JP2021100899A - 非磁性セラミックス成形体とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凹凸の高低差の大きな粗面化構造を有している表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の提供。【解決手段】表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体であって、前記粗面化構造が、前記粗面化構造が形成されていない面を基準面としたとき、前記基準面よりも先端部が高くなっている凸部と、前記基準面よりも底部が低くなっている凹部が混在されているものであり、前記凹部の最も低い底部から前記凸部の最も高い先端部までの距離(H1)と、前記基準面から前記凸部の最も高い先端部までの高さ(H2)の比(H2/H1)が0.10〜0.70の範囲である、表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、非磁性セラミックス成形体、前記非磁性セラミックス成形体の製造方法、前記非磁性セラミックス成形体と他の成形体との複合成形体に関する。
非磁性セラミックスは、食器、カップ、花びんなどの日用品、エンジニアリングセラミックスとして各種成形品に汎用されており、適用する用途に応じて、表面に凹凸を形成する処理をすることが知られている。
特許文献1は、酸性エッチング液により凹凸構造が形成されたセラミックス部材が開示されている。
特許文献2は、特定の凹凸構造を有する焼成用セッターの発明が記載されており(特許請求の範囲)、前記焼成用セッターの材料として、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、スピネル、コーディライトなどが例示されている(段落番号0013)。
特許文献3は、金属製またはセラミックス製の基材と、前記基材の摺動側の表面部に凹部を形成することによって設けられた含浸層と、前記含浸層に含浸し、前記基材の摺動側の表面を被覆している樹脂層と、を備える摺動部材であり、前記凹部は機械加工によって形成されている発明が開示されている(特許請求の範囲)。凹部は複数の直線状の溝であり、前記溝の最大深さは200〜2000μmであることが記載されている(段落番号0026)。
前記機械加工としては、レーザ加工、ワイヤーカット加工などが例示されているが(段落番号0014)、具体的な加工条件についての記載はなく、実施例では鋼をワイヤーカット加工したことが記載されているだけであり、セラミックスについての具体的な記載はない。
特許文献4には、正方晶ジルコニアを含有する医療機器材料の特定部位にリン酸カルシウムでコーティングする、医療機器材料の製造方法であって、前記特定部位に超短パルスレーザーを照射して表面に凹凸を形成する第一工程と、前記特定部位に前記凹凸の周期に比べて小さいリン酸カルシウム微粒子を蒸着または析出させる第二工程とを含むことを特徴とする医療機器材料の製造方法が開示されている(特許請求の範囲)。
特許文献5には、AlNまたはAl23を主成分とするセラミックス基板の少なくとも一方の面の回路パターンと略同一の平面形状の部分に波長300〜1500nmのレーザー光を照射して、そのセラミックス基板の少なくとも一方の面の回路パターンと略同一の平面形状の部分にアルミニウム膜を形成し、このアルミニウム膜上に銅板を配置してアルミニウムと銅の共晶点以上で且つ650℃以下の温度で加熱することにより、アルミニウム膜を介して銅板をセラミックス基板に接合することを特徴とする、金属−セラミックス接合基板の製造方法が開示されている。
特許文献6には、純度95%以上の緻密質セラミックスからなる基材の表面が表面粗さRa3〜40μmの丸みを帯びた第1の凹凸に形成され、かつ、この第1の凹凸の表面が表面粗さRa0.1〜2.9μmの丸みを帯びた第2の凹凸に形成されているセラミックス部材が開示されている。第2の凹凸は第1の凹凸の全面を覆っていることが図示されている。
特許文献7、8には、セラミックス体の表面にレーザー加工して凹凸を形成する技術が開示されている。
特許文献9、10には、連続波レーザーを使用して、2000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射して金属成形体の表面を粗面化する発明、金属成形体と樹脂成形体との複合成形体の製造方法が開示されているが、セラミックスについての記載はない。
特開2002−308683号公報 特許第6032903号公報 WO2011/121808 A1 特開2015−109966号公報 特許第6111102号公報 特開2003−171190号公報 特開2003−137677号公報 特開2004−66299号公報 特許第5774246号公報 特許第5701414号公報
本発明は、凹凸の高低差の大きな粗面化構造を有している表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体、前記非磁性セラミックス成形体の製造方法、前記非磁性セラミックス成形体との他の成形体との複合成形体を提供することを課題とする。
本発明は、表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体であって、
前記粗面化構造が、前記粗面化構造が形成されていない面を基準面としたとき、前記基準面よりも先端部が高くなっている凸部と、前記基準面よりも底部が低くなっている凹部が混在されているものであり、
前記凸部の最も高い先端部から前記凹部の最も低い底部までの距離(H1)と、前記基準面から前記凸部の最も高い先端部までの高さ(H2)の比(H2/H1)が0.10〜0.70の範囲である、表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体、前記非磁性セラミックス成形体の製造方法、前記非磁性セラミックス成形体との第2成形体との複合成形体を提供する。
本発明の表面に粗面化構造を有している非磁性セラミックス成形体は、凸部が盛り上がった状態であり、凹凸部の高低差が大きくなっているため、他の成形体との複合成形体にしたときの接合強度を大きくすることができる。
第2実施形態の粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図。 図1の厚さ方向の断面図。 第3実施形態の粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図。 第4実施形態の粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図。 第5実施形態の粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図。 (a)は直線方向(図中の矢印方向)にパルス波レーザー光を照射するときの照射形態を示す図、(b)は円周方向(図中の矢印方向)にパルス波レーザー光を照射するときの照射形態を示す図。 引張強度の測定方法の説明図。 (a)は実施例1で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は実施例2で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は実施例3で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は比較例1で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は実施例4で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は実施例5で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は比較例2で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は実施例6で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は実施例7で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。 (a)は実施例8で得た粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の平面図(SEM写真)、(b)は(a)の厚さ方向の断面図(SEM写真)。
<表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体>
本発明の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体(以下「粗面化非磁性セラミックス成形体」と略すことがある)の一態様を説明する。
粗面化非磁性セラミックス成形体の形状、大きさ、厚みなどは特に制限されるものではなく、用途に応じて選択されるものである。
粗面化非磁性セラミックス成形体は、粗面化構造が形成されている面と、粗面化構造が形成されていない面を有している。
前記粗面化構造が形成されている面における凹部と凸部の配置状態は特に制限されるものではなく、次の各実施形態にすることができる。
(第1実施形態)
第1実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体は、粗面化構造が形成されている面において、凹部と凸部がランダムに存在しているものである。
凸部は凹部が形成されることにより形成されるものであるため、凹部と凸部は隣接して存在しているものである。
凹部の底部は、断面がV字形状の部分を含んでいてもよい。
凸部の先端部は、断面形状が曲面である部分を含んでいてもよく、先端部表面から突き出された突起からなる突起群を有しているものも含まれる。
前記突起群は、凸部の表面に独立した突起が多数分散された形態のものである。
凹部と凸部の高低差については、凹部の中の最も低い底部から凸部の中の最も高い先端部までの距離(H1)と、基準面(粗面化構造が形成されていない面)から凸部の最も高い先端部までの高さ(H2)の比(H2/H1)は0.10〜0.70の範囲であり、本発明の好ましい一態様は0.10〜0.60の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は0.10〜0.50の範囲である。
(図1の第2実施形態)
第1実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10は、図1に示すとおり、粗面化構造が形成されている面において、互いに間隔をおいて同一方向に形成された複数の線状凹部13と、複数の線状凹部13の間に形成された複数の線状凸部14を有しているものである。
線状凹部13の底部は、断面がV字形状の部分を含んでいてもよい。
線状凸部14の先端部14aは、断面形状が曲面である部分を含んでいてもよく、表面には突起群を有しているものも含まれる。前記突起群は、線状凸部の表面に独立した突起が多数分散された形態のものである。
二つの線状凹部13同士の間隔(ピッチ:P1)は、本発明の好ましい態様は0.03〜0.8mmであり、本発明の別の好ましい態様は0.05〜0.6mmであり、本発明のさらに別の好ましい態様は0.08〜0.5mmである。
図1では、線状凹部13(線状凸部14)のピッチ間隔は等間隔で示されているが、一部の線状凹部13のピッチ間隔が残部の線状凹部13のピッチ間隔と異なっていてもよいし、全ての線状凹部13のピッチ間隔が異なっていてもよい。線状凹部13のピッチ間隔が異なるときは、それに応じて線状凸部14のピッチ間隔も異なることになる。
ピッチP1は、図1に示すとおり、隣接する線状凹部13の幅方向中間位置の間隔である。
粗面化構造が形成されている面は、図2に示すとおり、断面形状においては基準面(粗面化構造が形成されていない面)11よりも底部13aが低くなっている線状凹部13と、基準面11よりも先端部14aが高くなっている線状凸部14が混在されているものである。
線状凸部14は、線状凹部13に挟まれた部分だけでなく、線状凹部13と基準面11が隣接する部分にも形成されており(線状凸部15)、これは他の実施形態においても同様である。
線状凹部13と線状凸部14は、図1に示すとおり、線状凹部13の中の最も低い底部13aから線状凸部14の中の最も高い先端部14aまでの距離(H1)と、基準面11から線状凸部14の最も高い先端部14aまでの高さ(H2)の比(H2/H1)は0.10〜0.70の範囲であり、本発明の好ましい一態様は0.10〜0.60の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は0.10〜0.50の範囲である。
(図3の第3実施形態)
第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Aは、図3に示すとおり、粗面化構造が形成されている面において、互いに間隔をおいて同一方向に形成された複数の線状凹部21からなる第1線状凹部群20と、互いに間隔をおいて第1線状凹部群20に対して直交して形成された複数の線状凹部23からなる第2線状凹部群22と、第1線状凹部群20と第2線状凹部群22により囲まれ、島状に存在している複数の独立凸部26からなる独立凸部群25を有しているものである。
第1線状凹部群20と第2線状凹部群22は、互いに斜めに交わった形態でもよい。
線状凹部21、23の底部は、断面がV字形状の部分を含んでいてもよい。
独立凸部群25の先端部は、断面形状が曲面である部分を含んでいてもよく、表面には突起群を有しているものも含まれる。前記突起群は、独立凸部群25の表面に独立した突起が多数分散された形態のものである。
第1線状凹部群20の隣接する線状凹部21の間隔(ピッチ:P2)は、本発明の好ましい態様は0.03〜0.8mmであり、本発明の別の好ましい態様は0.05〜0.6mmであり、本発明のさらに別の好ましい態様は0.08〜0.5mmである。
図3では、第1線状凹部群20の隣接する線状凹部21のピッチ間隔は等間隔で示されているが、一部の線状凹部21のピッチ間隔が残部の線状凹部21のピッチ間隔と異なっていてもよいし、全ての線状凹部21のピッチ間隔が異なっていてもよい。
ピッチP2は、図3に示すとおり、隣接する線状凹部21の幅方向中間位置の間隔である。
第2線状凹部群22の隣接する線状凹部23の間隔(ピッチ:P3)は、本発明の好ましい態様は0.03〜0.8mmであり、本発明の別の好ましい態様は0.05〜0.6mmであり、本発明のさらに別の好ましい態様は0.08〜0.5mmである。
図3では、第2線状凹部群22の隣接する線状凹部23のピッチ間隔は等間隔で示されているが、一部の線状凹部23のピッチ間隔が残部の線状凹部23のピッチ間隔と異なっていてもよいし、全ての線状凹部23のピッチ間隔が異なっていてもよい。
ピッチP3は、図3に示すとおり、隣接する線状凹部21の幅方向中間位置の間隔である。
ピッチP2とピッチP3は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Aは、基準面(粗面化構造が形成されていない面)11よりも底部が低くなっている第1線状凹部群20と基準面11よりも先端部が高くなっている第2線状凹部群22が混在されているものである。
第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Aの粗面化構造が形成されている部分の断面形状は、図2と同様の形状になっている。
凸部は、第1線状凹部群20と第2線状凹部群22に囲まれた独立凸部26だけでなく、第1線状凹部群20と第2線状凹部群22が基準面11と隣接する部分にも形成されている(図2の線状凸部15に相当する凸部)。
線状凹部21、23の中の最も低い底面部から独立凸部26の中の最も高い先端部までの距離(H1)と、基準面11から最も高い独立凸部26の先端部までの高さ(H2)の比(H2/H1)は0.10〜0.70の範囲であり、本発明の好ましい一態様は0.10〜0.60の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は0.10〜0.50の範囲である。
(図4の第4実施形態)
第4実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Bは、図4に示すとおり、粗面化構造が、独立している複数の環状凹部30と、前記複数の環状凹部30のそれぞれの内側と外側に存在している内側凸部31と外側凸部32を有しているものである。
外側凸部32は、環状凹部30に隣接している部分であり、図2の線状凸部15に相当する凸部である。
複数の環状凹部30は、隣接する環状凹部30同士が接触した形態であってもよい。
環状凹部30は、図4では円形であるが、これに限定されるものではなく、円形に近似したもののほか、楕円形、三角形、四角形。五角形、六角形およびこれらに近似した形状のものでもよく、不定形でもよい。
環状凹部30は、環の一部が切れた不完全な環でもよい。
内側凸部31と外側凸部32の先端部は、断面形状が曲面である部分を含んでいてもよく、表面には突起群を有しているものも含まれる。前記突起群は、内側凸部31と外側凸部32の表面に独立した突起が多数分散された形態のものである。
図4に示す実施形態では環状凹部と環状凸部が形成されていればよく、図1、図3に示す実施形態におけるピッチに相当するものは考慮する必要が無い。
第4実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Bは、基準面(粗面化構造が形成されていない面)11よりも底部が低くなっている環状凹部30と基準面11よりも先端部が高くなっている内側凸部31と外側凸部32が混在されているものである。
第4実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Bの粗面化構造が形成されている部分の断面形状は、図2と同様の形状になっている。
環状凹部30の中の最も低い底面部から内側凸部31と外側凸部32の中の最も高い先端部までの距離(H1)と、基準面11から内側凸部31と外側凸部32の中の最も高い先端部までの高さ(H2)の比(H2/H1)は0.10〜0.70の範囲であり、本発明の好ましい一態様は0.10〜0.60の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は0.10〜0.50の範囲である。
(図5の第5実施形態)
第5実施形態の非磁性セラミックス成形体10Cは、図5に示すとおり、粗面化構造が、中心から外側方向に渦巻き状に形成された渦巻き状凹部40と、渦巻き状凹部40に接する部分に存在している内側凸部41と外側凸部42を有しているものである
内側凸部41は渦巻き状凹部40の内側に形成されているものである。外側凸部42は渦巻き状凹部40の外側に形成されているものであり、図2に線状凸部15に相当するものである。
図5に示す実施形態では、渦巻き状凹部と渦巻き状凸部が形成されていればよく、図1、図3に示す実施形態におけるピッチに相当するものは考慮する必要が無い。
第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Cは、基準面(粗面化構造が形成されていない面)11よりも底部が低くなっている渦巻き状凹部40と基準面11よりも先端部が高くなっている内側凸部41と外側凸部42が混在されているものである。
第4実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10Cの粗面化構造が形成されている部分の断面形状は、図2と同様の形状になっている。
渦巻き状凹部40の中の最も低い底面部から内側凸部41と外側凸部42の中の最も高い先端部までの距離(H1)と、基準面11から内側凸部41と外側凸部42の中の最も高い先端部までの高さ(H2)の比(H2/H1)は0.1〜0.7の範囲であり、本発明の好ましい一態様は0.10〜0.60の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は0.10〜0.50の範囲である。
第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体10、10A〜10Cの表面の粗面化構造部分は、本発明の好ましい一態様は下記(a)〜(d)の要件を満たしているものである。
要件(a)のSa(算術平均高さ)(ISO 25178)は、本発明の好ましい一態様は15〜80μm、本発明の別の好ましい一態様は15〜70μm、本発明のさらに別の好ましい一態様は20〜60μm、本発明のさらに別の好ましい一態様は25〜50μmである。
要件(b)のSz(最大高さ)(ISO 25178)は、本発明の好ましい一態様は120〜800μm、本発明の別の好ましい一態様は130〜700μm、本発明のさらに別の好ましい一態様は140〜600μm、本発明のさらに別の好ましい一態様は150〜500μmである。
要件(c)のSdr(界面の展開面積比)(ISO 25178)は、本発明の好ましい一態様は0.5〜10.0、本発明の別の好ましい一態様は1.0〜8.0、本発明のさらに別の好ましい一態様は1.2〜6.0、本発明のさらに別の好ましい一態様は1.4〜5.0である。
要件(d)のSdq(二乗平均平方根傾斜)(ISO 25178)は、本発明の好ましい一態様は1.0〜10、本発明の別の好ましい一態様は1.5〜8.0、本発明のさらに別の好ましい一態様は1.8〜7.5、本発明のさらに別の好ましい一態様は2.0〜7.0である。
粗面化非磁性セラミックス成形体の原料非磁性セラミックスは、酸化物系の非磁性セラミックス,窒化物系の非磁性セラミックス、炭化物系の非磁性セラミックスなどから選ばれるものを使用することができる。
酸化物系の非磁性セラミックス成形体は、本発明の好ましい一態様はアルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ウラン、β−アルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト(2MgO・SiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ステアタイト(MgO・SiO2)、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛などの酸化物系セラミックスを含む成形体であり、これらの中でも本発明の別の好ましい一態様はアルミナまたはジルコニアを含むものである。
アルミナは、アルミナのみからなるもののほか、所定の熱衝撃温度を満たす範囲内であれば、アルミナと、他の非磁性セラミックス、金属との複合体からなるものでもよい。
所定の熱衝撃温度(JIS R1648:2002)は、本発明の好ましい一態様は150〜700℃の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は180〜680℃の範囲であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は200〜650℃の範囲である。
アルミナを含む非磁性セラミックス成形体は、レーザー光の照射による加工時において割れることを防止するため、本発明の好ましい一態様は厚さが0.5mm以上のものであり、本発明の別の好ましい一態様は厚さが1.0mm以上であるものである。
ジルコニアは、ジルコニアのみからなるもののほか、所定の熱衝撃温度を満たす範囲内であれば、ジルコニアと、他の非磁性セラミックス、金属との複合体からなるものでもよい。
所定の熱衝撃温度(JIS R1648:2002)は、本発明の好ましい一態様は1〜10℃の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は3〜8℃である。
ジルコニアを含む非磁性セラミックス成形体は、レーザー光の照射時においてクラックが発生したり、割れたりすることを防止するため、本発明の好ましい一態様は厚さが3.0mm以上のものであり、本発明の別の好ましい一態様は厚さが3.5mm以上のものである。
窒化物系の非磁性セラミックス成形体は、本発明の好ましい一態様は窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、サイアロン(SiAlON)、炭窒化チタンなどの窒化物系セラミックスを含む成形体であるが、これらの中でも本発明の別の好ましい一態様は窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭窒化チタンを含む成形体である。
窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭窒化チタンは、それぞれ単独からなるもののほか、所定の熱衝撃温度を満たす範囲内であれば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭窒化チタンと、他の非磁性セラミックス、金属(例えば、アルミニウム、銅、マグネシウム、黄銅)、半金属(例えば、ケイ素)との複合体からなるものでもよい。前記複合体にするときは、窒化物系の非磁性セラミックスの含有割合は、本発明の好ましい一態様は50質量%以上であり、本発明の別の好ましい一態様は60質量%以上であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は70質量%以上である。
所定の熱衝撃温度(JIS R1648:2002)は、本発明の好ましい一態様は500〜750℃の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は530〜700℃の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は530〜670℃の範囲である。
窒化アルミニウム、窒化ケイ素または炭窒化チタンを含む窒化物系の非磁性セラミックス成形体は、加工時において割れることを防止するため、本発明の好ましい一態様は厚さが0.5mm以上のものであり、本発明の別の好ましい一態様は厚さが1.0mm以上であるものである。
炭化物系の非磁性セラミックス成形体は、本発明の好ましい一態様は炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステン、炭化ホウ素などの炭化物系の非磁性セラミックスを含む成形体であるが、これらの中でも本発明の別の好ましい一態様は炭化ケイ素を含むものである。
炭化ケイ素は、炭化ケイ素のみからなるもののほか、所定の熱衝撃温度を満たす範囲内であれば、炭化ケイ素と、他の非磁性セラミックス、金属、半金属との複合体からなるものでもよい。
炭化ケイ素と金属との複合体は、本発明の好ましい一態様は多孔質に成形した炭化ケイ素成形体の多孔内部に金属(例えば、アルミニウム)または半金属(例えば、ケイ素)を含浸させたものであり、このような複合体における本発明の好ましい一態様は炭化ケイ素の含有割合は50質量%以上であるものである。
所定の熱衝撃温度(JIS R1648:2002)は、本発明の好ましい一態様は400〜500℃の範囲であり、本発明の別の好ましい一態様は420〜480℃の範囲である。
炭化ケイ素を含む非磁性セラミックス成形体は、加工時において割れることを防止するため、本発明の好ましい一態様は厚さが0.5mm以上のものであり、本発明の別の好ましい一態様は厚さが1.0mm以上であるものである。
<粗面化非磁性セラミックス成形体の製造方法>
本発明の第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体の製造方法の一態様を説明する。
第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体は、非磁性セラミックス成形体の表面に対してパルス波レーザー光を照射して凹凸を形成することで製造することができる。
図1、図2に示す第2実施形態は、図6(a)に示すようにしてパルス波レーザー光をドット状(孔状)に照射し、多数のドット(孔)を繋いで1本の線を形成することで1本の線状凹部13を形成する。
同様に繰り返し、間隔をおいて複数本の線状凹部13を形成すると、隣接する線状凹部13の間に線状凸部14を形成することができ、一番外側の線状凹部13に接する線状凸部15を形成することができる。
図2に示すZ1はパルス波レーザー光の照射範囲であり、Z2はパルス波レーザー光の非照射範囲である。但し、Z1の範囲であっても、線状凸部14にはパルス波レーザー光は照射されていない。
図3に示す第3実施形態は、図1に示す第2実施形態と同様にしてパルス波レーザー光を照射し、第1線状凹部群20と第2線状凹部群22を形成することで、独立凸部群25を形成することができる。
図4に示す第4実施形態は、図6(b)に示すようにしてパルス波レーザー光をドット状に照射し、多数のドットを繋いで一つの円(環)を形成することで、環状凹部30と、内側凸部31、外側凸部32を形成することができる。
図5に示す第5実施形態は、図6(b)に示すパルス波レーザー光の照射方法を応用して渦巻き状に照射することで、中心から外側方向に渦巻き状に形成された渦巻き状凹部40、内側凹部41、外側凹部42を形成することができる。
第1実施形態は、凹部と凸部がランダムに形成されている形態であるため、パルス波レーザー光を照射するとき、例えば、図6(a)と図6(b)の照射形態を適宜組み合わせて照射することで形成することができる。
第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体を製造するため、非磁性セラミックス成形体にパルス波レーザー光を照射するとき、下記の(i)〜(V)を調整することで、表面に粗面化構造を形成することができる。
パルス波レーザー光を照射する方法は、通常のパルス波レーザー光を照射する方法のほか、特許第5848104号公報、特許第5788836号公報、特許第5798534号公報、特許第5798535号公報、特開2016−203643号公報、特許第5889775号公報、特許第5932700号、特許第6055529号公報に記載のパルス波レーザー光の照射方法と同様にして実施することができる。
<要件(i)非磁性セラミックス成形体に対してパルス波レーザー光を照射するときの照射角度>
前記照射角度は、本発明の好ましい一態様は15度〜90度であり、本発明の別の好ましい一態様は45〜90度である。
<要件(ii)非磁性セラミックス成形体に対してパルス波レーザー光を照射するときの照射速度>
前記照射速度は、本発明の好ましい一態様は10〜500mm/secであり、本発明の別の好ましい一態様は10〜300mm/secであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は20〜250mm/secであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は30〜250mm/secである。
<(iii)非磁性セラミックス成形体に対してパルス波レーザー光を照射するときのエネルギー密度>
前記エネルギー密度は、レーザー光の1パルスのエネルギー出力(W)と、レーザー光(スポット面積(cm2)(π・〔スポット径/2〕2)から求められる。
前記エネルギー密度は、本発明の好ましい一態様は0.1〜50GW/cm2であり、本発明の別の好ましい一態様は0.1〜20GW/cm2であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.5〜10GW/cm2であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.5〜5GW/cm2である。エネルギー密度が大きくなるほど、孔は深くかつ大きくなる。
パルス波レーザー光の1パルスのエネルギー出力(W)は、次式から求められるものである。
パルス波レーザー光の1パルスのエネルギー出力(W)=(レーザー光の平均出力/周波数)/パルス幅
平均出力は、本発明の好ましい一態様は4〜400Wであり、本発明の別の好ましい一態様は5〜100Wであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は10〜100Wである。他のレーザー光の照射条件が同一であれば、出力が大きいほど孔は深くかつ大きくなり、出力が小さいほど孔は浅くかつ小さくなる。
周波数(KHz)は、本発明の好ましい一態様は0.001〜1000kHzであり、本発明の別の好ましい一態様は0.01〜500kHzであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.1〜100kHzである。
パルス幅(nsec)は、本発明の好ましい一態様は1〜10,000nsecであり、本発明の別の好ましい一態様は1〜1,000nsecであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は1〜100nsecである。
レーザー光のスポット径(μm)は、本発明の好ましい一態様は1〜300μm、本発明の別の好ましい一態様は10〜300μm、本発明のさらに別の好ましい一態様は20〜150μm、本発明のさらに別の好ましい一態様は20〜80μmである。
<(iv)非磁性セラミックス成形体に対してパルス波レーザー光を照射するときの繰り返し回数>
繰り返し回数(図6に示す一つのドット(孔)を形成するための合計のレーザー光の照射回数)は、本発明の好ましい一態様は1〜80回であり、本発明の別の好ましい一態様は3〜50回であり、本発明のさらに別の好ましい一態様は5〜30回である。同一のレーザー照射条件であれば、繰り返し回数が多いほど孔(凹部)が深くかつ大きくなり、繰り返し回数が少ないほど孔(凹部)が浅くかつ小さくなる。
<(v)非磁性セラミックス成形体に対してパルス波レーザー光を照射するときのピッチ間隔>
非磁性セラミックス成形体に対してレーザー光をライン状に照射するとき、隣接する線状凹部(ライン)同士の間隔(ピッチ)を広くしたり、狭くしたりすることで、孔(凹部)の大きさ、孔(凹部)の形状、孔(凹部)の深さを調整することができる。
但し、図4に示す実施形態では、環状凹部と環状凸部が形成されるようにパルス波レーザー光を照射すればよく、図5に示す実施形態では、渦巻き状凹部および渦巻き状凸部が形成されるようにパルス波レーザー光を照射すればよい。図4および図5に示すいずれの実施形態においても、図1および図2に示す実施形態のようなピッチに相当する要件は考慮する必要は無く、要件(v)は不要である。
ピッチ間隔は、本発明の好ましい一態様は0.01〜1.0mmであり、本発明の別の好ましい一態様は0.01〜0.8mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.03〜0.5mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.05〜0.5mmである。
ピッチが狭いと、隣接する線状凹部(ライン)にも熱的影響が及ぶため、孔は大きくなり、孔の形状は複雑になり、孔の深さは深くなる傾向にあるが、熱的影響が大きくなり過ぎると複雑で深い形状の孔が形成され難くなることもある。
ピッチが広いと、孔は小さくなり、孔の形状は複雑にはならず、孔はあまり深くならない傾向にあるが、処理速度を高めることはできる。
その他の照射条件として、非磁性セラミックス成形体に対してレーザー光を照射するとき、前記成形体から放熱させながら照射する照射形態も含めることができる。
例えば、非磁性セラミックス成形体と、前記非磁性セラミックス成形体よりも熱伝導率の大きい金属成形体を接触させた状態でレーザー光を照射する第1方法、前記成形体を中空に保持した状態でレーザー光を照射する第2方法が挙げられる。
その他、レーザー光の波長は、本発明の別の好ましい一態様は500〜11,000nmである。
本発明の第1実施形態〜第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体の製造方法の別態様を説明する。
別態様の第1実施形態〜第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体の製造方法は、非磁性セラミックス成形体の表面に対して、連続波レーザー光を使用して500mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射して製造する方法である。
第1実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体は、同一方向または異なる方向に直線、曲線およびこれらの組み合わせからなる複数本の線が形成されるようにランダムに連続波レーザー光を連続照射して製造することができる。
図1、図2に示す第2実施形態は、連続波レーザー光を連続照射して、等間隔または異なる間隔の複数の線状凹部13を形成することで、複数の線状凹部13と複数の線状凸部14を交互に形成することができる。
図2に示すZ1は連続波レーザー光の照射範囲であり、Z2は連続波レーザー光の非照射範囲である。但し、Z1の範囲であっても、線状凸部14には連続波レーザー光は照射されていない。
図3に示す第3実施形態は、図1に示す第2実施形態と同様にして連続波レーザー光を照射して第1線状凹部群20を形成した後、第1線状凹部群20に対して直交する方向になるように第2線状凹部群22を形成することで、独立凸部群25を形成することができる。
レーザー光の照射速度は、非磁性セラミックス成形体を粗面化するため、本発明の好ましい一態様は800mm/sec以上であり、本発明の別の好ましい一態様は800〜20,000mm/secであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は800〜10,000mm/secである。
レーザー光の照射速度が500mm/sec以上であると、非磁性セラミックス成形体の表面に粗面化構造を形成することができる。
レーザーの出力は、本発明の好ましい一態様は100〜4000Wであり、本発明の別の好ましい一態様は200〜2000Wであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は300〜1000Wである。
レーザー光の出力は、レーザー光の照射速度が上記した範囲内で遅いときは小さくして、レーザー光の照射速度が上記した範囲内で速いときは大きくすることで粗面化状態を調整することができる好ましい。
例えば、レーザー光の出力が100Wであるときは、本発明の好ましい一態様はレーザー光の照射速度5000〜7500mm/secであり、レーザー光の出力が500Wであるときは、本発明の好ましい一態様はレーザー光の照射速度7500〜10,000mm/secである。
レーザー光のスポット径は、本発明の好ましい一態様は10〜100μmであり、本発明の別の好ましい一態様は10〜75μmである。
レーザー光照射時のエネルギー密度は、本発明の好ましい一態様は3〜1500MW/cm2であり、本発明の別の好ましい一態様は5〜700MW/cm2である。
レーザー光照射時のエネルギー密度は、レーザー光の出力(W)と、レーザー光(スポット面積(cm2)(π・〔スポット径/2〕2)から次式:レーザー光の出力/スポット面積により求められる。
レーザー光照射時の繰り返し回数(パス回数)は、本発明の好ましい一態様は1〜50回、本発明の別の好ましい一態様は3〜40回、本発明のさらに別の好ましい一態様は5〜30回である。レーザー光照射時の繰り返し回数は、レーザー光を線状に照射するとき、1本のライン(溝)を形成するために照射する合計回数である。
1本のラインに繰り返し照射するときは、双方向照射と一方向照射を選択することができる。
双方向放射は、1本のライン(溝)を形成するとき、ライン(溝)の第1端部から第2端部に連続波レーザーを照射した後、第2端部から第1端部に連続波レーザーを照射して、その後は、第1端部から第2端部、第2端部から第1端部というように繰り返し連続波レーザーを照射する方法である。
一方向照射は、第1端部から第2端部への一方向の連続波レーザー照射を繰り返す方法である。
双方向放射または一方向照射したときは、粗面化構造部分の凹部の平面形状は、図1〜図3に示すような形状になる。
レーザー光を直線状に照射するとき、隣接する照射ライン(隣接する照射により形成された溝)の幅の中間位置同士の間隔(ライン間隔またはピッチ間隔)は、上記した二つの線状凹部13同士の間隔(ピッチ:P1)になるように調整する。
波長は、本発明の好ましい一態様は300〜1200nmであり、本発明の別の好ましい一態様は500〜1200nmである。
焦点はずし距離は、本発明の好ましい一態様は−5〜+5mmであり、本発明の別の好ましい一態様は−1〜+1mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は−0.5〜+0.1mmである。焦点はずし距離は、設定値を一定にしてレーザー照射しても良いし、焦点はずし距離を変化させながらレーザー照射しても良い。例えば、レーザー照射時に、焦点はずし距離を徐々に小さくしたり、周期的に大きくしたり小さくしたりしてもよい。
本発明の第1実施形態〜第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体の製造方法のさらに別態様を説明する。
さらに別態様の第1実施形態〜第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体の製造方法は、非磁性セラミックス成形体の表面に対して、連続波レーザー光を使用して5000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を直線、曲線または直線と曲線の組み合わせになるように連続照射するとき、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する。
さらに別態様の第1実施形態〜第3実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体の製造方法は、特開2018-144104号公報に記載の発明と同様に実施することができる。
レーザー光の照射部分の長さ(L1)と非照射部分長さ(L2)は、L1/L2=1/9〜9/1の範囲になるように調整することができる。
レーザー光の照射部分の長さ(L1)は、複雑な多孔構造に粗面化するためには、本発明の好ましい一態様は0.05mm以上であり、本発明の別の好ましい一態様は0.1〜10.0mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様は0.3〜7.0mmである。
デューティ比は、レーザー光の出力のON時間とOFF時間から次式により求められる比である。
デューティ比(%)=ON時間/(ON時間+OFF時間)×100
デューティ比は、L1とL2(すなわち、L1/[L1+L2])に対応するものであるから、10〜90%の範囲から選択することができる。
デューティ比を調整してレーザー光を照射することで、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射することができる。
連続波レーザーは公知のものを使用することができ、例えば、YVO4レーザー、ファイバーレーザー(好ましくはシングルモードファイバーレーザー)、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、紫外線レーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、He−Neレーザー、窒素レーザー、キレートレーザー、色素レーザーを使用することができる。これらの中でもエネルギー密度が高められることから、ファイバーレーザーが好ましく、本発明の好ましい一態様はシングルモードファイバーレーザーである。
<複合成形体>
本発明の複合成形体の一態様を説明する。
複合成形体は、上記した粗面化非磁性セラミックス成形体(第1成形体)と他の材料からなる第2成形体との複合成形体である。
複合成形体の第1実施形態は、少なくとも粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造の凹部内に第2成形体の構成材料が侵入されて接合されているものである。
複合成形体の第2実施形態は、粗面化非磁性セラミックス成形体と第2成形体の接合面に接着剤層が介在されており、少なくとも粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造の凹部内に接着剤層を構成する接着剤が侵入されていることで、接着剤層を介して粗面化非磁性セラミックス成形体と第2成形体が接合されているものである。
第2成形体は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム、金属、紫外線硬化性樹脂、異なる種類または異なる形状の非磁性セラミックスから選ばれる材料からなるものを使用することができる。
(1)粗面化非磁性セラミックス成形体と樹脂成形体との複合成形体の製造方法
第1工程にて、上記した第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体を製造する。
第2工程にて、第1工程において得た粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含む部分を金型内に配置して、前記樹脂成形体となる樹脂を射出成形するか、または
第2工程では、第1工程において得た粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含む部分を金型内に配置して、少なくとも前記粗面化構造を含む部分と前記樹脂成形体となる樹脂を接触させた状態で圧縮成形する。
第2工程で使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のほか、熱可塑性エラストマーも含まれる。
熱可塑性樹脂は、用途に応じて公知の熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。例えば、ポリアミド系樹脂(PA6、PA66等の脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド)、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂などのスチレン単位を含む共重合体、ポリエチレン、エチレン単位を含む共重合体、ポリプロピレン、プロピレン単位を含む共重合体、その他のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂を挙げることができる。
熱硬化性樹脂は、用途に応じて公知の熱硬化性樹脂から適宜選択することができる。例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ビニルウレタンを挙げることができる。
熱硬化性樹脂を使用するときは、プレポリマー形態のものを使用し、後工程において加熱硬化処理をする。
熱可塑性エラストマーは、用途に応じて公知の熱可塑性エラストマーから適宜選択することができる。例えば、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを挙げることができる。
これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマーには、公知の繊維状充填材を配合することができる。
公知の繊維状充填材としては、炭素繊維、無機繊維、金属繊維、有機繊維等を挙げることができる。
炭素繊維は周知のものであり、PAN系、ピッチ系、レーヨン系、リグニン系等のものを用いることができる。
無機繊維としては、ガラス繊維、玄武岩繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維等を挙げることができる。
金属繊維としては、ステンレス、アルミニウム、銅等からなる繊維を挙げることができる。
有機繊維としては、ポリアミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維、ジアミンとジカルボン酸のいずれか一方が芳香族化合物である半芳香族ポリアミド繊維、脂肪族ポリアミド繊維)、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリエステル繊維(全芳香族ポリエステル繊維を含む)、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリイミド繊維、液晶ポリエステル繊維などの合成繊維や天然繊維(セルロース系繊維など)や再生セルロース(レーヨン)繊維などを用いることができる。
これらの繊維状充填材は、繊維径が3〜60μmの範囲のものを使用することができるが、これらの中でも、例えば金属成形体10の接合面12が粗面化されて形成される開放孔30などの開口径より小さな繊維径のものを使用することができる。繊維径は、本発明の好ましい一態様は5〜30μm、本発明の別の好ましい一態様は7〜20μmである。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー100質量部に対する繊維状充填材の配合量は、本発明の好ましい一態様は5〜250質量部である。本発明の別の好ましい一態様は25〜200質量部、本発明のさらに別の好ましい一態様は45〜150質量部である。
(2−1)粗面化非磁性セラミックス成形体とゴム成形体との複合成形体の製造方法
第1工程にて、上記した第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体を製造する。
第2工程にて、第1工程において得た粗面化非磁性セラミックス成形体とゴム成形体をプレス成形やトランスファー成形などの公知の成形方法を適用して一体化させる。
プレス成形法を適用するときは、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含む部分を金型内に配置して、前記粗面化構造を含む部分に対して、加熱および加圧した状態で前記ゴム成形体となる未硬化ゴムをプレスした後、冷却後に取り出す。
トランスファー成形法を適用するときは、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含む部分を金型内に配置して、未硬化ゴムを金型内に射出成形し、その後、加熱および加圧して、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含む部分とゴム成形体を一体化させ、冷却後に取り出す。
なお、使用するゴムの種類によっては、主として残留モノマーを除去するため、金型から取り出した後、オーブンなどでさらに二次加熱(二次硬化)する工程を付加することができる。
この工程で使用するゴム成形体のゴムは特に制限されるものではなく、公知のゴムを使用することができるが、熱可塑性エラストマーは含まれない。
公知のゴムとしては、エチレン‐プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン‐プロピレン‐ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン‐オクテンコポリマー(EOM)、エチレン‐ブテンコポリマー(EBM)、エチレン‐オクテンターポリマー(EODM)、エチレン‐ブテンターポリマー(EBDM)などのエチレン‐α‐オレフィンゴム;
エチレン/アクリル酸ゴム(EAM)、ポリクロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)、水添NBR (HNBR)、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、エピクロルヒドリン(ECO)、ポリブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(合成ポリイソプレンを含む) (NR)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ブロム化ポリメチルスチレン‐ブテンコポリマー、スチレン‐ブタジエン‐スチレンおよびスチレン‐エチレン‐ブタジエン‐スチレンブロックコポリマー、アクリルゴム(ACM)、エチレン‐酢酸ビニルエラストマー(EVM)、およびシリコーンゴムなどを使用することができる。
ゴムには、必要によりゴムの種類に応じた硬化剤を含有させるが、その他、公知の各種ゴム用添加剤を配合することができる。ゴム用添加剤としては、硬化促進剤、老化防止剤、シランカップリング剤、補強剤、難燃剤、オゾン劣化防止剤、充填剤、プロセスオイル、可塑剤、粘着付与剤、加工助剤などを使用することができる。
(2−2)粗面化非磁性セラミックス成形体とゴム成形体との複合成形体(接着剤層を含む)の製造方法
第1工程にて、上記した第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体を製造する。
第2工程にて、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造面に接着剤(接着剤溶液)を塗布して接着剤層を形成する。このとき、接着剤を圧入するようにしてもよい。
接着剤を塗布することで、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造面と凹部内に接着剤を存在させる。
接着剤は、特に制限されるものではなく、公知の熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤、ゴム系接着剤などを使用することができる。
熱可塑性接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル系接着剤、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー、塩素化ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、プラスチゾル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ナイロン、飽和無定形ポリエステル、セルロース誘導体を挙げることができる。
熱硬化性接着剤としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ビニルウレタンを挙げることができる。
ゴム系接着剤としては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、ポリイソブチレン−ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンRTV、塩化ゴム、臭化ゴム、クラフトゴム、ブロック共重合体、液状ゴムを挙げることができる。
第3工程にて、
前工程において接着剤層を形成した粗面化非磁性セラミックス成形体の面に対して別途成形したゴム成形体を接着する工程、または
前工程において接着剤層を形成した粗面化非磁性セラミックス成形体の面を含む部分を金型内に配置して、粗面化非磁性セラミックス成形体の面とゴム成形体となる未硬化ゴムを接触させた状態で加熱および加圧して一体化させる工程を実施する。この工程の場合には、主として残留モノマーを除去するため、金型から取り出した後、オーブンなどでさらに二次加熱(二次硬化)する工程を付加することができる。
(3−1)粗面化非磁性セラミックス成形体と金属成形体との複合成形体の製造方法
第1工程にて、上記した第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体を製造する。
第2工程にて、金型内に粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含む面が上になるように配置する。
その後、例えば周知のダイカスト法を適用して、溶融状態の金属を金型内に流し込んだ後、冷却する。
使用する金属は、粗面化非磁性セラミックス成形体を構成する非磁性セラミックスの融点よりも低い融点のものであれば制限されない。
例えば、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、金、銀、プラチナ、銅、マグネシウム、チタンまたはそれらの合金、ステンレスなどの複合成形体の用途に応じた金属を選択することができる。
(3−2)粗面化非磁性セラミックス成形体と金属成形体との複合成形体(接着剤層あり)の製造方法
第1工程と第2工程は、上記した「(2−2)粗面化非磁性セラミックス成形体とゴム成形体との複合成形体(接着剤層を含む)の製造方法」と同様に実施して、接着剤層を有する粗面化非磁性セラミックス成形体を製造する。
第3工程では、接着剤層を有する粗面化非磁性セラミックス成形体の接着剤層に金属成形体を押しつけて接着・一体化する。
接着剤層が熱可塑性樹脂系接着剤からなるものであるときは、必要に応じて加熱して接着剤層を軟らかくした状態で、非金属成形体の接着面と接着させることができる。
また接着剤層が熱硬化性樹脂系接着剤のプレポリマーからなるものであるときは、接着後に加熱雰囲気に放置してプレポリマーを加熱硬化させる。
(4)粗面化非磁性セラミックス成形体とUV硬化性樹脂成形体との複合成形体の製造方法
第1工程にて、上記した第1実施形態〜第5実施形態の粗面化非磁性セラミックス成形体を製造する。
次の工程にて、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含めた部分に対して、UV硬化性樹脂層を形成するモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を接触させる(モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物の接触工程)。
モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物の接触工程は、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含めた部分に対してモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を塗布する工程を実施することができる。
モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を塗布する工程は、刷毛塗り、ドクターブレードを使用した塗布、ローラー塗布、流延、ポッティングなどを単独で使用したり、組み合わせて使用したりすることができる。
モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物の接触工程は、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造を含めた部分を型枠で包囲して、前記型枠内にモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を注入する工程を実施することができる。
またモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物の接触工程は、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造部分を上にした状態で型内部に入れた後、前記型内部にモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を注入する工程を実施することができる。
このモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物の接触工程によって、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造にモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物が入り込む。
粗面化構造部分にモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物が入り込む形態は、例えば、粗面化構造の全部に入り込む形態と粗面化構造の一部に入り込む形態が含まれる。
モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、常温で液体のもの(低粘度のゲルも含む)や溶剤に溶解された溶液形態のものはそのまま塗布または注入することができ、固体(粉末)のものは加熱溶融させたり、溶剤に溶解させたりした後で塗布または注入することができる。
モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物の接触工程で使用するモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物は、ラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合性モノマーのオリゴマーから選ばれるものであるか、カチオン重合性モノマーおよび前記モノマーのカチオン重合性モノマーオリゴマー、またはそれらから選択される2種以上の混合物から選ばれるものである。
(ラジカル重合性モノマー)
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニルエーテル基、ビニルアリール基、ビニルオキシカルボニル基などのラジカル重合性基を一分子内に1つ以上有する化合物などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、1−ブテン−3−オン、1−ペンテン−3−オン、1−ヘキセン−3−オン、4−フェニル−1−ブテン−3−オン、5−フェニル−1−ペンテン−3−オンなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリロイルアミノ基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミドなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルエーテル基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルアリール基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、スチレン、ジビニルベンゼン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、酢酸4−ビニルフェニル、(4−ビニルフェニル)ジヒドロキシボラン、N−(4−ビニルフェニル)マレイミドなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルオキシカルボニル基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、ギ酸イソプロペニル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル、イソ酪酸イソプロペニル、カプロン酸イソプロペニル、吉草酸イソプロペニル、イソ吉草酸イソプロペニル、乳酸イソプロペニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(カチオン重合性モノマー)
カチオン重合性モノマーとしては、エポキシ環(オキシラニル基)、ビニルエーテル基、ビニルアリール基などのオキセタニル基等の以外のカチオン重合性基を一分子内に1つ以上有する化合物などが挙げられる。
エポキシ環を一分子内に一つ以上有する化合物としては、グリシジルメチルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などが挙げられる。
ビニルエーテル基を一分子内に1つ以上有する化合物、ビニルアリール基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、ラジカル重合性化合物(a−2)として例示した化合物と同様の化合物が挙げられる。
オキセタニル基を一分子内に一つ以上有する化合物としては、としては、トリメチレンオキシド、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、3−エチル−3{〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンなどが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーとカチオン重合性モノマーのオリゴマーは、単官能または多官能(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられ。1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
単官能または多官能(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応により得ることができる。
前記ポリオールとしては、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得られる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールの脱水縮合反応によって両末端に水酸基を有するポリエーテルオリゴマーを得、次いで、その両末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリカルボン酸とポリオールの縮合によって両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーを得、次いで、その両末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
単官能または多官能(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、本発明の好ましい一態様は100,000以下であり、本発明の別の好ましい一態様は500〜50,000である。
上記したモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を使用するときは、前記モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物100質量部に対して、本発明の好ましい一態様は0.01〜10質量部の光重合開始剤を使用することである。
次の工程にて、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化部分を含む部分と接触されたモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物に対してUVを照射して硬化させ、硬化性樹脂層を有する複合成形体を得る。
(5)粗面化非磁性セラミックス成形体同士の複合成形体、または粗面化非磁性セラミックス成形体と、異なる形状または異なる種類の非磁性セラミックス成形体の複合成形体の製造方法
粗面化非磁性セラミックス成形体同士の複合成形体は、例えば、異なる形状の粗面化非磁性セラミックス成形体の複数を使用し、それらの接合面に形成させた接着剤層を介して接合一体化させることで製造することができる。
前記接着剤層は、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造部分に接着剤を塗布するなどして形成することができる。接着剤としては、上記した他の複合成形体の製造で使用したものと同じものを使用することができる。
さらに粗面化非磁性セラミックス成形体と異なる種類の非磁性セラミックス成形体からなる複合成形体も同様にして製造することができる。
この実施形態では、粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造部分に接着剤層を形成して、異なる種類の非磁性セラミックス成形体と接合一体化させる方法のほか、異なる種類の非磁性セラミックス成形体の表面も粗面化構造にして接着剤層を形成した後、粗面化非磁性セラミックス成形体の接着剤層を有する面と異なる種類の非磁性セラミックス成形体の接着剤層を有する面を接合一体化させて複合成形体を製造することができる。
異なる種類の非磁性セラミックスは、酸化物系、窒化物系、炭化物系、硼化物系、珪化物系などから選ばれるものである。
異なる種類の非磁性セラミックス成形体の表面を粗面化する方法としては、非磁性セラミックスの種類により方法や条件が異なるが、例えば、本発明と同様にレーザー光を照射する方法、やすり加工、ブラスト加工、エッチング加工などで粗面化する方法を適用することができる。
粗面化非磁性セラミックス成形体(第1成形体)と第2成形体の接合強度は、本発明の好ましい一態様は10MPa以上であり、本発明の別の好ましい一態様は15MPa以上である。
各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲で、適宜構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。本発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
(H1、H2)
実施例および比較例で得られた粗面化非磁性セラミック成形体の粗面化構造部分(2mm×10mm=20mm2)の範囲からランダムに10箇所を選択し、それぞれの断面(それぞれ長さが500μm以上の断面)のSEM写真を撮影し、得られたSEM写真から、最も高い部分と最も低い部分を選択して、基準面と合わせてH1、H2を求めた。H2/H1は10箇所の平均値で表示した。
Sa(算術平均高さ)(ISO 25178):粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造部分の面の9×1.8mmの範囲のSaをワンショット3D形状測定機(キーエンス製)により高倍カメラモード(倍率80倍)にて測定した。
Sz(最大高さ)(ISO 25178):粗面化非磁性セラミックス成形体の粗面化構造部分の面の9×1.8mmの範囲のSzをワンショット3D形状測定機(キーエンス製)により高倍カメラモード(倍率80倍)にて測定した。
Sdr(界面の展開面積比)(ISO 25178):定義領域の展開面積(表面積)が、定義領域の面積に対してどれだけ増大しているかを表し、完全に平坦な面のSdrは0となる。Sdrをワンショット3D形状測定機(キーエンス製)により高倍カメラモード(倍率80倍)にて測定した。
Sdq(二乗平均平方根傾斜)(ISO 25178):定義領域のすべての点における傾斜の二乗平均平方根により算出されるパラメータであり、完全に平坦な面のSdqは0となる。表面に傾斜があるとSdqは大きくなり、例えば45°の傾斜成分からなる平面では、Sdqは1になる。ワンショット3D形状測定機(キーエンス製)により高倍カメラモード(倍率80倍)にて測定した。
実施例1〜3、比較例1
表1に示す種類の非磁性セラミックス成形体(10mm×50mm×厚さ2mmの平板)の表面に対して、表2に示す条件でパルス波レーザー光を連続照射して粗面化した。
発振器:IPG-Yb-Fiber Laser;YLP-1-50-30-30-RA
ガルバノミラー:XD30+SCANLAB社HurrySCAN10
集光系:ビームエキスパンダ2倍/fθ=100mm
なお、双方向照射とクロス照射は、以下のとおりに実施した。
双方向照射:図6(a)に示すようにして、一方向に1本の溝が形成されるようにパルス波レーザー光を直線状に照射した後、表1に示すピッチ間隔(ライン間隔)をおいて反対方向に同様にしてパルス波レーザー光を直線状に照射することを繰り返した。ピッチ間隔(ライン間隔)は、隣接する凹部(ライン)同士の中間位置の距離である。
クロス照射:図6(a)に示すようにして、0.20mmの間隔をおいて10本の線状凹部(第1線状凹部群)が形成されるようにパルス波レーザー光を照射した後、第1線状凹部群と直交する方向に0.20mmの間隔をおいて10本の溝(第2線状凹部群)が形成されるようにレーザー光を照射した。
円照射:図6(b)に示すようにしてパルス波レーザー光を照射して、円(環)を形成した。
その後、実施例1〜3、比較例1で得られた粗面化非磁性セラミックス成形体101と樹脂成形体(ガラス繊維を30質量%含有するポリアミド6の成形体)102との複合成形体100(図7)を製造した。
複合成形体100は、粗面化非磁性セラミックス成形体101を金型に入れた状態でガラス繊維30質量%を含有するポリアミド6を射出成形して製造した。
射出成形機:ROBOSHOT S2000i100B
成形温度:280℃
金型温度:100℃
得られた各複合成形体を使用して、粗面化非磁性セラミックス成形体と樹脂成形体の接合強度を測定した。
〔引張試験〕
図7に示す複合成形体100を用い、引張試験を行ってせん断接合強度を評価した。結果を表1に示す。
引張試験は、ISO19095に準拠し、粗面化非磁性セラミックス成形体101側の端部を固定した状態で、樹脂成形体102を図7に示すX方向に引っ張った場合に接合面が破壊されるまでの最大荷重を測定した。
<引張試験条件>
試験機:島津製作所製AUTOGRAPH AG-X plus (50kN)
引張速度:10mm/min
つかみ具間距離:50mm
Figure 2021100899
表1、図8〜図11から明らかなとおり、実施例1〜3の粗面化非磁性セラミックス成形体は凸部が基準面11よりも盛り上がった構造をしているため、凹凸の高低差が大きくなっていた。
このため、実施例1〜3の粗面化非磁性セラミックス成形体と樹脂成形体との複合成形体は、高い接合強度を有していた。この結果から、実施例1〜3の粗面化非磁性セラミックス成形体と他の材料(熱硬化性樹脂、ゴム、エラストマー、金属、UV硬化性樹脂、他の非磁性セラミックス)との複合成形体を製造した場合であっても、高い接合強度の複合成形体が得られるものと考えられる。
実施例4、5、比較例2
表2に示す種類の非磁性セラミックス成形体(10mm×50mm×厚さ2mmの平板)の表面に対して、表2に示す条件で実施例1と同様にしてパルス波レーザー光を連続照射して粗面化した。
その後、実施例1と同様にして複合成形体を製造した。
Figure 2021100899
表2、図12〜図14から明らかなとおり、実施例4、5の粗面化非磁性セラミックス成形体は、凸部が基準面11よりも盛り上がった構造をしているため、凹凸の高低差が大きくなっていた。
このため、実施例4、5の粗面化非磁性セラミックス成形体と樹脂成形体との複合成形体は、高い接合強度を有していた。この結果から、実施例4、5の粗面化非磁性セラミックス成形体と他の材料(熱硬化性樹脂、ゴム、エラストマー、金属、UV硬化性樹脂、他の非磁性セラミックス)との複合成形体を製造した場合であっても、高い接合強度の複合成形体が得られるものと考えられる。
実施例6
表3に示す種類の非磁性セラミックス成形体(10mm×50mm×厚さ2mmの平板)の表面に対して、表3に示す条件で実施例1と同様にしてパルス波レーザー光を連続照射して粗面化した。
その後、実施例1と同様にして複合成形体を製造した。
Figure 2021100899
表3、図15から明らかなとおり、実施例6の粗面化非磁性セラミックス成形体は、凸部が基準面11よりも盛り上がった構造をしているため、凹凸の高低差が大きくなっていた。なお、実施例6は、図6(b)のようにパルス波レーザー光を円形に照射した例であるが、図15では渦巻き状のような平面形状を示していた。
このため、実施例6の粗面化非磁性セラミックス成形体と樹脂成形体との複合成形体は、高い接合強度を有していた。この結果から、実施例6の粗面化非磁性セラミックス成形体と他の材料(熱硬化性樹脂、ゴム、エラストマー、金属、UV硬化性樹脂、他の非磁性セラミックス)との複合成形体を製造した場合であっても、高い接合強度の複合成形体が得られるものと考えられる。
実施例7、8
表4に示す種類の非磁性セラミックス成形体(10mm×50mm×厚さ2mmの平板)の表面に対して、表4に示す条件で連続波レーザー光を連続照射して粗面化した。その後、実施例1と同様にして複合成形体を製造した。
発振器:IPG-Ybファイバー;YLR−1000−SM
ガルバノミラー:RHINO(ARGES社製)
集光系:fc=110mm/fθ=163mm
Figure 2021100899
図16(実施例7)と図17(実施例8)からも確認できるとおり、連続波レーザー光を使用して粗面化構造を形成した場合でも、H2/H1が0.10〜0.70の範囲の凹凸を形成することができた。
本発明の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体は、樹脂、ゴム、エラストマー、金属などとの複合成形体の製造中間体として利用することができる。
10、10A〜10C 表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体
11 基準面
13 線状凹部
14 線状凸部
15 線状凸部
20 第1線状凹部群
21 線状凹部
22 第2線状凹部群
23 線状凹部
25 独立凸部群
26 独立凸部
30 環状凹部
31 内側凸部
32 外側凸部
40 渦巻き状凹部
41 内側凸部
42 外側凸部

Claims (16)

  1. 表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体であって、
    前記粗面化構造が、前記粗面化構造が形成されていない面を基準面としたとき、前記基準面よりも先端部が高くなっている凸部と、前記基準面よりも底部が低くなっている凹部が混在されているものであり、
    前記凹部の最も低い底部から前記凸部の最も高い先端部までの距離(H1)と、前記基準面から前記凸部の最も高い先端部までの高さ(H2)の比(H2/H1)が0.10〜0.70の範囲である、表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。
  2. 前記粗面化構造が、互いに間隔をおいて同一方向に形成された複数の線状凹部と、前記複数の線状凹部の間に形成された複数の線状凸部を有しているものである、請求項1記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。
  3. 前記粗面化構造が、互いに間隔をおいて同一方向に形成された複数の線状凹部からなる第1線状凹部群と、互いに間隔をおいて前記第1線状凹部群に対して直交乃至は斜交して形成された複数の線状凹部からなる第2線状凹部群と、前記第1線状凹部群と前記第2線状凹部群により囲まれ、島状に存在している独立凸部群を有しているものである、請求項1記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。
  4. 前記粗面化構造が、独立している複数の環状凹部と、前記複数の環状凹部のそれぞれの内側と外側に存在している凸部を有しているものである、請求項1記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。
  5. 前記粗面化構造が、中心から外側方向に渦巻き状に形成された渦巻き状凹部と、前記渦巻き状凹部に接する部分に存在している凸部を有しているものである、請求項1記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。
  6. 前記非磁性セラミックス成形体の粗面化構造が、下記(a)〜(d)の要件を満たしているものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。
    (a)Sa(算術平均高さ)(ISO 25178)が15〜80μm
    (b)Sz(最大高さ)(ISO 25178)が120〜800μm
    (c)Sdr(界面の展開面積比)(ISO 25178)が0.5〜10
    (d)Sdq(二乗平均平方根傾斜)(ISO 25178)が1.0〜10
  7. 前記非磁性セラミックス成形体が、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、炭化物系セラミックスから選ばれるものの成形体である、請求項1〜6のいずれか1項記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の製造方法であって、
    下記の要件(i)〜(v)を満たすようにパルス波レーザー光を照射して凹凸を形成することで粗面化する、表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の製造方法。
    (i)前記非磁性セラミックス成形体の表面に対してレーザー光を照射するときの照射角度が15度〜90度
    (ii)前記非磁性セラミックス成形体の表面に対してレーザー光を照射するときの照射速度が10〜500mm/sec
    (iii)前記非磁性セラミックス成形体の表面に対してレーザー光を照射するときのエネルギー密度が0.1〜50GW/cm2
    (iv)前記非磁性セラミックス成形体の表面に対してレーザー光を照射するときの繰り返し回数が1〜80回
    (v)前記窒非磁性セラミックス成形体の表面に対してレーザー光を照射するときのピッチ間隔が0.01〜1mm(但し、環状凹部、環状凸部、渦巻き状凹部および渦巻き状凸部を形成する場合は不要である)
  9. 前記要件(i)〜(v)が下記の数値範囲のものである、請求項8記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の製造方法。
    (i)15度〜90度
    (ii)10〜300mm/sec
    (iii)0.1〜50GW/cm2
    (iv)3〜50回
    (v)0.01〜0.8mm
  10. 前記要件(i)〜(v)が下記の数値範囲のものである、請求項8記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の製造方法。
    (i)15度〜90度
    (ii)10〜100mm/sec
    (iii)0.1〜20GW/cm2
    (iv)5〜30回
    (v)0.03〜0.5mm
  11. 前記要件(i)〜(v)が下記の数値範囲のものである、請求項8記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の製造方法。
    (i)45度〜90度
    (ii)10〜80mm/sec
    (iii)0.5〜5GW/cm2
    (iv)5〜30回
    (v)0.05〜0.5mm
  12. 請求項1〜3、6、7のいずれか1項記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の製造方法であって、
    非磁性セラミックス成形体の表面に対して、連続波レーザー光を使用して500mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射する工程を有している、表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の製造方法。
  13. 請求項1〜7のいずれか1項記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体と第2成形体との複合成形体であって、
    少なくとも前記表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の粗面化構造の凹部内に前記第2成形体の構成材料が侵入されて接合されているものである、複合成形体。
  14. 請求項1〜7のいずれか1項記載の表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体と第2成形体との複合成形体であって、
    前記表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体と前記第2成形体の接合面に接着剤層が介在されており、
    少なくとも前記表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体の粗面化構造の凹部内に前記接着剤層を構成する接着剤が侵入されていることで、前記接着剤層を介して前記表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体と前記第2成形体が接合されているものである、複合成形体。
  15. 前記第2成形体が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム、金属、紫外線硬化性樹脂、異なる形状または異なる種類の非磁性セラミックスから選ばれるものの成形体である、請求項13または14記載の複合成形体。
  16. 前記表面に粗面化構造を有する非磁性セラミックス成形体と前記第2成形体の接合強度が10MPa以上である、請求項13〜15のいずれか1項記載の複合成形体。
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