JP2021103849A - ゲート駆動回路 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、IGBTに代表される大電力半導体スイッチの駆動技術に関するものである。IGBT等の半導体スイッチは数100〜数1000Aの大電流、数100〜1000V以上の高電圧をスイッチングするため、IGBT等半導体スイッチが破壊してしまうと、その影響は大きく、半導体スイッチの周囲にまで及ぶ。すなわち、IGBTそのものだけでなくその周辺の制御回路も破壊され、システム回路全体の故障を引き起こす恐れがある。
そこで、これらIGBT等の半導体スイッチを破壊から保護するため、いろいろな保護手段が採用されてきた。半導体は、電流、電圧、電力、温度に対して最大定格が決められており、これらの最大定格値を一瞬でも超えると、その半導体スイッチが破損する可能性がある。
本発明は、IGBT等の半導体スイッチの最大定格の内、コレクタ−エミッタ間電圧を最大定格値以内で使用するための技術に関するものである。
IGBT等の半導体スイッチがON/OFFを繰り返している場合において、IGBTが飽和状態のとき、そのコレクタ端子に流れる電流は、IGBTのコレクタ端子に接続した配線や負荷のインダクタンス成分に電磁エネルギーを蓄積する。その後、IGBTがターンオフすると、蓄積された電磁エネルギーはサージ電圧としてIGBTのコレクタ−エミッタ間に発生する。このサージ電圧ESは、配線や負荷のインダクタンス成分をLとし、コレクタ端子に流れる電流をI(t)としたとき、下記の式(1A)で表される。
サージ電圧ESは、インダクタンス成分の値が大きいほど、また、電流の変化率が大きいほど高い電圧となる。このサージ電圧ESの電圧が、IGBTの最大定格を超えると、IGBTを破壊する。そこで、サージ電圧ESを最大定格未満に抑え込むために、サージ電圧ESが最大定格を超える前に、サージ電圧ESを低減する措置を講じる必要がある。
図6に示すスナバ回路14は、サージ電圧ESの一部をダイオードDSを介してコンデンサCSに蓄えて、抵抗RSにより熱に変換して消費し、サージ電圧ESを低減する一般的な回路である。
この方法は、IGBT10のコレクタ−エミッタ間電圧が定電圧ダイオードDZのツェナー電圧を超えたとき、定電圧ダイオードDZが導通して、その導通電流が制限抵抗RZを通じてIGBT10のゲート端子に流入させる方法である。これによって、IGBT10のターンオフ動作を緩和する効果が得られる。
ターンオフ動作が緩和されると、コレクタ電流の減少率が低下して、上記式(1)に従って、サージ電圧ESが低下方向に向かう。また、定電圧ダイオードDZが導通することでコレクタ−エミッタ間電圧がクランプされて、定電圧ダイオードDZのツェナー電圧以上にならない。これらの効果を合わせることで、IGBT10のコレクタ−エミッタ間電圧を最大定格以内で使用することができるものである。
例えば、後述する特許文献1(特許第4230190号公報)には、従来のアクティブクランプ回路が開示されている。特に複数の定電圧素子を直列に接続して保護回路を構成する場合に、いずれかの定電圧素子に短絡故障が発生したことを検出する技術が開示されている。
図6のスナバ回路を使用する方法では、発生するサージ電圧ESのエネルギーはそのままで減少することはなく、スナバ回路内で(つまり抵抗RSで)消費されるので、スナバ回路の抵抗RSの発熱が問題となる可能性がある。また、スナバ回路のダイードDSにはIGBTのON/OFFに伴い急峻な電流が流れる。そのため、ダイオードDSがノイズの発生源にもなる可能性がある。
前記第nスイッチは、前記第nのスイッチ開信号を受信すると、導通状態から非導通状態となることによって、前記電力半導体素子のゲート電荷を引き抜くための抵抗値を上げて、前記電力半導体素子のターンオフを緩和しつつゲート電荷を引き抜くことを特徴とするゲート駆動回路である。
1.実施形態1
図1には、本実施形態にかかるゲート駆動回路100の特徴的な構成を示す回路図が示されている。本実施形態にかかるゲート駆動回路100は、予測型アクティブクランプ回路102を備えることを特徴とする。ゲート駆動回路100には、その他、ゲートを駆動するためのドライバ半導体素子や電源回路等が含まれてよいが、それらの構成は従来と同様であるので図1では省略して図示されていない。
負荷ZL104は、IGBT106が駆動する負荷で、電力ラインと、IGBT106のコレクタ端子との間に設けられている。IGBT106は、ゲート駆動回路100の駆動対象であるIGBT106であり、そのゲート端子には、ゲート駆動回路100からの制御信号が供給されている。なお、負荷ZL104及び(駆動対象である)IGBT106は、ゲート駆動回路100の構成には含まれない。
ここで、IGBTは、請求の範囲の電力半導体素子の好適な一例に相当する。
なお、定電圧ダイオードZD1は、定電圧特性を示す理想定電圧ダイオードVZと、その両端子間に存在する並列容量CZによって、図1に示すような等価回路で表すことができる。
ここで、予測型アクティブクランプ回路102は、請求の範囲のアクティブクランプ回路の好適な一例に相当する。また、定電圧ダイオードZD1は、請求の範囲の定電圧ダイオードの好適な一例に相当する。定電圧ダイオードZD1の上記並列容量CZには、請求の範囲の並列容量の好適な一例に相当する。本実施形態では、部品コストや実装面積を考慮して寄生する並列容量CZを用いたが、定電圧ダイオードVZと並列に別途コンデンサを接続してもよい。後述する図4の並列容量CZにおいても同様である。この場合のコンデンサも、請求の範囲の並列容量の好適な一例に相当する。
また、インピーダンス回路Z1は、請求の範囲のインピーダンス回路の好適な一例に相当する。出力端子102a(及び後述する202a、302a)は、請求の範囲の出力端子の好適な一例に相当する。
スイッチSW1と、抵抗R1との直列回路が、IGBT106のゲート端子と、マイナス電源Veeとの間に接続されている。スイッチSW1が閉(ON)にされると抵抗R1がマイナス電源Veeに接続されてIGBT106のゲート電荷を放電する。
このスイッチSW1と抵抗R1との直列回路は、請求の範囲の第1引き抜き回路の好適な一例に相当する。スイッチSW1は、請求の範囲の第1スイッチの好適な一例に相当する。抵抗R1は、請求の範囲の第1抵抗の好適な一例に相当する。
同様に、スイッチSW2と、抵抗R2との直列回路が、IGBT106のゲート端子と、マイナス電源Veeとの間に接続されている。スイッチSW2が閉(ON)すると抵抗R2がマイナス電源Veeに接続されてIGBT106のゲート電荷を放電する。
このスイッチSW2と抵抗R2との直列回路は、請求の範囲の第2引き抜き回路の好適な一例に相当する。スイッチSW2は、請求の範囲の第2スイッチの好適な一例に相当する。抵抗R2は、請求の範囲の第2抵抗の好適な一例に相当する。
また、図1において、インピーダンス回路Z2は、IGBT106のゲートの終端インピーダンス回路である。
抵抗R4とインピーダンス回路Z1との接続点には、ダイオードD2のアノード端子が接続されている。そして、ダイオードD2のカソード端子は、出力端子102に接続している。つまり、抵抗R1の、スイッチSW1とは反対側の端子は、ダイオードD2のアノード端子に接続している。同様に、抵抗R2の、スイッチSW2とは反対側の端子も、ダイオードD2のアノード端子に接続している(図1参照)。このダイオードD2も、ダイオードD1と同様に、電流の逆流を防止するダイオードである。
定電圧ダイオードZD1のアノード端子と、インピーダンス回路Z1との間に接続されている抵抗R4は、制限抵抗であり、IGBT106のコレクタ電圧が上昇して、定電圧ダイオードZD1が導通した時にIGBT106のゲート端子に流入する電流を制限するものである。
ここで、検出回路DET2は、請求の範囲の検出回路の好適な一例に相当する。SW2開信号は、請求の範囲のスイッチ開信号の好適な一例に相当する。
このようにして、IGBT106のゲート電荷が引き抜かれると、IGBT106はターンオフしようとする。その結果、IGBT106のコレクタ電流は急激に減少して、IGBT106のコレクタ電圧は、後述する式(3)に従って上昇を開始する。IGBT106の負荷ZLが一定の値であれば、IGBT106のコレクタ電圧の上昇率は、コレクタ電流の減少率に大略比例すると考えられる。
図2に示すように、定電圧ダイオードZD1は、非道通状態では図2に示すように、コンデンサCZで近似することができる。また、抵抗R4が十分小さい値である場合は、これを省略することができる。また、インピーダンス回路Z1は、上述したように、抵抗RdとコンデンサCdとの並列回路で近似することができる。
と、インピーダンス回路Z1の端子間電圧V1との関係は、次の式(2)で表される。
ここで、tは時間を表す。さて、t≪Rd(CZ+Cd)の場合は、V1はほぼ「0」と等しくなり、検出回路DET2は動作しない。検出回路DET2の閾値は正の電圧値であるので、ほぼ0Vの電圧は閾値を超えないからである。すなわち、Rd(CZ+Cd)の値を調整することにより、パルス幅の短いノイズを除去できることを意味する。つまり、t≫Rd(CZ+Cd)の時間帯においては、端子間電圧V1は、下記の式(3A)で表され、インピーダンス回路Z1の端子間電圧V1は、コレクタ電圧VCE(t)の上昇率に比例する値となる。
インピーダンス回路Z1の端子間電圧V1の値が高いことは、IGBT106のコレクタ電流の減少率が大きいことを意味する。すなわち、IGBT106のゲート電荷の引き抜き量が大きすぎることを意味する。
予め求めておくことができる。本実施形態1において特徴的なことは、この予測値を、端子間電圧V1の限界値として検出回路DET2の閾値にあらかじめ設定しておくことである。
このように閾値を検出回路DET2に設定しておけば、限界値に達した時、検出回路DET2が動作して(端子間電圧V1が閾値を超えたことを検出して)、SW開信号を出力する。スイッチSW2は、そのSW開信号を受信して、開(OFF)となり、IGBT106のゲート電荷の引き抜き抵抗の値を(R1R2/(R1+R2))からR1にすることができる。つまり、引き抜き抵抗の値を高くすることができる。
なお、図1に示す例では、抵抗R1と抵抗R1とが等価的にみて並列接続されるが、直列接続するように構成してもよい。この場合、直列に接続された抵抗R1、R2の抵抗直列回路の一方端を出力端子102aに接続し、他方端とVeeとの間にスイッチSW1を接続し、抵抗R1とR2の接続点と、Veeと、の間にスイッチSW2を接続し、スイッチの切り替えによって合成抵抗値を調整できるように構成してもよい。
このようにインピーダンス回路Z1の端子間電圧V1の限界値を適正に選定することで、サージ電圧により定電圧ダイオードZD1が導通することなく、IGBT106を保護できる。仮に、定電圧ダイオードZD1が導通したとしても定電圧ダイオードZD1の導通電流値や時間幅を少なくすることができるので定電圧ダイオードZD1の発熱を抑えることができる。さらに、IGBT106のコレクタ電圧VCE(t)の急峻な上昇やIGBT106のコレクタ電流の急峻な減少を事前に緩和できることから、それらに伴うノイズの低減にも効果を発揮する。
実施形態2では、検出回路DETを2個設けた例を説明する。
上記実施形態1では、検出回路DET2を設けて、ゲート電荷引き抜き用の抵抗値を変化させる例を説明した。この検出回路DETは、閾値を異ならせた複数の検出回路DETを設ければより精密な制御が可能となると考えられる。
そこで、本実施形態2では、上記実施形態1で説明した図1の検出回路DET2に加えて、検出回路DET3を設けた回路例を説明する。図3には、このように検出回路DET2、検出回路DET3を備えた回路が示されている。
この図3に示した回路例は、具体的には、実施形態1において説明した図1の回路に、検出回路DET3と、スイッチSW3と、抵抗R3と、が加えられた構成であり、その他の構成は図1と全く同様である。
スイッチSW3と、抵抗R3との直列回路が、IGBT106のゲート端子と、マイナス電源Veeとの間に接続されている。スイッチSW3が閉(ON)にされると抵抗R3がマイナス電源Veeに接続されてIGBT106のゲート電荷を放電する。この動作そのものは、これまで説明したスイッチSW1、2と同様である。
抵抗R3は、ゲート電荷を放電するための抵抗であり、抵抗R1、R2と同様の趣旨の抵抗である。
スイッチSW3と、抵抗R3との直列回路は、請求の範囲の第n引き抜き回路の好適な一例に相当する(n=3の場合)。スイッチSW3は、請求の範囲の第nスイッチ(n=3の場合)の好適な一例に相当する。抵抗R3は、請求の範囲の第n抵抗(n=3の場合)の好適な一例に相当する
この検出回路DET3も、上記インピーダンス回路Z1の端子間電圧V1を検出して、予め設定されている閾値を超える場合は、SW開信号を出力する。スイッチSW3は、スイッチSW3を開状態とする指示であるSW3開信号を受信すると、開状態となり、抵抗R3をマイナス電源Veeから切り離す。このように検出回路DET3は、閾値が異なることを除き、検出回路DET2と同様の回路である。
この検出回路DET3は、請求の範囲の第n検出回路の好適な一例に相当する(n=3の場合)。SW3開信号は、請求の範囲の第nのスイッチ開信号の好適な一例に相当する。
この状態では、IGBT106のゲート電荷が、抵抗R1と抵抗R2と抵抗R3の合成抵抗値(1/((1/R1)+(1/R2)+(1/R3)))を通じて引き抜かれる。この合成抵抗値の式において、R1、R2、R3は、それぞれ抵抗R1の抵抗値、抵抗R2の抵抗値、抵抗R3の抵抗値、を表すものとする。
このとき、最大定格値を超えてしまうことを防止するために、予測した端子間電圧V1の値より小さい閾値を検出回路DET2に設定しておくことが好ましい。
一方、コレクタ電圧VCE(t)の電圧上昇率が高い場合は、より一層ゲート電荷引き抜き用抵抗の値を大きくする必要がある可能性もある。
本実施形態2では、このように、検出回路DET2には少し小さい閾値を設定し、早めに抵抗R2を切り離して、ゲート電荷引き抜き用の抵抗の値を早めに大きくしている。
さらに、検出回路DET3には、少し大きい閾値を設定し、コレクタ電圧VCE(t)の電圧上昇率が非常に高い場合は、抵抗R2に加えて抵抗R3も切り離している。その結果、ゲート電荷引き抜き用の抵抗はR1だけとなり、より一層ゲート電荷引き抜き用抵抗の値を大きくすることができる。
なお、図3に示す例では、抵抗R1と、R2と、R3とが等価的にみて並列接続されるが、それらを直列接続するように構成してもよい。この場合、直列に接続された抵抗R1、R2、R3の抵抗直列回路の一方端を出力端子202aに接続し、他方端とVeeとの間にスイッチSW1を接続し、抵抗R1とR2の接続点と、Veeと、の間にスイッチSW2を接続し、抵抗R2とR3の接続点と、Veeとの間にスイッチSW3を接続し、スイッチの切り替えによって合成抵抗値を調整できるように構成してもよい。
図4には、具体的な予測型アクティブクランプ回路302を含むゲート駆動回路300の回路図が示されている。実際のゲート駆動回路300は、図4の予測型アクティブクランプ回路302以外にも、電源回路や、ドライバ素子等、種々の回路が含まれている。
図1、図3と同様に、アクティブクランプ回路302は、実線で囲まれた部分であり、その出力端子302aには、駆動対象であるIGBT106のゲート端子が接続されている。また、負荷104は、図1、図3と同様に、IGBT106と電力ラインとの間に接続され、IGBT106によって電力供給が制御されている。アクティブクランプ回路302は、検出端子302bが設けられており、この検出端子302bは、IGBT106のコレクタ端子に接続する。
アクティブクランプ回路300には、3種類の入力端子IN1、IN2、IN3が設けられている。
入力端子IN1(及びIN2、IN3)には、外部の制御回路から開閉信号が入力される。入力端子IN1(及びIN2、IN3)に入力する開閉信号がlowの場合、トランジスタQ4がON作動して、IGBT106はON作動する。そして、入力端子IN2、IN3(及びIN1)に入力する開閉信号がhighの場合、トランジスタQ2、Q3がON作動して、IGBT106がOFF作動する。
トランジスタQ4は、ゲート駆動回路300のハイサイドスイッチであるが、上述した図1、図3では省略して図示されていない。
すなわち、抵抗R4の端子間の電圧がスレッシュホールド電圧VQ1THに達すると、トランジスタQ1がON作動する。トランジスタQ1がON作動すると、次に、トランジスタQ2はOFF作動する。つまり、スイッチSW2に相当するスイッチがOFF(非道通)になる。したがって、IGBT106のゲート電荷を引き抜く回路が、抵抗R6とトランジスタQ3との直列回路だけになるので、電荷の引き抜きが穏やかになり、IGBT106のコレクタ端子に発生するサージ電圧を小さくすることができる。
・ゲート電荷引き抜き用の抵抗値の合成抵抗値が増大し、IGBT106のゲート電荷引き抜き量が減少して、式(3A)に従ってサージ電圧が低減する。
・定電圧ダイオードZD1の発熱を抑えることができる。
・コレクタ電流の急峻な減少を緩和できるので、それに伴うノイズの低減を図ることができる。
等を意味する。
また、従来のアクティブクランプ回路方式の効果とは、
・サージ電圧の低減
である。抵抗R3の値を大きくすれば、コレクタ電圧VCE(t)の検出感度が下がるので、相対的に、従来のアクティブクランプ回路方式の効果の方が大きくなる。逆に、抵抗R3の値を小さくすれば、コレクタ電圧VCE(t)の検出感度が上がるので、本実施形態における特徴的な効果(新規な効果)が従来の効果より相対的により大きく得られる。
IGBT106のコレクタ電圧VCE(t)の上昇率は下記式(3B)であらわされる。
したがって、図4の本実施例のパラメータで表現すると、下記式(4)のように表される。
ここで、Rtは、以下の式(5)で表される。
Rt = R1 + R3 + R4 (5)
開閉信号は、これまで説明したとおり、外部の制御回路から出力される信号であり、スイッチSW1、スイッチSW2を開閉させる信号である。開閉信号は、図4の入力端子IN2、IN3、及びIN1に供給される。
SW1は、スイッチSW1の開閉状況を示す信号であり、lowであれば開状態(非導通)状態を表し、highが導通状態を表す。SW2も同様に、スイッチSW1の開閉状況を示す信号であり、lowであれば開状態(非導通)状態を表し、highが導通状態を表す。
Vgeは、IGBT106のゲート電圧を表す。また、VCEは、IGBT106のコレクタ電圧VCE(t)を表す。また、Icは、IGBT106のコレクタ電流を表す。
スイッチSW1及びSW2がゲート電荷を引き抜くので、IGBTは非導通状態に移行を始める。その結果、コレクタ電圧VCEは上昇を開始する。図5のグラフでは、この上昇の傾きを「傾き1」と表している。
本実施例では、傾き1を観測することによって、ノイズや発熱が生じると予測されるタイミングで、トランジスタQ1(図1の検出回路DET2に相当)がON動作する。
これまで説明してきたように、この傾き1が大きければ、トランジスタQ1がON動作するタイミングは早くなり、傾き1が小さければ、トランジスタQ1がON動作するタイミングは遅くなる。
その後、ゲート電荷が引き抜かれると、IGBT106がOFF動作になり、非導通状態に向かう。その際、コレクタ電圧VCEは、クランプ回路である定電圧ダイオードZD1によってクランプされているので、サージ電圧等を抑制することができる。図5中、ZZD1導通期間として示される期間は、定電圧ダイオードZD1が導通してサージ電圧等が抑制されている期間である。この期間は、定電圧ダイオードZD1が導通しているのでそれによって、出力端子102aの制御信号が、定電圧ダイオードZD1の導通により上昇する。これによってサージ電圧等が抑制される。
定電圧ダイオードZD1が非道通状態となると、検出回路DET2が閾値を越える電圧を検出しなくなるので、スイッチSW2も閉状態(導通状態)に復帰する。
以上のような動作を実行する。これによって、図4の回路によれば、IGBT106のコレクタ電圧VCE(t)の急峻な上昇やIGBT106のコレクタ電流の急峻な減少を緩和することができる。また、定電圧ダイオードZD1の導通時間を短くなるので定電圧ダイオードZD1の発熱を抑制することができる。また、それらに伴うノイズの低減を図ることができる。
以上説明したように、本実施形態におけるゲート駆動回路は、アクティブクランプ回路を利用しながら、コレクタ電圧の急峻な変化を観測することにより、サージ電圧の発生を予測して、ゲート電荷を引き抜くための抵抗値を変化させている(抵抗値を上げている)ので、サージ電圧の抑制を図れると共に、アクティブクランプ回路中の定電圧ダイオードの発熱を抑制することができる。また、IGBTのコレクタ電圧の急峻な上昇、コレクタ電流の急峻な減少も緩和することができる。それらの結果、ノイズの低減を図ることができる。
12、ZL104 負荷
14 スナバ回路
16 アクティブクランプ回路
100、200 ゲート駆動回路
102、202、302 予測型アクティブクランプ回路
102a、202a、302a 出力端子
102b、202b、302b 検出端子
Cd コンデンサ
CS コンデンサ
Cz 並列容量
DS ダイオード
DZ 定電圧ダイオード
DET2、DET3 検出回路
R1、R2、R3 抵抗
Rd 抵抗
RS 抵抗
RZ 制限抵抗
SW1、SW2、SW3 スイッチ
VZ 理想定電圧ダイオード
Z1、Z2 インピーダンス回路
ZD1 定電圧ダイオード
Claims (4)
- 電力半導体素子を駆動するゲート駆動回路であって、
前記電力半導体素子がターンオフする際、前記電力半導体素子のコレクタ−エミッタ間電圧が所定の電圧に到達した場合、前記電力半導体素子のコレクタ−エミッタ間電圧を前記所定の電圧でクランプするとともに、前記電力半導体素子のゲート端子に所定の電流を供給するアクティブクランプ回路、
を備え、前記アクティブクランプ回路は、
前記電力半導体素子のコレクタ端子に一方端が接続される定電圧ダイオードと、
前記定電圧ダイオードの他方端と、マイナス電源との間に接続されたインピーダンス回路と、
前記定電圧ダイオードと前記インピーダンス回路との接続点に接続し、前記電力半導体素子の前記ゲート端子に接続される出力端子と、
一方端が前記定電圧ダイオードと前記インピーダンス回路との接続点に接続し、他方端がマイナス電源に接続し、前記電力半導体素子がターンオフする際、外部からの開閉信号に基づき、前記前記電力半導体素子のゲート端子から電荷を引き抜くための第1スイッチと第1抵抗との直列回路からなる第1引き抜き回路と、
一方端が前記定電圧ダイオードと前記インピーダンス回路との接続点に接続し、他方端がマイナス電源に接続し、前記電力半導体素子がターンオフする際、前記開閉信号に基づき、前記電力半導体素子のゲート端子から電荷を引き抜くための第2スイッチと第2抵抗との直列回路からなる第2引き抜き回路と、
前記定電圧ダイオードと前記インピーダンス回路との接続点の電圧に基づき、前記電力半導体素子のコレクタ電圧の変化率を求め、前記変化率が所定の閾値を超えた場合に、スイッチ開信号を出力する検出回路と、
を有し、
前記第2スイッチは、前記スイッチ開信号を受信すると、導通状態から非導通状態となることによって、前記電力半導体素子のゲート電荷を引き抜くための抵抗値を上げて、前記電力半導体素子のターンオフを緩和しつつゲート電荷を引き抜くことを特徴とするゲート駆動回路。 - 請求項1記載のゲート駆動回路であって、
前記アクティブクランプ回路は、
前記電力半導体スイッチング素子をターンオフするときに発生するサージ電圧が、前記電力半導体スイッチング素子IGBTのコレクタ−エミッタ間電圧の最大定格電圧に又はその近傍電圧となったとき、その電圧でコレクタ−エミッタ間電圧をクランプし、また同時に自信のゲートに電流を供給することでサージ電圧を低減し、電圧破壊を防止するアクティブアクテイブクランプ回路であることを特徴とするゲート駆動回路。 - 請求項1又は2記載のゲート駆動回路であって、
前記定電圧ダイオードは、前記定電圧ダイオードに寄生する並列容量を有し、
前記インピーダンス回路は、少なくとも抵抗とコンデンサの並列回路を含むことを特徴とするゲート駆動回路。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のゲート駆動回路であって、
第2引き抜き回路から、第n引き抜き回路までのn−1種類の第n引き抜き回路と、
第2検出回路から、第n検出回路までのn−1種類の第n検出回路と、
を備え、前記nは3以上の自然数であり、
前記第n引き抜き回路は、前記定電圧ダイオードと前記インピーダンス回路との接続点に接続し、前記電力半導体素子がターンオフする際、前記開閉信号に基づき、前記電力半導体素子のゲート端子から電荷を引き抜くための第nスイッチと第n抵抗との直列回路からなり、
前記第n検出回路は、前記定電圧ダイオードと前記インピーダンス回路との接続点の電圧に基づき、前記電力半導体素子のコレクタ電圧の変化率を求め、前記変化率が所定の第nの閾値を超えた場合に、第nのスイッチ開信号を出力し、
前記第nスイッチは、前記第nのスイッチ開信号を受信すると、導通状態から非導通状態となることによって、前記電力半導体素子のゲート電荷を引き抜くための抵抗値を上げて、前記電力半導体素子のターンオフを緩和しつつゲート電荷を引き抜くことを特徴とするゲート駆動回路。
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