JP2021098351A - 複合成形体とその製造方法 - Google Patents

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芳弘 朝見
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潔 清水
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Takayuki Uno
孝之 宇野
法寿 和田
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法寿 和田
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Abstract

【課題】炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と熱可塑性樹脂成形体の接合強度が大きい複合成形体の提供。【解決手段】炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と熱可塑性樹脂成形体が接合され一体化された複合成形体であって、前記複合成形体が、前記CFRPの少なくとも一部の炭素繊維集合体が露出され、必要に応じて凹部が形成され、前記露出された炭素繊維集合体に前記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂が侵入した状態で一体化されているものである、複合成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、その例示的な態様において、炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と熱可塑性樹脂成形体を含む複合成形体に関する。本発明の別の例示的な態様は、こうした複合成形体の製造方法に関する。
炭素繊維集合体に硬化性樹脂が含浸され硬化されてなる炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)は、寸法安定性が良いこと、疲労特性が良いこと、熱伝導率が良いこと、電磁波遮蔽性が良いことなどの性質を有していることから、例えば自動車部品、各種機械部品、医療機器用途、土木関係用途などに汎用されている。また、多用な用途に適用するため、CFRPと熱可塑性樹脂成形体を含む複合成形体も提案されている。典型的な例では、CFRPはシート状であってよい。
特許文献1には、発泡樹脂を含有する芯部1と、炭素繊維を含有する熱硬化性樹脂を有し、さらに芯部1の表面に密着される表層部2とを備えている繊維強化複合材料積層体10の発明が開示されている。図1では、表層部2は芯部1の上面及び下面に接合されており、2枚の表層部2で芯部1を挟み込むように積層されていることが示されている。
繊維強化複合材料積層体10を製造する方法として、芯部1を挟み込むように表層部前駆体2Aを積層することにより、積層体を作製し、芯部1と表層部前駆体2Aと積層体を上金型及び下金型の間に挿入し、加圧しながら加熱する方法が記載されている。
特許文献2には、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維に含浸した樹脂を硬化させて成形体を形成し、前記成形体の表面の少なくとも一部に樹脂シート(熱可塑性樹脂シート)を積層した後、前記樹脂シートの中央から外周に向かう張力を前記樹脂シートに付与した状態のまま、加熱状態の樹脂シートと前記成形体とを一体化する複合材料の成形方法の発明が開示されている。
特許文献3には、特にガラス繊維である無機充填剤を含有し、該無機充填剤が露出された溝が形成され、前記溝の両側に位置する山の間に前記無機充填剤が架かる、溝付き樹脂成形品の発明が記載されている。この成形品は、無機充填剤を含有する樹脂成形品にレーザの照射や化学処理等を行い、樹脂を部分的に除去することで、無機充填剤が露出されている複数の溝を形成することによって得られる(段落0059)。
特開2019−6037号公報 特開2018−39130号公報 特許第5632567号公報
本発明は、その1つの例示的な態様において、炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と熱可塑性樹脂成形体を含み、両者の接合強度が大きい複合成形体を提供することを課題とする。また本発明は、別の例示的な態様において、こうした複合成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の1つの例示的な態様による複合成形体は、炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と熱可塑性樹脂成形体が接合され一体化された複合成形体である。本発明の別の例示的な態様による複合成形体は、CFPR(第1成形体)とCFRPと同一または異なる構成材料からなる成形体(第2成形体)が接着剤を介して接合され一体化された複合成形体である。
前記1つの例示的な態様による複合成形体においては、前記CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されて露出表面を形成しており、前記露出表面に露出された炭素繊維集合体に前記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂が侵入した状態で一体化されていることができる。また前記別の例示的な態様による複合成形体においては、前記CFRPまたは第1成形体の少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されて露出表面を形成し、前記露出表面に露出された炭素繊維集合体に前記第2成形体に接合された接着剤が侵入した状態で一体化されていることができる。
加えて、必要に応じて、CFRPの少なくとも一部に、例えば形成された露出表面の一部または全部に、凹部(例えば溝状、孔状、円弧状等、凹部の形状は特に限定はされない)を形成することで、熱可塑性樹脂成形体や接着剤および第2成形体との接合強度を高めることもできる。CFRPの少なくとも一部に凹部が形成されるとその部分で炭素繊維は切断されCFRPそのものの強度は低下しうるが、例えばレーザ照射条件を選択することにより、CFRPそのものの強度の低下を補う接合強度の増大を得ることができる。
なおCFRPの炭素繊維集合体の露出は、複合成形体それ自体において露出されていることを要件とするものではない。例えばCFRPに熱可塑性樹脂成形体または接着剤が接合される前の状態において露出しており、または複合成形体から熱可塑性樹脂成形体または接着剤(第2成形体)を除去した場合に露出するのであれば、本発明において露出していると称してよい。
また本発明は、さらに別の例示的な態様において、複合成形体の製造方法であって、CFRPの少なくとも一部の表面に対して、連続波レーザーを使用して、エネルギー密度0.1MW/cm以上、照射速度500mm/sec以上でレーザー光を照射することで、前記CFRPの表層部の熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を除去して炭素繊維集合体を露出させて露出表面を形成し、必要に応じてCFRPの少なくとも一部に凹部(溝状、孔状、円弧状等、凹部の形状は特に限定はされない)を形成させる第1工程と、その後、第1工程で露出された炭素繊維集合体の面や凹部に対して、射出成形法または圧縮成形法を適用して熱可塑性樹脂成形体を接合させる第2工程を有している、複合成形体の製造方法を提供する。幾つかの態様においてこの製造方法は第2工程として、第1工程で露出された炭素繊維集合体の面や凹部上に接着剤層を形成して、接着剤を塗布した接合面を有するCFRP成形体(第1成形体)を形成し、第1成形体の接合面にCFRPと同一または異なる構成材料からなる第2成形体を接着する工程を有していてよい。
さらに本発明は、別の例示的な態様において、複合成形体の製造方法であって、前記CFRPの少なくとも一部の表面に対して、連続波レーザーを使用して、エネルギー密度0.1MW/cm以上、照射速度500mm/sec以上で、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるようにレーザー光を照射することで、前記CFRPの表層部の熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を除去して炭素繊維集合体を露出させて露出表面を形成し、必要に応じて、CFRPの少なくとも一部に凹部(溝状、孔状、円弧状等、凹部の形状は特に限定はされない)を形成させる第1工程と、その後、第1工程で露出された炭素繊維集合体の面や凹部に対して、射出成形法または圧縮成形法を適用して熱可塑性樹脂成形体を接合させる第2工程を有している、複合成形体の製造方法を提供する。幾つかの態様においてこの製造方法は、第2工程として、第1工程で露出された炭素繊維集合体の面や凹部上に接着剤層を形成して、接着剤を塗布した接合面を有するCFRP成形体(第1成形体)を形成し、第1成形体の接合面にCFRPと同一または異なる構成材料からなる第2成形体を接着する工程を有していてよい。
本発明の例による複合成形体は、CFRPと熱可塑性樹脂成形体、またはCFRPおよびCFRPと同一または異なる構成材料からなる第2成形体が高い接合強度で一体となっている。また本発明の例による複合成形体の製造方法は、CFRPの所望箇所に高い接合強度で所望形状の熱可塑性樹脂成形体または第2成形体を接合させることができる。
図1(a)は、例示的なシート状の炭素繊維集合体(またはCFRP)の一実施形態を示す平面図、図1(b)は、図1(a)とは別実施形態の例示的なシート状の炭素繊維集合体(またはCFRP)を示す平面図である。
図2は、連続波レーザー光の例示的な照射方法の一実施形態を説明するための平面図である。
図3は、例示的なCFRP(積層体)の一部の面から熱硬化性樹脂(または紫外線硬化性樹脂)が除去され、炭素繊維集合体の一部が露出された状態を示す概略的な斜視図である。
図4は、例示的なCFRP(積層体)と熱可塑性樹脂成形体を含む複合成形体の側面図と引張試験方法を説明するための図である。
図5は、実施例1のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれて、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真(図6と同一大きさのとき同一スケールである)である。
図6は、実施例2のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれて、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。
図7は、実施例3のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれて、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真(図6と同一大きさのとき同一スケールである)である。
図8は、実施例4のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれて、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真(図6と同一大きさのとき同一スケールである)である。
図9は、実施例5のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれて、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真(図6と同一大きさのとき同一スケールである)である。
図10(a)は実施例6のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれて、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真(図6と同一大きさのとき同一スケールである)。 図10(b)は図10(a)のCFRPに熱可塑性樹脂成形体を一体化した複合成形体の厚さ方向の断面写真である。
図11(a)は実施例7のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれて、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真(図6と同一大きさのとき同一スケールである)。 図11(b)は図11(a)のCFRPに熱可塑性樹脂成形体を一体化した複合成形体の厚さ方向の断面写真である。
図12は、実施例8のCFRPにパルス励起によるパルス波レーザー光が照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。
図13は、実施例9のCFRPにパルス励起によるパルス波レーザー光が照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。実施例11においても同様の表面が形成される。
図14は、実施例10のCFRPにパルス励起によるパルス波レーザー光が照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。
図15は、実施例12のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。
図16は、実施例13のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。
図17は、実施例14のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。実施例16においても同様の表面が形成される。
図18は、実施例15のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。
図19は、実施例17のCFRPに連続波レーザー光が連続照射されて樹脂部分が除かれ、炭素繊維集合体の一部が露出した状態を示す表面のSEM写真である。
<複合成形体>
本発明の複合成形体は、例えばシート状である炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と熱可塑性樹脂成形体が接合され一体化されたものであることができる。また別の例によれば、複合成形体は第1成形体、例えばシート状である炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と、第1成形体と同一または異なる構成材料からなる成形体である第2成形体とが、接着剤層を介して接合され一体化された複合成形体であることができる。
幾つかの例によれば、本発明の複合成形体に含まれているCFRPは、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が含浸された、例えばシート状の炭素繊維集合体において、含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化されたものである。樹脂が含浸されたシート状の炭素繊維集合体の例には、1枚からなるもの(プリプレグ)、または複数枚のプリプレグが積層された後、加熱プレス法などで一体化された積層体からなるものが含まれる。シート状の炭素繊維集合体(プリプレグ)1枚の厚さは0.5mm以下が好ましく、CFRPが複数枚のプリプレグの積層体であるときは、用途に応じた厚さに調整することができる。
炭素繊維集合体としては、例えば炭素繊維群からなる織物(平織り、綾織り、朱子織りなど)、炭素繊維群からなる不織布、または炭素繊維群が一方向に配置されたものを使用することができる。
図1(a)は、シート状の炭素繊維集合体が平織りの織物である形態の例であり、図1(b)は炭素繊維群が一方向に配置された形態の例である。図1(b)のシート状の炭素繊維集合体に熱硬化性樹脂が含浸され、硬化されたものはUDすなわち一方向(Uni−Directional)テープとして知られている(例えば、特開2015−193118号公報、特開2016−97661号公報参照)。ここで炭素繊維群とは、それぞれの炭素繊維集合体を形成するために必要な量(本数)の炭素繊維の意味である。炭素繊維は特に制限されず、例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを使用することができる。
幾つかの例によれば、本発明の複合成形体に含まれているCFRPにおいて、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂は、炭素繊維集合体の表面を被覆しており、さらに炭素繊維の間にも入り込んだ状態で硬化されている。熱硬化性樹脂としては、公知のCFRPにおいて使用されているものを使用することができ、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれるものを使用することができる。
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂のモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物から選ばれるものを使用してよい。幾つかの例では、紫外線硬化性樹脂としては、下記のラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合性モノマーのオリゴマーから選ばれるものであるか、カチオン重合性モノマーおよび前記モノマーのカチオン重合性モノマーオリゴマー、またはそれらから選択される2種以上の混合物から選ばれるものを使用することができる。
(ラジカル重合性モノマー)
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニルエーテル基、ビニルアリール基、ビニルオキシカルボニル基などのラジカル重合性基を一分子内に1つ以上有する化合物などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、1−ブテン−3−オン、1−ペンテン−3−オン、1−ヘキセン−3−オン、4−フェニル−1−ブテン−3−オン、5−フェニル−1−ペンテン−3−オンなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシ)エチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(メタ)アクリロイルアミノ基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、4−(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミドなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルエーテル基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルアリール基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、スチレン、ジビニルベンゼン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、酢酸4−ビニルフェニル、(4−ビニルフェニル)ジヒドロキシボラン、N−(4−ビニルフェニル)マレイミドなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
ビニルオキシカルボニル基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、ギ酸イソプロペニル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル、イソ酪酸イソプロペニル、カプロン酸イソプロペニル、吉草酸イソプロペニル、イソ吉草酸イソプロペニル、乳酸イソプロペニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなど、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
(カチオン重合性モノマー)
カチオン重合性モノマーとしては、エポキシ環(オキシラニル基)、ビニルエーテル基、ビニルアリール基、オキセタニル基等のカチオン重合性基を一分子内に1つ以上有する化合物などが挙げられる。
エポキシ環を一分子内に一つ以上有する化合物としては、グリシジルメチルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などが挙げられる。
ビニルエーテル基を一分子内に1つ以上有する化合物、ビニルアリール基を一分子内に1つ以上有する化合物としては、ラジカル重合性化合物として例示した化合物と同様の化合物が挙げられる。
オキセタニル基を一分子内に一つ以上有する化合物としては、としては、トリメチレンオキシド、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、3−エチル−3{〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンなどが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーとカチオン重合性モノマーのオリゴマーとしては、単官能または多官能(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられ。1種または2種以上を組み合わせて使用できる。単官能または多官能(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応により得ることができる。前記ポリオールとしては、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得られる。ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールの脱水縮合反応によって両末端に水酸基を有するポリエーテルオリゴマーを得、次いで、その両末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリカルボン酸とポリオールの縮合によって両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーを得、次いで、その両末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
単官能または多官能(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、例えば100,000以下であることができ好ましく、本発明の好ましい一態様では500〜50,000である。
上記したモノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物を使用するときは、前記モノマー、オリゴマーまたはそれらの混合物100質量部に対して、本発明の好ましい一態様では0.01〜10質量部の光重合開始剤を使用することができる。
幾つかの例によれば、本発明の複合成形体に含まれている熱可塑性樹脂成形体の熱可塑性樹脂は、用途に応じて公知の熱可塑性樹脂から適宜選択することができるものであり、熱可塑性樹脂には熱可塑性エラストマーも含まれてよい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂(PA6、PA66等の脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド)、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂等のスチレン単位を含む共重合体、ポリエチレン、エチレン単位を含む共重合体、ポリプロピレン、プロピレン単位を含む共重合体、その他のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂などを挙げることができる。
熱可塑性エラストマーは、用途に応じて公知の熱可塑性エラストマーから適宜選択することができる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどを挙げることができる。
幾つかの例では、熱可塑性樹脂成形体は、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維、金属繊維、ガラス繊維などの繊維状充填材を含有することができるほか、粉末状充填材、その他、用途に応じた公知の樹脂添加剤を含有することができる。公知の樹脂添加剤としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、加水分解抑制剤、可塑剤、着色剤、難燃化剤、発泡剤、造核剤、顔料、滑剤、展着剤などを挙げることができる。
幾つかの例によれば、本発明の複合成形体は上述したように、第1成形体である炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と、第1成形体と同一または異なる構成材料からなる成形体である第2成形体とが、接着剤層を介して接合され一体化された複合成形体であることができる。接着剤層に使用される接着剤は特に制限されるものではなく、公知の熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤、ゴム系接着剤などを使用することができる。
熱可塑性接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル系接着剤、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー、塩素化ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、プラスチゾル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ナイロン、飽和無定形ポリエステル、セルロース誘導体を挙げることができる。熱硬化性接着剤としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レソルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ビニルウレタンを挙げることができる。ゴム系接着剤としては、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、ポリイソブチレン−ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンRTV、塩化ゴム、臭化ゴム、クラフトゴム、ブロック共重合体、液状ゴムを挙げることができる。
第2成形体は、接着剤層を介して第1成形体と接合され一体化可能な材料から構成されるものであれば、特に限定されるものではない。例えば第2成形体は、第1成形体のCFRPと同一のCFRP、または異なるCFRP、熱可塑性樹脂成形体、熱硬化性樹脂成形体、紫外線硬化性樹脂成形体、金属成形体、ゴム成形体、熱可塑性エラストマー成形体などから、目的に応じて適宜選択されてよい。また第1成形体の接着層と接合される第2成形体の接合面には、レーザー加工やエッチングによって、接着剤が侵入する孔や溝などが形成されていてもよい。
幾つかの例によれば、本発明の複合成形体は、CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されており、前記露出表面の炭素繊維集合体の表層部(表面と、例えば表面から1mm以下程度の深さの内部までの範囲)に前記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂が侵入した状態で一体化されている。幾つかの例ではさらに必要に応じて、CFRPの少なくとも一部の面に凹部が形成されていてよい。
CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されたものは、例えば表層部においてCFRPの表面を被覆する熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が除去されたものであってよい。別の幾つかの例では、さらに炭素繊維間にも入り込んだ熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂の一部も除去されて、炭素繊維集合体が露出されたものであってよい。またCFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されたものには、最初から熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が存在していない部分を有するCFRPも含まれる。この場合には、最初から熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が存在していない部分が、CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出された部分であってよい。
CFRPの少なくとも一部の面に凹部を形成させたものは、例えば表層部においてCFRPの表面を被覆する熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂と共に、炭素繊維が部分的に除去されたものであることができる。この場合に炭素繊維の部分的な除去は、炭素繊維集合体が配列された方向と平行に、または炭素繊維集合体が配列された方向と垂直に、あるいは炭素繊維集合体が配列された方向に斜行して、炭素繊維集合体に凹部を形成することを含んでいてよい。形成された凹部は、炭素繊維集合体を構成する繊維の少なくとも一部分を切断しているものであってもよい。
本発明の複合成形体は、例えば、自動車部品、各種機械部品、医療機器用途、土木関係用途、自転車部品用途、スポーツ用品(靴部品、プロテクター部品など)などに使用することができる。
<複合成形体の製造方法>
上述したように、本発明の例による複合成形体の製造方法は、CFRPの少なくとも一部の表面に対してレーザー光を照射して炭素繊維集合体を露出させ、必要に応じて凹部を形成させる第1工程と、露出された炭素繊維集合体の面や凹部に対して、熱可塑性樹脂成形体を接合させ、または接着剤層を介して第2成形体を接合させる第2工程を含むことができる。レーザー光の照射は、連続波レーザーの連続照射やパルス化照射を含んでよく、またパルス励起によるパルス波レーザーの使用を含んでよい。
(第1工程)
第1工程は、レーザー光線の照射方法により第1a工程〜第1c工程のいずれかの方法を適用することができる。
[第1a工程]
第1a工程は、図3に示すとおり、CFRP30の少なくとも一部の表面(熱硬化性樹脂表面31または紫外線硬化性樹脂表面31)に対して、連続波レーザーを使用して、エネルギー密度0.1MW/cm以上、照射速度500mm/sec以上でレーザー光を連続照射することで、炭素繊維集合体の表層部の熱硬化性樹脂31(または紫外線硬化性樹脂31)の一部を除去して炭素繊維集合体を露出させる(露出表面32を形成させる)工程である。
第1a工程においては、照射速度、エネルギー密度、レーザー光を照射するときの繰り返し回数を互いに関連づけてレーザー光を照射することで、炭素繊維集合体を露出させ、かつ炭素繊維の損傷を抑制することができる。焦点はずし距離の絶対値を大きくし、スポット径を大きくすることも、炭素繊維損傷を抑える有力な手段である。
例えば、照射速度が遅く、エネルギー密度が高く、繰り返し回数が多いと、いずれの場合も熱硬化性樹脂31(または紫外線硬化性樹脂31)の除去効果は大きくなるが、炭素繊維の損傷も大きくなるため、炭素繊維の損傷を抑制する観点からは、前記各照射条件を調整することができる。
しかし、例えばCFRPの少なくとも一部の面に凹部を形成するように上記照射条件を調整した場合、CFRPの強度そのものは低くなるが、表層部において炭素繊維を露出することに加え、CFRP表面に凹部、即ち炭素繊維もCFRPのマトリックス樹脂も同時に除去した部分を作ることで、接合強度を高めることができる。例えばエネルギー密度を高くし、レーザの照射方向を炭素繊維の配列方向に対して、直行又は斜行させることで凹部として溝が形成されやすくなる。
なお、CFRPは市販品を使用することもできるほか、第1工程の前工程として、CFRPの製造工程を付加することもできる。CFRPは、例えばシート状の炭素繊維集合体の上に熱硬化性樹脂のプレポリマーのフィルムを積層した状態で加圧加熱する公知のホットメルト法を適用してプリプレグを製造した後、さらに前記プリプレグを加熱硬化して製造することができる。
第1a工程の連続波レーザー光の照射方法は、照射速度を除いて、例えば特許第5774246号公報、特許第5701414号公報、特許第5860190号公報、特許第5890054号公報、特許第5959689号、特開2016−43413号公報、特開2016−36884号公報、特開2016−44337号公報に記載されたレーザー光の連続照射方法と同様にして実施することができる。
幾つかの実施形態において、レーザー光のエネルギー密度は0.1MW/cm以上にする。レーザー光の照射時のエネルギー密度は、レーザー光の出力(W)と、レーザー光のスポット面積(cm)(π×〔スポット径/2〕)から求められる。レーザー光の照射時のエネルギー密度は、本発明の好ましい一態様では0.1〜200MW/cmであり、本発明の別の好ましい一態様では0.1〜150MW/cmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では0.1〜100MW/cmである。
幾つかの実施形態において、レーザー光の照射速度は500mm/sec以上であり、本発明の好ましい一態様では500〜20,000mm/secであり、本発明の別の好ましい一態様では500〜13,000mm/secであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では500〜10000mm/secである。
また、幾つかの実施形態において、レーザー光のスポット径は、5〜500μmであってよく、好ましい一態様では10〜500μmであり、さらに好ましい一態様では15〜300μmである。スポット径と照射速度から、作用時間(任意の点をレーザーが通り過ぎる時間、言い換えると、任意の点にレーザが照射されている時間)が決定される。作用時間は、(スポット径(μm)/照射速度(mm/Sec)=作用時間(msec)で求められる。好ましい一態様では、作用時間は、0.1μsec〜10msecである。作用時間が短いと樹脂や炭素繊維の除去効果が低くなり、作用時間が長いと樹脂や炭素繊維に大きな範囲で損傷を与える。エネルギー密度と作用時間のバランスを良く考慮してレーザ処理する必要がある。
レーザー光の出力は、本発明の好ましい一態様では4〜4000Wであり、本発明の別の好ましい一態様では50〜2500Wであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では150〜2000Wである。他のレーザー光の照射条件が同一であれば、出力が大きいほど樹脂の除去効果は大きく、形成される凹部も深くなるが、出力が小さいほど樹脂の除去効果は小さくなり、形成される凹部も浅くなる。レーザーの出力とスポット径は、エネルギー密度との関連において調整されるものである。
幾つかの実施形態において、レーザー光の波長は、500〜11,000nmであることができる。レーザー光の照射方向は、一方向に連続的に照射する方法、双方向から連続的に照射する方法、またはこれらを組み合わせた照射方法を使用することができる。
幾つかの実施形態において、レーザー光の焦点はずし距離は、本発明の好ましい一態様では−5.0〜+5.0mmであり、本発明の別の好ましい一態様では−1〜+1mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では−0.5〜+0.1mmである。焦点はずし距離は、設定値を一定にしてレーザー照射しても良いし、焦点はずし距離を変化させながらレーザー照射しても良い。例えば、レーザー照射時に、焦点はずし距離を小さくしていくようにしたり、周期的に大きくしたり小さくしたりしても良い。
焦点はずし距離の値を大きくすると、スポット径が大きくなり、エネルギー密度が低くなり、より広い面積に弱いパワーのレーザーを照射することになり、炭素繊維に損傷をあまり加えることなく、マイルドにCFRPの表層部の樹脂成分のみを除去することができる。このような処理をした後で、樹脂が除去され炭素繊維が露出された部分に、スポット径を小さくしてエネルギー密度の高いレーザーを照射することで、凹部(溝や孔)を形成することもできる。もちろん、スポット径、エネルギー密度等をを調整することで炭素繊維の露出と凹部の形成を同時に行うことも可能である。
繰り返し回数(同じ部分に対する合計のレーザー光の照射回数)は、表層部において必要とされる繊維集合体の露出の程度や形成される凹部の有無や深さに応じて調整されるものであるが、本発明の好ましい一態様では1〜30回であり、本発明の別の好ましい一態様では5〜20回である。同一のレーザー照射条件であれば、繰り返し回数が多いほど繊維集合体の露出や凹部の形成が大きくなり、繰り返し回数が少ないほどこれらは小さくなる。
[第1b工程]
第1b工程は、図3に示すとおり、CFRP30の少なくとも一部の表面(熱硬化性樹脂表面31または紫外線硬化性樹脂表面31)に対して、連続波レーザーを使用して、エネルギー密度0.1MW/cm以上、照射速度500mm/sec以上で、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるようにレーザー光を照射することで、炭素繊維集合体の表層部の熱硬化性樹脂31(または紫外線硬化性樹脂31)の一部を除去して炭素繊維集合体を露出させる(露出表面32を形成させる)工程である。
第1b工程の連続波レーザー光の照射方法は、例えば特開2018−144104号公報に記載の方法を使用することができる。第1b工程のレーザー光照射方法は、第1a工程のレーザー光照射方法とは別のものであるが、第1b工程の連続波レーザー光の照射方法は、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射することを除いて、第1a工程のレーザー光照射方法と同じ照射条件であることができる。すなわちレーザー光の出力、照射速度、エネルギー密度、繰り返し回数、波長、スポット径、焦点はずし距離などのそれぞれの条件および相互関係を、第1a工程のレーザー光照射方法の場合と同様に選択し実施することができる。
第1b工程のレーザー光照射方法において、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射するとは、図2に示すように点線状のパターンで照射を行う実施形態を含んでいる。図2は、レーザー光の照射部分11と長さ方向に隣接するレーザー光の照射部分11の間にあるレーザー光の非照射部分12が交互に生じて、全体として点線状のパターン10が形成されるように照射した状態を示している。
レーザー光を繰り返して複数回照射するときは、レーザー光の照射部分11を同じにしてもよいし、レーザー光の照射部分11をずらしてもよい。レーザー光の照射部分11を同じにして繰り返して複数回照射したときは点線状のパターンが形成されるが、レーザー光の照射部分11をずらして、最初はレーザー光の非照射部分12であった部分にレーザー光の照射部分11が重なるようにずらして照射することを繰り返すと、点線状に照射した場合であっても、最終的には実線状のパターンが形成されることになる。
幾つかの例では、第1b工程では、所望領域の炭素繊維集合体を被覆する熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を除去するため、場合によってはさらに炭素繊維集合体を含めて凹部を形成するため、照射位置をずらして実線状に照射することができる。CFRPに対して連続的にレーザー光を照射すると照射面の温度が上昇するが、レーザー光の照射部分11とレーザー光の非照射部分12が形成されるように連続波レーザー光を照射すると、照射面の温度上昇が抑制されるため、CFRPの炭素繊維集合体に対する熱的影響を小さくできる。
幾つかの例では、図2に示すレーザー光の照射部分11の長さ(L1)とレーザー光の非照射部分12の長さ(L2)は、L1/L2=1/9〜9/1の範囲になるように調整することができる。レーザー光の照射部分11の長さ(L1)は、CFRP表層部での樹脂の除去および凹部形成の観点から、本発明の好ましい一態様では0.05mm以上であり、本発明の別の好ましい一態様では0.1〜10mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では0.3〜7.0mmである。
幾つかの例では、第1b工程のレーザー光照射方法では、レーザーの駆動電流を直接変換する直接変調方式の変調装置をレーザー電源に接続したファイバーレーザー装置を使用し、デューティ比(duty ratio)を調整してレーザー照射することができる。
レーザーの励起には、パルス励起と連続励起の2種類があり、パルス励起によるパルス波レーザーは一般にノーマルパルスと呼ばれる。連続励起であってもパルス波レーザーを作り出すことが可能であり、例えばQスイッチパルス発振方法、AOMやLN光強度変調機により時間的に光を切り出すことでパルス波レーザーを生成させる外部変調方式、機械的にチョッピングしてパルス化する方法、ガルバノミラーを操作してパルス化する方法、レーザーの駆動電流を直接変調してパルス波レーザーを生成する直接変調方式などによりパルス波レーザーを作り出すことができる。
ガルバノミラーを操作してパルス化する方法は、ガルバノミラーとガルバノコントローラーの組み合わせによって、ガルバノミラーを介してレーザー発振器から発振されたレーザー光を照射する方法であり、1つの例ではガルバノコントローラーから周期的にGate信号をON/OFF出力し、そのON/OFF信号でレーザー発振器により発振したレーザー光をON/OFFすることで、レーザー光のエネルギー密度を変化させることなくパルス化することができる。それによって、例えば図2に示すようにレーザー光の照射部分11と隣接するレーザー光の照射部分11の間にあるレーザー光の非照射部分12が交互に生じて、全体として点線状に形成されるようにレーザー光を照射することができる。ガルバノミラーを操作してパルス化する方法は、レーザー光の発振状態自体は変えることなく、デューティ比を調整することができるため、操作が簡単である。
上記した方法の中でも、連続波レーザーのエネルギー密度を変更することなく、パルス化(照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する)ことが容易にできる方法であることから、本発明の第1b工程の好ましい一態様は機械的にチョッピングしてパルス化する方法、ガルバノミラーを操作してパルス化する方法、レーザーの駆動電流を直接変調してパルス波レーザーを生成する直接変調方式である。
デューティ比は、レーザー光の出力のON時間とOFF時間から次式により求められる比である。
デューティ比(%)=ON時間/(ON時間+OFF時間)×100
デューティ比は、上記のL1/(L1+L2)に対応するものであるから、10〜90%の範囲から選択することができる。デューティ比を調整してレーザー光を照射することで、図2に示すような点線状に照射することができる。デューティ比が大きいと樹脂の除去や凹部形成の効率は良くなるが、冷却効果は低くなり、デューティ比が小さいと冷却効果は良くなるが、樹脂の除去や凹部形成の効率は悪くなる。目的に応じて、デューティ比を調整することができる。
第1a工程と第1b工程のレーザー光照射方法で使用するレーザーは公知のものを使用することができ、例えば、YVO4レーザー、ファイバーレーザー(シングルモードファイバーレーザー、マルチモードファイバーレーザー)、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、紫外線レーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、He−Neレーザー、窒素レーザー、キレートレーザー、色素レーザーを使用することができる。
本発明の幾つかの態様によれば、第1a工程および第1b工程における連続波レーザー光の照射は、CFRPに含まれている炭素繊維集合体における炭素の配向方向に直交する方向(例えば図1(b)のX方向)または斜行する方向(例えば図1(b)のZ方向)にレーザー光を照射することであってよい。
例えば図1(a)の平織り形態の炭素繊維集合体を含むCFRPに照射を行う場合には、複数の隣接する部分において炭素繊維の向きが異なっているため(例えば炭素繊維集合体21a、21b)、それぞれの部分の炭素繊維の向きに応じてレーザー光の照射方向を変えることができる。但し、加工時間を短縮する観点からは、一方向に照射するようにしてもよく、その場合には、例えば、炭素繊維集合体21aの繊維長さ方向に直交乃至は斜行するように照射したときは、炭素繊維集合体21bの繊維長さ方向に平行乃至は斜行するようにレーザー光を照射することになる。
斜行または直交する方向に連続波レーザー光を照射すると、連続波レーザー光と炭素繊維の接触時間(接触距離)が短くなるため、レーザー照射時の熱による炭素繊維の損傷が小さくなる。炭素繊維の配向方向(図1(b)のY方向)に沿って連続波レーザー光を照射すると、連続波レーザー光と炭素繊維の接触時間(接触距離)が長くなるため、レーザー照射時の熱による炭素繊維の損傷を考慮する必要がある。
このような第1a工程および第1b工程における連続波レーザー光の照射によって、CFRPの炭素繊維集合体の表層部の熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を熱により分解して除去して、炭素繊維集合体が露出された面を形成することができる。また照射条件を調整することにより、さらにCFRPに凹部を形成することができる。
[第1c工程]
第1c工程は、図3に示すとおり、CFRP30の少なくとも一部の表面(熱硬化性樹脂表面31または紫外線硬化性樹脂表面31)に対して、パルス励起によるパルス波レーザーを使用して、例えば下記の要件(i)〜(v)を満たすようにパルス波レーザー光を照射することで、炭素繊維集合体の表層部の熱硬化性樹脂31(または紫外線硬化性樹脂31)の一部を除去して炭素繊維集合体を露出させる(露出表面32を形成させる)工程である。
幾つかの例では、第1c工程においてパルス波レーザー光を照射するとき、下記の(i)〜(v)を調整する。パルス波レーザー光を照射する方法は、通常のパルス波レーザー光を照射する方法のほか、特許第5848104号公報、特許第5788836号公報、特許第5798534号公報、特許第5798535号公報、特開2016−203643号公報、特許第5889775号公報、特許第5932700号、特許第6055529号公報に記載のパルス波レーザー光の照射方法と同様にして実施することができる。
<要件(i)CFRPに対してパルス波レーザー光を照射するときの照射角度>
レーザー光の照射角度は、本発明の好ましい一態様では15度〜90度であり、本発明の別の好ましい一態様では45〜90度である。ここで照射角度とは、レーザー光がCFRPの表面に対してなす角度であってよい。
<要件(ii)CFRPに対してパルス波レーザー光を照射するときの照射速度>
レーザー光の照射速度は、本発明の好ましい一態様では10〜20000mm/secであり、本発明の別の好ましい一態様では10〜10000mm/secであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では20〜5000mm/secであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では30〜1000mm/secである。
<(iii)CFRPに対してパルス波レーザー光を照射するときのエネルギー密度>
パルス波レーザー光のエネルギー密度は、レーザー光の1パルスのエネルギー出力(W)と、レーザー光(スポット面積(cm)(π×〔スポット径/2〕)から求められる。第1c工程におけるエネルギー密度は、本発明の好ましい一態様では0.1〜10.0GW/cmであり、本発明の別の好ましい一態様では0.1〜5.0GW/cmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では0.1〜1.0GW/cmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では0.2〜0.8GW/cmである。例えばCFRPに凹部が形成される場合、エネルギー密度が大きくなるほど、凹部は深くかつ大きくなる。
パルス波レーザー光の1パルスのエネルギー出力(W)は、次式から求めることができる。
パルス波レーザー光の1パルスのエネルギー出力(W)=(レーザー光の平均出力/周波数)/パルス幅
レーザー光の平均出力は、本発明の好ましい一態様では0.5〜100Wであり、本発明の別の好ましい一態様では1〜50Wであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では1〜20Wである。例えばCFRPに凹部が形成される場合、他のレーザー光の照射条件が同一であれば、出力が大きいほど凹部は深くかつ大きくなり、出力が小さいほど凹部は浅くかつ小さくなる。
レーザー光の周波数(kHz)は、本発明の好ましい一態様では0.001〜1000kHzであり、本発明の別の好ましい一態様では0.01〜500kHzであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では0.1〜100kHzである。
レーザー光のパルス幅(nsec)は、本発明の好ましい一態様では1〜200nsecであり、本発明の別の好ましい一態様では5〜100nsecであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では10〜80nsecである。
レーザー光のスポット径(μm)は、本発明の好ましい一態様では1〜300μm、本発明の別の好ましい一態様では5〜200μm、本発明のさらに別の好ましい一態様では10〜100μm、本発明のさらに別の好ましい一態様では15〜80μmである。
<(iv)CFRPに対してパルス波レーザー光を照射するときの繰り返し回数>
繰り返し回数(一つの位置に対する合計のレーザー光パルスの照射回数)は、本発明の好ましい一態様では1〜50回であり、本発明の別の好ましい一態様では1〜30回であり、本発明のさらに別の好ましい一態様では1〜10回である。例えばCFRPに凹部が形成される場合、同一のレーザー照射条件であれば、繰り返し回数が多いほど凹部は深くかつ大きくなり、繰り返し回数が少ないほど凹部は浅くかつ小さくなる。
<(v)CFRPに対してパルス波レーザー光を照射するときのピッチ間隔>
CFRPに対してパルス波レーザー光をライン状に照射するとき、隣接するライン同士の間隔(ピッチ)を広くしたり、狭くしたりすることで、CFRPの表層部における樹脂の除去および繊維集合体の露出の程度や、形成される凹部の大きさ、凹部の形状、凹部の深さを調整することができる。ピッチ間隔は、本発明の好ましい一態様では0.01〜1mmであり、本発明の別の好ましい一態様では0.05〜0.8mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では0.1〜0.5mmであり、本発明のさらに別の好ましい一態様では0.1〜0.2mmである。ピッチは等間隔であっても、部分的にまたは全体的に異なる間隔であってもよく、例えば間隔が漸増または漸減するようにレーザー光の照射を行ってよい。
ピッチが狭いと、隣接するラインにも熱的影響が及ぶため、例えばCFRPに凹部が形成される場合、凹部は大きくなり、凹部の形状は複雑になり、凹部の深さは深くなる傾向にあるが、熱的影響が大きくなり過ぎると複雑で深い形状の凹部が形成され難くなることもある。ピッチが広いと、凹部は小さくなり、凹部の形状は複雑にはならず、凹部はあまり深くならない傾向にあるが、処理速度を高めることはできる。
その他、パルス波レーザー光の波長は、本発明の好ましい一態様では500〜2000nmであることができる。幾つかの実施形態では、第1c工程におけるパルス波レーザー光の照射は、CFRPに含まれている炭素繊維集合体における炭素の配向方向に平行な方向(例えば図1(b)のY方向)または斜行する方向(例えば図1(b)のZ方向)にレーザー光を照射することが好ましい。
(第2工程)
第2工程では、例えば図4に示すとおり、第1a工程、第1b工程または第1c工程で露出されたシート状炭素繊維集合体の面(露出表面32)に対して、射出成形法または圧縮成形法を適用して熱可塑性樹脂成形体40を接合させて複合成形体50を製造する。または露出表面32に対して接着剤を塗布して接着剤層(図示せず)を形成し、これに対して第2成形体を貼り合わせて複合成形体50を製造することができる。
熱可塑性樹脂成形体40の形状や大きさは、用途に応じて選択することができる。射出成形法または圧縮成形法を適用することで、露出されたシート状炭素繊維集合体の内部にまで熱可塑性樹脂を侵入させることができるため、CFRPと熱可塑性樹脂成形体が高い接合強度で接合された複合成形体を得ることができる。
なお、CFRPとして、最初から熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が存在していない部分(炭素繊維が露出された部分)を有するものを使用する場合には、第1a工程、第1b工程および第1c工程に代えて、第1d工程として、前記炭素繊維集合体の一部の表面を除いた部分に熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を含浸したものが硬化され、炭素繊維集合体の一部が表面に露出されたCFRPを製造することができる。
炭素繊維集合体の一部が露出されたCFRPは、例えばシート状の炭素繊維集合体の上に熱硬化性樹脂のプレポリマーのフィルム(シート状炭素繊維集合体の平面形状の面積よりも面積の小さなフィルム)を積層した状態で加圧加熱する公知のホットメルト法を適用してプリプレグを製造した後、さらに前記プリプレグを加熱硬化して製造することができる。この場合、シート状の炭素繊維集合体の面積と前記フィルムの面積の差に相当する部分が、シート状の炭素繊維集合体の露出表面となる。プリプレグの加熱硬化に際しては、さらに他のプリプレグと積層してもよい。また第1d工程で得られたCFRPの炭素繊維集合体の露出表面に対して、またはこの露出表面を含むCFRPの表面に対して、第1a工程、第1b工程および第1c工程で記載したようなレーザー光照射を行って凹部を形成してもよい。その後は、上記と同様にして第2工程を適用することで、CFRPと熱可塑性樹脂成形体が高い接合強度で接合された複合成形体を得ることができる。
炭素繊維集合体の一部が露出されたCFRPを第1成形体として、第1成形体に接着剤層を介して第2成形体を接合する場合は、1つの実施形態によれば、CFRPの露出表面32に対して接着剤を塗布して接着剤層(図示せず)を形成することができる。接着剤(接着剤溶液)の塗布は、例えばロールコーターなど公知の手段を用いて行うことができ、また接着剤を露出表面32に圧入するようにしてもよい。接着剤を塗布することで、露出表面32において露出された炭素繊維集合体内、および形成されている場合には凹部内に接着剤を侵入させ、さらにそれらから溢れた接着剤が露出表面32を覆って接着剤層を形成するようにすることができる。また接着剤(接着剤溶液)は、露出された炭素繊維集合体や凹部などの内部に侵入し易くなるように粘度を調節することができる。
接着剤層に接合される第2成形体は、接着剤層を介して第1成形体と接合され一体化可能なものであればよく、例えば第1成形体のCFRPと同一のCFRP、または異なるCFRP、熱可塑性樹脂成形体、熱硬化性樹脂成形体、紫外線硬化性樹脂成形体、金属成形体、ゴム成形体、熱可塑性エラストマー成形体などから選択されてよい。第2成形体の接合面は、必要に応じてレーザー加工やエッチングによって粗面化することができ、またこの面にも接着剤を塗布することができる。
各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲で、適宜構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。本発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
実施例1〜7
CFRPとして、次の3つを使用した。
CFRP1:図1(a)に示すような繊維配向のCF3K平織クロス(C06343B、炭素繊維:T300B、樹脂:#2500 東レ株式会社製)を6枚積層し、130℃で2.5時間プレス成形して、厚さ1.32mmのCFRP板を作製した。このCFRP板を切断して、試験片CFRP1(10×45×1.32mm)を得た。
CFRP2:図1(b)に示すような繊維配向のCFUD(トレカプリプレグP3252S-17、東レ株式会社製)を炭素繊維の向きが[0/90/0/90/90/0/90/0]になるように8枚積層し、130℃で2.5時間プレス成形して、厚さ1.36mmのCFRP板を作製した。このCFRP板を切断して、試験片CFRP2(10×45×1.36mm)を得た。このCFRP2は、最上層の炭素繊維の長さ方向とCFRP板の長さ方向が一致(平行)しているものであった。
CFRP3:図1(b)に示すような繊維配向のCFUD(トレカプリプレグP3252S-17、東レ株式会社製)を炭素繊維の向きが[0/90/0/90/90/0/90/0]になるように8枚積層し、130℃で2.5時間プレス成形して、厚さ1.36mmのCFRP板を作製した。このCFRP板を切断して、試験片CFRP3を得た(10×45×1.36mm)。このCFRP3は、最上層の炭素繊維の長さ方向とCFRP板の長さ方向が直交しているものであった。
次に表1に示すCFRP(図3のCFRP30に相当)をステンレス板(SUS304)(100×100×20mm)の上に置き、5×10mmの領域(図3の露出表面32となる面に相当する領域)に対して、表1に示す条件で連続波レーザー光を連続照射して、CFRPの炭素繊維集合体に含浸硬化されたエポキシ樹脂を除去し、表層部の炭素繊維を露出させた(図3の露出表面32)。
連続波レーザー光の照射後における露出表面32を含む表面のSEM写真を図5〜図11(図10および図11は熱可塑性樹脂成形体40が接合一体化した後の、複合成形体の厚さ方向の断面写真を含む)に示し、前記SEM写真から、連続波レーザー光の照射領域におけるエポキシ樹脂の残存状態と炭素繊維の状態を目視観察した。結果を表1に示す。
図5〜図11は、ほぼ同じ大きさで示されているが、いずれも大きさが全く同じであるときは同じスケール(縮尺)となり、図6の長さ5mmの目盛りによって大きさを判断してよい。図10(b)および図11(b)については、図中にスケールが示されている(長さ500μm)。
表1の項目中、「炭素繊維の長さ方向に対する照射方向」において、「垂直」は図1(b)のような繊維配向に対するX方向、「平行」は図1(b)のような繊維配向に対するY方向を示し、「垂直/平行」は、図1(a)の炭素繊維集合体21aに対しては垂直方向にレーザー光を照射したが、炭素繊維集合体21bに対しては平行方向にレーザー光を照射したことを示す。
なお、「走査方向」における「双方向」は、一方向に1本の溝が形成されるように連続波レーザー光を直線状に照射した後、表1に示すピッチ(隣接する溝の幅方向の中間位置同士の間の距離)になるように反対方向に同様にして連続波レーザー光を直線状に照射することを繰り返したことを示している。
(レーザー装置)
発振器 IPG;YLR−1000−CW fb径:14μm 1070nm
光学系 ARGES社Rino(fc=110mm/fθ=163mm
次に金型内にCFRPを置き、以下の条件の下に射出成形を行って、図3に示すように、CFRP30の露出表面32に熱可塑性樹脂成形体40が接合・一体化された複合成形体50(図4)(CFRPの非接合側の端部は、引張試験機の固定具により固定された状態を示している)を得た。
熱可塑性樹脂:炭素長繊維強化ポリアミド樹脂(プラストロンPAX−CF40−02(L9)F00 ダイセルポリマー(株)製)
射出成形機:ROBOSHOT S2000i100B
成形温度:280℃
金型温度:130℃
得られた複合成形体50について、図4に示すようにCFRP30(CFRP1〜3)の長さ方向の一端部側を固定し、下記条件で熱可塑性樹脂成形体40を引っ張る引張試験をして、引張せん断強度を測定した。結果を表1に示す。
〔引張試験〕
試験機:オリエンテック社製のテンシロン(UCT−IT)
引張速度:10mm/min
つかみ具間距離:50mm
Figure 2021098351
図5(実施例1)において、炭素繊維は、垂直方向に並列されているが、炭素繊維集合体に水平方向に形成された溝が確認できる。図6(実施例2)、図7(実施例3)、図8(実施例4)、図9(実施例5)、および図11(a)においては、例えば炭素繊維織物の上段の左から2番目や4番目のマス目などに、垂直方向の炭素繊維集合体に形成された水平方向の溝が確認できる。図10(a)でも、全体にわたって水平方向の溝の形成が確認できる。
表1から明らかなとおり、エポキシ樹脂の残存量を少なくするためには、エネルギー密度と繰り返し数を調整することが有効であることが確認された。また、炭素繊維の焼け(損傷)を少なくするためには、炭素繊維の長さ方向に対するレーザー光の照射方向を垂直または垂直に近い斜め方向にすることが有効であることが確認された。なお、実施例5の焼けが多いのは、繰り返し回数が多いためであり、実施例7の焼けが多いのは、繰り返し回数が多く、エネルギー密度が高いためであると考えられる。
表1から明らかなとおり、CFRPの露出表面におけるエポキシ樹脂の残存量が少なく、炭素繊維の焼け(損傷)が少ない複合成形体について、大きな接合力(引張せん断強度)が得られた。それらの中では、炭素繊維の長さ方向に垂直方向にレーザー光を照射した実施例1が最も高く、次いで垂直/平行に照射した実施例7、平行方向に照射した実施例6の順であった。また図10(b)、図11(b)から、熱可塑性樹脂が炭素繊維内に入り込んでいることが確認された。
実施例8〜11
表2に示すCFRP(図3のCFRP30に相当)をステンレス板(SUS304)(100×100×20mm)の上に置き、5×10mmの領域(図3の露出表面32となる面に相当する領域)に対して、表2に示す条件でパルス励起によるパルス波レーザー光を照射し、CFRPの炭素繊維集合体に含浸硬化されたエポキシ樹脂を除去し、表層部の炭素繊維を露出させると共に、表面に凹部を形成した(図3の露出表面32)。
実施例8では、炭素繊維の長さ方向に直交する方向(図1(b)のような繊維配向に対するX方向)にレーザー光を照射し、実施例9および実施例11では、炭素繊維の長さ方向に平行な方向(図1(b)のような繊維配向に対するY方向)にレーザー光を照射し、実施例10では、炭素繊維の長さ方向に斜行する方向(図1(b)のような繊維配向に対するZ方向)(45度)にレーザー光を照射した。
(レーザー装置)
発振器:IPG−Yb−Fiber Laser;YLP−1−50−30−30−RA
ガルバノミラー:XD30+SCANLAB社HurrySCAN10
集光系:ビームエキスパンダ2倍/fθ=100mm
次に実施例1と同様にして、金型内にCFRPを置き、同様の条件の下に射出成形を行って、図3に示すように、CFRP30の露出表面32に熱可塑性樹脂成形体40が接合・一体化された複合成形体50(図4)(CFRPの非接合側の端部は、引張試験機の固定具により固定された状態を示している)を得た。但し実施例11については、熱可塑性樹脂として、炭素長繊維強化ポリアミド樹脂に代えて、炭素長繊維強化ポリプロピレン樹脂(プラストロンPP−CF40−11 ダイセルポリマー(株)製)を使用し、以下の成形条件で複合成形体の接合サンプルを作成した。
射出成形機:ROBOSHOT S2000i100B
成形温度:260℃
金型温度:60℃
実施例8から11に対応する、パルス波レーザー光の照射後における露出表面32を含む表面のSEM写真を図12から図14に示し(但し実施例11については実施例9に対応する図13で代用した)、前記SEM写真から、パルス波レーザー光の照射領域における炭素繊維の状態を目視観察した。また実施例1と同様にして引張せん断強度を測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2021098351
図12(実施例8)においては、垂直方向に並列された炭素繊維集合体に対して水平方向に形成された溝が確認できる。図13(実施例9)においては、垂直方向に並列された炭素繊維集合体に沿って形成された溝が確認できる。実施例11においても同様の表面が形成される。図14(実施例10)においては、垂直方向に並列された炭素繊維集合体に対して斜行方向に形成された溝が確認できる。
実施例8〜11において、CFRPと熱可塑性樹脂成形体(炭素繊維含有PA成形体)の接合強度(引張せん断強度)は、炭素繊維の長さ方向に平行方向(図1(b)のような繊維配向に対するY方向)にレーザー光を照射した実施例9が最も高く、斜行方向(図1(b)のような繊維配向に対するZ方向)に照射した実施例10、垂直方向(図1(b)のような繊維配向に対するX方向)に照射した実施例8の順であった。この結果は、表1の炭素繊維の長さ方向に対する照射方向に関して得られた接合強度とは逆の結果になっていた。これは、実施例8〜11で使用したテストピースは、炭素繊維が一方向に並んでおり、例えば実施例8のSEM写真(図12)を見ると、炭素繊維が完全に細かく切断されていることなどが影響していると考えられる。実施例9と実施例11の対比からは、熱可塑性樹脂の相違による接合強度の相違が見られる。
実施例12〜16
CFRP1(図3のCFRP30に相当)をステンレス板(SUS304)(100×100×20mm)の上に置き、5×10mmの領域(図3の露出表面32となる面に相当する領域)に対して、表3に示す条件で連続波レーザー光を照射し、CFRPの炭素繊維集合体に含浸硬化されたエポキシ樹脂を除去し、表層部の炭素繊維を露出させると共に、一部のCFRP表面については凹部を作成した(図3の露出表面32)。
実施例12〜14および16では、炭素繊維集合体の長さ方向に斜行する方向(45度、図1(b)のような繊維配向に対するZ方向)にレーザー光を照射し、実施例15では、炭素繊維集合体の長さ方向に垂直な方向(図1(b)のような繊維配向に対するX方向)にレーザー光を照射した。
(レーザー装置)
発振器:IPG−Yb−Fiber Laser;QCW−150−1
ガルバノミラー:Squirrel(fc=100mm /fθ=163mm)
次に実施例1と同様にして、金型内にCFRP1を置き、同様の条件の下に射出成形を行って、図3に示すように、CFRP30の露出表面32に熱可塑性樹脂成形体40が接合・一体化された複合成形体50(図4)(CFRPの非接合側の端部は、引張試験機の固定具により固定された状態を示している)を得た。但し実施例16については、熱可塑性樹脂として、炭素長繊維強化ポリアミド樹脂に代えて、炭素長繊維強化ポリプロピレン樹脂(プラストロンPP−CF40−11 ダイセルポリマー(株)製)を使用し、以下の成形条件で複合成形体の接合サンプルを作成した。
射出成形機:ROBOSHOT S2000i100B
成形温度:260℃
金型温度:60℃
実施例12から16に対応する、連続波レーザー光の照射後における露出表面32を含む表面のSEM写真を図15から図18に示し(但し実施例16については実施例14に対応する図17で代用した)、前記SEM写真から、パルス波レーザー光の照射領域におけるエポキシ樹脂の残存状態と炭素繊維の状態を目視観察した。また実施例1と同様にして引張せん断強度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2021098351

実施例12〜16は、実施例1〜11と比較するとエネルギー密度が低い。また、同じ連続波レーザ照射で比較すると、エネルギー密度と作用時間と繰り返し数の積で表されるような入力エネルギー総量も実施例1〜7に比べると低くなっている。そのため、実施例1〜7のSEM写真(図5〜11)と、実施例12〜16のSEM写真(図15〜18)を見ると、実施例12〜16では炭素繊維の損傷が非常に少ないのがわかる。特に損傷の少ない実施例15(図18)は、接合強度が他と比べると低くなっている。これは、炭素繊維の損傷は少ないが、取り除かれた樹脂量が少なく、炭素繊維の露出量が少なくなっているためと考えられる。実施例14(図17)は、炭素繊維の露出は表面積からは低く見えるが、CFRPに凹部が形成されており、これにより、他と比べて接合強度が高くなっているものと考えられる。
実施例17、比較例1
CFRP2(図3のCFRP30に相当)を銅板(100×100×20mm)の上に置き、5×10mmの領域(図3の露出表面32となる面に相当する領域)に対して、表4に示す条件で連続波レーザー光を照射し、CFRPの炭素繊維集合体に含浸硬化されたエポキシ樹脂を除去し、表層部の炭素繊維を露出させると共に、一部のCFRP表面については凹部を作成した(図3の露出表面32)。
(レーザー装置)
発振器:IPG−Yb−Fiber Laser;YLR−300−AC
ガルバノミラー:Squirrel 16(fc=80mm /fθ=163mm)
次に、CFRP2のレーザ処理した接合面に接着剤(2液反応系エポキシ系接着剤 商品名:アラルダイト ラピッド ハンツマン・ジャパン株式会社製)を塗布した後、CFRP2(レーザー未処理)を接合させ、24時間放置後、実施例1と同様の方法で接合強度を測定した。その結果を表4に示す。比較例として、レーザ処理をしない2枚のCFRP2を同様の条件で接着剤により接着した接合部品の接合強度を表4に示す。接着剤による接着の前処理として、レーザー処理をして炭素繊維を露出させ、必要に応じて凹部を形成することで接着強度が高くなることがわかる。
Figure 2021098351
本発明の複合成形体は、例えば自動車部品、各種機械部品、医療機器用途、土木関係用途などに利用することができる。
10 レーザー照射パターン
11 レーザー照射部分
12 レーザー非照射部分
20 炭素繊維集合体
21 炭素繊維
30 複合成形体
30 CFRP
31 熱硬化性樹脂表面(または紫外線硬化性樹脂表面)
32 炭素繊維集合体の露出表面
40 熱可塑性樹脂成形体
50 複合成形体

Claims (19)

  1. 炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)と熱可塑性樹脂成形体が接合され一体化された複合成形体であって、
    前記複合成形体が、前記CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されており、前記露出された炭素繊維集合体に前記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂が侵入した状態で一体化されている、複合成形体。
  2. 炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)である第1成形体と第2成形体とが接着剤を介して接合され一体化された複合成形体であって、
    前記複合成形体が、前記CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されており、前記露出された炭素繊維集合体に前記接着剤が侵入した状態で形成された接着層を介して、CFRPと第2成形体とが一体化されている、複合成形体。
  3. 前記複合成形体が、前記CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されており、かつCFRPの少なくとも一部に凹部が形成され、前記露出された炭素繊維集合体および凹部に前記熱可塑性樹脂成形体を構成する熱可塑性樹脂が侵入した状態で一体化されている、請求項1記載の複合成形体。
  4. 前記複合成形体が、前記CFRPの少なくとも一部の表面の炭素繊維集合体が露出されており、かつCFRPの少なくとも一部に凹部が形成され、前記露出された炭素繊維集合体および凹部に前記接着剤が侵入した状態で形成された接着層を介して、CFRPと第2成形体とが一体化されている、請求項2記載の複合成形体。
  5. 前記CFRPが、1枚のシート状の炭素繊維集合体に熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が含浸され硬化されてなるプリプレグ、または複数枚のプリプレグの積層体を含み、前記シート状の炭素繊維集合体が、炭素繊維群からなる織物、炭素繊維群からなる不織布および炭素繊維群が一方向に配置されたものから選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項記載の複合成形体。
  6. 前記プリプレグ1枚の厚さが0.5mm以下である、請求項1〜5のいずれか1項記載の複合成形体。
  7. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項記載の複合成形体。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂である請求項1または3、または請求項1または3に従属する請求項5〜7のいずれか1項記載の複合成形体。
  9. 前記第2成形体が、熱可塑性樹脂成形体、熱硬化性樹脂成形体、紫外線硬化性樹脂成形体、金属成形体、ゴム成形体、熱可塑性エラストマー成形体から選ばれる、請求項2または4、または請求項2または4に従属する請求項5〜7のいずれか1項記載の複合成形体。
  10. 炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)の少なくとも一部の表面に対して、連続波レーザーを使用して、エネルギー密度0.1MW/cm以上、照射速度500mm/sec以上でレーザー光を照射することで、前記CFRPの表層部の熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を除去して炭素繊維集合体を露出させる第1工程と、第1工程で露出された炭素繊維集合体の面に対して、射出成形法または圧縮成形法を適用して熱可塑性樹脂成形体を接合させる第2工程を有している、複合成形体の製造方法。
  11. 炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)である第1成形体の少なくとも一部の表面に対して、連続波レーザーを使用して、エネルギー密度0.1MW/cm以上、照射速度500mm/sec以上でレーザー光を照射することで、前記CFRPの表層部の熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を除去して炭素繊維集合体を露出させる第1工程と、第1工程で露出された炭素繊維集合体の面上に接着剤層を形成させる工程、および接着剤を塗布したCFRPの接合面に第2成形体を接着する工程を有している、複合成形体の製造方法。
  12. 前記レーザー光の照射が連続的に行われる、請求項10または11項記載の複合成形体の製造方法。
  13. 前記レーザー光の照射が、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように行われ、前記第1工程が、
    レーザーの駆動電流を直接変換する直接変調方式の変調装置をレーザー電源に接続したファイバーレーザー装置を使用し、レーザー光の出力のON時間とOFF時間から下記式により求められるデューティ比を調整して、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する工程、
    ガルバノミラーとガルバノコントローラーの組み合わせを使用し、レーザー発振器から連続的に発振させたレーザー光をガルバノコントローラーによりパルス化することで、レーザー光の出力のON時間とOFF時間から下記式により求められるデューティ比を調整して、ガルバノミラーを介してレーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する工程、および
    機械的にチョッピングしてパルス化する方法により下記式により求められるデューティ比を調整して、レーザー光の照射部分と非照射部分が交互に生じるように照射する工程から選ばれるいずれか一つの工程である、請求項10または11項記載の複合成形体の製造方法。
    デューティ比(%)=ON時間/(ON時間+OFF時間)×100
  14. 炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)の少なくとも一部の表面に対して、パルス波レーザーを使用して、下記の要件(i)〜(v)を満たすようにパルス波レーザー光を照射することで、前記シート状の炭素繊維集合体の表層部の熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を除去して炭素繊維集合体を露出させる第1工程と、
    第1工程で露出された炭素繊維集合体の面に対して、射出成形法または圧縮成形法を適用して熱可塑性樹脂成形体を接合させる第2工程を有している、複合成形体の製造方法。
    (i)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときの照射角度が15度〜90度
    (ii)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときの照射速度が10〜200mm/sec
    (iii)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときのエネルギー密度が0.1〜10GW/cm2
    (iv)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときの繰り返し回数が1〜20回
    (v)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときのピッチ間隔が0.01〜1mm
  15. 炭素繊維集合体に含浸された熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が硬化された炭素繊維強化硬化性樹脂成形体(CFRP)である第1成形体の少なくとも一部の表面に対して、パルス波レーザーを使用して、下記の要件(i)〜(v)を満たすようにパルス波レーザー光を照射することで、前記シート状の炭素繊維集合体の表層部の熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を除去して炭素繊維集合体を露出させる第1工程と、
    第1工程で露出された炭素繊維集合体の面上に接着剤層を形成させる工程、および接着剤を塗布したCFRPの接合面に第2成形体を接着する工程を有している、複合成形体の製造方法。
    (i)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときの照射角度が15度〜90度
    (ii)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときの照射速度が10〜200mm/sec
    (iii)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときのエネルギー密度が0.1〜10GW/cm2
    (iv)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときの繰り返し回数が1〜20回
    (v)前記CFRPの表面に対してレーザー光を照射するときのピッチ間隔が0.01〜1mm
  16. 前記第1工程においてCFRP部の少なくとも一部に凹部が形成される、請求項10〜15のいずれか1項記載の複合成形体の製造方法。
  17. 前記第1工程におけるレーザー光の照射が、前記CFRPの炭素繊維集合体における炭素の配向方向に斜行する方向、平行な方向、または直交する方向にレーザー光を照射する、請求項10〜16のいずれか1項記載の複合成形体の製造方法。
  18. 炭素繊維集合体の一部の表面を除いた部分に熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を含浸したものが硬化された、炭素繊維集合体の一部が表面に露出されたCFRPを製造する第1工程、
    第1工程で露出された炭素繊維集合体の面に対して、射出成形法または圧縮成形法を適用して熱可塑性樹脂成形体を接合させる第2工程を有している、複合成形体の製造方法。
  19. 炭素繊維集合体の一部の表面を除いた部分に熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を含浸したものが硬化された、炭素繊維集合体の一部が表面に露出されたCFRPである第1成形体を製造する第1工程、
    第1工程で露出された炭素繊維集合体の面上に接着剤層を形成させる工程、および接着剤を塗布したCFRP成形体の接合面に第2成形体を接着する工程を有している、複合成形体の製造方法。
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