以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
<実施の形態1>
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1にかかる記録装置を搭載した車両の上面図である。車両900には、記録装置を含む記録システム10が搭載されている。記録システム10は、カメラが撮影した撮影データを記録および再生する所謂ドライブレコーダとしての機能を有している。一般的なドライブレコーダの機能として、記録システム10は、予め設定されたトリガを受け付けた場合に、予め設定された期間分の撮影データを「イベント記録データ」として再生可能に記録する。予め設定されたトリガを受け付けた場合とは、例えば予め設定された大きさの突発的な衝撃を検出した場合である。車両の運転者等は、このイベント記録データを再生し、再生したイベント記録データの映像を見ることによりイベントの状況を把握できる。
記録システム10は主な構成として、記録装置100、表示部141、測位情報受信部143、カメラ150およびマイクロフォン151を有している。記録システム10は、車両に取り付けて用いるドライブレコーダとしての単体の装置であってもよい。
記録装置100は、車両900の任意の位置に格納された制御回路を含む装置であり、記録システム10の各構成を適宜制御する。記録装置100の詳細については後述する。表示部141は、ダッシュボードなどにおいて運転者に情報を提示できるように設置された表示装置であって、例えば液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネル等を含む。表示部141は、記録システム10が単体の装置である場合は、記録システム10に備えられる。
測位情報受信部143は、車両900のダッシュボード中央部などに設置、または単体のドライブレコーダとしての記録システム10を構成する筐体内などに設置されている。測位情報受信部143は、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムであるGNSS(Global Navigation Satellite System)から自車両の位置を測位するための測位情報を受信するためのアンテナを含む。測位情報受信部143は、所望の情報が取得できるように設置されていれば、車両900の任意の位置に設置されていてよい。
カメラ150は、車両900のキャビン内においてウィンドシールド上部に固定、または単体のドライブレコーダとしての記録システム10を構成する筐体に設置されている。カメラ150は、全天周カメラである。全天周カメラは、記録システム10の周囲360度の風景を撮像する。そのため、記録システム10は、車両900の外部(すなわち車両900の車室外)や、車両900の車室内を撮影できる。カメラ150は、全天周カメラに限らず、車両の前方及び後方を向いて設置される広角カメラなどであってもよい。マイクロフォン151は、例えばカメラ150と共通の筐体に収納され、車室内または車室外の音声を収集(集音)して音声データを生成する。
次に、図2を参照して記録システム10についてさらに説明する。図2は、実施の形態1にかかる記録システムのブロック図である。図に示すように、記録システム10は、各構成要素の制御を司る記録装置100および記録装置100に接続された複数の構成要素を有している。記録装置100は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、および複数のインタフェース等が実装された回路基板を有する制御装置であって、格納されているプログラムを実行して種々の処理を実行する。
以下に記録装置100の詳細について説明する。記録装置100は主な構成として、撮影データ取得部120、バッファメモリ121、撮影データ処理部122、記録制御部123、再生制御部124、操作制御部125、表示制御部126、イベント検出部127、位置情報取得部128、速度情報取得部129および車間距離検出部130を有している。記録装置100が行う処理は、記録装置100が実行するプログラムによって実現される。便宜的に、これらの構成はそれぞれバスライン110に接続しているように表現する。
撮影データ取得部120は、カメラ150において生成された映像データ及びマイクロフォン151において生成された音声データを取得する。映像データ及び音声データを含むデータは、撮影データと称されてもよい。つまり、撮影データ取得部120は、カメラ150及びマイクロフォン151から撮影データを取得すると言い換えられてもよい。映像データは、例えば、H.264もしくはH.265等の方式を用いて生成されてもよい。また、音声データは、PCM(Pulse Code Modulation)方式等を用いて生成されてもよく、映像データ及び音声データを含んだ動画像データである撮影データは、MPEG−4(Moving Picture Experts Group)またはAVI(Audio Video Interleave)等を用いて生成されてもよい。撮影データ取得部120は、映像データ及び音声データを含む撮影データをバッファメモリ121に供給する。
バッファメモリ121は、揮発性または不揮発性のメモリ装置である。バッファメモリ121は、撮影データ取得部120を介してカメラ150が定期的に生成する撮影データを順次受け取り、受け取った撮影データを一時的に記憶する。バッファメモリ121が一時的に記憶する撮影データは予め設定された期間分である。バッファメモリ121は、予め設定された期間を経過した撮影データを順次消去するか、あるいは、新たに受け取った撮影データを順次上書きする。すなわちバッファメモリ121はリングバッファとして機能する。
撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が記憶している撮影データから、予め設定された方式に準拠した撮影ファイルを生成する。予め設定された方式とは、例えば上述したような、H.264やMPEG−4などの方式である。撮影データ処理部122が生成する撮影ファイルには、ヘッダとペイロードが含まれる。撮影ファイルのヘッダにはファイルが生成された日時等が含まれ、ペイロードには撮影データが含まれる。
撮影データ処理部122は、映像データおよび音声データを含んだ撮影ファイルを生成することもでき、また、映像データを含み、かつ音声データを含まない撮影ファイルを生成することもできる。以降の説明において、映像データおよび音声データを含む撮影データは、第1撮影データと称される。また、映像データを含み、かつ音声データを含まない撮影データは、第2撮影データと称される。撮影データ処理部122は、記録制御部123からの指示に応じて、第1撮影データを含む撮影ファイルまたは第2撮影データを含む撮影ファイルを生成する。撮影データ処理部122は、生成した撮影ファイルを、記録制御部123に供給する。なお、撮影ファイルは、撮影ファイルの一部に第1撮影データが含まれ、他の部分に第2撮影データが含まれるものであってもよい。
記録制御部123は、撮影データ処理部122が生成した撮影ファイルを記録部160に記録させるための制御を行う。例えば、イベント検出部127がイベントを検出した場合、記録制御部123は、イベントの検出に応じて予め設定された期間分の撮影ファイルを、上書き禁止されたイベント記録ファイルとして記録部160に記録させる。なお、記録制御部123が記録部160にイベント記録ファイルを記録させる処理を、「イベント記録」と称する。
記録制御部123はイベント記録ファイルを、記録部160における所定の記録領域に記録させる。所定の記録領域とは例えば、上書きまたは消去禁止とすることを定められた保護領域である。あるいは、記録制御部123により記録部160に供給されたイベント記録ファイルは、上書きまたは消去禁止であることを示すフラグをファイル内に含めて記録されてもよい。
記録制御部123は、上述のイベント記録に加えて、「ループ記録」を行う。「ループ記録」は、記録システム10が起動している期間の撮影データを定常的に記録部160に記録させる処理である。記録制御部123は、ループ記録にかかる撮影ファイルを撮影データ処理部122から受け取り、受け取った撮影ファイルを、記録部160の所定の記録領域に記録させる。記録制御部123は、記録部160の所定の記録領域の全てにループ記録にかかる撮影ファイルが記録された後は、古い撮影ファイルが記録されている領域から順次新しい撮影ファイルを上書きする。すなわち、記録制御部123は、ループ記録を、ループ状に記録する。したがって、例えばユーザは予め設定された期間分を遡った時点以降の撮影データを閲覧できる。なお、撮影データの圧縮率が変動する場合等の場合には、ループ記録に記録される撮影ファイルの期間は一定にならない。またループ記録を記録するための記録領域の容量は、一定でなく、変動してもよい。
記録制御部123は、ループ記録にかかる撮影データを記録部160へ記録する場合に、音声記録条件が成立しているか否かを判断する。「音声記録条件」とは、撮影ファイルに第1撮影データを含むための条件である。記録制御部123は、音声記録条件が成立している場合に、第1撮影データを含む撮影ファイルを記録する。音声記録条件は、例えば、車両900が通常の巡航速度(例えば時速30キロメートルや時速60キロメートル程度)で移動中に、車両900の周辺の他車両が異常に近づいてくる場合などを含むように設定される。
例えば、記録制御部123は、車両900の移動速度が予め設定された速度以上であって、かつ、他車両との車間距離が予め設定された距離未満である場合に、音声記録条件が成立していると判断する。かかる判断をする場合に、記録制御部123は、速度情報取得部129から車両の移動速度に関する情報(速度情報)を受け取る。また記録制御部123は、かかる判断をする場合に、車間距離検出部130から、車両と当該車両の周辺に存在する他車両との車間距離に関する情報を受け取る。そして、記録制御部123は、受け取った速度情報および車間距離に関する情報から、音声記録条件が成立しているか否かを判断する。
記録制御部123は、かかる判断に応じて、撮影データ処理部122に対して第1撮影データまたは第2撮影データを含む撮影ファイルを生成することを指示する。さらに、記録制御部123は、撮影データを記録部160へ記録する場合に、かかる判断の結果に基づいて、音声記録条件が成立している場合には第1撮影データを含む撮影ファイルを、音声記録条件が成立していない場合には第2撮影データを含む撮影ファイルを、記録部へ記録する。
なお、以降の説明において、第1撮影データを含む撮影ファイルを記録部160へ記録する場合に、「第1撮影データを記録部160へ記録する」または「第1撮影データを記録する」と表現する場合がある。同様に、第2撮影データを含む撮影ファイルを記録部160へ記録する場合に、「第2撮影データを記録部160へ記録する」または「第2撮影データを記録する」と表現する場合がある。
再生制御部124は、記録部160が記録している撮影ファイルを管理し、記録されている撮影データを再生するための処理を行う。再生制御部124は、例えばユーザからの指示に応じて、選択された撮影ファイルを読み取り、読み取った撮影ファイルを再生するために表示制御部に供給する。
操作制御部125は、操作部140が受け付けた操作情報を取得し、操作情報に基づいた操作指示を、各構成要素に出力する。例えば操作制御部125は、操作部140から再生対象となる撮影ファイルの選択指示を取得した場合、再生制御部124に対して、記録部160に記録されている撮影ファイルを選択させる。操作制御部125は、操作部140から各種データの再生に関する指示を取得した場合、再生制御部124に再生に関する処理を行わせる。各種データの再生に関する指示とは、例えば、再生開始、一時停止、再生停止、拡大表示などである。
表示制御部126は、表示部141に対し、様々な情報を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部126は、カメラ150が撮影中の撮影データを表示部141に表示させる。また、表示制御部126は、再生制御部124から供給された撮影データを受け取り、受け取った撮影データを表示部141に表示させる。表示制御部126は、表示部141に、操作部140の機能としてタッチセンサが重畳されている場合、タッチセンサに対応したアイコンなどを表示部141に適宜表示させる。
イベント検出部127は、加速度センサ142が検出する加速度に関する情報を受け取り、受け取った加速度に関する情報に基づき、加速度を示す信号の大きさや信号パターンから所定のイベントが発生したことを検出する。外部から受ける加速度とは、記録システム10が車両900から受ける加速度であって、例えば車両900が他の物体と衝突したときに発生する衝撃などにより生じる加速度である。
イベント検出部127は、加速度センサ142から受け取った信号が所定のイベントの発生に該当することを検出した場合には、イベントの発生を検出したことを示す信号を撮影データ処理部122に供給する。イベントの発生とは、例えば、急ブレーキによる衝撃や、車両に対して物体が衝突した場合の衝撃などである。
位置情報取得部128は、測位情報受信部143が受信した測位衛星からの信号を受け取り、受け取った信号から現在位置に関する情報である位置情報を取得し、取得した位置情報を記録制御部123に供給する。位置情報には例えば、測位衛星から信号を受け取った時刻における車両の緯度および経度が含まれる。
速度情報取得部129は、車両900の速度情報を取得する。速度情報は、車両900の移動速度についての情報を含む。速度情報は、移動速度の値が予め設定された閾値よりも高いか低いかを示すものであってもよい。速度情報取得部129は、記録装置100が測位情報受信部143から受け取る情報から移動速度を取得する。速度情報取得部129は、取得した速度情報を記録制御部123に供給する。
なお、速度情報取得部129は、CAN(Controller Area Network)等の通信バスを介して車両900が有しているECU(Electronic Control Unit)等と、通信可能に接続し、車両900が有している種々の情報を取得し、これを利用してもよい。例えば、速度情報取得部129は、車両900が有している速度情報を取得してもよい。
車間距離検出部130は、車両900の周辺に存在する他車両との距離である車間距離を検出する。車間距離検出部130は、撮影データ取得部120が受け取る映像データを解析することにより、車両900の周辺に存在する車両を認識するとともに、認識した他車両の映像の大きさから他車両までの距離を検出する。車間距離検出部130は、検出した車間距離に関する情報を、記録制御部123に供給する。なお、車間距離に関する情報は、車間距離検出部130が検出した距離を含むものであってもよいし、予め設定された閾値よりも近いか否かを示す情報を含むものであってもよい。また車間距離検出部130は、記録システム10が測距センサを有する場合には、測距センサから車両900の周辺の物体との距離に関する情報(測距情報)を受け取り、受け取った情報を利用して車間距離を検出してもよい。さらに、車間距離検出部130は、車両900が有しているECUと通信可能に接続し、車両900が有している測距センサから測距情報を取得しても良い。
次に、記録装置100に接続している各構成について説明する。記録システム10は、主な構成として、操作部140、表示部141、加速度センサ142、測位情報受信部143、カメラ150、マイクロフォン151および記録部160を有している。
操作部140は、記録システム10に対して運転者が行う操作を受け付けるユーザインタフェースである。ユーザインタフェースは、例えば操作ボタンであってもよいし、表示部141に重畳して設置されたタッチセンサであってもよい。またユーザインタフェースは、赤外線や無線通信の受信部であって、リモコン等から送信される信号を受け付けるものであってもよい。操作部140は、受け付けた操作に関する情報である操作情報を、所定のインタフェースを介して記録装置100に供給する。操作情報は例えば、イベント記録開始の指示やイベント記録データの再生を行う指示等である。
表示部141は、表示制御部126の制御により各種情報を表示する表示装置である。表示部141は、例えば、液晶パネルや有機ELなどの表示パネルを少なくとも有している。表示部141は、表示制御部126に接続し、表示制御部126から供給される信号を表示する。表示部141は、例えば撮影データに含まれる映像を表示するように構成されている。
加速度センサ142は、例えば3軸加速度センサである。加速度センサ142は、加速度センサ142に印加された加速度を検出し、検出した加速度に応じて、検出した加速度に関する情報を出力する。加速度センサ142は、イベント検出部127に接続しており、検出した加速度に関する情報をイベント検出部127に出力する。なお、加速度センサ142は、3軸加速度センサに代えて、1軸または2軸加速度センサであってもよい。
測位情報受信部143は、GPSあるいはGNSSと称される衛星測位システムにより車両の現在位置に関する情報を受信する。測位情報受信部143は、測位信号を受信するためのアンテナであってもよいし、車両が取得する位置情報を受け取るための通信インタフェースであってもよい。測位情報受信部143は、受信した現在位置に関する信号を、位置情報取得部128に供給する。
カメラ150は、対物レンズ、撮像素子およびA−D(Analog to Digital)変換素子等を有する撮像装置である。カメラ150は、移動体である車両の周囲の景色を含む映像を撮像し、撮像した映像のデータである撮影データを生成する。カメラ150は、例えば毎秒30フレーム(30fps)の撮影データを生成し、生成した撮影データを30分の1秒ごとに撮影データ取得部120に供給する。
マイクロフォン151は、設置された場所から周辺の音声を収集し、収集した音声から音声データを生成する。マイクロフォン151は、生成した音声データを逐次、撮影データ取得部120に供給する。
記録部160は、カメラ150およびマイクロフォン151から供給された撮影データを格納する記録装置である。記録部160は、例えばフラッシュメモリを含むメモリカードや、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記録装置である。記録部160は、記録制御部123に接続し、記録制御部123から所定のデータを受け取り、受け取ったデータを記録する。
また、記録部160は、再生制御部124の指示に応じて再生制御部124に対して記録しておいたイベント記録データを含むイベントファイルを供給する。記録部160は記録システム10から脱着可能に構成されていてもよいし、取り外しできない構成であってもよい。
次に、図3を参照して記録システム10が実行する処理について説明する。図3は、実施の形態1にかかる記録装置が実行する処理の例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、記録システム10が有する記録装置100が行う処理を示すものである。図3に示すフローチャートは、例えば記録システム10が起動されることにより開始する。
まず記録装置100の撮影データ取得部120は、撮影データの取得を開始する(ステップS100)。
次に、記録装置100は、速度情報および車間距離に関する情報を取得する。そして、記録装置100は、取得したこれらの情報から、車両900の移動速度Vが、予め設定された閾値Vth以上であり、且つ、検出した車間距離Dが、予め設定された閾値Dth未満か否かを判断する(ステップS110)。すなわち、記録装置100は、音声記録条件が成立しているか否かを判断する。
なお、速度の閾値Vthは、例えば、時速30キロメートルや時速60キロメートル程度である。閾値Vthは、一般道を走行している場合と、高速道路を走行している場合とで異なるものであってもよい。また、距離の閾値Dthも、一般道を走行している場合と、高速道路を走行している場合とで異なるものであってもよい。また閾値Dthは、車両900の移動速度に応じて段階的に変化するものであってもよい。閾値Dthは、一例として時速30キロメートル以上での走行時は2m、時速60キロメートル以上での走行時は3mなどである。
移動速度Vが閾値Vth以上、且つ、車間距離Dが閾値Dth未満、すなわち音声記録条件が成立している、と判断する場合(ステップS110:Yes)、記録装置100はステップS120に進む。一方、移動速度Vが閾値Vth以上であり、且つ、車間距離Dが閾値Dth未満であると判断しない場合、すなわち音声記録条件が成立していると判断しない場合(ステップS110:No)、記録装置100はステップS130に進む。なお、上述の音声記録条件が成立していると判断しない場合とは、移動速度Vが閾値Vth未満であるか、または、車間距離Dが閾値Dth以上である場合ということもできる。
ステップS120において、記録装置100は、映像データおよび音声データを含む第1撮影データを記録する(ステップS120)。より具体的には、記録装置100の記録制御部123は、撮影データ処理部122に対して、第1撮影データを含む撮影ファイルを生成するよう指示する。そして、記録制御部123は、撮影データ処理部122から第1撮影データを含む撮影ファイルを受け取ると、受け取った撮影ファイルを記録部160に記録する。
一方、ステップS130において、記録装置100は、映像データを含み、かつ音声データを含まない第2撮影データを記録する(ステップS130)。より具体的には、記録装置100の記録制御部123は、撮影データ処理部122に対して、第2撮影データを含む撮影ファイルを生成するよう指示する。そして、記録制御部123は、撮影データ処理部122から第2撮影データを含む撮影ファイルを受け取ると、受け取った撮影ファイルを記録部160に記録する。
ステップS140において、記録装置100は、一連の処理を終了させるか否かを判断する(ステップS140)。一連の処理を終了させる場合とは、例えば、ユーザの操作により撮影ファイルの生成を停止する場合、車両900からの電源供給が停止することに伴い記録システム10が終了する場合あるいはカメラ150から撮影データの供給がされなくなった場合などである。一連の処理を終了させると判断しない場合(ステップS140:No)、記録装置100は、ステップS110に戻り処理を継続する。一方、一連の処理を終了させると判断する場合(ステップS140:Yes)、記録装置100は、処理を終了させる。
上述のように、記録装置100は、音声記録条件が成立しているか否かに応じて、第1撮影データまたは第2撮影データのいずれを記録するかを判断する。したがって、記録システム10は、車両900の移動速度が閾値Vth以上であって、他車両がDth未満に近づいている状態で音声データを記録する。
次に、図4を参照して車両900の移動速度と撮影データとの関係について説明する。図4は、実施の形態1にかかる記録システムにおける速度と撮影データとの関係を示す図である。図4の上段は、車両900の移動速度を示すグラフである。図4の上段のグラフは、横軸が時刻を示し、縦軸が速度を示している。グラフに描かれた折れ線は、車両900の移動速度を示している。グラフによれば、車両900は、時刻t0から時刻t11まで停止状態である。車両900は、時刻t11から移動を開始し、時刻t13で閾値Vthを超え、その後、速度V1に達するまで加速している。車両900はその後も速度V1で走行を継続している。
図4において、上述した移動速度を示すグラフの下には、他車両との車間距離を示すグラフが示されている。グラフによれば、時刻t0から時刻t11までは、他車両との車間距離は距離D1である。時刻t11からは、車両900が移動を開始したこともあり、車間距離は大きくなりはじめ、時刻t12で閾値Dthを超え、さらに距離D4まで大きくなっている。その後、車間距離は小さくなり始め、時刻t14で閾値Dthを下回り、時刻t15で距離D3となっている。また、時刻t15以降は距離が急速に小さくなり、時刻t16で距離D2となっている。その後、距離は大きくなり始め、時刻t17で閾値Dthを超えている。
図4において、上述した車間距離を示すグラフの下には、映像データの記録状況がハッチングされた帯状の線により示されている。図に示すように、映像データの記録状況を示す線は、時刻t0から時刻を示す横軸に平行に途切れることなく伸びている。すなわち、映像データは、車両900の移動速度にかかわらず、定常的に記録されている。
図4において、映像データの記録状況を示す線のさらに下段には、音声データの記録状況が白または黒の帯状の線により示されている。ここで、黒い線は、対応する時刻において、音声データが記録部160に記録されていることを示している。また白い線は、対応する時刻において、音声データが記録部160に記録されていないことを示している。
図4に示すように、車両900は、時刻t14から時刻t17までの期間において、速度Vが閾値Vth以上であり、且つ、車間距離Dが閾値Dthを下回った状態となっている。すなわち、時刻t14から時刻t17の期間は、音声記録条件が成立している。よって、図に示すように、時刻t14から時刻t17までの期間において、音声データの記録状況は黒い線によって示されている。すなわちこの期間の撮影ファイルには、音声データが含まれている。
上述のように、記録装置100は、車両900の移動速度が閾値Vth以上であり、且つ、車間距離が閾値Dth未満となった場合(音声記録条件が成立している場合)に、音声データを含む第1撮影データを記録部160に記録させる。一方、記録システム10は、車両900の移動速度が閾値Vth未満または車間距離が閾値Dth以上の場合(音声記録条件が不成立の場合)には、音声データを含まない第2撮影データを記録部160に記録させる。このような構成により、記録装置100は、例えば走行中の車両900に対して異常に接近する運転を行う他車両が存在する場合などに、音声データを記録できる。
以上、実施の形態1について説明した。実施の形態1にかかる記録装置100は、上述の構成に限られない。実施の形態1にかかる記録装置100は、例えば、カメラ150、マイクロフォン151、記録部160などの構成を含むものであってもよい。また記録装置100は、記録システム10と同様の構成を含むものであってもよい。記録装置100は、1つのコンソールに収納されたものでなくてもよい。記録装置100は、有線または無線通信を介して接続された状態であってもよい。カメラ150は、上述のような全天周カメラでもいいし、車両900の少なくとも外部を撮影する複数のカメラであってもよい。
以上、実施の形態1によれば、音声データを好適に記録する記録システム等を提供することができる。
<実施の形態2>
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる記録システムのハードウェア構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態2は、第1撮影データを記録することを判断するための条件が、実施の形態1と異なる。具体的には、記録制御部123は、音声記録条件が成立するか否かを判断する際にさらに、他車両が予め設定された相対速度以上で接近した場合に、音声記録条件が成立していると判断する。
図5は、実施の形態2にかかる記録システムが実行する処理の例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、記録システム10が有する記録装置100が行う処理を示すものである。図5に示すフローチャートは、ステップS110の後にステップS111を有する点、さらにステップS120の後にステップS121およびステップS122を有する点が、図3に示すフローチャートと異なる。なお、以降の説明において、上述のフローチャートと同じ処理については適宜省略されることがある。
まず記録装置100の撮影データ取得部120は、撮影データの取得を開始する(ステップS100)。
次に、記録装置100は、速度情報および車間距離に関する情報を取得する。そして、記録装置100は、取得したこれらの情報から、車両900の移動速度Vが、予め設定された閾値Vth以上であり、且つ、検出した車間距離Dが、予め設定された閾値Dth未満か否かを判断する(ステップS110)。すなわち、記録装置100は、音声記録条件が成立しているか否かを判断する。
移動速度Vが閾値Vth以上且つ車間距離Dが閾値Dth未満、すなわち音声記録条件が成立している、と判断する場合(ステップS110:Yes)、記録装置100は、ステップS111に進む。一方、移動速度Vが閾値Vth以上且つ車間距離Dが閾値Dth未満、と判断しない場合、すなわち音声記録条件が成立していると判断しない場合(ステップS110:No)、記録装置100はステップS130に進む。
ステップS111において、記録装置100は、ステップS110がYesとなった状態に至るまでの車両900と接近した他車両の接近時の相対速度RV、または、ステップS110がYesとなった後の車両900と接近した他車両の相対速度RVを算出する。例えば、記録制御部123は、車間距離検出部130から定期的に受け取る車間距離に関する情報から、車間距離の変化すなわち相対速度を算出する。そして、記録制御部123は、算出した相対速度RVが、予め設定された閾値RVth以上か否かを判断する(ステップS111)。相対速度RVが閾値RVth以上であると判断する場合(ステップS111:Yes)、記録装置100は、ステップS120に進む。一方、相対速度RVが閾値RVth以上であると判断しない場合(ステップS111:No)、記録装置100は、ステップS130に進む。なお、本実施の形態の説明において、相対速度RVは、他車両が車両900に近づいてくる場合に正の値となるものとする。
ステップS120において、記録装置100は、第1撮影データを記録し(ステップS120)、ステップS121に進む。
続いて、記録装置100は、移動速度Vが閾値Vth未満または車間距離Dが閾値Dth以上か否かを判断する(ステップS121)。すなわち、記録装置100は、音声記録条件が不成立か否かを判断する。移動速度Vが閾値Vth未満または車間距離Dが閾値Dth以上であると判断しない場合(ステップS121:No)、記録装置100は、ステップS121を繰り返す。一方、移動速度Vが閾値Vth未満または車間距離Dが閾値Dth以上であると判断する場合(ステップS121:Yes)、記録装置100は、第1撮影データの記録を終了し、第2撮影データの記録を行う(ステップS122)。そして、記録装置100は、ステップS140に進む。
ステップS130およびステップS140の処理は、図3において説明した処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上述のように、記録装置100は、音声記録条件が成立するか否かの判断の際に、他車両が予め設定された相対速度以上で接近した場合に、音声記録条件が成立していると判断する。
次に、図6を参照して車両900の移動速度と撮影データとの関係について説明する。図6は、実施の形態2にかかる記録システムにおける速度と撮影データとの関係を示す図である。図6は、図4と同様に、上段が車両900の移動速度を示すグラフであり、移動速度を示すグラフの下に、車間距離を示すグラフ、映像データの記録状況を示す線および音声データの記録状況を示す線を有している。図6は、音声データの記録状況が、図4と異なる。
図6に示すように、時刻t14から時刻t17の期間は、速度Vが閾値Vth以上であり、且つ、車間距離Dが閾値Dthを下回った状態となっている。また、時刻t15から時刻t16までの期間において、車間距離Dは距離D3から距離D2に変化している。この期間における他車両の相対速度RVは、閾値RVth以上である。すなわち、時刻t15から時刻t17の期間は、音声記録条件が成立している。よって、図に示すように、時刻t15から時刻t17までの期間において、音声データの記録状況は黒い線によって示されている。すなわちこの期間の撮影ファイルには、音声データが含まれている。
上述の構成により、記録装置100は、例えば走行中の車両900に対して、所定の範囲内で急速に接近する運転を行う他車両が存在する場合に、音声データを記録できる。すなわち、実施の形態2によれば、煽り運転の影響を受けている可能性がある場合に、音声データを好適に記録する記録システム等を提供することができる。
<実施の形態3>
次に実施の形態3について説明する。実施の形態3にかかる記録システムのハードウェア構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態3は、第1撮影データの記録を開始した後の処理が、実施の形態1と異なる。具体的には、記録制御部123は、音声記録条件が成立した後であって、音声記録条件が不成立となった時から予め設定された期間は、第1撮影データを記録部160へ記録する。
図7は、実施の形態3にかかる記録システムが実行する処理の例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートは、記録システム10が有する記録装置100が行う処理を示すものである。図7に示すフローチャートは、ステップS120の後にステップS123〜ステップS125を有する点が、図3に示すフローチャートと異なる。以降に、図3に示すフローチャートと異なる点を中心に図7について説明する。
ステップS120において、記録装置100は、第1撮影データを記録し(ステップS120)、ステップS123に進む。
続いて、記録装置100は、移動速度Vが閾値Vth未満または車間距離Dが閾値Dth以上か否かを判断する(ステップS123)。すなわち、記録装置100は、音声記録条件が不成立か否かを判断する。移動速度Vが閾値Vth未満または車間距離Dが閾値Dth以上であると判断しない場合(ステップS123:No)、記録装置100は、ステップS123を繰り返す。一方、移動速度Vが閾値Vth未満または車間距離Dが閾値Dth以上であると判断する場合(ステップS123:Yes)、記録装置100は、ステップS124に進む。
ステップS124において、記録装置100は、音声記録条件が不成立となった時から予め設定された期間P1が経過したか否かを判断する(ステップS124)。より具体的には、例えば、記録装置100は、音声記録条件が不成立となった時刻を記憶し、記憶した時刻からカウンタをカウントアップさせ、予め設定された数をカウントした場合に、所定期間P1が経過したと判断する。なお、所定期間P1は、予め設定された期間であり、例えば3分間などである。音声記録条件が不成立となった後に所定期間P1が経過したと判断しない場合(ステップS124:No)、記録装置100は、ステップS124を繰り返す。音声記録条件が不成立となった後に所定期間P1が経過したと判断する場合(ステップS124:Yes)、記録装置100は、第1撮影データの記録を終了し、第2撮影データの記録を開始する(ステップS125)。そして、記録装置100は、ステップS140に進む。ステップS140の処理は、図3に示すフローチャートで既に説明したため、ここでの説明は省略する。
次に、図8を参照して車両900の移動速度と撮影データとの関係について説明する。図8は、実施の形態3にかかる記録システムにおける速度と撮影データとの関係を示す図である。図8は、図4と同様に、上段が車両900の移動速度を示すグラフであり、移動速度を示すグラフの下に、車間距離を示すグラフ、映像データの記録状況を示す線および音声データの記録状況を示す線を有している。図8は、音声データの記録状況が、図4と異なる。
図8に示すように、時刻t14から時刻t17の期間は、速度Vが閾値Vth以上であり、且つ、車間距離Dが閾値Dthを下回った状態となっている。また、時刻t17において、車間距離Dが距離Dthを超え、音声記録条件が成立していた状態から、不成立の状態に変化している。時刻t17の後の時刻t18は、時刻t17から所定の期間P1が経過した時刻である。図に示すように、音声データの記録状況を示す線は、時刻t14から時刻18まで黒く示されている。すなわち、記録装置100は、音声記録条件が成立した時刻t15に第1撮影データを含む撮影ファイルの記録を開始し、音声記録条件が不成立となった時刻t17から期間P1が経過した時刻t18に第1撮影データを含む撮影ファイルの記録を終了している。
上述の構成により、記録装置100は、例えば走行中の車両900に対して、異常に接近してくる他車両が存在する場合に、他車両の接近に伴い音声データの記録を開始するとともに、他車両が離れた後にも、所定の期間は音声データの記録を継続する。すなわち、実施の形態3によれば、煽り運転の影響を受けている可能性がある場合およびその後に生じる可能性がある事象について、音声データを好適に記録する記録システム等を提供することができる。
なお、本実施の形態にかかる構成は、上述の内容に限られない。例えば、本実施の形態の構成は、実施の形態2において説明した処理と組み合わせて実行することもできる。
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4にかかる記録システムのハードウェア構成は、実施の形態1と同様である。ただし、本実施の形態にかかる記録システムは、イベント検出を行った場合の処理が、実施の形態1と異なる。
図9は、実施の形態4にかかる記録システムが実行する処理の例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ステップS120およびステップS130とステップS140との間に、イベント検出にかかる処理を有する点が、図3に示したフローチャートと異なる。
記録装置100は、記録システム10が動作している期間は、常時、加速度センサ142から受け取った信号に基づき、イベントが発生したか否かを判断している。記録装置100は、第1撮影データを記録している期間中にイベントが検出された場合は、第1撮影データをイベント記録データとして、記録部160に記録する。記録装置100は、第2撮影データを記録している期間中にイベントが検出された場合は、ループ記録される撮影データは第2撮影データであるが、第1撮影データをイベント記録データとして、記録部160に記録する。
図9において、記録装置100は、ステップS120の処理の後に、イベント検出部127がイベント検出をしたか否かを判断する(ステップS123)。イベント検出部127がイベント検出をしたと判断する場合(ステップS123:Yes)、記録装置100は、ステップS124に進む。一方、イベント検出部127がイベント検出をしたと判断しない場合(ステップS123:No)、記録装置100は、ステップS140に進む。
ステップS124において、記録装置100は、第1撮影データをイベント記録データとして記録する。具体的には、ステップS123で検出したイベントの検出時点の前後所定期間の第1撮影データを、上書きが禁止されたイベント記録データとして、記録部160に記録する(ステップS124)。イベントの検出前後所定期間とは、例えば前後30秒などである。イベント記録データを記録した後、記録装置100は、ステップS140に進む。
記録装置100は、ステップS130の処理の後に、イベント検出部127がイベント検出をしたか否かを判断する(ステップS131)。イベント検出部127がイベント検出をしたと判断する場合(ステップS131:Yes)、記録装置100は、ステップS132に進む。一方、イベント検出部127がイベント検出をしたと判断しない場合(ステップS131:No)、記録装置100は、ステップS140に進む。
ステップS132において、記録装置100は、第1撮影データをイベント記録データとして記録する。具体的には、ループ記録される撮影データは第2撮影データであるが、ステップS131で検出したイベントの検出時点の前後所定期間に対しては、第1撮影データを、上書きが禁止されたイベント記録データとして、記録部160に記録する(ステップS132)。イベント記録データを記録した後、記録装置100は、ステップS140に進む。
上述のように、実施の形態4にかかる記録装置100は、予め設定された速度以上で走行しているときの他車両との車間距離に応じて、第1撮影データを記録するか、第2撮影データを記録するかを判断する。実施の形態4にかかる記録装置100は、さらに、イベントを検出した場合には、車間距離にかかわらず、第1撮影データをイベント記録データとして記録する。
このような構成により、実施の形態4にかかる記録装置100は、予め設定された速度以上での走行中、他車両との車間距離が狭くなった場合に、音声データを含んだ撮影ファイルを記録するとともに、車間距離にかかわらず、イベントを検出した場合に、音声データを含んだ撮影ファイルを記録する。以上のように、実施の形態4によれば、イベントが発生していない場合とイベントが発生している場合とのいずれの場合にも、音声データを好適に記録する記録システム等を提供することができる。
なお、本実施の形態では、ステップS110として、移動速度Vが閾値Vth以上、且つ、車間距離Dが閾値Dth未満、すなわち音声記録条件が成立している場合に第1撮影データの記録を行う処理を採用して説明した。しかし、上述の処理に加えて、実施の形態2で説明したような、相対速度RVが、予め設定された閾値RVth以上か否かを判断する処理を採用してもよい。また上述の処理に加えて、実施の形態3で説明したような、音声記録条件が不成立となった時から予め設定された期間P1が経過したか否かを判断する処理を採用してもよい。また、図9で示したフローチャートは一例であって、実施の形態4は、他のステップを構成するものであってもよい。
<実施の形態5>
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態5にかかる記録装置は、カウンタを有している点が、実施の形態1と異なる。図10は、実施の形態5にかかる記録システムのブロック図である。図10に示す記録システム20は、実施の形態1にかかる記録装置100に代えて、記録装置200を有している。記録装置200は、カウンタ131を有する点が、実施の形態1にかかる記録装置100と異なる。
カウンタ131は、第1撮影データの記録が行われた後に、第1撮影データの記録が行われたことをトリガとして、予め設定されたカウント数をカウントする。カウンタ131は、予め設定されたカウント数に達したことを示す信号を、記録制御部123に供給する。なお、予め設定されたカウント数は、半導体または水晶が発信するクロック信号に対応してインクリメントされるカウント数であってもよい。
上述のとおり、記録制御部123は、記録部160に対して撮影ファイルをループ記録する。そのため、記録制御部123は、古い撮影ファイルが記録されている領域から順次新しい撮影ファイルを上書きする。しかし、本実施の形態における記録制御部123は、予め設定されたカウント数を超えるまでは、第1撮影データを含む撮影ファイルを消去しない。換言すると、記録制御部123は、第1撮影データを記録した後は、予め設定されたカウント数を超えた後に、記録した第1撮影データを上書きまたは消去する。
図11は、実施の形態5にかかる記録装置が生成する撮影ファイルの例を示す図である。図11において、左から右に向かって延びる矢印は、時間を示している。矢印の上側に示された矩形は、記録制御部123が記録部160に記録する撮影ファイルを示している。撮影ファイルは、予め設定された期間ごとに独立したファイルを構成する。図11には、撮影ファイルの一例として、3つの連続した撮影ファイルが示されている。図11に示す撮影ファイルは、それぞれが2分間分の撮影データを含んでいる。それぞれの撮影ファイルには、ヘッダ情報として、種々の情報が含まれている。例えば、撮影ファイルには、識別子、記録時刻および音声データを含むことを示すフラグが含まれる。
例えば、左側の撮影ファイルは、ファイルの識別子(File ID)がD001である。撮影ファイルD001は、記録時刻として、15時02分25秒という時刻情報が含まれている。また、音声データを含むことを示すフラグは0が示されている。このフラグが1の場合には、撮影ファイルは音声データを含む。このフラグが0の場合には、撮影ファイルは音声データを含まない。よって、撮影ファイルD001は、音声データを含まない。
同様に、中央の撮影ファイルは、ファイルの識別子がD002である。撮影ファイルD002は、記録時刻として、15時04分25秒という時刻情報が含まれている。また、音声データを含むことを示すフラグは1が示されている。このフラグが1の場合には、撮影ファイルは音声データを含む。すなわち、撮影ファイルD002は、音声データを含む。
さらに、右側の撮影ファイルは、ファイルの識別子がD003である。撮影ファイルD003は、記録時刻として、15時06分25秒という時刻情報が含まれている。また、音声データを含むことを示すフラグは0が示されている。すなわち、撮影ファイルD002は、音声データを含まない。
記録部160に記録された撮影ファイルは、ループ記録を行う記録制御部123により、順次、古い順に消去される。例えば、記録部160は、ループ記録としての撮影ファイルが15個格納できるように設定されている。この場合、記録部160は、2分間分の撮影ファイルを15個、すなわち、30分間分の撮影データを記録する。したがって、音声データを含まない撮影ファイルは、30分経過後に、別の新しい撮影ファイルが上書きされることにより消去される。一方、音声データを含む撮影ファイルは、ヘッダに含まれる記録時刻から予め設定された期間として480分(8時間)が経過するまでは上書きされない。換言すると、フラグが1の撮影ファイルは、記録された後に、カウンタが480分経過をカウントした後に上書き可能となる。なお、カウントする期間は一例であって、480分は、任意の期間であってもよい。任意の期間は、無限大に設定されていてもよい。すなわち、フラグが1の場合は、上書き禁止と設定されていてもよい。つまり、第1撮影データは、第2撮影データより、上書きされる優先度が低く設定される。
このような構成により、本実施の形態にかかる記録装置は、何らかの事象を記録した可能性のある撮影ファイルが消去されるのを抑制する。よって、本実施の形態によれば、例えば、走行中に煽られている際の音声データを好適に記録するとともに、記録された撮影データの消去を抑制する記録システム等を提供することができる。なお、本実施の形態にかかる構成は、上述した種々の実施の形態と組み合わせることができる。
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。