JP2021102731A - フルオロポリマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フルオロポリマーの新規な製造方法を提供する。【解決手段】開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレンを重合してテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、前記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、フルオロポリマーの製造方法に関する。
フルオロポリマーの製造方法としては、乳化重合や溶液重合が採用されている。
例えば、特許文献1には、式:CFClO(CF−CF(CF)O)(CFO)CFCOOH(式中、n/m=10であり、600の平均分子量を有する)の酸性末端基を有するパーフルオロポリオキシアルキレンと、n/m=20の、450の平均分子量を有する式:CFO(CFCF(CF)O)(CFO)CFのパーフルオロポリエーテルとを混合することによって予め得られたマイクロエマルション、及び、連鎖移動剤としてのO−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネートの存在下に、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを重合したことが記載されている。
ところで、特許文献2には、エチレン性不飽和単量体の少なくとも1種と、遊離ラジカル源の少なくとも1種と、特定構造の化合物を接触させることを特徴とする重合体の製造方法が記載されています。特許文献3には、キサンテート、ジチオカルバメート、チオエーテルチオン及びリンを含むキサンテートから選択される少なくとも1つの制御剤等を含むミニエマルジョンの調製、及び、フリーラジカル源の存在下で行う前記ミニエマルジョンの反応、を含むポリマーの製造方法が記載されている。
特表2017−515948号公報 特表2003−501528号公報 米国特許第7317050号明細書
本開示は、フルオロポリマーの新規な製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレンを重合してテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、前記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第1の製造方法」と記載することもある。また、本明細書中、単に「本開示の製造方法」と記載する場合「本開示の第1の製造方法」を意味する。)に関する。
上記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含むことが好ましい。
上記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、更に、テトラフルオロエチレン以外のモノマーに基づく重合単位を含んでもよい。
上記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、下記一般式(1)で示されるモノマー、及び、下記一般式(2)で示されるモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(1):
CF=CR
(式中、Rは、H又はF;Rは−Cl、−CF、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、−Rf、−ORf;R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基又は含フッ素ビニル基;Rfは、含フッ素アルキル基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
一般式(2):
CH=CR
(式中、Rは、R、−CFまたはF;Rは−Cl、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、Rf;R及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基;R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基又は含フッ素アルコキシ基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
上記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記連鎖移動剤は、キサンテート化合物であることが好ましい。
上記重合工程において、水性媒体に対する上記連鎖移動剤の濃度が0.1×10−3〜0.01モル/Lであることが好ましい。
上記界面活性剤は、炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まないことが好ましい。
本開示はまた、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表されることを特徴とするフルオロポリマーでもある。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
上記式中、Afは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含むことが好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Bf−CRP
(式中、Bfは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなるフルオロポリマーセグメントである。CRPは、上記と同じ。)で表されるものであることが好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、分子量が3000以上であることが好ましい。
本開示によれば、フルオロポリマーの新規な製造方法を提供することができる。
本開示を具体的に説明する前に、本明細書で使用するいくつかの用語を定義又は説明する。
本明細書において、フッ素樹脂とは、部分結晶性フルオロポリマーであり、フルオロプラスチックスである。フッ素樹脂は、融点を有し、熱可塑性を有するが、溶融加工性であっても、非溶融加工性であってもよい。
本明細書において、溶融加工性とは、押出機及び射出成形機等の従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01〜500g/10分であることが通常である。
本明細書において、パーフルオロモノマーとは、分子中に炭素原子−水素原子結合を含まないモノマーである。上記パーフルオロモノマーは、炭素原子及びフッ素原子の他、炭素原子に結合しているフッ素原子のいくつかが塩素原子で置換されたモノマーであってもよく、炭素原子の他、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、燐原子、硼素原子又は珪素原子を有するものであってもよい。上記パーフルオロモノマーとしては、全ての水素原子がフッ素原子に置換されたモノマーであることが好ましい。上記パーフルオロモノマーには、架橋部位を与えるモノマーは含まれない。
架橋部位を与えるモノマーとは、硬化剤により架橋を形成するための架橋部位をフルオロポリマーに与える架橋性基を有するモノマー(キュアサイトモノマー)である。
本明細書において、フルオロポリマーを構成する各モノマーの含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
本明細書において、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO−、
RaCO−、
RaSO−、
RaCOO−、
RaNRaCO−、
RaCONRa−、
RaOCO−、
RaOSO−、及び、
RaNRbSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、H又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
また、本明細書において、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、及び、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられ、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されたものであってもよい。
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6〜12、好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセチルアミノフェニル基、4−メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜10の5〜6員へテロ環、例えば2−テトラヒドロフリル基、2−ピリミジル基等が挙げられる。
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3−ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜8のアシルアミノ基、総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(t)−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、へテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2〜5のアルキルカルバモイル基、例えばN−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1〜6、好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル等が挙げられる。
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6〜10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは総炭素原子数2〜8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2−ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4−ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
上記芳香族アミノ基、へテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1〜8、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
本明細書においては更に、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98等が含まれる)。
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100等)。
次に、本開示を具体的に説明する。
本開示の製造方法は、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン[TFE]を重合してTFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、上記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本開示の製造方法は、開始剤、特定の連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、TFEを重合することによって、TFEに基づく重合単位が80モル%超とTFEの割合が多い場合であっても重合することが可能である。上記重合は、いわゆる乳化重合である。
本開示の製造方法は、上記構成を有することによって、TFEに基づく重合単位が80モル%を超える場合であっても、フルオロポリマーを効率よく製造することができる。
TFEに基づく重合単位が多いフルオロポリマーを重合する場合、分子量が低下するため、一般的に連鎖移動剤を使用しない。本開示の製造方法は、TFEに基づく重合単位が多いフルオロポリマーを重合する場合であっても、意外なことに効率よく重合が進行することを見出し完成したものである。
上記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。上記連鎖移動剤としては、ジチオカルバメート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、キサンテート化合物がより好ましい。
上記連鎖移動剤として具体的には式(c1−1)で表されるジチオエステル、式(c1−2)又は式(c1−2’)で表されるトリチオカーボネート、式(c1−3)で表されるジチオカルバメート、式(c1−4)で表されるキサンテートが挙げられる。
Figure 2021102731
式(c1−1)〜(c1−4)中、Zc1はアリール基又はアルキル基であり、例えばフェニル基、シアノフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、エチル基等の炭素数1〜15のアルキル基である。Zc2はアリール基又はアルキル基であり、例えばドデシル基等の炭素数1〜15のアルキル基である。Zc3及びZc4はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であり、例えばメチル基等の炭素数1〜15のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基である。Zc3及びZc4は相互に結合して式(c1−3)中のN原子とともにピロール環、ピロリドン環等の複素環を形成してもよい。Zc5はアリール基又はアルキル基であり、例えばエチル基、トリフルオロエチル基等の炭素数1〜15のアルキル基、フェニル基、パーフルオロフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基である。
c5において、アリール基はフェニル基、シアノフェニル基又はパーフルオロフェニル基が好ましく、フェニル基又はパーフルオロフェニル基がより好ましい。
上記Zc5において、アルキル基はメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基、又はトリフルオロエチル基が好ましく、メチル基、エチル基又はトリフルオロエチル基がより好ましい。
式(c1−1)〜(c1−4)中、Rは、1価の有機基であり、例えば、(i)アルキル基、並びに(ii)アルキル基が有する水素原子の1又は2以上が、フェニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセトキシ基及び下記c1〜c4からなる群から選ばれる少なくとも1種の基で置換された基が挙げられる。
式(c1−2’)において、2つのRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
でのアルキル基の炭素数は、通常1〜18、好ましくは2〜12である。
Figure 2021102731
上記式(c1)〜(c4)中、*は結合位を示す。上記式c2中、Aは炭素数2〜5のアルキレン基、nは10〜300の整数である。
ジチオエステル(c1−1)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
トリチオカーボネート(c1−2)及び(c1−2’)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
(式中、nは10〜300の整数である。)
ジチオカルバメート(c1−3)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
キサンテート(c1−4)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
(式中、nは1〜50の整数である。)
上記重合工程において、水性媒体に対する上記連鎖移動剤の濃度は0.1×10−3〜0.01モル/Lであることが好ましい。上記連鎖移動剤の濃度が上記範囲であることによって、より効率よく重合を進行させることができる。上記連鎖移動剤の濃度は、水性媒体に対して0.2×10−3モル/L以上がより好ましく、0.3×10−3モル/L以上が更に好ましく、また、0.9×10−2モル/L以下がより好ましく、0.8×10−2モル/L以下が更に好ましい。
上記連鎖移動剤を用いることによって、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を行うことができる。RAFTでは、上記連鎖移動剤の存在下、リビングラジカル重合を行うことができる。
本開示の製造方法は、開始剤の存在下にTFEを重合する。好適な開始剤としては、過酸化物及びアゾ化合物並びに酸化還元ベースの開始剤が挙げられる。
過酸化物開始剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム若しくは過酸化バリウム、ジアセチルパーオキサイド、ジスクシニルパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ジブチリルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルアセチルパーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド及びジラウリルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、並びに、過酸及びその塩(例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に使用することができ、その例としては、tert−ブチルペルオキシアセテート及びtert−ブチルパーオキシピバレートが挙げられる。
無機剤の例としては、例えば、過硫酸、過マンガン酸若しくはマンガン酸のアンモニウム塩、アルカリ塩若しくはアルカリ土類塩、又は、マンガン酸が挙げられる。過硫酸塩開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)は、それだけで使用することができるか、又は還元剤と組み合わせて使用されてもよい。好適な還元剤としては、例えば重亜硫酸アンモニウム若しくはメタ重亜硫酸ナトリウム等の重亜硫酸塩、例えばチオ硫酸アンモニウム、カリウム若しくはナトリウム等のチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレ−ト及びアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が挙げられる。使用され得る更なる還元剤としては、例えば、米国特許第5,285,002号明細書に開示されているようなホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Rongalit)又はフルオロアルキルスルフィネートが挙げられる。還元剤は典型的には、過硫酸塩開始剤の半減期を減らす。更に、例えば銅、鉄又は銀塩等の金属塩触媒が添加されてもよい。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。
上記開始剤としては、過酸のエステル、過硫酸塩、ジアシルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、又は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)がより好ましく、tert−ブチルパーオキシピバレート、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルペルオキシアセテート、又は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)が更に好ましい。
上記重合工程において、水性媒体に対する上記開始剤の濃度は1×10−5〜0.01モル/Lであることが好ましい。上記開始剤の濃度が上記範囲であることによって、より効率よく重合を進行させることができる。上記開始剤の濃度は、水性媒体に対して2×10−5モル/L以上がより好ましく、3×10−5モル/L以上が更に好ましく、また、0.9×10−2モル/L以下がより好ましく、0.8×10−2モル/L以下が更に好ましい。
上記連鎖移動剤と開始剤とのモル比[連鎖移動剤]/[開始剤]は、重合を効率よく進行させる観点から、0.1〜40であることが好ましい。より好ましくは、0.2〜30であり、更に好ましくは、0.3〜20であり、更により好ましくは0.4〜15であり、特に好ましくは0.5〜10である。
上記のように開始剤と連鎖移動剤とのモル比を特定の範囲にすることで、重合を効率よく進行させることができる。
上記界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、含フッ素界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素アニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤は、例えば、下記一般式(N)におけるアニオン基Yを除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよい。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、アニオン部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよい。
なお、上記「アニオン部分」は、上記含フッ素界面活性剤のカチオンを除く部分を意味する。例えば、後述する式(I)で表されるF(CFn1COOMの場合には、「F(CFn1COO」の部分である。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、LogPOWが3.5以下、好ましくは3.4以下の含フッ素界面活性剤が挙げられる。上記LogPOWは、1−オクタノールと水との分配係数であり、LogP[式中、Pは、含フッ素界面活性剤を含有するオクタノール/水(1:1)混合液が相分離した際のオクタノール中の含フッ素界面活性剤濃度/水中の含フッ素界面活性剤濃度比を表す]で表されるものである。
上記LogPOWは、カラム;TOSOH ODS−120Tカラム(φ4.6mm×250mm、東ソー(株)製)、溶離液;アセトニトリル/0.6質量%HClO水=1/1(vol/vol%)、流速;1.0ml/分、サンプル量;300μL、カラム温度;40℃、検出光;UV210nmの条件で、既知のオクタノール/水分配係数を有する標準物質(ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸)についてHPLCを行い、各溶出時間と既知のオクタノール/水分配係数との検量線を作成し、この検量線に基づき、試料液におけるHPLCの溶出時間から算出する。
上記含フッ素界面活性剤として具体的には、米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003−119204号公報、国際公開第2005/042593号、国際公開第2008/060461号、国際公開第2007/046377号、国際公開第2007/119526号、国際公開第2007/046482号、国際公開第2007/046345号、米国特許出願公開第2014/0228531号、国際公開第2013/189824号、国際公開第2013/189826号に記載されたもの等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、下記一般式(N):
n0−Rfn0−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl又は及びFである。Rfn0は、炭素数3〜20で、鎖状、分枝鎖状または環状で、一部または全てのHがFにより置換されたアルキレン基であり、該アルキレン基は1つ以上のエーテル結合を含んでもよく、一部のHがClにより置換されていてもよい。Yはアニオン基である。)で表される化合物が挙げられる。
のアニオン基は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−COOM、又は、−SOMであってよい。
Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、例えば、Na、K又はLiである。
としては、H又はC1−10の有機基であってよく、H又はC1−4の有機基であってよく、H又はC1−4のアルキル基であってよい。
Mは、H、金属原子又はNR であってよく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR であってよく、H、Na、K、Li又はNHであってよい。
上記Rfn0は、Hの50%以上がフッ素に置換されているものであってよい。
上記一般式(N)で表される化合物としては、
下記一般式(N):
n0−Rf−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、Rfは3〜15の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキレン基であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物(より具体的には、下記一般式(N1a):
n0−(CFm1−Y (N1a
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、m1は3〜15の整数であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物)、下記一般式(N):
Rfn1−O−(CF(CF)CFO)m2CFXn1−Y (N
(式中、Rfn1は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、m2は、0〜3の整数であり、Xn1は、F又はCFであり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn2(CHm3−(Rfn3−Y (N
(式中、Rfn2は、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、m3は、1〜3の整数であり、Rfn3は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、qは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfm4−O−L−Y (N
(式中、Rfm4は、エーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化された脂肪族基であり、Lは、部分または完全フッ素化された直鎖状のアルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物(より具体的には、下記一般式(N4a):
Rfn4−O−(CYn1n2CF−Y (N4a
(式中、Rfn4は、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Yn1及びYn2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、pは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、及び、下記一般式(N):
Figure 2021102731
(式中、Xn2、Xn3及びXn4は、同一若しくは異なってもよく、H、F、又は、炭素数1〜6のエーテル結合を含んでよい直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基である。Rfn5は、炭素数1〜3のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yは、上記定義したものである。但し、Xn2、Xn3、Xn4及びRfn5の合計炭素数は18以下である。)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(N)で表される化合物としてより具体的には、下記一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、下記一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、下記一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、下記一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、下記一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、下記一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、下記一般式(VII)で表されるω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)、下記一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、下記一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、下記一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、下記一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、及び、下記一般式(XII)で表される化合物(XII)、が挙げられる。
上記パーフルオロカルボン酸(I)は、下記一般式(I)
F(CFn1COOM (I)
(式中、n1は、3〜14の整数であり、Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロカルボン酸(II)は、下記一般式(II)
H(CFn2COOM (II)
(式中、n2は、4〜15の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)は、下記一般式(III)
Rf−O−(CF(CF)CFO)n3CF(CF)COOM (III)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、n3は、0〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)としては、総炭素数7以下、かつLogPOW3.5以下のパーフルオロポリエーテルカルボン酸が好ましい。上記総炭素数は、特に5〜7が好ましい。また、上記LogPOWは3.4以下がより好ましい。
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)は、下記一般式(IV)
Rf(CHn4RfCOOM (IV)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基、n4は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロカルボン酸(V)は、下記一般式(V)
Rf−O−CYCF−COOM (V)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)は、下記一般式(VI)
F(CFn5SOM (VI)
(式中、n5は、3〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)は、下記一般式(VII)
H(CFn6SOM (VII)
(式中、n6は、4〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)は、下記一般式(VIII)
Rf(CHn7SOM (VIII)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のパーフルオロアルキル基であり、n7は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルキルアルキレンカルボン酸(IX)は、下記一般式(IX)
Rf(CHn8COOM (IX)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、n8は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記フルオロカルボン酸(X)は、下記一般式(X)
Rf−O−Rf−O−CF−COOM (X)
(式中、Rfは、炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロスルホン酸(XI)は、下記一般式(XI)
Rf−O−CYCF−SOM (XI)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状であって、塩素を含んでもよい、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記化合物(XII)は、下記一般式(XII):
Figure 2021102731
式中、X、X及びXは、同一若しくは異なってもよく、H、F及び炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rf10は、炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yはアニオン基である。)で表されるものである。
は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−SOM、又は、COOMであってよい(式中、Mは上記定義したものである。)。
Lとしては、例えば、単結合、炭素数1〜10のエーテル結合を含みうる部分又は完全フッ素化されたアルキレン基が挙げられる。
上述したように上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤において、一般式(N)で表される化合物を使用する場合、式(N)におけるRfの炭素数は3〜6の整数であることが好ましい。また、式(N1a)におけるm1は3〜6の整数であることが好ましい。また、パーフルオロカルボン酸(I)を用いる場合、一般式(I)におけるn1は3〜6の整数であることが好ましい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、特に、炭素数が4〜7であり、エーテル性酸素を有してもよい含フッ素カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる化合物が好ましい。ここで、炭素数とは、一分子中の全炭素数を意味する。上記含フッ素アニオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、炭素数が4〜7であり、エーテル性酸素を有する含フッ素カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる化合物が好ましい。エーテル性酸素を有する含フッ素カルボン酸は、炭素数が4〜7で主鎖の炭素鎖の途中にエーテル性酸素を有し、末端に−COOHを有する化合物である。末端の−COOHは塩を形成していてもよい。
主鎖の途中に存在するエーテル性酸素は1個以上であり、1〜4個が好ましく、1又は2個がより好ましい。
上記炭素数は5〜7が好ましい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては特に、主鎖の炭素数が6〜7であり、主鎖のエーテル性酸素が1〜4であり、主鎖が直鎖状、分岐状、又は、環状を有しており、部分または完全フッ素化されたカルボン酸又はその塩であることが好ましい。ここで、「主鎖」とは炭素原子数が最大となる一続きの鎖を意味する。
このような含フッ素界面活性剤としては、CFO(CFOCHFCFCOONH、CFCFCFOCF(CF)COONH、CFCFOCFCFOCFCOONH、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、下記式:
Figure 2021102731
で表される化合物が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、例えば、特表2013−542308号公報、特表2013−542309号公報、特表2013−542310号公報に記載されているもの等を使用することができる。
上記炭化水素系界面活性剤は、同じ分子上に親水性部分及び疎水性部分を有する界面活性剤であってよい。これらは、カチオン性、非イオン性またはアニオン性であってよい。
カチオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分と、長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
アニオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩などの親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有する。
非イオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、帯電した基を含まず、長鎖炭化水素である疎水性部分を有する。非イオン性界面活性剤の親水性部分は、エチレンオキシドとの重合から誘導されるエチレンエーテルの鎖などの水溶性官能基を含む。
非イオン性炭化水素系界面活性剤の例
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルエステルの具体例:ポリエチレングリコールモノラウリレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等。
ソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等。
ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等。
グリセロールエステルの具体例:モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等。
上記誘導体の具体例:ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等。
上記エーテル及びエステルは、10〜18のHLB値を有してよい。
非イオン性炭化水素系界面活性剤としては、Dow Chemical Company製のTriton(登録商標)Triton(登録商標)Xシリーズ(X15、X45、X100等)、Tergitol(登録商標)15−Sシリーズ、Tergitol(登録商標)TMNシリーズ(TMN−6、TMN−10、TMN−100等)、Tergitol(登録商標)Lシリーズ、BASF製のPluronic(登録商標)Rシリーズ(31R1、17R2、10R5、25R4(m〜22、n〜23)、Iconol(登録商標)TDAシリーズ(TDA−6、TDA−9、TDA−10)等が挙げられる。
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Resolution Performance ProductsのVersatic(登録商標)10、BASF製のAvanel Sシリーズ(S−70、S−74等)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤は、フッ素原子を含まない界面活性剤であってよく、置換基又は(カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホニル基等の)連結基を有していてもよい炭素数8〜30の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と親水性基(カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホニル基等)とを有し、かつフッ素原子を含まない界面活性剤や、フッ素原子を含まない炭化水素系アニオン界面活性剤が好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R−L−M(式中、Rが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
具体的には、ラウリル酸に代表されるようなCH−(CH−L−M(式中、nが、6〜17の整数である。LおよびMが、上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
が、12〜16個の炭素原子を有するアルキル基であり、L−Mが、硫酸塩又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であるものの混合物も使用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R6z(−L−M)(式中、R6zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキレン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R7z(−L−M)(式中、R7zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキリジン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキリジン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zはH又は有機基である。−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記R5zはH又はアルキル基が好ましく、H又は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤としては、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0−8247−00104に記載されているものが挙げられる。シロキサン界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含む。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み、ここで、シリコーン原子上の置換基が、完全に炭化水素である。
ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含んでもよい。イオン性疎水性部分は、イオン的に官能化されたシロキサングラフトも含み得る。
このようなシロキサン炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン−グラフト−(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン−グラフト−ポリアクリレート塩およびポリジメチルシロキサングラフト化第4級アミンが挙げられる。
シロキサン界面活性剤の親水性部分の極性部分は、ポリエチレンオキシド(PEO)、および混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテル(PEO/PPO)などのポリエーテル;単糖類および二糖類;およびピロリジノンなどの水溶性複素環によって形成される非イオン性基を含み得る。エチレンオキシド対プロピレンオキシド(EO/PO)の比率は、混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルにおいて変化され得る。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分との組合せも含み得る。このような部分としては、例えば、イオン的に末端官能化されたまたはランダムに官能化されたポリエーテルまたはポリオールが挙げられる。本開示の実施に好ましいのは、非イオン性部分を有するシロキサン、すなわち、非イオン性シロキサン界面活性剤である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造の疎水性および親水性部分の配置は、ジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)(ここで、「B」は、分子のシロキサン部分を表す)、またはマルチブロックポリマーの形態をとってもよい。あるいは、シロキサン界面活性剤は、グラフトポリマーを含んでいてもよい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤については、米国特許第6,841,616号明細書にも開示されている。
シロキサンベースのアニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Lubrizol Advanced Materials,Inc.のNoveon(登録商標)Consumer Specialtiesから入手可能なSilSenseTMPE−100シリコーン、SilSenseTMCA−1シリコーン等が挙げられる。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCのスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300等も挙げられる。
スルホサクシネート界面活性剤としては、スルホコハク酸ジイソデシルNa塩、(ClariantのEmulsogen(登録商標)SB10)、スルホコハク酸ジイソトリデシルNa塩(Cesapinia ChemicalsのPolirol(登録商標)TR/LNA)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、Omnova Solutions,Inc.のPolyFox(登録商標)界面活性剤(PolyFoxTMPF−156A、PolyFoxTMPF−136A等)も挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては上述したものを採用できるが、例えば、下記の化合物を好適に採用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、下記式(α):
100−COOM (α)
(式中、R100は、1個以上の炭素原子を含有する1価の有機基である。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R101はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)で示される化合物(α)が挙げられる。R101の有機基としてはアルキル基が好ましい。R101としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
界面活性能の観点から、R100の炭素数は2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、水溶性の観点から、R100の炭素数は、29個以下であることが好ましく、23個以下がより好ましい。
上記Mの金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Mとしては、H、金属原子又はNR101 が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR101 がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
上記化合物(α)としては、R102−COOM(式中、R102が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基、若しくは、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Mは上記と同じ。)によって表されるアニオン性の炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
具体的には、CH−(CH−COOM(式中、nが、2〜28の整数である。Mは上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
上記化合物(α)は、乳化安定性の観点で、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を含まないものであってもよい。
上記カルボニル基を含まない炭化水素含有界面活性剤としては、例えば、下記式(A):
103−COO−M (A)
(式中、R103は、6〜17個の炭素原子を含有するアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。R101は、同一又は異なって、H又は有機基である。)の化合物が好ましく例示される。
上記式(A)において、R103は、アルキル基又はアルケニル基(これらはエーテル基を含んでいてもよい)であることが好ましい。上記R103におけるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。上記R103の炭素数は限定されないが、例えば、2〜29である。
上記アルキル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は3〜29であることが好ましく、5〜23であることがより好ましい。上記アルキル基が分岐状である場合、R103の炭素数は5〜35であることが好ましく、11〜23であることがより好ましい。
上記アルケニル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は2〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。上記アルケニル基が分岐状である場合、R103の炭素数は2〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。
上記アルキル基及びアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ビニル基等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8,11−エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としてはまた、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
上記カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤としては、式:R−X(式中、Rは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭素数1〜2000のフッ素非含有有機基であり、Xは、−OSOX1、−COOXX1又は−SOX1(XX1は、H、金属原子、NRX1 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、RX1はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。))で示される界面活性剤が好ましい。Rは、炭素数が500以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましく、30以下であることが更により好ましい。RX1の有機基としてはアルキル基が好ましい。RX1としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
上記特定の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(a):
Figure 2021102731
(式中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、下記式(b):
Figure 2021102731
(式中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)、下記式(c):
Figure 2021102731
(式中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(c)、及び、下記式(d):
Figure 2021102731
(式中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中のAに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
界面活性剤(a)について説明する。
式(a)中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1aにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101a(式中、R101aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式中、R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2a及びR3aは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102a(式中、R102aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。合計の炭素数としては、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(a)中、Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基である。4つのR4aは、同一でも異なっていてもよい。R4aにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4aとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4a が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1aとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1aとしては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、n11aは0〜10の整数であり、R11aは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11aが2〜10の整数である場合、R12aは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11aとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103a(式中、R103aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12aとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12aとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104a(式中、R104aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
界面活性剤(a)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Xは上述のとおりである。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
次に界面活性剤(b)について説明する。
式(b)中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1bにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1bとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1bとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(b)中、R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2b及びR4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2b及びR4bとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2b及びR4bとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(b)中、R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3bは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
式(b)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましく、5〜9、11〜25の整数が特に好ましい。
式(b)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が5以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(b)中、Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基である。4つのR5bは、同一でも異なっていてもよい。R5bにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5bとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5b (R5bは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5b が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(b)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記Rは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
界面活性剤(b)としては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、R1b、R2b、L、n及びXは、上記のとおり。)で示される化合物が好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10%以上であることが好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤(b)において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
界面活性剤(b)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCH(CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa等が挙げられる。
界面活性剤(c)について説明する。
式(c)中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1cにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101c(式中、R101cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式(c)中、R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2c及びR3cは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102c(式中、R102cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。合計の炭素数としては、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(c)中、式中、Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R4cにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4cとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4c が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1cとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1cとしては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、n11cは0〜10の整数であり、R11cは炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11cが2〜10の整数である場合、R12cは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11cとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103c(式中、R103cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12cとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12cとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104c(式中、R104cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
上記界面活性剤(c)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Aは上述のとおりである。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
界面活性剤(d)について説明する。
式(d)中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1dにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1dとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1dとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(d)中、R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2d及びR4dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2d及びR4dとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2d及びR4dとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(d)中、R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3dは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(d)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましい。
式(d)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が6以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(d)中、Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R5dにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5dとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5d (R5dは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5d が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(d)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記R6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中のAに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10以上であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
上記界面活性剤(d)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHC(CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHSONa、
CHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)SONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(CHSONa
等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記一般式(1−0):
Figure 2021102731
(式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。
また、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基;
は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基;
を表す。
〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(以下、界面活性剤(1)ともいう)が挙げられる。
界面活性剤(1)について説明する。
式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。R〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
としての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
としての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
一価の置換基としては、一般式:−Y−Rで示される基、一般式:−X−Aで示される基、−H、置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基、−NH、−NHR(Rは有機基)、−OH、−COOR(Rは有機基)又は−OR(Rは有機基)が好ましい。上記アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。
としては、C1−10のアルキル基又はC1−10のアルキルカルボニル基が好ましく、C1−4のアルキル基又はC1−4のアルキルカルボニル基がより好ましい。
式中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手を表す。
がカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基であることが好ましい。
Xとしては、−CO−、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−S(=O)−O−、−O−S(=O)−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む2価の連結基、C1−10のアルキレン基、又は、結合手が好ましい。RはH又は有機基を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、RはH又は有機基である。4つのRは、同一でも異なっていてもよい。)を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mとしては、H、金属原子又はNR が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
式中、Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基を表す。
Yとしては、結合手、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基が好ましく、結合手、−COO−及び−OCO−からなる群より選択される2価の連結基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Rは、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。上記Rの有機基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
のアルキル基は、炭素−炭素原子間にカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を1又は2以上含むことができるが、上記アルキル基の末端にこれらの基を含まない。上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−R11で示される基、
一般式:−R10−NRCO−R11で示される基、又は、
一般式:−R10−CONR−R11で示される基、
(式中、RはH又は有機基を表す。R10はアルキレン基、R11は置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
としては、一般式:−R10−CO−R11で示される基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
10のアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。また、R10のアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜10が更に好ましい。
11のアルキル基の炭素数は、1〜20であってよく、1〜15が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜8が更により好ましく、1〜6が殊更好ましく、1〜3が尚更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。また、上記R11のアルキル基は、1級炭素、2級炭素、3級炭素のみで構成されていることが好ましく、1級炭素、2級炭素のみで構成されるのが特に好ましい。すなわち、R11としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
界面活性剤(1)としては、一般式(1−1)で示される化合物、一般式(1−2)で示される化合物又は一般式(1−3)で示される化合物が好ましく、一般式(1−1)で示される化合物又は一般式(1−2)で示される化合物がより好ましい。
一般式(1−1):
Figure 2021102731
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−2):
Figure 2021102731
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−3):
Figure 2021102731
(式中、R、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式:−X−Aで示される基としては、
−COOM、
−R12COOM、
−SOM、
−OSOM、
−R12SOM、
−R12OSOM、
−OCO−R12−COOM、
−OCO−R12−SOM、
−OCO−R12−OSOM、
−COO−R12−COOM、
−COO−R12−SOM、
−COO−R12−OSOM、
−CONR−R12−COOM、
−CONR−R12−SOM、
−CONR−R12−OSOM、
−NRCO−R12−COOM、
−NRCO−R12−SOM、
−NRCO−R12−OSOM、
−OS(=O)−R12−COOM、
−OS(=O)−R12−SOM、又は
−OS(=O)−R12−OSO
(式中、R及びMは、上記のとおり。R12はC1−10のアルキレン基。)が好ましい。
上記R12のアルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
一般式:−Y−Rで示される基としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−COO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−COO−R11で示される基で示される基、
一般式:−NRCO−R10−CO−R11で示される基、又は、
一般式:−CONR−R10−NRCO−R11で示される基
(式中、R、R10及びR11は上記のとおり。)が好ましい。
式中、R及びRとしては、独立に、H又はC1−4のアルキル基が好ましい。
上記R及びRのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−1)におけるRとしては、H又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、Hが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−3)におけるRとしては、H、OH又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H、OH又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、H又はOHが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(1−0A):
Figure 2021102731
(式中、R1A〜R5Aは、H、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基、又は、一般式:−X−Aで示される基である。但し、R2A及びR5Aの少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基を表す。
は、各出現において同一又は異なって、2価の炭化水素基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(1−0A)等も挙げられる。
一般式(1−0A)中、R1A〜R5Aにおいて、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。R1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。上記炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
式中、Xにおいて、2価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。上記2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルカンジイル基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
一般式(1−0A)中、R2A及びR5Aのいずれか1つが、上記一般式:−X−Aで示される基であることが好ましく、R2Aが上記一般式:−X−Aで示される基であることがより好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としては、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A、R3A、R4A及びR5AがHである態様である。この場合、Xは結合手又は炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としてはまた、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A及びR3Aが−Y−Rで示される基であり、Yは、各出現において同一又は異なって、−COO−、−OCO−、又は、結合手であり、Rは各出現において同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基である態様である。この場合、R4A及びR5AがHであることが好ましい。
一般式(1−0A)で表される炭化水素系界面活性剤としては、例えば、グルタル酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、ピメリン酸又はその塩、スベリン酸又はその塩、アゼライン酸又はその塩、セバシン酸又はその塩等が挙げられる。
また、一般式(1−0A)で表される脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤は2鎖2親水基型合成界面活性剤であってもよく、例えば、ジェミニ型界面活性剤として、ジェミニサ−フ(中京油脂株式会社)、Gemsurf α142(炭素数12 ラウリル基)、Gemsurf α102(炭素数10)、Gemsurf α182(炭素数14)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤は、ラジカル処理または酸化処理を行ったものであってもよい。
上記ラジカル処理とは、上記炭化水素系界面活性剤にラジカルを発生させる処理であればよく、例えば、反応器に、脱イオン水、炭化水素系界面活性剤を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換し、反応器を昇温・昇圧した後、重合開始剤を仕込み、一定時間撹拌した後、反応器を大気圧になるまで脱圧を行い、冷却を行う処理である。上記酸化処理とは、炭化水素系界面活性剤に酸化剤を添加させる処理である。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素水、酸化マンガン(IV)、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硝酸、二酸化硫黄などが挙げられる。
本開示の製造方法においては、上記炭化水素系界面活性剤を2種以上同時に用いてもよい。
本開示の製造方法において、上記重合工程は、フッ素原子を含まない非イオン性界面活性剤の存在下で行ってもよい。上記非イオン性界面活性剤としては、
一般式(250):H(OR251(OR252OH
(式中、R251及びR252は、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、u及びvは1〜5の整数である。但しR251とR252とはお互いに異なる。)で表されるブロックポリマー、
炭素数が8〜20個の炭化水素基からなる疎水基及び、ポリアルキレンオキサイドからなる親水基を分子内に有する非イオン性界面活性剤、及び、
一般式(260):R261 −Si−(OR2624−m
(式中、R261は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、R262は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化合物、
からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(250)で表されるブロックポリマーとして、具体的な例を挙げると、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの群から選ばれる少なくとも2種のセグメントからなるブロックポリマーが例示される。中でも、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンブロックポリマーが例示され、A−B型のみでなくA−B−A型のブロックポリマーも好ましく例示される。更に好ましくは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーを使うことにより、高濃度で安定なフルオロポリマーの分散液を調製することができる。更に、ポリオキシエチレンセグメントの含有量が、10〜50%であると、再凝集によると思われる凝集物の発生が少ないため好ましく、更に20〜40%のときに、低粘度のフルオロポリマーの分散液を調製できるため好ましい。分子量は、特に制限されないが、1000〜7000g/molであればよく、更に特に2500〜6500g/molの時に粘度が低く分散性に優れた分散液を調製することができる。
上記界面活性剤としては、炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が好ましい。具体的には、上述した炭化水素系界面活性剤や、上述した含フッ素界面活性剤のうち炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が挙げられる。
上記界面活性剤としては、炭素数2以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物がより好ましく、炭素数1以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が更に好ましく、フッ素原子を含まない化合物が更により好ましい。
本開示の製造方法は、界面活性剤が炭化水素系界面活性剤である態様が好適な態様の一つである。TFE単位が多いフルオロポリマーを製造する場合、炭化水素系界面活性剤を使用すると分子量が高くなりにくい問題があり、得られるポリマーの分子量を小さくする連鎖移動剤は一般的に使用されていない。本開示の製造方法は、意外なことに、炭化水素系界面活性剤を使用し、TFE単位が多いフルオロポリマーを製造する場合であっても効率よく重合を進行させることができることを見出し完成されたものである。
上記炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましく、上記化合物(α)、上記界面活性剤(a)、上記界面活性剤(b)、上記界面活性剤(c)、上記界面活性剤(d)、上記界面活性剤(1)及び上記界面活性剤(1−0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、上記化合物(α)、界面活性剤(b)、界面活性剤(d)、界面活性剤(1)、及び、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、上記化合物(α)、及び、界面活性剤(b)からなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
上記界面活性剤は、水を含む水溶液の形態で添加してもよい。上記水溶液における上記界面活性剤の濃度の上限は、50質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、100000ppmであることが更により好ましく、50000ppmであることが更により好ましく、10000ppmであることが特に好ましく、5000ppmであることが最も好ましい。下限は、1ppmであることが好ましく、10ppmであることがより好ましく、50ppmであることが更に好ましい。
上記界面活性剤は、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤、又は、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤水溶液であることが好ましい。
本開示の製造方法において、上記界面活性剤は、重合反応の開始(キックオフ)前に上記水性媒体に添加してもよく、重合反応の開始時に添加してもよく、重合反応の開始後に添加してもよい。
フルオロモノマーの重合を促進し、より高分子量のフルオロポリマーを得る観点からは、界面活性剤を重合反応の開始時までには実質的に添加せず、重合反応の開始後に添加することが好ましい。
より好ましくは、上記界面活性剤を、上記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体が調製される期間(以下、初期期間ともいう)終了までに実質的に添加せず、初期期間の後に添加することである。
重合反応の開始時点(好ましくは、上記初期期間中)の上記水性媒体中の上記界面活性剤の含有量は、上記水性媒体に対し、例えば50ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることが更に好ましく、20ppm以下であることが更により好ましく、15ppm以下であることが特に好ましい。
重合反応の開始時点(好ましくは、上記初期期間中)の上記水性媒体中の上記界面活性剤の含有量は、上記水性媒体に対し、例えば50ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることが更に好ましく、20ppm以下であることが更により好ましく、15ppm以下であることが特に好ましく、5ppm以下であることが最も好ましい。
上記界面活性剤の添加を開始する時点における、上記水性媒体中のフルオロポリマーの濃度は、上記水性媒体に対し、0.6質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることが更に好ましく、1.0質量%以上であることが更により好ましく、1.2質量%以上であることが特に好ましい。
フルオロポリマーが後述する溶融加工性フッ素樹脂(例えばFEP、PFA)である場合は、上記濃度は2.0質量%以上であることが好ましい。
フルオロポリマーが後述する非溶融加工性フッ素樹脂(例えばPTFE)である場合は、上記濃度は1.0質量%以上であることが好ましく、1.6質量%以上であることがより好ましい。
上記界面活性剤を上記水性媒体に添加する場合、その供給速度は、0.005〜1.4g/l−hであることが好ましく、0.005〜1.0g/l−hであることがより好ましく、0.01〜0.8g/l−hであることが更に好ましい。
上記の単位g/l−hにおいて、「g」は上記界面活性剤自体の質量のグラムを表し、「l」は重合反応器の体積のリットルを表し、「h」は時間を表す。
上記界面活性剤の添加は、少なくとも20分ごとに行うことが好ましく、少なくとも10分ごとに行うことがより好ましく、少なくとも5分ごとに行うことが更に好ましく、重合反応の終了まで連続的に行うことが最も好ましい。
上記重合工程は、TFEに基づく重合単位(以下「TFE単位」とも記載する)を80モル%超含むフルオロポリマーを得る工程である。ここで、「80モル%超」とは、80モル%より多いことを意味し、80モル%は含まない。
上記重合工程で得られるフルオロポリマーは、TFE単位を80モル%超含むものであればよく、TFEの単独重合体であってもよいし、80モル%超のTFE単位と、20モル%未満のTFE以外のモノマーに基づく重合単位とを含むものであってもよい。上記フルオロポリマーは、TFE単位を90モル%超含むものであることが好ましい。上記フルオロポリマーはTFE単位のみからなるTFE単独重合体が好ましく、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を20モル%未満含むことが好ましく、10モル%未満含むことがより好ましい。
上記TFE以外のモノマーとしては、フッ素原子を含むフルオロモノマーであってもよいし、フッ素非含有モノマーであってもよい。
上記フルオロモノマーとしては、二重結合を少なくとも1つ有するものが好ましい。
上記フルオロモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン[HFP]、クロロトリフルオロエチレン[CTFE]、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン[VDF]、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、一般式(100):CH=CFRf101(式中、Rf101は炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、フッ素化ビニルヘテロ環状体、フッ素化メチレンジオキソラン、架橋部位を与えるモノマー、及び、含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、
一般式(110):CF=CF−ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(120):CF=CF−OCH−Rf121
(式中、Rf121は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、
一般式(130):CF=CFOCFORf131
(式中、Rf131は炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(140):CF=CFO(CFCF(Y141)O)(CF
(式中、Y141はフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。mは1〜4の整数である。nは1〜4の整数である。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(150):CF=CF−O−(CFCFY151−O)−(CFY152−A151
(式中、Y151は、フッ素原子、塩素原子、−SOF基又はパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、エーテル性の酸素及び−SOF基を含んでもよい。nは、0〜3の整数を表す。n個のY151は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y152は、フッ素原子、塩素原子又は−SOF基を表す。mは、1〜5の整数を表す。m個のY152は、同一であってもよいし異なっていてもよい。A151は、−SO151、−COZ151又は−POZ152153を表す。X151は、F、Cl、Br、I、−OR151又は−NR152153を表す。Z151、Z152及びZ153は、同一又は異なって、−NR154155又は−OR156を表す。R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、同一又は異なって、H、アンモニウム、アルカリ金属、フッ素原子を含んでも良いアルキル基、アリール基、若しくはスルホニル含有基を表す。)で表されるフルオロモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf111が炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5である。
一般式(110)におけるパーフルオロ有機基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、更に、上記一般式(110)において、Rf111が炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2021102731
(式中、mは、0又は1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2021102731
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(110)、(130)及び(140)で表されるフルオロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
一般式(130)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、及び、CF=CFOCFOCFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(140)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)O(CFF、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFF、及び、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(150)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CFCFSOF)OCFCFSOF及びCF=CFOCFCF(SOF)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf101が直鎖のフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが好ましく、Rf101が直鎖のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーがより好ましい。Rf101の炭素数は1〜6であることが好ましい。一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFH、CH=CFCFCFCFCF等が挙げられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
フルオロアルキルエチレンとしては、
一般式(170):CH=CH−(CF−X171
(式中、X171はH又はFであり、nは3〜10の整数である。)で表されるフルオロアルキルエチレンが好ましく、CH=CH−C、及び、CH=CH−C13からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記フッ素化ビニルヘテロ環状体としては、一般式(230):
Figure 2021102731
(式中、X231及びX232は、独立に、F、Cl、メトキシ基又はフッ素化メトキシ基であり、Y231は式Y232又は式Y233である。
Figure 2021102731
(式中、Z231及びZ232は、独立に、F又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基である。))で表されるフッ素化ビニルヘテロ環状体が挙げられる。
架橋部位を与えるモノマーとしては、
一般式(180):CX181 =CX182−R 181CHR181183
(式中、X181及びX182は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 181は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、R181は、水素原子又はCH、X183は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(190):CX191 =CX192−R 191193
(式中、X191及びX192は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 191は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、X193は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(200):CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X201
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X201は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CHIである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(210):CH=CFCFO(CF(CF)CFO)(CF(CF))−X211
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X211は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CHOHである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(220):CR221222=CR223−Z221−CR224=CR225226
(式中、R221、R222、R223、R224、R225及びR226は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Z221は、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン基若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)−CFO−(CFCFO)(CFO)−CF−(Q)
(式中、Qはアルキレン基又はオキシアルキレン基である。pは0又は1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表されるモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
183及びX193は、ヨウ素原子であることが好ましい。R 181及びR 191は炭素数が1〜5のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。R181は、水素原子であることが好ましい。X201は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CHIであることが好ましい。X211は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CHOHであることが好ましい。
フッ素化メチレンジオキソランとしては、下記一般式
Figure 2021102731
(式中、R231は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、フルオロ(ポリ)オキシアルキル基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキル基)で表される化合物が好ましく、
下記式
Figure 2021102731
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
架橋部位を与えるモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHI、CF=CFOCFCFCHI、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CN、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH、CH=CHCFCFI、CH=CH(CFCH=CH、CH=CH(CFCH=CH、及び、CF=CFO(CFCNからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN及びCF=CFOCFCFCHIからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記含フッ素アクリレートモノマーとしては、一般式(240):
CH=C(−X241)−C(=O)−O−Y241−Rf241
(式中、X241は、H、CH、F又はCl;Y241は、単結合、炭素数1以上の脂肪族基;Rf241は、炭素数1〜8の脂肪族基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基)で表されるものが好ましい。
241は、例えば、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状脂肪族基(特に、アルキレン基)、例えば、式−(CH−(式中、xは1〜10である。)で示される基であってよい。
Rf241は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf241の炭素数は、4〜8が好ましく、4〜6がより好ましい。Rf241としては、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−(CFCF(CF、−C17等が挙げられる。
含フッ素アクリレートモノマーの具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−Rf241
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−Rf241
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−Rf241
(式中、Rf241は、上記のとおり)
上記フッ素非含有モノマーとしては、上記フルオロモノマーと反応性を有する炭化水素系モノマー等が挙げられる。上記炭化水素系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記フッ素非含有モノマーとしては、また、官能基含有炭化水素系モノマー(但し、架橋部位を与えるモノマーを除く)であってもよい。上記官能基含有炭化水素系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、パーフルオロブテン酸等のカルボキシル基を有するフッ素非含有モノマー;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、例えば、上記−CONR 、−NRCOR、又は、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基を有するモノマーが好ましい。上記アミド結合は、カルボニル基と窒素原子の間の結合をいう。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、N−ビニル−β−プロピオラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−γ−バレロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ヘプトラクタムなどのN−ビニルラクタム化合物、N−ビニルホルムアミド、N−メチルーN−ビニルアセトアミドなどの非環状のN−ビニルアミド化合物、N−アリル−N−メチルホルムアミド、アリル尿素などの非環状のN−アリルアミド化合物、1−(2−プロペニル)−2−ピロリドンなどのN−アリルラクタム化合物、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物が挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、また、
Figure 2021102731
(式中、R及びRは独立にH又は炭素数1〜10のアルキル基)で示される化合物、
Figure 2021102731
(式中、Rは独立にH又は炭素数1〜10のアルキル基)で示される化合物等も挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、なかでも、N−ビニルラクタム化合物又は非環状のN−ビニルアミド化合物が好ましく、N−ビニル−β−プロピオラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−γ−バレロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、及び、N−ビニル−ヘプトラクタムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、N−ビニル−2−ピロリドン、及び、N−ビニル−2−ピペリドンからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、N−ビニル−2−ピロリドンが特に好ましい。
上記TFE以外のモノマーとしては、下記一般式(1):
CF=CR
(式中、Rは、H又はF;Rは−Cl、−CF、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、−Rf、−ORf;R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基又は含フッ素ビニル基;Rfは、含フッ素アルキル基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)で示されるモノマー、及び、下記一般式(2):
CH=CR
(式中、Rは、R、CFまたはF;Rは−Cl、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、Rf;R及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基;R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基又は含フッ素アルコキシ基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)で示されるモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(1)におけるR、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基である。上記置換基としては、上述したものが挙げられるが、中でも、脂肪族基、アシル基、芳香族基、又はヘテロ環基が好ましく、脂肪族基、アシル基、又はヘテロ環基がより好ましく、脂肪族基又はアシル基が更に好ましい。上記R、R、R、R及びRは、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5が更に好ましい。上記脂肪族基、アシル基、芳香族基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよく、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されたもの(例えば、含フッ素アルキル基、特に、パーフルオロアルキル基)であってもよい。
、R、R、R及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
なお、一般式(1)におけるRは、−CF以外の置換基であってよく、例えば、Rがパーフルオロアルキル基である場合、Rの炭素数は2以上であってよい。
一般式(1)におけるRfとしては、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アルキルオキシアルキル基等が挙げられる。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(1)におけるRfは含フッ素アルキル基である。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜3が更により好ましい。Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよいが、鎖状が好ましい。
上記Rとしては、−H、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルコキシ基、−Cl、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の非含フッ素アルキル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキルエステル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキルオキシアルキル基であることが好ましく、−H、−CF、−OCF、−OCFCFSOF、−Cl、−CH、−OCHCF、−COOH、−COOCH、−OCFOCF、−OCFCFOCF、−OCFCFCFOCF又は−OCであることが好ましく、−H、−CF、−OCF3、−OC又は−OCFCFSOFであることがより好ましく、−H、−CF、又は、−OCFであることがより好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしては、HFP、CTFE、VDF、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン及びヘキサフルオロイソブテンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては上述したものが挙げられる。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしてはまた、一般式(200)で表されるモノマー、一般式(210)で表されるモノマーも挙げられる。一般式(200)及び一般式(210)において、nは、5以下の整数であることが好ましい。Xは、−CFであることが好ましい。
は、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mは、−H、金属原子又は−NR が好ましく、−H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は−NR がより好ましく、−H、−Na、−K、−Li又は−NHが更に好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしてはまた、下記一般式(270):
Figure 2021102731
(式中、Rf、Rf、Rf及びRfは、同一又は異なって、F又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)で示されるモノマー、下記一般式(280):
Figure 2021102731
(式中、Rf及びRfは、F又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)で表されるモノマーも挙げられる。
一般式(1)で示されるモノマーとしては、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、トリフルオロエチレン、CTFE又はトリフルオロプロピレンが好ましく、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル又はトリフルオロプロピレンがより好ましく、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)又はパーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテルが更に好ましい。
一般式(1)で示されるモノマーは、TFEとは異なるモノマーである。
一般式(2)におけるR及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基である。上記炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。上記炭化水素基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
上記ヘテロ環基としては、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基が好ましく、炭素数3〜6のラクタム構造を有する基がより好ましく、炭素数4のラクタム構造を有する基が更に好ましい。
及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(2)におけるR、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基である。上記置換基としては、上述したものが挙げられるが、中でも、脂肪族基、アシル基、芳香族基又はヘテロ環基が好ましく、脂肪族基、アシル基、又はヘテロ環基がより好ましく、脂肪族基又はアシル基が更に好ましい。上記脂肪族基、アシル基、芳香族基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい。上記R、R、R及びRは、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
、R、R及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(2)におけるRfとしては、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アルキルオキシアルキル基等が挙げられる。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
上記Rとしては、H、F、CH又はCFであることが好ましく、H、F、又は、CFであることがより好ましい。
上記Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の非含フッ素アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキル基、−COOR、−OCOR、−CONR 、−NRCOR、−NR 、又は、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基が好ましい。
上記R、R及びRは、同一又は異なって、H又は炭素数1〜10のアルキル基である。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしてはまた、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;イタコン酸;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等の上述したアミド結合を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしては、フッ化ビニル、フルオロアルキルエチレン、一般式(100)で表されるフルオロモノマー、一般式(300):CH=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−A(式中、nは0又は1〜10の整数を表し、Aは、−CHOH、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、−H、金属原子、−NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。)で表されるフルオロモノマー、及び、含フッ素アクリレートモノマー等も挙げられる。
上記一般式(300)において、nは、0又は1〜5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。上記Mとしては、−H、金属原子又は−NR が好ましく、−H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は−NR がより好ましく、−H、−Na、−K、−Li又は−NHが更に好ましい。
上記Rとしては、−OCOCH、−H、−COOCH、−NH(C)、−C、−CH又は、下記式(3):
Figure 2021102731
で示される基であることが好ましく、−OCOCH、−H、−COOCH又は上記式(3)で示される基であることがより好ましく、−OCOCH、−H又は、上記式(3)で示される基であることがより好ましい。
一般式(2)で示されるモノマーとしては、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン又は含フッ素アクリレートモノマーが好ましく、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、N−アクリルアミド化合物、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン又は含フッ素アクリレートモノマーがより好ましく、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、エチレン、アクリル酸メチル、N−イソプロピルアクリルアミド又はCH=CH−Cが更に好ましく、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、エチレン又はアクリル酸メチルが特に好ましい。
TFE以外のモノマーとしては、特に、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、HFP、CTFE、VDF、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、N−アクリルアミド化合物、アルケン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が更により好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
本開示の製造方法において、TFE以外のモノマーとして、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する化合物も挙げられる。例えば、一般式(270a):
CF=CF−(CFn271a−Y271
(式中、n271aは、1〜10の整数を表し、Y271は、−SO271又は−COOM271を表し、M271は、H、NH又はアルカリ金属を表す。)で表される化合物、一般式(270b):
CF=CF−(CFC(CF)F)n271b−Y271
(式中、n271bは、1〜5の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270c):
CF=CF−O−(CFX271n271c−Y271
(式中、X271は、F又はCFを表し、n271cは、1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270d):
CF=CF−O−(CFCFX271O)n271d−CFCF−Y271
(式中、n271dは、1〜10の整数を表し、Y271及びX271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270e):
CX272 =CFCF−O−(CF(CF)CFO)n271e−CF(CF)−Y271
(式中、各X272は、同一であり、F又はHを表す。n271eは、0又は1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物等が挙げられる。
上記重合工程は、99.0質量%以上のTFE単位と、1.0質量%以下のTFE以外のモノマーに基づく重合単位とを含む変性PTFEを製造するものであってもよく、上記重合工程は、TFE以外のモノマーに基づく重合単位の合計量が0.00001〜1.0質量%となるように重合するものであることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましい。
この場合、上記TFE以外のモノマーは、一般式(1)又は一般式(2)で示されるモノマーであってよく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本開示の製造方法は、上記水性媒体中に親油性核形成部位を形成する工程(以下「核形成部位形成工程」とも記載する)を含んでもよい。
上記親油性核形成部位の存在下に上記重合を行うことにより、上記界面活性剤の添加を重合反応の開始後に行っても、効果的に重合が進行する。また、上記親油性核形成部位の非存在下で重合を行うのと比較して、小さい一次粒子径を有するフルオロポリマーが得られる。
上記核形成部位形成工程は、上記親油性核形成部位の水性分散体を提供する工程であってよい。
上記核形成部位形成工程は、上記重合工程における重合反応の開始前に実施することが好ましい。
上記親油性核形成部位は、重合されたモノマーを含まないことが好ましい。
上記親油性核形成部位は水性媒体中に分散され、当該部位においてフルオロポリマー粒子を成長させることができる。上記親油性核形成部位においてフルオロポリマー粒子を形成することにより、上述したフルオロポリマー粒子の初期分散体を提供することができる。
上記親油性核形成部位は、例えば、核形成剤を分解することによって形成することができ、核形成剤及び分解剤を水性媒体に添加することによって、形成することが好ましい。
上記核形成剤としては、疎水性部分及び親水性部分を含む水溶性炭化水素含有化合物が挙げられ、例えば、ジカルボン酸、パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩、炭化水素含有界面活性剤等が挙げられる。上記核形成剤は、芳香環を含まないことが好ましく、脂肪族化合物であることが好ましい。
上記核形成剤としての上記炭化水素含有界面活性剤は、重合工程における界面活性剤とは異なるものであることが好ましく、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
上記核形成剤の好ましい量としては、核形成剤の種類により適宜選択できるが、例えば、上記水性媒体に対し、1000ppm以下であり、より好ましい量として500ppm以下であり、更に好ましい量として100ppm以下であり、特に好ましい量として50ppm以下であり、殊更好ましい量として10ppm以下である。
上記ジカルボン酸の好ましい量としては、上記水性媒体に対し、1000ppm以下であり、より好ましい量として500ppm以下であり、更に好ましい量として100ppm以下である。
上記パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1〜3個の炭素原子を有する飽和フッ化炭素基によって隔てられる任意の鎖構造を有してよい。また、2種以上のフッ化炭素基が、分子中に存在してよい。代表的な構造は、下式に表される繰り返し単位を有する:
(−CFCF−CF−O−) (VII)
(−CF−CF−CF−O−) (VIII)
(−CF−CF−O−)−(−CF−O−) (IX)
(−CF−CFCF−O−)−(−CF−O−) (X)
これらの構造は、Kasaiによって、J.Appl.Polymer Sci.57,797(1995)に記載されている。この文献に開示されているように、上記PFPE酸又はその塩は、一方の末端又は両方の末端にカルボン酸基又はその塩を有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、また、一方の末端又は両方の末端に、スルホン酸、ホスホン酸基又はこれらの塩を有してよい。また、上記PFPE酸又はその塩は、各末端に異なる基を有してよい。単官能性のPFPEについては、分子の他方の末端は、通常、過フッ素化されているが、水素又は塩素原子を含有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、更により好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも1つ、より好ましくは、このようなフッ化炭素基の少なくとも2つは、2又は3個の炭素原子を有する。更により好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも50%は、2又は3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、上記PFPE酸又はその塩は、合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰返し単位構造中のn又はn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。1つの末端又は両方の末端に酸基を有する2つ以上の上記PFPE酸又はその塩が、本開示の製造方法に使用され得る。上記PFPE酸又はその塩は、好ましくは、6000g/モル未満の数平均分子量を有する。
上記炭化水素含有界面活性剤の添加量は、上記水性媒体に対して、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。上記水性媒体中に存在する親油性核形成部位のppm量は、上記添加量よりも少ないと推測される。したがって、上記親油性核形成部位の量は、それぞれ上記の50ppm、40ppm、30ppm、20ppmよりも小さい。上記親油性核形成部位は分子として存在すると考えられるので、ごく少量の上記炭化水素含有界面活性剤でも、大量の親油性核形成部位を生成することができる。したがって、上記炭化水素含有界面活性剤を水性媒体に1ppm程度加えるだけでも、有益な効果が得られる。好ましい下限値は、0.01ppm、より好ましくは、0.1ppmである。
上記炭化水素含有界面活性剤には、米国特許第7,897,682号明細書(Brothers et al.)及び米国特許第7,977,438号明細書(Brothers et al.)に開示されるもの等のシロキサン界面活性剤を含む、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が含まれる。
上記炭化水素含有界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。すなわち、核形成界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。上記非イオン性炭化水素界面活性剤は、好ましくは芳香族部分を含まない。
上記非イオン性炭化水素界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体等が挙げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等であり;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの例は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等であり;ポリオキシエチレンアルキルエステルの例は、ポリエチレングリコールモノラウリレート(polyethylene glycol monolaurylate)、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等であり;ソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート(polyoxyethylene sorbitan monolaurylate)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等であり;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等であり;グリセロールエステルの例は、モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等である。また、それらの誘導体の例は、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等である。特に好ましいのは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエステルである。このようなエーテル及びエステルの例は、10〜18のHLB値を有するものである。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜20。EOは、エチレンオキシド単位を表す)、ポリエチレングリコールモノステアレート(EO:10〜55)及びポリエチレングリコールモノオレエート(EO:6〜10)がある。
好適な非イオン性炭化水素界面活性剤としては、Dow Chemical Companyによって供給されるTriton(登録商標)Xシリーズ等のオクチルフェノールエトキシレートが挙げられる:
Figure 2021102731
Triton(登録商標)
X15:n=1.5(avg)
X45:n=4.5(avg)
好ましい非イオン性炭化水素界面活性剤は、Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)15−Sシリーズ等の分枝鎖状アルコールエトキシレート及びやはりDow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)TMNシリーズ等の分枝鎖状第2級アルコールエトキシレートである:
Figure 2021102731
Tergitol(登録商標)
TMN−6:n=8(avg)
TMN−10:n=11(avg)
TMN−100:n=10(avg)
Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)Lシリーズ界面活性剤等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーは、上記非イオン性炭化水素界面活性剤としても有用である。
更に別の有用な群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、以下のもの等の、BASFからPluronic(登録商標)Rシリーズとして供給される二官能基ブロックコポリマーである:
Figure 2021102731
Pluronic(登録商標)
31R1:m=26(avg)、n=8(avg)
17R2:m=14(avg)、n=9(avg)
10R5:m=8(avg)、n=22(avg)
25R4:m=22(avg)、n=23(avg)
別の群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、BASF CorporationからIconol(登録商標)TDAシリーズとして供給されるトリデシルアルコールアルコキシレートである。
Figure 2021102731
Iconol(登録商標)
TDA−6:n=6(avg)
TDA−9:n=9(avg)
TDA−10:n=19(avg)
上記カチオン性界面活性剤も、核形成界面活性剤として使用できる。典型的なカチオン性界面活性剤は、アルキル化臭化アンモニウム等のアルキル化ハロゲン化アンモニウム等の正に帯電した親水性部分、及び長鎖脂肪酸等の疎水性部分を有する。
使用され得る別の群の核形成剤は、炭化水素含有シロキサン界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤であり、ここで、上記のヒドロカルビル基は、フッ素等のハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換され、それによって、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基上の一価置換基は水素である。核形成剤として好ましいのは、非イオン性部分を有する炭化水素シロキサン、すなわち、非イオン性炭化水素(シロキサン)界面活性剤である。
上記核形成剤の分解に用いる上記分解剤は、酸化剤であることが好ましく、フルオロモノマーの重合にも使用可能なラジカル重合開始剤であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、無機過酸等の無機開始剤の高活性の水溶性塩が挙げられ、なかでも、過硫酸塩、例えば、過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウムが好ましい。上記過硫酸塩は、金属イオンを実質的に含まないことが好ましく、アンモニウム塩であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、アゾアミジン化合物等の水溶性有機アゾ化合物も有用である。
上記重合開始剤は、フルオロモノマーを重合するのに使用される重合開始剤と同じであってもよく、異なっていてもよい。
水性媒体に添加される上記分解剤の量は、重合反応を開始させるのに必要な量より少ないことが好ましく、上記水性媒体に対し、好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、更により好ましくは20ppm以下、最も好ましくは15ppm以下である。上記分解剤の量の下限は、例えば1ppmである。
上記核形成剤の分解は、無機塩の存在下に行うことが好ましい。これにより、形成される上記親油性核形成部位の数を増加させることができ、より小さい一次粒子径を有するフルオロポリマーが得られる。
上記無機塩の例としては、水溶性無機塩が挙げられ、例えば、Na、K等のアルカリ金属カチオン、NH 等のカチオンと、−SO、−HSO、−NO 、−Cl、−CO 、−B 、−HPO 等のアニオンとを含有するものが挙げられる。重合によって作製されるフルオロポリマーが溶融押出によって加工される場合、塩は、好ましくはアンモニウム塩である。
上記核形成剤の分解(酸化)反応の時点で水性媒体中に存在する上記無機塩の量は、上記水性媒体に対し、好ましくは100ppm以下、より好ましくは75ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは25ppm以下である。また、使用される場合の量の下限は1ppmであってよい。
また、本開示の製造方法において、上記界面活性剤と、所望により用いるその他の界面活性能を有する化合物に加え、各化合物を安定化するため添加剤を使用することができる。上記添加剤としては、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤等が挙げられる。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコーンオイル等が好ましい。安定化助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化助剤としては、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で液体でも、半固体でも、固体であってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40〜65℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。
安定化助剤の使用量は、使用する水性媒体の質量基準で0.1〜12質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。安定化助剤は十分に疎水的で、TFEの乳化重合後にPTFE水性乳化液と完全に分離されて、コンタミ成分とならないことが望ましい。
本開示の製造方法において、上記重合工程は、重合反応器に、水性媒体、TFE、連鎖移動剤及び開始剤等の必要な添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の開始剤を加え、重合反応を開始することにより行う。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、開始剤、連鎖移動剤等を追加添加してもよい。上記界面活性剤の添加タイミングは目的に応じて決定すればよく、重合反応の開始前、開始時、開始後のいずれに添加してもよく、それらの複数のタイミングで添加してもよい。
上記重合において、通常、重合温度は、5〜120℃であり、好ましくは、10〜100℃であり、より好ましくは、20〜90℃である。重合圧力は、通常、0.05〜10MPaGであり、好ましくは、0.1〜5.0MPaGであり、より好ましくは、0.2〜3.0MPaGである。重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記界面活性剤は、合計添加量で、水性媒体100質量%に対して0.0001〜10質量%の量を添加することが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。0.0001質量%未満であると、分散力が不充分となるおそれがあり、10質量%を超えると、添加量に見合った効果が得られず、却って重合速度の低下や反応停止が起こるおそれがある。上記界面活性剤の添加量は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量等によって適宜決定される。
上記水性媒体は、上記TFEの重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
本開示の製造方法により製造されるフルオロポリマーとしては、TFE単独重合体であってもよいし、80モル%超のTFE単位と、20モル%未満の上記TFE以外のモノマーに基づく重合単位と、からなる共重合体であってもよい。
本開示の製造方法により製造されるフルオロポリマーとしては、後述する本開示のフルオロポリマーが挙げられる。
本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表される。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
従来、TFE系の重合体においてブロック共重合することは困難であった。本開示のフルオロポリマーは、上記特定の基を末端に有することによって、ブロック共重合が可能となる。従って、本開示のフルオロポリマーは、ブロック共重合体を製造するための中間体としても有用である。
また、本開示のフルオロポリマーは、中間体だけでなく、上述したような用途にそのまま使用することもできる。
式(CRP1)中のZc11としては、上述した式(c1−1)中のZc1と同様のものが挙げられる。
式(CRP2)中のZc12としては、上述した式(c1−2)中のZc2と同様のものが挙げられる。
式(CRP3)中のRc11としては、上述した式(c1−2’)中のRと同様のものが挙げられる。
式(CRP4)中のZc13としては、上述した式(c1−3)中のZc3及びZc4と同様のものが挙げられる。
式(CRP5)中のZc14としては、上述した式(c1−4)中のZc5と同様のものが挙げられる。
上記CRPとしては、重合速度の観点から、(CRP5)が好ましい。
上記式(CRP1)〜(CRP5)は、本開示の製造方法において記載した連鎖移動剤に由来する基である。言い換えると、上記式(CRP1)〜(CRP5)は、上記連鎖移動剤の構造の少なくとも一部がフルオロポリマー(好ましくはフルオロポリマーの主鎖末端)に組み込まれた部分である。
本開示のフルオロポリマーは、80モル%超のTFE単位を含む。TFE単位は90モル%以上であることが好ましく、90モル%超であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましく、99モル%以上であることが更により好ましい。
本開示のフルオロポリマーはまた、TFEに基づく重合単位が99.0質量%以上であり、TFE以外のモノマーに基づく重合単位が1.0質量%以下である変性PTFEであってもよい。
上記Afは、TFEに由来する単量体単位のみからなるフルオロポリマーセグメントであることが1つの好適な態様である。
言い換えると、本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Bf−CRP
(式中、Bfは、TFEに基づく重合単位のみからなるフルオロポリマーセグメントである。CRPは、前記と同じ。)で表されるものであることが好ましい。
上記AfがTFEに由来する単量体単位のみからなるフルオロポリマーセグメントであるフルオロポリマーは、いわゆる、PTFEである。以下、PTFEについて説明する。
本開示の製造方法により得られるPTFEは低分子量PTFEであってもよいし、高分子量PTFEであってもよい。
分子量60万以下の低分子量PTFE(PTFEマイクロパウダーとも呼ばれる)は、化学的安定性に優れ、表面エネルギーが極めて低いことに加え、フィブリル化が生じにくいので、滑り性や塗膜表面の質感を向上させること等を目的とした添加剤として、プラスチック、インク、化粧品、塗料、グリース、オフィスオートメーション機器部材、トナー等の製造に好適である(例えば、特開平10−147617号公報参照。)。
上記重合により得られる低分子量PTFEを粉末として用いる場合、PTFEの分散液を凝析させることで粉末粒子とすることができる。
高分子量PTFEとは、非溶融加工性及びフィブリル化性を有するPTFEを意味する。他方、低分子量PTFEとは、溶融加工性を有し、フィブリル化性を有しないPTFEを意味する。
上記非溶融加工性とは、ASTM D−1238及びD−2116に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質を意味する。
フィブリル化性の有無は、TFEの重合体から作られた粉末である「高分子量PTFE粉末」を成形する代表的な方法である「ペースト押出し」で判断できる。通常、ペースト押出しが可能であるのは、高分子量のPTFEがフィブリル化性を有するからである。ペースト押出しで得られた未焼成の成形物に実質的な強度や伸びがない場合、例えば伸びが0%で引っ張ると切れるような場合はフィブリル化性がないとみなすことができる。
上記高分子量PTFEは、標準比重(SSG)が2.130〜2.280であることが好ましい。上記標準比重は、ASTM D4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D−792に準拠した水置換法により測定する。「高分子量」とは、上記標準比重が上記の範囲内にあることを意味する。
上記低分子量PTFEは、380℃における複素粘度が1×10〜7×10Pa・sである。「低分子量」とは、上記複素粘度が上記の範囲内にあることを意味する。
上記高分子量PTFEは、上記低分子量PTFEよりも複素粘度が極めて高く、その正確な複素粘度を測定することは困難である。他方、上記低分子量PTFEの複素粘度は測定可能であるが、上記低分子量PTFEからは、標準比重の測定に使用可能な成形品を得ることが難しく、その正確な標準比重を測定することが困難である。従って、上記高分子量PTFEの分子量の指標として、標準比重を採用し、上記低分子量PTFEの分子量の指標として、複素粘度を採用する。なお、上記高分子量PTFE及び上記低分子量PTFEのいずれについても、直接に分子量を特定できる測定方法は知られていない。
上記高分子量PTFEは、ピーク温度が333〜347℃であることが好ましく、335〜345℃であることがより好ましい。上記低分子量PTFEは、ピーク温度が322〜333℃であることが好ましく、324〜332℃であることがより好ましい。上記ピーク温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記高分子量PTFEは、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線において、333〜347℃の範囲に少なくとも1つ以上の吸熱ピークが現れ、上記融解熱曲線から算出される290〜350℃の融解熱量が62mJ/mg以上であることが好ましい。
上記PTFEは水性分散液やファインパウダーとして用いることができる。
PTFEのファインパウダーは、成形用として好ましく、好適な用途としては、航空機及び自動車等の油圧系、燃料系のチューブ等が挙げられ、薬液、蒸気等のフレキシブルホース、電線被覆用途等が挙げられる。
PTFEの水性分散液は、また、非イオン性界面活性剤を加えることにより、安定化して更に濃縮し、目的に応じ、有機又は無機の充填剤を加えた組成物として各種用途に使用することも好ましい。上記組成物は、金属又はセラッミクスからなる基材上に被覆することにより、非粘着性と低摩擦係数を有し、光沢や平滑性、耐摩耗性、耐候性及び耐熱性に優れた塗膜表面とすることができ、ロールや調理器具等の塗装、ガラスクロスの含浸加工等に適している。
上記水性分散液からPTFEのオルガノゾルを調製することもできる。上記オルガノゾルは、上記PTFE及び有機溶剤を含むことができ、上記有機溶剤としては、エーテル系溶媒、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド等を好適に使用できる。上記オルガノゾルの調製は、例えば、国際公開第2012/002038号に記載の方法により実施できる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEのファインパウダーは、加工助剤として使用することも好ましい。加工助剤として使用する場合、上記水性分散液又は上記ファインパウダーをホストポリマー等に混合することにより、ホストポリマー溶融加工時の溶融強度向上や、得られたポリマーの機械的強度、電気特性、難燃性、燃焼時の滴下防止性、摺動性を向上することができる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、電池用結着剤、防塵用途として使用することも好ましい。
本開示の製造方法で得られたPTFEファインパウダーから、未焼成テープ(生テープ)を得ることもできる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、また、PTFE以外の樹脂と複合させてから加工助剤として使用することも好ましい。上記水性分散液又は上記ファインパウダーは、例えば、特開平11−49912号公報、米国特許第5804654号明細書、特開平11−29679号公報、特開2003−2980号公報に記載されたPTFEの原料として好適である。上記水性分散液又は上記ファインパウダーを使用した加工助剤は、上記各刊行物に記載された加工助剤に比べてもなんら劣るものではない。
上記PTFEの水性分散液は、溶融加工性フッ素樹脂の水性分散液と混合して凝析させることにより、共凝析粉末とすることも好ましい。上記共凝析粉末は、加工助剤として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、エチレン/TFE/HFP共重合体[EFEP]等が挙げられるが、中でもFEPが好ましい。
上記水性分散液は、上記溶融加工性フッ素樹脂を含むことも好ましい。上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、EFEP等が挙げられる。上記溶融加工性フッ素樹脂を含む上記水性分散液は、塗料として使用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂は、上記PTFEの粒子同士を充分に融着させることができるので、造膜性を向上させ、得られる被膜に光沢を出すことができる。
上記共凝析粉末を添加するフッ素非含有樹脂は、パウダー状であってもよいし、ペレット状であってもよいし、エマルションであってもよい。上記添加は、各樹脂を充分に混合する点で、押出混練、ロール混練等の公知の方法により剪断力を与えながら行うことが好ましい。
上記PTFEの水性分散液は、塵埃抑制処理剤として使用することも好ましい。上記塵埃抑制処理剤は、発塵性物質と混合し、該混合物に20〜200℃の温度で圧縮−せん断作用を施すことによりPTFEをフィブリル化して発塵性物質の塵埃を抑制する方法、例えば特許第2827152号公報、特許第2538783号公報等の方法において、用いることができる。
上記PTFEの水性分散液は、例えば、国際公開第2007/004250号に記載の塵埃抑制処理剤組成物に好適に用いることができ、国際公開第2007/000812号に記載の塵埃抑制処理方法にも好適に用いることができる。
上記塵埃抑制処理剤は、建材分野、土壌安定材分野、固化材分野、肥料分野、焼却灰及び有害物質の埋立処分分野、防爆分野、化粧品分野、猫砂に代表されるペット排泄用の砂等の塵埃抑制処理に好適に用いられる。
上記PTFEの水性分散液は、分散紡糸法(Dispersion Spinning method)によりPTFE繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記分散紡糸法とは、上記PTFEの水性分散液とマトリックス高分子の水性分散液とを混合し、当該混合物を押出加工して中間体繊維構造物を形成し、該中間体繊維構造物を焼成することによって上記マトリックス高分子を分解及びPTFE粒子の焼結を行ってPTFE繊維を得る方法である。
重合により得られる高分子量PTFE粉末は、延伸性及び非溶融加工性を有し、延伸体(多孔体)の原料としても有用である。
この延伸体が膜である場合(PTFE延伸膜またはPTFE多孔膜)、公知のPTFE延伸方法によって延伸することができる。延伸することにより高分子量PTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなるPTFE多孔体(膜)となる。
好ましくは、シート状または棒状のペースト押出物を押出方向にロール延伸することで、一軸延伸膜を得ることができる。
更に、テンター等により幅方向に延伸して、二軸延伸膜も得ることができる。
延伸前に半焼成処理を行うことも好ましい。
このPTFE延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体であり、エアフィルター、薬液フィルター等の各種精密濾過フィルターの濾材、高分子電解質膜の支持材等として好適に利用できる。
また、繊維分野、医療分野、エレクトロケミカル分野、シール材分野、空気濾過分野、換気/内圧調整分野、液濾過分野、一般消費材分野等で使用する製品の素材としても有用である。
以下に、具体的な用途を例示する。
エレクトロケミカル分野
誘電材料プリプレグ、EMI遮蔽材料、伝熱材料等。より詳細には、プリント配線基板、電磁遮蔽シールド材、絶縁伝熱材料、絶縁材料等。
シール材分野
ガスケット、パッキン、ポンプダイアフラム、ポンプチューブ、航空機用シール材等。
空気濾過分野
ULPAフィルター(半導体製造用)、HEPAフィルター(病院・半導体製造用)、円筒カートリッジフィルター(産業用)、バグフィルター(産業用)、耐熱バグフィルタ−(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルター(排ガス処理用)、SINBRANフィルター(産業用)、触媒フィルター(排ガス処理用)、吸着剤付フィルター(HDD組込み)、吸着剤付ベントフィルター(HDD組込み用)、ベントフィルター(HDD組込み用他)、掃除機用フィルター(掃除機用)、汎用複層フェルト材、GT用カートリッジフィルター(GT向け互換品用)、クーリングフィルター(電子機器筐体用)等。
換気/内圧調整分野
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、タブレット端末や携帯電話端末等の小型端末を含む電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等。
液濾過分野
半導体液ろ過フィルター(半導体製造用)、親水性PTFEフィルター(半導体製造用)、化学薬品向けフィルター(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルター(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルター(産業排水処理用)等。
一般消費材分野
衣類、ケーブルガイド(バイク向け可動ワイヤ)、バイク用衣服、キャストライナー(医療サポーター)、掃除機フィルター、バグパイプ(楽器)、ケーブル(ギター用信号ケーブル等)、弦(弦楽器用)等。
繊維分野
PTFE繊維(繊維材料)、ミシン糸(テキスタイル)、織糸(テキスタイル)、ロープ等。
医療分野
体内埋設物(延伸品)、人工血管、カテーテル、一般手術(組織補強材料)、頭頸部製品(硬膜代替)、口内健康(組織再生医療)、整形外科(包帯)等。
上記Afは、TFEに基づく重合単位が80モル%超であれば、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含んでいてもよい。TFE以外のモノマーとしては、上述した本開示の製造方法で記載したものと同じである。
上記TFE以外のモノマーに基づく重合単位としては、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに由来する単量体単位とがランダム共重合したフルオロポリマーセグメントであることが1つの態様である。
上記一般式(1)で示されるモノマー及び/又は一般式(2)で示されるモノマーとしては、本開示の製造方法において記載したものと同じである。
この場合、上記Afは、TFEに基づく重合単位が80モル%超100モル%未満であることが好ましい。TFEに基づく重合単位は、81モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上が更に好ましく、99モル%以上が特に好ましい。
上記AfがTFEに由来する単量体単位と、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに由来する単量体単位とがランダム共重合したフルオロポリマーセグメントである場合、上記フルオロポリマーは、TFEと、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーとのコポリマーであり、例えば、TFE−HFP共重合体(FEP)、TFE−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、エチレン−TFE共重合体(ETFE)、TFE/VDF共重合体等の溶融加工性フッ素樹脂等が挙げられる。
また、TFEと、TFE以外のモノマー(変性モノマー)とからなる変性PTFEであってもよい。この場合、TFE以外のモノマーが1質量%以下であることが好ましい。
上記FEPの好ましい単量体組成(質量%)は、TFE:HFP=(80〜95):(5〜20)、より好ましくは(85〜92):(8〜15)である。上記FEPとしては、また、更に第3成分としてパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類を用い、全単量体の0.1〜2質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記FEPは、例えば、電線、発泡電線、ケーブル、ワイヤ等の被覆材、チューブ、フィルム、シート、フィラメント等の種々の成形品の製造に供することができる。
上記PFAの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)=(90〜99.7):(0.3〜10)、より好ましくは(97〜99):(1〜3)である。上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、式:CF=CFORf(式中、Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基)で表されるものを使用することが好ましい。
上記PFAから種々の成形品を得ることができる。成形品の例をあげると、シート、フィルム、パッキン、丸棒、角棒、パイプ、チューブ、丸槽、角槽、タンク、ウェハーキャリア、ウェハーボックス、ビーカー、フィルターハウジング、流量計、ポンプ、バルブ、コック、コネクター、ナット、電線、耐熱電線などがある。これらのうち、特に薬液の不透過性が要求される各種の化学反応装置、半導体製造装置、さらには酸系またはアルカリ系の薬液供給装置などに使用するチューブ、パイプ、タンク、コネクターなどに好適に使用できる。
更に、PFA単独で、又は、必要に応じて、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、金属粉末等を加えて、有機溶媒中に溶解または分散させることで、プライマー組成物を得ることもできる。このプライマー組成物を金属表面に施し、かくして形成されたプライマー層上に溶融加工性フッ素樹脂組成物を施し、プライマー層と共に溶融加工性フッ素樹脂組成物層を焼成することからなる金属表面へのフッ素樹脂の被覆方法にも用いることができる。
上記ETFEの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:エチレン=(80〜99):(20〜1)である。上記ETFEとしては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜20質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。好ましくは、TFE:エチレン:第3モノマー=(80〜94):(19〜2):(1〜10)である。上記第3モノマーとしては、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロブチルエチレン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタ−1−エン、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロペン((CFC=CH)が好ましい。
上記ETFEは、押出成形してシートにすることもできる。例えば、ETFE粉末、またはETFEのペレットを溶融させ、ダイから連続的に押し出し、冷却して得られるシート状の成形品にすることができる。ETFEには添加剤が添加されていてもよい。
添加剤としては、公知のものを適宜用いることができる。具体例としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、難燃剤、難燃フィラー、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。耐候性が優れる点からは無機系添加剤が好ましい。
上記ETFEのシートにおける添加剤の含有量は、ETFEのシートの総質量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
上記ETFEのシートは、機械的強度および外観に優れることから、膜構造建築物(運動施設、園芸施設、アトリウム等)用の膜材(屋根材、天井材、外壁材、内壁材、被覆材等)として好適である。
また、膜構造建築物の膜材だけではなく、たとえば、屋外使用板材(防音壁、防風フェンス、越波柵、車庫天蓋、ショッピングモール、歩行路壁、屋根材)、ガラス飛散防止フィルム、耐熱・耐水シート、建材等(テント倉庫のテント材、日よけ用膜材、明かり取り用の部分屋根材、ガラスに替わる窓材、防炎仕切り用膜材、カーテン、外壁補強、防水膜、防煙膜、不燃透明仕切り、道路補強、インテリア(照明、壁面、ブランド等)、エクステリア(テント、看板等)等)、生活レジャー用品(釣りざお、ラケット、ゴルフクラブ、映写幕等)、自動車用材料(幌、制振材、ボディ等)、航空機材料、船舶材料、家電外装、タンク、容器内壁、フィルタ、工事用膜材、電子材料(プリント基板、配線基板、絶縁膜、離型膜等)、太陽電池モジュールの表面材料、太陽熱発電用のミラー保護材、ソーラー温水器の表面材等に有用である。
上記TFE/VDF共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:VDF=(81〜90):(10〜19)である。TFE/VDF共重合体としては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜10モル%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記第3モノマーとしては、
式: CX1112=CX13(CX1415n1116
(式中、X11〜X16は同一又は異なってH、F又はClを表し、n11は0〜8の整数を表す。但し、TFE及びVDFを除く。)で示されるモノマー、又は、
式: CX2122=CX23−O(CX2425n2126
(式中、X21〜X26は同一又は異なってH、F又はClを表し、n21は0〜8の整数を表す。)で示されるモノマーが好ましい。
また、第3モノマーはフッ素非含有エチレン性単量体でもよい。上記フッ素非含有エチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性を維持する点で、炭素数6以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等)、マレイン酸、イタコン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
得られたTFE/VDF共重合体を、アンモニア水、アンモニアガス又はアンモニアを生成しうる窒素化合物と接触させることによりアミド化処理してもよい。
上記TFE/VDF共重合体は、紡糸延伸方法によりTFE/VDF共重合体繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記紡糸延伸方法とは、TFE/VDF共重合体を溶融紡糸してから冷却固化して未延伸糸を得た後、該未延伸糸を加熱筒状体中に走行させて延伸することによりTFE/VDF共重合体繊維を得る方法である。
上記TFE/VDF共重合体を、有機溶剤に溶解させて、上記TFE/VDF共重合体の溶液を得ることもできる。上記有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;更に、それらの混合溶剤等の低沸点の汎用有機溶剤を挙げることができる。上記溶液は、電池用結着剤として使用できる。
上記TFE/VDF共重合体の水性分散液をポリオレフィン樹脂からなる多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。水性分散液に無機粒子、及びまたは有機系粒子を分散させ、多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。このようにして得られた複合多孔膜はリチウム二次電池のセパレーターなどの使用することができる。
上記溶融加工性フッ素樹脂の粉末は、粉体塗料として好適に利用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂粉末からなる粉体塗料を基材に適用すると、表面が平滑な皮膜を得ることができる。平均粒径が1μm以上100μm未満である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に静電塗装に使用する粉体塗料として好適であり、平均粒径が100μm以上1000μm以下である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に回転塗装又は回転成形に使用する粉体塗料として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂粉末は、上述した本開示の製造方法で得られた溶融加工性フッ素樹脂を乾燥させて粉体化することによって粉末を得る方法により製造できる。
上記Afが、TFEとTFE以外のモノマーとがランダム共重合したポリマーセグメントである場合、得られるフルオロポリマーは、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下のTFE以外の変性モノマーに基づく重合単位とを含む変性PTFEであってもよい。
上記変性モノマーの合計量は、工程(ii)で得られるフルオロポリマーに対して、0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましい。
上記変性モノマーとしては、例えば、上記一般式(1)及び一般式(2)で示されるモノマーが挙げられ、特に、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、環境負荷低減の観点から、数平均分子量が1000以上であることが好ましい。本開示のフルオロポリマーは、数平均分子量が3000以上であることがより好ましく、5000以上であることが更に好ましく、10000以上であることが特に好ましい。
上記数平均分子量は、例えば、PTFEの場合は、固体19F−NMR測定より得られるTFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク積分値と、ポリマー末端の連鎖移動剤切片由来のピーク積分値の比から見積もられる重合度nから算出する。ポリマーの数平均分子量は、モノマーの分子量mと重合度nの積(m×n)として算出することができる。
上記数平均分子量は、例えば、溶剤に溶解可能なポリマーの場合は、GPC測定より得られる数平均分子量であってよい。
本開示は、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表されるフルオロポリマーを含むことを特徴とする組成物にも関する。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
本開示の組成物において、フルオロポリマーは上述した本開示のフルオロポリマーと同じである。
上記フルオロポリマーは、上述した本開示の製造方法によって製造することができる。
本開示の組成物は、更に、上記界面活性剤を含むことが好ましい。上記界面活性剤としては、上述した本開示の製造方法において使用する界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤は、含フッ素界面活性剤であってもよいし、炭化水素系界面活性剤であってもよいが、炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。
本開示の組成物は、水性ディスパージョンであってもよいし、粉末であってもよいし、ペレットであってもよい。水性ディスパージョンは重合上がりのディスパージョンであってもよいし、重合上がりのディスパージョンを加工したものであってもよい。例えば、機械的安定性や貯蔵安定性のために非イオン性界面活性剤等を添加したものであってもよい。上記非イオン性界面活性剤を添加する場合、その添加量は、上記フルオロポリマーに対して0.5〜25質量%であることが好ましい。上記添加量の下限は、1質量%であることがより好ましく、3質量%であることが更に好ましい。上限は、20質量%であることがより好ましく、15質量%であることが更に好ましく、10質量%であることが特に好ましい。
水性ディスパージョンとは、水性媒体を分散媒とし、上記フルオロポリマーを分散質とする分散系である。上記水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等の有機溶媒を含むものであってもよい。
上記組成物における上記界面活性剤の含有量の下限値は、上記フルオロポリマーに対して10ppbであることが好ましく、100ppbであることがより好ましく、1ppmであることが更に好ましく、10ppmであることが更により好ましく、50ppmであることが特に好ましい。上限値は、フルオロポリマー(1)に対して100000ppmであることが好ましく、50000ppmであることがより好ましく、10000ppmであることが更に好ましく、5000ppmであることが特に好ましい。
本開示は、上記組成物を成形して得られる成形体にも関する。成形に用いる上記組成物は、粉末又はペレットであることが好ましい。
成形方法としては、特に限定されず、例えば、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、射出成形、ブロー成形、ロト成形、ロトライニング成形、静電塗装等が挙げられる。
上記成形体の形状としては、特に限定されず、例えば、ホース、パイプ、チューブ、シート、シール、ガスケット、パッキン、フィルム、タンク、ローラー、ボトル、容器等が挙げられる。
本開示はまた、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でTFEを重合してTFEに基づく重合単位を80モル%超(好ましくは90モル%超)含むフルオロポリマーを得る重合工程、及び、重合工程で得られたフルオロポリマーを含む水性媒体中で、TFE以外のモノマーをブロック共重合するブロック重合工程を含み、上記連鎖移動剤はジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物及びキサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第2の製造方法」ともいう)をも提供する。
本開示の第2の製造方法において、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤、水性媒体、TFE以外のモノマーとしては、本開示の製造方法に記載したものと同じである。また、上記重合工程は、本開示の製造方法と同じである。上記重合工程により、上述した本開示のフルオロポリマーのように、末端にCRPを有するポリマーが得られ、これにより、TFE以外のモノマーをブロック共重合することができる。
本開示の第2の製造方法において、重合工程は1回行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行うことによって複数のブロック(セグメント)を有するブロック共重合体を製造できる。
本開示の第2の製造方法において、上記重合工程と、ブロック重合工程は連続的におこなってもよいし、上記重合工程で得られたポリマーを回収し、回収したポリマーを水性媒体に添加してからTFE以外のモノマーを添加して重合を行ってもよい。
上記ブロック重合工程の温度は、ブロック共重合が可能な温度であれば特に限定されないが、例えば、0〜150℃であってよい。好ましくは、20〜130℃であり、より好ましくは、40〜110℃である。
上記ブロック重合工程の圧力は、ブロック共重合が可能な圧力であれば特に限定されないが、例えば、0〜9.8MPaGであってよい。好ましくは、0.2〜6.0MPaGであり、より好ましくは、0.5〜3.0MPaGである。
上記ブロック重合工程において、水性媒体に対するTFE以外のモノマーの濃度は0.1〜20モル/Lであることが好ましい。より好ましくは、0.3〜18モル/Lであり、更に好ましくは、0.5〜15モル/Lである。
上記ブロック重合工程は1回行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行うことによって複数のブロック(セグメント)を有するブロック共重合体を製造できる。
本開示の第2の製造方法によって得られるフルオロポリマーとしては、例えば、後述する本開示の第2のフルオロポリマー等が挙げられる。
本開示はまた、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むセグメントAと、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むセグメントBから構成されるフルオロポリマー(以下「本開示の第2のフルオロポリマー」とも記載する。)を提供する。上記TFE以外のモノマーとしては特に限定されないが、上述した一般式(1)及び/又は(2)で示されるモノマーが好ましい。
上記セグメントAは、TFEに由来する単量体単位を80モル%超含むものである。セグメントAは、TFEに由来する単量体単位を90モル%超含むものであることが好ましく、TFEに基づく重合単位のみからなることがより好ましい。上記セグメントAは、TFE単独重合体(PTFE)からなるポリマーセグメントであることが好ましい、上述したPTFEの特徴を全て採用できる。
セグメントBは、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むものであればよいが、一般式(1)及び/又は一般式(2)に基づく重合単位を含むものであることが好ましく、特に、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、HFP、CTFE、VDF、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、N−アクリルアミド化合物、アルケン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が更により好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
上記セグメントBを構成する重合体としては、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むものであり、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに基づく重合単位を含むものが好ましく、例えば、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル;ポリ(N−ビニルピロリドン)等のポリビニルアミド;PVDF等のポリフルオロオレフィン等が特に好ましい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、セグメントA及びセグメントBを含む。本開示の第2のフルオロポリマーは、下記式:
−A−L−B−
(式中、AはセグメントAであり、BはセグメントBであり、Lは連結基を表す。)の構造を含むことが好ましい。
上記Lは、単結合であってもよいし、2価の有機基であってもよい。Lにおける2価の有機基としては、アルキレン基、オキシアルキレン基等が挙げられる。
上記Lは単結合であることが好ましい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、上記セグメントAとセグメントBが単結合により結合した−A−B−構造を含むことが好ましい。
セグメントAとセグメントBが単結合により結合しているとは、セグメントAの端部を構成する重合単位(例えば、TFEに由来する重合単位)と、セグメントBの端部を構成する重合単位(例えば、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに基づく重合単位)とが直接結合していることを意味する。このような構成は、本開示の第2の製造方法によって実現できる。
本開示の第2のフルオロポリマーにおいて、−A−L−B−構造は少なくとも1つ存在すればよく、2以上あってもよいし、3以上あってもよい。すなわち、本開示の第3のフルオロポリマーは、少なくとも1つのセグメントAと少なくとも1つのセグメントBがL(好ましくは単結合)により結合していればよく、−A−L−B−が2回以上繰り返されたものであってよく、3回以上繰り返された構造を有するものであってもよい。例えば、−A−L−B−、−B−L−A−、−A−L−B−L−A−、−B−L−A−L−B−、−A−L−B−L−A−L−B−、−B−L−A−L−B−L−A−等の構成であってもよい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、上記セグメントAとセグメントBとの質量比(A/B)が99/1〜1/99であってよい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、TFEに由来する単量体に基づく単量体単位を含むセグメントAと、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示される単量体に基づく単量体単位を含むセグメントBの両方の性質を併せ持つことができる。このようなフルオロポリマーは、例えば、フッ素樹脂を複合するための相溶化剤、接着剤としての用途が期待される。
また、本開示の第2のフルオロポリマーは、本開示の第1及び第2のフルオロポリマーにおいて記載した各フルオロポリマーの用途にも採用できる。
次に実施例を挙げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例では下記式で表される10−オキソウンデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として用いた。
Figure 2021102731
実施例1
オートクレーブに、水550g、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム0.019g、パラフィン30g、O−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネート0.10gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。系内をTFEで置換し、70℃まで昇温した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)0.11gを供給して重合を開始した。重合圧力を0.83MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFEを連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了後、フルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.0gを得た。固体19F−NMR測定(高速MAS法)より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピークを基準(CFCFCF=−120ppm)としたときに、−CF−S−由来のピークが−85ppmに見えたことから、ポリマー末端に連鎖移動剤切片A(−SC(S)OC)が導入されたことを確認した。また、切片B(−CFH)も確認した。CF連鎖由来のピーク積分値と切片A+Bのピーク積分値の比から見積もられる重合度は、249であった。
実施例2
オートクレーブに、水550g、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム0.019g、パラフィン30g、O−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネート0.10gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。系内をTFE/VDF混合モノマー91/9(モル%)で置換し、70℃まで昇温した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)0.11gを供給して重合を開始した。重合圧力を0.90MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFE/VDF混合モノマー91/9(モル%)を連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了後、フルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.3gを得た。固体19F−NMR測定と元素分析より見積もられる単量体組成比は、TFE/VDF:92/8(モル%)であった。
実施例3
実施例1において、0.3gのHFPを加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.1gを得た。FT−IR測定より、982cm−1における赤外線吸光度/935cm−1における赤外線吸光度の比に0.3を乗じることで、見積もられる単量体組成比は、TFE/HFP:94/6(モル%)であった。
実施例4
実施例1において、0.2gのパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)を加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.0gを得た。固体19F−NMR測定より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク(CFCFCF=−120ppm)積分値とPMVEのCF由来のピーク(−52ppm)積分値から見積もられる単量体組成比は、TFE/PMVE:95/5(モル%)であった。
実施例5
実施例1において、0.3gのパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.1gを得た。固体19F−NMR測定より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク(CFCFCF=−120ppm)積分値とPPVEのCF由来のピーク(−52ppm)積分値から見積もられる単量体組成比は、TFE/PPVE:95/5(モル%)であった。


本開示は、フルオロポリマーの製造方法に関する。
フルオロポリマーの製造方法としては、乳化重合や溶液重合が採用されている。
例えば、特許文献1には、式:CFClO(CF−CF(CF)O)(CFO)CFCOOH(式中、n/m=10であり、600の平均分子量を有する)の酸性末端基を有するパーフルオロポリオキシアルキレンと、n/m=20の、450の平均分子量を有する式:CFO(CFCF(CF)O)(CFO)CFのパーフルオロポリエーテルとを混合することによって予め得られたマイクロエマルション、及び、連鎖移動剤としてのO−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネートの存在下に、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを重合したことが記載されている。
ところで、特許文献2には、エチレン性不飽和単量体の少なくとも1種と、遊離ラジカル源の少なくとも1種と、特定構造の化合物を接触させることを特徴とする重合体の製造方法が記載されています。特許文献3には、キサンテート、ジチオカルバメート、チオエーテルチオン及びリンを含むキサンテートから選択される少なくとも1つの制御剤等を含むミニエマルジョンの調製、及び、フリーラジカル源の存在下で行う前記ミニエマルジョンの反応、を含むポリマーの製造方法が記載されている。
特表2017−515948号公報 特表2003−501528号公報 米国特許第7317050号明細書
本開示は、フルオロポリマーの新規な製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレンを重合してテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、前記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第1の製造方法」と記載することもある。また、本明細書中、単に「本開示の製造方法」と記載する場合「本開示の第1の製造方法」を意味する。)に関する。
上記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含むことが好ましい。
上記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、更に、テトラフルオロエチレン以外のモノマーに基づく重合単位を含んでもよい。
上記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、下記一般式(1)で示されるモノマー、及び、下記一般式(2)で示されるモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(1):
CF=CR
(式中、Rは、H又はF;Rは−Cl、−CF、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、−Rf、−ORf;R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基又は含フッ素ビニル基;Rfは、含フッ素アルキル基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
一般式(2):
CH=CR
(式中、Rは、R、−CFまたはF;Rは−Cl、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、Rf;R及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基;R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基又は含フッ素アルコキシ基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
上記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記連鎖移動剤は、キサンテート化合物であることが好ましい。
上記重合工程において、水性媒体に対する上記連鎖移動剤の濃度が0.1×10−3〜0.01モル/Lであることが好ましい。
上記界面活性剤は、炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まないことが好ましい。
本開示はまた、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表されることを特徴とするフルオロポリマーでもある。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
上記式中、Afは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含むことが好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Bf−CRP
(式中、Bfは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなるフルオロポリマーセグメントである。CRPは、上記と同じ。)で表されるものであることが好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、分子量が3000以上であることが好ましい。
本開示によれば、フルオロポリマーの新規な製造方法を提供することができる。
本開示を具体的に説明する前に、本明細書で使用するいくつかの用語を定義又は説明する。
本明細書において、フッ素樹脂とは、部分結晶性フルオロポリマーであり、フルオロプラスチックスである。フッ素樹脂は、融点を有し、熱可塑性を有するが、溶融加工性であっても、非溶融加工性であってもよい。
本明細書において、溶融加工性とは、押出機及び射出成形機等の従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01〜500g/10分であることが通常である。
本明細書において、パーフルオロモノマーとは、分子中に炭素原子−水素原子結合を含まないモノマーである。上記パーフルオロモノマーは、炭素原子及びフッ素原子の他、炭素原子に結合しているフッ素原子のいくつかが塩素原子で置換されたモノマーであってもよく、炭素原子の他、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、燐原子、硼素原子又は珪素原子を有するものであってもよい。上記パーフルオロモノマーとしては、全ての水素原子がフッ素原子に置換されたモノマーであることが好ましい。上記パーフルオロモノマーには、架橋部位を与えるモノマーは含まれない。
架橋部位を与えるモノマーとは、硬化剤により架橋を形成するための架橋部位をフルオロポリマーに与える架橋性基を有するモノマー(キュアサイトモノマー)である。
本明細書において、フルオロポリマーを構成する各モノマーの含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
本明細書において、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO−、
RaCO−、
RaSO−、
RaCOO−、
RaNRaCO−、
RaCONRa−、
RaOCO−、
RaOSO−、及び、
RaNRbSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、H又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
また、本明細書において、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、及び、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられ、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されたものであってもよい。
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6〜12、好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセチルアミノフェニル基、4−メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜10の5〜6員へテロ環、例えば2−テトラヒドロフリル基、2−ピリミジル基等が挙げられる。
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3−ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜8のアシルアミノ基、総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(t)−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、へテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2〜5のアルキルカルバモイル基、例えばN−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1〜6、好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル等が挙げられる。
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6〜10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは総炭素原子数2〜8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2−ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4−ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
上記芳香族アミノ基、へテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1〜8、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
本明細書においては更に、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98等が含まれる)。
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100等)。
次に、本開示を具体的に説明する。
本開示の製造方法は、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン[TFE]を重合してTFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、上記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本開示の製造方法は、開始剤、特定の連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、TFEを重合することによって、TFEに基づく重合単位が80モル%超とTFEの割合が多い場合であっても重合することが可能である。上記重合は、いわゆる乳化重合である。
本開示の製造方法は、上記構成を有することによって、TFEに基づく重合単位が80モル%を超える場合であっても、フルオロポリマーを効率よく製造することができる。
TFEに基づく重合単位が多いフルオロポリマーを重合する場合、分子量が低下するため、一般的に連鎖移動剤を使用しない。本開示の製造方法は、TFEに基づく重合単位が多いフルオロポリマーを重合する場合であっても、意外なことに効率よく重合が進行することを見出し完成したものである。
上記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。上記連鎖移動剤としては、ジチオカルバメート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、キサンテート化合物がより好ましい。
上記連鎖移動剤として具体的には式(c1−1)で表されるジチオエステル、式(c1−2)又は式(c1−2’)で表されるトリチオカーボネート、式(c1−3)で表されるジチオカルバメート、式(c1−4)で表されるキサンテートが挙げられる。
Figure 2021102731
式(c1−1)〜(c1−4)中、Zc1はアリール基又はアルキル基であり、例えばフェニル基、シアノフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、エチル基等の炭素数1〜15のアルキル基である。Zc2はアリール基又はアルキル基であり、例えばドデシル基等の炭素数1〜15のアルキル基である。Zc3及びZc4はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であり、例えばメチル基等の炭素数1〜15のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基である。Zc3及びZc4は相互に結合して式(c1−3)中のN原子とともにピロール環、ピロリドン環等の複素環を形成してもよい。Zc5はアリール基又はアルキル基であり、例えばエチル基、トリフルオロエチル基等の炭素数1〜15のアルキル基、フェニル基、パーフルオロフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基である。
c5において、アリール基はフェニル基、シアノフェニル基又はパーフルオロフェニル基が好ましく、フェニル基又はパーフルオロフェニル基がより好ましい。
上記Zc5において、アルキル基はメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基、又はトリフルオロエチル基が好ましく、メチル基、エチル基又はトリフルオロエチル基がより好ましい。
式(c1−1)〜(c1−4)中、Rは、1価の有機基であり、例えば、(i)アルキル基、並びに(ii)アルキル基が有する水素原子の1又は2以上が、フェニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセトキシ基及び下記c1〜c4からなる群から選ばれる少なくとも1種の基で置換された基が挙げられる。
式(c1−2’)において、2つのRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
でのアルキル基の炭素数は、通常1〜18、好ましくは2〜12である。
Figure 2021102731
上記式(c1)〜(c4)中、*は結合位を示す。上記式c2中、Aは炭素数2〜5のアルキレン基、nは10〜300の整数である。
ジチオエステル(c1−1)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
トリチオカーボネート(c1−2)及び(c1−2’)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
(式中、nは10〜300の整数である。)
ジチオカルバメート(c1−3)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
キサンテート(c1−4)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
(式中、nは1〜50の整数である。)
なかでも、以下の化合物(O−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネート)が好ましい。
Figure 2021102731
上記重合工程において、水性媒体に対する上記連鎖移動剤の濃度は0.1×10−3〜0.01モル/Lであることが好ましい。上記連鎖移動剤の濃度が上記範囲であることによって、より効率よく重合を進行させることができる。上記連鎖移動剤の濃度は、水性媒体に対して0.2×10−3モル/L以上がより好ましく、0.3×10−3モル/L以上が更に好ましく、また、0.9×10−2モル/L以下がより好ましく、0.8×10−2モル/L以下が更に好ましい。
上記連鎖移動剤を用いることによって、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を行うことができる。RAFTでは、上記連鎖移動剤の存在下、リビングラジカル重合を行うことができる。
本開示の製造方法は、開始剤の存在下にTFEを重合する。好適な開始剤としては、過酸化物、無機剤、及びアゾ化合物並びに酸化還元ベースの開始剤が挙げられる。
過酸化物開始剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム若しくは過酸化バリウム、ジアセチルパーオキサイド、ジスクシニルパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ジブチリルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルアセチルパーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド及びジラウリルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、並びに、過酸及びその塩(例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に使用することができ、その例としては、tert−ブチルペルオキシアセテート及びtert−ブチルパーオキシピバレートが挙げられる。
上記無機剤の例としては、例えば、過硫酸、過マンガン酸若しくはマンガン酸のアンモニウム塩、アルカリ塩若しくはアルカリ土類塩、又は、マンガン酸が挙げられる。過硫酸塩開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)は、それだけで使用することができるか、又は還元剤と組み合わせて使用されてもよい。好適な還元剤としては、例えば重亜硫酸アンモニウム若しくはメタ重亜硫酸ナトリウム等の重亜硫酸塩、例えばチオ硫酸アンモニウム、カリウム若しくはナトリウム等のチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレ−ト及びアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が挙げられる。使用され得る更なる還元剤としては、例えば、米国特許第5,285,002号明細書に開示されているようなホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Rongalit)又はフルオロアルキルスルフィネートが挙げられる。還元剤は典型的には、過硫酸塩開始剤の半減期を減らす。更に、例えば銅、鉄又は銀塩等の金属塩触媒が添加されてもよい。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。
上記開始剤としては、過酸のエステル、過硫酸塩、ジアシルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、又は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)がより好ましく、tert−ブチルパーオキシピバレート、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルペルオキシアセテート、又は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)が更に好ましい。
上記重合工程において、水性媒体に対する上記開始剤の濃度は1×10−5〜0.01モル/Lであることが好ましい。上記開始剤の濃度が上記範囲であることによって、より効率よく重合を進行させることができる。上記開始剤の濃度は、水性媒体に対して2×10−5モル/L以上がより好ましく、3×10−5モル/L以上が更に好ましく、また、0.9×10−2モル/L以下がより好ましく、0.8×10−2モル/L以下が更に好ましい。
上記連鎖移動剤と開始剤とのモル比[連鎖移動剤]/[開始剤]は、重合を効率よく進行させる観点から、0.1〜40であることが好ましい。より好ましくは、0.2〜30であり、更に好ましくは、0.3〜20であり、更により好ましくは0.4〜15であり、特に好ましくは0.5〜10である。
上記のように開始剤と連鎖移動剤とのモル比を特定の範囲にすることで、重合を効率よく進行させることができる。
上記界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、含フッ素界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素アニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤は、例えば、下記一般式(N)におけるアニオン基Yを除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよい。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、アニオン部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよい。
なお、上記「アニオン部分」は、上記含フッ素界面活性剤のカチオンを除く部分を意味する。例えば、後述する式(I)で表されるF(CFn1COOMの場合には、「F(CFn1COO」の部分である。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、LogPOWが3.5以下、好ましくは3.4以下の含フッ素界面活性剤が挙げられる。上記LogPOWは、1−オクタノールと水との分配係数であり、LogP[式中、Pは、含フッ素界面活性剤を含有するオクタノール/水(1:1)混合液が相分離した際のオクタノール中の含フッ素界面活性剤濃度/水中の含フッ素界面活性剤濃度比を表す]で表されるものである。
上記LogPOWは、カラム;TOSOH ODS−120Tカラム(φ4.6mm×250mm、東ソー(株)製)、溶離液;アセトニトリル/0.6質量%HClO水=1/1(vol/vol%)、流速;1.0ml/分、サンプル量;300μL、カラム温度;40℃、検出光;UV210nmの条件で、既知のオクタノール/水分配係数を有する標準物質(ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸)についてHPLCを行い、各溶出時間と既知のオクタノール/水分配係数との検量線を作成し、この検量線に基づき、試料液におけるHPLCの溶出時間から算出する。
上記含フッ素界面活性剤として具体的には、米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003−119204号公報、国際公開第2005/042593号、国際公開第2008/060461号、国際公開第2007/046377号、国際公開第2007/119526号、国際公開第2007/046482号、国際公開第2007/046345号、米国特許出願公開第2014/0228531号、国際公開第2013/189824号、国際公開第2013/189826号に記載されたもの等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、下記一般式(N):
n0−Rfn0−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl又は及びFである。Rfn0は、炭素数3〜20で、鎖状、分枝鎖状または環状で、一部または全てのHがFにより置換されたアルキレン基であり、該アルキレン基は1つ以上のエーテル結合を含んでもよく、一部のHがClにより置換されていてもよい。Yはアニオン基である。)で表される化合物が挙げられる。
のアニオン基は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−COOM、又は、−SOMであってよい。
Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、例えば、Na、K又はLiである。
としては、H又はC1−10の有機基であってよく、H又はC1−4の有機基であってよく、H又はC1−4のアルキル基であってよい。
Mは、H、金属原子又はNR であってよく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR であってよく、H、Na、K、Li又はNHであってよい。
上記Rfn0は、Hの50%以上がフッ素に置換されているものであってよい。
上記一般式(N)で表される化合物としては、
下記一般式(N):
n0−Rf−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、Rfは3〜15の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキレン基であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物(より具体的には、下記一般式(N1a):
n0−(CFm1−Y (N1a
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、m1は3〜15の整数であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物)、下記一般式(N):
Rfn1−O−(CF(CF)CFO)m2CFXn1−Y (N
(式中、Rfn1は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、m2は、0〜3の整数であり、Xn1は、F又はCFであり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn2(CHm3−(Rfn3−Y (N
(式中、Rfn2は、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、m3は、1〜3の整数であり、Rfn3は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、qは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfm4−O−L−Y (N
(式中、Rfm4は、エーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化された脂肪族基であり、L は、部分または完全フッ素化された直鎖状のアルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物(より具体的には、下記一般式(N4a):
Rfn4−O−(CYn1n2CF−Y (N4a
(式中、Rfn4は、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Yn1及びYn2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、pは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、及び、下記一般式(N):
Figure 2021102731
(式中、Xn2、Xn3及びXn4は、同一若しくは異なってもよく、H、F、又は、炭素数1〜6のエーテル結合を含んでよい直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基である。Rfn5は、炭素数1〜3のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yは、上記定義したものである。但し、Xn2、Xn3、Xn4及びRfn5の合計炭素数は18以下である。)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(N)で表される化合物としてより具体的には、下記一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、下記一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、下記一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、下記一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、下記一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、下記一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、下記一般式(VII)で表されるω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)、下記一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、下記一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、下記一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、下記一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、及び、下記一般式(XII)で表される化合物(XII)、が挙げられる。
上記パーフルオロカルボン酸(I)は、下記一般式(I)
F(CFn1COOM (I)
(式中、n1は、3〜14の整数であり、Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロカルボン酸(II)は、下記一般式(II)
H(CFn2COOM (II)
(式中、n2は、4〜15の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)は、下記一般式(III)
Rf−O−(CF(CF)CFO)n3CF(CF)COOM (III)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、n3は、0〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)としては、総炭素数7以下、かつLogPOW3.5以下のパーフルオロポリエーテルカルボン酸が好ましい。上記総炭素数は、特に5〜7が好ましい。また、上記LogPOWは3.4以下がより好ましい。
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)は、下記一般式(IV)
Rf(CHn4RfCOOM (IV)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基、n4は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロカルボン酸(V)は、下記一般式(V)
Rf−O−CYCF−COOM (V)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)は、下記一般式(VI)
F(CFn5SOM (VI)
(式中、n5は、3〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)は、下記一般式(VII)
H(CFn6SOM (VII)
(式中、n6は、4〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)は、下記一般式(VIII)
Rf(CHn7SOM (VIII)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のパーフルオロアルキル基であり、n7は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルキルアルキレンカルボン酸(IX)は、下記一般式(IX)
Rf(CHn8COOM (IX)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、n8は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記フルオロカルボン酸(X)は、下記一般式(X)
Rf−O−Rf−O−CF−COOM (X)
(式中、Rfは、炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロスルホン酸(XI)は、下記一般式(XI)
Rf−O−CYCF−SOM (XI)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状であって、塩素を含んでもよい、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記化合物(XII)は、下記一般式(XII):
Figure 2021102731
式中、X、X及びXは、同一若しくは異なってもよく、H、F及び炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rf10は、炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yはアニオン基である。)で表されるものである。
は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−SOM、又は、COOMであってよい(式中、Mは上記定義したものである。)。
Lとしては、例えば、単結合、炭素数1〜10のエーテル結合を含みうる部分又は完全フッ素化されたアルキレン基が挙げられる。
上述したように上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤において、一般式(N)で表される化合物を使用する場合、式(N)におけるRfの炭素数は3〜6の整数であることが好ましい。また、式(N1a)におけるm1は3〜6の整数であることが好ましい。また、パーフルオロカルボン酸(I)を用いる場合、一般式(I)におけるn1は3〜6の整数であることが好ましい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、特に、炭素数が4〜7であり、エーテル性酸素を有してもよい含フッ素カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる化合物が好ましい。ここで、炭素数とは、一分子中の全炭素数を意味する。上記含フッ素アニオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、炭素数が4〜7であり、エーテル性酸素を有する含フッ素カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる化合物が好ましい。エーテル性酸素を有する含フッ素カルボン酸は、炭素数が4〜7で主鎖の炭素鎖の途中にエーテル性酸素を有し、末端に−COOHを有する化合物である。末端の−COOHは塩を形成していてもよい。
主鎖の途中に存在するエーテル性酸素は1個以上であり、1〜4個が好ましく、1又は2個がより好ましい。
上記炭素数は5〜7が好ましい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては特に、主鎖の炭素数が6〜7であり、主鎖のエーテル性酸素が1〜4であり、主鎖が直鎖状、分岐状、又は、環状を有しており、部分または完全フッ素化されたカルボン酸又はその塩であることが好ましい。ここで、「主鎖」とは炭素原子数が最大となる一続きの鎖を意味する。
このような含フッ素界面活性剤としては、CFO(CFOCHFCFCOONH、CFCFCFOCF(CF)COONH、CFCFOCFCFOCFCOONH、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、下記式:
Figure 2021102731
で表される化合物が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、例えば、特表2013−542308号公報、特表2013−542309号公報、特表2013−542310号公報に記載されているもの等を使用することができる。
上記炭化水素系界面活性剤は、同じ分子上に親水性部分及び疎水性部分を有する界面活性剤であってよい。これらは、カチオン性、非イオン性またはアニオン性であってよい。
カチオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分と、長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
アニオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩などの親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有する。
非イオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、帯電した基を含まず、長鎖炭化水素である疎水性部分を有する。非イオン性界面活性剤の親水性部分は、エチレンオキシドとの重合から誘導されるエチレンエーテルの鎖などの水溶性官能基を含む。
非イオン性炭化水素系界面活性剤の例
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルエステルの具体例:ポリエチレングリコールモノラウリレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等。
ソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等。
ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等。
グリセロールエステルの具体例:モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等。
上記誘導体の具体例:ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等。
上記エーテル及びエステルは、10〜18のHLB値を有してよい。
非イオン性炭化水素系界面活性剤としては、Dow Chemical Company製のTriton(登録商標)Triton(登録商標)Xシリーズ(X15、X45、X100等)、Tergitol(登録商標)15−Sシリーズ、Tergitol(登録商標)TMNシリーズ(TMN−6、TMN−10、TMN−100等)、Tergitol(登録商標)Lシリーズ、BASF製のPluronic(登録商標)Rシリーズ(31R1、17R2、10R5、25R4(m〜22、n〜23)、Iconol(登録商標)TDAシリーズ(TDA−6、TDA−9、TDA−10)等が挙げられる。
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Resolution Performance ProductsのVersatic(登録商標)10、BASF製のAvanel Sシリーズ(S−70、S−74等)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤は、フッ素原子を含まない界面活性剤であってよく、置換基又は(カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホニル基等の)連結基を有していてもよい炭素数8〜30の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と親水性基(カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホニル基等)とを有し、かつフッ素原子を含まない界面活性剤や、フッ素原子を含まない炭化水素系アニオン界面活性剤が好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R−L−M(式中、Rが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
具体的には、ラウリル酸に代表されるようなCH−(CH−L−M(式中、nが、6〜17の整数である。LおよびMが、上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
が、12〜16個の炭素原子を有するアルキル基であり、L−Mが、硫酸塩又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であるものの混合物も使用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R6z(−L−M)(式中、R6zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキレン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R7z(−L−M)(式中、R7zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキリジン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキリジン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zはH又は有機基である。−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記R5zはH又はアルキル基が好ましく、H又は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤としては、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0−8247−00104に記載されているものが挙げられる。シロキサン界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含む。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み、ここで、シリコーン原子上の置換基が、完全に炭化水素である。
ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含んでもよい。イオン性疎水性部分は、イオン的に官能化されたシロキサングラフトも含み得る。
このようなシロキサン炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン−グラフト−(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン−グラフト−ポリアクリレート塩およびポリジメチルシロキサングラフト化第4級アミンが挙げられる。
シロキサン界面活性剤の親水性部分の極性部分は、ポリエチレンオキシド(PEO)、および混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテル(PEO/PPO)などのポリエーテル;単糖類および二糖類;およびピロリジノンなどの水溶性複素環によって形成される非イオン性基を含み得る。エチレンオキシド対プロピレンオキシド(EO/PO)の比率は、混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルにおいて変化され得る。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分との組合せも含み得る。このような部分としては、例えば、イオン的に末端官能化されたまたはランダムに官能化されたポリエーテルまたはポリオールが挙げられる。本開示の実施に好ましいのは、非イオン性部分を有するシロキサン、すなわち、非イオン性シロキサン界面活性剤である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造の疎水性および親水性部分の配置は、ジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)(ここで、「B」は、分子のシロキサン部分を表す)、またはマルチブロックポリマーの形態をとってもよい。あるいは、シロキサン界面活性剤は、グラフトポリマーを含んでいてもよい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤については、米国特許第6,841,616号明細書にも開示されている。
シロキサンベースのアニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Lubrizol Advanced Materials,Inc.のNoveon(登録商標)Consumer Specialtiesから入手可能なSilSenseTMPE−100シリコーン、SilSenseTMCA−1シリコーン等が挙げられる。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCのスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300等も挙げられる。
スルホサクシネート界面活性剤としては、スルホコハク酸ジイソデシルNa塩、(ClariantのEmulsogen(登録商標)SB10)、スルホコハク酸ジイソトリデシルNa塩(Cesapinia ChemicalsのPolirol(登録商標)TR/LNA)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、Omnova Solutions,Inc.のPolyFox(登録商標)界面活性剤(PolyFoxTMPF−156A、PolyFoxTMPF−136A等)も挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては上述したものを採用できるが、例えば、下記の化合物を好適に採用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、下記式(α):
100−COOM (α)
(式中、R100は、1個以上の炭素原子を含有する1価の有機基である。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R101はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)で示される化合物(α)が挙げられる。R101の有機基としてはアルキル基が好ましい。R101としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
界面活性能の観点から、R100の炭素数は2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、水溶性の観点から、R100の炭素数は、29個以下であることが好ましく、23個以下がより好ましい。
上記Mの金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Mとしては、H、金属原子又はNR101 が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR101 がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
上記化合物(α)としては、R102−COOM(式中、R102が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基、若しくは、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Mは上記と同じ。)によって表されるアニオン性の炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
具体的には、CH−(CH−COOM(式中、nが、2〜28の整数である。Mは上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
上記化合物(α)は、乳化安定性の観点で、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を含まないものであってもよい。
上記カルボニル基を含まない炭化水素含有界面活性剤としては、例えば、下記式(A):
103−COO−M (A)
(式中、R103は、6〜17個の炭素原子を含有するアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。R101は、同一又は異なって、H又は有機基である。)の化合物が好ましく例示される。
上記式(A)において、R103は、アルキル基又はアルケニル基(これらはエーテル基を含んでいてもよい)であることが好ましい。上記R103におけるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。上記R103の炭素数は限定されないが、例えば、2〜29である。
上記アルキル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は3〜29であることが好ましく、5〜23であることがより好ましい。上記アルキル基が分岐状である場合、R103の炭素数は5〜35であることが好ましく、11〜23であることがより好ましい。
上記アルケニル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は2〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。上記アルケニル基が分岐状である場合、R103の炭素数は2〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。
上記アルキル基及びアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ビニル基等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8,11−エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としてはまた、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
上記カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤としては、式:R−X(式中、Rは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭素数1〜2000のフッ素非含有有機基であり、Xは、−OSOX1、−COOXX1又は−SOX1(XX1は、H、金属原子、NRX1 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、RX1はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。))で示される界面活性剤が好ましい。Rは、炭素数が500以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましく、30以下であることが更により好ましい。RX1の有機基としてはアルキル基が好ましい。RX1としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
上記特定の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(a):
Figure 2021102731
(式中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、下記式(b):
Figure 2021102731
(式中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)、下記式(c):
Figure 2021102731
(式中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(c)、及び、下記式(d):
Figure 2021102731
(式中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中のAに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
界面活性剤(a)について説明する。
式(a)中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1aにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101a(式中、R101aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式中、R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2a及びR3aは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102a(式中、R102aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。合計の炭素数としては、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(a)中、Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基である。4つのR4aは、同一でも異なっていてもよい。R4aにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4aとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4a が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1aとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1aとしては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、n11aは0〜10の整数であり、R11aは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11aが2〜10の整数である場合、R12aは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11aとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103a(式中、R103aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12aとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12aとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104a(式中、R104aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
界面活性剤(a)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Xは上述のとおりである。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
次に界面活性剤(b)について説明する。
式(b)中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1bにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1bとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1bとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(b)中、R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2b及びR4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2b及びR4bとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2b及びR4bとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(b)中、R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3bは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
式(b)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましく、5〜9、11〜25の整数が特に好ましい。
式(b)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が5以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(b)中、Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基である。4つのR5bは、同一でも異なっていてもよい。R5bにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5bとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5b (R5bは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5b が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(b)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記Rは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
界面活性剤(b)としては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、R1b、R2b、L、n及びXは、上記のとおり。)で示される化合物が好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10%以上であることが好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤(b)において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
界面活性剤(b)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCH(CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa等が挙げられる。
界面活性剤(c)について説明する。
式(c)中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1cにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101c(式中、R101cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式(c)中、R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2c及びR3cは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102c(式中、R102cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。合計の炭素数としては、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(c)中、式中、Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R4cにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4cとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4c が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1cとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1cとしては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、n11cは0〜10の整数であり、R11cは炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11cが2〜10の整数である場合、R12cは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11cとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103c(式中、R103cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12cとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12cとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104c(式中、R104cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
上記界面活性剤(c)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Aは上述のとおりである。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
界面活性剤(d)について説明する。
式(d)中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1dにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1dとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1dとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(d)中、R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2d及びR4dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2d及びR4dとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2d及びR4dとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(d)中、R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3dは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(d)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましい。
式(d)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が6以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(d)中、Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R5dにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5dとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5d (R5dは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5d が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(d)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記R6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中のAに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10以上であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
上記界面活性剤(d)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHC(CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHSONa、
CHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)SONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(CHSONa
等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記一般式(1−0):
Figure 2021102731
(式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。
また、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基;
は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基;
を表す。
〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(以下、界面活性剤(1)ともいう)が挙げられる。
界面活性剤(1)について説明する。
式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。R〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
としての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
としての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
一価の置換基としては、一般式:−Y−Rで示される基、一般式:−X−Aで示される基、−H、置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基、−NH、−NHR(Rは有機基)、−OH、−COOR(Rは有機基)又は−OR(Rは有機基)が好ましい。上記アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。
としては、C1−10のアルキル基又はC1−10のアルキルカルボニル基が好ましく、C1−4のアルキル基又はC1−4のアルキルカルボニル基がより好ましい。
式中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手を表す。
がカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基であることが好ましい。
Xとしては、−CO−、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−S(=O)−O−、−O−S(=O)−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む2価の連結基、C1−10のアルキレン基、又は、結合手が好ましい。RはH又は有機基を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、RはH又は有機基である。4つのRは、同一でも異なっていてもよい。)を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mとしては、H、金属原子又はNR が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
式中、Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基を表す。
Yとしては、結合手、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基が好ましく、結合手、−COO−及び−OCO−からなる群より選択される2価の連結基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Rは、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。上記Rの有機基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
のアルキル基は、炭素−炭素原子間にカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を1又は2以上含むことができるが、上記アルキル基の末端にこれらの基を含まない。上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−R11で示される基、
一般式:−R10−NRCO−R11で示される基、又は、
一般式:−R10−CONR−R11で示される基、
(式中、RはH又は有機基を表す。R10はアルキレン基、R11は置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
としては、一般式:−R10−CO−R11で示される基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
10のアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。また、R10のアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜10が更に好ましい。
11のアルキル基の炭素数は、1〜20であってよく、1〜15が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜8が更により好ましく、1〜6が殊更好ましく、1〜3が尚更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。また、上記R11のアルキル基は、1級炭素、2級炭素、3級炭素のみで構成されていることが好ましく、1級炭素、2級炭素のみで構成されるのが特に好ましい。すなわち、R11としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
界面活性剤(1)としては、一般式(1−1)で示される化合物、一般式(1−2)で示される化合物又は一般式(1−3)で示される化合物が好ましく、一般式(1−1)で示される化合物又は一般式(1−2)で示される化合物がより好ましい。
一般式(1−1):
Figure 2021102731
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−2):
Figure 2021102731
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−3):
Figure 2021102731
(式中、R、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式:−X−Aで示される基としては、
−COOM、
−R12COOM、
−SOM、
−OSOM、
−R12SOM、
−R12OSOM、
−OCO−R12−COOM、
−OCO−R12−SOM、
−OCO−R12−OSOM、
−COO−R12−COOM、
−COO−R12−SOM、
−COO−R12−OSOM、
−CONR−R12−COOM、
−CONR−R12−SOM、
−CONR−R12−OSOM、
−NRCO−R12−COOM、
−NRCO−R12−SOM、
−NRCO−R12−OSOM、
−OS(=O)−R12−COOM、
−OS(=O)−R12−SOM、又は
−OS(=O)−R12−OSO
(式中、R及びMは、上記のとおり。R12はC1−10のアルキレン基。)が好ましい。
上記R12のアルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
一般式:−Y−Rで示される基としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−COO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−COO−R11で示される基で示される基、
一般式:−NRCO−R10−CO−R11で示される基、又は、
一般式:−CONR−R10−NRCO−R11で示される基
(式中、R、R10及びR11は上記のとおり。)が好ましい。
式中、R及びRとしては、独立に、H又はC1−4のアルキル基が好ましい。
上記R及びRのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−1)におけるRとしては、H又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、Hが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−3)におけるRとしては、H、OH又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H、OH又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、H又はOHが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(1−0A):
Figure 2021102731
(式中、R1A〜R5Aは、H、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基、又は、一般式:−X−Aで示される基である。但し、R2A及びR5Aの少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基を表す。
は、各出現において同一又は異なって、2価の炭化水素基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(1−0A)等も挙げられる。
一般式(1−0A)中、R1A〜R5Aにおいて、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。R1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。上記炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
式中、Xにおいて、2価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。上記2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルカンジイル基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
一般式(1−0A)中、R2A及びR5Aのいずれか1つが、上記一般式:−X−Aで示される基であることが好ましく、R2Aが上記一般式:−X−Aで示される基であることがより好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としては、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A、R3A、R4A及びR5AがHである態様である。この場合、Xは結合手又は炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としてはまた、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A及びR3Aが−Y−Rで示される基であり、Yは、各出現において同一又は異なって、−COO−、−OCO−、又は、結合手であり、Rは各出現において同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基である態様である。この場合、R4A及びR5AがHであることが好ましい。
一般式(1−0A)で表される炭化水素系界面活性剤としては、例えば、グルタル酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、ピメリン酸又はその塩、スベリン酸又はその塩、アゼライン酸又はその塩、セバシン酸又はその塩等が挙げられる。
また、一般式(1−0A)で表される脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤は2鎖2親水基型合成界面活性剤であってもよく、例えば、ジェミニ型界面活性剤として、ジェミニサ−フ(中京油脂株式会社)、Gemsurf α142(炭素数12 ラウリル基)、Gemsurf α102(炭素数10)、Gemsurf α182(炭素数14)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤は、ラジカル処理または酸化処理を行ったものであってもよい。
上記ラジカル処理とは、上記炭化水素系界面活性剤にラジカルを発生させる処理であればよく、例えば、反応器に、脱イオン水、炭化水素系界面活性剤を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換し、反応器を昇温・昇圧した後、重合開始剤を仕込み、一定時間撹拌した後、反応器を大気圧になるまで脱圧を行い、冷却を行う処理である。上記酸化処理とは、炭化水素系界面活性剤に酸化剤を添加させる処理である。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素水、酸化マンガン(IV)、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硝酸、二酸化硫黄などが挙げられる。
本開示の製造方法においては、上記炭化水素系界面活性剤を2種以上同時に用いてもよい。
本開示の製造方法において、上記重合工程は、フッ素原子を含まない非イオン性界面活性剤の存在下で行ってもよい。上記非イオン性界面活性剤としては、
一般式(250):H(OR251(OR252OH
(式中、R251及びR252は、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、u及びvは1〜5の整数である。但しR251とR252とはお互いに異なる。)で表されるブロックポリマー、
炭素数が8〜20個の炭化水素基からなる疎水基及び、ポリアルキレンオキサイドからなる親水基を分子内に有する非イオン性界面活性剤、及び、
一般式(260):R261 −Si−(OR2624−m
(式中、R261は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、R262は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化合物、
からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(250)で表されるブロックポリマーとして、具体的な例を挙げると、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの群から選ばれる少なくとも2種のセグメントからなるブロックポリマーが例示される。中でも、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンブロックポリマーが例示され、A−B型のみでなくA−B−A型のブロックポリマーも好ましく例示される。更に好ましくは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーを使うことにより、高濃度で安定なフルオロポリマーの分散液を調製することができる。更に、ポリオキシエチレンセグメントの含有量が、10〜50%であると、再凝集によると思われる凝集物の発生が少ないため好ましく、更に20〜40%のときに、低粘度のフルオロポリマーの分散液を調製できるため好ましい。分子量は、特に制限されないが、1000〜7000g/molであればよく、更に特に2500〜6500g/molの時に粘度が低く分散性に優れた分散液を調製することができる。
上記界面活性剤としては、炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が好ましい。具体的には、上述した炭化水素系界面活性剤や、上述した含フッ素界面活性剤のうち炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が挙げられる。
上記界面活性剤としては、炭素数2以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物がより好ましく、炭素数1以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が更に好ましく、フッ素原子を含まない化合物が更により好ましい。
本開示の製造方法は、界面活性剤が炭化水素系界面活性剤である態様が好適な態様の一つである。TFE単位が多いフルオロポリマーを製造する場合、炭化水素系界面活性剤を使用すると分子量が高くなりにくい問題があり、得られるポリマーの分子量を小さくする連鎖移動剤は一般的に使用されていない。本開示の製造方法は、意外なことに、炭化水素系界面活性剤を使用し、TFE単位が多いフルオロポリマーを製造する場合であっても効率よく重合を進行させることができることを見出し完成されたものである。
上記炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましく、上記化合物(α)、上記界面活性剤(a)、上記界面活性剤(b)、上記界面活性剤(c)、上記界面活性剤(d)、上記界面活性剤(1)及び上記界面活性剤(1−0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、上記化合物(α)、界面活性剤(b)、界面活性剤(d)、界面活性剤(1)、及び、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、上記化合物(α)、及び、界面活性剤(b)からなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
上記界面活性剤は、水を含む水溶液の形態で添加してもよい。上記水溶液における上記界面活性剤の濃度の上限は、50質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、100000ppmであることが更により好ましく、50000ppmであることが更により好ましく、10000ppmであることが特に好ましく、5000ppmであることが最も好ましい。下限は、1ppmであることが好ましく、10ppmであることがより好ましく、50ppmであることが更に好ましい。
上記界面活性剤は、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤、又は、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤水溶液であることが好ましい。
本開示の製造方法において、上記界面活性剤は、重合反応の開始(キックオフ)前に上記水性媒体に添加してもよく、重合反応の開始時に添加してもよく、重合反応の開始後に添加してもよい。
フルオロモノマーの重合を促進し、より高分子量のフルオロポリマーを得る観点からは、界面活性剤を重合反応の開始時までには実質的に添加せず、重合反応の開始後に添加することが好ましい。
より好ましくは、上記界面活性剤を、上記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体が調製される期間(以下、初期期間ともいう)終了までに実質的に添加せず、初期期間の後に添加することである。
重合反応の開始時点(好ましくは、上記初期期間中)の上記水性媒体中の上記界面活性剤の含有量は、上記水性媒体に対し、例えば50ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることが更に好ましく、20ppm以下であることが更により好ましく、15ppm以下であることが特に好ましい。
重合反応の開始時点(好ましくは、上記初期期間中)の上記水性媒体中の上記界面活性剤の含有量は、上記水性媒体に対し、例えば50ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることが更に好ましく、20ppm以下であることが更により好ましく、15ppm以下であることが特に好ましく、5ppm以下であることが最も好ましい。
上記界面活性剤の添加を開始する時点における、上記水性媒体中のフルオロポリマーの濃度は、上記水性媒体に対し、0.6質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることが更に好ましく、1.0質量%以上であることが更により好ましく、1.2質量%以上であることが特に好ましい。
フルオロポリマーが後述する溶融加工性フッ素樹脂(例えばFEP、PFA)である場合は、上記濃度は2.0質量%以上であることが好ましい。
フルオロポリマーが後述する非溶融加工性フッ素樹脂(例えばPTFE)である場合は、上記濃度は1.0質量%以上であることが好ましく、1.6質量%以上であることがより好ましい。
上記界面活性剤を上記水性媒体に添加する場合、その供給速度は、0.005〜1.4g/l−hであることが好ましく、0.005〜1.0g/l−hであることがより好ましく、0.01〜0.8g/l−hであることが更に好ましい。
上記の単位g/l−hにおいて、「g」は上記界面活性剤自体の質量のグラムを表し、「l」は重合反応器の体積のリットルを表し、「h」は時間を表す。
上記界面活性剤の添加は、少なくとも20分ごとに行うことが好ましく、少なくとも10分ごとに行うことがより好ましく、少なくとも5分ごとに行うことが更に好ましく、重合反応の終了まで連続的に行うことが最も好ましい。
上記重合工程は、TFEに基づく重合単位(以下「TFE単位」とも記載する)を80モル%超含むフルオロポリマーを得る工程である。ここで、「80モル%超」とは、80モル%より多いことを意味し、80モル%は含まない。
上記重合工程で得られるフルオロポリマーは、TFE単位を80モル%超含むものであればよく、TFEの単独重合体であってもよいし、80モル%超のTFE単位と、20モル%未満のTFE以外のモノマーに基づく重合単位とを含むものであってもよい。上記フルオロポリマーは、TFE単位を90モル%超含むものであることが好ましい。上記フルオロポリマーはTFE単位のみからなるTFE単独重合体が好ましく、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を20モル%未満含むことが好ましく、10モル%未満含むことがより好ましい。
上記TFE以外のモノマーとしては、フッ素原子を含むフルオロモノマーであってもよいし、フッ素非含有モノマーであってもよい。
上記フルオロモノマーとしては、二重結合を少なくとも1つ有するものが好ましい。
上記フルオロモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン[HFP]、クロロトリフルオロエチレン[CTFE]、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン[VDF]、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、一般式(100):CH=CFRf101(式中、Rf101は炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、フッ素化ビニルヘテロ環状体、フッ素化メチレンジオキソラン、架橋部位を与えるモノマー、及び、含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、
一般式(110):CF=CF−ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(120):CF=CF−OCH−Rf121
(式中、Rf121は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、
一般式(130):CF=CFOCFORf131
(式中、Rf131は炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(140):CF=CFO(CFCF(Y141)O)(CF
(式中、Y141はフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。mは1〜4の整数である。nは1〜4の整数である。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(150):CF=CF−O−(CFCFY151−O)−(CFY152−A151
(式中、Y151は、フッ素原子、塩素原子、−SOF基又はパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、エーテル性の酸素及び−SOF基を含んでもよい。nは、0〜3の整数を表す。n個のY151は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y152は、フッ素原子、塩素原子又は−SOF基を表す。mは、1〜5の整数を表す。m個のY152は、同一であってもよいし異なっていてもよい。A151は、−SO151、−COZ151又は−POZ152153を表す。X151は、F、Cl、Br、I、−OR151又は−NR152153を表す。Z151、Z152及びZ153は、同一又は異なって、−NR154155又は−OR156を表す。R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、同一又は異なって、H、アンモニウム、アルカリ金属、フッ素原子を含んでも良いアルキル基、アリール基、若しくはスルホニル含有基を表す。)で表されるフルオロモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf111が炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5である。
一般式(110)におけるパーフルオロ有機基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、更に、上記一般式(110)において、Rf111が炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2021102731
(式中、mは、0又は1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2021102731
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(110)、(130)及び(140)で表されるフルオロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
一般式(130)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、及び、CF=CFOCFOCFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(140)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)O(CFF、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFF、及び、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(150)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CFCFSOF)OCFCFSOF及びCF=CFOCFCF(SOF)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf101が直鎖のフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが好ましく、Rf101が直鎖のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーがより好ましい。Rf101の炭素数は1〜6であることが好ましい。一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFH、CH=CFCFCFCFCF等が挙げられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
フルオロアルキルエチレンとしては、
一般式(170):CH=CH−(CF−X171
(式中、X171はH又はFであり、nは3〜10の整数である。)で表されるフルオロアルキルエチレンが好ましく、CH=CH−C、及び、CH=CH−C13からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記フッ素化ビニルヘテロ環状体としては、一般式(230):
Figure 2021102731
(式中、X231及びX232は、独立に、F、Cl、メトキシ基又はフッ素化メトキシ基であり、Y231は式Y232又は式Y233である。
Figure 2021102731
(式中、Z231及びZ232は、独立に、F又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基である。))で表されるフッ素化ビニルヘテロ環状体が挙げられる。
架橋部位を与えるモノマーとしては、
一般式(180):CX181 =CX182−R 181CHR181183
(式中、X181及びX182は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 181は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、R181は、水素原子又はCH、X183は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(190):CX191 =CX192−R 191193
(式中、X191及びX192は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 191は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、X193は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(200):CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X201
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X201は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CHIである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(210):CH=CFCFO(CF(CF)CFO)(CF(CF))−X211
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X211は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CHOHである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(220):CR221222=CR223−Z221−CR224=CR225226
(式中、R221、R222、R223、R224、R225及びR226は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Z221は、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン基若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)−CFO−(CFCFO)(CFO)−CF−(Q)
(式中、Qはアルキレン基又はオキシアルキレン基である。pは0又は1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表されるモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
183及びX193は、ヨウ素原子であることが好ましい。R 181及びR 191は炭素数が1〜5のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。R181は、水素原子であることが好ましい。X201は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CHIであることが好ましい。X211は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CHOHであることが好ましい。
フッ素化メチレンジオキソランとしては、下記一般式
Figure 2021102731
(式中、R231は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、フルオロ(ポリ)オキシアルキル基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキル基)で表される化合物が好ましく、
下記式
Figure 2021102731
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
架橋部位を与えるモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHI、CF=CFOCFCFCHI、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CN、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH、CH=CHCFCFI、CH=CH(CFCH=CH、CH=CH(CFCH=CH、及び、CF=CFO(CFCNからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN及びCF=CFOCFCFCHIからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記含フッ素アクリレートモノマーとしては、一般式(240):
CH=C(−X241)−C(=O)−O−Y241−Rf241
(式中、X241は、H、CH、F又はCl;Y241は、単結合、炭素数1以上の脂肪族基;Rf241は、炭素数1〜8の脂肪族基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基)で表されるものが好ましい。
241は、例えば、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状脂肪族基(特に、アルキレン基)、例えば、式−(CH−(式中、xは1〜10である。)で示される基であってよい。
Rf241は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf241の炭素数は、4〜8が好ましく、4〜6がより好ましい。Rf241としては、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−(CFCF(CF、−C17等が挙げられる。
含フッ素アクリレートモノマーの具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−Rf241
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−Rf241
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−Rf241
(式中、Rf241は、上記のとおり)
上記フッ素非含有モノマーとしては、上記フルオロモノマーと反応性を有する炭化水素系モノマー等が挙げられる。上記炭化水素系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記フッ素非含有モノマーとしては、また、官能基含有炭化水素系モノマー(但し、架橋部位を与えるモノマーを除く)であってもよい。上記官能基含有炭化水素系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、パーフルオロブテン酸等のカルボキシル基を有するフッ素非含有モノマー;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、例えば、上記−CONR 、−NRCOR、又は、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基を有するモノマーが好ましい。上記アミド結合は、カルボニル基と窒素原子の間の結合をいう。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、N−ビニル−β−プロピオラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−γ−バレロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ヘプトラクタムなどのN−ビニルラクタム化合物、N−ビニルホルムアミド、N−メチルーN−ビニルアセトアミドなどの非環状のN−ビニルアミド化合物、N−アリル−N−メチルホルムアミド、アリル尿素などの非環状のN−アリルアミド化合物、1−(2−プロペニル)−2−ピロリドンなどのN−アリルラクタム化合物、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物が挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、また、
Figure 2021102731
(式中、R及びRは独立にH又は炭素数1〜10のアルキル基)で示される化合物、
Figure 2021102731
(式中、Rは独立にH又は炭素数1〜10のアルキル基)で示される化合物等も挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、なかでも、N−ビニルラクタム化合物又は非環状のN−ビニルアミド化合物が好ましく、N−ビニル−β−プロピオラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−γ−バレロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、及び、N−ビニル−ヘプトラクタムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、N−ビニル−2−ピロリドン、及び、N−ビニル−2−ピペリドンからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、N−ビニル−2−ピロリドンが特に好ましい。
上記TFE以外のモノマーとしては、下記一般式(1):
CF=CR
(式中、Rは、H又はF;Rは−Cl、−CF、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、−Rf、−ORf;R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基又は含フッ素ビニル基;Rfは、含フッ素アルキル基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)で示されるモノマー、及び、下記一般式(2):
CH=CR
(式中、Rは、R、CFまたはF;Rは−Cl、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、Rf;R及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基;R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基又は含フッ素アルコキシ基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)で示されるモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(1)におけるR、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基である。上記置換基としては、上述したものが挙げられるが、中でも、脂肪族基、アシル基、芳香族基、又はヘテロ環基が好ましく、脂肪族基、アシル基、又はヘテロ環基がより好ましく、脂肪族基又はアシル基が更に好ましい。上記R、R、R、R及びRは、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5が更に好ましい。上記脂肪族基、アシル基、芳香族基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよく、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されたもの(例えば、含フッ素アルキル基、特に、パーフルオロアルキル基)であってもよい。
、R、R、R及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
なお、一般式(1)におけるRは、−CF以外の置換基であってよく、例えば、Rがパーフルオロアルキル基である場合、Rの炭素数は2以上であってよい。
一般式(1)におけるRfとしては、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アルキルオキシアルキル基等が挙げられる。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(1)におけるRfは含フッ素アルキル基である。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜3が更により好ましい。Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよいが、鎖状が好ましい。
上記Rとしては、−H、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルコキシ基、−Cl、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の非含フッ素アルキル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキルエステル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキルオキシアルキル基であることが好ましく、−H、−CF、−OCF、−OCFCFSOF、−Cl、−CH、−OCHCF、−COOH、−COOCH、−OCFOCF、−OCFCFOCF、−OCFCFCFOCF又は−OCであることが好ましく、−H、−CF、−OCF3、−OC又は−OCFCFSOFであることがより好ましく、−H、−CF、又は、−OCFであることがより好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしては、HFP、CTFE、VDF、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン及びヘキサフルオロイソブテンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては上述したものが挙げられる。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしてはまた、一般式(200)で表されるモノマー、一般式(210)で表されるモノマーも挙げられる。一般式(200)及び一般式(210)において、nは、5以下の整数であることが好ましい。Xは、−CFであることが好ましい。
は、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mは、−H、金属原子又は−NR が好ましく、−H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は−NR がより好ましく、−H、−Na、−K、−Li又は−NHが更に好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしてはまた、下記一般式(270):
Figure 2021102731
(式中、Rf、Rf、Rf及びRfは、同一又は異なって、F又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)で示されるモノマー、下記一般式(280):
Figure 2021102731
(式中、Rf及びRfは、F又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)で表されるモノマーも挙げられる。
一般式(1)で示されるモノマーとしては、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、トリフルオロエチレン、CTFE又はトリフルオロプロピレンが好ましく、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル又はトリフルオロプロピレンがより好ましく、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)又はパーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテルが更に好ましい。
一般式(1)で示されるモノマーは、TFEとは異なるモノマーである。
一般式(2)におけるR及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基である。上記炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。上記炭化水素基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
上記ヘテロ環基としては、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基が好ましく、炭素数3〜6のラクタム構造を有する基がより好ましく、炭素数4のラクタム構造を有する基が更に好ましい。
及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(2)におけるR、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基である。上記置換基としては、上述したものが挙げられるが、中でも、脂肪族基、アシル基、芳香族基又はヘテロ環基が好ましく、脂肪族基、アシル基、又はヘテロ環基がより好ましく、脂肪族基又はアシル基が更に好ましい。上記脂肪族基、アシル基、芳香族基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい。上記R、R、R及びRは、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
、R、R及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(2)におけるRfとしては、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アルキルオキシアルキル基等が挙げられる。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
上記Rとしては、H、F、CH又はCFであることが好ましく、H、F、又は、CFであることがより好ましい。
上記Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の非含フッ素アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキル基、−COOR、−OCOR、−CONR 、−NRCOR、−NR 、又は、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基が好ましい。
上記R、R及びRは、同一又は異なって、H又は炭素数1〜10のアルキル基である。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしてはまた、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;イタコン酸;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等の上述したアミド結合を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしては、フッ化ビニル、フルオロアルキルエチレン、一般式(100)で表されるフルオロモノマー、一般式(300):CH=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−A(式中、nは0又は1〜10の整数を表し、Aは、−CHOH、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、−H、金属原子、−NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。)で表されるフルオロモノマー、及び、含フッ素アクリレートモノマー等も挙げられる。
上記一般式(300)において、nは、0又は1〜5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。上記Mとしては、−H、金属原子又は−NR が好ましく、−H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は−NR がより好ましく、−H、−Na、−K、−Li又は−NHが更に好ましい。
上記Rとしては、−OCOCH、−H、−COOCH、−NH(C)、−C、−CH又は、下記式(3):
Figure 2021102731
で示される基であることが好ましく、−OCOCH、−H、−COOCH又は上記式(3)で示される基であることがより好ましく、−OCOCH、−H又は、上記式(3)で示される基であることがより好ましい。
一般式(2)で示されるモノマーとしては、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン又は含フッ素アクリレートモノマーが好ましく、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、N−アクリルアミド化合物、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン又は含フッ素アクリレートモノマーがより好ましく、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、エチレン、アクリル酸メチル、N−イソプロピルアクリルアミド又はCH=CH−Cが更に好ましく、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、エチレン又はアクリル酸メチルが特に好ましい。
TFE以外のモノマーとしては、特に、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、HFP、CTFE、VDF、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、N−アクリルアミド化合物、アルケン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が更により好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
本開示の製造方法において、TFE以外のモノマーとして、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する化合物も挙げられる。例えば、一般式(270a):
CF=CF−(CFn271a−Y271
(式中、n271aは、1〜10の整数を表し、Y271は、−SO271又は−COOM271を表し、M271は、H、NH又はアルカリ金属を表す。)で表される化合物、一般式(270b):
CF=CF−(CFC(CF)F)n271b−Y271
(式中、n271bは、1〜5の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270c):
CF=CF−O−(CFX271n271c−Y271
(式中、X271は、F又はCFを表し、n271cは、1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270d):
CF=CF−O−(CFCFX271O)n271d−CFCF−Y271
(式中、n271dは、1〜10の整数を表し、Y271及びX271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270e):
CX272 =CFCF−O−(CF(CF)CFO)n271e−CF(CF)−Y271
(式中、各X272は、同一であり、F又はHを表す。n271eは、0又は1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物等が挙げられる。
上記重合工程は、99.0質量%以上のTFE単位と、1.0質量%以下のTFE以外のモノマーに基づく重合単位とを含む変性PTFEを製造するものであってもよく、上記重合工程は、TFE以外のモノマーに基づく重合単位の合計量が0.00001〜1.0質量%となるように重合するものであることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましい。
この場合、上記TFE以外のモノマーは、一般式(1)又は一般式(2)で示されるモノマーであってよく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本開示の製造方法は、上記水性媒体中に親油性核形成部位を形成する工程(以下「核形成部位形成工程」とも記載する)を含んでもよい。
上記親油性核形成部位の存在下に上記重合を行うことにより、上記界面活性剤の添加を重合反応の開始後に行っても、効果的に重合が進行する。また、上記親油性核形成部位の非存在下で重合を行うのと比較して、小さい一次粒子径を有するフルオロポリマーが得られる。
上記核形成部位形成工程は、上記親油性核形成部位の水性分散体を提供する工程であってよい。
上記核形成部位形成工程は、上記重合工程における重合反応の開始前に実施することが好ましい。
上記親油性核形成部位は、重合されたモノマーを含まないことが好ましい。
上記親油性核形成部位は水性媒体中に分散され、当該部位においてフルオロポリマー粒子を成長させることができる。上記親油性核形成部位においてフルオロポリマー粒子を形成することにより、上述したフルオロポリマー粒子の初期分散体を提供することができる。
上記親油性核形成部位は、例えば、核形成剤を分解することによって形成することができ、核形成剤及び分解剤を水性媒体に添加することによって、形成することが好ましい。
上記核形成剤としては、疎水性部分及び親水性部分を含む水溶性炭化水素含有化合物が挙げられ、例えば、ジカルボン酸、パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩、炭化水素含有界面活性剤等が挙げられる。上記核形成剤は、芳香環を含まないことが好ましく、脂肪族化合物であることが好ましい。
上記核形成剤としての上記炭化水素含有界面活性剤は、重合工程における界面活性剤とは異なるものであることが好ましく、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
上記核形成剤の好ましい量としては、核形成剤の種類により適宜選択できるが、例えば、上記水性媒体に対し、1000ppm以下であり、より好ましい量として500ppm以下であり、更に好ましい量として100ppm以下であり、特に好ましい量として50ppm以下であり、殊更好ましい量として10ppm以下である。
上記ジカルボン酸の好ましい量としては、上記水性媒体に対し、1000ppm以下であり、より好ましい量として500ppm以下であり、更に好ましい量として100ppm以下である。
上記パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1〜3個の炭素原子を有する飽和フッ化炭素基によって隔てられる任意の鎖構造を有してよい。また、2種以上のフッ化炭素基が、分子中に存在してよい。代表的な構造は、下式に表される繰り返し単位を有する:
(−CFCF−CF−O−) (VII)
(−CF−CF−CF−O−) (VIII)
(−CF−CF−O−)−(−CF−O−) (IX)
(−CF−CFCF−O−)−(−CF−O−) (X)
これらの構造は、Kasaiによって、J.Appl.Polymer Sci.57,797(1995)に記載されている。この文献に開示されているように、上記PFPE酸又はその塩は、一方の末端又は両方の末端にカルボン酸基又はその塩を有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、また、一方の末端又は両方の末端に、スルホン酸、ホスホン酸基又はこれらの塩を有してよい。また、上記PFPE酸又はその塩は、各末端に異なる基を有してよい。単官能性のPFPEについては、分子の他方の末端は、通常、過フッ素化されているが、水素又は塩素原子を含有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、更により好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも1つ、より好ましくは、このようなフッ化炭素基の少なくとも2つは、2又は3個の炭素原子を有する。更により好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも50%は、2又は3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、上記PFPE酸又はその塩は、合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰返し単位構造中のn又はn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。1つの末端又は両方の末端に酸基を有する2つ以上の上記PFPE酸又はその塩が、本開示の製造方法に使用され得る。上記PFPE酸又はその塩は、好ましくは、6000g/モル未満の数平均分子量を有する。
上記炭化水素含有界面活性剤の添加量は、上記水性媒体に対して、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。上記水性媒体中に存在する親油性核形成部位のppm量は、上記添加量よりも少ないと推測される。したがって、上記親油性核形成部位の量は、それぞれ上記の50ppm、40ppm、30ppm、20ppmよりも小さい。上記親油性核形成部位は分子として存在すると考えられるので、ごく少量の上記炭化水素含有界面活性剤でも、大量の親油性核形成部位を生成することができる。したがって、上記炭化水素含有界面活性剤を水性媒体に1ppm程度加えるだけでも、有益な効果が得られる。好ましい下限値は、0.01ppm、より好ましくは、0.1ppmである。
上記炭化水素含有界面活性剤には、米国特許第7,897,682号明細書(Brothers et al.)及び米国特許第7,977,438号明細書(Brothers et al.)に開示されるもの等のシロキサン界面活性剤を含む、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が含まれる。
上記炭化水素含有界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。すなわち、核形成界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。上記非イオン性炭化水素界面活性剤は、好ましくは芳香族部分を含まない。
上記非イオン性炭化水素界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体等が挙げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等であり;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの例は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等であり;ポリオキシエチレンアルキルエステルの例は、ポリエチレングリコールモノラウリレート(polyethylene glycol monolaurylate)、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等であり;ソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート(polyoxyethylene sorbitan monolaurylate)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等であり;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等であり;グリセロールエステルの例は、モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等である。また、それらの誘導体の例は、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等である。特に好ましいのは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエステルである。このようなエーテル及びエステルの例は、10〜18のHLB値を有するものである。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜20。EOは、エチレンオキシド単位を表す)、ポリエチレングリコールモノステアレート(EO:10〜55)及びポリエチレングリコールモノオレエート(EO:6〜10)がある。
好適な非イオン性炭化水素界面活性剤としては、Dow Chemical Companyによって供給されるTriton(登録商標)Xシリーズ等のオクチルフェノールエトキシレートが挙げられる:
Figure 2021102731
Triton(登録商標)
X15:n=1.5(avg)
X45:n=4.5(avg)
好ましい非イオン性炭化水素界面活性剤は、Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)15−Sシリーズ等の分枝鎖状アルコールエトキシレート及びやはりDow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)TMNシリーズ等の分枝鎖状第2級アルコールエトキシレートである:
Figure 2021102731
Tergitol(登録商標)
TMN−6:n=8(avg)
TMN−10:n=11(avg)
TMN−100:n=10(avg)
Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)Lシリーズ界面活性剤等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーは、上記非イオン性炭化水素界面活性剤としても有用である。
更に別の有用な群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、以下のもの等の、BASFからPluronic(登録商標)Rシリーズとして供給される二官能基ブロックコポリマーである:
Figure 2021102731
Pluronic(登録商標)
31R1:m=26(avg)、n=8(avg)
17R2:m=14(avg)、n=9(avg)
10R5:m=8(avg)、n=22(avg)
25R4:m=22(avg)、n=23(avg)
別の群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、BASF CorporationからIconol(登録商標)TDAシリーズとして供給されるトリデシルアルコールアルコキシレートである。
Figure 2021102731
Iconol(登録商標)
TDA−6:n=6(avg)
TDA−9:n=9(avg)
TDA−10:n=19(avg)
上記カチオン性界面活性剤も、核形成界面活性剤として使用できる。典型的なカチオン性界面活性剤は、アルキル化臭化アンモニウム等のアルキル化ハロゲン化アンモニウム等の正に帯電した親水性部分、及び長鎖脂肪酸等の疎水性部分を有する。
使用され得る別の群の核形成剤は、炭化水素含有シロキサン界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤であり、ここで、上記のヒドロカルビル基は、フッ素等のハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換され、それによって、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基上の一価置換基は水素である。核形成剤として好ましいのは、非イオン性部分を有する炭化水素シロキサン、すなわち、非イオン性炭化水素(シロキサン)界面活性剤である。
上記核形成剤の分解に用いる上記分解剤は、酸化剤であることが好ましく、フルオロモノマーの重合にも使用可能なラジカル重合開始剤であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、無機過酸等の無機開始剤の高活性の水溶性塩が挙げられ、なかでも、過硫酸塩、例えば、過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウムが好ましい。上記過硫酸塩は、金属イオンを実質的に含まないことが好ましく、アンモニウム塩であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、アゾアミジン化合物等の水溶性有機アゾ化合物も有用である。
上記重合開始剤は、フルオロモノマーを重合するのに使用される重合開始剤と同じであってもよく、異なっていてもよい。
水性媒体に添加される上記分解剤の量は、重合反応を開始させるのに必要な量より少ないことが好ましく、上記水性媒体に対し、好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、更により好ましくは20ppm以下、最も好ましくは15ppm以下である。上記分解剤の量の下限は、例えば1ppmである。
上記核形成剤の分解は、無機塩の存在下に行うことが好ましい。これにより、形成される上記親油性核形成部位の数を増加させることができ、より小さい一次粒子径を有するフルオロポリマーが得られる。
上記無機塩の例としては、水溶性無機塩が挙げられ、例えば、Na、K等のアルカリ金属カチオン、NH 等のカチオンと、−SO、−HSO、−NO 、−Cl、−CO 、−B 、−HPO 等のアニオンとを含有するものが挙げられる。重合によって作製されるフルオロポリマーが溶融押出によって加工される場合、塩は、好ましくはアンモニウム塩である。
上記核形成剤の分解(酸化)反応の時点で水性媒体中に存在する上記無機塩の量は、上記水性媒体に対し、好ましくは100ppm以下、より好ましくは75ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは25ppm以下である。また、使用される場合の量の下限は1ppmであってよい。
また、本開示の製造方法において、上記界面活性剤と、所望により用いるその他の界面活性能を有する化合物に加え、各化合物を安定化するため添加剤を使用することができる。上記添加剤としては、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤等が挙げられる。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコーンオイル等が好ましい。安定化助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化助剤としては、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で液体でも、半固体でも、固体であってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40〜65℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。
安定化助剤の使用量は、使用する水性媒体の質量基準で0.1〜12質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。安定化助剤は十分に疎水的で、TFEの乳化重合後にPTFE水性乳化液と完全に分離されて、コンタミ成分とならないことが望ましい。
本開示の製造方法において、上記重合工程は、重合反応器に、水性媒体、TFE、連鎖移動剤及び開始剤等の必要な添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の開始剤を加え、重合反応を開始することにより行う。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、開始剤、連鎖移動剤等を追加添加してもよい。上記界面活性剤の添加タイミングは目的に応じて決定すればよく、重合反応の開始前、開始時、開始後のいずれに添加してもよく、それらの複数のタイミングで添加してもよい。
上記重合において、通常、重合温度は、5〜120℃であり、好ましくは、10〜100℃であり、より好ましくは、20〜90℃である。重合圧力は、通常、0.05〜10MPaGであり、好ましくは、0.1〜5.0MPaGであり、より好ましくは、0.2〜3.0MPaGである。重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記界面活性剤は、合計添加量で、水性媒体100質量%に対して0.0001〜10質量%の量を添加することが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。0.0001質量%未満であると、分散力が不充分となるおそれがあり、10質量%を超えると、添加量に見合った効果が得られず、却って重合速度の低下や反応停止が起こるおそれがある。上記界面活性剤の添加量は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量等によって適宜決定される。
上記水性媒体は、上記TFEの重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
本開示の製造方法により製造されるフルオロポリマーとしては、TFE単独重合体であってもよいし、80モル%超のTFE単位と、20モル%未満の上記TFE以外のモノマーに基づく重合単位と、からなる共重合体であってもよい。
本開示の製造方法により製造されるフルオロポリマーとしては、後述する本開示のフルオロポリマーが挙げられる。
本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表される。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
従来、TFE系の重合体においてブロック共重合することは困難であった。本開示のフルオロポリマーは、上記特定の基を末端に有することによって、ブロック共重合が可能となる。従って、本開示のフルオロポリマーは、ブロック共重合体を製造するための中間体としても有用である。
また、本開示のフルオロポリマーは、中間体だけでなく、上述したような用途にそのまま使用することもできる。
式(CRP1)中のZc11としては、上述した式(c1−1)中のZc1と同様のものが挙げられる。
式(CRP2)中のZc12としては、上述した式(c1−2)中のZc2と同様のものが挙げられる。
式(CRP3)中のRc11としては、上述した式(c1−2’)中のRと同様のものが挙げられる。
式(CRP4)中のZc13としては、上述した式(c1−3)中のZc3及びZc4と同様のものが挙げられる。
式(CRP5)中のZc14としては、上述した式(c1−4)中のZc5と同様のものが挙げられる。
上記CRPとしては、重合速度の観点から、(CRP5)が好ましい。
上記式(CRP1)〜(CRP5)は、本開示の製造方法において記載した連鎖移動剤に由来する基である。言い換えると、上記式(CRP1)〜(CRP5)は、上記連鎖移動剤の構造の少なくとも一部がフルオロポリマー(好ましくはフルオロポリマーの主鎖末端)に組み込まれた部分である。
本開示のフルオロポリマーは、80モル%超のTFE単位を含む。TFE単位は90モル%以上であることが好ましく、90モル%超であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましく、99モル%以上であることが更により好ましい。
本開示のフルオロポリマーはまた、TFEに基づく重合単位が99.0質量%以上であり、TFE以外のモノマーに基づく重合単位が1.0質量%以下である変性PTFEであってもよい。
上記Afは、TFEに由来する単量体単位のみからなるフルオロポリマーセグメントであることが1つの好適な態様である。
言い換えると、本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Bf−CRP
(式中、Bfは、TFEに基づく重合単位のみからなるフルオロポリマーセグメントである。CRPは、前記と同じ。)で表されるものであることが好ましい。
上記AfがTFEに由来する単量体単位のみからなるフルオロポリマーセグメントであるフルオロポリマーは、いわゆる、PTFEである。以下、PTFEについて説明する。
本開示の製造方法により得られるPTFEは低分子量PTFEであってもよいし、高分子量PTFEであってもよい。
分子量60万以下の低分子量PTFE(PTFEマイクロパウダーとも呼ばれる)は、化学的安定性に優れ、表面エネルギーが極めて低いことに加え、フィブリル化が生じにくいので、滑り性や塗膜表面の質感を向上させること等を目的とした添加剤として、プラスチック、インク、化粧品、塗料、グリース、オフィスオートメーション機器部材、トナー等の製造に好適である(例えば、特開平10−147617号公報参照。)。
上記重合により得られる低分子量PTFEを粉末として用いる場合、PTFEの分散液を凝析させることで粉末粒子とすることができる。
高分子量PTFEとは、非溶融加工性及びフィブリル化性を有するPTFEを意味する。他方、低分子量PTFEとは、溶融加工性を有し、フィブリル化性を有しないPTFEを意味する。
上記非溶融加工性とは、ASTM D−1238及びD−2116に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質を意味する。
フィブリル化性の有無は、TFEの重合体から作られた粉末である「高分子量PTFE粉末」を成形する代表的な方法である「ペースト押出し」で判断できる。通常、ペースト押出しが可能であるのは、高分子量のPTFEがフィブリル化性を有するからである。ペースト押出しで得られた未焼成の成形物に実質的な強度や伸びがない場合、例えば伸びが0%で引っ張ると切れるような場合はフィブリル化性がないとみなすことができる。
上記高分子量PTFEは、標準比重(SSG)が2.130〜2.280であることが好ましい。上記標準比重は、ASTM D4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D−792に準拠した水置換法により測定する。「高分子量」とは、上記標準比重が上記の範囲内にあることを意味する。
上記低分子量PTFEは、380℃における複素粘度が1×10〜7×10Pa・sである。「低分子量」とは、上記複素粘度が上記の範囲内にあることを意味する。
上記高分子量PTFEは、上記低分子量PTFEよりも複素粘度が極めて高く、その正確な複素粘度を測定することは困難である。他方、上記低分子量PTFEの複素粘度は測定可能であるが、上記低分子量PTFEからは、標準比重の測定に使用可能な成形品を得ることが難しく、その正確な標準比重を測定することが困難である。従って、上記高分子量PTFEの分子量の指標として、標準比重を採用し、上記低分子量PTFEの分子量の指標として、複素粘度を採用する。なお、上記高分子量PTFE及び上記低分子量PTFEのいずれについても、直接に分子量を特定できる測定方法は知られていない。
上記高分子量PTFEは、ピーク温度が333〜347℃であることが好ましく、335〜345℃であることがより好ましい。上記低分子量PTFEは、ピーク温度が322〜333℃であることが好ましく、324〜332℃であることがより好ましい。上記ピーク温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記高分子量PTFEは、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線において、333〜347℃の範囲に少なくとも1つ以上の吸熱ピークが現れ、上記融解熱曲線から算出される290〜350℃の融解熱量が62mJ/mg以上であることが好ましい。
上記PTFEは水性分散液やファインパウダーとして用いることができる。
PTFEのファインパウダーは、成形用として好ましく、好適な用途としては、航空機及び自動車等の油圧系、燃料系のチューブ等が挙げられ、薬液、蒸気等のフレキシブルホース、電線被覆用途等が挙げられる。
PTFEの水性分散液は、また、非イオン性界面活性剤を加えることにより、安定化して更に濃縮し、目的に応じ、有機又は無機の充填剤を加えた組成物として各種用途に使用することも好ましい。上記組成物は、金属又はセラッミクスからなる基材上に被覆することにより、非粘着性と低摩擦係数を有し、光沢や平滑性、耐摩耗性、耐候性及び耐熱性に優れた塗膜表面とすることができ、ロールや調理器具等の塗装、ガラスクロスの含浸加工等に適している。
上記水性分散液からPTFEのオルガノゾルを調製することもできる。上記オルガノゾルは、上記PTFE及び有機溶剤を含むことができ、上記有機溶剤としては、エーテル系溶媒、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド等を好適に使用できる。上記オルガノゾルの調製は、例えば、国際公開第2012/002038号に記載の方法により実施できる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEのファインパウダーは、加工助剤として使用することも好ましい。加工助剤として使用する場合、上記水性分散液又は上記ファインパウダーをホストポリマー等に混合することにより、ホストポリマー溶融加工時の溶融強度向上や、得られたポリマーの機械的強度、電気特性、難燃性、燃焼時の滴下防止性、摺動性を向上することができる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、電池用結着剤、防塵用途として使用することも好ましい。
本開示の製造方法で得られたPTFEファインパウダーから、未焼成テープ(生テープ)を得ることもできる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、また、PTFE以外の樹脂と複合させてから加工助剤として使用することも好ましい。上記水性分散液又は上記ファインパウダーは、例えば、特開平11−49912号公報、米国特許第5804654号明細書、特開平11−29679号公報、特開2003−2980号公報に記載されたPTFEの原料として好適である。上記水性分散液又は上記ファインパウダーを使用した加工助剤は、上記各刊行物に記載された加工助剤に比べてもなんら劣るものではない。
上記PTFEの水性分散液は、溶融加工性フッ素樹脂の水性分散液と混合して凝析させることにより、共凝析粉末とすることも好ましい。上記共凝析粉末は、加工助剤として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、エチレン/TFE/HFP共重合体[EFEP]等が挙げられるが、中でもFEPが好ましい。
上記水性分散液は、上記溶融加工性フッ素樹脂を含むことも好ましい。上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、EFEP等が挙げられる。上記溶融加工性フッ素樹脂を含む上記水性分散液は、塗料として使用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂は、上記PTFEの粒子同士を充分に融着させることができるので、造膜性を向上させ、得られる被膜に光沢を出すことができる。
上記共凝析粉末を添加するフッ素非含有樹脂は、パウダー状であってもよいし、ペレット状であってもよいし、エマルションであってもよい。上記添加は、各樹脂を充分に混合する点で、押出混練、ロール混練等の公知の方法により剪断力を与えながら行うことが好ましい。
上記PTFEの水性分散液は、塵埃抑制処理剤として使用することも好ましい。上記塵埃抑制処理剤は、発塵性物質と混合し、該混合物に20〜200℃の温度で圧縮−せん断作用を施すことによりPTFEをフィブリル化して発塵性物質の塵埃を抑制する方法、例えば特許第2827152号公報、特許第2538783号公報等の方法において、用いることができる。
上記PTFEの水性分散液は、例えば、国際公開第2007/004250号に記載の塵埃抑制処理剤組成物に好適に用いることができ、国際公開第2007/000812号に記載の塵埃抑制処理方法にも好適に用いることができる。
上記塵埃抑制処理剤は、建材分野、土壌安定材分野、固化材分野、肥料分野、焼却灰及び有害物質の埋立処分分野、防爆分野、化粧品分野、猫砂に代表されるペット排泄用の砂等の塵埃抑制処理に好適に用いられる。
上記PTFEの水性分散液は、分散紡糸法(Dispersion Spinning method)によりPTFE繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記分散紡糸法とは、上記PTFEの水性分散液とマトリックス高分子の水性分散液とを混合し、当該混合物を押出加工して中間体繊維構造物を形成し、該中間体繊維構造物を焼成することによって上記マトリックス高分子を分解及びPTFE粒子の焼結を行ってPTFE繊維を得る方法である。
重合により得られる高分子量PTFE粉末は、延伸性及び非溶融加工性を有し、延伸体(多孔体)の原料としても有用である。
この延伸体が膜である場合(PTFE延伸膜またはPTFE多孔膜)、公知のPTFE延伸方法によって延伸することができる。延伸することにより高分子量PTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなるPTFE多孔体(膜)となる。
好ましくは、シート状または棒状のペースト押出物を押出方向にロール延伸することで、一軸延伸膜を得ることができる。
更に、テンター等により幅方向に延伸して、二軸延伸膜も得ることができる。
延伸前に半焼成処理を行うことも好ましい。
このPTFE延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体であり、エアフィルター、薬液フィルター等の各種精密濾過フィルターの濾材、高分子電解質膜の支持材等として好適に利用できる。
また、繊維分野、医療分野、エレクトロケミカル分野、シール材分野、空気濾過分野、換気/内圧調整分野、液濾過分野、一般消費材分野等で使用する製品の素材としても有用である。
以下に、具体的な用途を例示する。
エレクトロケミカル分野
誘電材料プリプレグ、EMI遮蔽材料、伝熱材料等。より詳細には、プリント配線基板、電磁遮蔽シールド材、絶縁伝熱材料、絶縁材料等。
シール材分野
ガスケット、パッキン、ポンプダイアフラム、ポンプチューブ、航空機用シール材等。
空気濾過分野
ULPAフィルター(半導体製造用)、HEPAフィルター(病院・半導体製造用)、円筒カートリッジフィルター(産業用)、バグフィルター(産業用)、耐熱バグフィルタ−(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルター(排ガス処理用)、SINBRANフィルター(産業用)、触媒フィルター(排ガス処理用)、吸着剤付フィルター(HDD組込み)、吸着剤付ベントフィルター(HDD組込み用)、ベントフィルター(HDD組込み用他)、掃除機用フィルター(掃除機用)、汎用複層フェルト材、GT用カートリッジフィルター(GT向け互換品用)、クーリングフィルター(電子機器筐体用)等。
換気/内圧調整分野
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、タブレット端末や携帯電話端末等の小型端末を含む電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等。
液濾過分野
半導体液ろ過フィルター(半導体製造用)、親水性PTFEフィルター(半導体製造用)、化学薬品向けフィルター(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルター(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルター(産業排水処理用)等。
一般消費材分野
衣類、ケーブルガイド(バイク向け可動ワイヤ)、バイク用衣服、キャストライナー(医療サポーター)、掃除機フィルター、バグパイプ(楽器)、ケーブル(ギター用信号ケーブル等)、弦(弦楽器用)等。
繊維分野
PTFE繊維(繊維材料)、ミシン糸(テキスタイル)、織糸(テキスタイル)、ロープ等。
医療分野
体内埋設物(延伸品)、人工血管、カテーテル、一般手術(組織補強材料)、頭頸部製品(硬膜代替)、口内健康(組織再生医療)、整形外科(包帯)等。
上記Afは、TFEに基づく重合単位が80モル%超であれば、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含んでいてもよい。TFE以外のモノマーとしては、上述した本開示の製造方法で記載したものと同じである。
上記TFE以外のモノマーに基づく重合単位としては、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに由来する単量体単位とがランダム共重合したフルオロポリマーセグメントであることが1つの態様である。
上記一般式(1)で示されるモノマー及び/又は一般式(2)で示されるモノマーとしては、本開示の製造方法において記載したものと同じである。
この場合、上記Afは、TFEに基づく重合単位80モル%超100モル%未満含むことが好ましい。上記Afは、TFEに基づく重合単位81モル%以上含むことが好ましく、90モル%以上含むことがより好ましく、90モル%超含むことが更に好ましく、95モル%以上含むことが更により好ましく、99モル%以上含むことが特に好ましい。
上記AfがTFEに由来する単量体単位と、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに由来する単量体単位とがランダム共重合したフルオロポリマーセグメントである場合、上記フルオロポリマーは、TFEと、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーとのコポリマーであり、例えば、TFE−HFP共重合体(FEP)、TFE−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、エチレン−TFE共重合体(ETFE)、TFE/VDF共重合体等の溶融加工性フッ素樹脂等が挙げられる。
また、TFEと、TFE以外のモノマー(変性モノマー)とからなる変性PTFEであってもよい。この場合、TFE以外のモノマーが1質量%以下であることが好ましい。
上記FEPの好ましい単量体組成(質量%)は、TFE:HFP=(80〜95):(5〜20)、より好ましくは(85〜92):(8〜15)である。上記FEPとしては、また、更に第3成分としてパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類を用い、全単量体の0.1〜2質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記FEPは、例えば、電線、発泡電線、ケーブル、ワイヤ等の被覆材、チューブ、フィルム、シート、フィラメント等の種々の成形品の製造に供することができる。
上記PFAの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)=(90〜99.7):(0.3〜10)、より好ましくは(97〜99):(1〜3)である。上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、式:CF=CFORf(式中、Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基)で表されるものを使用することが好ましい。
上記PFAから種々の成形品を得ることができる。成形品の例をあげると、シート、フィルム、パッキン、丸棒、角棒、パイプ、チューブ、丸槽、角槽、タンク、ウェハーキャリア、ウェハーボックス、ビーカー、フィルターハウジング、流量計、ポンプ、バルブ、コック、コネクター、ナット、電線、耐熱電線などがある。これらのうち、特に薬液の不透過性が要求される各種の化学反応装置、半導体製造装置、さらには酸系またはアルカリ系の薬液供給装置などに使用するチューブ、パイプ、タンク、コネクターなどに好適に使用できる。
更に、PFA単独で、又は、必要に応じて、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、金属粉末等を加えて、有機溶媒中に溶解または分散させることで、プライマー組成物を得ることもできる。このプライマー組成物を金属表面に施し、かくして形成されたプライマー層上に溶融加工性フッ素樹脂組成物を施し、プライマー層と共に溶融加工性フッ素樹脂組成物層を焼成することからなる金属表面へのフッ素樹脂の被覆方法にも用いることができる。
上記ETFEの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:エチレン=(80〜99):(20〜1)である。上記ETFEとしては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜20質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。好ましくは、TFE:エチレン:第3モノマー=(80〜94):(19〜2):(1〜10)である。上記第3モノマーとしては、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロブチルエチレン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタ−1−エン、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロペン((CFC=CH)が好ましい。
上記ETFEは、押出成形してシートにすることもできる。例えば、ETFE粉末、またはETFEのペレットを溶融させ、ダイから連続的に押し出し、冷却して得られるシート状の成形品にすることができる。ETFEには添加剤が添加されていてもよい。
添加剤としては、公知のものを適宜用いることができる。具体例としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、難燃剤、難燃フィラー、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。耐候性が優れる点からは無機系添加剤が好ましい。
上記ETFEのシートにおける添加剤の含有量は、ETFEのシートの総質量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
上記ETFEのシートは、機械的強度および外観に優れることから、膜構造建築物(運動施設、園芸施設、アトリウム等)用の膜材(屋根材、天井材、外壁材、内壁材、被覆材等)として好適である。
また、膜構造建築物の膜材だけではなく、たとえば、屋外使用板材(防音壁、防風フェンス、越波柵、車庫天蓋、ショッピングモール、歩行路壁、屋根材)、ガラス飛散防止フィルム、耐熱・耐水シート、建材等(テント倉庫のテント材、日よけ用膜材、明かり取り用の部分屋根材、ガラスに替わる窓材、防炎仕切り用膜材、カーテン、外壁補強、防水膜、防煙膜、不燃透明仕切り、道路補強、インテリア(照明、壁面、ブランド等)、エクステリア(テント、看板等)等)、生活レジャー用品(釣りざお、ラケット、ゴルフクラブ、映写幕等)、自動車用材料(幌、制振材、ボディ等)、航空機材料、船舶材料、家電外装、タンク、容器内壁、フィルタ、工事用膜材、電子材料(プリント基板、配線基板、絶縁膜、離型膜等)、太陽電池モジュールの表面材料、太陽熱発電用のミラー保護材、ソーラー温水器の表面材等に有用である。
上記TFE/VDF共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:VDF=(81〜90):(10〜19)である。TFE/VDF共重合体としては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜10モル%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記第3モノマーとしては、
式: CX1112=CX13(CX1415n1116
(式中、X11〜X16は同一又は異なってH、F又はClを表し、n11は0〜8の整数を表す。但し、TFE及びVDFを除く。)で示されるモノマー、又は、
式: CX2122=CX23−O(CX2425n2126
(式中、X21〜X26は同一又は異なってH、F又はClを表し、n21は0〜8の整数を表す。)で示されるモノマーが好ましい。
また、第3モノマーはフッ素非含有エチレン性単量体でもよい。上記フッ素非含有エチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性を維持する点で、炭素数6以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等)、マレイン酸、イタコン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
得られたTFE/VDF共重合体を、アンモニア水、アンモニアガス又はアンモニアを生成しうる窒素化合物と接触させることによりアミド化処理してもよい。
上記TFE/VDF共重合体は、紡糸延伸方法によりTFE/VDF共重合体繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記紡糸延伸方法とは、TFE/VDF共重合体を溶融紡糸してから冷却固化して未延伸糸を得た後、該未延伸糸を加熱筒状体中に走行させて延伸することによりTFE/VDF共重合体繊維を得る方法である。
上記TFE/VDF共重合体を、有機溶剤に溶解させて、上記TFE/VDF共重合体の溶液を得ることもできる。上記有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;更に、それらの混合溶剤等の低沸点の汎用有機溶剤を挙げることができる。上記溶液は、電池用結着剤として使用できる。
上記TFE/VDF共重合体の水性分散液をポリオレフィン樹脂からなる多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。水性分散液に無機粒子、及びまたは有機系粒子を分散させ、多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。このようにして得られた複合多孔膜はリチウム二次電池のセパレーターなどの使用することができる。
上記溶融加工性フッ素樹脂の粉末は、粉体塗料として好適に利用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂粉末からなる粉体塗料を基材に適用すると、表面が平滑な皮膜を得ることができる。平均粒径が1μm以上100μm未満である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に静電塗装に使用する粉体塗料として好適であり、平均粒径が100μm以上1000μm以下である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に回転塗装又は回転成形に使用する粉体塗料として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂粉末は、上述した本開示の製造方法で得られた溶融加工性フッ素樹脂を乾燥させて粉体化することによって粉末を得る方法により製造できる。
上記Afが、TFEとTFE以外のモノマーとがランダム共重合したポリマーセグメントである場合、得られるフルオロポリマーは、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下のTFE以外の変性モノマーに基づく重合単位とを含む変性PTFEであってもよい。
上記変性モノマーの合計量は、工程(ii)で得られるフルオロポリマーに対して、0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましい。
上記変性モノマーとしては、例えば、上記一般式(1)及び一般式(2)で示されるモノマーが挙げられ、特に、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、環境負荷低減の観点から、数平均分子量が1000以上であることが好ましい。本開示のフルオロポリマーは、数平均分子量が3000以上であることがより好ましく、5000以上であることが更に好ましく、10000以上であることが特に好ましい。
上記数平均分子量は、例えば、PTFEの場合は、固体19F−NMR測定より得られるTFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク積分値と、ポリマー末端の連鎖移動剤切片由来のピーク積分値の比から見積もられる重合度nから算出する。ポリマーの数平均分子量は、モノマーの分子量mと重合度nの積(m×n)として算出することができる。
上記数平均分子量は、例えば、溶剤に溶解可能なポリマーの場合は、GPC測定より得られる数平均分子量であってよい。
本開示は、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表されるフルオロポリマーを含むことを特徴とする組成物にも関する。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
本開示の組成物において、フルオロポリマーは上述した本開示のフルオロポリマーと同じである。
上記フルオロポリマーは、上述した本開示の製造方法によって製造することができる。
本開示の組成物は、更に、上記界面活性剤を含むことが好ましい。上記界面活性剤としては、上述した本開示の製造方法において使用する界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤は、含フッ素界面活性剤であってもよいし、炭化水素系界面活性剤であってもよいが、炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。
本開示の組成物は、水性ディスパージョンであってもよいし、粉末であってもよいし、ペレットであってもよい。水性ディスパージョンは重合上がりのディスパージョンであってもよいし、重合上がりのディスパージョンを加工したものであってもよい。例えば、機械的安定性や貯蔵安定性のために非イオン性界面活性剤等を添加したものであってもよい。上記非イオン性界面活性剤を添加する場合、その添加量は、上記フルオロポリマーに対して0.5〜25質量%であることが好ましい。上記添加量の下限は、1質量%であることがより好ましく、3質量%であることが更に好ましい。上限は、20質量%であることがより好ましく、15質量%であることが更に好ましく、10質量%であることが特に好ましい。
水性ディスパージョンとは、水性媒体を分散媒とし、上記フルオロポリマーを分散質とする分散系である。上記水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等の有機溶媒を含むものであってもよい。
上記組成物における上記界面活性剤の含有量の下限値は、上記フルオロポリマーに対して10ppbであることが好ましく、100ppbであることがより好ましく、1ppmであることが更に好ましく、10ppmであることが更により好ましく、50ppmであることが特に好ましい。上限値は、フルオロポリマー(1)に対して100000ppmであることが好ましく、50000ppmであることがより好ましく、10000ppmであることが更に好ましく、5000ppmであることが特に好ましい。
本開示は、上記組成物を成形して得られる成形体にも関する。成形に用いる上記組成物は、粉末又はペレットであることが好ましい。
成形方法としては、特に限定されず、例えば、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、射出成形、ブロー成形、ロト成形、ロトライニング成形、静電塗装等が挙げられる。
上記成形体の形状としては、特に限定されず、例えば、ホース、パイプ、チューブ、シート、シール、ガスケット、パッキン、フィルム、タンク、ローラー、ボトル、容器等が挙げられる。
本開示はまた、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でTFEを重合してTFEに基づく重合単位を80モル%超(好ましくは90モル%超)含むフルオロポリマーを得る重合工程、及び、重合工程で得られたフルオロポリマーを含む水性媒体中で、TFE以外のモノマーをブロック共重合するブロック重合工程を含み、上記連鎖移動剤はジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物及びキサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第2の製造方法」ともいう)をも提供する。
本開示の第2の製造方法において、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤、水性媒体、TFE以外のモノマーとしては、本開示の製造方法に記載したものと同じである。また、上記重合工程は、本開示の製造方法と同じである。上記重合工程により、上述した本開示のフルオロポリマーのように、末端にCRPを有するポリマーが得られ、これにより、TFE以外のモノマーをブロック共重合することができる。
本開示の第2の製造方法において、重合工程は1回行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行うことによって複数のブロック(セグメント)を有するブロック共重合体を製造できる。
本開示の第2の製造方法において、上記重合工程と、ブロック重合工程は連続的におこなってもよいし、上記重合工程で得られたポリマーを回収し、回収したポリマーを水性媒体に添加してからTFE以外のモノマーを添加して重合を行ってもよい。
上記ブロック重合工程の温度は、ブロック共重合が可能な温度であれば特に限定されないが、例えば、0〜150℃であってよい。好ましくは、20〜130℃であり、より好ましくは、40〜110℃である。
上記ブロック重合工程の圧力は、ブロック共重合が可能な圧力であれば特に限定されないが、例えば、0〜9.8MPaGであってよい。好ましくは、0.2〜6.0MPaGであり、より好ましくは、0.5〜3.0MPaGである。
上記ブロック重合工程において、水性媒体に対するTFE以外のモノマーの濃度は0.1〜20モル/Lであることが好ましい。より好ましくは、0.3〜18モル/Lであり、更に好ましくは、0.5〜15モル/Lである。
上記ブロック重合工程は1回行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行うことによって複数のブロック(セグメント)を有するブロック共重合体を製造できる。
本開示の第2の製造方法によって得られるフルオロポリマーとしては、例えば、後述する本開示の第2のフルオロポリマー等が挙げられる。
本開示はまた、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むセグメントAと、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むセグメントBから構成されるフルオロポリマー(以下「本開示の第2のフルオロポリマー」とも記載する。)を提供する。上記TFE以外のモノマーとしては特に限定されないが、上述した一般式(1)及び/又は(2)で示されるモノマーが好ましい。
上記セグメントAは、TFEに由来する単量体単位を80モル%超含むものである。セグメントAは、TFEに由来する単量体単位を90モル%超含むものであることが好ましく、TFEに基づく重合単位のみからなることがより好ましい。上記セグメントAは、TFE単独重合体(PTFE)からなるポリマーセグメントであることが好ましい、上述したPTFEの特徴を全て採用できる。
セグメントBは、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むものであればよいが、一般式(1)及び/又は一般式(2)に基づく重合単位を含むものであることが好ましく、特に、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、HFP、CTFE、VDF、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、N−アクリルアミド化合物、アルケン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が更により好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
上記セグメントBを構成する重合体としては、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むものであり、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに基づく重合単位を含むものが好ましく、例えば、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル;ポリ(N−ビニルピロリドン)等のポリビニルアミド;PVDF等のポリフルオロオレフィン等が特に好ましい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、セグメントA及びセグメントBを含む。本開示の第2のフルオロポリマーは、下記式:
−A−L−B−
(式中、AはセグメントAであり、BはセグメントBであり、Lは連結基を表す。)の構造を含むことが好ましい。
上記Lは、単結合であってもよいし、2価の有機基であってもよい。Lにおける2価の有機基としては、アルキレン基、オキシアルキレン基等が挙げられる。
上記Lは単結合であることが好ましい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、上記セグメントAとセグメントBが単結合により結合した−A−B−構造を含むことが好ましい。
セグメントAとセグメントBが単結合により結合しているとは、セグメントAの端部を構成する重合単位(例えば、TFEに由来する重合単位)と、セグメントBの端部を構成する重合単位(例えば、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに基づく重合単位)とが直接結合していることを意味する。このような構成は、本開示の第2の製造方法によって実現できる。
本開示の第2のフルオロポリマーにおいて、−A−L−B−構造は少なくとも1つ存在すればよく、2以上あってもよいし、3以上あってもよい。すなわち、本開示の第3のフルオロポリマーは、少なくとも1つのセグメントAと少なくとも1つのセグメントBがL(好ましくは単結合)により結合していればよく、−A−L−B−が2回以上繰り返されたものであってよく、3回以上繰り返された構造を有するものであってもよい。例えば、−A−L−B−、−B−L−A−、−A−L−B−L−A−、−B−L−A−L−B−、−A−L−B−L−A−L−B−、−B−L−A−L−B−L−A−等の構成であってもよい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、上記セグメントAとセグメントBとの質量比(A/B)が99/1〜1/99であってよい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、TFEに由来する単量体に基づく単量体単位を含むセグメントAと、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示される単量体に基づく単量体単位を含むセグメントBの両方の性質を併せ持つことができる。このようなフルオロポリマーは、例えば、フッ素樹脂を複合するための相溶化剤、接着剤としての用途が期待される。
また、本開示の第2のフルオロポリマーは、本開示の第1及び第2のフルオロポリマーにおいて記載した各フルオロポリマーの用途にも採用できる。
次に実施例を挙げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例では下記式で表される10−オキソウンデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として用いた。
Figure 2021102731
実施例1
オートクレーブに、水550g、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム0.019g、パラフィン30g、O−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネート0.10gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。系内をTFEで置換し、70℃まで昇温した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)0.11gを供給して重合を開始した。重合圧力を0.83MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFEを連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了後、フルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.0gを得た。固体19F−NMR測定(高速MAS法)より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピークを基準(CFCFCF=−120ppm)としたときに、−CF−S−由来のピークが−85ppmに見えたことから、ポリマー末端に連鎖移動剤切片A(−SC(S)OC)が導入されたことを確認した。また、切片B(−CFH)も確認した。CF連鎖由来のピーク積分値と切片A+Bのピーク積分値の比から見積もられる重合度は、249であった。
実施例2
オートクレーブに、水550g、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム0.019g、パラフィン30g、O−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネート0.10gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。系内をTFE/VDF混合モノマー91/9(モル%)で置換し、70℃まで昇温した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)0.11gを供給して重合を開始した。重合圧力を0.90MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFE/VDF混合モノマー91/9(モル%)を連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了後、フルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.3gを得た。固体19F−NMR測定と元素分析より見積もられる単量体組成比は、TFE/VDF:92/8(モル%)であった。
実施例3
実施例1において、0.3gのHFPを加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.1gを得た。FT−IR測定より、982cm−1における赤外線吸光度/935cm−1における赤外線吸光度の比に0.3を乗じることで、見積もられる単量体組成比は、TFE/HFP:94/6(モル%)であった。
実施例4
実施例1において、0.2gのパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)を加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.0gを得た。固体19F−NMR測定より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク(CFCFCF=−120ppm)積分値とPMVEのCF由来のピーク(−52ppm)積分値から見積もられる単量体組成比は、TFE/PMVE:95/5(モル%)であった。
実施例5
実施例1において、0.3gのパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.1gを得た。固体19F−NMR測定より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク(CFCFCF=−120ppm)積分値とPPVEのCF由来のピーク(−52ppm)積分値から見積もられる単量体組成比は、TFE/PPVE:95/5(モル%)であった。
本開示は、フルオロポリマーの製造方法に関する。
フルオロポリマーの製造方法としては、乳化重合や溶液重合が採用されている。
例えば、特許文献1には、式:CFClO(CF−CF(CF)O)(CFO)CFCOOH(式中、n/m=10であり、600の平均分子量を有する)の酸性末端基を有するパーフルオロポリオキシアルキレンと、n/m=20の、450の平均分子量を有する式:CFO(CFCF(CF)O)(CFO)CFのパーフルオロポリエーテルとを混合することによって予め得られたマイクロエマルション、及び、連鎖移動剤としてのO−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネートの存在下に、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとを重合したことが記載されている。
ところで、特許文献2には、エチレン性不飽和単量体の少なくとも1種と、遊離ラジカル源の少なくとも1種と、特定構造の化合物を接触させることを特徴とする重合体の製造方法が記載されています。特許文献3には、キサンテート、ジチオカルバメート、チオエーテルチオン及びリンを含むキサンテートから選択される少なくとも1つの制御剤等を含むミニエマルジョンの調製、及び、フリーラジカル源の存在下で行う前記ミニエマルジョンの反応、を含むポリマーの製造方法が記載されている。
特表2017−515948号公報 特表2003−501528号公報 米国特許第7317050号明細書
本開示は、フルオロポリマーの新規な製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレンを重合してテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、前記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第1の製造方法」と記載することもある。また、本明細書中、単に「本開示の製造方法」と記載する場合「本開示の第1の製造方法」を意味する。)に関する。
上記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含むことが好ましい。
上記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、更に、テトラフルオロエチレン以外のモノマーに基づく重合単位を含んでもよい。
上記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、下記一般式(1)で示されるモノマー、及び、下記一般式(2)で示されるモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(1):
CF=CR
(式中、Rは、H又はF;Rは−Cl、−CF、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、−Rf、−ORf;R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基又は含フッ素ビニル基;Rfは、含フッ素アルキル基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
一般式(2):
CH=CR
(式中、Rは、R、−CFまたはF;Rは−Cl、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、Rf;R及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基;R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基又は含フッ素アルコキシ基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
上記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記連鎖移動剤は、キサンテート化合物であることが好ましい。
上記重合工程において、水性媒体に対する上記連鎖移動剤の濃度が0.1×10−3〜0.01モル/Lであることが好ましい。
上記界面活性剤は、炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まないことが好ましい。
本開示はまた、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表されることを特徴とするフルオロポリマーでもある。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
上記式中、Afは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含むことが好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Bf−CRP
(式中、Bfは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなるフルオロポリマーセグメントである。CRPは、上記と同じ。)で表されるものであることが好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、分子量が3000以上であることが好ましい。
本開示によれば、フルオロポリマーの新規な製造方法を提供することができる。
本開示を具体的に説明する前に、本明細書で使用するいくつかの用語を定義又は説明する。
本明細書において、フッ素樹脂とは、部分結晶性フルオロポリマーであり、フルオロプラスチックスである。フッ素樹脂は、融点を有し、熱可塑性を有するが、溶融加工性であっても、非溶融加工性であってもよい。
本明細書において、溶融加工性とは、押出機及び射出成形機等の従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01〜500g/10分であることが通常である。
本明細書において、パーフルオロモノマーとは、分子中に炭素原子−水素原子結合を含まないモノマーである。上記パーフルオロモノマーは、炭素原子及びフッ素原子の他、炭素原子に結合しているフッ素原子のいくつかが塩素原子で置換されたモノマーであってもよく、炭素原子の他、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、燐原子、硼素原子又は珪素原子を有するものであってもよい。上記パーフルオロモノマーとしては、全ての水素原子がフッ素原子に置換されたモノマーであることが好ましい。上記パーフルオロモノマーには、架橋部位を与えるモノマーは含まれない。
架橋部位を与えるモノマーとは、硬化剤により架橋を形成するための架橋部位をフルオロポリマーに与える架橋性基を有するモノマー(キュアサイトモノマー)である。
本明細書において、フルオロポリマーを構成する各モノマーの含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
本明細書において、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO−、
RaCO−、
RaSO−、
RaCOO−、
RaNRaCO−、
RaCONRa−、
RaOCO−、
RaOSO−、及び、
RaNRbSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、H又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
また、本明細書において、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、及び、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられ、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されたものであってもよい。
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6〜12、好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、4−ニトロフェニル基、4−アセチルアミノフェニル基、4−メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜10の5〜6員へテロ環、例えば2−テトラヒドロフリル基、2−ピリミジル基等が挙げられる。
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3−ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは2〜8のアシルアミノ基、総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(t)−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、へテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2〜9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2〜5のアルキルカルバモイル基、例えばN−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1〜6、好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル等が挙げられる。
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6〜10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2〜12、好ましくは総炭素原子数2〜8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2〜8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2−ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4−ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1〜8、好ましくは1〜6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i−プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
上記芳香族アミノ基、へテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1〜8、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t−ブチルチオ基等が挙げられる。
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
本明細書においては更に、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98等が含まれる)。
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100等)。
次に、本開示を具体的に説明する。
本開示の製造方法は、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレン[TFE]を重合してTFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、上記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本開示の製造方法は、開始剤、特定の連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、TFEを重合することによって、TFEに基づく重合単位が80モル%超とTFEの割合が多い場合であっても重合することが可能である。上記重合は、いわゆる乳化重合である。
本開示の製造方法は、上記構成を有することによって、TFEに基づく重合単位が80モル%を超える場合であっても、フルオロポリマーを効率よく製造することができる。
TFEに基づく重合単位が多いフルオロポリマーを重合する場合、分子量が低下するため、一般的に連鎖移動剤を使用しない。本開示の製造方法は、TFEに基づく重合単位が多いフルオロポリマーを重合する場合であっても、意外なことに効率よく重合が進行することを見出し完成したものである。
上記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。上記連鎖移動剤としては、ジチオカルバメート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、キサンテート化合物がより好ましい。
上記連鎖移動剤として具体的には式(c1−1)で表されるジチオエステル、式(c1−2)又は式(c1−2’)で表されるトリチオカーボネート、式(c1−3)で表されるジチオカルバメート、式(c1−4)で表されるキサンテートが挙げられる。
Figure 2021102731
式(c1−1)〜(c1−4)中、Zc1はアリール基又はアルキル基であり、例えばフェニル基、シアノフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、エチル基等の炭素数1〜15のアルキル基である。Zc2はアリール基又はアルキル基であり、例えばドデシル基等の炭素数1〜15のアルキル基である。Zc3及びZc4はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であり、例えばメチル基等の炭素数1〜15のアルキル基、フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基である。Zc3及びZc4は相互に結合して式(c1−3)中のN原子とともにピロール環、ピロリドン環等の複素環を形成してもよい。Zc5はアリール基又はアルキル基であり、例えばエチル基、トリフルオロエチル基等の炭素数1〜15のアルキル基、フェニル基、パーフルオロフェニル基等の炭素数6〜20のアリール基である。
c5において、アリール基はフェニル基、シアノフェニル基又はパーフルオロフェニル基が好ましく、フェニル基又はパーフルオロフェニル基がより好ましい。
上記Zc5において、アルキル基はメチル基、エチル基、ブチル基、ドデシル基、又はトリフルオロエチル基が好ましく、メチル基、エチル基又はトリフルオロエチル基がより好ましい。
式(c1−1)〜(c1−4)中、Rは、1価の有機基であり、例えば、(i)アルキル基、並びに(ii)アルキル基が有する水素原子の1又は2以上が、フェニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセトキシ基及び下記c1〜c4からなる群から選ばれる少なくとも1種の基で置換された基が挙げられる。
式(c1−2’)において、2つのRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
でのアルキル基の炭素数は、通常1〜18、好ましくは2〜12である。
Figure 2021102731
上記式(c1)〜(c4)中、*は結合位を示す。上記式c2中、Aは炭素数2〜5のアルキレン基、nは10〜300の整数である。
ジチオエステル(c1−1)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
トリチオカーボネート(c1−2)及び(c1−2’)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
(式中、nは10〜300の整数である。)
ジチオカルバメート(c1−3)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
キサンテート(c1−4)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021102731
(式中、nは1〜50の整数である。
上記重合工程において、水性媒体に対する上記連鎖移動剤の濃度は0.1×10−3〜0.01モル/Lであることが好ましい。上記連鎖移動剤の濃度が上記範囲であることによって、より効率よく重合を進行させることができる。上記連鎖移動剤の濃度は、水性媒体に対して0.2×10−3モル/L以上がより好ましく、0.3×10−3モル/L以上が更に好ましく、また、0.9×10−2モル/L以下がより好ましく、0.8×10−2モル/L以下が更に好ましい。
上記連鎖移動剤を用いることによって、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)を行うことができる。RAFTでは、上記連鎖移動剤の存在下、リビングラジカル重合を行うことができる。
本開示の製造方法は、開始剤の存在下にTFEを重合する。好適な開始剤としては、過酸化物、無機剤、及びアゾ化合物並びに酸化還元ベースの開始剤が挙げられる。
過酸化物開始剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム若しくは過酸化バリウム、ジアセチルパーオキサイド、ジスクシニルパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ジブチリルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルアセチルパーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド及びジラウリルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、並びに、過酸及びその塩(例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に使用することができ、その例としては、tert−ブチルペルオキシアセテート及びtert−ブチルパーオキシピバレートが挙げられる。
上記無機剤の例としては、例えば、過硫酸、過マンガン酸若しくはマンガン酸のアンモニウム塩、アルカリ塩若しくはアルカリ土類塩、又は、マンガン酸が挙げられる。過硫酸塩開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)は、それだけで使用することができるか、又は還元剤と組み合わせて使用されてもよい。好適な還元剤としては、例えば重亜硫酸アンモニウム若しくはメタ重亜硫酸ナトリウム等の重亜硫酸塩、例えばチオ硫酸アンモニウム、カリウム若しくはナトリウム等のチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレ−ト及びアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が挙げられる。使用され得る更なる還元剤としては、例えば、米国特許第5,285,002号明細書に開示されているようなホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(Rongalit)又はフルオロアルキルスルフィネートが挙げられる。還元剤は典型的には、過硫酸塩開始剤の半減期を減らす。更に、例えば銅、鉄又は銀塩等の金属塩触媒が添加されてもよい。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。
上記開始剤としては、過酸のエステル、過硫酸塩、ジアシルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、又は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)がより好ましく、tert−ブチルパーオキシピバレート、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルペルオキシアセテート、又は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)が更に好ましい。
上記重合工程において、水性媒体に対する上記開始剤の濃度は1×10−5〜0.01モル/Lであることが好ましい。上記開始剤の濃度が上記範囲であることによって、より効率よく重合を進行させることができる。上記開始剤の濃度は、水性媒体に対して2×10−5モル/L以上がより好ましく、3×10−5モル/L以上が更に好ましく、また、0.9×10−2モル/L以下がより好ましく、0.8×10−2モル/L以下が更に好ましい。
上記連鎖移動剤と開始剤とのモル比[連鎖移動剤]/[開始剤]は、重合を効率よく進行させる観点から、0.1〜40であることが好ましい。より好ましくは、0.2〜30であり、更に好ましくは、0.3〜20であり、更により好ましくは0.4〜15であり、特に好ましくは0.5〜10である。
上記のように開始剤と連鎖移動剤とのモル比を特定の範囲にすることで、重合を効率よく進行させることができる。
上記界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、含フッ素界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素界面活性剤としては、含フッ素アニオン界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤は、例えば、下記一般式(N)におけるアニオン基Yを除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよい。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、アニオン部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよい。
なお、上記「アニオン部分」は、上記含フッ素界面活性剤のカチオンを除く部分を意味する。例えば、後述する式(I)で表されるF(CFn1COOMの場合には、「F(CFn1COO」の部分である。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、LogPOWが3.5以下、好ましくは3.4以下の含フッ素界面活性剤が挙げられる。上記LogPOWは、1−オクタノールと水との分配係数であり、LogP[式中、Pは、含フッ素界面活性剤を含有するオクタノール/水(1:1)混合液が相分離した際のオクタノール中の含フッ素界面活性剤濃度/水中の含フッ素界面活性剤濃度比を表す]で表されるものである。
上記LogPOWは、カラム;TOSOH ODS−120Tカラム(φ4.6mm×250mm、東ソー(株)製)、溶離液;アセトニトリル/0.6質量%HClO水=1/1(vol/vol%)、流速;1.0ml/分、サンプル量;300μL、カラム温度;40℃、検出光;UV210nmの条件で、既知のオクタノール/水分配係数を有する標準物質(ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸)についてHPLCを行い、各溶出時間と既知のオクタノール/水分配係数との検量線を作成し、この検量線に基づき、試料液におけるHPLCの溶出時間から算出する。
上記含フッ素界面活性剤として具体的には、米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003−119204号公報、国際公開第2005/042593号、国際公開第2008/060461号、国際公開第2007/046377号、国際公開第2007/119526号、国際公開第2007/046482号、国際公開第2007/046345号、米国特許出願公開第2014/0228531号、国際公開第2013/189824号、国際公開第2013/189826号に記載されたもの等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、下記一般式(N):
n0−Rfn0−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl又は及びFである。Rfn0は、炭素数3〜20で、鎖状、分枝鎖状または環状で、一部または全てのHがFにより置換されたアルキレン基であり、該アルキレン基は1つ以上のエーテル結合を含んでもよく、一部のHがClにより置換されていてもよい。Yはアニオン基である。)で表される化合物が挙げられる。
のアニオン基は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−COOM、又は、−SOMであってよい。
Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、例えば、Na、K又はLiである。
としては、H又はC1−10の有機基であってよく、H又はC1−4の有機基であってよく、H又はC1−4のアルキル基であってよい。
Mは、H、金属原子又はNR であってよく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR であってよく、H、Na、K、Li又はNHであってよい。
上記Rfn0は、Hの50%以上がフッ素に置換されているものであってよい。
上記一般式(N)で表される化合物としては、
下記一般式(N):
n0−Rf−Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、Rfは3〜15の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキレン基であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物(より具体的には、下記一般式(N1a):
n0−(CFm1−Y (N1a
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、m1は3〜15の整数であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物)、下記一般式(N):
Rfn1−O−(CF(CF)CFO)m2CFXn1−Y (N
(式中、Rfn1は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、m2は、0〜3の整数であり、Xn1は、F又はCFであり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn2(CHm3−(Rfn3−Y (N
(式中、Rfn2は、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、m3は、1〜3の整数であり、Rfn3は、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、qは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfm4−O−L−Y (N
(式中、Rfm4は、エーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化された脂肪族基であり、Lは、部分または完全フッ素化された直鎖状のアルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物(より具体的には、下記一般式(N4a):
Rfn4−O−(CYn1n2CF−Y (N4a
(式中、Rfn4は、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Yn1及びYn2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、pは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、及び、下記一般式(N):
Figure 2021102731
(式中、Xn2、Xn3及びXn4は、同一若しくは異なってもよく、H、F、又は、炭素数1〜6のエーテル結合を含んでよい直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基である。Rfn5は、炭素数1〜3のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yは、上記定義したものである。但し、Xn2、Xn3、Xn4及びRfn5の合計炭素数は18以下である。)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(N)で表される化合物としてより具体的には、下記一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、下記一般式(II)で表されるω−Hパーフルオロカルボン酸(II)、下記一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、下記一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、下記一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、下記一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、下記一般式(VII)で表されるω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)、下記一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、下記一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、下記一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、下記一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、及び、下記一般式(XII)で表される化合物(XII)、が挙げられる。
上記パーフルオロカルボン酸(I)は、下記一般式(I)
F(CFn1COOM (I)
(式中、n1は、3〜14の整数であり、Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロカルボン酸(II)は、下記一般式(II)
H(CFn2COOM (II)
(式中、n2は、4〜15の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)は、下記一般式(III)
Rf−O−(CF(CF)CFO)n3CF(CF)COOM (III)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、n3は、0〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)としては、総炭素数7以下、かつLogPOW3.5以下のパーフルオロポリエーテルカルボン酸が好ましい。上記総炭素数は、特に5〜7が好ましい。また、上記LogPOWは3.4以下がより好ましい。
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)は、下記一般式(IV)
Rf(CHn4RfCOOM (IV)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基、n4は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロカルボン酸(V)は、下記一般式(V)
Rf−O−CYCF−COOM (V)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)は、下記一般式(VI)
F(CFn5SOM (VI)
(式中、n5は、3〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記ω−Hパーフルオロスルホン酸(VII)は、下記一般式(VII)
H(CFn6SOM (VII)
(式中、n6は、4〜14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)は、下記一般式(VIII)
Rf(CHn7SOM (VIII)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のパーフルオロアルキル基であり、n7は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルキルアルキレンカルボン酸(IX)は、下記一般式(IX)
Rf(CHn8COOM (IX)
(式中、Rfは、炭素数1〜13のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、n8は、1〜3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記フルオロカルボン酸(X)は、下記一般式(X)
Rf−O−Rf−O−CF−COOM (X)
(式中、Rfは、炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロスルホン酸(XI)は、下記一般式(XI)
Rf−O−CYCF−SOM (XI)
(式中、Rfは、炭素数1〜12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状であって、塩素を含んでもよい、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記化合物(XII)は、下記一般式(XII):
Figure 2021102731
式中、X、X及びXは、同一若しくは異なってもよく、H、F及び炭素数1〜6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rf10は、炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yはアニオン基である。)で表されるものである。
は、−COOM、−SOM、又は、−SOMであってよく、−SOM、又は、COOMであってよい(式中、Mは上記定義したものである。)。
Lとしては、例えば、単結合、炭素数1〜10のエーテル結合を含みうる部分又は完全フッ素化されたアルキレン基が挙げられる。
上述したように上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が挙げられる。
上記含フッ素アニオン界面活性剤において、一般式(N)で表される化合物を使用する場合、式(N)におけるRfの炭素数は3〜6の整数であることが好ましい。また、式(N1a)におけるm1は3〜6の整数であることが好ましい。また、パーフルオロカルボン酸(I)を用いる場合、一般式(I)におけるn1は3〜6の整数であることが好ましい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、特に、炭素数が4〜7であり、エーテル性酸素を有してもよい含フッ素カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる化合物が好ましい。ここで、炭素数とは、一分子中の全炭素数を意味する。上記含フッ素アニオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては、炭素数が4〜7であり、エーテル性酸素を有する含フッ素カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれる化合物が好ましい。エーテル性酸素を有する含フッ素カルボン酸は、炭素数が4〜7で主鎖の炭素鎖の途中にエーテル性酸素を有し、末端に−COOHを有する化合物である。末端の−COOHは塩を形成していてもよい。
主鎖の途中に存在するエーテル性酸素は1個以上であり、1〜4個が好ましく、1又は2個がより好ましい。
上記炭素数は5〜7が好ましい。
上記含フッ素アニオン界面活性剤としては特に、主鎖の炭素数が6〜7であり、主鎖のエーテル性酸素が1〜4であり、主鎖が直鎖状、分岐状、又は、環状を有しており、部分または完全フッ素化されたカルボン酸又はその塩であることが好ましい。ここで、「主鎖」とは炭素原子数が最大となる一続きの鎖を意味する。
このような含フッ素界面活性剤としては、CFO(CFOCHFCFCOONH、CFCFCFOCF(CF)COONH、CFCFOCFCFOCFCOONH、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、下記式:
Figure 2021102731
で表される化合物が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、例えば、特表2013−542308号公報、特表2013−542309号公報、特表2013−542310号公報に記載されているもの等を使用することができる。
上記炭化水素系界面活性剤は、同じ分子上に親水性部分及び疎水性部分を有する界面活性剤であってよい。これらは、カチオン性、非イオン性またはアニオン性であってよい。
カチオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分と、長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
アニオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩などの親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有する。
非イオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、帯電した基を含まず、長鎖炭化水素である疎水性部分を有する。非イオン性界面活性剤の親水性部分は、エチレンオキシドとの重合から誘導されるエチレンエーテルの鎖などの水溶性官能基を含む。
非イオン性炭化水素系界面活性剤の例
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルエステルの具体例:ポリエチレングリコールモノラウリレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等。
ソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等。
ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等。
グリセロールエステルの具体例:モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等。
上記誘導体の具体例:ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等。
上記エーテル及びエステルは、10〜18のHLB値を有してよい。
非イオン性炭化水素系界面活性剤としては、Dow Chemical Company製のTriton(登録商標)Triton(登録商標)Xシリーズ(X15、X45、X100等)、Tergitol(登録商標)15−Sシリーズ、Tergitol(登録商標)TMNシリーズ(TMN−6、TMN−10、TMN−100等)、Tergitol(登録商標)Lシリーズ、BASF製のPluronic(登録商標)Rシリーズ(31R1、17R2、10R5、25R4(m〜22、n〜23)、Iconol(登録商標)TDAシリーズ(TDA−6、TDA−9、TDA−10)等が挙げられる。
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Resolution Performance ProductsのVersatic(登録商標)10、BASF製のAvanel Sシリーズ(S−70、S−74等)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤は、フッ素原子を含まない界面活性剤であってよく、置換基又は(カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホニル基等の)連結基を有していてもよい炭素数8〜30の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基と親水性基(カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホニル基等)とを有し、かつフッ素原子を含まない界面活性剤や、フッ素原子を含まない炭化水素系アニオン界面活性剤が好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R−L−M(式中、Rが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
具体的には、ラウリル酸に代表されるようなCH−(CH−L−M(式中、nが、6〜17の整数である。LおよびMが、上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
が、12〜16個の炭素原子を有するアルキル基であり、L−Mが、硫酸塩又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であるものの混合物も使用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R6z(−L−M)(式中、R6zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキレン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R7z(−L−M)(式中、R7zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキリジン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキリジン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を巻いていてもよい。Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO 又は−COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zはH又は有機基である。−ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記R5zはH又はアルキル基が好ましく、H又は炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤としては、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0−8247−00104に記載されているものが挙げられる。シロキサン界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含む。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み、ここで、シリコーン原子上の置換基が、完全に炭化水素である。
ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含んでもよい。イオン性疎水性部分は、イオン的に官能化されたシロキサングラフトも含み得る。
このようなシロキサン炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン−グラフト−(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン−グラフト−ポリアクリレート塩およびポリジメチルシロキサングラフト化第4級アミンが挙げられる。
シロキサン界面活性剤の親水性部分の極性部分は、ポリエチレンオキシド(PEO)、および混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテル(PEO/PPO)などのポリエーテル;単糖類および二糖類;およびピロリジノンなどの水溶性複素環によって形成される非イオン性基を含み得る。エチレンオキシド対プロピレンオキシド(EO/PO)の比率は、混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルにおいて変化され得る。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分との組合せも含み得る。このような部分としては、例えば、イオン的に末端官能化されたまたはランダムに官能化されたポリエーテルまたはポリオールが挙げられる。本開示の実施に好ましいのは、非イオン性部分を有するシロキサン、すなわち、非イオン性シロキサン界面活性剤である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造の疎水性および親水性部分の配置は、ジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)(ここで、「B」は、分子のシロキサン部分を表す)、またはマルチブロックポリマーの形態をとってもよい。あるいは、シロキサン界面活性剤は、グラフトポリマーを含んでいてもよい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤については、米国特許第6,841,616号明細書にも開示されている。
シロキサンベースのアニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Lubrizol Advanced Materials,Inc.のNoveon(登録商標)Consumer Specialtiesから入手可能なSilSenseTMPE−100シリコーン、SilSenseTMCA−1シリコーン等が挙げられる。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCのスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300等も挙げられる。
スルホサクシネート界面活性剤としては、スルホコハク酸ジイソデシルNa塩、(ClariantのEmulsogen(登録商標)SB10)、スルホコハク酸ジイソトリデシルNa塩(Cesapinia ChemicalsのPolirol(登録商標)TR/LNA)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、Omnova Solutions,Inc.のPolyFox(登録商標)界面活性剤(PolyFoxTMPF−156A、PolyFoxTMPF−136A等)も挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては上述したものを採用できるが、例えば、下記の化合物を好適に採用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、下記式(α):
100−COOM (α)
(式中、R100は、1個以上の炭素原子を含有する1価の有機基である。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R101はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)で示される化合物(α)が挙げられる。R101の有機基としてはアルキル基が好ましい。R101としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
界面活性能の観点から、R100の炭素数は2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、水溶性の観点から、R100の炭素数は、29個以下であることが好ましく、23個以下がより好ましい。
上記Mの金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Mとしては、H、金属原子又はNR101 が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR101 がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
上記化合物(α)としては、R102−COOM(式中、R102が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基、若しくは、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Mは上記と同じ。)によって表されるアニオン性の炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
具体的には、CH−(CH−COOM(式中、nが、2〜28の整数である。Mは上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
上記化合物(α)は、乳化安定性の観点で、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を含まないものであってもよい。
上記カルボニル基を含まない炭化水素含有界面活性剤としては、例えば、下記式(A):
103−COO−M (A)
(式中、R103は、6〜17個の炭素原子を含有するアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。R101は、同一又は異なって、H又は有機基である。)の化合物が好ましく例示される。
上記式(A)において、R103は、アルキル基又はアルケニル基(これらはエーテル基を含んでいてもよい)であることが好ましい。上記R103におけるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。上記R103の炭素数は限定されないが、例えば、2〜29である。
上記アルキル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は3〜29であることが好ましく、5〜23であることがより好ましい。上記アルキル基が分岐状である場合、R103の炭素数は5〜35であることが好ましく、11〜23であることがより好ましい。
上記アルケニル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は2〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。上記アルケニル基が分岐状である場合、R103の炭素数は2〜29であることが好ましく、9〜23であることがより好ましい。
上記アルキル基及びアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ビニル基等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、(6,9,12)リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8,11−エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としてはまた、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
上記カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤としては、式:R−X(式中、Rは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭素数1〜2000のフッ素非含有有機基であり、Xは、−OSOX1、−COOXX1又は−SOX1(XX1は、H、金属原子、NRX1 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、RX1はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。))で示される界面活性剤が好ましい。Rは、炭素数が500以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましく、30以下であることが更により好ましい。RX1の有機基としてはアルキル基が好ましい。RX1としてはH又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。
上記特定の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(a):
Figure 2021102731
(式中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、下記式(b):
Figure 2021102731
(式中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)、下記式(c):
Figure 2021102731
(式中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(c)、及び、下記式(d):
Figure 2021102731
(式中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中のAに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
界面活性剤(a)について説明する。
式(a)中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1aにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101a(式中、R101aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式中、R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2a及びR3aは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102a(式中、R102aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。合計の炭素数としては、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(a)中、Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基である。4つのR4aは、同一でも異なっていてもよい。R4aにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4aとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4a が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1aとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1aとしては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、n11aは0〜10の整数であり、R11aは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11aが2〜10の整数である場合、R12aは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11aとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103a(式中、R103aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12aとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12aとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104a(式中、R104aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
界面活性剤(a)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Xは上述のとおりである。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
次に界面活性剤(b)について説明する。
式(b)中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1bにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1bとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1bとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(b)中、R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2b及びR4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2b及びR4bとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2b及びR4bとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(b)中、R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3bは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
式(b)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましく、5〜9、11〜25の整数が特に好ましい。
式(b)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が5以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(b)中、Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基である。4つのR5bは、同一でも異なっていてもよい。R5bにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5bとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5b (R5bは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5b が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(b)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NRCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記Rは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の−OSOに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
界面活性剤(b)としては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、R1b、R2b、L、n及びXは、上記のとおり。)で示される化合物が好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10%以上であることが好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤(b)において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
界面活性剤(b)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCH(CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa等が挙げられる。
界面活性剤(c)について説明する。
式(c)中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1cにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH−C(=O)−CH−で示される基は炭素数が3であり、CH−C(=O)−C−C(=O)−C−で示される基は炭素数が7であり、CH−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101c(式中、R101cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式(c)中、R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2c及びR3cは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102c(式中、R102cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。合計の炭素数としては、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(c)中、式中、Aは、−COOX又は−SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R4cにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4cとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4c が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1cとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1cとしては、下記式:
Figure 2021102731
(式中、n11cは0〜10の整数であり、R11cは炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。n11cが2〜10の整数である場合、R12cは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11cとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103c(式中、R103cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12cは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12cとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12cとしては、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)がより好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104c(式中、R104cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
上記界面活性剤(c)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Aは上述のとおりである。
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
Figure 2021102731
界面活性剤(d)について説明する。
式(d)中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1dにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1dとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1dとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
式(d)中、R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2d及びR4dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2d及びR4dとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましい。
2d及びR4dとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(d)中、R3dは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3dは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−C−)、イソプロピレン基(−CH(CH)CH−)又はプロピレン基(−C−)が更に好ましい。
1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(d)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましい。
式(d)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が6以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(d)中、Aは、−SO又は−COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R5dにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5dとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5d (R5dは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5d が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(d)中、Lは、単結合、−CO−B−*、−OCO−B−*、−CONR6d−B−*、−NR6dCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO−B−、−OCO−B−、−CONR6d−B−、−NR6dCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記R6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中のAに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10以上であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
上記界面活性剤(d)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHC(CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHSONa、
CHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)SONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(CHSONa
等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記一般式(1−0):
Figure 2021102731
(式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。
また、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基;
は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基;
を表す。
〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(以下、界面活性剤(1)ともいう)が挙げられる。
界面活性剤(1)について説明する。
式中、R〜RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−Y−Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基、又は、一般式:−Y−Rで示される基を表す。R〜Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
としての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
としての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)が特に好ましく、メチル基(−CH)が最も好ましい。
一価の置換基としては、一般式:−Y−Rで示される基、一般式:−X−Aで示される基、−H、置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基、−NH、−NHR(Rは有機基)、−OH、−COOR(Rは有機基)又は−OR(Rは有機基)が好ましい。上記アルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。
としては、C1−10のアルキル基又はC1−10のアルキルカルボニル基が好ましく、C1−4のアルキル基又はC1−4のアルキルカルボニル基がより好ましい。
式中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手を表す。
がカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基であることが好ましい。
Xとしては、−CO−、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−S(=O)−O−、−O−S(=O)−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む2価の連結基、C1−10のアルキレン基、又は、結合手が好ましい。RはH又は有機基を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、RはH又は有機基である。4つのRは、同一でも異なっていてもよい。)を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mとしては、H、金属原子又はNR が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
式中、Yは、各出現において同一又は異なって、−S(=O)−、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基を表す。
Yとしては、結合手、−O−、−COO−、−OCO−、−CONR−及び−NRCO−からなる群より選択される2価の連結基が好ましく、結合手、−COO−及び−OCO−からなる群より選択される2価の連結基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Rは、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素−炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。上記Rの有機基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
のアルキル基は、炭素−炭素原子間にカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を1又は2以上含むことができるが、上記アルキル基の末端にこれらの基を含まない。上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−R11で示される基、
一般式:−R10−NRCO−R11で示される基、又は、
一般式:−R10−CONR−R11で示される基、
(式中、RはH又は有機基を表す。R10はアルキレン基、R11は置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
としては、一般式:−R10−CO−R11で示される基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
10のアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。また、R10のアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、3〜10が更に好ましい。
11のアルキル基の炭素数は、1〜20であってよく、1〜15が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜10が更に好ましく、1〜8が更により好ましく、1〜6が殊更好ましく、1〜3が尚更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。また、上記R11のアルキル基は、1級炭素、2級炭素、3級炭素のみで構成されていることが好ましく、1級炭素、2級炭素のみで構成されるのが特に好ましい。すなわち、R11としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
界面活性剤(1)としては、一般式(1−1)で示される化合物、一般式(1−2)で示される化合物又は一般式(1−3)で示される化合物が好ましく、一般式(1−1)で示される化合物又は一般式(1−2)で示される化合物がより好ましい。
一般式(1−1):
Figure 2021102731
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−2):
Figure 2021102731
(式中、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1−3):
Figure 2021102731
(式中、R、R〜R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式:−X−Aで示される基としては、
−COOM、
−R12COOM、
−SOM、
−OSOM、
−R12SOM、
−R12OSOM、
−OCO−R12−COOM、
−OCO−R12−SOM、
−OCO−R12−OSOM、
−COO−R12−COOM、
−COO−R12−SOM、
−COO−R12−OSOM、
−CONR−R12−COOM、
−CONR−R12−SOM、
−CONR−R12−OSOM、
−NRCO−R12−COOM、
−NRCO−R12−SOM、
−NRCO−R12−OSOM、
−OS(=O)−R12−COOM、
−OS(=O)−R12−SOM、又は
−OS(=O)−R12−OSO
(式中、R及びMは、上記のとおり。R12はC1−10のアルキレン基。)が好ましい。
上記R12のアルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
一般式:−Y−Rで示される基としては、
一般式:−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−COO−R10−CO−R11で示される基、
一般式:−OCO−R10−COO−R11で示される基、
一般式:−COO−R11で示される基で示される基、
一般式:−NRCO−R10−CO−R11で示される基、又は、
一般式:−CONR−R10−NRCO−R11で示される基
(式中、R、R10及びR11は上記のとおり。)が好ましい。
式中、R及びRとしては、独立に、H又はC1−4のアルキル基が好ましい。
上記R及びRのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−1)におけるRとしては、H又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、Hが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1−3)におけるRとしては、H、OH又は置換基を有していてもよいC1−20のアルキル基が好ましく、H、OH又は置換基を有していないC1−20のアルキル基がより好ましく、H又はOHが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(1−0A):
Figure 2021102731
(式中、R1A〜R5Aは、H、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基、又は、一般式:−X−Aで示される基である。但し、R2A及びR5Aの少なくとも1つは、一般式:−X−Aで示される基を表す。
は、各出現において同一又は異なって、2価の炭化水素基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、−COOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(1−0A)等も挙げられる。
一般式(1−0A)中、R1A〜R5Aにおいて、炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。R1A〜R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。上記炭素−炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
式中、Xにおいて、2価の炭化水素基の炭素数は1〜50であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。上記2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルカンジイル基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
一般式(1−0A)中、R2A及びR5Aのいずれか1つが、上記一般式:−X−Aで示される基であることが好ましく、R2Aが上記一般式:−X−Aで示される基であることがより好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としては、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A、R3A、R4A及びR5AがHである態様である。この場合、Xは結合手又は炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましい。
一般式(1−0A)中、好適な態様としてはまた、R2Aが、一般式:−X−Aで示される基であり、R1A及びR3Aが−Y−Rで示される基であり、Yは、各出現において同一又は異なって、−COO−、−OCO−、又は、結合手であり、Rは各出現において同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基である態様である。この場合、R4A及びR5AがHであることが好ましい。
一般式(1−0A)で表される炭化水素系界面活性剤としては、例えば、グルタル酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、ピメリン酸又はその塩、スベリン酸又はその塩、アゼライン酸又はその塩、セバシン酸又はその塩等が挙げられる。
また、一般式(1−0A)で表される脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤は2鎖2親水基型合成界面活性剤であってもよく、例えば、ジェミニ型界面活性剤として、ジェミニサ−フ(中京油脂株式会社)、Gemsurf α142(炭素数12 ラウリル基)、Gemsurf α102(炭素数10)、Gemsurf α182(炭素数14)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤は、ラジカル処理または酸化処理を行ったものであってもよい。
上記ラジカル処理とは、上記炭化水素系界面活性剤にラジカルを発生させる処理であればよく、例えば、反応器に、脱イオン水、炭化水素系界面活性剤を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換し、反応器を昇温・昇圧した後、重合開始剤を仕込み、一定時間撹拌した後、反応器を大気圧になるまで脱圧を行い、冷却を行う処理である。上記酸化処理とは、炭化水素系界面活性剤に酸化剤を添加させる処理である。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素水、酸化マンガン(IV)、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硝酸、二酸化硫黄などが挙げられる。
本開示の製造方法においては、上記炭化水素系界面活性剤を2種以上同時に用いてもよい。
本開示の製造方法において、上記重合工程は、フッ素原子を含まない非イオン性界面活性剤の存在下で行ってもよい。上記非イオン性界面活性剤としては、
一般式(250):H(OR251(OR252OH
(式中、R251及びR252は、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、u及びvは1〜5の整数である。但しR251とR252とはお互いに異なる。)で表されるブロックポリマー、
炭素数が8〜20個の炭化水素基からなる疎水基及び、ポリアルキレンオキサイドからなる親水基を分子内に有する非イオン性界面活性剤、及び、
一般式(260):R261 −Si−(OR2624−m
(式中、R261は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、R262は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化合物、
からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(250)で表されるブロックポリマーとして、具体的な例を挙げると、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの群から選ばれる少なくとも2種のセグメントからなるブロックポリマーが例示される。中でも、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンブロックポリマーが例示され、A−B型のみでなくA−B−A型のブロックポリマーも好ましく例示される。更に好ましくは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーを使うことにより、高濃度で安定なフルオロポリマーの分散液を調製することができる。更に、ポリオキシエチレンセグメントの含有量が、10〜50%であると、再凝集によると思われる凝集物の発生が少ないため好ましく、更に20〜40%のときに、低粘度のフルオロポリマーの分散液を調製できるため好ましい。分子量は、特に制限されないが、1000〜7000g/molであればよく、更に特に2500〜6500g/molの時に粘度が低く分散性に優れた分散液を調製することができる。
上記界面活性剤としては、炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が好ましい。具体的には、上述した炭化水素系界面活性剤や、上述した含フッ素界面活性剤のうち炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が挙げられる。
上記界面活性剤としては、炭素数2以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物がより好ましく、炭素数1以上のパーフルオロアルキル基を含まない化合物が更に好ましく、フッ素原子を含まない化合物が更により好ましい。
本開示の製造方法は、界面活性剤が炭化水素系界面活性剤である態様が好適な態様の一つである。TFE単位が多いフルオロポリマーを製造する場合、炭化水素系界面活性剤を使用すると分子量が高くなりにくい問題があり、得られるポリマーの分子量を小さくする連鎖移動剤は一般的に使用されていない。本開示の製造方法は、意外なことに、炭化水素系界面活性剤を使用し、TFE単位が多いフルオロポリマーを製造する場合であっても効率よく重合を進行させることができることを見出し完成されたものである。
上記炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましく、上記化合物(α)、上記界面活性剤(a)、上記界面活性剤(b)、上記界面活性剤(c)、上記界面活性剤(d)、上記界面活性剤(1)及び上記界面活性剤(1−0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、上記化合物(α)、界面活性剤(b)、界面活性剤(d)、界面活性剤(1)、及び、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、上記化合物(α)、及び、界面活性剤(b)からなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
上記界面活性剤は、水を含む水溶液の形態で添加してもよい。上記水溶液における上記界面活性剤の濃度の上限は、50質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、100000ppmであることが更により好ましく、50000ppmであることが更により好ましく、10000ppmであることが特に好ましく、5000ppmであることが最も好ましい。下限は、1ppmであることが好ましく、10ppmであることがより好ましく、50ppmであることが更に好ましい。
上記界面活性剤は、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤、又は、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤水溶液であることが好ましい。
本開示の製造方法において、上記界面活性剤は、重合反応の開始(キックオフ)前に上記水性媒体に添加してもよく、重合反応の開始時に添加してもよく、重合反応の開始後に添加してもよい。
フルオロモノマーの重合を促進し、より高分子量のフルオロポリマーを得る観点からは、界面活性剤を重合反応の開始時までには実質的に添加せず、重合反応の開始後に添加することが好ましい。
より好ましくは、上記界面活性剤を、上記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体が調製される期間(以下、初期期間ともいう)終了までに実質的に添加せず、初期期間の後に添加することである。
重合反応の開始時点(好ましくは、上記初期期間中)の上記水性媒体中の上記界面活性剤の含有量は、上記水性媒体に対し、例えば50ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることが更に好ましく、20ppm以下であることが更により好ましく、15ppm以下であることが特に好ましい。
重合反応の開始時点(好ましくは、上記初期期間中)の上記水性媒体中の上記界面活性剤の含有量は、上記水性媒体に対し、例えば50ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることが更に好ましく、20ppm以下であることが更により好ましく、15ppm以下であることが特に好ましく、5ppm以下であることが最も好ましい。
上記界面活性剤の添加を開始する時点における、上記水性媒体中のフルオロポリマーの濃度は、上記水性媒体に対し、0.6質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることが更に好ましく、1.0質量%以上であることが更により好ましく、1.2質量%以上であることが特に好ましい。
フルオロポリマーが後述する溶融加工性フッ素樹脂(例えばFEP、PFA)である場合は、上記濃度は2.0質量%以上であることが好ましい。
フルオロポリマーが後述する非溶融加工性フッ素樹脂(例えばPTFE)である場合は、上記濃度は1.0質量%以上であることが好ましく、1.6質量%以上であることがより好ましい。
上記界面活性剤を上記水性媒体に添加する場合、その供給速度は、0.005〜1.4g/l−hであることが好ましく、0.005〜1.0g/l−hであることがより好ましく、0.01〜0.8g/l−hであることが更に好ましい。
上記の単位g/l−hにおいて、「g」は上記界面活性剤自体の質量のグラムを表し、「l」は重合反応器の体積のリットルを表し、「h」は時間を表す。
上記界面活性剤の添加は、少なくとも20分ごとに行うことが好ましく、少なくとも10分ごとに行うことがより好ましく、少なくとも5分ごとに行うことが更に好ましく、重合反応の終了まで連続的に行うことが最も好ましい。
上記重合工程は、TFEに基づく重合単位(以下「TFE単位」とも記載する)を80モル%超含むフルオロポリマーを得る工程である。ここで、「80モル%超」とは、80モル%より多いことを意味し、80モル%は含まない。
上記重合工程で得られるフルオロポリマーは、TFE単位を80モル%超含むものであればよく、TFEの単独重合体であってもよいし、80モル%超のTFE単位と、20モル%未満のTFE以外のモノマーに基づく重合単位とを含むものであってもよい。上記フルオロポリマーは、TFE単位を90モル%超含むものであることが好ましい。上記フルオロポリマーはTFE単位のみからなるTFE単独重合体が好ましく、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を20モル%未満含むことが好ましく、10モル%未満含むことがより好ましい。
上記TFE以外のモノマーとしては、フッ素原子を含むフルオロモノマーであってもよいし、フッ素非含有モノマーであってもよい。
上記フルオロモノマーとしては、二重結合を少なくとも1つ有するものが好ましい。
上記フルオロモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン[HFP]、クロロトリフルオロエチレン[CTFE]、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン[VDF]、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、一般式(100):CH=CFRf101(式中、Rf101は炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、フッ素化ビニルヘテロ環状体、フッ素化メチレンジオキソラン、架橋部位を与えるモノマー、及び、含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、
一般式(110):CF=CF−ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(120):CF=CF−OCH−Rf121
(式中、Rf121は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、
一般式(130):CF=CFOCFORf131
(式中、Rf131は炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(140):CF=CFO(CFCF(Y141)O)(CF
(式中、Y141はフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。mは1〜4の整数である。nは1〜4の整数である。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(150):CF=CF−O−(CFCFY151−O)−(CFY152−A151
(式中、Y151は、フッ素原子、塩素原子、−SOF基又はパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、エーテル性の酸素及び−SOF基を含んでもよい。nは、0〜3の整数を表す。n個のY151は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y152は、フッ素原子、塩素原子又は−SOF基を表す。mは、1〜5の整数を表す。m個のY152は、同一であってもよいし異なっていてもよい。A151は、−SO151、−COZ151又は−POZ152153を表す。X151は、F、Cl、Br、I、−OR151又は−NR152153を表す。Z151、Z152及びZ153は、同一又は異なって、−NR154155又は−OR156を表す。R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、同一又は異なって、H、アンモニウム、アルカリ金属、フッ素原子を含んでも良いアルキル基、アリール基、若しくはスルホニル含有基を表す。)で表されるフルオロモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf111が炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5である。
一般式(110)におけるパーフルオロ有機基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、更に、上記一般式(110)において、Rf111が炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2021102731
(式中、mは、0又は1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2021102731
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(110)、(130)及び(140)で表されるフルオロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
一般式(130)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、及び、CF=CFOCFOCFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(140)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)O(CFF、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFF、及び、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(150)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CFCFSOF)OCFCFSOF及びCF=CFOCFCF(SOF)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf101が直鎖のフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが好ましく、Rf101が直鎖のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーがより好ましい。Rf101の炭素数は1〜6であることが好ましい。一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFH、CH=CFCFCFCFCF等が挙げられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
フルオロアルキルエチレンとしては、
一般式(170):CH=CH−(CF−X171
(式中、X171はH又はFであり、nは3〜10の整数である。)で表されるフルオロアルキルエチレンが好ましく、CH=CH−C、及び、CH=CH−C13からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記フッ素化ビニルヘテロ環状体としては、一般式(230):
Figure 2021102731
(式中、X231及びX232は、独立に、F、Cl、メトキシ基又はフッ素化メトキシ基であり、Y231は式Y232又は式Y233である。
Figure 2021102731
(式中、Z231及びZ232は、独立に、F又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基である。))で表されるフッ素化ビニルヘテロ環状体が挙げられる。
架橋部位を与えるモノマーとしては、
一般式(180):CX181 =CX182−R 181CHR181183
(式中、X181及びX182は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 181は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、R181は、水素原子又はCH、X183は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(190):CX191 =CX192−R 191193
(式中、X191及びX192は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 191は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、X193は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(200):CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X201
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X201は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CHIである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(210):CH=CFCFO(CF(CF)CFO)(CF(CF))−X211
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X211は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CHOHである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(220):CR221222=CR223−Z221−CR224=CR225226
(式中、R221、R222、R223、R224、R225及びR226は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Z221は、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン基若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)−CFO−(CFCFO)(CFO)−CF−(Q)
(式中、Qはアルキレン基又はオキシアルキレン基である。pは0又は1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表されるモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
183及びX193は、ヨウ素原子であることが好ましい。R 181及びR 191は炭素数が1〜5のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。R181は、水素原子であることが好ましい。X201は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CHIであることが好ましい。X211は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CHOHであることが好ましい。
フッ素化メチレンジオキソランとしては、下記一般式
Figure 2021102731
(式中、R231は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、フルオロ(ポリ)オキシアルキル基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキル基)で表される化合物が好ましく、
下記式
Figure 2021102731
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
架橋部位を与えるモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHI、CF=CFOCFCFCHI、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CN、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH、CH=CHCFCFI、CH=CH(CFCH=CH、CH=CH(CFCH=CH、及び、CF=CFO(CFCNからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN及びCF=CFOCFCFCHIからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記含フッ素アクリレートモノマーとしては、一般式(240):
CH=C(−X241)−C(=O)−O−Y241−Rf241
(式中、X241は、H、CH、F又はCl;Y241は、単結合、炭素数1以上の脂肪族基;Rf241は、炭素数1〜8の脂肪族基又は炭素数1〜8のフルオロアルキル基)で表されるものが好ましい。
241は、例えば、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状脂肪族基(特に、アルキレン基)、例えば、式−(CH−(式中、xは1〜10である。)で示される基であってよい。
Rf241は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf241の炭素数は、4〜8が好ましく、4〜6がより好ましい。Rf241としては、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−(CFCF(CF、−C17等が挙げられる。
含フッ素アクリレートモノマーの具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−C(=O)−O−(CH−Rf241
CH=C(−CH)−C(=O)−O−(CH−Rf241
CH=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH−Rf241
(式中、Rf241は、上記のとおり)
上記フッ素非含有モノマーとしては、上記フルオロモノマーと反応性を有する炭化水素系モノマー等が挙げられる。上記炭化水素系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記フッ素非含有モノマーとしては、また、官能基含有炭化水素系モノマー(但し、架橋部位を与えるモノマーを除く)であってもよい。上記官能基含有炭化水素系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、パーフルオロブテン酸等のカルボキシル基を有するフッ素非含有モノマー;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、例えば、上記−CONR 、−NRCOR、又は、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基を有するモノマーが好ましい。上記アミド結合は、カルボニル基と窒素原子の間の結合をいう。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、N−ビニル−β−プロピオラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−γ−バレロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ヘプトラクタムなどのN−ビニルラクタム化合物、N−ビニルホルムアミド、N−メチルーN−ビニルアセトアミドなどの非環状のN−ビニルアミド化合物、N−アリル−N−メチルホルムアミド、アリル尿素などの非環状のN−アリルアミド化合物、1−(2−プロペニル)−2−ピロリドンなどのN−アリルラクタム化合物、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物が挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、また、
Figure 2021102731
(式中、R及びRは独立にH又は炭素数1〜10のアルキル基)で示される化合物、
Figure 2021102731
(式中、Rは独立にH又は炭素数1〜10のアルキル基)で示される化合物等も挙げられる。
上記アミド結合を有するフッ素非含有モノマーとしては、なかでも、N−ビニルラクタム化合物又は非環状のN−ビニルアミド化合物が好ましく、N−ビニル−β−プロピオラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−γ−バレロラクタム、N−ビニル−2−ピペリドン、及び、N−ビニル−ヘプトラクタムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、N−ビニル−2−ピロリドン、及び、N−ビニル−2−ピペリドンからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、N−ビニル−2−ピロリドンが特に好ましい。
上記TFE以外のモノマーとしては、下記一般式(1):
CF=CR
(式中、Rは、H又はF;Rは−Cl、−CF、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、−Rf、−ORf;R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基又は含フッ素ビニル基;Rfは、含フッ素アルキル基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)で示されるモノマー、及び、下記一般式(2):
CH=CR
(式中、Rは、R、CFまたはF;Rは−Cl、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、Rf;R及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基;R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基又は含フッ素アルコキシ基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)で示されるモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(1)におけるR、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基である。上記置換基としては、上述したものが挙げられるが、中でも、脂肪族基、アシル基、芳香族基、又はヘテロ環基が好ましく、脂肪族基、アシル基、又はヘテロ環基がより好ましく、脂肪族基又はアシル基が更に好ましい。上記R、R、R、R及びRは、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5が更に好ましい。上記脂肪族基、アシル基、芳香族基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよく、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されたもの(例えば、含フッ素アルキル基、特に、パーフルオロアルキル基)であってもよい。
、R、R、R及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
なお、一般式(1)におけるRは、−CF以外の置換基であってよく、例えば、Rがパーフルオロアルキル基である場合、Rの炭素数は2以上であってよい。
一般式(1)におけるRfとしては、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アルキルオキシアルキル基等が挙げられる。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(1)におけるRfは含フッ素アルキル基である。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜3が更により好ましい。Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよいが、鎖状が好ましい。
上記Rとしては、−H、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルコキシ基、−Cl、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の非含フッ素アルキル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキルエステル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキルオキシアルキル基であることが好ましく、−H、−CF、−OCF、−OCFCFSOF、−Cl、−CH、−OCHCF、−COOH、−COOCH、−OCFOCF、−OCFCFOCF、−OCFCFCFOCF又は−OCであることが好ましく、−H、−CF、−OCF3、−OC又は−OCFCFSOFであることがより好ましく、−H、−CF、又は、−OCFであることがより好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしては、HFP、CTFE、VDF、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン及びヘキサフルオロイソブテンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては上述したものが挙げられる。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしてはまた、一般式(200)で表されるモノマー、一般式(210)で表されるモノマーも挙げられる。一般式(200)及び一般式(210)において、nは、5以下の整数であることが好ましい。Xは、−CFであることが好ましい。
は、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mは、−H、金属原子又は−NR が好ましく、−H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は−NR がより好ましく、−H、−Na、−K、−Li又は−NHが更に好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノマーとしてはまた、下記一般式(270):
Figure 2021102731
(式中、Rf、Rf、Rf及びRfは、同一又は異なって、F又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)で示されるモノマー、下記一般式(280):
Figure 2021102731
(式中、Rf及びRfは、F又は炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基)で表されるモノマーも挙げられる。
一般式(1)で示されるモノマーとしては、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、トリフルオロエチレン、CTFE又はトリフルオロプロピレンが好ましく、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル又はトリフルオロプロピレンがより好ましく、VDF、HFP、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)又はパーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテルが更に好ましい。
一般式(1)で示されるモノマーは、TFEとは異なるモノマーである。
一般式(2)におけるR及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基である。上記炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。上記炭化水素基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
上記ヘテロ環基としては、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基が好ましく、炭素数3〜6のラクタム構造を有する基がより好ましく、炭素数4のラクタム構造を有する基が更に好ましい。
及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(2)におけるR、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基である。上記置換基としては、上述したものが挙げられるが、中でも、脂肪族基、アシル基、芳香族基又はヘテロ環基が好ましく、脂肪族基、アシル基、又はヘテロ環基がより好ましく、脂肪族基又はアシル基が更に好ましい。上記脂肪族基、アシル基、芳香族基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい。上記R、R、R及びRは、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
、R、R及びRは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
一般式(2)におけるRfとしては、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基、含フッ素アルコキシ基、含フッ素アルキルオキシアルキル基等が挙げられる。Rfの炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
Rfは、鎖状でも分岐状でもよく、環状構造を含んでいてもよい。
上記Rとしては、H、F、CH又はCFであることが好ましく、H、F、又は、CFであることがより好ましい。
上記Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の非含フッ素アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の含フッ素アルキル基、−COOR、−OCOR、−CONR 、−NRCOR、−NR 、又は、炭素数2〜7のラクタム構造を有する基が好ましい。
上記R、R及びRは、同一又は異なって、H又は炭素数1〜10のアルキル基である。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしてはまた、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;イタコン酸;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等の上述したアミド結合を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるモノマーとしては、フッ化ビニル、フルオロアルキルエチレン、一般式(100)で表されるフルオロモノマー、一般式(300):CH=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−A(式中、nは0又は1〜10の整数を表し、Aは、−CHOH、−COOM、−SOM又は−OSOM(Mは、−H、金属原子、−NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、Rは、H又は有機基である。)で表されるフルオロモノマー、及び、含フッ素アクリレートモノマー等も挙げられる。
上記一般式(300)において、nは、0又は1〜5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。Rとしては、H又はC1−10の有機基が好ましく、H又はC1−4の有機基がより好ましく、H又はC1−4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。上記Mとしては、−H、金属原子又は−NR が好ましく、−H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は−NR がより好ましく、−H、−Na、−K、−Li又は−NHが更に好ましい。
上記Rとしては、−OCOCH、−H、−COOCH、−NH(C)、−C、−CH又は、下記式(3):
Figure 2021102731
で示される基であることが好ましく、−OCOCH、−H、−COOCH又は上記式(3)で示される基であることがより好ましく、−OCOCH、−H又は、上記式(3)で示される基であることがより好ましい。
一般式(2)で示されるモノマーとしては、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン又は含フッ素アクリレートモノマーが好ましく、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、N−アクリルアミド化合物、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン又は含フッ素アクリレートモノマーがより好ましく、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、エチレン、アクリル酸メチル、N−イソプロピルアクリルアミド又はCH=CH−Cが更に好ましく、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、エチレン又はアクリル酸メチルが特に好ましい。
TFE以外のモノマーとしては、特に、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、HFP、CTFE、VDF、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、N−アクリルアミド化合物、アルケン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が更により好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
本開示の製造方法において、TFE以外のモノマーとして、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する化合物も挙げられる。例えば、一般式(270a):
CF=CF−(CFn271a−Y271
(式中、n271aは、1〜10の整数を表し、Y271は、−SO271又は−COOM271を表し、M271は、H、NH又はアルカリ金属を表す。)で表される化合物、一般式(270b):
CF=CF−(CFC(CF)F)n271b−Y271
(式中、n271bは、1〜5の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270c):
CF=CF−O−(CFX271n271c−Y271
(式中、X271は、F又はCFを表し、n271cは、1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270d):
CF=CF−O−(CFCFX271O)n271d−CFCF−Y271
(式中、n271dは、1〜10の整数を表し、Y271及びX271は、前記定義と同じ。)で表される化合物、一般式(270e):
CX272 =CFCF−O−(CF(CF)CFO)n271e−CF(CF)−Y271
(式中、各X272は、同一であり、F又はHを表す。n271eは、0又は1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される化合物等が挙げられる。
上記重合工程は、99.0質量%以上のTFE単位と、1.0質量%以下のTFE以外のモノマーに基づく重合単位とを含む変性PTFEを製造するものであってもよく、上記重合工程は、TFE以外のモノマーに基づく重合単位の合計量が0.00001〜1.0質量%となるように重合するものであることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましい。
この場合、上記TFE以外のモノマーは、一般式(1)又は一般式(2)で示されるモノマーであってよく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本開示の製造方法は、上記水性媒体中に親油性核形成部位を形成する工程(以下「核形成部位形成工程」とも記載する)を含んでもよい。
上記親油性核形成部位の存在下に上記重合を行うことにより、上記界面活性剤の添加を重合反応の開始後に行っても、効果的に重合が進行する。また、上記親油性核形成部位の非存在下で重合を行うのと比較して、小さい一次粒子径を有するフルオロポリマーが得られる。
上記核形成部位形成工程は、上記親油性核形成部位の水性分散体を提供する工程であってよい。
上記核形成部位形成工程は、上記重合工程における重合反応の開始前に実施することが好ましい。
上記親油性核形成部位は、重合されたモノマーを含まないことが好ましい。
上記親油性核形成部位は水性媒体中に分散され、当該部位においてフルオロポリマー粒子を成長させることができる。上記親油性核形成部位においてフルオロポリマー粒子を形成することにより、上述したフルオロポリマー粒子の初期分散体を提供することができる。
上記親油性核形成部位は、例えば、核形成剤を分解することによって形成することができ、核形成剤及び分解剤を水性媒体に添加することによって、形成することが好ましい。
上記核形成剤としては、疎水性部分及び親水性部分を含む水溶性炭化水素含有化合物が挙げられ、例えば、ジカルボン酸、パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩、炭化水素含有界面活性剤等が挙げられる。上記核形成剤は、芳香環を含まないことが好ましく、脂肪族化合物であることが好ましい。
上記核形成剤としての上記炭化水素含有界面活性剤は、重合工程における界面活性剤とは異なるものであることが好ましく、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
上記核形成剤の好ましい量としては、核形成剤の種類により適宜選択できるが、例えば、上記水性媒体に対し、1000ppm以下であり、より好ましい量として500ppm以下であり、更に好ましい量として100ppm以下であり、特に好ましい量として50ppm以下であり、殊更好ましい量として10ppm以下である。
上記ジカルボン酸の好ましい量としては、上記水性媒体に対し、1000ppm以下であり、より好ましい量として500ppm以下であり、更に好ましい量として100ppm以下である。
上記パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸又はその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1〜3個の炭素原子を有する飽和フッ化炭素基によって隔てられる任意の鎖構造を有してよい。また、2種以上のフッ化炭素基が、分子中に存在してよい。代表的な構造は、下式に表される繰り返し単位を有する:
(−CFCF−CF−O−) (VII)
(−CF−CF−CF−O−) (VIII)
(−CF−CF−O−)−(−CF−O−) (IX)
(−CF−CFCF−O−)−(−CF−O−) (X)
これらの構造は、Kasaiによって、J.Appl.Polymer Sci.57,797(1995)に記載されている。この文献に開示されているように、上記PFPE酸又はその塩は、一方の末端又は両方の末端にカルボン酸基又はその塩を有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、また、一方の末端又は両方の末端に、スルホン酸、ホスホン酸基又はこれらの塩を有してよい。また、上記PFPE酸又はその塩は、各末端に異なる基を有してよい。単官能性のPFPEについては、分子の他方の末端は、通常、過フッ素化されているが、水素又は塩素原子を含有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、更により好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも1つ、より好ましくは、このようなフッ化炭素基の少なくとも2つは、2又は3個の炭素原子を有する。更により好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも50%は、2又は3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、上記PFPE酸又はその塩は、合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰返し単位構造中のn又はn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。1つの末端又は両方の末端に酸基を有する2つ以上の上記PFPE酸又はその塩が、本開示の製造方法に使用され得る。上記PFPE酸又はその塩は、好ましくは、6000g/モル未満の数平均分子量を有する。
上記炭化水素含有界面活性剤の添加量は、上記水性媒体に対して、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。上記水性媒体中に存在する親油性核形成部位のppm量は、上記添加量よりも少ないと推測される。したがって、上記親油性核形成部位の量は、それぞれ上記の50ppm、40ppm、30ppm、20ppmよりも小さい。上記親油性核形成部位は分子として存在すると考えられるので、ごく少量の上記炭化水素含有界面活性剤でも、大量の親油性核形成部位を生成することができる。したがって、上記炭化水素含有界面活性剤を水性媒体に1ppm程度加えるだけでも、有益な効果が得られる。好ましい下限値は、0.01ppm、より好ましくは、0.1ppmである。
上記炭化水素含有界面活性剤には、米国特許第7,897,682号明細書(Brothers et al.)及び米国特許第7,977,438号明細書(Brothers et al.)に開示されるもの等のシロキサン界面活性剤を含む、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が含まれる。
上記炭化水素含有界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。すなわち、核形成界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。上記非イオン性炭化水素界面活性剤は、好ましくは芳香族部分を含まない。
上記非イオン性炭化水素界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体等が挙げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等であり;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの例は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等であり;ポリオキシエチレンアルキルエステルの例は、ポリエチレングリコールモノラウリレート(polyethylene glycol monolaurylate)、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等であり;ソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート(polyoxyethylene sorbitan monolaurylate)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等であり;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等であり;グリセロールエステルの例は、モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等である。また、それらの誘導体の例は、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等である。特に好ましいのは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエステルである。このようなエーテル及びエステルの例は、10〜18のHLB値を有するものである。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜20。EOは、エチレンオキシド単位を表す)、ポリエチレングリコールモノステアレート(EO:10〜55)及びポリエチレングリコールモノオレエート(EO:6〜10)がある。
好適な非イオン性炭化水素界面活性剤としては、Dow Chemical Companyによって供給されるTriton(登録商標)Xシリーズ等のオクチルフェノールエトキシレートが挙げられる:
Figure 2021102731
Triton(登録商標)
X15:n=1.5(avg)
X45:n=4.5(avg)
好ましい非イオン性炭化水素界面活性剤は、Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)15−Sシリーズ等の分枝鎖状アルコールエトキシレート及びやはりDow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)TMNシリーズ等の分枝鎖状第2級アルコールエトキシレートである:
Figure 2021102731
Tergitol(登録商標)
TMN−6:n=8(avg)
TMN−10:n=11(avg)
TMN−100:n=10(avg)
Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)Lシリーズ界面活性剤等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーは、上記非イオン性炭化水素界面活性剤としても有用である。
更に別の有用な群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、以下のもの等の、BASFからPluronic(登録商標)Rシリーズとして供給される二官能基ブロックコポリマーである:
Figure 2021102731
Pluronic(登録商標)
31R1:m=26(avg)、n=8(avg)
17R2:m=14(avg)、n=9(avg)
10R5:m=8(avg)、n=22(avg)
25R4:m=22(avg)、n=23(avg)
別の群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、BASF CorporationからIconol(登録商標)TDAシリーズとして供給されるトリデシルアルコールアルコキシレートである。
Figure 2021102731
Iconol(登録商標)
TDA−6:n=6(avg)
TDA−9:n=9(avg)
TDA−10:n=19(avg)
上記カチオン性界面活性剤も、核形成界面活性剤として使用できる。典型的なカチオン性界面活性剤は、アルキル化臭化アンモニウム等のアルキル化ハロゲン化アンモニウム等の正に帯電した親水性部分、及び長鎖脂肪酸等の疎水性部分を有する。
使用され得る別の群の核形成剤は、炭化水素含有シロキサン界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤であり、ここで、上記のヒドロカルビル基は、フッ素等のハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換され、それによって、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基上の一価置換基は水素である。核形成剤として好ましいのは、非イオン性部分を有する炭化水素シロキサン、すなわち、非イオン性炭化水素(シロキサン)界面活性剤である。
上記核形成剤の分解に用いる上記分解剤は、酸化剤であることが好ましく、フルオロモノマーの重合にも使用可能なラジカル重合開始剤であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、無機過酸等の無機開始剤の高活性の水溶性塩が挙げられ、なかでも、過硫酸塩、例えば、過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウムが好ましい。上記過硫酸塩は、金属イオンを実質的に含まないことが好ましく、アンモニウム塩であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、アゾアミジン化合物等の水溶性有機アゾ化合物も有用である。
上記重合開始剤は、フルオロモノマーを重合するのに使用される重合開始剤と同じであってもよく、異なっていてもよい。
水性媒体に添加される上記分解剤の量は、重合反応を開始させるのに必要な量より少ないことが好ましく、上記水性媒体に対し、好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、更により好ましくは20ppm以下、最も好ましくは15ppm以下である。上記分解剤の量の下限は、例えば1ppmである。
上記核形成剤の分解は、無機塩の存在下に行うことが好ましい。これにより、形成される上記親油性核形成部位の数を増加させることができ、より小さい一次粒子径を有するフルオロポリマーが得られる。
上記無機塩の例としては、水溶性無機塩が挙げられ、例えば、Na、K等のアルカリ金属カチオン、NH 等のカチオンと、−SO、−HSO、−NO 、−Cl、−CO 、−B 、−HPO 等のアニオンとを含有するものが挙げられる。重合によって作製されるフルオロポリマーが溶融押出によって加工される場合、塩は、好ましくはアンモニウム塩である。
上記核形成剤の分解(酸化)反応の時点で水性媒体中に存在する上記無機塩の量は、上記水性媒体に対し、好ましくは100ppm以下、より好ましくは75ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは25ppm以下である。また、使用される場合の量の下限は1ppmであってよい。
また、本開示の製造方法において、上記界面活性剤と、所望により用いるその他の界面活性能を有する化合物に加え、各化合物を安定化するため添加剤を使用することができる。上記添加剤としては、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤等が挙げられる。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコーンオイル等が好ましい。安定化助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化助剤としては、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で液体でも、半固体でも、固体であってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40〜65℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。
安定化助剤の使用量は、使用する水性媒体の質量基準で0.1〜12質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。安定化助剤は十分に疎水的で、TFEの乳化重合後にPTFE水性乳化液と完全に分離されて、コンタミ成分とならないことが望ましい。
本開示の製造方法において、上記重合工程は、重合反応器に、水性媒体、TFE、連鎖移動剤及び開始剤等の必要な添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の開始剤を加え、重合反応を開始することにより行う。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、開始剤、連鎖移動剤等を追加添加してもよい。上記界面活性剤の添加タイミングは目的に応じて決定すればよく、重合反応の開始前、開始時、開始後のいずれに添加してもよく、それらの複数のタイミングで添加してもよい。
上記重合において、通常、重合温度は、5〜120℃であり、好ましくは、10〜100℃であり、より好ましくは、20〜90℃である。重合圧力は、通常、0.05〜10MPaGであり、好ましくは、0.1〜5.0MPaGであり、より好ましくは、0.2〜3.0MPaGである。重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記界面活性剤は、合計添加量で、水性媒体100質量%に対して0.0001〜10質量%の量を添加することが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。0.0001質量%未満であると、分散力が不充分となるおそれがあり、10質量%を超えると、添加量に見合った効果が得られず、却って重合速度の低下や反応停止が起こるおそれがある。上記界面活性剤の添加量は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量等によって適宜決定される。
上記水性媒体は、上記TFEの重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
本開示の製造方法により製造されるフルオロポリマーとしては、TFE単独重合体であってもよいし、80モル%超のTFE単位と、20モル%未満の上記TFE以外のモノマーに基づく重合単位と、からなる共重合体であってもよい。
本開示の製造方法により製造されるフルオロポリマーとしては、後述する本開示のフルオロポリマーが挙げられる。
本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表される。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
従来、TFE系の重合体においてブロック共重合することは困難であった。本開示のフルオロポリマーは、上記特定の基を末端に有することによって、ブロック共重合が可能となる。従って、本開示のフルオロポリマーは、ブロック共重合体を製造するための中間体としても有用である。
また、本開示のフルオロポリマーは、中間体だけでなく、上述したような用途にそのまま使用することもできる。
式(CRP1)中のZc11としては、上述した式(c1−1)中のZc1と同様のものが挙げられる。
式(CRP2)中のZc12としては、上述した式(c1−2)中のZc2と同様のものが挙げられる。
式(CRP3)中のRc11としては、上述した式(c1−2’)中のRと同様のものが挙げられる。
式(CRP4)中のZc13としては、上述した式(c1−3)中のZc3及びZc4と同様のものが挙げられる。
式(CRP5)中のZc14としては、上述した式(c1−4)中のZc5と同様のものが挙げられる。
上記CRPとしては、重合速度の観点から、(CRP5)が好ましい。
上記式(CRP1)〜(CRP5)は、本開示の製造方法において記載した連鎖移動剤に由来する基である。言い換えると、上記式(CRP1)〜(CRP5)は、上記連鎖移動剤の構造の少なくとも一部がフルオロポリマー(好ましくはフルオロポリマーの主鎖末端)に組み込まれた部分である。
本開示のフルオロポリマーは、80モル%超のTFE単位を含む。TFE単位は90モル%以上であることが好ましく、90モル%超であることがより好ましく、95モル%以上であることが更に好ましく、99モル%以上であることが更により好ましい。
本開示のフルオロポリマーはまた、TFEに基づく重合単位が99.0質量%以上であり、TFE以外のモノマーに基づく重合単位が1.0質量%以下である変性PTFEであってもよい。
上記Afは、TFEに由来する単量体単位のみからなるフルオロポリマーセグメントであることが1つの好適な態様である。
言い換えると、本開示のフルオロポリマーは、下記式:
Bf−CRP
(式中、Bfは、TFEに基づく重合単位のみからなるフルオロポリマーセグメントである。CRPは、前記と同じ。)で表されるものであることが好ましい。
上記AfがTFEに由来する単量体単位のみからなるフルオロポリマーセグメントであるフルオロポリマーは、いわゆる、PTFEである。以下、PTFEについて説明する。
本開示の製造方法により得られるPTFEは低分子量PTFEであってもよいし、高分子量PTFEであってもよい。
分子量60万以下の低分子量PTFE(PTFEマイクロパウダーとも呼ばれる)は、化学的安定性に優れ、表面エネルギーが極めて低いことに加え、フィブリル化が生じにくいので、滑り性や塗膜表面の質感を向上させること等を目的とした添加剤として、プラスチック、インク、化粧品、塗料、グリース、オフィスオートメーション機器部材、トナー等の製造に好適である(例えば、特開平10−147617号公報参照。)。
上記重合により得られる低分子量PTFEを粉末として用いる場合、PTFEの分散液を凝析させることで粉末粒子とすることができる。
高分子量PTFEとは、非溶融加工性及びフィブリル化性を有するPTFEを意味する。他方、低分子量PTFEとは、溶融加工性を有し、フィブリル化性を有しないPTFEを意味する。
上記非溶融加工性とは、ASTM D−1238及びD−2116に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質を意味する。
フィブリル化性の有無は、TFEの重合体から作られた粉末である「高分子量PTFE粉末」を成形する代表的な方法である「ペースト押出し」で判断できる。通常、ペースト押出しが可能であるのは、高分子量のPTFEがフィブリル化性を有するからである。ペースト押出しで得られた未焼成の成形物に実質的な強度や伸びがない場合、例えば伸びが0%で引っ張ると切れるような場合はフィブリル化性がないとみなすことができる。
上記高分子量PTFEは、標準比重(SSG)が2.130〜2.280であることが好ましい。上記標準比重は、ASTM D4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D−792に準拠した水置換法により測定する。「高分子量」とは、上記標準比重が上記の範囲内にあることを意味する。
上記低分子量PTFEは、380℃における複素粘度が1×10〜7×10Pa・sである。「低分子量」とは、上記複素粘度が上記の範囲内にあることを意味する。
上記高分子量PTFEは、上記低分子量PTFEよりも複素粘度が極めて高く、その正確な複素粘度を測定することは困難である。他方、上記低分子量PTFEの複素粘度は測定可能であるが、上記低分子量PTFEからは、標準比重の測定に使用可能な成形品を得ることが難しく、その正確な標準比重を測定することが困難である。従って、上記高分子量PTFEの分子量の指標として、標準比重を採用し、上記低分子量PTFEの分子量の指標として、複素粘度を採用する。なお、上記高分子量PTFE及び上記低分子量PTFEのいずれについても、直接に分子量を特定できる測定方法は知られていない。
上記高分子量PTFEは、ピーク温度が333〜347℃であることが好ましく、335〜345℃であることがより好ましい。上記低分子量PTFEは、ピーク温度が322〜333℃であることが好ましく、324〜332℃であることがより好ましい。上記ピーク温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記高分子量PTFEは、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線において、333〜347℃の範囲に少なくとも1つ以上の吸熱ピークが現れ、上記融解熱曲線から算出される290〜350℃の融解熱量が62mJ/mg以上であることが好ましい。
上記PTFEは水性分散液やファインパウダーとして用いることができる。
PTFEのファインパウダーは、成形用として好ましく、好適な用途としては、航空機及び自動車等の油圧系、燃料系のチューブ等が挙げられ、薬液、蒸気等のフレキシブルホース、電線被覆用途等が挙げられる。
PTFEの水性分散液は、また、非イオン性界面活性剤を加えることにより、安定化して更に濃縮し、目的に応じ、有機又は無機の充填剤を加えた組成物として各種用途に使用することも好ましい。上記組成物は、金属又はセラッミクスからなる基材上に被覆することにより、非粘着性と低摩擦係数を有し、光沢や平滑性、耐摩耗性、耐候性及び耐熱性に優れた塗膜表面とすることができ、ロールや調理器具等の塗装、ガラスクロスの含浸加工等に適している。
上記水性分散液からPTFEのオルガノゾルを調製することもできる。上記オルガノゾルは、上記PTFE及び有機溶剤を含むことができ、上記有機溶剤としては、エーテル系溶媒、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド等を好適に使用できる。上記オルガノゾルの調製は、例えば、国際公開第2012/002038号に記載の方法により実施できる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEのファインパウダーは、加工助剤として使用することも好ましい。加工助剤として使用する場合、上記水性分散液又は上記ファインパウダーをホストポリマー等に混合することにより、ホストポリマー溶融加工時の溶融強度向上や、得られたポリマーの機械的強度、電気特性、難燃性、燃焼時の滴下防止性、摺動性を向上することができる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、電池用結着剤、防塵用途として使用することも好ましい。
本開示の製造方法で得られたPTFEファインパウダーから、未焼成テープ(生テープ)を得ることもできる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、また、PTFE以外の樹脂と複合させてから加工助剤として使用することも好ましい。上記水性分散液又は上記ファインパウダーは、例えば、特開平11−49912号公報、米国特許第5804654号明細書、特開平11−29679号公報、特開2003−2980号公報に記載されたPTFEの原料として好適である。上記水性分散液又は上記ファインパウダーを使用した加工助剤は、上記各刊行物に記載された加工助剤に比べてもなんら劣るものではない。
上記PTFEの水性分散液は、溶融加工性フッ素樹脂の水性分散液と混合して凝析させることにより、共凝析粉末とすることも好ましい。上記共凝析粉末は、加工助剤として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、エチレン/TFE/HFP共重合体[EFEP]等が挙げられるが、中でもFEPが好ましい。
上記水性分散液は、上記溶融加工性フッ素樹脂を含むことも好ましい。上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、EFEP等が挙げられる。上記溶融加工性フッ素樹脂を含む上記水性分散液は、塗料として使用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂は、上記PTFEの粒子同士を充分に融着させることができるので、造膜性を向上させ、得られる被膜に光沢を出すことができる。
上記共凝析粉末を添加するフッ素非含有樹脂は、パウダー状であってもよいし、ペレット状であってもよいし、エマルションであってもよい。上記添加は、各樹脂を充分に混合する点で、押出混練、ロール混練等の公知の方法により剪断力を与えながら行うことが好ましい。
上記PTFEの水性分散液は、塵埃抑制処理剤として使用することも好ましい。上記塵埃抑制処理剤は、発塵性物質と混合し、該混合物に20〜200℃の温度で圧縮−せん断作用を施すことによりPTFEをフィブリル化して発塵性物質の塵埃を抑制する方法、例えば特許第2827152号公報、特許第2538783号公報等の方法において、用いることができる。
上記PTFEの水性分散液は、例えば、国際公開第2007/004250号に記載の塵埃抑制処理剤組成物に好適に用いることができ、国際公開第2007/000812号に記載の塵埃抑制処理方法にも好適に用いることができる。
上記塵埃抑制処理剤は、建材分野、土壌安定材分野、固化材分野、肥料分野、焼却灰及び有害物質の埋立処分分野、防爆分野、化粧品分野、猫砂に代表されるペット排泄用の砂等の塵埃抑制処理に好適に用いられる。
上記PTFEの水性分散液は、分散紡糸法(Dispersion Spinning method)によりPTFE繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記分散紡糸法とは、上記PTFEの水性分散液とマトリックス高分子の水性分散液とを混合し、当該混合物を押出加工して中間体繊維構造物を形成し、該中間体繊維構造物を焼成することによって上記マトリックス高分子を分解及びPTFE粒子の焼結を行ってPTFE繊維を得る方法である。
重合により得られる高分子量PTFE粉末は、延伸性及び非溶融加工性を有し、延伸体(多孔体)の原料としても有用である。
この延伸体が膜である場合(PTFE延伸膜またはPTFE多孔膜)、公知のPTFE延伸方法によって延伸することができる。延伸することにより高分子量PTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなるPTFE多孔体(膜)となる。
好ましくは、シート状または棒状のペースト押出物を押出方向にロール延伸することで、一軸延伸膜を得ることができる。
更に、テンター等により幅方向に延伸して、二軸延伸膜も得ることができる。
延伸前に半焼成処理を行うことも好ましい。
このPTFE延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体であり、エアフィルター、薬液フィルター等の各種精密濾過フィルターの濾材、高分子電解質膜の支持材等として好適に利用できる。
また、繊維分野、医療分野、エレクトロケミカル分野、シール材分野、空気濾過分野、換気/内圧調整分野、液濾過分野、一般消費材分野等で使用する製品の素材としても有用である。
以下に、具体的な用途を例示する。
エレクトロケミカル分野
誘電材料プリプレグ、EMI遮蔽材料、伝熱材料等。より詳細には、プリント配線基板、電磁遮蔽シールド材、絶縁伝熱材料、絶縁材料等。
シール材分野
ガスケット、パッキン、ポンプダイアフラム、ポンプチューブ、航空機用シール材等。
空気濾過分野
ULPAフィルター(半導体製造用)、HEPAフィルター(病院・半導体製造用)、円筒カートリッジフィルター(産業用)、バグフィルター(産業用)、耐熱バグフィルタ−(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルター(排ガス処理用)、SINBRANフィルター(産業用)、触媒フィルター(排ガス処理用)、吸着剤付フィルター(HDD組込み)、吸着剤付ベントフィルター(HDD組込み用)、ベントフィルター(HDD組込み用他)、掃除機用フィルター(掃除機用)、汎用複層フェルト材、GT用カートリッジフィルター(GT向け互換品用)、クーリングフィルター(電子機器筐体用)等。
換気/内圧調整分野
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、タブレット端末や携帯電話端末等の小型端末を含む電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等。
液濾過分野
半導体液ろ過フィルター(半導体製造用)、親水性PTFEフィルター(半導体製造用)、化学薬品向けフィルター(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルター(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルター(産業排水処理用)等。
一般消費材分野
衣類、ケーブルガイド(バイク向け可動ワイヤ)、バイク用衣服、キャストライナー(医療サポーター)、掃除機フィルター、バグパイプ(楽器)、ケーブル(ギター用信号ケーブル等)、弦(弦楽器用)等。
繊維分野
PTFE繊維(繊維材料)、ミシン糸(テキスタイル)、織糸(テキスタイル)、ロープ等。
医療分野
体内埋設物(延伸品)、人工血管、カテーテル、一般手術(組織補強材料)、頭頸部製品(硬膜代替)、口内健康(組織再生医療)、整形外科(包帯)等。
上記Afは、TFEに基づく重合単位が80モル%超であれば、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含んでいてもよい。TFE以外のモノマーとしては、上述した本開示の製造方法で記載したものと同じである。
上記TFE以外のモノマーに基づく重合単位としては、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに由来する単量体単位とがランダム共重合したフルオロポリマーセグメントであることが1つの態様である。
上記一般式(1)で示されるモノマー及び/又は一般式(2)で示されるモノマーとしては、本開示の製造方法において記載したものと同じである。
この場合、上記Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超100モル%未満含むことが好ましい。上記Afは、TFEに基づく重合単位を81モル%以上含むことが好ましく、90モル%以上含むことがより好ましく、90モル%超含むことが更に好ましく、95モル%以上含むことが更により好ましく、99モル%以上含むことが特に好ましい。
上記AfがTFEに由来する単量体単位と、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに由来する単量体単位とがランダム共重合したフルオロポリマーセグメントである場合、上記フルオロポリマーは、TFEと、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーとのコポリマーであり、例えば、TFE−HFP共重合体(FEP)、TFE−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、エチレン−TFE共重合体(ETFE)、TFE/VDF共重合体等の溶融加工性フッ素樹脂等が挙げられる。
また、TFEと、TFE以外のモノマー(変性モノマー)とからなる変性PTFEであってもよい。この場合、TFE以外のモノマーが1質量%以下であることが好ましい。
上記FEPの好ましい単量体組成(質量%)は、TFE:HFP=(80〜95):(5〜20)、より好ましくは(85〜92):(8〜15)である。上記FEPとしては、また、更に第3成分としてパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類を用い、全単量体の0.1〜2質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記FEPは、例えば、電線、発泡電線、ケーブル、ワイヤ等の被覆材、チューブ、フィルム、シート、フィラメント等の種々の成形品の製造に供することができる。
上記PFAの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)=(90〜99.7):(0.3〜10)、より好ましくは(97〜99):(1〜3)である。上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、式:CF=CFORf(式中、Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基)で表されるものを使用することが好ましい。
上記PFAから種々の成形品を得ることができる。成形品の例をあげると、シート、フィルム、パッキン、丸棒、角棒、パイプ、チューブ、丸槽、角槽、タンク、ウェハーキャリア、ウェハーボックス、ビーカー、フィルターハウジング、流量計、ポンプ、バルブ、コック、コネクター、ナット、電線、耐熱電線などがある。これらのうち、特に薬液の不透過性が要求される各種の化学反応装置、半導体製造装置、さらには酸系またはアルカリ系の薬液供給装置などに使用するチューブ、パイプ、タンク、コネクターなどに好適に使用できる。
更に、PFA単独で、又は、必要に応じて、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、金属粉末等を加えて、有機溶媒中に溶解または分散させることで、プライマー組成物を得ることもできる。このプライマー組成物を金属表面に施し、かくして形成されたプライマー層上に溶融加工性フッ素樹脂組成物を施し、プライマー層と共に溶融加工性フッ素樹脂組成物層を焼成することからなる金属表面へのフッ素樹脂の被覆方法にも用いることができる。
上記ETFEの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:エチレン=(80〜99):(20〜1)である。上記ETFEとしては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜20質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。好ましくは、TFE:エチレン:第3モノマー=(80〜94):(19〜2):(1〜10)である。上記第3モノマーとしては、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロブチルエチレン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタ−1−エン、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH=CFCFCFCFH)、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロペン((CFC=CH)が好ましい。
上記ETFEは、押出成形してシートにすることもできる。例えば、ETFE粉末、またはETFEのペレットを溶融させ、ダイから連続的に押し出し、冷却して得られるシート状の成形品にすることができる。ETFEには添加剤が添加されていてもよい。
添加剤としては、公知のものを適宜用いることができる。具体例としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、難燃剤、難燃フィラー、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。耐候性が優れる点からは無機系添加剤が好ましい。
上記ETFEのシートにおける添加剤の含有量は、ETFEのシートの総質量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
上記ETFEのシートは、機械的強度および外観に優れることから、膜構造建築物(運動施設、園芸施設、アトリウム等)用の膜材(屋根材、天井材、外壁材、内壁材、被覆材等)として好適である。
また、膜構造建築物の膜材だけではなく、たとえば、屋外使用板材(防音壁、防風フェンス、越波柵、車庫天蓋、ショッピングモール、歩行路壁、屋根材)、ガラス飛散防止フィルム、耐熱・耐水シート、建材等(テント倉庫のテント材、日よけ用膜材、明かり取り用の部分屋根材、ガラスに替わる窓材、防炎仕切り用膜材、カーテン、外壁補強、防水膜、防煙膜、不燃透明仕切り、道路補強、インテリア(照明、壁面、ブランド等)、エクステリア(テント、看板等)等)、生活レジャー用品(釣りざお、ラケット、ゴルフクラブ、映写幕等)、自動車用材料(幌、制振材、ボディ等)、航空機材料、船舶材料、家電外装、タンク、容器内壁、フィルタ、工事用膜材、電子材料(プリント基板、配線基板、絶縁膜、離型膜等)、太陽電池モジュールの表面材料、太陽熱発電用のミラー保護材、ソーラー温水器の表面材等に有用である。
上記TFE/VDF共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:VDF=(81〜90):(10〜19)である。TFE/VDF共重合体としては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜10モル%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記第3モノマーとしては、
式: CX1112=CX13(CX1415n1116
(式中、X11〜X16は同一又は異なってH、F又はClを表し、n11は0〜8の整数を表す。但し、TFE及びVDFを除く。)で示されるモノマー、又は、
式: CX2122=CX23−O(CX2425n2126
(式中、X21〜X26は同一又は異なってH、F又はClを表し、n21は0〜8の整数を表す。)で示されるモノマーが好ましい。
また、第3モノマーはフッ素非含有エチレン性単量体でもよい。上記フッ素非含有エチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性を維持する点で、炭素数6以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等)、マレイン酸、イタコン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
得られたTFE/VDF共重合体を、アンモニア水、アンモニアガス又はアンモニアを生成しうる窒素化合物と接触させることによりアミド化処理してもよい。
上記TFE/VDF共重合体は、紡糸延伸方法によりTFE/VDF共重合体繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記紡糸延伸方法とは、TFE/VDF共重合体を溶融紡糸してから冷却固化して未延伸糸を得た後、該未延伸糸を加熱筒状体中に走行させて延伸することによりTFE/VDF共重合体繊維を得る方法である。
上記TFE/VDF共重合体を、有機溶剤に溶解させて、上記TFE/VDF共重合体の溶液を得ることもできる。上記有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;更に、それらの混合溶剤等の低沸点の汎用有機溶剤を挙げることができる。上記溶液は、電池用結着剤として使用できる。
上記TFE/VDF共重合体の水性分散液をポリオレフィン樹脂からなる多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。水性分散液に無機粒子、及びまたは有機系粒子を分散させ、多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。このようにして得られた複合多孔膜はリチウム二次電池のセパレーターなどの使用することができる。
上記溶融加工性フッ素樹脂の粉末は、粉体塗料として好適に利用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂粉末からなる粉体塗料を基材に適用すると、表面が平滑な皮膜を得ることができる。平均粒径が1μm以上100μm未満である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に静電塗装に使用する粉体塗料として好適であり、平均粒径が100μm以上1000μm以下である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に回転塗装又は回転成形に使用する粉体塗料として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂粉末は、上述した本開示の製造方法で得られた溶融加工性フッ素樹脂を乾燥させて粉体化することによって粉末を得る方法により製造できる。
上記Afが、TFEとTFE以外のモノマーとがランダム共重合したポリマーセグメントである場合、得られるフルオロポリマーは、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下のTFE以外の変性モノマーに基づく重合単位とを含む変性PTFEであってもよい。
上記変性モノマーの合計量は、工程(ii)で得られるフルオロポリマーに対して、0.00001〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.009質量%が特に好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましい。
上記変性モノマーとしては、例えば、上記一般式(1)及び一般式(2)で示されるモノマーが挙げられ、特に、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示のフルオロポリマーは、環境負荷低減の観点から、数平均分子量が1000以上であることが好ましい。本開示のフルオロポリマーは、数平均分子量が3000以上であることがより好ましく、5000以上であることが更に好ましく、10000以上であることが特に好ましい。
上記数平均分子量は、例えば、PTFEの場合は、固体19F−NMR測定より得られるTFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク積分値と、ポリマー末端の連鎖移動剤切片由来のピーク積分値の比から見積もられる重合度nから算出する。ポリマーの数平均分子量は、モノマーの分子量mと重合度nの積(m×n)として算出することができる。
上記数平均分子量は、例えば、溶剤に溶解可能なポリマーの場合は、GPC測定より得られる数平均分子量であってよい。
本開示は、下記式:
Af−CRP
(式中、Afは、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表されるフルオロポリマーを含むことを特徴とする組成物にも関する。
式(CRP1):
−SC(S)Zc11
(式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP2):
―SC(S)SZc12
(式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
式(CRP3):
−SC(S)SRc11
(式中、Rc11は1価の有機基である。)
式(CRP4):
−SC(S)NZc13
(式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
式(CRP5):
−SC(S)OZc14
(式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
本開示の組成物において、フルオロポリマーは上述した本開示のフルオロポリマーと同じである。
上記フルオロポリマーは、上述した本開示の製造方法によって製造することができる。
本開示の組成物は、更に、上記界面活性剤を含むことが好ましい。上記界面活性剤としては、上述した本開示の製造方法において使用する界面活性剤が挙げられる。上記界面活性剤は、含フッ素界面活性剤であってもよいし、炭化水素系界面活性剤であってもよいが、炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。
本開示の組成物は、水性ディスパージョンであってもよいし、粉末であってもよいし、ペレットであってもよい。水性ディスパージョンは重合上がりのディスパージョンであってもよいし、重合上がりのディスパージョンを加工したものであってもよい。例えば、機械的安定性や貯蔵安定性のために非イオン性界面活性剤等を添加したものであってもよい。上記非イオン性界面活性剤を添加する場合、その添加量は、上記フルオロポリマーに対して0.5〜25質量%であることが好ましい。上記添加量の下限は、1質量%であることがより好ましく、3質量%であることが更に好ましい。上限は、20質量%であることがより好ましく、15質量%であることが更に好ましく、10質量%であることが特に好ましい。
水性ディスパージョンとは、水性媒体を分散媒とし、上記フルオロポリマーを分散質とする分散系である。上記水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等の有機溶媒を含むものであってもよい。
上記組成物における上記界面活性剤の含有量の下限値は、上記フルオロポリマーに対して10ppbであることが好ましく、100ppbであることがより好ましく、1ppmであることが更に好ましく、10ppmであることが更により好ましく、50ppmであることが特に好ましい。上限値は、フルオロポリマー(1)に対して100000ppmであることが好ましく、50000ppmであることがより好ましく、10000ppmであることが更に好ましく、5000ppmであることが特に好ましい。
本開示は、上記組成物を成形して得られる成形体にも関する。成形に用いる上記組成物は、粉末又はペレットであることが好ましい。
成形方法としては、特に限定されず、例えば、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、射出成形、ブロー成形、ロト成形、ロトライニング成形、静電塗装等が挙げられる。
上記成形体の形状としては、特に限定されず、例えば、ホース、パイプ、チューブ、シート、シール、ガスケット、パッキン、フィルム、タンク、ローラー、ボトル、容器等が挙げられる。
本開示はまた、開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でTFEを重合してTFEに基づく重合単位を80モル%超(好ましくは90モル%超)含むフルオロポリマーを得る重合工程、及び、重合工程で得られたフルオロポリマーを含む水性媒体中で、TFE以外のモノマーをブロック共重合するブロック重合工程を含み、上記連鎖移動剤はジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物及びキサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第2の製造方法」ともいう)をも提供する。
本開示の第2の製造方法において、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤、水性媒体、TFE以外のモノマーとしては、本開示の製造方法に記載したものと同じである。また、上記重合工程は、本開示の製造方法と同じである。上記重合工程により、上述した本開示のフルオロポリマーのように、末端にCRPを有するポリマーが得られ、これにより、TFE以外のモノマーをブロック共重合することができる。
本開示の第2の製造方法において、重合工程は1回行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行うことによって複数のブロック(セグメント)を有するブロック共重合体を製造できる。
本開示の第2の製造方法において、上記重合工程と、ブロック重合工程は連続的におこなってもよいし、上記重合工程で得られたポリマーを回収し、回収したポリマーを水性媒体に添加してからTFE以外のモノマーを添加して重合を行ってもよい。
上記ブロック重合工程の温度は、ブロック共重合が可能な温度であれば特に限定されないが、例えば、0〜150℃であってよい。好ましくは、20〜130℃であり、より好ましくは、40〜110℃である。
上記ブロック重合工程の圧力は、ブロック共重合が可能な圧力であれば特に限定されないが、例えば、0〜9.8MPaGであってよい。好ましくは、0.2〜6.0MPaGであり、より好ましくは、0.5〜3.0MPaGである。
上記ブロック重合工程において、水性媒体に対するTFE以外のモノマーの濃度は0.1〜20モル/Lであることが好ましい。より好ましくは、0.3〜18モル/Lであり、更に好ましくは、0.5〜15モル/Lである。
上記ブロック重合工程は1回行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行うことによって複数のブロック(セグメント)を有するブロック共重合体を製造できる。
本開示の第2の製造方法によって得られるフルオロポリマーとしては、例えば、後述する本開示の第2のフルオロポリマー等が挙げられる。
本開示はまた、TFEに基づく重合単位を80モル%超含むセグメントAと、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むセグメントBから構成されるフルオロポリマー(以下「本開示の第2のフルオロポリマー」とも記載する。)を提供する。上記TFE以外のモノマーとしては特に限定されないが、上述した一般式(1)及び/又は(2)で示されるモノマーが好ましい。
上記セグメントAは、TFEに由来する単量体単位を80モル%超含むものである。セグメントAは、TFEに由来する単量体単位を90モル%超含むものであることが好ましく、TFEに基づく重合単位のみからなることがより好ましい。上記セグメントAは、TFE単独重合体(PTFE)からなるポリマーセグメントであることが好ましい、上述したPTFEの特徴を全て採用できる。
セグメントBは、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むものであればよいが、一般式(1)及び/又は一般式(2)に基づく重合単位を含むものであることが好ましく、特に、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アルケン、アミド結合を有するフッ素非含有モノマー、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、HFP、CTFE、VDF、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、HFP、CTFE、VDF、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、N−アクリルアミド化合物、アルケン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマーからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルラクタム化合物、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が更により好ましく、HFP、VDF、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロフッ化スルホニルビニルエーテル、エチレン、N−ビニルアミド化合物、N−ビニルピロリドン、及び、酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
上記セグメントBを構成する重合体としては、TFE以外のモノマーに基づく重合単位を含むものであり、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに基づく重合単位を含むものが好ましく、例えば、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル;ポリ(N−ビニルピロリドン)等のポリビニルアミド;PVDF等のポリフルオロオレフィン等が特に好ましい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、セグメントA及びセグメントBを含む。本開示の第2のフルオロポリマーは、下記式:
−A−L−B−
(式中、AはセグメントAであり、BはセグメントBであり、Lは連結基を表す。)の構造を含むことが好ましい。
上記Lは、単結合であってもよいし、2価の有機基であってもよい。Lにおける2価の有機基としては、アルキレン基、オキシアルキレン基等が挙げられる。
上記Lは単結合であることが好ましい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、上記セグメントAとセグメントBが単結合により結合した−A−B−構造を含むことが好ましい。
セグメントAとセグメントBが単結合により結合しているとは、セグメントAの端部を構成する重合単位(例えば、TFEに由来する重合単位)と、セグメントBの端部を構成する重合単位(例えば、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示されるモノマーに基づく重合単位)とが直接結合していることを意味する。このような構成は、本開示の第2の製造方法によって実現できる。
本開示の第2のフルオロポリマーにおいて、−A−L−B−構造は少なくとも1つ存在すればよく、2以上あってもよいし、3以上あってもよい。すなわち、本開示の第3のフルオロポリマーは、少なくとも1つのセグメントAと少なくとも1つのセグメントBがL(好ましくは単結合)により結合していればよく、−A−L−B−が2回以上繰り返されたものであってよく、3回以上繰り返された構造を有するものであってもよい。例えば、−A−L−B−、−B−L−A−、−A−L−B−L−A−、−B−L−A−L−B−、−A−L−B−L−A−L−B−、−B−L−A−L−B−L−A−等の構成であってもよい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、上記セグメントAとセグメントBとの質量比(A/B)が99/1〜1/99であってよい。
本開示の第2のフルオロポリマーは、TFEに由来する単量体に基づく単量体単位を含むセグメントAと、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示される単量体に基づく単量体単位を含むセグメントBの両方の性質を併せ持つことができる。このようなフルオロポリマーは、例えば、フッ素樹脂を複合するための相溶化剤、接着剤としての用途が期待される。
また、本開示の第2のフルオロポリマーは、本開示の第1及び第2のフルオロポリマーにおいて記載した各フルオロポリマーの用途にも採用できる。
次に実施例を挙げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例では下記式で表される10−オキソウンデシル硫酸ナトリウムを界面活性剤として用いた。
Figure 2021102731
実施例1
オートクレーブに、水550g、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム0.019g、パラフィン30g、O−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネート0.10gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。系内をTFEで置換し、70℃まで昇温した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)0.11gを供給して重合を開始した。重合圧力を0.83MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFEを連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了後、フルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.0gを得た。固体19F−NMR測定(高速MAS法)より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピークを基準(CFCFCF=−120ppm)としたときに、−CF−S−由来のピークが−85ppmに見えたことから、ポリマー末端に連鎖移動剤切片A(−SC(S)OC)が導入されたことを確認した。また、切片B(−CFH)も確認した。CF連鎖由来のピーク積分値と切片A+Bのピーク積分値の比から見積もられる重合度は、249であった。
実施例2
オートクレーブに、水550g、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム0.019g、パラフィン30g、O−エチルS−(1−メトキシカルボニルエチル)ジチオカーボネート0.10gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。系内をTFE/VDF混合モノマー91/9(モル%)で置換し、70℃まで昇温した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)0.11gを供給して重合を開始した。重合圧力を0.90MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFE/VDF混合モノマー91/9(モル%)を連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。重合終了後、フルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.3gを得た。固体19F−NMR測定と元素分析より見積もられる単量体組成比は、TFE/VDF:92/8(モル%)であった。
実施例3
実施例1において、0.3gのHFPを加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.1gを得た。FT−IR測定より、982cm−1における赤外線吸光度/935cm−1における赤外線吸光度の比に0.3を乗じることで、見積もられる単量体組成比は、TFE/HFP:94/6(モル%)であった。
実施例4
実施例1において、0.2gのパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)を加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.0gを得た。固体19F−NMR測定より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク(CFCFCF=−120ppm)積分値とPMVEのCF由来のピーク(−52ppm)積分値から見積もられる単量体組成比は、TFE/PMVE:95/5(モル%)であった。
実施例5
実施例1において、0.3gのパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を加えるとした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたフルオロポリマー分散体を乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマー3.1gを得た。固体19F−NMR測定より、TFEモノマー連鎖由来のCF連鎖のピーク(CFCFCF=−120ppm)積分値とPPVEのCF由来のピーク(−52ppm)積分値から見積もられる単量体組成比は、TFE/PPVE:95/5(モル%)であった。

Claims (13)

  1. 開始剤、連鎖移動剤、及び、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でテトラフルオロエチレンを重合してテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーを得る重合工程を含み、
    前記連鎖移動剤は、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、トリチオカーボネート化合物、及び、キサンテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法。
  2. 前記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含む、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなる請求項1記載の製造方法。
  4. 前記フルオロポリマーは、更に、テトラフルオロエチレン以外のモノマーに基づく重合単位を含む請求項1又は2記載の製造方法。
  5. 前記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、下記一般式(1)で示されるモノマー、及び、下記一般式(2)で示されるモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4記載の製造方法。
    一般式(1):
    CF=CR
    (式中、Rは、H又はF;Rは−Cl、−CF、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、−Rf、−ORf;R、R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基又は含フッ素ビニル基;Rfは、含フッ素アルキル基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
    一般式(2):
    CH=CR
    (式中、Rは、R、CFまたはF;Rは−Cl、−R、−COOR、−OCOR、−CONR 、−CN、−COR、Rf;R及びRは、同一又は異なって、H、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基又はヘテロ環基;R、R、R及びRは、同一又は異なって、H又は置換基;Rfは、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよい、含フッ素アルキル基、含フッ素ビニル基又は含フッ素アルコキシ基;R及びRは互いに結合して環を形成してもよい)
  6. 前記テトラフルオロエチレン以外のモノマーは、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、アルケン、ビニルアミド、フルオロアルキルエチレン及び含フッ素アクリレートモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4又は5記載の製造方法。
  7. 前記連鎖移動剤は、キサンテート化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記重合工程において、水性媒体に対する前記連鎖移動剤の濃度が0.1×10−3〜0.01モル/Lである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記界面活性剤は、炭素数3以上のパーフルオロアルキル基を含まない請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 下記式:
    Af−CRP
    (式中、Afは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を80モル%超含むフルオロポリマーセグメントである。CRPは、下記式(CRP1)〜(CRP5)のいずれかである。)で表されることを特徴とするフルオロポリマー。
    式(CRP1):
    −SC(S)Zc11
    (式中、Zc11はアルキル基又はアリール基である。)
    式(CRP2):
    ―SC(S)SZc12
    (式中、Zc12はアルキル基又はアリール基である。)
    式(CRP3):
    −SC(S)SRc11
    (式中、Rc11は1価の有機基である。)
    式(CRP4):
    −SC(S)NZc13
    (式中、Zc13は、(i)互いに独立に、アルキル基、アリール基又は4−ピリジル基であるか、又は、(ii)互いに結合して式中のN原子とともに複素環を形成する基である。)
    式(CRP5):
    −SC(S)OZc14
    (式中、Zc14はアルキル基又はアリール基である。)
  11. 前記式中、Afは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位を90モル%超含む、請求項10記載のフルオロポリマー。
  12. 下記式:
    Bf−CRP
    (式中、Bfは、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位のみからなるフルオロポリマーセグメントである。CRPは、前記と同じ。)で表されることを特徴とする請求項10記載のフルオロポリマー。
  13. 数平均分子量が3000以上である請求項10〜12のいずれかに記載のフルオロポリマー。
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