説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
<実施の形態1>
以下、図を参照して実施の形態1の構成について説明する。本実施の形態にかかる記録再生装置10は、移動体である自動車等の車両に設置して用いられ、カメラが撮影した撮影データを記録および再生するものであって、例えばドライブレコーダと呼ばれる装置である。記録再生装置10は、突発的な衝撃などが加えられた場合に加えられた衝撃をトリガとして、予め設定された期間分の撮影データを「イベント記録データ」として再生可能に記録する機能を有している。自動車の運転者等は、このイベント記録データを再生し、再生したイベント記録データの映像を見ることによりイベントの状況を把握できる。
図1は、実施の形態1にかかる記録再生装置の構成を示すブロック図である。図に示すように、記録再生装置10は、各構成要素の制御を司る制御部100および制御部100に接続された複数の構成要素を有している。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、および複数のインタフェース等が実装された回路基板を有する制御装置であって、格納されているプログラムを実行して種々の処理を実行する。
以下に制御部100の詳細について説明する。制御部100は、撮影データ取得部120、バッファメモリ121、撮影データ処理部122、記録制御部123、再生制御部124、操作制御部125、表示制御部126、イベント検出部127、位置情報取得部128、タイマ129および移動体情報取得部130を有しており、これらの処理および制御を実行する構成は、制御部100が実行するプログラムによって実現される。便宜的に、これらの構成はそれぞれバスライン110に接続しているように表現する。
撮影データ取得部120は、カメラ150から供給された撮影データを取得する。撮影データ取得部120は、バスライン110を介して撮影データをバッファメモリ121に供給する。
バッファメモリ121は、揮発性または不揮発性のメモリ装置である。バッファメモリ121は、撮影データ取得部120を介してカメラ150が定期的に生成する撮影データを順次受け取り、受け取った撮影データを一時的に記憶する。バッファメモリ121が一時的に記憶する撮影データは予め設定された期間分である。バッファメモリ121は、予め設定された期間を経過した撮影データを順次消去するか、あるいは、新たに受け取った撮影データを順次上書きする。
撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が記憶している撮影データから、予め設定された方式に準拠した形式の撮影ファイルを生成する。予め設定された方式とは、例えばH.264やMPEG-4(Moving Picture Experts Group)などの方式である。
なお、撮影データ処理部122は、撮影データを処理し、予め設定された画角の撮影ファイルを生成してもよい。また、撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が出力した撮影データを処理し、予め設定された時間または予め設定された画角の撮影データを生成し、ファイル名称等のヘッダ情報等を付加して、撮影ファイルを生成してもよい。さらに、撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が出力した撮影データを処理し、撮影データのノイズ除去や歪み補正等を行ってもよく、撮影データに時刻情報、車両の速度情報または車両の位置情報などを表示した撮影ファイルを生成してもよい。
記録制御部123は、撮影データ処理部122が生成した撮影ファイルを記録装置160に保存させる制御を行う。イベント検出部127がイベントを検出した場合、記録制御部123は、イベントの検出に基づいて予め設定された期間分の撮影ファイルを上書き禁止されたイベント記録データとして記録装置160に保存する。記録制御部123はイベント記録データを、記録装置160における所定の記録領域に保存する。所定の記録領域とは例えば、上書きまたは消去禁止とすることを定められた記録領域である。あるいは、記録制御部123により記録装置160に供給されたイベント記録データは、上書きまたは消去禁止であることを示すフラグをファイル内に含めて保存してもよい。
また記録制御部123は、記録装置160に保存したイベント記録データが過去に再生制御部124によって再生処理が行われたか否かを示す情報を記録装置160に記録する。これにより再生制御部124はどのイベント記録データが未再生であるかを識別できる。
なお、記録制御部123は、イベント検出部127がイベントを検出していない場合、撮影ファイルを上書き可能な状態として記録装置160に記憶させてもよい。記録装置160に記憶させる、イベント記録データとは異なる撮影ファイルを、ここでは「通常ファイル」と称する。記録制御部123は、記録装置160の記憶容量が上限となった場合、通常ファイルのうち古いものを消去して新たに生成された通常ファイルを記録装置160に記録してもよい。
再生制御部124は、予め設定された条件下において、保存されているイベント記録データを再生するための処理を行う。予め設定された条件とは、イベントイベントが検出された時刻から予め設定された期間である第1期間内に、移動体の動力源がオン状態からオフ状態に変化したことを検出した場合である。この場合、再生制御部124は、移動体情報取得部130から移動体の動力源がオン状態からオフ状態に変化したことを示す信号を受け取る。
再生制御部124はタイマ129を監視してイベントが検出された時刻から第1期間が経過したか否かを判断する。イベント記録データを再生する場合、再生制御部124は、記録装置160に記録されたイベント記録データを読取り、読取ったイベント記録データを表示制御部126に供給する。なお上記第1期間は例えば1分、3分など、事故等のイベントの発生後に、イベントが発生したことを理由として車両を停止させるまでの期間である。
再生制御部124は、イベントが検出された時刻から第1期間内であって、検出されたイベントに基づくイベント記録データの保存が終了してから移動体の動力源がオン状態からオフ状態に変化したことを検出した場合は、保存したイベント記録データの再生を開始する。再生制御部124は、イベントが検出された時刻から第1期間内であって、検出されたイベントに基づくイベント記録データの保存が終了する前に移動体の動力源がオン状態からオフ状態に変化したことを検出した場合は、イベント記録データの保存が終了してから保存されたイベント記録データの再生を開始することとしてもよく、イベント記録データの保存が終了する前にイベント記録データの再生が可能であれば、イベント記録データの再生を開始してもよい。この場合、イベント記録データとして保存する対象となる撮影ファイルを再生する対象としてもよい。
操作制御部125は、操作部140が受け付けた操作情報を取得し、操作情報に基づいた操作指示を、各構成要素に出力する。操作制御部125は、操作部140から再生対象となる各種データの選択指示を取得した場合、再生制御部124に記録装置160に記録されているファイルなどを選択させる。操作制御部125は、操作部140から各種データの再生に関する指示を取得した場合、再生制御部124に再生に関する処理を行わせる。各種データの再生に関する指示とは、例えば、再生開始、一時停止、再生停止、拡大表示などである。
表示制御部126は、表示部141に対し、様々な情報を表示させる制御を行う。例えば、表示制御部126は、カメラ150が撮影中の撮影データを表示部141に表示させる。また、表示制御部126は、再生制御部124から供給されたイベント記録データを受け取り、受け取ったイベント記録データを表示部141に表示させる。表示制御部126は、表示部141に、操作部140の機能としてタッチセンサが重畳されている場合、タッチセンサに対応したアイコンなどを表示部141に適宜表示させる。
イベント検出部127は、加速度センサ142が検出する加速度に関する情報を受け取るとともに、受け取った情報の信号の大きさや信号パターンから所定のイベントが発生したことを検出する。外部から受ける加速度とは、記録再生装置10が記録再生装置の外部から受ける加速度であって、例えば自動車が他の物体と衝突したときに発生する衝撃などにより生じる加速度である。また、外部から受ける加速度には、記録再生装置10自体がユーザ等によって直接受ける衝撃も含まれる。
イベント検出部127は、加速度センサ142から受け取った情報が所定のイベントの発生に該当することを検出した場合には、イベントの発生を検出したことを示す信号を撮影データ処理部122に供給する。イベントの発生とは、例えば、急ブレーキによる衝撃や、車両に対して物体が衝突した場合の衝撃など、事故に該当する場合に生じる加速度が検出される場合である。例えば、予め設定された方向に対して、予め設定された大きさを越える加速度が、予め設定された期間を越えて検出された場合や、予め設定された期間に加速度の変化が大きかった場合などに、イベント検出部127はイベントの発生を検出する。なおイベント検出部127は、3軸座標の座標軸であるX軸、Y軸およびZ軸の加速度を検出するものであってもよいし、これらのうち少なくとも1方向の加速度を検出するものであってもよい。またこれら3軸方向から受ける加速度に重み付けを行ってもよい。またイベント検出部127は、イベントの発生を検出したことを示す信号をタイマ129にも供給する。
位置情報取得部128は、GPS(Global Positioning System)受信部143が受信したGPS衛星からの信号を受け取り、受け取った信号から現在位置に関する情報である位置情報を取得し、取得した位置情報を記録制御部123に供給する。位置情報には例えば、GPS衛星から信号を受け取った時刻における車両の緯度および経度が含まれる。
タイマ129は、イベント検出部127からイベントの発生を検出したことを示す信号を受け取り、これをトリガ信号としてタイマのカウント値をリセットして作動を開始する。またタイマ129は、作動を開始すると、予め設定された期間である第1期間までカウントを行う。
移動体情報取得部130は、通信部170を介して移動体情報を取得する。移動体情報とは、移動体である車両の状態に関する情報であって、例えば、シフトレバーのポジション、ハザードランプの点灯状態および主電源の起動状態などである。移動体情報には、車両の動力源の状態も含まれる。本実施の形態において車両の動力源とは、車両の移動をするための駆動源であって、例えば車両が化石燃料エンジンを有する場合はエンジンであり、車両がモータにより移動する場合には駆動モータである。あるいは、動力源は、これらの移動手段の駆動をするために必須の電源(車両の主電源)である。
移動体の動力源がオン状態からオフ状態に変化するとは、例えばエンジンが動作している状態(オン状態)から動作していない状態(オフ状態)に変化することをいう。また、移動体の動力源がオン状態からオフ状態に変化するとは、駆動モータを駆動可能な状態(オン状態)から駆動できない状態(オフ状態)に変化することをいう。または、移動体の動力源がオン状態からオフ状態に変化するとは、移動を司る回路に電力が供給されていた状態(オン状態)から供給されなくなる状態(オフ状態)に変化することをいう。
次に、制御部100に接続している各構成について説明する。記録再生装置10は、操作部140、表示部141、加速度センサ142、GPS受信部143、カメラ150、記録装置160および通信部170を有している。
操作部140は、記録再生装置10に対してユーザが行う操作を受け付けるユーザインタフェースである。ユーザインタフェースは、例えば操作ボタンであってもよいし、表示部141に重畳して設置されたタッチセンサであってもよい。またユーザインタフェースは、赤外線や無線通信の受信部であって、リモコン等から送信される信号を受け付けるものであってもよい。操作部140は、受け付けた操作に関する情報である操作情報を、所定のインタフェースを介して制御部100に供給する。操作情報は例えば、イベント記録開始の指示やイベント記録データの再生を行う指示等である。
表示部141は、表示制御部126の制御により各種情報を表示する表示装置である。表示部141は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)などの表示パネルを少なくとも有している。表示部141は、表示制御部126に接続し、表示制御部126から供給される信号を表示する。表示部141は、イベント記録データに含まれる映像を表示するように構成されている。
加速度センサ142は、例えば3軸加速度センサであって、記録再生装置10の任意の場所に設置されている。加速度センサ142は、加速度センサ142に印加された加速度を検出し、検出した加速度に応じて、検出した加速度に関する情報を制御部100に供給する。加速度センサ142は、イベント検出部127に接続しており、検出した加速度に関する情報をイベント検出部127に供給する。なお、加速度センサ142が制御部100に供給する加速度に関する状態は、適宜、他の構成も利用可能であり、より具体的には、再生制御部124も加速度センサ142から受け取る加速度に関する情報を利用する。なお、加速度センサ142は、3軸加速度センサに代えて、1軸または2軸加速度センサであってもよい。
GPS受信部143は、GPSあるいはGNSS(Global Navigation Satellite System)と称される衛星測位システムにより車両の現在位置に関する情報を受信する。GPS受信部143は、GPS信号を受信するためのアンテナであってもよいし、車両が取得する位置情報を受け取るための通信インタフェースであってもよい。GPS受信部143は、受信した現在位置に関する信号を、位置情報取得部128に供給する。
カメラ150は、対物レンズ、撮像素子およびA-D(Analog to Digital)変換素子等を有する撮像装置である。カメラ150は、移動体である車両の周囲の景色を含む映像を撮像し、撮像した映像のデータである撮影データを生成する。カメラ150は、生成した撮影データを撮影データ取得部120に供給する。
記録装置160は、カメラ150から供給された撮影データを格納する記録装置である。記録装置160は、例えばフラッシュメモリを含むメモリカードや、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性の記録装置である。記録装置160は、記録制御部123に接続し、記録制御部123から所定のデータを受け取り、受け取ったデータを記録する。また、記録装置160は、再生制御部124の指示に応じて再生制御部124に対して記録しておいたイベント記録データを含むイベントファイルを供給する。記録装置160は記録再生装置10から脱着可能に構成されていてもよいし、取り外しできない構成であってもよい。
通信部170は、記録再生装置10が設置されている車両に設けられている車内ネットワークに接続するインタフェースであって、車内ネットワークを介して車両から受け取った情報を、制御部200が有する移動体情報取得部130に供給する。車内ネットワークとは例えばCAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)またはFlexrayなどである。
次に、図2~図4を参照しながら記録再生装置10の機械的な構成について説明する。図2は、実施の形態1にかかる記録再生装置10の右側面図である。図3は、実施の形態1にかかる記録再生装置10を撮影方向から見た背面図である。図4は、実施の形態1にかかる記録再生装置10を表示方向から見た正面図である。なお、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものとして、図2~4には、右手系の直交座標系が付されている。また、以降の図において、直交座標系が付されている場合、図2~4のX軸、Y軸、およびZ軸方向と、これらの直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸方向はそれぞれ一致している。
図2に示すように、記録再生装置10は、ブラケット900を介して車両のウィンドシールドWSに固定される。ブラケット900は、接着部901、保持部902およびボールジョイント903を有している。
接着部901はウィンドシールドWSに接する面に接着剤が塗布された部材である。ブラケット900は、接着部901がウィンドシールドWSの任意の位置に接着することにより固定される。
保持部902は、記録再生装置10が有する着脱部921に着脱可能且つ装着した記録再生装置10が車両の走行等で外れたり、撮影向きのずれが生じないように嵌合する。例えば保持部902は、記録再生装置10が有する着脱部921の所定の方向に対してスライドして係合可能なリブまたは溝を有しており、所定の寸法までスライドすると、ロック機構(不図示)によりロックされガタツキなく固定される。
ボールジョイント903は、接着部901と保持部902との角度を調整可能に設けられた関節機構であり、所定の外力が加えられた場合に可動する。接着部901がウィンドシールドWSに接着し、保持部902が記録再生装置10と嵌合している状態では、所定の外力が加えられない限りボールジョイント903は動かないように構成されている。
記録再生装置10を利用するユーザは、接着部901をウィンドシールドWSに接着するとともに、保持部902に記録再生装置10の着脱部921を嵌合させる。これにより記録再生装置10は車両に固定される。
なお、車両に固定された記録再生装置10を取り外す場合、ユーザは、記録再生装置10の着脱部921を保持部902から解除する。着脱部921を保持部902から解除する場合、ユーザは、ロック機構(不図示)を解除したうえで着脱部921を保持部902から引き離すようにスライドさせる。これにより記録再生装置10は車両から取り外され、ユーザは記録再生装置10を把持できる。
図2~図4に示すように、記録再生装置10は、その正面および背面が矩形の主面となり、正面から投影した矩形の短辺に対して数分の一程度の厚みを有する略直方体形状を成している。記録再生装置10は、周囲が樹脂製のケース920に覆われている。記録再生装置10は、正面に表示部141が有する表示パネルが配置されており、背面にカメラ150の対物レンズが露呈しており、上面には着脱部921が設けられている。したがって、記録再生装置10は、上面に設けられた着脱部921がブラケット900の保持部に嵌合し、カメラ150の対物レンズが車両の進行方向に露呈し、表示部141の表示パネルが運転者であるユーザ側に向いて配置される。記録再生装置10がこのように設置されることにより、記録再生装置10は進行方向の映像を撮像するとともに、撮像した映像をユーザに表示する。記録再生装置10の表示パネルの大きさは、例えば対角線が1.5インチから4インチ程度である。また、ケース920の大きさは例えば、幅方向(X軸方向)が5センチメートルから10センチメートル程度である。
記録再生装置10はケース920の上面から延びるケーブル922を有している。ケーブル922は車内ネットワークへ接続する。記録再生装置10はケーブル922により車内ネットワークに接続し、移動体情報を取得する。また記録再生装置10はケーブル922により車両から電源の供給を受けてもよい。また、記録再生装置10は、ケーブル922を用いずに、無線通信を用いて移動体情報を取得してもよい。
次に、図5を参照しながら、撮影データについて説明する。図5は、記録再生装置が記憶する撮影データと時間との関係を示す第1の図である。図の横軸は時刻を表しており、時刻t10から時刻t11に向かって矢印の方向(右方向)に時間が経過することを示している。
時間軸に沿って示された長尺形状は、時刻t11における撮影データC11である。撮影データC11は、カメラ150が生成した撮影データであって、バッファメモリ121に記憶されている。記録再生装置10は、予め設定された期間Pnの撮影データを常に記憶しておくように設定されている。期間Pnは、例えば60秒、120秒あるいは150秒などの期間である。時刻t11における撮影データC11は、時刻t11から期間Pnを遡った時刻t10から時刻t11までの撮影データである。またバッファメモリ121に記憶される撮影データは時刻の経過とともに、期間Pnより過去の撮影データは順次消去される。
ここで、図5に示す例では、時刻t11において、記録再生装置10がイベントの発生を検出したものとする。そのため、記録再生装置10はこの後、時刻t11を基準としてイベント記録データを生成する処理を行う。
次に、図6を参照しながら、イベントの発生を検出した後の撮影データとイベント記録データについて説明する。図6は、記録再生装置が記憶する撮影データと時間との関係を示す第2の図である。図6は時刻t11より後の時刻t21におけるデータの構成を示している。時刻t21においてバッファメモリ121に記憶されているのは時刻t21から期間Pnを遡った時刻t20から時刻t21までの撮影データC21である。
撮影データC21の下に示されている矩形は、イベント記録データE11である。イベント記録データE11は、時刻t11に検出されたイベントに応じて撮影データから抽出されたものである。本実施の形態において記録再生装置10は、イベントを検出した時刻t11を基準として、時刻t11から期間P1を遡った時刻tsをイベント記録データの開始時刻と設定する。また本実施の形態において、記録再生装置10は、イベントを検出した時刻t11を基準として期間P2を経過した時刻teをイベント記録データの終了時刻として設定する。期間P1および期間P2は、例えば10秒、15秒あるいは20秒などの期間である。すなわち、記録再生装置10は、時刻tsから時刻teまでの期間の撮影データをイベント記録データE11として保存する。
上述のようにイベント記録データを生成することにより、記録再生装置10は、発生したイベントの前後の期間について、撮影データを保存できる。したがって、ユーザは、イベントが発生した後に記録再生装置10が保存したイベント記録データを再生することにより、イベント発生前後における車両の周囲の状況を視認できる。
なお、記録再生装置10は、イベント記録データに加えて、通常ファイルを記録装置160に記録してもよい。その場合、記録再生装置10は、バッファメモリ121に記憶されている撮影データから所定の期間の撮影データを抽出し、抽出した撮影データを通常ファイルとして記録装置160に記録する。記録再生装置10は、通常ファイルを記録する処理と、イベント記録データを保存する処理とを並列して行ってもよい。
次に、図7を参照しながら記録再生装置10が行う処理について説明する。図7は、記録再生装置がイベントの発生を検出する場合のフローチャートである。図7は、記録再生装置10がイベントを検出する場合に制御部100が行う処理を示している。図7に示すフローチャートは、車両の動作の開始などに基づいて記録再生装置10に車両から電源が供給されるなど、任意の条件で開始される。
まず制御部100は、撮影データの取得を開始する(ステップS10)。ステップS10においては、制御部100はイベントの検出も開始する。撮影データはカメラ150から定期的(例えば30フレーム毎秒)に供給される。撮影データ取得部120はカメラ150から供給される撮影データをバッファメモリ121に供給する。バッファメモリ121は予め設定された期間(例えば60秒)の撮影データを記憶し、予め設定された期間の撮影データが記憶された後は、古い撮影データを削除しながら新しい撮影データを順次記憶する。
次にイベント検出部127は、加速度センサ142から供給される情報からイベントの発生を検出したか否かを判断する(ステップS11)。イベントの発生を検出したと判断した場合(ステップS11:Yes)、記録制御部123は、イベント記録データを生成し、記録装置160に記録させる(ステップS12)。一方、ステップS11において、イベントの発生を検出したと判定しない場合(ステップS11:No)、制御部100はイベント記録データの生成を行わず、ステップS13に進む。
次に、制御部100は、一連の処理を終了するか否かを判断する(ステップS13)。処理を終了すると判断しない場合(ステップS13:No)、制御部100はステップS11に戻り再びイベントの発生を検出したか否かの判断を行う。一方、処理を終了すると判断した場合(ステップS13:Yes)、制御部100は処理を終了する。
次に図8を参照しながら、制御部100が行うイベント記録データの再生処理について説明する。図8は、記録再生装置10がイベント記録データを再生する場合のフローチャートである。図8の処理は、図7の処理におけるステップS11がYesとなったとき、つまりイベントが検出されたときに開始される。
まず再生制御部124は、イベントが検出されたことにより、タイマ129のカウント値をリセットし(ステップS110)、続いてタイマ129の作動を開始させる(ステップS111)。なお、タイマ129は、時間の経過とともに順次カウント値をインクリメントする。次に、再生制御部124は、タイマ129のカウント値を読取り、カウント値が第1期間を経過しているか否かを判断する(ステップS112)。カウント値が第1期間を経過していると判断した場合(ステップS112:Yes)、制御部100は図8に示す処理を終了させる。
ステップS112においてカウント値が第1期間を経過していると判断しない場合(ステップS112:No)、再生制御部124は、移動体情報取得部130が取得した移動体情報から、車両の動力源が動作状態から停止状態に変化したか否かを判断する(ステップS113)。ここで本実施の形態にかかる記録再生装置10が設置されている車両は動力源としてエンジンを搭載している。したがって、再生制御部124は、通信部170を介して取得した移動体情報から、エンジンが停止したか否かを判断する。
エンジンが停止したと判断しない場合(ステップS113:No)、制御部100は、ステップS112に進む。一方、ステップS113において、エンジンが停止状態に変化したと判断した場合(ステップS113:Yes)、再生制御部124は、タイマ129のカウントを停止させ(ステップS114)、再生対象となるイベント記録データの再生を開始する(ステップS115)。再生対象のイベント記録データとは、図8の処理を開始するトリガとなったイベントに基づき、図7の処理で保存されたイベント記録データ、つまりエンジン停止直近で保存されたイベント記録データである。
次に、再生制御部124は、イベント記録データの再生を終了させるか否かを判断する(ステップS116)。具体的には、再生制御部124は、例えばユーザの操作を受け付ける操作制御部125がイベント記録データの再生の停止を受け付けたかどうかを検出する。再生終了の操作を受け付けない場合(ステップS116:No)、制御部100はイベント記録データの再生を継続する。この場合、再生制御部124は、イベント記録データを、再生終了の操作を受け付けるまで繰り返し再生してもよい。一方、再生終了の操作を受け付けた場合(ステップS116:Yes)、再生制御部124はイベント記録データの再生を終了させる処理を行ない(ステップS117)、図8に示す処理を終了させる。
以上、制御部100が行うイベント記録データの再生処理について説明した。上述の処理において、ステップS114およびステップS115は順序が入れ替わってもよいし、同時処理が実行されてもよい。
ステップS115で、イベント記録データの再生を開始する際に、ユーザに再生の開始を許可する操作を促す表示を行ない、ユーザから許可があった場合にイベント記録データの再生を開始してもよい。これにより、記録再生装置10は、煩雑な操作を要せず、ユーザの意思に従ってイベント記録データを再生する。
上述の処理のステップS113において、制御部100または再生制御部124は、エンジンの停止状態に代えて車両の変速機の状態がパーキングポジションに変化したことを検出してもよい。また車両がモータを動力源として有している場合、制御部100または再生制御部124は、モータに電流を供給する電源がオフ状態に変化したことを検出してもよい。あるいは、制御部100または再生制御部124は、車両の主電源がオフ状態になっていることを条件としてもよい。このように、ステップS113において制御部100または再生制御部124は、移動体情報を取得することにより、車両が咄嗟に移動可能な状態(一時停止状態)ではなく停止したことを検出する。
以上、実施の形態1について説明したが、実施の形態1にかかる記録再生装置10は上述の構成に限られない。例えば、エンジンが停止しているが、車両が有する表示装置や通信機器等に電力が供給されている場合、記録再生装置10は表示部141を有さず、通信部170を介して車両が有する表示装置にイベント記録データを送信することによりイベント記録データを再生してもよい。また記録再生装置10は、ケーブル922を有さず、無線通信により車両の機器と信号の送受信を行ってもよい。
以上、実施の形態1について説明した。上述の構成により、記録再生装置10は、所定のイベントが発生してから第1期間が経過する前に車両の動力源が停止した場合、未再生のイベント記録データを再生する。これにより、事故であるイベントの発生後に、停止した状態でイベント記録データが再生されることで、特段の操作を必要とせずに、イベントの状態を確認することができる。したがって、実施の形態1によれば、煩雑な操作をすることなく保存したデータの再生を行う記録再生装置等を提供することができる。
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2にかかる記録再生装置10は、イベント記録データを再生する場合の処理が実施の形態1と異なる。図9は実施の形態2にかかる記録再生装置10がイベント記録データを再生する処理を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ステップS113とステップS114との間にステップS120を有する点が、図8に示した実施の形態1にかかるフローチャートと異なる。以下に実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
ステップS113において、エンジンが停止したと判断した場合(ステップS113:Yes)、再生制御部124は、移動体情報取得部130の情報を読取り、車両がハザードランプを点灯させているか否かを判断する(ステップS120)。車両がハザードランプを点灯させていると判断しない場合(ステップS120:No)、制御部100は、図9に示す処理を終了させる。ステップS120の判断は、エンジン停止したときにハザードランプが点灯していることの判断であってもよく、 ステップS113でエンジンが停止状態に変化したと判断されてから、例えば60秒など所定期間内にハザードランプが点灯したか否かを判断するとしてもよい。
一方、車両がハザードランプを点灯させていると判断した場合(ステップS120:Yes)、再生制御部124は、タイマ129のカウントを停止させ(ステップS114)、再生対象となるイベント記録データの再生を開始する(ステップS115)。
なお、上述のステップS120において、ハザードランプ点灯の検出に代えて、またはハザードランプ点灯の検出に加えて、車両の動力源であるエンジンが停止した後、第2期間経過した場合、つまり車両の動力源であるエンジンが停止した状態が第2期間経過したことを、イベント記録データを再生する条件としてもよい。このように設定することにより、記録再生装置10は、事故等のイベント発生後に、車両の動力源がオフ状態になってから、ユーザがイベント記録データを視認する好適なタイミングでイベント記録データを再生する。
以上、実施の形態2について説明した。上述の構成により、記録再生装置20は、所定のイベントが発生してから第1期間が経過する前に車両の動力源が停止した場合であって、車両が停止を周囲に表明するハザードランプを点灯させている状態である場合に、イベント記録データを再生する。これにより、記録再生装置20は、事故であるイベントの発生後に、他車両に対して事故車両が停止していることの注意喚起を行った上で、イベント記録データが再生する。これにより、記録再生装置20は、安全な状態において特段の操作を必要とせずに、イベントの状態を確認することができる。したがって、実施の形態2によれば、煩雑な操作をすることなく保存したデータの再生を行う記録再生装置等を提供することができる。
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。図10は、実施の形態3にかかる記録再生装置のブロック図である。実施の形態3にかかる記録再生装置20は、制御部100に代えて制御部200を有している。制御部200は退避状態検出部131を有している点が制御部100と異なる。また記録再生装置20は、退避状態検出部131に接続する地図データベース171をさらに有する点も実施の形態1と異なる。
退避状態検出部131は、位置情報取得部128から記録再生装置20が設置されている車両の位置に関する情報を取得するとともに、車両の現在位置の周辺における車両が退避可能な退避位置に関する情報を取得し、これらの情報から車両が退避状態であることを検出する。退避状態とは、車両が退避位置に存在している状態であることをいう。退避位置とは例えば、駐車場、走行路の路肩または退避所など走行路とは異なる場所である。退避状態検出部131は、位置情報取得部128から取得した車両の位置に関する情報と、地図データベース171から取得した退避位置に関する情報を照合することにより、車両が退避位置に存在することを検出する。
地図データベース171は、不揮発性の記憶装置に格納されたデータベースであって、少なくとも移動体の退避位置に関する情報が含まれる。地図データベース171は例えば緯度および経度を利用して、どの位置が退避位置であって、どの位置が退避位置ではないかが識別可能に構成されている。
次に図11を参照しながら実施の形態3にかかるイベント記録データの再生処理について説明する。図11は、実施の形態3にかかる記録再生装置がイベント記録データを再生する場合のフローチャートである。図11に示すフローチャートは、ステップS113とステップS114との間にステップS210を有する点が、図8に示した実施の形態1にかかるフローチャートと異なる。以下に実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
ステップS113において、エンジンが停止したと判断した場合(ステップS113:Yes)、再生制御部124は、退避状態検出部131の情報を読取り、車両が退避状態か否かを判断する(ステップS210)。車両が退避状態と判断しない場合(ステップS210:No)、制御部100は、図11に示す処理を終了させる。
一方、車両が退避状態と判断した場合(ステップS210:Yes)、再生制御部124は、タイマ129のカウントを停止させ(ステップS114)、再生対象となるイベント記録データの再生を開始する(ステップS114)。
図11の処理においては、エンジン停止後に(ステップS113:Yes)、車両の現在位置が、例えば、走行路における走行車線上である場合にステップS210の判断を実行することとしてもよい。
以上、実施の形態3について説明した。上述の構成により、記録再生装置20は、所定のイベントが発生してから第1期間が経過する前に車両の動力源が停止した場合であって、車両が退避状態である場合に、未再生のイベント記録データを再生する。これにより、事故であるイベントの発生後に、車両が退避状態となった上で、イベント記録データが再生されることで、より安全な状態において特段の操作を必要とせずに、イベントの状態を確認することができる。したがって、実施の形態3によれば、煩雑な操作をすることなく保存したデータの再生を行う記録再生装置等を提供することができる。なお、当然ながら、実施の形態3の構成に、実施の形態2の設定を加えてもよい。
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、および電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線および光ファイバ等の有線通信路、または無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
また本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、上述の記録再生装置は自動車に搭載するドライブレコーダの例として説明したが、記録再生装置はオートバイ、自転車等の様々な種類の車両に搭載されてもよい。また記録再生装置が搭載される対象は車両に限られず、鉄道、船舶、航空機などの移動体であってもよい。また記録再生装置は人間や歩行ロボットなどが装着して利用するものであってもよい。