JP2021102730A - 活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、硬化物、積層体及び成型物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、硬化物、積層体及び成型物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐薬品性と耐擦傷性に優れ、高い伸度を維持するとともに、耐摩耗性にも優れる硬化物を与える活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を提供する。【解決手段】脂環族ジオール(a1)、環状構造を有するジイソシアネート(a2)及び水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(a3)を反応成分として含むポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、アルキレンオキシド変性(メタ)アクリレート(B)並びに、有機官能基を微粒子表面に有する金属酸化物微粒子(C)を含み、(A)成分の重量平均分子量が1500〜4000である活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、硬化物、積層体、成型物に関する。
紫外線や電子線等で硬化させる活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物は、耐擦傷性や耐薬品性を付与することから、様々な電化製品・生活用品等の物品に広く使用されている。その中で、携帯電話やスマートフォンの端末、パソコンの筐体、自動車内外装部品等では加飾技術が施されており、上記の性能に加えて、意匠性(デザイン性)も求められる。
加飾の方法としては、金型内に加飾フィルムを挿入し、溶融した樹脂を射出して一体化させてプラスチック成型物の表面を加飾するインモールド加飾工法;射出成型と同時にプラスチック成型物の表面を加飾するインモールド同時加飾成型工法;プラスチック、金属もしくはガラス等の成型品に加飾フィルムを貼り合わせ、又は加飾フィルムに積層した絵柄やハードコート層を転写させる真空圧着工法等がある。加飾の対象物や形状適応性が広がっていることから、加飾に使用されるハードコート剤組成物は、加飾フィルムには複雑な形状や深い絞り加工(深絞り)に追従することができるような高い伸度、具体的には、100%以上に加飾フィルムを延伸してもクラック等が生じないような性能も求められている。
これらの性能を両立させる技術としては、例えば、ウレタンアクリレートと(メタ)アクリレートと酸化物微粒子とを含有したハードコート剤層を有する加飾用ハードコートフィルムが公知である(特許文献1)が、硬化した際に、ハードコート剤層の架橋密度が高まるため、全体が硬くなりすぎて、高い伸度が出ず、また耐薬品性にも劣るものであった。
特開2011−194756号公報
本発明の課題は、耐薬品性と耐擦傷性に優れ、高い伸度を維持するとともに、耐摩耗性にも優れる硬化物を与える活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、環状構造を有するポリウレタン(メタ)アクリレートと、分子中にアルキレンオキシド構造を有する(メタ)アクリレートと、有機官能基を微粒子表面に有する金属酸化物微粒子とを組み合わせた活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、硬化物、積層体及び成型物に関する。
1.脂環族ジオール(a1)、環状構造を有するジイソシアネート(a2)及び水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(a3)を反応成分として含むポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、
アルキレンオキシド変性(メタ)アクリレート(B)並びに、
有機官能基を微粒子表面に有する金属酸化物微粒子(C)を含み、
(A)成分の重量平均分子量が1500〜4000である活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
2.(a1)成分が、トリシクロデカンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる1種以上である、前項1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
3.(a2)成分が、ノルボルネンメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及びm−キシリレンジイソシアネートの水素化物からなる群より選ばれる1種以上である、前項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
4.(B)成分が、エチレンオキシド変性(メタ)アクリレートである、前項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
5.(C)成分における金属酸化物微粒子が、シリカ及び/又はアルミナである前項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
6.(C)成分が、メタクリロイル基、ウレタン基及びオルガノシロキサン基からなる群より選ばれる1種の有機官能基を有する、前項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
7.(A)成分の含有量が、固形分重量で(A)成分及び(B)成分の合計100重量部中70〜95重量部である前項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
8.(C)成分の含有量が、固形分重量で(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、5〜20重量部である前項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
9.前項1〜8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の硬化物。
10.前項9に記載の硬化物の層を有する積層体。
11.前項9に記載の硬化物で表面が被覆された成型物。
本発明に係る活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物は、硬化物が優れた耐薬品性を有しながら、耐擦傷性にも優れる。また、当該コーティング剤組成物は、硬化物が高い伸度も維持するため、加工や成型しやすい特徴を有する。
以下、本発明について詳しく説明する。なお、特段の記載がない限り、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を“コーティング剤組成物”、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の硬化物を“硬化物”と表記する。
本発明のコーティング剤組成物は、特定のポリウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、(A)成分という。)、アルキレンオキシド変性(メタ)アクリレート(B)(以下、(B)成分という。)及び有機官能基を微粒子表面に有する金属酸化物微粒子(C)(以下、(C)成分という。)を含む。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートであることを意味する(以下同様)。
(A)成分は、脂環族ジオール(a1)(以下、(a1)成分という。)、環状構造を有するジイソシアネート(a2)(以下、(a2)成分という。)及び水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(a3)(以下、(a3)成分という。)を反応成分として含むポリウレタン(メタ)アクリレートである。(A)成分は、環状構造を有するため、硬化物が優れた耐薬品性を示し、高い伸度も維持する。
(a1)成分としては、脂環構造を有するジオールであれば、特に限定されず、例えば、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロオクタンジオール、1,5−シクロオクタンジオール等の単環式ジオール;5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール、ノルボルナン−2,3−ジメタノール、ノルボルナン−2,5−ジメタノール等の二環式ジオール;1,3−アダマンタンジオール、1,4−アダマンタンジオール、2,4−アダマンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール等の三環式ジオール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、硬化物が優れた耐薬品性を示す点から、トリシクロデカンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、トリシクロデカンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。
また、(A)成分の反応成分として、更に(a1)成分以外のポリオールを含んでも良い。そのようなポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。またこれらの含有量としては、(a1)成分を含むポリオール成分100重量部中で10重量部以下が好ましい。
(a2)成分としては、環状構造を有するジイソシアネートであれば、特に限定されず、例えば、トルエンジイソシアネート(トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−トルエンジイソシアネート又はこれらの混合物)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンメタンジイソシアネート及びこれらの水素化物、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。なお、これらのヌレート体、アダクト体、ビウレット体を用いても、二量体、三量体を用いても良い。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、硬化物が優れた耐薬品性を示す点から、ノルボルネンメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及びm−キシリレンジイソシアネートの水素化物からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
(a2)成分の使用量としては、(a1)成分1モルに対して、1.4〜2.5モルが好ましい。当該範囲とすることで、生成物のプレポリマーの鎖長が比較的短くなるため、(a3)成分を組み込むことにより、(A)成分が立体的に嵩高い構造となり、硬化物が優れた耐薬品性を示し、また、高い伸度も維持しやすくなる。同様の点から、前記使用量は1.6〜2モルがより好ましい。
(a3)成分は、(a1)成分及び(a2)成分の反応物であるウレタンプレポリマーの末端に組み込まれる成分であり、硬化物の優れた耐薬品性に寄与するものである。(a3)成分としては、特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有脂肪族モノ(メタ)アクリレート;1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有脂環族モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、硬化物の優れた耐薬品性及び高い伸度を両立する点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
(a3)成分の使用量としては、特に限定されないが、硬化物が優れた耐薬品性を示して、高い伸度も維持する点から、(a2)成分1モルに対して、1〜1.1モルが好ましく、1〜1.02モルがより好ましい。
(A)成分の製造方法としては、特に限定されず、例えば、(a1)成分と(a2)成分とを反応させてウレタンプレポリマー(以下、(A’)成分)を製造し、次いで(A’)成分と(a3)成分を反応させることが挙げられる。反応条件としては、特に限定されず、通常は温度が70〜85℃程度、時間が1〜5時間程度である。
なお、(A)成分の製造においては、有機溶媒を使用することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン等が挙げられる。また、有機溶媒の使用量としては、反応濃度で40〜80重量%程度にすることが好ましい。
得られた(A)成分の重量平均分子量は、1500〜4000である。重量平均分子量が1500未満であると、(A)成分の鎖長が短いため、硬化物が弱く引っ張っても切れやすい程度の伸度となる。また、重量平均分子量が4000を超えると、(A)成分の鎖長が長くなる一方、硬化した際に硬化物の架橋密度が低くなり過ぎることで、(a1)成分由来の脂環構造が自由に回転や運動しやすくなるため、硬化物の耐薬品性が劣りやすくなる。また、同様の理由から、重量平均分子量は、1600〜3500が好ましい。なお、ここでの「重量平均分子量」は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)法(ポリスチレン換算)による測定値を指す。
(B)成分は、アルキレンオキシド変性(メタ)アクリレートである。一般的に(A)成分へ(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを配合すると、硬化物が硬くなるため、(A)成分のみの硬化物に比べて、伸ばした際に早い段階でクラックが入りやすく(伸度が低下しやすく)なる。しかしながら、(B)成分を配合すると、硬化物の表面が硬くなりながらも柔軟性が付与されるため、(A)成分のみの硬化物に比べて低下するものの、高い伸度を維持する効果を奏し、さらに優れた耐擦傷性も示す。
(B)成分としては、例えば、アルキレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ポリグリセリン(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトール(メタ)テトラアクリレートからなる群より選ばれる2種以上の混合物のアルキレンオキシド変性物、アルキレンオキシド変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(ここで、“ポリ”とはジ体、トリ体、テトラ体、ペンタ体、ヘキサ体のいずれかを意味するが、これらの2種以上の混合物であるものを意味しても良い。)、アルキレンオキシド変性2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、メチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。また、(B)成分の市販品としては、例えば、『NKエステルATM−4E』、『NKエステルA−DPH−12E』(新中村化学工業(株)製)、『MIRAMER M3150』、『MIRAMER M3190』(MIWON社製)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。中でも、硬化物が耐擦傷性に優れ、高い伸度を維持する点から、アルキレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキシド変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートが好ましく、また、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド変性(メタ)アクリレートが好ましい。
(A)成分及び(B)成分の含有量としては、特に限定されないが、硬化物が優れた耐擦傷性を示す点から、固形分重量(以下同様)で以下の範囲とすることが望ましい。なお、ここでの含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部中での値を指す。
・(A)成分:好ましくは70〜95重量部、より好ましくは80〜95重量部
・(B)成分:好ましくは5〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部
(C)成分は、有機官能基を微粒子表面に有する金属酸化物微粒子であり、硬化物の耐摩耗性に寄与する成分である。ここで、「有機官能基」とは、少なくとも炭素原子を有する基であり、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、ウレタン基、オルガノシロキサン基等が挙げられる。また、「有機官能基を微粒子表面に有する金属酸化物微粒子」とは、金属酸化物微粒子が各種の有機化合物で処理されたものであり、前記微粒子の表面に、有機官能基が修飾されたものを意味する。中でも、硬化物の優れた耐摩耗性の点から、(C)成分としては、メタクリロイル基、ウレタン基及びオルガノシロキサン基からなる群より選ばれる1種の有機官能基を有するものが好ましい。
(C)成分における金属酸化物微粒子としては、特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、(C)成分は、アルミニウム、リン、フッ素等でドープされたものを使用しても良い。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも硬化物が優れた伸度と耐摩耗性を示す点から、シリカ、アルミナが好ましい。
前記有機化合物としては、特に限定されず、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;無水メタクリル酸、無水アクリル酸、無水クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸の酸無水物;オルガノポリシロキサン、スチレン、ポリウレタン、アクリルウレタン等が挙げられる。なお、表面処理剤としてのオルガノポリシロキサンの具体例は、国際公開WO2014/112464号、国際公開WO2017/170385等に挙げられている。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
(C)成分は、各種公知の製造方法で得られ、例えば、金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させ、前記の表面処理剤を所定量加えた後、水を加えて、必要に応じて加水分解用触媒として酸又はアルカリを加えて加水分解すること等が挙げられる。
有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル等が挙げられる。
また、(C)成分において、有機官能基としてウレタン基を導入する場合、例えば、加熱下で、金属酸化物微粒子を先にイソシアネートと反応させた後に、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートと反応させる方法で製造しても良い。この場合、反応温度としては、通常0〜150℃程度(好ましくは20〜100℃程度)であり、反応時間としては、5分〜24時間程度(好ましくは3〜10時間程度)である。
イソシアネートとしては、例えば、前述の(a2)成分で例示したものに加えて、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
また、水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート等の水酸基含有脂肪族モノ(メタ)アクリレート;;1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有脂環族(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。また、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートには、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが含まれても良く、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートには、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが含まれても良い。
なお、(C)成分の市販品としては、例えば、『NANOBYK−3603』、『NANOBYK−3610』、『NANOBYK−3650』、『NANOBYK−3652』(ビックケミー・ジャパン(株)製)、『ALMIBK30WT%−H06』、『SIRMIBK15ET%−H24』、『SIRMIBK15ET%−H83』(CIKナノテック(株)製)等が挙げられる。
(C)成分の平均一次粒子径としては、特に限定されないが、硬化物の透明性を確保する点から、10〜50nm程度が好ましく、10〜30nm程度がより好ましい。なお、平均一次粒子径の測定方法としては、特に限定されず、例えば、光散乱法等が挙げられる。
(C)成分の含有量としては、特に限定されないが、硬化物の透明性を確保して、優れた耐摩耗性を示す点から、固形分重量で(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、5〜40重量部が好ましく、5〜20重量部がより好ましい。
本発明のコーティング剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含むものであるが、前記構成を満たす限り、更に(B)成分以外の(メタ)アクリレート(D)(以下、(D)成分という。)、有機溶媒が含まれても良い。
(D)成分としては、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等のアルキルモノ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート等のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキルシクロアルキルモノ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。また、(D)成分の含有量としては、(A)成分及び(B)成分100重量部に対して、5重量部以下が好ましい。
有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサ等の芳香族炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル;メタノール、エタノール、n−プロパノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等のモノアルコール等が挙げられる。また、有機溶媒の含有量としては、有機溶媒を含むコーティング剤組成物の全成分に対して、60〜80重量%が好ましい。
本発明のコーティング剤組成物は、光重合開始剤を更に含む。なお、光重合開始剤は、コーティング剤組成物の調製の際に配合しても、基材へ塗工する直前に配合しても良い。
光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物等の光重合開始剤、アミンやキノン等の光増感剤等が挙げられ、より具体的には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。また光重合開始剤の含有量としては、(A)成分及び(B)成分100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましい。
本発明のコーティング剤組成物は、更に、表面調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、無機フィラー、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、消泡剤、湿潤剤、防錆剤、レベリング剤等の添加剤を含んでも良い。
本発明のコーティング剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分、光重合開始剤、必要に応じて、(D)成分、有機溶媒、並びに前記添加剤を混合することによって得られる。混合手段及び混合順序は特に限定されない。
本発明の硬化物は、前記コーティング剤組成物を硬化させてなるものである。
本発明の硬化物は特に限定されず、例えば、本発明のコーティング剤組成物を基材へ塗工し、活性エネルギー線を照射することにより得られる。
基材としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PETフィルム)、シクロオレフィンポリマー(COPフィルム)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルクリレート、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ノルボルネン樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等のプラスチックフィルム;金属、木材、紙、ガラス、スレート等が挙げられる。なお、基材は軽剥離のもの、重剥離のものも使用でき、また未処理のもの、プラズマ処理されたものを使用できる。
また、前記基材には、硬化物の層と剥離しやすくするために、剥離処理をしても良い。剥離処理は、剥離しやすい場合には特段必要ないが、より剥離しやすくするために、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、尿素樹脂、ポリオレフィン樹脂、パラフィン樹脂を離型層として積層することができる。これらの樹脂フィルムは、単独でも2種以上を組み合わせても良い。
塗工方法としては、特に限定されず、例えば、アプリケーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、コンマコーター、リップコーター、グラビア印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の塗工量も特に限定されず、通常は、硬化後の膜厚が1〜10μm程度となるように塗工する。
活性エネルギー線としては、特に限定されず、例えば、紫外線、赤外線、可視光線等の光線、電子線、X線、α線、β線、γ線、中性子線等が挙げられる。本発明においては、光線が好ましく、紫外線がより好ましい。
紫外線の光源としては、特に限定されず、例えば、キセノンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、無電極ランプ、LEDランプ等が挙げられる。また、紫外線の照射強度も特に限定されず、通常、100〜1000mJ/cm程度である。また、紫外線を照射した後は、完全に硬化させる目的に、必要に応じて加熱させても良い。
本発明の積層体は、前記硬化物の層を有するものである。使用する基材や硬化方法等は前述と同様である。
本発明の成型物は、前記硬化物が表面被覆してなるものであって、インモールド同時加飾法、真空加圧法等の工法を用いることによって、成型物の表面に硬化物を被覆することができる。これらの工法において、硬化物を基材毎で成型物の表面に貼り付けるラミネート法と、プラスチックフィルム上に積層した硬化物や、その他の柄インキ層や機能層のみを成型物の表面に転写する転写法がある。
ラミネート法では、加飾フィルムの構成として、一般に、本発明の硬化物の層、アンカー層、柄インキ層、易接着層、基材フィルム、機能層、接着層の順、又は、本発明の硬化物の層、易接着層、基材フィルム、易接着層、柄インキ層、機能層、接着層の順等の層構成があり、成型物の表面にこの接着層を介して貼り合わせることができる。
上記転写法では、一般にプラスチックフィルムの上に、必要に応じて、剥離層を積層し、その上に、本発明の硬化物の層、アンカー層、柄インキ層、機能層、接着層の順で積層されたもの(転写層)であり、成型物の表面に接着層を介して貼り付けられた後、プラスチックフィルム、または、剥離層と硬化物の層との層間を剥離させて、成型物の表面に転写層のみを積層することができる。
以下に実施例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれらの各例に限定されるものではない。なお、各例中、部及び%は特記しない限り全て重量基準である。
<重量平均分子量>
ゲルパーメーションクロマトグラフィー法(GPC法)により、以下の条件でポリウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量を測定した。
・分子量測定機(製品名:『HLC−8220』、東ソー(株)製)
・カラム(製品名:『TSKgel superHZ2000』、『TSKgel superHZM−M』、東ソー(株)製)
・展開溶剤:テトラヒドロフラン
・流速:0.35mL/min、
・試料濃度:0.5g/L、
・標準物質:ポリスチレン(標準ポリスチレンキット、PStQuickA、B、C、東ソー(株)製)
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却機を取り付けた三つ口フラスコに、トリシクロデカンジメタノール(以下、“TCD”という)16.7部、水添キシレンジイソシアネート(H−XDI)33.1部、酢酸ブチル30.0部、オクチル酸スズ0.01部を仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が9.0%となった時点で2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)20.2部、オクチル酸スズ0.02部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.07部を加え、残存イソシアネート基が0.1%以下になるまで反応を行い、固形分濃度70%のポリウレタン(メタ)アクリレート(A−1)を得た。
製造例2〜7、比較製造例1〜5
表1に示す組成で、製造例1と同様の方法にて合成し、ポリウレタン(メタ)アクリレート(A−2)〜(A−7)、(E−1)〜(E−5)をそれぞれ得た。
<試験フィルムの作製>
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:『コスモシャインA4100』、東洋紡(株)製)の表面に、製造例1のポリウレタン(メタ)アクリレート(A−1)をバーコーターで硬化物の層の厚さが5μmとなるように塗工し、温度150℃で40秒乾燥させた。その後、120Wの高圧水銀灯(1灯)を用いて、積算光量300mJ/cmになるよう紫外線を照射して試験フィルムを作製した。製造例2〜7、比較製造例1〜5のポリウレタン(メタ)アクリレートについても同様に行った。
<耐薬品性>
試験フィルムを6cm×6cmに切り出した。日焼け止めクリーム(商品名:『Neutrogena』、helioplex社製)を半径3cmの円になるように塗り広げた後、80℃の乾燥機で4時間放置させた。室温まで冷却して、洗剤と水で日焼け止めクリームを洗い流した。水分を拭き取って、試験フィルムの表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。表1に結果を示す(以下同様)。
(評価基準)
◎:表面に全く筋も白化も見られない
○:表面の一部に若干筋が見られる
△:表面の一部分が白化している
×:表面の大部分が白化している
<伸度>
試験フィルムを幅1cm、長さ10cmに切り出した試験片を準備した。試験片を引張試験機(装置名:『RTM−500』、オリエンテック(株)製)にチャック間距離50mmでセットし、温度150℃で1分放置した後、引張速度20mm/分で試験片を引っ張った。硬化物の層にクラックが入ったときの試験片の長さを読み取り、50mmを100%として、伸び率を求めた。伸び率が150%以上のものを良好とした。
Figure 2021102730
表1の略号は、以下の化合物を表す。
<ジオール>
・TCD:トリシクロデカンジメタノール
・1,1−CHDM:1,1−シクロヘキサンジメタノール
・1,4−CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
・PD−9:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(商品名:『キョーワジオールPD−9』、KHネオケム(株)製)
<ジイソシアネート>
・H−XDI:m−キシリレンジイソシアネートの水素化物
・XDI:m−キシリレンジイソシアネート
・NBDI:ノルボルネンメタンジイソシアネート
・HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
<水酸基含有(メタ)アクリレート>
・HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
・CHDMMA:1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(商品名:『CHDMMA』、三菱ケミカル(株)製)
(ウレタン基を有するシリカ(C−3)の製造)
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン80.6部及びジブチル錫ジラウレート1.8部の溶液に、イソホロンジイソシアネート210.2部を撹拌しながら、50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌した。この溶液に、『NKエステルA−TMM−3LM−N』(ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレート=60/40(重量比率)の混合物、新中村化学工業(株)製)707.5部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌することでシラン系中間体を得た。
次いで、上記シラン系中間体8.6部、メチルエチルケトンシリカゾル(商品名:『MEK−ST』、シリカ濃度:30%、日産化学工業(株)製)89.9部(固形分:27.0部)、イオン交換水0.1部の混合液を60℃で4時間撹拌した後、オルトギ酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間撹拌して分散液を得た。この分散液を、限外濾過でメチルイソブチルケトンに溶解した後、濃縮することにより、平均一次粒子径10nmのウレタン基を有するシリカのメチルイソブチルケトン分散液(C−3)を得た。
実施例1
製造例1で得た(A−1)成分45.8部、エチレンオキシド15モル変性トリメチロールプロパンアクリレート3.5部(商品名:『Miramer M3150』、MIWON社製)、オルガノシロキサン基を有するアルミナ(商品名:『NANOBYK−3610』、平均一次粒子径:20nm、ビックケミー・ジャパン(株)製)11.5部、ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(光安定剤、商品名:『FA−711MM』、日立化成(株)製)0.3部、シリコン系表面調整剤(商品名:『BYK−378』、ビックケミー・ジャパン(株)製)0.2部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤、商品名:『OMNIRAD 184』、IGM Resins B.V.社製)1.7部、及びメチルエチルケトン(以下、MEK)37.0部を配合し、溶解するまで撹拌して活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を調製した。
実施例2〜14、比較例1〜9
表2に示す組成で、実施例1と同様の方法にて行い、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物をそれぞれ得た。
(積層体の調製)
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:『コスモシャインA4100』、東洋紡(株)製)の表面に、実施例1の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物をバーコーターで硬化物の層の厚さが5μmとなるように塗工し、温度150℃で40秒乾燥させた。その後、120Wの高圧水銀灯(1灯)を用いて、積算光量300mJ/cmになるよう紫外線を照射して積層体を作製した。実施例2〜14、比較例1〜9の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物についても同様に行った。
<耐薬品性>
各積層体を用いて、前述と同様の方法で耐薬品性を評価した。表2に結果を示す(以下同様)。
<伸度>
各積層体を用いて、前述と同様の方法で、伸度を測定した。
<耐擦傷性>
スチールウール(#0000、10mm×10mm)を底に貼り付けた100gの重りで、各積層体の硬化膜の表面を10往復擦った。目視にて傷の本数を確認し、以下のように評価した。
○:傷が0本
△:傷が1本以上5本未満
×:傷が5本以上
<耐摩耗性>
予め積層体を直径11.5cmの円形に切り出した。ASTM−D−1044に従い、テーバー摩耗試験機(テスター産業(株)製)を用いて、摩耗輪CS−10F、荷重500g、回転速度60rpmで各積層体中の硬化物層側を500回ずつ摩耗させた。基材が露出する直前の摩耗回数を測定値とした。測定値が高いほど、耐摩耗性に優れることを意味する。
Figure 2021102730
表2の記号又は略号は、以下の化合物を示す。
<多官能(メタ)アクリレート>
・B−1:エチレンオキシド15モル変性トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名:『Miramer M3150』、MIWON社製)
・B−2:エチレンオキシド12モル変性ジペンタエリスリトールポリアクリレート(商品名:『NKエステルA−DPH−12E』、新中村化学工業(株)製)
・PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(商品名:『ビスコート#300』、大阪有機化学工業(株)製)
<金属酸化物微粒子>
・C−1:オルガノシロキサン基を有するアルミナ(商品名:『NANOBYK−3610』、ビックケミー・ジャパン(株)製、平均一次粒子径:20nm)
・C−2:メタクリロイル基を有するアルミナ(商品名:『ALMIBK30WT%−H06』、CIKナノテック(株)製、平均一次粒子径:15nm)
・C−3:ウレタン基を有するシリカ(段落[0073]参照)(平均一次粒子径:10nm)
・F−1:メチルエチルケトン分散系シリカゾル(商品名:『MEK−ST』、日産化学工業(株)製、平均一次粒子径:10〜15nm)
<その他>
・FA−711MM:ペンタメチルピペリジルメタクリレート(光安定剤、日立化成(株)製)
・Omni184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤、商品名:『OMNIRAD 184』、IGM Resins B.V.社製)
・BYK−378:シリコン系表面調整剤、ビックケミー・ジャパン(株)製

Claims (11)

  1. 脂環族ジオール(a1)、環状構造を有するジイソシアネート(a2)及び水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(a3)を反応成分として含むポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、
    アルキレンオキシド変性(メタ)アクリレート(B)並びに、
    有機官能基を微粒子表面に有する金属酸化物微粒子(C)を含み、
    (A)成分の重量平均分子量が1500〜4000である活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  2. (a1)成分が、トリシクロデカンジメタノール、1,1−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  3. (a2)成分が、ノルボルネンメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及びm−キシリレンジイソシアネートの水素化物からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  4. (B)成分が、エチレンオキシド変性(メタ)アクリレートである、請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  5. (C)成分における金属酸化物微粒子が、シリカ及び/又はアルミナである請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  6. (C)成分が、メタクリロイル基、ウレタン基及びオルガノシロキサン基からなる群より選ばれる1種の有機官能基を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  7. (A)成分の含有量が、固形分重量で(A)成分及び(B)成分の合計100重量部中70〜95重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  8. (C)成分の含有量が、固形分重量で(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、5〜20重量部である請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の硬化物。
  10. 請求項9に記載の硬化物の層を有する積層体。
  11. 請求項9に記載の硬化物で表面が被覆された成型物。
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