JP2021102679A - 発光材料、発光材料組成物、発光変換部材、バックライトユニット、及び液晶表示装置 - Google Patents

発光材料、発光材料組成物、発光変換部材、バックライトユニット、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化や封止等の後処理に依らず、それ自体が高い安定性を有し、優れた発光特性を有するペロブスカイト化合物及び発光材料組成物、並びに、発光特性に優れる発光変換部材、バックライトユニット、及び液晶表示装置の提供。【解決手段】前記課題は、ペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を含有するコアと、前記コアの表面に結合したリガンドと、前記リガンドが結合したコアの少なくとも一部を被覆するシェルと、を含み、前記リガンドが有機酸塩を含み、前記シェルが塩基性基含有化合物を含む、発光材料によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明はペロブスカイト型半導体ナノ粒子を含む発光材料、及び該発光材料を用いてなる発光材料組成物及び波長変換部材等に関する。本発明のペロブスカイト型半導体ナノ粒子は良好な発光特性を有し、さらに長期に渡ってその特性を保持することが可能である。
ペロブスカイト結晶構造を有する化合物は、磁性、圧電性、誘電性、電界発光性及び導電性等の多くの特異的な物性を有することが知られている。特に、A、B及びXを構成成分とするペロブスカイト結晶構造を有し、Aが1価のカチオン、Bが2価のカチオン、Xが1価のアニオンであるペロブスカイト化合物を光材料として用いる場合、Xの種類や比率を変えることで、青から赤までの可視光ほぼ全領域の発光色を得ることができる(非特許文献1〜3)。
さらに、上記ペロブスカイト化合物による発光は、半値全幅が狭く色純度が高いため、発光材料や波長変換材料に好適であり、様々な発光デバイスの材料として使用が可能である(特許文献1、2)。
しかしながら、特許文献1及び2に記載のペロブスカイト化合物は、安定性が十分でない。また、安定性を高めるために煩雑な後処理や工程を要する必要があり、特定の用途に使用限定される場合がある。
特許文献3には、ペロブスカイト化合物を、ポリマー中に分散することで安定性を高める技術が開示されている。しかしながら、分散するだけでは長期的な安定性を担保することはできない。また、特許文献3では、該ペロブスカイト化合物に対して50倍もの質量のポリマーを使用しているため、体積あたりの発光強度が低いこと、且つ絶縁体であるポリマーが過剰であることにより、波長変換材料や電界発光等のディスプレイ用途には不適切である。
特許文献4には、ペロブスカイト化合物の表面を特殊なリガンドで処理することで安定性を高める技術が開示されている。しかしながら、このような方法で得られたペロブスカイト化合物は、デバイスの調整時程度には耐えうるが、長期的な安定性は有していない。また、当該ペロブスカイト化合物を得るためには、前駆体の調整、リガンド表面処理、多段階の洗浄等の多数の工程が必要であり、量産プロセスには適していない。さらに、当該方法は、CsPbBr化合物には好適に用いられるが、他の組成のペロブスカイト化合物には適応が難しい。
特許文献5には、トリ−n−オクチルホスフィンをリガンド化合物として使用することでペロブスカイト化合物の安定性を高める技術が開示されている。しかしながら、ペロブスカイト化合物の種類によっては、経時において粒子の凝集や相転移が生じることが記載されており、長期安定性に課題がある。
特許文献6は、ペロブスカイト化合物を含む半導体ナノ粒子と硬化性樹脂組成物とを含有する、発光強度と硬化物の耐溶剤性とが高いインク組成物に関し、実施例において、オレイン酸及びオレイルアミンの存在下で合成したペロブスカイト化合物と、塩基性基を有しないアクリルモノマーとを含む、紫外線硬化型組成物が具体的に開示されている。
しかしながら、特許文献6の技術思想は、組成物に紫外線を照射して、半導体ナノ粒子表面の被覆材を硬化して初めて耐性が付与されるものであり、半導体ナノ粒子自体の耐性を向上させるものではないため、長期的な安定性は不十分である。
したがって、硬化や封止等の後処理に頼らず、かつ簡便な方法でペロブスカイト化合物単独での安定性を高められることが求められている。
特開2016−132638号公報 特開2017−108129号公報 特表2018−522959号公報 特表2018−530633号公報 特開2019−016772号公報 国際公開第2019/022195号
Nano Lett.2015,15,3692−3696 J.Am.Chem.Soc.2015,137,10276−10281 Chem.Commun.2016,52,7265−7268
したがって、本発明は、硬化や封止等の後処理に依らず、それ自体が高い安定性を有し、優れた発光特性を有するペロブスカイト化合物及び発光材料組成物、並びに、発光特性に優れる発光変換部材、バックライトユニット、及び液晶表示装置を提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の実施形態は、ペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を含有するコアと、前記コアの表面に結合したリガンドと、前記リガンドが結合したコアの少なくとも一部を被覆するシェルと、を含み、前記リガンドが有機酸塩を含み、前記シェルが塩基性基含有化合物を含む、発光材料に関する。
本発明の他の実施形態は、前記有機酸塩が、炭素数1〜30の脂肪酸塩である、上記発光材料に関する。
本発明の他の実施形態は、前記有機酸塩が、ナトリウム塩である、上記発光材料に関する。
本発明の他の実施形態は、前記塩基性基含有化合物が、塩基性基含有単量体由来の繰り返し単位を含む重合体である、上記発光材料に関する。
本発明の他の実施形態は、前記塩基性基含有化合物の塩基性基が、下記一般式(1)で表される基である、上記発光材料に関する。
一般式(1)
Figure 2021102679
[一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はアリール基を表す。nは、0〜2の整数である。]
本発明の他の実施形態は、前記塩基性基含有化合物のアミン価が、1〜400mgKOH/gである、上記発光材料に関する。
本発明の他の実施形態は、上記発光材料と溶剤とを含む、発光材料組成物に関する。
本発明の他の実施形態は、上記発光材料組成物から形成されてなる波長変換層を有する波長変換部材に関する。
本発明の他の実施形態は、上記波長変換部材と光源とを備えるバックライトユニットに関する。
本発明の他の実施形態は、上記バックライトユニットと液晶セルとを備える液晶表示装置に関する。
本発明により、硬化や封止等の後処理に依らず、それ自体が高い安定性を有し、優れた発光特性を有するペロブスカイト化合物及び発光材料組成物、並びに、発光特性に優れる発光変換部材、バックライトユニット、及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の発光材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を含有するコアと、コアの表面に結合したリガンドと、リガンドが結合したコアの少なくとも一部を被覆するシェルとを含み、リガンドが有機酸塩を含み、シェルが塩基性基含有化合物を含むことを特徴とする。
以下に本発明について詳細に説明する。
<半導体ナノ粒子>
発光材料のコアに含まれる半導体ナノ粒子は、A(1価のカチオン)、B(2価のカチオン)及びX(ハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオン)を構成成分とするペロブスカイト型結晶構造を有するものである。
ペロブスカイト結晶構造の解析、及び、A及びBのモル比(A/B)は、X線光電分析(以下XPS)に基づいて求めることができる。X線光電分析は、分析対象の各元素を同時に分析可能であり、且つ測定精度が高いという観点から好適な手法である。ペロブスカイト結晶構造としては0〜3次元構造が挙げられ、特に好ましくは3次元構造である。
[A(1価のカチオン)]
Aは、1価のカチオンであり、例えば、アンモニウムカチオン(NH )、炭素数6以下のアルキルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオン(HC(NH )、グアニジニウムカチオン(C(NH )、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン等の含窒素有機化合物カチオン;又は、リチウムカチオン(Li)、ナトリウムカチオン(Na)、カリウムカチオン(K)、ルビジウムカチオン(Rb)、及びセシウムカチオン(Cs)等のアルカリ金属カチオン;が挙げられる。これらのカチオンは、イオン径が小さく結晶格子内に入る大きさであるため、ペロブスカイト化合物が、安定な3次元結晶を形成することができる。
炭素数6以下のアルキルアンモニウムカチオンの好ましい例としては、メチルアンモニウムカチオン(CHNH )、エチルアンモニウムカチオン(CNH )、プロピルアンモニウムカチオン(CNH )等が挙げられる。
高い発光効率を得るという観点では、Aは、メチルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオン又はセシウムカチオンであることが好ましく、色変化抑制の観点から、より好ましくはセシウムカチオンである。これらのカチオンは2種以上を併用してもよい。
Aがセシウムカチオンである場合、後述の半導体ナノ粒子合成時の原料としては、塩化セシウム、臭化セシウム、よう化セシウム、水酸化セシウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、重炭酸セシウム、ぎ酸セシウム、酢酸セシウム、プロピオン酸セシウム、ピバル酸セシウム、シュウ酸セシウム等の塩が挙げられ、合成方法に応じて適切なものを使用できる。
Aがその他のアルカリ金属カチオンである場合は、上述のセシウム化合物のセシウム元素を、その他のアルカリ金属カチオン元素に置き換えた塩等を原料として用いることができる。
Aがメチルアンモニウムカチオン等の含窒素有機化合物カチオンである場合は、例えば、メチルアミン等の塩以外の中性化合物を原料として使用することができる。これらの原料は2種以上を併用してもよい。
[B(2価のカチオン)]
Bは2価のカチオンであり、例えば、スカンジウムカチオン(Sc2+)、チタンカチオン(Ti2+)、バナジウムカチオン(V2+)、クロムカチオン(Cr2+)、マンガンカチオン(Mn2+)、鉄カチオン(Fe2+)、コバルトカチオン(Co2+)、ニッケルカチオン(Ni2+)、銅カチオン(Cu2+)、パラジウムカチオン(Pd2+)、ユウロピウムカチオン(Eu2+)、イッテルビウムカチオン(Yb2+)等の2価の遷移金属カチオン;又は、マグネシウムカチオン(Mg2+)、カルシウムカチオン(Ca2+)、ストロンチウムカチオン(Sr2+)、バリウムカチオン(Ba2+)、亜鉛カチオン(Zn2+)、カドミウムカチオン(Cd2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)、スズカチオン(Sn2+)、鉛カチオン(Pb2+)等の2価の典型金属カチオン;が挙げられる。
これらの中でも、安定な3次元結晶が成長する点で、2価の典型金属カチオンが好ましく、より好ましくはスズカチオン又は鉛カチオンであり、強い発光を得るという観点から、特に好ましくは鉛カチオンである。これらのカチオンは2種以上を併用してもよい。
Bが鉛カチオンである場合、後述の半導体ナノ粒子合成時の原料としては、塩化鉛、臭化鉛、よう化鉛、酸化鉛、水酸化鉛、硫化鉛、炭酸鉛、ぎ酸鉛、酢酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、オレイン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛、くえん酸鉛、マレイン酸鉛、鉛アセチルアセトナート等の塩が挙げられ、合成方法に応じて適切なものを使用できる。Bがその他の2価金属カチオンである場合は、上述の鉛化合物の鉛元素を、その他の2価金属カチオン元素に置き換えた塩等を原料として用いることができる。これらの原料は2種以上を併用してもよい。
[X(ハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオン)]
Xは、ハロゲン化物アニオンを含む1価のアニオンであり、ハロゲン化物アニオンとしては、フッ化物アニオン(F)、塩化物アニオン(Cl)、臭化物アニオン(Br)、ヨウ化物アニオン(I)等が挙げられる。中でも、塩化物アニオン、臭化物アニオン又はヨウ化物アニオンが、安定な3次元結晶を形成し、可視光域に強い発光を示す観点から好ましい。発光色は、塩化物アニオンを用いると青、臭化物アニオンを用いると緑、ヨウ化物アニオンを用いると赤となる。
ハロゲン化物アニオンは2種以上を併用してもよい。特に塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオンを併用した場合、アニオン種の比率に応じて、半導体ナノ粒子の発光を所望する波長とすることができ、狭い半値全幅を維持したまま、青から赤までの可視光のほぼ全領域をカバーする発光スペクトルを得ることができるため好ましい。
Xは、ハロゲン化物アニオン以外の1価のアニオンを含んでいてもよく、このような1価のアニオンとしては、シアン化物アニオン(CN)、チオシアン酸アニオン(SCN)、イソチオシアン酸アニオン(CNS)等の擬ハロゲン化物アニオンが挙げられる。
後述の半導体ナノ粒子合成時の原料としては、前述の、塩化セシウム及び臭化鉛のように、前記A及びBを対カチオンとした塩や、それ以外のカチオンとの塩等から、合成方法に応じて適切なものを選択できる。中でも、原料及び半導体ナノ粒子の分散安定性の観点から、テトラアルキルアンモニウムを対カチオンとする塩が好ましい。テトラアルキルアンモニウムを構成する4個のアルキル基は、それぞれ独立に任意の炭素長のアルキル基を選択でき、脂環、芳香環及び極性基等の、さらなる置換基を有していてもよいし、アルキル基同士で環を形成してもよい。
Xの原料が、テトラアルキルアンモニウムカチオンとハロゲン化物アニオンとの塩である場合、Xの原料としては例えば、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラペンチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウム=クロリド、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウムクロリド等の塩化物アニオンとの塩;テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラ(デシル)アンモニウムブロミド、テトラドデシルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロミド、アリルトリエチルアンモニウムブロミド等の臭化物アニオンとの塩;テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨ−ジド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラヘプチルアンモニウムヨージド、テトラオクチルアンモニウムヨージド、エチルトリプロピルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリブチルアンモニウムヨージド、トリエチルフェニルアンモニウムヨージド、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンヨージド等のヨウ化物アニオンとの塩:が挙げられる。
これらの原料は、異なる2種以上を併用してもよい。
上記のペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の具体例としては、[特許文献6]国際公開第2019/022195号の段落0036〜0038に記載の構造が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における半導体ナノ粒子は、高温中で原料液を混合し、微粒子生成後に急冷して安定な生成物を得るホットインジェクション法、生成物の溶剤への混和性の差を利用して再沈殿により微粒子を得る配位子支援再沈殿法、室温程度の温和な条件下で、Xとなる成分を含まない非ハロゲン化物であるA及びBの原料混合液に、別途調製したXの原料液と混合して微粒子を得る室温合成法、固体原料をミリング等の機械的な混合や超音波処理で反応させ生成物微粒子を得るメカノケミカル法、電子デバイス等の場合に、基板上に原料液塗布後に直接結晶成長させ反応物を得るIn situ合成法等を用いて製造することができる。中でも室温合成法は、安定的に微粒子を製造する観点から好適に用いられる。
具体的な合成方法としては、ACS Nano,10(3),3648−3657(2016)、Adv.Funct.Mater.,26(15),2435−2445(2016)、Chem.Commun., 52(45),7265−7268 (2016)、ACS Nano,10(8),7943−7954(2016)、Adv.Funct.Mater.,26(47),8757−8763(2016)、ChemistrySelect,1(13),3479−3482(2016)、Adv.Funct.Mater.,26(34),6238−6245(2016)、Phys.Chem.Lett.,8(7),1610−1614(2016)、特開2018−104685号公報、国際公開第2017/106979号、国際公開第2016/180364号、国際公開第2017/166871号、国際公開第2017/020137号、国際公開第2017/077523号、国際公開第2018/168638号、特開2017−108129号公報、特開2017−142486号公報、国際公開第2019/022195号、国際公開第2019/142089号等に記載の合成方法が挙げられるが、こららに限定されるものではない。
<リガンド>
本発明の発光材料は、ペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を含むコアの表面に結合したリガンドを有し、リガンドとして有機酸塩を含むことを特徴とする。これらリガンドにより、分散安定性、分光特性等の安定性を向上することができる。
有機酸塩中の有機酸としては、例えば、カルボキシル基を有する有機化合物、スルホ基を有する有機化合物が挙げられるが、合成上の観点からカルボキシル基を有する有機化合物が好ましい。カルボキシル基を有する有機化合物として好ましくは、炭素数1〜30の分岐状又は直鎖状の脂肪酸塩が挙げられ、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。
直鎖状の飽和脂肪酸塩の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸が挙げられる。
直鎖状の不飽和脂肪酸としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、サピエン酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸が挙げられる。
分岐状の脂肪酸としては、例えば、2−エチルヘキサン酸、2−エチルイソヘキサン酸、2−プロピルヘプタン酸、2−ブチルオクタン酸、2−イソブチルイソオクタン酸、2−ペンチルノナン酸、2−イソペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘキシルイソデカン酸、2−ブチルドデカン酸、2−イソブチルドデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、2−イソヘプチルウンデカン酸、2−イソペプチルイソウンデカン酸、2−ドデシルヘキサン酸、2−イソドデシルヘキサン酸、2−オクチルドデカン酸、2−イソオクチルドデカン酸、2−オクチルイソドデカン酸、2−ノニルトリデカン酸、2−イソノニルイソトリデカン酸、2−デシルドデカン酸、2−イソデシルドデカン酸、2−デシルイソドデカン酸、2−デシルテトラデカン酸、2−オクチルヘキサデカン酸、2−イソオクチルヘキサデカン酸、2−ウンデシルペンタデカン酸、2−イソウンデシルペンタデカン酸、2−ドデシルヘプタデカン酸、2−イソドデシルイソヘプタデカン酸、2−デシルオクタデカン酸、2−デシルイソオクタデカン酸、2−トリデシルヘプタデカン酸、2−イソトリデシルイソヘプタデカン酸、2−テトラデシルオクタデカン酸、2−イソテトラデシルオクタデカン酸、2−ヘキサデシルヘキサデカン酸、2−ヘキサデシルテトラデカン酸、2−ヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2−イソヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2−ペンタデシルノナデカン酸、2−イソペンタデシルイソノナデカン酸、2−テトラデシルベヘン酸、2−イソテトラデシルベヘン酸、2−テトラデシルイソベヘン酸、2−イソテトラデシルイソベヘン酸が挙げられる。
三級脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸、イソノナン酸等が挙げられる。
中でも、溶剤に対する溶解性や安定性等の観点から、直鎖状の脂肪酸が好ましく、より好ましくはカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸から選ばれる少なくとも1種であり、さらに好ましくは直鎖状の不飽和脂肪酸であるオレイン酸である。
これらの有機酸は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
有機酸塩中のカチオンとしては、好ましくは金属カチオンであり、より好ましくはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンであり、さらに好ましくはアルカリ金属カチオンである。アルカリ金属カチオンのうち、好ましくはナトリウム、カリウムであり、より好ましくはナトリウムである。
有機酸塩を含むリガンドは、イオン的な相互作用、又はコアの欠陥を埋める物理的な相互作用のいずれかでコアと結合し、特にペロブスカイト化合物に対しては選択的に結合しやすい。そのため、リガンドとペロブスカイト化合物とを、溶液状態のような相互に接触できる環境下におくと、容易にリガンドがコアに結合する。リガンドの表面にコアを結合させる方法としては、コア合成後に有機酸塩を直接作用させる方法、又は、コア合成時に前駆体として有機酸を作用させた後に、有機酸塩に変換する方法等が挙げられる。
リガンドは、有機酸塩を単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用してもよく、上述のリガンドの効果を損なわない範囲において、別の公知リガンドを併用してもよい。
総リガンドの含有量は、半導体ナノ粒子中のA(一価のカチオン)1モルに対して、好ましくは0.1〜20モル、より好ましくは0.5〜10モル、さらに好ましくは1〜5モルである。
<シェル>
本発明の発光材料は、上記リガンドが結合したコアの少なくとも一部が、塩基性基含有化合物を含むシェルで被覆されていることを特徴とする。シェルにより、リガンドがより強固に固定化されることで、発光材料の安定性が格段に向上するだけでなく、発光特性も向上される。
塩基性基含有化合物の塩基性基としては、アミノ基、アミド基、ピリジル基、ピロリル基、ニトリル基等が挙げられる。原料の入手性や合成面、シェルとしての機能面からアミノ基が好ましく、発光材料としての性能面や安定性等の観点から、好ましくは下記一般式(1)で表される基である。
一般式1
Figure 2021102679
[一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はアリール基を表す。nは、0〜2の整数である。]
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基のような直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、プロポキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、イソプロピルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が挙げられる。
一般式(1)で表される基において、R〜Rは、好ましくは各々独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。また、一般式(1)における窒素原子は、3級アミンであることが好ましく、Rとして好ましくは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。nは、好ましくは1である。
塩基性基含有化合物としては、上記塩基性基を含む化合物であれば特に制限されず、低分子化合物又は高分子化合物のいずれでもよい。
塩基性基含有低分子化合物としては、炭素数1〜30の飽和又は不飽和アルキル基を有する1〜3級のアミン等が挙げられる。
塩基性基含有高分子化合物としては、上記塩基性基を有する、ポリ(メタ)アクリレート類、ポリ−α−アルキルアクリレート類、ポリアミド類、ポリビニルアセタール類、ポリホルムアルデヒド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリビニルエステル類、ポリエステル類、ポリ塩化ビニル、ポリエポキシ類、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体のような重合体、共重合体樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
塩基性基含有化合物は、シェルとしての機能面から、好ましくは高分子化合物であり、シェルとしての機能や樹脂設計の観点から、好ましくは塩基性基を含有する単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体である。
当該共重合体は、塩基性基を含有する単量体と、その他の公知の単量体とを共重合した共重合体でもよいし、単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体に、塩基性基を有する化合物を反応させて塩基性基を導入したものでもよいが、原料の入手や製造工程の簡便性の観点から、塩基性基を含有する単量体と、公知の単量体との共重合体が好ましい。
塩基性基を含有する単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、1−メトキシ−2,2,6,6−トテラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシピリジン、アクリロニトリルが挙げられる。
中でも、好ましくは、上述の一般式(1)で表される基を有する、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、1−メトキシ−2,2,6,6−トテラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート等である。
塩基性基を含有する単量体以外の、その他の公知の単量体は、1種又は2種以上を任意の比率で使用してもよい。共重合体を構成する全単量体中100質量部に対する塩基性基を含有する単量体の含有量は、好ましくは1〜99質量部であり、より好ましくは5〜90質量部であり、さらに好ましくは10〜80質量部である。
単量体としては以下に記載のものが好ましいがこれらに限定されるものではない。
前記その他の公知の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びアダマンチル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類又は環状アルケニル(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
(2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモ−4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノール3EO付加(メタ)アクリレート、及びパーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジオキソラン(メタ)アクリレート、アクリロイルフルフリル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート変性フルフリルアルコール、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート変性フルフリルアミン、2―ブロモフランEO付加(メタ)アクリレート、及び3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#100(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#1000(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#4000(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#200(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−2−(ビニロキシエトキシ)エチル、p−ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する(メタ)アクリレート類;
3−(アクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタン、及び3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタン等のオキセタニル基を有する(メタ)アクリレート類;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシカルボニルスチレン、p−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、及び(メタ)アクリル酸アリル、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のビニル類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のエーテル基を有するビニルエーテル類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、及びテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
JNC(株)社製の商品名「サイラプレーンFM−0711」、「サイラプレーンFM−0721」、「サイラプレーンFM−0725」、及び信越シリコーン社製の商品名「X−22−174DX」、「X−22−2426」、「X−22−174ASX」等のポリシロキサン(メタ)アクリレート類;
2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、4−イソシアネートブチルメタクリレート、及び4−イソシアネートブチルアクリレート等のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類;が挙げられる。前記イソシアネート基には、ブロックイソシアネート基も含まれる。該ブロックイソシアネート基とは、イソシアネート基が他の官能基で保護され、非加熱条件下では反応性が抑えられる一方、加熱により保護基が脱保護し、活性なイソシアネート基が再生される基を指す。このようなブロックイソシアネート基を有する単量体の市販品としては、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI−BP,昭和電工製)、メタクリル酸2−(0−[1’メチルプロビリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM,昭和電工製)が挙げられる。
前記共重合体は、既知のラジカル重合法で製造することができ、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合等が使用できる。
リビングラジカル重合法は一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、更には、重合の成長が均一に起こる為、容易にブロックポリマーや分子量の整った重合体を得ることができる。中でも、有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法は、広範囲の単量体に適応できる点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。
重合温度は、用いる重合開始剤の種類や溶剤の沸点に応じて適宜調整でき、好ましくは20℃〜150℃であり、より好ましくは40℃〜120℃であり、さらに好ましくは50℃〜100℃である。反応時間は、用いる重合開始剤や単量体の種類等応じて適宜調整でき、好ましくは2〜30時間、より好ましくは3〜15時間である。また、重合反応は、着色低減や重合開始剤の失活等を防ぐために、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましく、入手の容易さ、コスト等の観点から窒素ガス雰囲気下で行うことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
重合開始剤としては、アゾ系化合物又は有機過酸化物を用いることができる。
アゾ系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、ジメチル1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカーボキシレート)及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルペロオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジラウロキシペロオキサイド、パーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、及びジアセチルパーオキシドが挙げられる。
重合開始剤は、上記に限定されるものではなく、単独で、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の使用量は、単量体の合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜20質量部の範囲である。
重合の際、分子量を調整する目的で連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤の使用量は、単量体の合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜15質量部である。
連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、既知の連鎖移動剤が使用でき、例えば、オクチルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン,n−ヘキサデシルメルカプタン,n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、ブチルチオグリコレート等のメルカプタン;ジメチルキサントゲンジスルフィド,ジエチルキサントゲンジスルフィド,ジイソプロピルキサンチゲンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド,テトラエチルチウラムジスルフィド,テトラブチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド;四塩化炭素,塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン、四臭化炭素,臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びそれらの塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物及びその塩;並びに、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソールを挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合の際、重合溶媒として有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−プロピル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエトキシジエチレングリコール、及び3−メトキシ−1−ブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
シェルは、リガンドが結合した半導体ナノ微粒子に対して被覆処理を行うことで形成することができる。塩基性基含有化合物を含むシェルは、酸塩基相互作用により粒子表面への被覆が促進され、溶液下で共存させることで容易にシェルを被覆することができる。
塩基性基含有化合物のアミン価は、シェルとしての機能面から、好ましくは1〜400mgKOH/gであり、より好ましくは20〜300mgKOH/gである。
塩基性基含有化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上50,000以下であり、塩基性基含有化合物の溶解性や、塩基性基含有化合物によって被覆されたペロブスカイト化合物の光学特性又は安定性等の観点から、より好ましくは1,000以上15,000以下である。
塩基性基含有化合物の被覆量は、コアとリガンドの合計100質量部に対して、好ましくは1〜5000質量部であり、より好ましくは2〜1000質量部である。
<発光材料組成物>
本発明の発光材料組成物は、上述の発光材料と溶剤とを含むものである。
溶剤としては、発光材料の分散性や光学特性に影響のない範囲であれば特に制限されず、公知の有機溶剤を用いることができる。
また、本発明の発光材料は、特定のリガンド及びシェルによってコアが保護されているため、従来のペロブスカイト化合物ではコアの表面が荒らされる又は破壊されるような強い極性を有する溶剤であっても、組み合わせて使用することができる。また、本発明の発光材料は、主にシェルの作用により溶解性が向上しているため、従来のペロブスカイト化合物では溶解しないような溶剤であっても、組み合わせて使用することができる。
[溶剤]
溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、オクタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、4−ヒドロキシー4−メチルー2−ペンタノン、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、イソデカノール、イソトリデカノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、2−メトキシブタノール、3−メトキシブタノール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert‐ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールジメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテ−ト、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヒオキサンジオールジアセテート等のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の芳香族系溶剤;シクロヘプタン、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤;ペンタン、ヘキサン、オクタン、イソヘキサン、イソオクタン、イソノナン等の脂肪族系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、m−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロプロパン等の塩素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ―ブチロラクトン、イソホロン、トリアセチン、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
組成物中の発光材料の含有量は、組成物100質量部に対して、好ましくは0.1〜90質量部、より好ましくは0.5〜60質量部、さらに好ましくは1〜30質量部である。
[硬化成分]
発光材料組成物は、さらに硬化成分を含有することができる。硬化成分により、重合反応や架橋反応が進行し、発光材料組成物を硬化させ、強度や耐性を付与することができる。
(重合開始剤)
重合反応では、一般的に重合開始剤と重合性化合物とを併用する。重合開始剤としては、活性エネルギー線照射や熱により、重合反応を開始する活性種を発生させる化合物であり、公知の重合開始剤を用いることが可能である。重合反応を開始させる主な活性種としては、ラジカルを発生させるラジカル重合開始剤と酸を発生させるカチオン重合開始剤とが挙げられ、これらを併用してもよい。
活性エネルギー線によりラジカルを発生させる光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン類;その他フェニルグリオキシリックメチルエステルが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の中でも、好ましくは、アミノケトンに代表されるアセトフェノン類、ホスフィン類、オキシムエステル化合物である。これらは、硬化物に求める特性に応じて、単独又は複数を組み合わせで使用することが可能である。ラジカル重合開始剤を用いる場合の使用量は、組成物中の固形分総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜100質量部であり、より好ましくは0.1〜50質量部である。
熱によりラジカルを発生させる熱ラジカル重合開始剤としては、アゾ熱重合開始剤や有機過酸化物重合開始剤が挙げられ、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アゾ熱重合開始剤としては、例えば、2,2'− アゾビスイソブチロニトリル、2,2'− アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'− アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2'− アゾビス(2−メチルプロピオネイト)、2,2'− アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'− アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]フォルムアミド、2,2'− アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'− アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)が挙げられる。
有機過酸化物重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−α−クミルパーオキサイド(DCPO)、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(DDBH)、2,5,−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドが挙げられる。
アゾ熱重合開始剤及び有機過酸化物重合開始剤の含有量は、組成物中の固形分総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは1〜3質量部である。
活性エネルギー線照射により酸を発生させる光カチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられ、具体的には、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレート等のジアゾニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、4,4′−ビス[ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニオ]フェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のスルホニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のヨードニウム塩;が挙げられる。中でも、ヨードニウム塩が好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の含有量は、組成物中の固形分総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
熱により酸を発生させる熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、ジフェニル−p−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
熱カチオン重合開始剤の含有量は、組成物中の固形分総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜5質量部である。0.1部以上であると十分に硬化反応が進行し、20部以下であると、熱カチオン重合開始剤由来の着色や諸物性の低下を抑制することができる。
(重合性化合物)
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物が挙げられ、これらは任意に組み合わせて使用することができる。ラジカル重合性化合物とは、分子中にラジカル重合可能な骨格を少なくとも1つ以上有する化合物を指し、常温且つ常圧において、液体又は固体のモノマー、オリゴマー若しくはポリマーが含まれる。ラジカル重合性化合物は、単独又は任意の比率で2種以上併用してもよい。
〈ラジカル重合性化合物〉
ラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸若しくはマレイン酸等の不飽和カルボン酸、それらの塩、エステル化合物、酸アミド若しくは酸無水物のほか、ウレタンアクリレート、アクリロニトリル、スチレン誘導体、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタンが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に、本発明におけるラジカル重合性化合物の具体例を挙げる。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのような単官能アルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートのような単官能含ヒドロキシ(メタ)アクリレート類;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アクリル酸−2−(ビニロキシエトキシ)エチル、グリシジル(メタ)アクリレートのような単官能含エーテル基(メタ)アクリレート類;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートのような単官能含カルボキシル(メタ)アクリレート類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパンのようなその他の単官能(メタ)アクリレート類;
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#600ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノベンゾエート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパンのような二官能(メタ)アクリレート類;
グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネートのような三官能(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシ)ホスフェートのような四官能以上の(メタ)アクリレート類;
アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレートのようなアリレート類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリンのような酸アミド類;スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシカルボニルスチレン、p−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンのようなスチレン類;酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンのようなその他のビニル化合物;
ビニルシクロプロパン類、1−フェニル−2−ビニルシクロプロパン類、2−フェニル−3−ビニルオキシラン類、2,3−ジビニルオキシラン類のような三員環化合物;2−メチレン−1,3−ジオキセパン、ジオキソラン類、2−メチレン−4−フェニル−1,3−ジオキセパン、4,7−ジメチル−2−メチレン−1,3−ジオキセパン、5,6−ベンゾ−2−メチレン−1,3−ジオセパンのような環状ケテンアセタール類;山下晋三ら編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年、大成社)や加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」、(1985年、高分子刊行会)、ラドテック研究会編、赤松清編、「新・感光性樹脂の実際技術」、(1987年、シーエムシー)、遠藤剛編、「熱硬化性高分子の精密化」、(1986年、シーエムシー)、滝山榮一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)、ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、(2002年、シーエムシー)等に記載の化合物;が挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、上記モノマー以外にオリゴマー、プレポリマーを使用することができる。
〈カチオン重合性化合物〉
カチオン重合性化合物とは、活性エネルギー線照射又は熱により発生する酸触媒の作用により、重合又は架橋が進行する化合物を指す。
カチオン重合性化合物としては、例えば、様々なアミノプラスト類又はフェノプラスト類、すなわち尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂やそれらの単量体若しくはオリゴマーのようなホルムアルデヒドプレカーサーとしてのメチロール基あるいは置換されたメチロール基を有する化合物;ホルムアルデヒドプレカーサーとなり得るようなメチロール化又はアルコキシジメチル化されたフェノール誘導体;シラノール基を有する化合物;ポリエンとポリチオールの混合物;アルコキシシラン類;
エポキシ化合物;オキセタン化合物;スチレン類;ビニル化合物;ビニルエーテル類;スピロオルソエステル類;ビシクロオルソエステル類;スピロオルソカーボナート類;環状エーテル類;ラクトン類;オキサゾリン類;アジリジン類;シクロシロキサン類;ケタール類;環状酸無水物類;ラクタム類又はアリールジアルデヒド類;が挙げられる。
カチオン重合性化合物として、好ましくはエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル類であり、より好ましくはエポキシ化合物又はオキセタン化合物である。エポキシ化合物及びオキセタン化合物を用いた重合反応な比較的反応性が高く、且つ硬化時間が短いため、硬化工程の短縮を図ることができる。
エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられ、オキセタン化合物の具体例としては、フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等が挙げられる。
カチオン重合性化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
上記のラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を含む重合性化合物の使用量は、組成物100質量部に対して、好ましくは1〜99質量部、より好ましくは3〜70質量部、さらに好ましくは5〜50質量部である。
本発明の発光材料組成物は、さらなる感度向上や、反応硬化後の膜特性を向上させる目的で、増感剤を併用することができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
増感剤の使用量は、重合開始剤100質量部に対して、好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部である。
さらに発光材料組成物は、架橋剤を含むことで発光材料に架橋構造を導入することができる。その場合、架橋剤と反応可能な置換基を有する化合物を用いてもよく、架橋剤と反応可能な置換基をシェル化合物に導入してもよく、シェルが有するアミノ基等の塩基性基と架橋剤とを反応させてもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられ、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系架橋剤は、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基と反応可能であり、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体が挙げられる。
エポキシ系架橋剤は、水酸基、フェノール系水酸基、アミノ基又はカルボキシル基等と反応可能であり、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテルが挙げられる。
アジリジン系架橋剤は、カルボキシル基等と反応可能であり、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)が挙げられる。
メラミン系架橋剤は、水酸基又はアミノ基等と反応可能であり、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂が挙げられる。
アルデヒド系架橋剤は、水酸基又はアミノ基等と反応可能であり、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒドが挙げられる。
アミン系架橋剤は、カルボキシル基、エステル基、ホルミル基、エポキシ基又はイソシアネート基等と反応可能であり、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミドが挙げられる。
金属キレート系架橋剤は、水酸基、アミノ基又はカルボキシル基等と反応可能であり、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物が挙げられる。
架橋剤の含有量は、発光材料組成物中の固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。上記範囲内であると、優れた凝集力と粘着力を発揮し十分な耐久性が得ることができる。
発光材料組成物は、目的に応じて、バインダー樹脂、染料、有機及び無機顔料、顔料分散剤、酸素除去剤や還元剤、カブリ防止剤、退色防止剤、ハレーション防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、着色剤、増量剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、色素前駆体、紫外線吸収剤、発砲剤、防カビ剤、帯電防止剤、磁性体、分散剤、シランカップリング剤や4級アンモニウムクロライド等の貯蔵安定剤、可塑剤、表面張力調整剤、スリッピング剤、アンチブロッキング剤、光安定化剤、レベリング剤、消泡剤、赤外吸収剤、界面活性剤、チキソトロピー剤、抗菌剤、シリカ等の微粒子やその他種々の特性を付与する添加剤、希釈溶剤等と混合して使用してもよい。
<波長変換部材>
本発明の波長変換部材は、基材上に、上述の発光材料組成物を形成されてなる波長変換層を有するものである。具体的には、発光材料組成物を、基材上に塗工し硬化させて、フィルム又はシートにしたものが挙げられる。
[基材]
基材としては、特に制限されず、例えば、無機系基材又は樹脂系基材が挙げられる。
無機系基材としては、例えば、ガラス基材;セラミック基材;珪酸カルシウム板、石綿スレート板、セメントスレート板等の無機質基材;アルミニウム板、銅板、ステンレス鋼板、めっき鋼板等の金属基材;が挙げられる。
樹脂系基材の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリ(p−メチルスチレン)等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリエーテルスルホン;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル樹脂、塩素化ビニル樹脂等のハロゲン含有樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;シリコーン樹脂;等が挙げられる。上記樹脂としては、耐候性の向上とコスト低減の観点から、好ましくは(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、セルロース系樹脂及びフッ素樹脂であり、より好ましくはポリエステル系樹脂及びフッ素樹脂である。樹脂系基材の厚さは、特に制限されず、好ましくは10〜800μm程度である。
これら基材は、必要に応じでコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がされていてもよい。
[波長変換層の形成方法]
波長変換層の形成方法としては、特に制限されず、例えば、基材上に発光材料組成物を塗工した後、必要に応じてプレ乾燥を行い、さらに必要に応じて、加熱処理や活性エネルギー線照射を行うことで、膜を硬化させる方法が挙げられる。硬化後の波長変換層の厚みは、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは1〜100μmである。
塗工方法としては、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、グラビアコート法、グラビアオフセット法、キスコート法、ロッドコート法、リバースグラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、トップコート法、ダイコート法、ナイフコート法、リップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷が挙げられる。
プレ乾燥は、主に、塗工膜に含まれる溶剤を除去するために行われる。プレ乾燥を行うことで、その後の硬化反応が促進されることや、急激な乾燥による発泡等が抑制され成膜不良が起こりにくくなるため好ましい。
プレ乾燥の方法としては、真空乾燥機等を用いた減圧による真空乾燥、コンベクションオーブン(熱風乾燥器)、IRオーブン、ホットプレート等を使用したベークによる乾燥、又はその複合方法等が挙げられる。
加熱処理は、プレ乾燥と同様の機器や設備を用いて、硬化反応に適した温度・時間を選択して行うことができる。
活性エネルギー線照射における活性エネルギー線とは、熱線、紫外線、可視光線、近赤外線等、電子線等である。活性エネルギー線の付与の光源としては、100〜450nmの波長領域に発光の主波長を有する光源が好ましい。このような光源としては、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、パルス発光キセノンランプ、重水素ランプ、蛍光灯、ND−YAG3倍波レーザー、HE−CDレーザー、窒素レーザー、XE−Clエキシマレーザー、XE−Fエキシマレーザー、半導体励起固体レーザー、365nm、375nm、385nmに発行波長を有するLEDランプ光源が挙げられる。なお、本明細書における、紫外線、可視光、近赤外線等の定義は、久保亮五ら編「岩波理化学辞典第4版」(1987年、岩波)による。
本発明の波長変換部材は、基材と波長変換層以外に、別の層を有していてもよい。
別の層としては、安定性や光学特性を向上させるための、公知のバリア層や光散乱層が挙げられるが、これらに限定されない。
バリア層は、発光した光を取り出す観点から、透明であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーや、ガラス膜等を用いることができる。光散乱層は、発光した光を取り出す観点から、透明であることが好ましく、シリカ粒子等の光散乱粒子を含む層や、増幅拡散フィルム等を用いることができる。
本発明の波能変換部材は、波長変換層を有するフィルム又はシートの成型物であってもよい。成型方法としては、真空成型、圧空成型、メンブレンプレス成型、インモールド成型、インサート成型、インサートモールド成型、オーバーレイ真空成型等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<バックライトユニット>
本発明のバックライトユニットは、少なくとも上述の波長変換部材と光源とを備えるものであり、光源が発光した光を、後段に設置した波長変換部材に照射することで、波長変換部材を発光させ、光を取り出す装置である。バックライトユニットは、さらに、光反射部材、輝度強化部、プリズムシート、導光板、要素間の媒体材料層等の任意の層を備えていてもよい。
光源は、特に制限されず、前述の波長変換部材に含まれるペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を発光させるという観点から、600nm以下の発光波長を有するものが好ましく、例えば、青色発光ダイオード等の発光ダイオード(LED)、レーザー、EL等の公知の光源を用いることができる。
バックライトユニットは、後述する液晶表示装置に高い色彩再現性を実現させるために、
430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が50nm以下である発光強度のピークを有する青色光と、
500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が50nm以下である発光強度のピークを有する緑色光と、
600〜680nmの波長帯域に発光中心波長を有し、半値幅が50nm以下である発光強度のピークを有する赤色光と、を有する白色光を発光することが好ましい。
バックライトユニットの一態様としては、例えば、430〜480nmの波長帯域に発光中心波長有する青色発光ダイオードを光源に使用し、緑色と赤色に発光するペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を波長変換部材に使用することで、光源から発光され光変換部材を透過した青色光と、光変換部材から発光された赤色光及び緑色光とにより白色光を具現化したものが挙げられる。
また別の一態様としては、300nm〜430nmの波長帯域に発光中心波長を有する紫外発光ダイオートを光源に使用し、青色と緑色と赤色に発光するペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を波長変換部材に使用することで、光変換部材から発光される青色光、赤色光及び緑色光により白色光を具現化したものが挙げられる。
高い色彩再現性の観点から、半値幅が狭い発光を特徴とするペロブスカイト結晶構造を含む半導体ナノ粒子を用いて青色、緑色、赤色の発光を構成することが好ましいが、少なくとも1つの色においてペロブスカイト結晶構造を有する半導体ナノ粒子が使用されていれば、その他の色に他の量子ドット等の発光材料を使用しても構わない。量子ドットとしては、例えば、カドミウム系やインジウム系等の公知の量子ドットが挙げられるが、これらに限定されない。
光反射部材は、特に制限は無いが、反射フィルムであっても良い。反射フィルムとしては、例えば、反射鏡、反射粒子のフィルム、反射金属フィルムや反射体等の公知の反射フィルムを用いることができる。また、本発明はバックライトユニットは、光の一部分を、光が伝送された方向に向かって反射して戻す目的で、輝度強化部を含んでいてもよい。
プリズムシートは、通常、基材部とプリズム部とを有しているが、基材部は、隣接する部材に応じて省略してもよい。プリズムシートは、任意の適切な接着層を介して隣接する部材に貼り合わせることができる。プリズムシートは、視認側とは反対側(背面側)に凸となる複数の単位プリズムが並列されて構成されている。プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置することにより、プリズムシートを透過する光が集光されやすくなる。また、プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置すれば、凸部を視認側に向けて配置する場合と比較して、プリズムシートに入射せずに反射する光が少なく、輝度の高いディスプレイを得ることができる。
導光板としては、例えば、横方向からの光を厚さ方向に偏向可能となるよう、背面側にレンズパターンが形成された導光板、背面側及び/又は視認側にプリズム形状等が形成された導光板等を用いることができる。
要素間の媒体材料層に含まれる1つ以上の媒体として、特に制限されず、真空、空気、ガス、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化材料、光学結合材料、屈折率整合又は屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、クラッディング又は抗クラッディング材料、スペーサー、シリカゲル、輝度強化材料、散乱又は拡散材料、反射又は抗反射材料、波長選択性材料、波長選択性抗反射材料、色フィルター、又は前記技術分野で既知の好適な媒体、が挙げられる。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、少なくとも上述のバックライトユニットと液晶セルとを備えるものである。さらに、液晶セルと、前記液晶セルの視認側に配置された視認側偏光板と、前記液晶セルの背面側に配置された背面側偏光板とを備えていてもよい。視認側偏光板及び背面側偏光板は、それぞれの吸収軸が実質的に直交又は平行となるようにして配置される。
液晶セルは、一対の基板と、前記基板間に挟持された表示媒体としての液晶層とを有する。一般的な構成においては、一方の基板に、カラーフィルター及びブラックマトリクスが設けられており、他方の基板に、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線及びソース信号を与える信号線と、画素電極及び対向電極とが設けられている。上記基板の間隔(セルギャップ)は、スペーサー等によって制御できる。上記基板の液晶層と接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜等を設けることができる。
偏光板は、代表的には、偏光子と、偏光子の両側に配置された保護層とを有する。偏光子は、代表的には、吸収型偏光子である。上記偏光子としては、任意の適切な偏光子が用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素等の二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く、特に好ましい。
以下に、実施例より本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲をなんら制限するものではない。特に明記しない限り、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。
<数平均分子量>
数平均分子量の測定は、東ソー社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)「GPC−8020」を用いて行った。カラムはSHODEX KF−806L 2本、KF−804L 1本、KF−802 1本を用い、溶剤はテトラヒドロフランを用い、標準ポリスチレン換算の値を用いた。
<シェル:塩基性基含有化合物の合成>
(合成例1:共重合体(1))
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、溶剤としてトルエン80部を仕込み、窒素雰囲気下で70℃に昇温した。
次いで、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート80部、オクチルメタクリレート20部、及び開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6部、及びトルエン41部を予め混合したモノマー液を2時間かけて滴下した後、70℃で1時間反応させた。
次いで、追加の開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6部を加えて1時間反応させる工程を、モノマーの添加率が98%以上になるまで行った後、トルエンを用いて固形分濃度を50%に調整し、塩基性基を含有する単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体(1)の溶液を得た。得られた共重合体の数平均分子量は8,000であった。
(合成例2〜8、比較合成例1:共重合体(2)〜(8)、比較重合体(1))
単量体を表1に示す種類及び配合量に変更した以外は、合成例1と同様の所作を行い、固形分濃度50%の、塩基性基を含有する単量体由来の繰り返し単位を含む共重合体(2)〜(8)の溶液、及び塩基性基を含有する単量体由来の繰り返し単位を含まない比較重合体(1)の溶液を得た。
得られた共重合体等について表1に示す。
Figure 2021102679
<リガンド:有機酸塩溶液の調整>
(調整例1:カプロン酸ナトリウム)
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、カプロン酸90部、水酸化ナトリウム20部を仕込み、減圧下で120℃に昇温し、そのまま30分間加熱した。水酸化ナトリウムが完全に溶解したことを確認した後、減圧を解除し窒素雰囲気下にした。60℃まで温度を低下させた後、トルエン110部を仕込み、カプロン酸ナトリウム溶液を得た。
(調整例2:オレイン酸ナトリウム)
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、オレイン酸100部、水酸化ナトリウム10部を仕込み、減圧下で120℃に昇温し、そのまま30分間加熱した。水酸化ナトリウムが完全に溶解したことを確認した後、減圧を解除し窒素雰囲気下にした。60℃まで温度を低下させた後、トルエン120部を仕込み、オレイン酸ナトリウム溶液を得た。
(調整例3:リグノセリン酸ナトリウム)
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、オレイン酸140部、水酸化ナトリウム5部を仕込み、減圧下で120℃に昇温し、そのまま30分間加熱した。水酸化ナトリウムが完全に溶解したことを確認した後、減圧を解除し窒素雰囲気下にした。60℃まで温度を低下させた後、トルエン140部を仕込み、リグノセリン酸ナトリウム溶液を得た。
<発光材料組成物の製造>
[実施例1]
(コアの合成)
水酸化セシウム1.68部、酸化鉛(II)2.23部、オレイン酸45部をフラスコに入れ、乾燥窒素気流下で液温130℃に加熱し溶解した。その温度で暫く保持し、発生する水分を系外に除いた後、予め脱水及び乾燥窒素で酸素脱気したトルエン325部を加え、室温まで冷却し、カチオン原料液を得た。
別途、室温下で、テトラオクチルアンモニウムブロミド2.73部、テトラアミルアンモニウムクロリド1.67部、及びオレイン酸5.6部を、トルエン32.5部に溶解し、アニオン原料液を得た。
液温20℃、乾燥窒素下で、カチオン原料液中にアニオン原料液を素早く投入、撹拌し、20秒後に、エタノール160部を投入した後、遠心分離を行い、上澄み液を採取した。
得られた上澄み液に、同容量のアセトンを添加して再度遠心分離を行い、沈降物を回収した。得られた沈降物をトルエンに分散して固形分濃度を5%に調製し、CsPb(Br/Cl)のペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の溶液を得た。
(リガンドの結合)
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、室温且つ窒素雰囲気下で、前記半導体ナノ粒子の溶液20部とトルエン100部とを入れて希釈した。
次いで、オレイン酸ナトリウム溶液3部を加えて1時間攪拌した。アセトン100部を加えた後、遠心分離を行い、沈殿物を回収した。沈降物をトルエンに分散して固形分濃度5%に調製し、コア表面にリガンドが結合した化合物の溶液を得た。
(シェル被覆)
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、室温且つ窒素雰囲気下で、前記コア表面にリガンドが結合した化合物の溶液20部とトルエン100部とを入れて希釈した。
次いで、共重合体(1)溶液2部を加えて1時間攪拌した。アセトン100部を加えた後、遠心分離を行い、沈殿物を回収した。沈降物をトルエンに分散して固形分濃度5%に調製し、リガンドが結合したコアの少なくとも一部を塩基性基含有化合物が被覆した本発明の発光材料と、溶剤とを含む発光材料組成物1を得た。
[実施例2〜8]
共重合体(1)溶液を、表2に示す共重合体の溶液に変更した以外は、実施例1と同様の所作を行い、発光材料組成物2〜8を得た。
[実施例9]
実施例1のコアの合成におけるテトラオクチルアンモニウムブロミド2.73部、テトラアミルアンモニウムクロリド1.67部を、テトラオクチルアンモニウムブロミド5.47部に変更して、CsPbBrのペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の溶液を得た以外は、実施例1と同様の所作を行い、発光材料組成物9を得た。
[実施例10〜16]
オレイン酸ナトリウム溶液及び共重合体(1)溶液を、表2に示す化合物の溶液に変更した以外は、実施例9と同様の所作を行い、発光材料組成物10〜16を得た。
[実施例17]
実施例1のコア合成におけるテトラオクチルアンモニウムブロミド2.73部、テトラアミルアンモニウムクロリド1.67部を、テトラへキシルアンモニウムヨージド4.82部に変更して、CsPbIのペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の溶液を得た以外は、実施例1と同様の所作を行い、発光材料組成物17を得た。
[実施例18〜24]
オレイン酸ナトリウム溶液及び共重合体(1)溶液を、表2に示す化合物の溶液に変更した以外は、実施例17と同様の所作を行い、発光材料組成物18〜24を得た。
[比較例1]
実施例1で得られた、CsPb(Br/Cl)のペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の溶液を発光材料組成物25として用いた。
[比較例2]
実施例1と同様にしてコアの合成を行い、CsPb(Br/Cl)のペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の溶液を得た。次いで、コア表面にリガンドが結合した化合物の溶液を、上記半導体ナノ粒子の溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてシェル被覆の工程を行い、発光材料組成物26を得た。
[比較例3]
比較例2の共重合体(1)溶液を、比較重合体(1)溶液に変更した以外は、比較例2と同様の所作を行い、発光材料組成物27を得た。
[比較例4]
共重合体(1)溶液を、比較重合体(1)の溶液に変更した以外は、実施例1と同様の所作を行い、発光材料組成物28を得た。
[比較例5]
実施例1で得られた、コア表面にリガンドが結合した化合物の溶液を発光材料組成物29として用いた。
[比較例6]
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、室温且つ窒素雰囲気下で、実施例1のコア合成で得られた半導体ナノ粒子の溶液20部とトルエン100部とを入れて希釈した。
次いで、トリ−n−オクチルホスフィン2部を加えて1時間攪拌した。アセトン100部を加えた後、遠心分離を行い、沈殿物を回収した。沈降物をトルエンに分散して固形分濃度5%に調製し、コア表面にリガンドが結合した、発光材料組成物30を得た。
[比較例7]
実施例9で得られた、CsPbBrのペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の溶液を発光材料組成物31として用いた。
[比較例8]
実施例17で得られた、CsPbIのペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子の溶液を発光材料組成物32として用いた。
<発光材料組成物の評価>
得られた発光材料含有組成物について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
[発光特性評価]
発光材料含有組成物について、作製直後及び大気下室温(25℃)で2週間放置した後の、発光ピーク波長、半値全幅、並びに内部量子効率(以下QYという)を測定した。
発光ピーク波長及び半値全幅は、内部量子効率の算出の元となる発光スペクトルの値であり、内部量子効率は、半導体ナノ粒子が吸収した励起光子数を1とした時の蛍光発光の光子数である。各発光材料含有組成物は、励起光波長での光吸収率が0.2〜0.3の間になるようにトルエンで希釈調製して測定してから測定を行った。測定条件を以下に示す。
≪測定条件≫
測定装置:大塚電子(株)量子効率測定装置QE−2000
励起光波長:350nm(発光ピーク波長が450nm未満)
400nm(発光ピーク波長が450nm以上600nm未満)
550nm(発光ピーク波長が600nm以上)
励起光積分範囲:励起光波長±25nm
発光積分範囲:(励起光波長+30)nm〜800nm
Figure 2021102679
表2によれば、本発明の発光材料を含む組成物は、様々な波長を有するコアの種類に依らず、高い量子効率と狭い半値幅を有し、それを長期間維持することができる。特に実施例1〜8は、半値幅が狭く、発光波長450nmの青色として極めて高い内部量子効率を示している。特に、一般式(1)で表される基を有する化合物を含むシェルで被覆された実施例1〜5、9〜13、17〜21は、経時前後の内部量子効率の変化が小さく、より安定性に優れている。
一方、比較例1、7、8のように本願特定のリガンド及びシェルを有しない発光材料を含む組成物は、比較例7のみ作製直後の内部量子効率が高いものの、経時で大きく失活した。また、比較例1、8は、作製直後の内部量子効率が低く、経時で失活した。
比較例2及び5のように、本願特定のリガンドのみ又は本願特定のシェルのみを有する発光材料を含む組成物は、いずれも作製直後の内部量子効率が低く、経時で失活した。
また、比較例3及び4のように、シェルに塩基性基を有しない重合体を有する発光材料を含む組成物は、リガンドの有無に依らずいずれも作製直後の内部量子効率が低く、経時で失活しており、本願の効果が、リガンドとシェルの組み合わせにより発揮されていることを示した。
さらに、比較例6が示すように、既に知られている一般的なリガンドを有する発光材料を含む組成物も、作製直後の内部量子効率が低く、経時で失活した。
なお、比較例の一部において、測定値が装置の測定下限値以下となり有意な値が得られなかったため、測定不可とした。このようなサンプルでは析出等も見られ、半導体ナノ粒子の失活や凝集により著しく量子効率が低下したことを示唆している。
また、実施例1と、比較例1及び4とのピーク波長に大きな変化が確認されたことから、本願発明の特定のリガンド及びシェルは、単にコアを保護しているのではなく、コアに作用して発光特性を向上させていることを示唆している。
したがって、特定のリガンド及びシェルを有している本発明の発光材料は、半値幅が狭く色純度が高い発光を示し、且つ、予測し得ない優れた内部量子効率と内部量子効率の長期安定性を示し、良好な発光特性と経時安定性を有している。
<波長変換部材の製造>
[実施例25〜48、比較例10〜13]
発光材料組成物、重合性化合物、重合開始剤、及び溶剤を表3に示す配合組成で配合し、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を用いて、ガラス基板(10cm×10cm)上にスピンコートを行った後に、熱風乾燥機を用いて80℃で1分間乾燥した。次いで、ベルトコンベア式の紫外線照射器(高圧水銀灯120W/cm灯)を用いて、積算光量400mJ/cmとなるように紫外線を照射して、ガラス基板上に膜厚10μmの硬化膜を形成し、波長変換部材1〜28を得た。
<波長変換部材の評価>
得られた波長変換部材について、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
[外観評価、及び外部量子効率評価]
得られた波長変換部材について、目視での外観評価と、外部量子効率の測定を行い、初期評価とした。次いで、同部材を、恒温恒湿室を用いて湿度70%RH、25℃で1週間静置した後の、外観評価と外部量子効率測定とを、初期評価と同様に行い、経時後評価とした。外部量子効率は以下の基準で判断した。
≪測定条件≫
測定装置: 量子効率測定システム QE−2000(大塚電子株式会社製)
励起光波長: 450nm、蛍光積算範囲: 500−800nm
(判断基準)
〇:外部量子効率が5%以上
△:外部量子効率が1%以上5%未満
×:外部量子効率が1%未満
Figure 2021102679
表3中の略称を以下に示す。
重合性化合物A:ジペンタエリスリトールトリアクリレート
エサキュアOne:ランバルティ社製「ESACURE ONE」(光ラジカル開始剤)
評価結果によれば、本発明の発光材料を用いた波長変換部材は、本発明の構成ではない発光材料を用いた波長変換部材と比較して、外観の経時劣化や外部量子効率の経時劣化を抑制する効果を示した。これは、本発明の発光材料が、特定のリガンド及びシェルで被覆されていることにより、バリア層等を用いなくとも優れた安定性を有しているためと推測される。
比較例10、11、13は、初期の外部量子効率が低く、硬化膜形成プロセスにおいて、すでに発光材料の劣化が進行していることが示唆されるが、本発明の実施例25〜48にはそのような劣化は見られない。よって本発明の発光材料は、膜形成プロセスに耐えうる安定性を有している。
<バックライトユニットの製造と評価>
まず、バックライトユニットの製造のために、以下の発光材料組成物と光拡散層塗布液とを製造した。
[発光材料組成物の製造]
波長変換部材の製造で用いた硬化性組成物を、表4に示す配合で混合して、硬化性の発光材料組成物33及び34を得た。得られた組成物の外観を目視で観察した結果を表4に示す。
Figure 2021102679
[光拡散層塗布液の製造]
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート 70部
(日本合成化学社製、UV1700B)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・アクリル樹脂系拡散粒子 100部
(平均粒子径3μm)
・希釈溶剤 500部
(メチルイソブチルケトン:シクロヘキサノン=1:1(質量比))
[実施例49、比較例14]
厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムの一方の面上に、PVD法にてSiOを蒸着して、厚み20nmの無機バリア層を形成し、バリアフィルムを作製した。
次いで、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面上に、下記処方の光拡散層塗布液を乾燥後の厚みが11μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線照射して光拡散層を形成し光拡散フィルムを作製した。
次いで、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムと、前述のバリアフィルムと、光拡散フィルムとを、この順番で厚み3μmの接着剤層を介して積層し、積層体シートを得た。バリアフィルムと光拡散フィルムとは、両者の二軸延伸PETフィルム側の面が対向するようにして貼り合わせた。上記と同じ作業を繰り返し、もう計2枚の積層体シートを得た。
次いで、一方の積層体シートの二軸延伸PETフィルム側の面に、表4に示す発光材料組成物33又は34を、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布、乾燥した後、塗布面にもう一枚の積層体シートの二軸延伸PETフィルム側の面を貼り合わせ、片方の積層体シートの光拡散層側から紫外線(高圧水銀灯120W/cm灯、積算光量1000mJ/cm)を照射して、発光材料組成物を硬化させてなる波長変換層を有する波長変換部材29及び30を得た。
光源に青色LED(450nm)を用いている市販の液晶表示装置(対角7インチ)を分解し、バックライトを取り出した。バックライトはエッジライト型であり、導光板の下方に反射板、導光板の上方に光拡散フィルム、プリズムシート2枚を有するものであった。なお、2枚のプリズムシートは、下側のものと上側のものとでストライプラインが直交するものであった。
上記バックライトから光拡散フィルムを取り除き、導光板とプリズムシートとの間に、波長変換部材29又は30を配置して、バックライトを得た。バックライトは、導光板の一側面が入光面となるように導光板を配置するとともに、導光板の出光面上に、波長変換部材、プリズムシートをこの順で配置し、さらに、導光板の背面には反射シートを配置して、バックライトユニット1及び2を得た。バックライトユニットを発光させ、発色を目視で確認した結果を表4に示す。
表4の結果によれば、特定のリガンドとシェルとを有する本発明の発光材料を含む波長変換層を備えるバックライトユニットは白色発光を示した(実施例49)のに対して、特定のリガンドとシェルとを有しない発光材料を用いたバックライトユニットは、波長変換層として機能せず、光源である青色発光が確認された(比較例14)。
また、2種類の硬化性組成物を混合した組成物33は、外観評価で透明であったのに対し、組成物34は薄濁りが生じていた。この濁りは、異なる組成のペロブスカイト粒子間でのハロゲン交換反応によるものと推察される。ハロゲン交換反応が起きると、波長の移動や組成の急激な変化に伴い、濁りや凝集が生じ、これらは、組成物の段階で発光性ナノ粒子が失活していることを示している。一方、本発明の発光材料を含む組成物33は、特定のリガンド及びシェルによりコアが保護されているため、ハロゲン交換反応が抑制され、各発光材料が独立して組成物中に存在していると考えられる。
すなわち、本発明の発光材料は、それ自体が高い安定性を有するため、使用形態に制限されることなく、波長変換材料組成物、並びに該組成物を用いた波長変換部材及びバックライトユニットに適用することができた。
したがって、優れた発光特性を有し、安定性に優れる本発明の発光材料は、光波長変換部材のみならず、特定波長による蛍光応答を利用するセキュリティインク、又は電界発光素子等の電子デバイスにも適用することができる。

Claims (10)

  1. ペロブスカイト型結晶構造を有する半導体ナノ粒子を含有するコアと、
    前記コアの表面に結合したリガンドと、
    前記リガンドが結合したコアの少なくとも一部を被覆するシェルと、を含み、
    前記リガンドが有機酸塩を含み、
    前記シェルが塩基性基含有化合物を含む、発光材料。
  2. 前記有機酸塩が、炭素数1〜30の脂肪酸塩である、請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記有機酸塩が、ナトリウム塩である、請求項1又は2に記載の発光材料。
  4. 前記塩基性基含有化合物が、塩基性基含有単量体由来の繰り返し単位を含む重合体である、請求項1〜3いずれか1項に記載の発光材料。
  5. 前記塩基性基含有化合物の塩基性基が、下記一般式(1)で表される基である、請求項1〜4いずれか1項に記載の発光材料。
    一般式(1)
    Figure 2021102679
    [一般式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はアリール基を表す。nは、0〜2の整数である。]
  6. 前記塩基性基含有化合物のアミン価が、1〜400mgKOH/gである、請求項1〜5いずれか1項に記載の発光材料。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の発光材料と溶剤とを含む、発光材料組成物。
  8. 請求項7に記載の発光材料組成物から形成されてなる波長変換層を有する波長変換部材。
  9. 請求項8に記載の波長変換部材と光源とを備えるバックライトユニット。
  10. 請求項9に記載のバックライトユニットと液晶セルとを備える液晶表示装置。
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