセルロース 2.0
16.キサンタンガム 0.1
17.ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
18.エデト酸2ナトリウム 0.02
19.香料 0.5
(注5)KF−96−10CS(信越化学工業社製)
(注6)DSMニュートリションジャパン株式会社製
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(7)〜(19)を70℃にて加熱後、前記Aを添加して乳化し室温まで冷却して、水中油型美容液を得た。
実施例6の美容液は変色がなく経時安定性が良好であった。
[実施例7:水中油型乳液]
(成分) (%)
1.1,3−ブチレングリコール 5.0
2.ジプロピレングリコール 5.0
3.精製水 残量
4.ナイアシンアミド 0.5
5.水酸化ナトリウム2%水溶液 0.2
6.N−ミリストイル−L−グルタミン酸 0.2
7.ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.2
8.マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 1.0
9.トリ(カプリル酸/カプリル酸)グリセリル 0.2
10.ジブチルヒドロキシトルエン 0.001
11.天然ビタミンE(注3) 0.001
12.N−ステアロイルフィトスフィンゴシン 0.1
13.酢酸トコフェロール 0.01
14.ステアリルアルコール 0.5
15.コメ胚芽油 0.01
16.1,2−ペンタンジオール 0.1
17.カルボキシビニルポリマー(注7) 0.15
18.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー(注8) 2.0
19.エタノール 5.0
20.香料 0.1
(注7)CARBOPOL941(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)
(注8)SIMULGEL EG(SEPIC社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を70℃で均一に溶解混合する。
B.成分(6)〜(15)を80℃で均一に溶解混合する。
C.前記AにBを添加し70℃で乳化する。
D.前記Cに成分(16)〜(20)を添加混合した後、40℃まで冷却して水中油型乳液を得た。
実施例7の乳液は変色がなく経時安定性が良好であった。
[実施例8:乳液]
(成分) (%)
1.ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
2.α−リノレン酸(注9) 0.4
3.水素添加大豆リン脂質 1.2
4.δ―トコフェロール(注10) 0.003
5.α―トコフェロール(注11) 0.002
6.1,3−ブチレングリコール 16.0
7.イソノナン酸イソトリデシル 1.0
8.トリエチルヘキサノイン 1.0
9.精製水 残量
10.クエン酸 0.1
11.クエン酸ナトリウム 0.1
12.水酸化ナトリウム 適量
13.ナイアシンアミド 5.0
14.ヒドロキシプロリン 0.01
15.フェノキシエタノール 0.5
16.エタノール 8
17.カルボキシビニルポリマー(注7) 0.2
18.キサンタンガム 0.2
(注9)和光純薬社製
(注10)シグマ・アルドリッチ社製
(注11)シグマ・アルドリッチ社製
(製造方法)
A:成分(1)〜(8)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(9)〜(15)を70℃にて加熱後、前記Aに添加し乳化する。
C:前記Bを室温まで冷却後、成分(16)〜(18)を添加し、水中油型乳液を得た。
実施例8の乳液は変色が少なく経時安定性が良好であった。
[実施例9:クリーム]
(成分) (%)
1.ジブチルヒドロキシトルエン 0.0007
2.ドコサヘキサエン酸(DHA)(注12) 1.0
3.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 2.0
4.ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(注13) 0.3
5.ジカプリン酸プロピレングリコール 1.7
6.スクワラン 3.5
7.セトステアリルアルコール 3.0
8.ワセリン 2.0
9.ホホバ油 1.0
10.合成ビタミンE(注2) 0.002
11.1,3−ブチレングリコール 2.0
12.グリセリン 10.0
13.カルボキシビニルポリマー(注14) 0.3
14.カラギーナン 0.1
15.水酸化ナトリウム 適量
16.精製水 残量
17.ナイアシンアミド 1.0
18.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
19.エタノール 7.0
20.香料 0.2
(注12)和光純薬社製
(注13)NIKKOL−DDP10(日光ケミカルズ社製)
(注14)ハイビスワコー105(和光純薬工業社製)
(製造方法)
A:成分(1)〜(10)を70℃にて加熱溶解する。
B:成分(11)〜(17)を70℃にて加熱後、前記Aを添加し乳化する。
C:前記Bを室温まで冷却し、(18)〜(20)を添加混合して水中油型クリームを得た。
実施例9のクリームは変色が少なく経時安定性が良好であった。
[実施例10:日焼け止め料]
(成分) (%)
1.セトステアリルアルコール 1.0
2.流動パラフィン 3.0
3.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 2.0
4.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
5.ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(注15) 0.1
6.アクリル−シリコーン系グラフト共重合体溶液(注16) 1.0
7.パラメトキシケイ皮酸オクチル 5.0
8.天然ビタミンE(注3) 0.001
9.ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
10.ミリスチン酸(3%)メチルハイドロジェンポリシロキサン
(15%)処理酸化亜鉛(粒子径20nm) 5.0
11.デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0
12.(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー混合物
(固形分15%)(注17) 5.0
13.ステアロイルメチルタウリンナトリウム 2.0
14.(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン
ナトリウム)コポリマー(注18) 4.0
15.1,3−ブチレングリコール 8.0
16.ポリエチレングリコール(注19) 5.0
17.精製水 残量
18.ナイアシンアミド(注1) 0.4
(注15)NIKKOL−DDP6(日光ケミカルズ社製)
(注16)KP−545L(信越化学工業社製)
(注17)KSG−18(信越化学工業社製)
(注18)SIMULGEL EG1(本質分37.5% SEPPIC社製)
(注19)PEG400(三洋化成工業社製)
(製造方法)
A.成分(10)〜(12)を三本ロールにて分散処理する。
B.前記Aと、成分(1)〜(9)を70℃に加温する。
C.成分(13)〜(18)を70℃に加温する。
D.前記CにBを加え、乳化する。
E.前記Dを室温まで冷却して冷却してクリーム状水中油乳化型乳日焼け止め料を得た。
実施例10の日焼け止め料は変色がなく経時安定性が良好であった。
[実施例11:含浸マスク]
(成分) (%)
1.ジプロピレングリコール 10.0
2.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.スクワラン 0.5
5.ジブチルヒドロキシトルエン 0.001
6.天然ビタミンE(注3) 0.01
7.グリセリン 10.0
8.精製水 残量
9.温泉水 1.0
10.水酸化ナトリウム 適量
11.ナイアシンアミド(注1) 7.0
12.カルボキシビニルポリマー(注7) 0.1
13.キサンタンガム 0.05
14.香料 0.2
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を70℃に加熱溶解する。
B:成分(7)〜(11)を70℃に加熱溶解後、前記Aに添加し乳化する。
C:前記Bを室温まで冷却し(12)〜(14)を加えて混合し、水中油型乳液を得た。
D:前記Cを不織布(材質:セルロース)にしみこませ、含浸マスクを得た。
実施例11の含浸マスクは変色がなく経時安定性が良好であった。
[実施例12:化粧水]
(成分) (%)
1.グリセリン 5.0
2.1,3−ブチレングリコール 5.0
3.乳酸 0.05
4.乳酸ナトリウム 0.1
5.ナイアシンアミド (注1) 0.1
6.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.2
7.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
8.エタノール 8.0
9.ジブチルヒドロキシトルエン 0.001
10.合成ビタミンE(注2) 0.001
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12.香料 0.1
13.精製水 残量
(製造方法)
A.下記成分(6)〜(12)を混合溶解する。
B.下記成分(1)〜(5)と(13)を混合溶解する。
C.前記BにAを加え混合し、化粧水を得た。
実施例12の化粧水は変色がなく経時安定性が良好であった。

Claims (6)

  1. 次の成分(a)〜(c);
    (a)ジブチルヒドロキシトルエン
    (b)ビタミンE
    (c)ナイアシンアミド
    を含有する組成物。
  2. さらに成分(d)グリチルリチン酸ジカリウムを含有する請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物の40質量%以上が水性成分である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記成分(c)の含有質量に対する、成分(a)と成分(b)との合計含有質量の割合[(a)+(b)]/(c)が、0.1〜12000である請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
  5. 前記組成物が、化粧料又は皮膚外用剤である請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物。
  6. ナイアシンアミドを使用する、次の成分(a)及び成分(b)を含有する組成物の変色を抑制する方法。
    (a)ジブチルヒドロキシトルエン
    (b)ビタミンE
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