JP2021109180A - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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和典 関
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貴大 窪川
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Abstract

【課題】竪ロールがフラットロールであるユニバーサル圧延機を含むような製造ラインにおいてH形鋼を製造する場合に、フランジ部に発生する形状不良を抑制・防止させ、安定的に寸法形状の良好なH形鋼製品を製造する。【解決手段】少なくとも2台以上のユニバーサル圧延機を用いるH形鋼の製造方法であって、2台以上の前記ユニバーサル圧延機の竪ロールはフラットロールであり、2台以上の前記ユニバーサル圧延機では、各ユニバーサル圧延機の水平ロール側面のフランジ勾配を変えることで、被圧延材のフランジ部のフランジ勾配を変えるユニバーサル圧延が行われ、当該フランジ勾配を変えるユニバーサル圧延は、被圧延材のフランジ平均圧下率rfmが以下の式(9)を満たす圧延条件で実施される。0.01+0.5LF{(1−0.01)γ0−γ1}/t0m≦rfm<rw+0.08 ・・・(9)【選択図】図5

Description

本発明は、H形鋼をユニバーサル圧延によって製造する製造方法に関する。
例えばH形鋼や軌条といった各種形鋼の製造は、一般的に孔型圧延法(カリバー法)やユニバーサル圧延法によって行われることが知られている。特に近年では、均質な変形が期待でき、材質の向上や寸法精度の高精度化が図れるといった観点から、中間ユニバーサル圧延機、エッジャー圧延機、仕上圧延機を備えた圧延機列によってユニバーサル圧延法が行われている。
ユニバーサル圧延法を用いたH形鋼の製造技術として、例えば特許文献1には、極厚H形鋼の圧延方法が開示されている。この特許文献1によれば、フランジ厚が100mmを超えるような広幅フランジの極厚H形鋼の製造において、フランジ肉量の不足や表面性状の問題を生じることなく効率的な製造が可能となる。
特許第4276581号
上述したように、特許文献1には、フランジ厚が極めて厚く、広幅フランジであるようなH形鋼製品を製造する際に適用される技術が開示されている。一方で、一般的な寸法のH形鋼製品やフランジ厚の薄いようなH形鋼製品を製造する場合に、フランジに生じる形状不良等を防止するような技術については十分な開示があるとはいえず、最適な製造条件については更なる検討の余地がある。
また、H形鋼を、ユニバーサル圧延機を含む連続圧延ラインで製造する場合に、ユニバーサル圧延機の竪ロールをフラットロールとするような構成を採用する場合がある。これは、竪ロールのパスライン調整を不要としてユニバーサル圧延機の構造を簡易化することができるといった利点からである。しかしながら、ユニバーサル圧延機の竪ロールをフラットロールとした場合、圧延条件によってはフランジ先端の未圧下等の形状不良が生じる恐れがある。ここで、竪ロールをフラットロールとする構成とは、竪ロールのロール周面と被圧延材進行方向とのなす角度が直角であるような構成をいう。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、竪ロールがフラットロールであるユニバーサル圧延機を含むような製造ラインにおいてH形鋼を製造する場合に、フランジ部に発生する形状不良を抑制・防止させ、安定的に寸法形状の良好なH形鋼製品を製造することができる技術を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも2台以上のユニバーサル圧延機を用いるH形鋼の製造方法であって、2台以上の前記ユニバーサル圧延機の竪ロールはフラットロールであり、2台以上の前記ユニバーサル圧延機では、各ユニバーサル圧延機の水平ロール側面のフランジ勾配を変えることで、被圧延材のフランジ部のフランジ勾配を変えるユニバーサル圧延が行われ、当該フランジ勾配を変えるユニバーサル圧延は、被圧延材のフランジ平均圧下率rfmが以下の式(9)を満たす圧延条件で実施されることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
0.01+0.5LF{(1−0.01)γ0−γ1}/t0m≦rfm<rw+0.08 ・・・(9)
但し、LF:フランジ片幅、γ0:前記ユニバーサル圧延前のフランジ部のフランジ勾配、γ1:前記ユニバーサル圧延を行うユニバーサル圧延機の水平ロール側面のフランジ勾配、t0m:前記ユニバーサル圧延前のフランジ平均厚み、rw:前記ユニバーサル圧延のウェブ圧下率、であり、フランジ勾配とは鉛直方向に対するフランジ傾斜角をφとした場合にtanφで表される値である。
2台以上の前記ユニバーサル圧延機におけるユニバーサル圧延は、1方向での1圧延機1パス圧延で行われても良い。
本発明によれば、竪ロールがフラットロールであるユニバーサル圧延機を含むような製造ラインにおいてH形鋼を製造する場合に、フランジ部に発生する形状不良を抑制・防止させ、安定的に寸法形状の良好なH形鋼製品を製造することができる。
H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。 中間圧延機列の構成の一例を示す概略説明図である。 中間ユニバーサル圧延機のロール構成についての概略説明図である。 エッジャー圧延機のロール構成についての概略説明図である。 任意のユニバーサル圧延機での被圧延材の圧延の様子を示す概略説明図である。 フランジ部の先端の未圧下(いわゆる角落ち)に関する概略説明図である。 ウェブ部の未圧下に関する概略説明図である。 表1及び表2の評価結果をまとめたグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、本明細書における「ユニバーサル圧延機」とは、形鋼圧延時に水平ロールと竪ロールを用いて大きな延伸を伴う圧延を行う圧延機を指し、「エッジャー圧延機」とはユニバーサル圧延機と併せて用いられ極めて軽圧下な圧延を行う圧延機を指すものとし、本明細書では、それら圧延機を「圧延スタンド」あるいは単に「スタンド」と呼称する場合もある。また、本実施の形態においては矩形断面素材から、粗圧延工程において左右対称である粗形材(後述する粗形材13、いわゆるドッグボーン材)を造形し、当該粗形材を用いて、H形鋼を製造する場合を例示して説明する。但し、本発明に係る技術は、このような粗形材に限らず、任意の被圧延材に対して適用可能であり、例えば、予め所定の略H形状に造形されたいわゆるビームブランク材等に適用できる。
(製造ラインの概要)
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含む、H形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、粗圧延機列4、中間圧延機列5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。また、本明細書では、被圧延材Aは圧延方向左右にフランジ部が位置するいわゆる「H姿勢」にて圧延造形されるものとして説明する。また、被圧延材Aの各圧延段階において、最終H形鋼製品のフランジに相当する部位をフランジ部12と呼称し、そのフランジ部12の一方をフランジ部12a、他方をフランジ部12bと呼称する場合がある。また、ウェブに相当する部分をウェブ部20と呼称する場合がある。
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブやブルームといった素材11である被圧延材Aが粗圧延機列4において粗圧延される。次いで、中間圧延機列5において中間ユニバーサル圧延される。通常の場合、粗圧延機列4には例えばブレイクダウンミルや粗圧延機等が複数スタンド配置され、それらスタンドのロールには、例えば合計で4〜6個程度の孔型が刻設されている。これら孔型を経由して数10パス程度のリバース圧延を行うことでドッグボーン形状のH形粗形材13が造形される。次いで、H形粗形材13に対し中間圧延機列5において所定の圧延が行われ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8での1方向1パス圧延の仕上圧延により最終製品形状となり、H形鋼製品16が製造される。
(中間圧延機列の構成の概要)
次に、図1に示した中間圧延機列5の構成の概要について説明する。図2は中間圧延機列5の構成の一例を示す概略説明図である。なお、図2に示す構成は一例であり、本発明における中間圧延機列5の構成はこれに限定されるものではない。
図2に示すように、中間圧延機列5は7基の中間ユニバーサル圧延機U1〜U7と、4基のエッジャー圧延機E1〜E4から構成されている。中間ユニバーサル圧延機U1〜U7は水平ロールでウェブ厚、竪ロールでフランジ厚を圧下し、最終的に略製品の厚みに圧延造形するユニバーサル圧延機である。また、エッジャー圧延機E1〜E4はユニバーサル圧延機で未圧下となるフランジ先端部を整形する補助的な役割を有する圧延機である。図示の構成では、上流から順にU1〜U7を配置した構成において、U1とU2の間にE1が配置され、U3とU4の間にE2が配置され、U5とU6の間にE3が配置され、U6とU7の間にE4が配置されている。このように構成される中間圧延機列5において被圧延材Aに対し1方向での1圧延機1パス圧延を施すことで中間材14は造形される。
(中間ユニバーサル圧延機の概略的な構成)
次に、図2に示した中間圧延機列5を構成する中間ユニバーサル圧延機U1〜U7について説明する。図3は中間ユニバーサル圧延機U1のロール構成についての概略説明図(正面断面図)であり、(a)がロール構成の概略、(b)が圧延時の断面概略を示している。図3に示すように、中間ユニバーサル圧延機U1には、上下一対の水平ロール21、22と、左右一対の竪ロール31、32が設けられている。水平ロール21、22は、そのロール周面が被圧延材Aのウェブ部20に当接可能に構成され、そのロール側面の一部がフランジ部12(12a、12b)の内面に当接可能に構成されている。また、図3に示すように、断面視において水平ロール21、22の側面は鉛直面ではなく、鉛直方向に対し所定の傾斜が付与された形状となっている。これは、水平ロール21、22の側面の摩耗に対して少ない旋削量でロール形状を復元(いわゆるロールの幅出し)できるようにするためである。本明細書では、水平ロール21、22の側面に付与された傾斜の鉛直方向に対する傾斜角をφとした場合のtanφで表される値を「フランジ勾配」と定義して説明する。
また、竪ロール31、32はフラットロールであり、そのロール周面は断面視において鉛直方向に沿った形状である(即ち、ロール周面と被圧延材の圧延方向とのなす角度が直角である)。この竪ロール31、32は、被圧延材Aのフランジ部12(12a、12b)の外面に当接可能に構成されている。図示の構成では、一方の竪ロール31の周面がフランジ部12aの外面に当接し、他方の竪ロール32の周面がフランジ部12bの外面に当接する構成となっている。なお、図3では、各ロールのロール軸や圧延機筐体等の構成は図示を省略している。
図3に示す中間ユニバーサル圧延機U1では、被圧延材Aのウェブ部20に対し、水平ロール21、22の周面が当接し、当該ウェブ部20の厚み方向に対して圧下が加えられる。また、被圧延材Aのフランジ部12(12a、12b)に対し、水平ロール21、22の側面の一部が当該フランジ部12(12a、12b)の内面に当接し、フランジ部12の内側面を押し広げるような、いわゆる内法拡幅が行われる。加えて、被圧延材Aのフランジ部12(12a、12b)に対し、水平ロール21、22の側面の一部が当該フランジ部12(12a、12b)の内面に当接し、竪ロール31、32の周面がフランジ部12(12a、12b)の外面に当接し、当該フランジ部12(12a、12b)の厚み方向に対して圧下が加えられる。このようにして、被圧延材Aのフランジ部12(12a、12b)及びウェブ部20が所定の厚みに圧下される。また、被圧延材Aのフランジ部12(12a、12b)の内面には、水平ロール21、22及び竪ロール31、32で圧延されることにより、水平ロール側面と同様の傾斜(フランジ勾配)が付与されることになる。
図3には、中間ユニバーサル圧延機U1の概略的構成を例として図示したが、中間圧延機列5に配置される7基の中間ユニバーサル圧延機U1〜U7はいずれも同じようなロール構成を有している。これら中間ユニバーサル圧延機U1〜U7では原則として1方向での1圧延機1パス圧延が行われ、後段の圧延機(圧延スタンド)に被圧延材Aは順次送られる。
(エッジャー圧延機の概略的な構成)
次に、エッジャー圧延機E1〜E4の概略的な構成について説明する。図4はエッジャー圧延機E1のロール構成についての概略説明図(正面断面図)である。図4に示すように、エッジャー圧延機E1には、上下一対の水平ロール41、42が設けられている。水平ロール41、42は、そのロール周面の一部が左右のフランジ部12(12a、12b)のフランジ幅方向先端部のみに当接可能に構成されている。
図4に示すエッジャー圧延機E1では、被圧延材Aの左右フランジ部12(12a、12b)の幅方向先端部のみに対し上下水平ロール41、42の周面が当接し、中間ユニバーサル圧延機U1〜U7で未圧下となるフランジ部12の先端部の整形が軽圧下によって行われる。図4には、エッジャー圧延機E1の概略的構成を例として図示したが、4基のエッジャー圧延機E1〜E4はいずれも同じようなロール構成を有している。このようなエッジャー圧延は、中間ユニバーサル圧延機U1〜U7からなる圧延機列の任意のスタンド間で1方向1パス圧延にて行われ、一例として、図2の構成ではU1とU2の間、U3とU4の間、U5とU6の間、U6とU7の間、でそれぞれ行われる。
(フランジ部先端の未圧下とその原因)
本発明者らは、上述したように構成されるユニバーサル圧延機(例えば中間ユニバーサル圧延機U1〜U7)を複数含むような製造ラインTにおいて被圧延材Aの圧延を行うプロセスについて分析を行った。中間圧延時に被圧延材Aを製品形状に近づけるために複数のスタンドにて厚みを順次小さくしていく場合に、水平ロール側面のフランジ勾配を、スタンドが下流に向かうにつれて小さくなるように圧延条件を設計することが一般的である。本発明者らは、このような圧延条件を設計する場合に、フランジ勾配を変化させる圧延ではフランジ先端に近づくほど圧下量が小さくなるため、フランジ部の未圧下(いわゆる角落ち)が生じる場合があり、特にフランジ厚が薄いH形鋼製品を製造する際、例えば、フランジ幅/フランジ厚が20以上となるような製品では、角落ちが顕著になることをつきとめ、その原因について鋭意検討を行った。以下、本検討について図面等を参照して説明する。
図5は本実施の形態に係る任意のユニバーサル圧延機(例えば中間ユニバーサル圧延機U1〜U7)での被圧延材Aの圧延の様子を示す概略説明図であり、説明のために片方のフランジ部12bの一部周辺を拡大して図示したものである。図5には、ある任意のユニバーサル圧延機における圧延前のフランジ部形状(破線)と、圧延後のフランジ部形状(実線)と、を示しており、図5において、上記図1〜4で説明した構成要素と同じものについては同一の符号を付す場合がある。また、被圧延材Aのフランジ内面50については、圧延前を50a(50)、圧延後を50b(50)として図示している。
スタンドが下流に向かうにつれて、ユニバーサル圧延機における水平ロール側面のフランジ勾配が小さくなるといった圧延条件においては、図5に示すように、被圧延材Aの圧延前のフランジ部形状と圧延後のフランジ部形状とは、フランジ内面50のフランジ勾配が異なっている。具体的には、圧延前のフランジ内面50aのフランジ勾配に比べ、圧延後のフランジ内面50bのフランジ勾配の方が小さくなる。
ここで、本発明者らは、竪ロールによる圧下量δと、フランジ部12の先端と水平ロール側面との距離に着目し、これら圧下量δとフランジ部12の先端と水平ロール側面との距離との関係によっては、被圧延材Aに形状不良が生じる場合があることを知見した。以下、本知見について数式等を用いて説明する。
図5に示すように、フランジ部12の片幅をLF、圧延前のフランジ部12先端とウェブ端から引いた垂線との距離をd0、圧延後のフランジ部12先端とウェブ端から引いた垂線との距離をd1とし、圧延前のフランジ勾配をγ0、圧延後のフランジ勾配をγ1とすると、以下の式(1)、(2)が成り立つ。ここで、フランジ部12の片幅LFは、フランジ全幅からウェブ厚を引いた値の1/2の値で定義される。
γ0=d0/LF ・・・(1)
γ1=d1/LF ・・・(2)
そして、フランジ外側面の圧下量δと、フランジ勾配γ0、γ1を用い、フランジ部12の先端に角落ちが生じない(圧延後のフランジ内側面が水平ロール側面と同一形状となる)と仮定した場合の、フランジ部12の先端の圧下量δtop、フランジ部12の平均圧下量δmは以下の式(3)、(4)で表される。
δtop=δ−LF(γ0−γ1) ・・・(3)
δm=δ−0.5LF(γ0−γ1) ・・・(4)
また、フランジ部12の平均厚みtmと、先端厚みttopには、幾何学的に以下の式(5)の関係がある。
ttop=tm−0.5LFγ ・・・(5)
なお、フランジ部12の平均圧下量δmや平均厚みtmは、フランジ部12の断面を台形形状とし、当該台形形状での圧下量や厚みの平均を幾何学的に算出したものである。
以上の式(1)〜(5)を参照し、フランジ部12の先端の圧下量δtopが負の値であるような圧延条件では、フランジ部12の先端の未圧下により形状不良(いわゆる角落ち)が発生する恐れがあると推定される。一方で、フランジ部12の圧下量が過大であり、ウェブ部20の圧下率が小さいといった圧延条件では、フランジ部12の圧下に伴う被圧延材Aの長手方向延伸によりウェブ部20の延伸も過大となり、それに伴うウェブ部20の減厚によりウェブ部20が未圧下になると推定される。
図6はフランジ部12の先端の未圧下(いわゆる角落ち)に関する概略説明図であり、図7はウェブ部20の未圧下に関する概略説明図である。図6に示すように、フランジ部12の先端の圧下量δtopが負の値であるような圧延条件では、フランジ部12の先端内面が上下水平ロールの側面に当接しない部位が存在し、フランジ先端未圧下部(いわゆる角落ち)60が形成されると考えられる。一方、図7に示すように、フランジ部12の圧下量が過大であり、ウェブ部20の圧下率が小さいといった圧延条件では、フランジ部12の延伸に伴うウェブ部20の延伸過多によりウェブ未圧下部62が形成されると考えられる。
(具体的な数値解析)
本発明者らは、図6、7を参照して説明したフランジ先端未圧下部60やウェブ未圧下部62が、圧延条件に応じて形成される場合があることを確認するため、具体的な条件を定めた数値解析による検討を行った。数値解析条件として、本実施の形態に係る所定のユニバーサル圧延機において、圧延後の狙い寸法が「ウェブ高400mm、フランジ全幅200mm、ウェブ厚8.2mm、平均フランジ厚12mm」である圧延パスと、圧延後の狙い寸法が「ウェブ高384mm、フランジ全幅150mm、ウェブ厚4.5mm、平均フランジ厚5.1mm」である圧延パスにおいて、圧延条件を変更し、そのときの圧延条件が被圧延材形状に及ぼす影響について検討を行った。圧延条件の変更にあたっては、圧延前の平均フランジ厚及びウェブ厚を複数の条件に設定した。
なお、以下の解析条件において、表中や明細書において各値の総称を符号で示す場合、ウェブ厚を符号tw、圧延後の平均フランジ厚をtfm、フランジ先端厚をttop、ウェブ圧下率をrw、フランジ平均圧下率をrfm、圧延前のフランジ先端厚をt0top、フランジ先端圧下量をδtop、フランジ先端圧下率をδtop/t0top、ウェブとフランジの圧下率差をrfm−rwとする。なお、フランジ平均圧下率rfmは、圧延前のフランジ平均厚みt0mとフランジ平均圧下量δmを用いて「rfm=δm/t0m」で算出される。
以下の表1は、圧延後の狙い寸法が「ウェブ高400mm、フランジ幅200mm、ウェブ厚8.2mm、平均フランジ厚12mm」である圧延パスにおいて、圧延前のウェブ厚が8.8mm、9.0mmのそれぞれの場合に、圧延前の平均フランジ厚を12.7mm〜14.1mmとした場合の解析検討条件及び評価結果である。評価結果としては「〇:形状良好、×:フランジ先端未圧下、△:ウェブ未圧下」とした。
Figure 2021109180
また、以下の表2は、圧延後の狙い寸法が「ウェブ高384mm、フランジ幅150mm、ウェブ厚4.5mm、平均フランジ厚5.1mm」である圧延パスにおいて、圧延前のウェブ厚が4.9mm、5.0mmのそれぞれの場合に、圧延前の平均フランジ厚を5.6mm〜6.4mmとした場合の解析検討条件及び評価結果である。評価結果としては「〇:形状良好、×:フランジ先端未圧下、△:ウェブ未圧下」とした。
Figure 2021109180
図8は、上記表1及び表2の評価結果をまとめたグラフである。図8に示すグラフに基づき、フランジ先端未圧下とウェブ未圧下の両方が発生せず、本実施の形態に係る所定のユニバーサル圧延機において良好な形状での圧延が実現できる条件として、以下の式(6)、(7)が規定される。
δtop/t0top≧0.01 ・・・(6)
rfm<rw+0.08 ・・・(7)
そして、上記式(6)を上記式(1)〜(5)に基づき変形すると以下の式(8)が導出される。
rfm≧0.01+0.5LF{(1−0.01)γ0−γ1}/t0m ・・・(8)
なお、
上記式(7)と式(8)をまとめると以下の式(9)が導出される。
0.01+0.5LF{(1−0.01)γ0−γ1}/t0m≦rfm<rw+0.08 ・・・(9)
以上のことから、フランジ平均圧下率rfmをこのように導出された式(9)を満たすような圧延条件でもってユニバーサル圧延を行うことで、フランジ先端未圧下とウェブ未圧下の両方を発生させることなく安定的に被圧延材Aの寸法形状を良好とするような圧延パスが実現される。
なお、ここで説明した式(9)を満たすような圧延条件は、本実施の形態に係る任意のユニバーサル圧延機(例えば中間ユニバーサル圧延機U1〜U7)の連続する2台(2スタンド)以上で圧延を行う場合に適用可能である。また、式(9)を満たすような圧延条件は、当該2台以上のユニバーサル圧延機が、それぞれの水平ロール側面のフランジ勾配が異なるような構成となっている場合に適用可能である。即ち、被圧延材Aのフランジ部12のフランジ勾配を変えるような圧延を2台以上のユニバーサル圧延機でもって行うような場合(図5参照)に有効に適用できる技術である。
(作用効果)
以上説明したように、2台以上の連続するユニバーサル圧延機において、各ユニバーサル圧延機の水平ロール側面のフランジ勾配を変えることで、被圧延材Aのフランジ部12のフランジ勾配を変えるような圧延を実施する場合に、上記式(9)に示す圧延条件を満たすようにユニバーサル圧延を行うことで、フランジ先端未圧下とウェブ未圧下の両方を発生させることなく安定的な圧延が実現される。これにより、寸法形状の良好なH形鋼製品を製造することが可能となる。
特に、フランジ部の薄いH形鋼製品を製造する場合には、上述した、いわゆる角落ちと呼ばれるフランジ部先端の未圧下による形状不良が顕在化するため、上記式(9)に示す圧延条件を満たすようなユニバーサル圧延を適用することが非常に有効である。
また、フランジ部の厚みが薄いほど、いわゆる角落ちと呼ばれるフランジ部先端の未圧下による形状不良が顕在化するため、上記式(9)に示す圧延条件を満たすような圧延パスは、複数のユニバーサル圧延機の後段において実施することが好ましい。例えば、本実施の形態に係る中間圧延機列5においては、連続するスタンドU5、U6においてユニバーサル圧延を行う場合に適用することが好ましい。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施の形態では、本発明技術を中間ユニバーサル圧延機U1〜U7の任意の連続する2スタンドに適用する場合を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。即ち、本発明技術はユニバーサル圧延機に全般的に適用可能であり、中間ユニバーサル圧延機U1〜U7に限らず、連続する2台以上のユニバーサル圧延機であれば適用可能である。また、中間圧延機列5を構成する任意の2スタンドに適用しても良く、全てのスタンドに適用しても良い。また、素材としては矩形断面のスラブやブルームのほか、連続鋳造されたビームブランクといった素材を使用して非対称H形鋼を製造する場合にも適用できる。
また、上記実施の形態では、中間圧延機列5として7基の中間ユニバーサル圧延機U1〜U7と、4基のエッジャー圧延機E1〜E4から構成される場合について図示し説明したが、圧延機列の構成は任意であり図示の構成に限定されるものではない。また、上記実施の形態では、中間圧延機列5の下流に仕上ユニバーサル圧延機8が配置されるような製造ラインTを図示し説明したが、必要に応じて仕上ユニバーサル圧延機8の無い製造ラインにてH形鋼製品を製造しても良い。
また、建築構造物や橋梁等の梁材に用いられるH形鋼製品として、左右フランジ厚みの異なる非対称H形鋼が知られている。このような非対称H形鋼を製造する場合には、上記実施の形態で説明したいわゆる角落ちといった形状不良は特に薄いフランジ部において顕著となる。本発明技術は、このような非対称H形鋼をユニバーサル圧延でもって製造する場合にも適用可能であり、特に薄側フランジ部の形状不良抑制に有効である。
本発明の実施例として、圧延後の狙い寸法が「ウェブ高384mm、フランジ幅150mm、ウェブ厚4.5mm、平均フランジ厚5.1mm」であるようなH形鋼製造ラインにおけるユニバーサル圧延の圧延条件を、前段圧延(前パス)での被圧延材形状を変えることで以下の4つの条件(実施例1、2及び比較例1、2)とし、当該ユニバーサル圧延後の被圧延材形状の評価を行った。以下の表3は4つの条件についてまとめたものである。なお、表3中において、フランジ先端未圧下とウェブ未圧下を「評価:×」とし、良好な形状である場合を「評価:〇」とした。
Figure 2021109180
表3に示すように、実施例1では、圧延前のウェブ厚4.9mm、平均フランジ厚5.8mmとし、実施例2では、圧延前のウェブ厚5.0mm、平均フランジ厚6.2mmとした。このような圧延条件下においては、フランジ平均圧下率rfmは上記実施の形態で説明した式(9)を満たす値となっている。実施例1、2の圧延条件でユニバーサル圧延を実施したところ、表3の通り、フランジ先端評価及びウェブ評価のいずれも良好な形状が得られた。
一方、比較例1では、圧延前のウェブ厚4.9mm、平均フランジ厚5.6mmとし、実施例2では、圧延前のウェブ厚4.9mm、平均フランジ厚6.2mmとした。このような圧延条件下においては、フランジ平均圧下率rfmは上記実施の形態で説明した式(9)を満たさない値となっている。比較例1、2の圧延条件でユニバーサル圧延を実施したところ、表3の通り、比較例1ではフランジ先端未圧下が生じ、比較例2ではウェブ未圧下が生じ、安定的に寸法形状の良好なH形鋼製品が製造できなかった。
本発明は、H形鋼をユニバーサル圧延によって製造する製造方法に適用できる。
1…圧延設備
2…加熱炉
4…粗圧延機列
5…中間圧延機列
8…仕上ユニバーサル圧延機
11…素材
12(12a、12b)…フランジ部
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…ウェブ部
21、22…(中間ユニバーサル圧延機の)水平ロール
31、32…(中間ユニバーサル圧延機の)竪ロール
41、42…(エッジャー圧延機の)水平ロール
50(50a、50b)…フランジ内面
60…フランジ先端未圧下部
62…ウェブ未圧下部
A…被圧延材
T…製造ライン

Claims (2)

  1. 少なくとも2台以上のユニバーサル圧延機を用いるH形鋼の製造方法であって、
    2台以上の前記ユニバーサル圧延機の竪ロールはフラットロールであり、
    2台以上の前記ユニバーサル圧延機では、各ユニバーサル圧延機の水平ロール側面のフランジ勾配を変えることで、被圧延材のフランジ部のフランジ勾配を変えるユニバーサル圧延が行われ、
    当該フランジ勾配を変えるユニバーサル圧延は、被圧延材のフランジ平均圧下率rfmが以下の式(9)を満たす圧延条件で実施されることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
    0.01+0.5LF{(1−0.01)γ0−γ1}/t0m≦rfm<rw+0.08 ・・・(9)
    但し、LF:フランジ片幅、γ0:前記ユニバーサル圧延前のフランジ部のフランジ勾配、γ1:前記ユニバーサル圧延を行うユニバーサル圧延機の水平ロール側面のフランジ勾配、t0m:前記ユニバーサル圧延前のフランジ平均厚み、rw:前記ユニバーサル圧延のウェブ圧下率、であり、フランジ勾配とは鉛直方向に対するフランジ傾斜角をφとした場合にtanφで表される値である。
  2. 2台以上の前記ユニバーサル圧延機におけるユニバーサル圧延は、1方向での1圧延機1パス圧延で行われることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
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