JP2021102709A - 非水系二次電池用重合体組成物、非水系二次電池及び非水系二次電池用重合体組成物の製造方法 - Google Patents

非水系二次電池用重合体組成物、非水系二次電池及び非水系二次電池用重合体組成物の製造方法 Download PDF

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匡志 岩本
直美 古谷
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直美 古谷
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Abstract

【課題】取り扱い性に優れると共に良好な電池特性を発現できる非水系二次電池用重合体組成物、非水系二次電池及び非水系二次電池用重合体組成物の製造方法を提供する。【解決手段】重合体粒子を含む非水系二次電池用重合体組成物であって、前記重合体粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径DAと、前記重合体粒子のTEM観察により測定された平均粒子径DBとの比が、DA/DBとして、中和度40モル%において、10以上50以下である、非水系二次電池用重合体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、非水系二次電池用重合体組成物、非水系二次電池及び非水系二次電池用重合体組成物の製造方法に関する。
従来、リチウムイオン二次電池などの電気化学的デバイスに用いられる電極を製造する方法としては、電極活物質にバインダーや増粘剤等を添加した液状の組成物を、集電体表面に塗布して乾燥することによって、当該集電体の上に電極層を形成させる方法が挙げられる。ここで、集電体を構成する金属との接着力が高く、しかも、柔軟性が高い電極層を形成することができるバインダーとして、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスが知られている。なお、バインダーは、活物質を含む電極層と、集電体又はセパレータとの密着性を向上させるために機能するものであるが、上記の共重合体ラテックスは、集電体との密着性が不十分となる場合がある。電極層と集電体又はセパレータとの密着性が十分でない場合、二次電池の充放電サイクル特性を損ねる傾向にある。
上記に鑑み、特許文献1では、特定のポリマーに対して、その曇点が所定の数値範囲内にある化合物を特定の割合で添加・混合した二次電池電極用バインダー組成物が提案されている。
特許第6151477号公報
特許文献1に記載の二次電池電極用バインダー組成物によれば、集電体との密着性に優れ、降温及び昇温の温度変化を繰り返す条件下で充放電を行う場合にあっても、充放電サイクル特性に優れるとされている。一方、本発明者らが検討したところ、組成物としての取り扱い性や当該組成物を適用して得られる二次電池の電池特性において、未だ改善の余地があることが判明している。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、取り扱い性に優れると共に良好な電池特性を発現できる非水系二次電池用重合体組成物、非水系二次電池及び非水系二次電池用重合体組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、動的光散乱法により測定された重合体粒子の平均粒子径と、TEM観察により測定された当該重合体粒子の平均粒子径DBとの比が特定の範囲にある非水系二次電池用重合体組成物により、上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1]
重合体粒子を含む非水系二次電池用重合体組成物であって、
前記重合体粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径DAと、前記重合体粒子のTEM観察により測定された平均粒子径DBとの比が、DA/DBとして、中和度40モル%において、10以上50以下である、非水系二次電池用重合体組成物。
[2]
前記DA/DBが、未中和において、2以上10以下である、[1]に記載の非水系二次電池用重合体組成物。
[3]
前記DAが、中和度40モル%において、2.5μm以上である、[1]又は[2]に記載の非水系二次電池用重合体組成物。
[4]
前記DAが、未中和において、1μm以上2μm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の非水系二次電池用重合体組成物。
[5]
エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩に由来する単位U1と、
前記U1と共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルに由来する単位U2と、
N原子含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位U3と、
を分子中に有する重合体粒子を含む、非水系二次電池用重合体組成物であって、
前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、前記U1の含有量が25質量%以上50質量%以下であり、かつ、前記U2の含有量が30質量%以上60質量%以下であり、かつ、前記U3の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、
前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量部としたとき、アルキレンオキサイド構造の含有量が0.1質量部以下であり、かつ、スルホン酸又はその塩の含有量が0.3質量部以下である、非水系二次電池用重合体組成物。
[6]
前記重合体粒子100質量部に対して0.0001質量部以上1.0質量部以下のイソチアゾリン系化合物を更に含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の非水系二次電池用重合体組成物。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の非水系二次電池用重合体組成物を含む、非水系二次電池。
[8]
[1]〜[6]のいずれかに記載の非水系二次電池用重合体組成物を製造するための方法であって、
N原子含有エチレン性不飽和単量体と重合開始剤とが溶解した溶液を調製する工程と、
前記溶液に対して、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩と、これらと共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルとを添加して重合し、前記重合体粒子を得る工程と、
を有する、非水系二次電池用重合体組成物の製造方法。
本発明によれば、取り扱い性に優れると共に良好な電池特性を発現できる非水系二次電池用重合体組成物、非水系二次電池及び非水系二次電池用重合体組成物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[非水系二次電池用重合体組成物]
本実施形態の一態様に係る非水系二次電池用重合体組成物(以下、「第1の組成物」ともいう。)は、重合体粒子を含む非水系二次電池用重合体組成物であって、前記重合体粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径DAと、前記重合体粒子のTEM観察により測定された平均粒子径DBとの比が、DA/DBとして、中和度40モル%において、10以上50以下である。このように構成されているため、第1の組成物は、取り扱い性に優れると共に良好な電池特性を発現できる。
また、本実施形態の他の態様に係る非水系二次電池用重合体組成物(以下、「第2の組成物」ともいう。)は、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩に由来する単位U1と、前記U1と共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルに由来する単位U2と、N原子含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位U3と、を分子中に有する重合体粒子を含む、非水系二次電池用重合体組成物であって、前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、前記U1の含有量が25質量%以上50質量%以下であり、かつ、前記U2の含有量が30質量%以上60質量%以下であり、かつ、前記U3の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量部としたとき、アルキレンオキサイド構造の含有量が0.1質量部以下であり、かつ、スルホン酸又はその塩の含有量が0.3質量部以下である。このように構成されているため、第2の組成物も、取り扱い性に優れると共に良好な電池特性を発現できる。
上記のとおり、第1の組成物及び第2の組成物の双方が取り扱い性に優れると共に良好な電池特性を発現できる。以下、「本実施形態の組成物」と称するときは、「第1の組成物」と「第2の組成物」を包含するものとして本実施形態を説明する。同様に、「本実施形態における重合体粒子」と称するときは、「第1の組成物における重合体粒子」と「第2の組成物における重合体粒子」を包含するものとして本実施形態を説明する。
(重合体粒子)
第1の組成物における重合体粒子は、動的光散乱法により測定された平均粒子径DAと、前記重合体粒子のTEM観察により測定された平均粒子径DBとの比が、DA/DBとして、中和度40モル%において、10以上50以下であるものとして特定される。ここで、DAは湿潤状態にて、DBは乾燥状態にて、それぞれ重合体粒子の平均粒子径を評価しているが、DA/DBが大きいほど湿潤状態での膨潤が顕著となる。すなわち、DA/DBが10以上であることにより、組成物としての粘度が高くなり、結果として塗工性に優れるものとなる。また、DA/DBが50以下であることにより、ダイラタント流体のようなせん断力の増加に対する異常な粘度挙動を抑制することができ、取扱い性に優れる。かかる観点から、DA/DBは11以上20以下であることが好ましく、より好ましくは12以上18以下である。
中和度40モル%におけるDA/DBは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、後述する本実施形態の組成物の好ましい製造方法を採用すること等により、中和度40モル%におけるDA/DBを上記範囲に調整できる。
なお、後述する第2の組成物における重合体粒子についても、その組成ゆえ、中和度40モル%におけるDA/DBが上記範囲を満たす傾向にある。すなわち、第2の組成物における重合体粒子に関しても、上述した観点より、中和度40モル%におけるDA/DBが10以上50以下であることが好ましく、より好ましくは11以上20以下であり、さらに好ましくは12以上18以下である。
第1の組成物において、DA/DBが、未中和において、2以上10以下であることが好ましく、より好ましくは4以上10以下であり、さらに好ましくは5以上10以下である。上記範囲を満たす場合、ヒステリシスな粘度挙動を抑制でき、取扱い性により優れる傾向にある。
未中和におけるDA/DBは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、後述する本実施形態の組成物の好ましい製造方法を採用すること等により、未中和におけるDA/DBを上記範囲に調整できる。
なお、後述する第2の組成物における重合体粒子についても、その組成ゆえ、未中和におけるDA/DBが上記範囲を満たす傾向にある。すなわち、第2の組成物における重合体粒子に関しても、上述した観点より、未中和におけるDA/DBが2以上10以下であることが好ましく、より好ましくは4以上10以下であり、さらに好ましくは5以上10以下である。
第1の組成物において、DAが、中和度40モル%において、2.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは2.7μm以上5.0μm以下であり、さらに好ましくは2.9μm以上4.0μm以下である。上記範囲を満たす場合、組成物としての粘度が高くなり、塗工性により優れる傾向にある。
中和度40モル%におけるDAは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、後述する本実施形態の組成物の好ましい製造方法を採用すること等により、中和度40モル%におけるDAを上記範囲に調整できる。
なお、後述する第2の組成物における重合体粒子についても、その組成ゆえ、中和度40モル%におけるDAが上記範囲を満たす傾向にある。すなわち、第2の組成物における重合体粒子に関しても、上述した観点より、中和度40モル%におけるDA/DBが2.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは2.7μm以上5.0μm以下であり、さらに好ましくは2.9μm以上4.0μm以下である。
第1の組成物において、DAが、未中和において、1μm以上2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.1μm以上2μm以下であり、さらに好ましくは1.2μm以上2μm以下である。上記範囲を満たす場合、ヒステリシスな粘度挙動を抑制でき、取扱い性により優れる傾向にある。
未中和におけるDAは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、後述する本実施形態の組成物の好ましい製造方法を採用すること等により、未中和におけるDAを上記範囲に調整できる。
なお、後述する第2の組成物における重合体粒子についても、その組成ゆえ、未中和におけるDAが上記範囲を満たす傾向にある。すなわち、第2の組成物における重合体粒子に関しても、上述した観点より、未中和におけるDA/DBが1μm以上2μmであることが好ましく、より好ましくは1.1μm以上2μm以下であり、さらに好ましくは1.2μm以上2μm以下である。
第2の組成物における重合体粒子は、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩に由来する単位U1と、前記U1と共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルに由来する単位U2と、N原子含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位U3と、を分子中に有するものであって、前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、前記U1の含有量が25質量%以上50質量%以下であり、かつ、前記U2の含有量が30質量%以上60質量%以下であり、かつ、前記U3の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量部としたとき、アルキレンオキサイド構造の含有量が0.1質量部以下であり、かつ、スルホン酸又はその塩の含有量が0.3質量部以下であるものとして特定される。各単位の含有量については、重合体粒子を常法により分析して特定することもできるが、各単量体の仕込み比として特定することもできる。
なお、前述した観点より、第1の組成物における重合体粒子についても、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩に由来する単位U1と、前記U1と共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルに由来する単位U2と、N原子含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位U3と、を分子中に有するものであって、前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、前記U1の含有量が25質量%以上50質量%以下であり、かつ、前記U2の含有量が30質量%以上60質量%以下であり、かつ、前記U3の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量部としたとき、アルキレンオキサイド構造の含有量が0.1質量部以下であり、かつ、スルホン酸又はその塩の含有量が0.3質量部以下であることが好ましい。
本実施形態の組成物において、重合体粒子を構成しうるエチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩に由来する単位U1は、組成物の粘度、集電体への密着力及び電池特性の向上に寄与し、これらのバランスを確保する観点から、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、U1の含有量が25質量%以上48質量%以下であることが好ましく、より好ましくは25質量%以上45質量%以下である。
本実施形態の組成物において、重合体粒子を構成しうる共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルに由来する単位U2は、重合体粒子の安定性及び集電体への密着力の向上に寄与し、これらのバランスを確保する観点から、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、U2の含有量が30質量%以上58質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上55質量%以下である。
本実施形態の組成物において、重合体粒子を構成しうるN原子含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位U3は、取り扱い性の向上に寄与し、塗工性をより良好なものとする観点から、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、U3の含有量が12質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上30質量%以下である。
本実施形態の組成物において、重合体粒子に含まれうるアルキレンオキサイド構造は、重合体粒子の分散性に寄与するものであるが、一方で脱泡性を損ねる傾向にあり、十分な脱泡性を確保する観点から、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量部としたとき、アルキレンオキサイド構造の含有量が0.08質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以下である。アルキレンオキサイド構造の含有量としては、少ない方が好ましく、特に下限値は限定されないが、例えば、0.02質量部含んでいてもよく、0.01質量部含んでいてもよい。
本実施形態の組成物において、重合体粒子を構成しうるスルホン酸又はその塩は、重合体粒子の分散性に寄与するものであるが、一方で脱泡性を損ねる傾向にあり、十分な脱泡性を確保する観点から、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量部としたとき、スルホン酸又はその塩の含有量が0.2質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。スルホン酸又はその塩の含有量としては、少ない方が好ましく、特に下限値は限定されないが、例えば、0.05質量部含んでいてもよく、0.03質量部含んでいてもよい。
本実施形態の組成物において、重合体粒子の単量体(原料モノマー)として用いうるエチレン性不飽和カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記した中でも、重合体粒子の安定性の観点から、メタクリル酸が好ましい。
本実施形態の組成物において、原料モノマーとして用いうるU1と共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記した中でも、重合体粒子の安定性の観点から、エチルアクリレートが好ましい。
本実施形態の組成物において、原料モノマーとして用いうるN原子含有エチレン性不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記した中でも、重合体粒子の安定性の観点から、アクリルアミドが好ましい。
重合体粒子には、単位U1と共重合可能な単量体に由来する単位であって、単位U2に該当しない単位が含まれていてもよい。このような単位としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シアン化ビニル系化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等が挙げられ、これらの単量体を1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(用途)
本実施形態の組成物は、その用途に応じ、本実施形態における重合体粒子の他、種々公知の任意成分を含むことができる。本実施形態の組成物の用途としては、非水系二次電池の一材料として使用されるものであれば特に限定されず、負極用材料、正極用材料及びセパレータ用材料等として用いることができるが、負極用材料として用いることがとりわけ好ましい。
以下、本実施形態の組成物を、負極、正極又はセパレータの製造用に用いる場合は特に「電池材料製造用組成物」と称するものとする。ここで、電池材料製造用組成物により負極を製造する場合、電池材料製造用組成物は、本実施形態における重合体粒子と、負極活物質と、必要に応じて任意成分とを含むものとすることができる。また、電池材料製造用組成物により正極を製造する場合、電池材料製造用組成物は、本実施形態における重合体粒子と、正極活物質と、必要に応じて任意成分とを含むものとすることができる。さらに、電池材料製造用組成物によりセパレータを製造する場合、電池材料製造用組成物は、本実施形態における重合体粒子と、セパレータ原料と、必要に応じて任意成分とを含むものとすることができる。
一方、本実施形態の組成物が、負極活物質、正極活物質及びセパレータ原料のいずれも含まない場合、電池材料製造用の添加剤として適用することができる。すなわち、本実施形態の組成物をバインダー用途に用いる場合は「バインダー用組成物」と、増粘剤用途に用いる場合は「増粘剤用組成物」と、それぞれ称するものとする。
上記のとおり、「本実施形態の組成物」との用語は、「電池材料製造用組成物」、「バインダー用組成物」及び「増粘剤用組成物」を包含するものということができ、いずれの用途においても、本実施形態における重合体粒子が含まれているという点において共通する。また、いずれの用途においても、本実施形態の組成物が任意成分を含む場合、その種類や配合割合等は特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。
電池材料製造用組成物により負極を製造する場合、用いうる負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、炭素系活物質やシリコン系活物質が挙げられる。
炭素系活物質としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛、炭素繊維、コークス、ハードカーボン、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成体(PFA)、導電性高分子(ポリ−p−フェニレン等)等が挙げられる。
シリコン系活物質としては、特に限定されないが、例えば、ケイ素、SiO(0.01≦x<2)、ケイ素と遷移金属との合金等が挙げられる。
電池材料製造用組成物により正極を製造する場合、用いうる正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、リチウム含有複合酸化物や遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、遷移金属硫化物等が挙げられる。
リチウム含有複合酸化物としては、特に限定されないが、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiMn、LiXCoYSnZO、LiFePO、LiXCoYSnZO等が挙げられる。
遷移金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、MnO、MoO、V、V13、Fe、Fe等が挙げられる。
遷移金属フッ化物としては、特に限定されないが、例えば、CuF、NiF等が挙げられる。
遷移金属硫化物としては、特に限定されないが、例えば、TiS、TiS、MoS、FeS等が挙げられる。
本実施形態において、バインダー用組成物は、本実施形態における重合体粒子と、当該重合体粒子100質量部に対して0.0001質量部以上1.0質量部以下のイソチアゾリン系化合物とを含むことが好ましい。上記範囲を満たす場合、せん断力に対するヒステリシスな粘度挙動を抑制でき、より安定した塗工性を発現できる傾向にある。イソチアゾリン系化合物としては、特に限定されず、種々公知のものを採用でき、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−t−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−メチルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−エチルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−プロピルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−イソブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−ペンチルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−イソペンチルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−ヘキシルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−アリルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−(2−ブテニル)ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。これらの中でも、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましい。
その他、本実施形態のバインダー用組成物は、任意成分として消泡剤や乳化剤を含んでいてもよい。
消泡剤としては、ミネラルオイル系、シリコーン系、アクリル系、ポリエーテル系の各種消泡剤が挙げられる。消泡剤を含む場合、より脱泡性に優れる傾向にある。
また、乳化剤は、脱泡性への影響が顕在化しない範囲で使用することができ、乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、反応性界面活性剤などが単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。
アニオン界面活性剤としては例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼン
スルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸塩
エステルなどが挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としてはドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムが好ましい。
ノニオン性界面活性剤としてはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキ
ルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。
両性界面活性剤としてはラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラ
ウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシ
ンなどのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
反応性界面活性剤としては例えばポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエー
テル、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω
−ヒドロキシポリオキシエチレンなどが挙げられる。
本実施形態において、増粘剤用組成物は、脱泡性の観点から、本実施形態における重合体粒子と、防腐剤と消泡剤とを含むことが好ましい。前述したイソチアゾリン系化合物は防腐剤として機能し得るが、本実施形態の増粘剤用組成物は、当該イソチアゾリン系化合物以外の防腐剤として、例えば、フェノール類およびこれらのアルカリ金属塩類、塩化キノン類、ニトロ基含有化合物類、アミン類、アミド類、ヨウ素含有化合物、チアゾール類、チオシアネート類等を含んでいてもよい。
(非水系二次電池用重合体組成物の製造方法)
本実施形態の組成物を製造するための方法としては、特に限定されないが、次の製造方法(以下、「本実施形態の製法」ともいう。)にて好ましく製造することができる。すなわち、本実施形態の組成物の製造方法は、N原子含有エチレン性不飽和単量体と重合開始剤とが溶解した溶液を調製する工程(以下、「工程1」ともいう。)と、前記溶液に対して、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩と、これらと共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルとを添加して重合し、前記重合体粒子を得る工程(以下、「工程2」ともいう。)と、を有することが好ましい。
本実施形態の製法では、工程1により先にN原子含有エチレン性不飽和単量体を含有する溶液を調製し、次いで工程2によりエチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩と、これらと共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルとを添加して重合を実施する。そのため、N原子含有エチレン性不飽和単量体と、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩と、これらと共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルとを同時に添加して重合する場合に比べ、N原子含有エチレン性不飽和単量体が重合体粒子の外側に局在化される傾向にある。これにより、得られる組成物の粘度が高くなり、ヒステリシスが良好となりため、結果として取り扱い性が向上する。
本実施形態の製法における重合方法としては、乳化重合を採用することができる。重合時には適当なシード粒子を用いることができ、シード粒子も通常の乳化重合により得ることができる。また、乳化重合に際しては公知の方法を採用することができ、水性媒体中で重合開始剤、分子量調整剤、キレート化剤、pH調整剤、乳化剤等を適宜用いて製造することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、反応性界面活性剤などを単独で、あるいは2種以上を併用して使用できる。
アニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテルの硫酸塩エステルなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸タイプのものなどが用いられる。
反応性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレンなどが挙げられる。
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性重合開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウリルパーオキサイドなどの油溶性重合開始剤、還元剤との組み合わせによるレドックス系重合開始剤などを、単独であるいは組み合わせて使用できる。
本実施形態の製法において、攪拌速度、重合温度、反応(重合)時間等の条件は、本実施形態の組成物が得られる限り、特に限定されない。典型的には、攪拌速度は通常50rpm以上500rpm以下とすることができ、重合温度は通常50℃以上100℃以下とすることができ、反応時間は通常3時間以上72時間以下とすることができる。
本実施形態の製法においては、上記のようにして重合体粒子を得た後、必要に応じて、当該重合体粒子を分散媒に分散させ、任意成分を加えることにより、本実施形態の組成物を得ることができる。分散媒としては水を用いることができ、また、必要に応じて活物質に適した有機系溶媒を用いることもできる。
(非水系二次電池)
本実施形態の非水系二次電池は、本実施形態の組成物を用いて製造することができる。換言すると、本実施形態の非水系二次電池は、本実施形態の組成物を含むものである。
本実施形態の非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合、その典型的な構成部材としては、負極、負極集電体、正極、正極集電体、セパレータ及び電解液を挙げることができ、本実施形態の非水系二次電池は、その主要部材(負極、正極及びセパレータ)の少なくとも1つが本実施形態の組成物を用いて得られたもの、すなわち、その主要部材の少なくとも1つが、本実施形態の組成物を含むものであればよい。
各部材が本実施形態の組成物を含むことについては、本実施形態における重合体粒子が当該部材に含まれているか否かにより特定することができる。
本実施形態の非水系二次電池の製造方法としては、特に限定されないが、リチウムイオン二次電池を例にすると、本実施形態の組成物を、集電体に塗布し、加熱し、乾燥することによって対応する電極を形成し、セパレータを介して正極及び負極を対向させ、電解液を注入して密封すること等が挙げられる。負極集電体としては、特に限定されないが、例えば、銅箔が用いられ、正極集電体としては、特に限定されないが、例えば、アルミ箔が用いられる。電解液としては、特に限定されないが、例えば、LiClO、LiBF、LiPF等の電解質を有機溶媒に溶解したものを使用できる。有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、ニトリル類、アミン類、アミド類、カーボネート類、塩素化炭化水素類などが挙げられ、代表例としてはテトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブチロニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等を挙げることができ、1種類または2種類以上の混合物として使用される。
塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、リバースロールコーター、コンマバーコーター、グラビヤコーター、エア−ナイフコーターなど任意のコーターヘッドを用いることができる。乾燥方法としても、特に限定されず、例えば、放置乾燥、送風乾燥、温風乾燥、赤外線加熱機、遠赤外過熱機などが使用できる。乾燥温度は、特に限定されないが、例えば、60℃〜150℃で行うことができる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、説明の便宜上、以下の実施例では「組成物」や「塗工液」といった文言を使用するが、いずれも本実施形態の組成物に包含される概念である。
[実施例1]
反応器に、イオン交換水を加え、撹拌しながら65℃に昇温して保持した。ここへ、重合開始剤として過硫酸ナトリウム(以下、「NPS」ともいう。)を加えた後に、単量体(以下、「モノマー」ともいう。)成分として、アクリルアミド水溶液(イオン交換水及びアクリルアミド(以下、「AAm」ともいう。))、及び、p-スチレンスルホン酸ナトリウム(以下、「NaSS」ともいう。)を溶解させた。このようにして得られた溶液に対し、更なる単量体成分として、メタクリル酸(以下、「MAA」ともいう。)及びエチルアクリレート(以下、「EA」ともいう。)を同時に滴下し、温度を65℃に保ちながら3時間で滴下を終了した後、2.5時間重合を継続させた。このときの各成分の配合量としては、単量体成分の合計(全エチレン性不飽和単量体に由来する単位:MAA、EA、AAm)を100質量部としたとき、NPSは0.3質量部、MAAは30質量部、EAは55質量部、AAmは15質量部及びNaSSは0.3質量部となるように配合し、イオン交換水の配合量は899.7質量部であった。
その後、温度を65℃から80℃へ昇温し、1.5時間保持して重合を完結させた。
得られた組成物は、重合率が98%、pH5、固形分(重合体粒子)が9.8%であった。なお、重合率は、全仕込み成分量に対する残渣量の比率に固形分率を加えて算出した。
また、この組成物を固形分濃度が2質量%となるように水で希釈した。さらに、25質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を滴下することで、中和度40モル%(pH7)とした組成物を得た。中和度は、重合体粒子を重合する際の仕込み比より算出した。具体的には、重合に用いたエチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩を100モル%とした際、重合に用いたエチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩と中和により生成したエチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩のモル比が40モル%になるように水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。中和度40モル%(pH7)の組成物を用い、次のとおり二次電池負極を作成した。具体的には以下のように作製した。
<二次電池負極用塗工液の作製>
中和度40モル%(pH7)の組成物(重合体粒子2質量%の組成物)1固形分質量部に対して、バインダーとしてスチレンブタジエンラテックス1.5固形分質量部と、さらに負極活物質として天然黒鉛100質量部を加え、そこへイオン交換水を添加し、メカニカルスターラーで攪拌して総固形分が60%になるように調製した。これをプレミックスとし、その後、薄膜旋回型高速ミキサー(PRIMIX社製、T.K.フィルミックス FM56−L型(製品名)」)を用いて周速20m/秒にて30秒分散し、二次電池負極用の塗工液とした。
<二次電池負極の作製>
上記塗工液を用いて、乾燥後の厚みが100μmになるように銅箔の片面にダイコーターで塗布した後、60℃で60分乾燥した。120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。負極活物質塗布量は106g/m、負極活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにした。
上記のようにして得られた組成物(未中和(pH5)又は中和度40モル%(pH7))及び二次電池負極を用い、後述する各種物性評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2〜4]
界面活性剤の種類と配合量を表1に示すとおりに変更したことを除き、実施例1と同様に組成物を調製し、二次電池負極を作成した。なお、界面活性剤として、実施例3及び4では、それぞれ、日本乳化剤株式会社製のアルキレンオキサイド「ニューコール2327」及び「ANTOX LMA−27」を使用した。このようにして得られた組成物(未中和(pH5)又は中和度40モル%(pH7))及び二次電池負極を用い、後述する各種物性評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例5〜9]
界面活性剤を使用せず、各モノマーの配合量を表1に示すとおりに変更したことを除き、実施例1と同様に組成物を調製し、二次電池負極を作成した。このようにして得られた組成物(未中和(pH5)又は中和度40モル%(pH7))及び二次電池負極を用い、後述する各種物性評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
反応器に、イオン交換水、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ニューコール2327を加え、撹拌しながら65℃に昇温して保持した。ここへ、NPSと、AAm水溶液と、MAAと、EAの4成分を同時に滴下し、温度を65℃に保ちながら3時間で滴下を終了した。その後、2.5時間重合を継続させた。このときの各成分の配合量としては、単量体成分の合計(全エチレン性不飽和単量体に由来する単位:MAA、EA、AAm)を100質量部としたとき、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.8質量部、ニューコール2327を0.2質量部、NPSは0.3質量部、MAAは30質量部、EAは55質量部、AAmは15質量部となるように配合し、イオン交換水の配合量は899質量部であった。
その後、温度を65℃から80℃へ昇温し、1.5時間保持して重合を完結させた。
得られた組成物は、重合率が98%、pH5、固形分(重合体粒子)が9.8%であった。この組成物のpHを実施例1と同様に調整し、中和度40モル%(pH7)とした組成物を得た。さらに、実施例1と同様に二次電池負極を作成した。
このようにして得られた組成物(未中和(pH5)又は中和度40モル%(pH7))及び二次電池負極を用い、後述する各種物性評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2〜9]
界面活性剤を使用せず、各モノマーの配合量を表1に示すとおりに変更したことを除き、実施例1と同様に組成物を調製し、二次電池負極を作成した。このようにして得られた組成物(未中和(pH5)又は中和度40モル%(pH7))及び二次電池負極を用い、後述する各種物性評価に供した。結果を表1に示す。
(動的光散乱法による平均粒子径)
未中和(pH5)又は中和度40モル%(pH7)にそれぞれ調整した組成物中の重合体粒子の平均粒子径を、粒子径測定装置(日機装株式会社製、Microtrac UPA150)を使用して測定した。測定条件としては、ローディングインデックス=0.15〜0.3、測定時間300秒とし、得られたデータにおける50%粒子径の数値を動的光散乱法による平均粒子径(DA)とした。
(TEM観察による平均粒子径)
未中和(pH5)又は中和度40モル%(pH7)にそれぞれ調整した組成物中の重合体粒子100個を、常法に従ってコロジオン膜状に載せ、透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子画像を撮影し、画像上の粒子径(50個)を計測することにより平均粒子径(DB)を求めた。
(残渣量)
未中和(pH5)の組成物を250μmメッシュを用いて濾過した後、メッシュに残った残渣を60℃、1日で乾燥させた。得られた残渣を計量し、以下の式にて重量分率を算出した。
残渣量=(得られた残渣)/(仕込みのモノマー量)×100
次いで、以下の基準に基づき残渣量を評価した。
◎:0.2%未満
〇:0.2%以上0.5%未満
△:0.5%以上1.0%未満
×:1.0%以上
(粘度)
得られた塗工液をB型粘度計にて、60rpmで1分攪拌した後の25℃下の粘度を測定し、以下の基準に基づき評価した。
◎:2000mPa・s以上
〇:1500mPa・s以上・2000mPa・s未満
△:1000mPa・s以上・1500mPa・s未満
×:1000mPa・s未満
(ヒステリシス)
得られた塗工液をレオメーター(MCR102、Anton−Paar社製)を用いて測定した。すなわち、せん断速度を0[1/s]から100[1/s]に上昇する時と100[1/s]から0[1/s]へ下降する際の10[1/s]における粘度の差からヒステリシスを算出した。
ヒステリシス=|せん断速度上昇時の10[1/s]における粘度−せん断速度下降時の10[1/s]における粘度|/せん断速度上昇時の10[1/s]における粘度×100
以下の基準に基づき評価した。
◎:5%未満
〇:5%以上10%未満
△:10%以上15%未満
×:15%以上
(脱泡性)
200mLのカップに調製した塗工液100gを加えて、スリーワンモーター、アスピレーターを取り付けたドライボックスの中に入れた。塗工液を100rpm、0.01MPa、1minで減圧しながら攪拌した後の状態で、目視にて、下記の基準で脱泡性を評価した。
◎:泡立たない
〇:水面が変わらない
△:水面が上昇するが容器から漏れない
×:容器から漏れる
(ピール強度)
得られた二次電池負極から幅2cm×長さ12cmの試験片を切り出し、この試験片の集電体側の表面を両面テープでアルミ板に貼り付けた。JIS Z 1522に準拠し、試験片の電極層側に幅18mmのテープ(商品名「セロテープ(登録商標)」(ニチバン社製))を貼り付け、180°方向に100mm/minの速度でテープを剥離したときの強度を6回測定し、その平均値(N/18mm)をピール強度として算出した。この値が大きいほど集電体と電極層の接着強度が高く、集電体から電極層が剥離しがたいと評価でき、具体的には、以下の基準に基づきピール強度を評価した。
◎:40N/m以上
〇:30N/m以上40N/m未満
△:20N/m以上30N/m未満
×:20N/m未満
(サイクル特性)
二次電池負極を使用し、次の方法にて製造した二次電池に関して、45℃で4.2V−3Vの間1Cの定電流で充電を行ったのち、1Cの定電流で3Vまで放電を続けた。これを500回繰り返した後、サイクル試験前後の1/3Cにおける容量の変化率を百分率で表し、サイクル特性を評価した。この値が大きい程サイクル特性が良いことを示す。
◎:85%以上
〇:82%以上85%未満
△:80%以上82%未満
×:80%未満
<二次電池の作製>
二次電池正極及び負極を円形に打抜き、当該正極と負極との活物質面が対向するよう、正極、セパレータ及び負極の順に積層した後に、蓋付きステンレス金属製容器に収納した。この容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接するように配置した。そして、この容器内に電解液を注入して密閉し、その状態で室温にて1日放置して二次電池を作製した。
ここで使用した上記電解液には、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/Lとなるように溶解させることにより調製したものを使用した。
また、上記セパレータには、ポリエチレン多孔膜製のものを使用し、上記二次電池負極には、上記実施例1〜9及び比較例1〜6で得られた二次電池負極を使用した。
さらに、上記二次電池正極には、以下のようにして作製されたものを使用した。
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%を、N−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、正極の活物質塗布量は250g/m、活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにした。このようにして得られた電極を二次電池正極として使用した。
Figure 2021102709

Claims (8)

  1. 重合体粒子を含む非水系二次電池用重合体組成物であって、
    前記重合体粒子の動的光散乱法により測定された平均粒子径DAと、前記重合体粒子のTEM観察により測定された平均粒子径DBとの比が、DA/DBとして、中和度40モル%において、10以上50以下である、非水系二次電池用重合体組成物。
  2. 前記DA/DBが、未中和において、2以上10以下である、請求項1に記載の非水系二次電池用重合体組成物。
  3. 前記DAが、中和度40モル%において、2.5μm以上である、請求項1又は2に記載の非水系二次電池用重合体組成物。
  4. 前記DAが、未中和において、1μm以上2μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系二次電池用重合体組成物。
  5. エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩に由来する単位U1と、
    前記U1と共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルに由来する単位U2と、
    N原子含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位U3と、
    を分子中に有する重合体粒子を含む、非水系二次電池用重合体組成物であって、
    前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量%としたとき、前記U1の含有量が25質量%以上50質量%以下であり、かつ、前記U2の含有量が30質量%以上60質量%以下であり、かつ、前記U3の含有量が10質量%以上30質量%以下であり、
    前記重合体粒子において、全エチレン性不飽和単量体に由来する単位を100質量部としたとき、アルキレンオキサイド構造の含有量が0.1質量部以下であり、かつ、スルホン酸又はその塩の含有量が0.3質量部以下である、非水系二次電池用重合体組成物。
  6. 前記重合体粒子100質量部に対して0.0001質量部以上1.0質量部以下のイソチアゾリン系化合物を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系二次電池用重合体組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系二次電池用重合体組成物を含む、非水系二次電池。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系二次電池用重合体組成物を製造するための方法であって、
    N原子含有エチレン性不飽和単量体と重合開始剤とが溶解した溶液を調製する工程と、
    前記溶液に対して、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩と、これらと共重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸エステルとを添加して重合し、前記重合体粒子を得る工程と、
    を有する、非水系二次電池用重合体組成物の製造方法。
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