JP2021094504A - 噴霧熱分解装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】噴霧量を増加したとしても、熱分解反応を十分に進行させることが可能な噴霧熱分解装置を提供すること。【解決手段】噴霧熱分解装置10は、熱分解炉1内に原料溶液のミスト2を噴霧する噴霧装置3と、ミスト2の流れ方向上流側に設けられ、ミスト2を燃焼ガスにより乾燥する第1の燃焼バーナー3と、ミスト2の流れ方向下流側の熱分解炉1の側壁に設けられ、乾燥されたミスト2を燃焼ガスにより加熱する第2の燃焼バーナー5と、第2の燃焼バーナー5の燃焼ガス排出口の前方にエアカーテン6を形成するエアカーテンノズル7を備えるものである。【選択図】図1

Description

本発明は、噴霧熱分解装置に関する。
微粒子の製造装置として、噴霧熱分解法を活用した内燃式の噴霧熱分解装置が使用されている。この噴霧熱分解装置は、例えば、原料溶液をノズルから噴霧してミスト化(液滴化)し、このミストをキャリアガスによって熱分解炉の内部に供給し、燃焼バーナーから生成された燃焼ガスを熱源としてミストを加熱することで乾燥又は焼成する装置である。このような装置として、例えば、複数の燃焼バーナーを炉内に備える噴霧熱分解装置が知られている(特許文献1〜3)。
特開2005−183004号公報 特開2007−84355号公報 特開2011−98867号公報
しかしながら、従来の噴霧熱分解装置においては、噴霧量を増加させると、炉内の温度が低下して熱分解反応が不十分となり、所望の微粒子を得られないことがある。この場合、燃焼バーナーの燃焼量を増加して炉内の温度を高くすることが考えられるが、温度制御が難しく、炉内で局所的に温度が上昇して温度差を生じ、均一な熱処理が困難になる。その結果、熱分解反応が不十分となり、所望の物性を有する粒子を得難くなる。
本発明の課題は、噴霧量を増加したとしても、熱分解反応を十分に進行させることが可能な噴霧熱分解装置及びそれを用いた無機酸化物粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、噴霧熱分解装置内に、ミストを乾燥する第1の燃焼バーナーと、乾燥ミストを加熱する第2の燃焼バーナーを設置したうえで、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口前方にエアカーテンを設けることで、炉内での局所的な温度上昇が抑制され温度差を生じ難くなり、均一な熱処理が可能になるため、噴霧量を増加したとしても、熱分解反応を十分進行できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
〔1〕熱分解炉内に原料溶液のミストを噴霧する噴霧装置と、
ミストの流れ方向上流側に設けられ、ミストを燃焼ガスにより乾燥する第1の燃焼バーナーと、
ミストの流れ方向下流側の熱分解炉側壁に設けられ、乾燥されたミストを燃焼ガスにより加熱する第2の燃焼バーナーと、
第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンを形成するエアカーテンノズル
を備える、噴霧熱分解装置。
〔2〕噴霧装置が流体ノズルである、前記〔1〕記載の噴霧熱分解装置。
〔3〕前記〔1〕又は〔2〕記載の噴霧熱分解装置を用い、原料無機化合物含有溶液のミストを噴霧装置から噴霧し、熱分解する工程を含む、無機酸化物粒子の製造方法。
〔4〕原料無機化合物がアルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上である、前記〔3〕記載の無機酸化物粒子の製造方法。
本発明の噴霧熱分解装置によれば、第2の燃焼バーナーの燃焼ガスの排出口の前方にエアカーテンを設けることで、炉内での局所的な温度上昇が抑制され温度差を生じ難く、均一な熱処理が可能になるため、熱分解反応が十分に進行し、所望の物性を有する粒子を簡便に製造することができる。また、本発明の噴霧熱分解装置を用いることで、効率よく無機酸化物粒子を製造することができる。
本発明の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。 本発明の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。 本発明の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。 従来の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。 従来の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。 従来の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1〜3は、本発明の噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。
噴霧熱分解装置10、20、30は、内燃式であり、図1〜3に示されるように、熱分解炉1内に原料溶液のミスト2を噴霧する噴霧装置3と、ミスト2の流れ方向上流側に設けられ、ミスト2を燃焼ガスにより乾燥する第1の燃焼バーナー4と、ミスト2の流れ方向下流側の熱分解炉1の側壁に設けられ、乾燥されたミスト2を燃焼ガスにより加熱する第2の燃焼バーナー5を備えるものである。そして、第2の燃焼バーナー5の燃焼ガス排出口の前方には、当該排出口を覆うようにエアカーテン6を形成するためのエアカーテンノズル7が設けられている。
(熱分解炉)
熱分解炉は、炉材として使用されている材質であれば何れも用いることができ、加熱温度等を考慮して選定すればよい。また、金属製のシェルの内壁に、耐火レンガ、断熱レンガ、キャスタブル等を単体、層状、又はこれらを組み合わせて用いるのが一般的である。
熱分解炉の形状は、熱分解炉内に旋回流を発生させることができる点で、堅型円筒状が好ましい。
熱分解炉の大きさは、製造スケールに応じて適宜選択することが可能であるが、例えば、堅型円筒状である場合、内径が好ましくは600〜1600mmであり、高さが好ましくは3000〜10000mmである。
(噴霧装置)
噴霧装置としては、例えば、流体ノズルを挙げることができる。流体ノズルとしては、例えば、1流体ノズル、2流体ノズル、3流体ノズル、4流体ノズルが挙げられる。中でも、2流体ノズル、3流体ノズル、4流体ノズルが好ましい。なお、噴霧装置は、耐熱性を考慮し、必要に応じて断熱材等で保護してもよい。
流体ノズルの方式には、気体と原料溶液とをノズル内部で混合する内部混合方式と、ノズル外部で気体と原料溶液を混合する外部混合方式があるが、いずれも採用することができる。ノズルに供給する気体としては、例えば、空気や、窒素、アルゴン等の不活性ガス等を使用することができる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。
噴霧装置の設置位置は、熱分解炉の中央部でも、端部でもよく、また熱分解炉の上方及び下方のいずれでも構わないが、熱分解炉壁面への固着物の発生を防止しつつ、熱分解反応を十分に進行させる観点から、熱分解炉下方の略中央部に設置することが好ましい。なお、噴霧装置は、1基又は2基以上設置することができる。なお、図1、2に示される噴霧熱分解装置は、熱分解炉下方の略中央部に噴霧装置が1基設置されており、また図3に示される噴霧熱分解装置は、熱分解炉下方に略同一間隔で噴霧装置が2基設置されている。
(第1の燃焼バーナー)
第1の燃焼バーナーは、一般的に販売されているものであれば、いずれも使用することができる。熱分解炉の容積、仕様等を考慮し、これにあった型式の燃焼バーナーを選択すればよい。また、熱分解炉の仕様に応じたものを製作しても構わない。
第1の燃焼バーナーに用いる燃料は特に限定されないが、例えば、気体燃料、液体燃料、固体燃料を挙げられ、これら燃料の2種以上を混焼してもよい。気体燃料としては、例えば、LPG、都市ガス、気化した有機物が挙げられる。また、液体燃料としては、例えば、灯油、軽油、重油や再生油など液化した有機物を挙げることができる。固体燃料としては、例えば、石炭、木炭、木材などを粉末状にしたものを挙げられる。
第1の燃焼バーナーは、ミストの流れ方向上流側に設置される。
また、第1の燃焼バーナーは、1基又は2基以上設置することが可能であり、好ましくは1〜4基である。燃焼バーナーを複数基設置する場合、燃焼バーナーの設置位置は、同じ高さとすることを要しない。なお、図1、2に示される噴霧熱分解装置は、第1の燃焼バーナーがミストの流れ方向上流側(熱分解炉下方)に1基設置されており、図3に示される噴霧熱分解装置は、第1の燃焼バーナーがミストの流れ方向上流側(熱分解炉下方)に2基設置されている。
第1の燃焼バーナーは、熱分解炉の中心軸よりずらして設置することが好ましい。このように第1の燃焼バーナーを配置することで、当該燃焼バーナーから生じた燃焼ガスにより、熱分解炉内に強力な旋回流を発生させることができる。旋回流を発生させることで、熱分解炉壁面での固着物の発生を防止しやすくなるとともに、熱分解炉の長さよりも長い距離をミストが熱分解炉内に滞留できるため、長時間熱処理され、乾燥、熱分解反応を十分進行させることができる。図1〜3に示される噴霧熱分解装置は、第1の燃焼バーナーが熱分解炉の中心軸よりずらして設置されており、旋回流が熱分解炉の下方から上方に進行するため、ミストは旋回流により旋回しながら上昇することができる。
また、第1の燃焼バーナーは、当該燃焼バーナーの火炎がミストに直接接触しないように設置することが好ましい。このようにするには、第1の燃焼バーナーの火炎が熱分解炉内に入らないように設置すればよく、例えば、前後方向に燃焼バーナーを可動できる機構を設け、必要に応じて調整すればよい。これにより,燃焼バーナーから生じた火炎に直接接触することなく、熱分解炉の長さよりも長い距離、熱分解炉内に滞留し、長時間の熱分解反応を受けることができる。
(第2の燃焼バーナー)
第2の燃焼バーナーは特に限定されず、第1の燃焼バーナーと同様に、一般的に販売されているものを使用することができる。第2の燃焼バーナーは、第1の燃焼バーナーと同一であってもよく、熱分解炉の容積、仕様等を考慮し、これにあった型式の燃焼バーナーを選択することも可能である。また、熱分解炉の仕様に応じたものを製作しても構わない。なお、第2の燃焼バーナーに用いる燃料は特に限定されず、第1の燃焼バーナーと同一のものを使用することができる。
第2の燃焼バーナーは、ミストの流れ方向下流側の熱分解炉側壁に設置される。なお、第2の燃焼バーナーは、炉内で温度差を生じさせなければ、第1の燃焼バーナーの設置位置から熱分解炉の出口までの任意の位置に設置することができる。
また、第2の燃焼バーナーは、1基又は2基以上設置することが可能であり、好ましくは1〜6基である。
第2の燃焼バーナーを2基以上設置する場合、同じ高さ(同一円周上)に対面に並べても、高さを変えて段違いとして設置してもよい。なお、図1に示される噴霧熱分解装置は、第2の燃焼バーナーが1基設置されており、また図2に示される噴霧熱分解装置は、第2の燃焼バーナー2基が高さを変えて段違いとして設置されており、更に図3に示される噴霧熱分解装置は、第2の燃焼バーナー4基のうちの2基がそれぞれ同一円周上で対向設置されている。
(エアカーテンノズル)
エアカーテンノズルは、圧縮空気を噴射できる構造であれば、一般的に販売されているものを使用することができる。第2の燃焼バーナーの設置位置等を考慮し、これにあった型式のエアカーテンを選択すればよく、また扇型ノズルや流体ノズル、新たに製作したものを設置してもよい。
エアカーテンは、エアカーテンノズルに強制的に導入されたエアによって形成される。
エアの流量は、エアカーテンの設置位置、第2の燃焼バーナーの熱量、熱分解炉の容量等を考慮して適宜設定することが可能であるが、通常100〜3000L/minであり、好ましくは100〜2000L/minであり、燃焼ガス排出口から排出された燃焼ガスの流れを遮断できればこれらに限定されない。
エアカーテンノズルは、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口から熱分解炉内に排出された燃焼ガスの流れを、エアカーテンノズルから噴射されたエア(空気)の流れによって遮断するように燃焼ガス排出口の前方に設置される。これにより、炉内での局所的な温度上昇が抑制され温度差を生じ難くなり、均一な熱処理が可能になるため、噴霧量を増加したとしても、熱分解反応を十分進行することができる。
エアカーテンノズルの設置位置は、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口前方を覆うようにエアカーテンを形成できれば特に限定されない。例えば、噴霧装置に隣接して設置しても、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口付近に設置してもよい。噴霧装置に隣接して設置する場合、熱分解炉壁面に沿ってエアカーテンが形成されるように、エアカーテンノズルのエア噴射口をミストの流れ方向下流側に向けて設置することができる。また、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口付近に設置する場合、燃焼ガス排出口の上方又は下方に設置することが可能であり、燃焼ガス排出口の上方に設置する場合、エアカーテンノズルのエア噴射口を下方に向ければよく、また燃焼ガス排出口の下方に設置する場合、エアカーテンノズルのエア噴射口を上方に向ければよい。
エアカーテンノズルは、1基又は2基以上設置することが可能であり、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口付近に設置する場合には、燃焼ガス排出口ごとに設置することが好ましい。図1に示される噴霧熱分解装置は、エアカーテンノズルが噴霧装置の隣に1基設置されており、また図2に示される噴霧熱分解装置は、エアカーテンノズルが噴霧装置の隣に1基、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の下方に1基設置されており、更に図3に示される噴霧熱分解装置は、エアカーテンノズルが第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の下方に1基ずつ設置されている。
また、本発明の噴霧熱分解装置は、熱分解炉のミストの流れ方向の下流側端部に、回収装置と誘引ファンを設置することができる。これにより、生成した粒子が誘引ファンによって回収装置に移動するため、粒子を容易に回収することができる。回収装置としては、例えば、バグフィルターを挙げることができる。
また、熱分解炉の下流側端部に冷却エアを導入可能な空間を設け、ここに冷却エアを導入することにより、冷却回収してもよい。冷却エアの導入手段としては、冷却エアの吸入部の設置、ファンやブロアから冷却エアを送り込む手段等を採用することができる。これらは複数の箇所から行なってもよい。また、冷却エアの代わりに、水冷してもよく、イオン交換水や上水等を用いることができる。更に、回収装置の上流側には、回収装置の負荷低減、粗粒や異物回収のため、サイクロンを配置してもよく、熱交換器を配置すると、余熱利用や排ガス量を低減することもできる。他方、回収装置の下流側には、必要に応じて、スクラバー等の除塵、浄化設備を配置してもよい。
次に、本実施形態に係る噴霧熱分解装置を用いた、無機酸化物粒子の製造方法について説明する。
先ず、原料無機化合物含有溶液を調製する。
原料無機化合物含有溶液は、原料無機化合物と溶媒とを混合して調製すればよい。原料無機化合物と溶媒との混合方法は、両者を同時に添加して混合しても、他方を一方に添加して混合してもよく、混合方法は特に限定されない。
原料無機化合物としては、無機酸化物を構成する元素を含有し、水等の溶媒に溶解する化合物であれば特に限定されないが、例えば、無機塩、金属アルコキシド等を挙げることができる。無機塩としては、例えば、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、バリウム塩、セシウム塩、イットリウム塩、アルミノケイ酸塩が挙げられる。また、金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド、ケイ酸アルコキシドを挙げることができる。原料無機化合物は、1種又は2種以上を使用することができる。
アルミニウム塩としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、燐酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウムが挙げられる。マグネシウム塩としては、例えば、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、燐酸マグネシウム、水酸化マグネシウムを挙げることができる。カルシウム塩としては、例えば、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、蟻酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウムが挙げられる。ホウ酸塩としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のメタホウ酸塩、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム等の四ホウ酸塩、五ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸カリウム等の五ホウ酸塩を挙げることができる。ケイ酸アルコキシドとしては、例えば、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラプロピル(TPOS)、テトラブトキシシランを挙げることができる。また、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を溶媒に分散した溶液、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物のゾル溶液も原料溶液として用いることができる。
中でも、原料無機化合物としては、本発明の効果を享受しやすい点で、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上が更に好ましい。
原料無機化合物から得られる酸化物としては、例えば、金属酸化物、アルミナ、シリカ、アルミニウム及びケイ素からなる酸化物等が挙げられる。より具体的には、アルミナ、シリカ、アルミニウム及びケイ素からなる酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物等が挙げられ、これら酸化物を組みあわせた複合酸化物も挙げることができる。
溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられる。中でも、環境への影響、製造コストの点から、水が好ましい。
原料無機化合物含有溶液中の原料無機化合物の濃度は、得られる無機酸化物粒子の粒度分布、密度、強度等を考慮し、0.01mol/L〜飽和濃度が好ましく、0.1〜1.0mol/Lが更に好ましい。
次に、原料無機化合物含有溶液のミストを噴霧装置から熱分解炉内に噴霧する。これにより、ミストは、第1の燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流れに巻き込まれ、ミストから溶媒が蒸発して速やかに乾燥し、無機塩を析出する。
噴霧装置としては、流体ノズルが好ましい。流体ノズルの具体的態様は、上記において説明したとおりである。
ミストの平均粒子径は、好ましくは0.5〜60μm、より好ましくは1〜20μm、更に好ましくは1〜15μmである。なお、ミストの平均粒子径は、噴霧装置の噴出口の形状や噴霧装置へ供給する気体の圧力によって調整することができる。
そして、乾燥ミストは、燃焼ガスの流れに乗って熱分解炉の下流側に移動し、第2の燃焼バーナーにより熱が加えられて熱分解し、無機塩が酸化され無機酸化物粒子を生成する。
本発明においては、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンが形成されているため、炉内での局所的な温度上昇が抑制され温度差を生じ難くなり、均一な熱処理が可能になる。その結果、噴霧量を増加したとしても、熱分解反応が十分進行するため、所望の物性を有する無機酸化物粒子が得られる。
熱分解炉内の温度は、400〜1800℃が好ましく、600〜1500℃がより好ましく、700〜1400℃が更に好ましく、900〜1200℃がより更に好ましい。400℃未満であると、熱分解反応が不十分となりやすく、1800℃を超えると、粒子が熱分解炉外に排出されたときに十分冷却され難く、粒子同士が凝集しやすくなる。
次に、熱分解反応によって生じた無機酸化物粒子を回収する。例えば、図1〜3に示される噴霧熱分解装置においては、無機酸化物粒子が熱分解炉上方から誘引ファンによって回収装置に移動し回収される。また、無機酸化物粒子の回収にあたっては、フィルターを通過させることにより、粒子径を調整してもよい。
本発明の方法により製造される無機酸化物粒子は、中実粒子、多孔質粒子、中空粒子のいずれでも、これら2以上の混合物でも構わない。ここで、本明細書において「中実粒子」とは、内部に空洞を有さない構造の粒子をいい、例えば、単一の層からなる粒子、及び、コア(内核とも言われる)とシェル層(外殻とも言われる)を有する粒子を挙げることができる。また、「中空粒子」とは、内部に空洞(中空部)を有する構造のものであり、外殻に包囲された空洞を有する粒子をいう。空洞の数は、単数でも複数でもよい。更に、「多孔質粒子」とは、粒子表面から内部まで連結した貫通孔を多数有する粒子をいう。貫通孔の大きさや形状は、特に限定されない。また、粒子内部に閉気孔を有していてもよい。
無機酸化物中空粒子を製造する場合、熱分解後の無機酸化物粒子の表面を溶融してもよい。これにより、無機酸化物粒子の表面に存在する孔が閉塞され、粒子外殻に孔がなく、粒子強度の高い無機酸化物中空粒子が得られる。無機酸化物粒子の表面を溶融させるには、例えば、第2の燃焼バーナーの温度を無機酸化物粒子の溶融温度以上に制御すればよい。
本発明の方法により製造される無機酸化物粒子は形状が略球状である。
無機酸化物粒子の粒子密度は、通常0.3〜0.7g/cm3である。本明細書において「粒子密度」とは、定容積膨張法により測定した値をいう。
無機酸化物粒子の平均粒子径は、通常0.1〜50μmであり、好ましくは0.3〜30μmであり、更に好ましくは0.5〜20μmである。本明細書において「平均粒子径」とは、JIS R 1629に準拠して試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の50%に相当する粒子径(d50)を意味する。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
1.粒子密度の測定
無機酸化物粒子の粒子密度は、乾式自動密度計(アキュピック1340、島津製作所製)を用いて、定容積膨張法により測定した。即ち、セル内にサンプルを投入した後、これに不活性ガスを充填してサンプルの体積を測定し、この体積と予め測定しておいたサンプル質量より粒子密度を求めた。
2.粒子強度の測定
粒子強度は、次の粉体加圧法により測定した。
(1)中空粒子とエタノールとを質量比4:1で混合し、試料を調製した。
(2)試料を圧力成形器に入れ、油圧プレス機で所定の圧力(10MPa,20MPa,30MPa)を印加した。
(3)所定の圧力を印加した状態で1分間静置した。
(4)圧力成形器から試料を取り出し、80℃で2時間乾燥した。
(5)微小圧縮試験機(MCT−510、島津製作所社製)を用い、加圧後の中空粒子の密度を測定した。
そして、加圧前後の中空粒子の密度から、下記式により、所定圧力ごとの残存率を算出し、残存率と印加圧力のグラフより、50%残存時の圧力を読み取った。なお、式中の真密度は、上記と同様に測定したものである。
残存率P[%]=(1−ρ/y)/ρ×(1/x−1/y)×100
〔式中、ρは、加圧後の密度を示し、yは、中空殻の真密度を示し、xは、加圧前の密度を示す。〕
3.平均粒子径の測定
無機酸化物粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置としてマイクロトラック(日機装株式会社製)を使用し、JIS R 1629に準拠して体積基準の粒度分布を作成し、積算分布曲線の50%に相当する粒子径(d50)を求めた。
ここで、マイクロトラックは、1粒の粒子において、その粒子の最大径を、その粒子の粒子径として捉える特徴があるため、ミストや粒子の付着によって、楕円状や雪だるま状になった粒子が多い場合には、平均粒子径は大きくなる傾向を示す。
4.1050℃揮発分の有無の評価方法
マッフル炉にて予め1100℃で加熱し、デシケーター内で冷却したアルミナ製坩堝に、試料5.000gを投入し、電気炉にて5℃/minの昇温速度で1050±5℃とし、3時間保持した後、ヒーター電源を落とし試料を常温まで炉冷した。そして、試料の重量を測定し、加熱前後の試料の重量から重量減少率を算出した。重量減少率の測定は、50個の試料について行い、重量減少率の平均値を求めた。重量減少率の平均値が2質量%以上である場合を揮発分「有」、重量減少率の平均値が2質量%未満である場合を揮発分「無」と評価した。なお、重量減少率の平均値が2質量%以上である場合は、未反応物が多いため、熱分解反応が不十分であるといえる。
参考例1
図4に示す内燃焼式噴霧熱分解装置を用いて無機酸化物粒子を製造した。なお、噴霧熱分解装置の熱分解炉の反応部のサイズは、φ1000mm×5000mmであった。また、ミストの噴出速度は霧化エア量で調整し、第1の燃焼バーナーは、熱分解炉内に旋回流が発生するように熱分解炉の中心軸とずらし、火炎がミストと直接接触しないように設置した。燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速は、燃焼バーナーの焚き量にて調整した。
第1の燃焼バーナーと、第2の燃焼バーナーの燃焼条件を、熱分解炉内の温度が950℃となるように調整した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をA−1とする。
蒸留水1L当たり硝酸アルミニウムを0.04mol、オルトケイ酸テトラエチルを0.16mol溶解したアルミニウム及びケイ素の混合水溶液を、ポンプで2流体ノズルに圧縮空気とともに150L/hの流量で送液し、熱分解炉内にミスト状に噴霧した。その後、バグフィルターを用いて無機酸化物粒子を回収した。得られた無機酸化物粒子は、粒子内部に空洞(中空部)を有する中空形状を有していた。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表1に示す。
比較例1
送液量を250L/hに増量したこと以外は、参考例1と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表1に示す。
比較例2
送液量を250L/hに増量し、図4に示すB−B断面の中心温度が950℃となるように第2の燃焼バーナーの炊き量を調整したこと以外は、参考例1と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をA−2とする。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1
エアカーテンノズルを噴霧装置に隣接して設置したこと以外は、図4に示す噴霧熱分解装置と同一構成の、図1に示す噴霧熱分解装置を用いた。
エアカーテンノズルにエアを1,000L/minで吹き込み、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンを設けたこと以外は、比較例2と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2021094504
比較例1は、参考例1に対して噴霧量を増量した例であるが、噴霧量の増量により炉内の温度が低くなり、均一に熱処理されず、熱分解反応が不十分となった結果、粒子密度が大きくなった。一般的に粒子密度が大きくなると、粒子強度は高くなるが、熱分解反応が不十分であったため、粒子強度は小さかった。
比較例2は、比較例1に対して第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、エアカーテンがないため、第2の燃焼バーナー近傍温度が950℃以上となり、炉内で温度差を生じたため、ミストの中心部と外周部で温度差により焼成ムラが発生し、無機酸化物粒子の比重が大きくなった。
これに対し、実施例1は、噴霧量を増量し、第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンが形成されているため、炉の中央部からエアカーテン内側が950℃に制御され、炉内で温度差が生じず、均一に熱処理され、熱分解反応が十分に進行した。その結果、参考例1と同様の物性の無機酸化物粒子が得られた。
参考例2
第2の燃焼バーナーを2基設置したこと以外は、図4に示す噴霧熱分解装置と同一構成の、図5に示す内燃焼式噴霧熱分解装置を用いて、参考例1と同一条件で無機酸化物粒子を製造した。
なお、第1の燃焼バーナーと、第2の燃焼バーナー2基の燃焼条件を、熱分解炉内の温度が950℃となるように調整した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をB−1とする。
得られた無機酸化物粒子は、粒子内部に空洞(中空部)を有する中空形状を有していた。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表2に示す。
比較例3
送液量を250L/hに増量したこと以外は、参考例2と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表2に示す。
比較例4
送液量を250L/hに増量し、図5に示すB−B断面及びC−C断面の中心温度が950℃となるように第2の燃焼バーナーの炊き量を調整したこと以外は、参考例2と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をB−2とする。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表2に示す。
実施例2
エアカーテンノズル2基を設置したこと以外は、図5に示す噴霧熱分解装置と同一構成の、図2に示す噴霧熱分解装置を用いた。
噴霧装置に隣接するエアカーテンノズルにはエアを700L/minで吹き込み、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の下方に設置したエアカーテンにはエアを300L/minで吹き込み、エアカーテンを設けたこと以外は、比較例4と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2021094504
比較例3は、参考例2に対して噴霧量を増量した例であるが、噴霧量の増量により炉内の温度が低くなり、均一に熱処理されず、熱分解反応が不十分となった結果、粒子密度が大きくなった。また、粒子密度が大きいにもかかわらず、粒子強度は小さかった。
比較例4は、比較例3に対して第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、エアカーテンがないため、第2の燃焼バーナー近傍温度が950℃以上となり、炉内で温度差を生じたため、ミストの中心部と外周部で温度差により焼成ムラが発生し、無機酸化物粒子の粒子密度が大きくなった。
これに対し、実施例2は、噴霧量を増量し、第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、第2の燃焼バーナー2基の2つの燃焼ガス排出口の前方に、それぞれエアカーテンが形成されているため、炉の中央部からエアカーテン内側が950℃に制御され、炉内で温度差が生じず、均一に熱処理され、熱分解反応が十分に進行した。その結果、参考例2と同様の物性の無機酸化物粒子が得られた。
参考例3
噴霧装置を2基設置し、かつ第2の燃焼バーナーを4基設置したこと以外は、図4に示す噴霧熱分解装置と同一構成の、図6に示す内燃焼式噴霧熱分解装置を用いた。そして、2流体ノズル2基それぞれに圧縮空気とともに100L/hの流量で送液し、熱分解炉内にミスト状に噴霧したこと以外は、参考例1と同一条件で無機酸化物粒子を製造した。なお、ミストの噴出速度は霧化エア量で調整し、第1の燃焼バーナーは、熱分解炉内に旋回流が発生するように熱分解炉の中心軸とずらし、火炎がミストと直接接触しないように設置した。燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速は、燃焼バーナーの焚き量にて調整した。
また、第1の燃焼バーナーと、第2の燃焼バーナー4基の燃焼条件を、熱分解炉内の温度が950℃となるように調整した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をC−1とする。
得られた無機酸化物粒子は、粒子内部に空洞(中空部)を有する中空形状を有していた。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表3に示す。
比較例5
2流体ノズル2基への送液量をそれぞれ150L/hに増量したこと以外は、参考例3と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表3に示す。
比較例6
2流体ノズル2基への送液量をそれぞれ150L/hに増量し、図6に示すB−B断面及びC−C断面の中心温度が950℃となるように第2の燃焼バーナーの炊き量を調整したこと以外は、参考例3と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をC−2とする。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表3に示す。
実施例3
第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方に、エアカーテンノズルを1基ずつ設置したこと以外は、図6に示す噴霧熱分解装置と同一構成の、図3に示す噴霧熱分解装置を用いた。
エアカーテンノズルにエアを400L/minで吹き込み、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンを設けたこと以外は、比較例6と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2021094504
比較例5は、参考例3に対して噴霧量を増量した例であるが、噴霧量の増量により炉内の温度が低くなり、均一に熱処理されず、熱分解反応が不十分となった結果、粒子密度が大きくなった。また、粒子密度が大きいにもかかわらず、粒子強度は小さかった。
比較例6は、比較例5に対して第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、エアカーテンがないため、第2の燃焼バーナー近傍温度が950℃以上となり、炉内で温度差を生じたため、ミストの中心部と外周部で温度差により焼成ムラが発生し、無機酸化物粒子の粒子密度が大きくなった。
これに対し、実施例3は、噴霧量を増量し、第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、第2の燃焼バーナー4基の各燃焼ガス排出口の前方に、それぞれエアカーテンが形成されているため、炉の中央部からエアカーテン内側が950℃に制御され、炉内で温度差が生じず、均一に熱処理され、熱分解反応が十分に進行した。その結果、参考例3と同様の物性の無機酸化物粒子が得られた。
参考例4
第1の燃焼バーナーと、第2の燃焼バーナーの燃焼条件を、熱分解炉内の温度が1050℃となるように調整したこと以外は、図4に示す噴霧熱分解装置を用いて参考例1と同一条件で無機酸化物粒子を製造した。なお、このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をA−3とする。
得られた無機酸化物粒子について、平均粒子径、1050℃揮発分の有無を測定した。その結果を表4に示す。
比較例7
送液量を250L/hに増量したこと以外は、参考例4と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、平均粒子径、1050℃揮発分の有無を測定した。その結果を表4に示す。
比較例8
送液量を250L/hに増量し、図4に示すB−B断面の中心温度が1050℃となるように第2の燃焼バーナーの炊き量を調整したこと以外は、参考例4と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をA−4とする。得られた無機酸化物粒子について、平均粒子径、1050℃揮発分の有無を測定した。その結果を表4に示す。
実施例4
エアカーテンノズルを噴霧装置に隣接して設置したこと以外は、図4に示す噴霧熱分解装置と同一構成の、図1に示す噴霧熱分解装置を用いた。
エアカーテンノズルにエアを1,000L/minで吹き込み、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンを設けたこと以外は、比較例8と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、平均粒子径、1050℃揮発分の有無を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2021094504
比較例7は、参考例4に対して噴霧量を増量した例であるが、噴霧量の増量により炉内の温度が低くなり、均一に熱処理されず、熱分解反応が不十分となった結果、1050℃の揮発分があった。
比較例8は、比較例7に対して第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、エアカーテンがないため、第2の燃焼バーナー近傍温度が1050℃以上となったため、乾燥ミストや生成した粒子が溶融して付着、凝集し、平均粒子径が大きくなった。
これに対し、実施例4は、噴霧量を増量し、第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンが形成されているため、炉の中央部からエアカーテン内側が1050℃に制御され、炉内での局所的な温度上昇が抑えられ、乾燥ミストや生成した粒子の溶融が生じなかった。その結果、参考例4と同様の無機酸化物粒子が得られた。
参考例5
第1の燃焼バーナーと、第2の燃焼バーナーの燃焼条件を、熱分解炉内の温度が1050℃となるように調整したこと以外は、図6に示す噴霧熱分解装置を用いて参考例3と同一条件で無機酸化物粒子を製造した。なお、このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をC−3とする。
得られた無機酸化物粒子について、平均粒子径、1050℃揮発分の有無を測定した。その結果を表5に示す。
比較例9
送液量を250L/hに増量したこと以外は、参考例5と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、平均粒子径、1050℃揮発分の有無を測定した。その結果を表5に示す。
比較例10
送液量を250L/hに増量し、図6に示すB−B断面及びC−C断面の中心温度が950℃となるように第2の燃焼バーナーの炊き量を調整したこと以外は、参考例5と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。このときの第2の燃焼バーナーの燃焼条件をC−4とする。得られた無機酸化物粒子について、平均粒子径、1050℃揮発分の有無を測定した。その結果を表4に示す。
実施例5
第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方に、エアカーテンノズル1基ずつ設置したこと以外は、図6に示す噴霧熱分解装置と同一構成の、図3に示す噴霧熱分解装置を用いた。
エアカーテンノズルにエアを400L/minで吹き込み、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンを設けたこと以外は、比較例10と同じ条件で無機酸化物粒子を製造した。得られた無機酸化物粒子について、粒子密度及び粒子強度を測定した。その結果を表5に示す。
Figure 2021094504
比較例9は、参考例5に対して噴霧量を増量した例であるが、噴霧量の増量により炉内の温度が低くなり、均一に熱処理されず、熱分解反応が不十分となった結果、1050℃の揮発分があった。
比較例10は、比較例9に対して第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、エアカーテンがないため、第2の燃焼バーナー近傍温度が1050℃以上となったため、乾燥ミストや生成した粒子が溶融して付着、凝集し、平均粒子径が大きくなった。
これに対し、実施例5は、噴霧量を増量し、第2の燃焼バーナーの熱量を増加した例であるが、第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンが形成されているため、炉の中央部からエアカーテン内側が1050℃に制御され、炉内での局所的な温度上昇が抑えられ、乾燥ミストや生成した粒子の溶融が生じなかった。その結果、参考例5と同様の無機酸化物粒子が得られた。
1 熱分解炉
2 ミスト(液滴)
3 噴霧装置
4 第1の燃焼バーナー
5 第2の燃焼バーナー
6 エアカーテン
7 エアカーテンノズル
10 噴霧熱分解装置
20 噴霧熱分解装置
30 噴霧熱分解装置
40 噴霧熱分解装置
50 噴霧熱分解装置
60 噴霧熱分解装置

Claims (4)

  1. 熱分解炉内に原料溶液のミストを噴霧する噴霧装置と、
    ミストの流れ方向上流側に設けられ、ミストを燃焼ガスにより乾燥する第1の燃焼バーナーと、
    ミストの流れ方向下流側の熱分解炉側壁に設けられ、乾燥されたミストを燃焼ガスにより加熱する第2の燃焼バーナーと、
    第2の燃焼バーナーの燃焼ガス排出口の前方にエアカーテンを形成するエアカーテンノズル
    を備える、噴霧熱分解装置。
  2. 噴霧装置が流体ノズルである、請求項1記載の噴霧熱分解装置。
  3. 請求項1又は2記載の噴霧熱分解装置を用い、原料無機化合物含有溶液のミストを噴霧装置から噴霧し、熱分解する工程を含む、無機酸化物粒子の製造方法。
  4. 原料無機化合物がアルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上である、請求項3記載の無機酸化物粒子の製造方法。
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