JP2019162608A - 噴霧熱分解装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】均質な中空粒子を製造できる噴霧熱分解装置の提供。【解決手段】水平管からなる燃焼炉と垂直管からなる反応炉とが連結した形状の噴霧熱分解反応炉を有し、水平管の端部に垂直管方向に火炎を生じさせる燃焼バーナーを備え、垂直管の底部に上向きに原料液を噴霧する噴霧装置を備え、水平管と垂直管が、燃焼炉から垂直管に流れる熱風が連結部で旋回流を生じるように基軸をずらして連結されていることを特徴とする噴霧熱分解装置。【選択図】図1

Description

本発明は、噴霧熱分解装置に関する。
中空微粒子の製造装置として噴霧熱分解法を活用した製造装置が使用されている。この製法に用いる内熱式反応炉はセラミックス製、金属製、耐熱レンガ製等の反応部を有する。反応炉のいずれかの部位に燃焼管が設置され、その燃焼管に、燃焼ガスを生成するためのガスバーナーが設置される。燃焼管は、内部に燃焼室を有する。水溶液を噴霧するための噴霧装置(ノズルユニット)が設置される。ここで用いるノズルは2流体ないし4流体ノズルと呼ばれるものであり、水溶液を圧縮空気と同時に先端から噴出してミスト化し、微小粒子を形成する。この微小粒子が反応管内で乾燥され、製品となる。製品の回収は、吸引ファンによって炉芯管内を負圧とし、バグフィルターによって行う。目標の比重や粒度を得るため、処理条件として、一定以上の処理時間と処理温度が必要である。
一般的に、内熱式の噴霧装置は、外熱式の噴霧装置に比べ、ミスト起因のガスの他、ガスバーナーで生成された燃焼ガスも反応炉内に流れ込むため、反応炉内のトータルガス量が多くなる。よって反応炉内のガス流速が速まり、粒子の目標とする処理時間(炉内滞留時間)を確保できなくなるという問題がある。それに伴い、溶融が不十分で強度の弱い粒子が生じてしまう。これに対しては、装置を大型化する、又は特許文献1〜3のように、複数のガスバーナーを配置し、炉内に旋回流を発生させ、粒子を炉内に長く滞留させることで解決できる。またこれにより、同時に炉内温度ムラも抑制できる。
特開2004−292223号公報 特開2007−84355号公報 特開2001−137699号公報
しかしながら、特許文献1及び2の装置は、構造が複雑であるため、設備コストが高くなる。また、ガスバーナーが多数設置されているため、処理温度、処理時間の管理が難しいという問題がある。また特許文献3の装置では、噴霧ミストが火炎に接触し、中実粒子と中空粒子が混ざってしまうため、均質な中空粒子を製造しようとする際に好ましくなかった。
従って、本発明の課題は、複雑な構造とすることなく、噴霧されたミストが火炎に直接接触せず、ミストに対して十分な処理時間を付与できる噴霧熱分解装置を提供することにある。
そこで本発明者は、前記課題を解決すべく種々検討した結果、燃焼バーナーを設ける燃焼炉を水平管とし、当該水平管の先端部に噴霧装置を備えた垂直の反応管を設け、水平管と垂直管の連結部を基軸が一致するようにするのではなく、基軸をずらして連結すれば、当該連結部により水平管から移動してきた熱風が旋回流を発生して垂直管を上昇することになり、垂直管底部から噴霧されたミストが旋回流に乗って垂直管を上昇して中空粒子を製造するのに十分な処理時間が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔5〕を提供するものである。
〔1〕水平管からなる燃焼炉と垂直管からなる反応炉とが連結した形状の噴霧熱分解反応炉を有し、水平管の端部に垂直管方向に火炎を生じさせる燃焼バーナーを備え、垂直管の底部に上向きに原料液を噴霧する噴霧装置を備え、水平管と垂直管が、燃焼炉から垂直管に流れる熱風が連結部で旋回流を生じるように基軸をずらして連結されていることを特徴とする噴霧熱分解装置。
〔2〕水平管と垂直管の連結部の基軸が、垂直管内径を100%として、10%以上90%以下ずれている〔1〕記載の噴霧熱分解装置。
〔3〕噴霧装置は、燃焼バーナーから生じた火炎が直接接触しない位置に設置される〔1〕又は〔2〕記載の噴霧熱分解装置。
〔4〕燃焼炉における垂直管に接続される部分の内径が、垂直管内径よりも小さい〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の噴霧熱分解装置。
〔5〕補助熱源として、燃焼補助バーナー、熱風ヒーター及び電気ヒーターから選ばれる1基以上を備えている〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の噴霧熱分解装置。
本発明の噴霧熱分解装置を用いれば、噴霧ミストが火炎に直接接触することがなく、簡便な装置により発生した旋回流に乗って上昇するため十分な反応時間(処理時間)が確保できるため、均質な中空粒子を効率良く製造することができる。
本発明噴霧熱分解装置の一例を示す断面概略図である。 水平管と垂直管の連結部分の基軸のずれの例を示す断面概略図である。 補助熱源として、燃焼補助バーナーを配置した噴霧熱分解装置の例を示す断面概略図である。右側は、B−B断面を示す。 補助熱源として、熱風ヒーターを配置した噴霧熱分解装置の例を示す断面概略図である。右側は、A−A断面を示す。 補助熱源として、電気ヒーターを配置した噴霧熱分解装置の例を示す断面概略図である。 本発明装置を用いて得られた中空粒子の走査型電子顕微鏡像を示す。
本発明の噴霧熱分解装置は、内燃焼式であり、燃焼炉を水平管に配置し、噴霧装置を有する反応炉を垂直管として配置してなる(図1)。すなわち、水平管からなる燃焼炉1と垂直管からなる反応炉2とが連結した形状の噴霧熱分解反応炉を有する。
水平管及び垂直管の外壁は、耐熱性のある金属、例えば鉄、ステンレス、インコネル、ハステロイ、チタン等であるのが好ましい。水平管及び垂直管は、略円筒形であるのが、フランジによる連結が行える点、反応炉内の断面方向の温度ムラ、水平管及び垂直管からの、断面方向の放散熱ムラが抑えられる点で好ましい。また、水平管は、完全な水平でなくてもよく、略水平であればよい。
水平管の端部には、垂直管方向に火炎を生じさせる燃焼バーナー3を備える(図1)。燃焼バーナーに用いる燃料としては、液体燃料及び気体燃料のいずれも用いることができる。具体的には、LPG、都市ガス、気化した有機物などの気体燃料や灯油、軽油、重油、再生油などの液体燃料を用いることができる。
水平管の長さは、燃焼バーナーから生じた火炎が直接噴霧ミストに接触しない長さとするのが好ましい。ただし、燃焼バーナーから生じた火炎と噴霧ミストとの距離が長すぎると熱効率が十分でなくなる。
垂直管の底部には、上向きに原料液を噴霧するための噴霧装置4を備える(図1)。噴霧装置4は先端に噴霧ノズルを有する。
噴霧ノズルは、垂直管の底部に上向きに噴霧するように配置される(図1)。噴霧ノズルは、1基でも2基以上でもよい。噴霧ノズルは2〜4流体ノズルであるのが好ましく、また、キャリアーエアとして、圧縮空気を用いて、噴霧ミストの周辺に空気のシールドが形成されるように噴霧ノズルを二重にして、溶液を噴霧しても良い。また、噴霧ノズルは、耐熱性を考慮し、必要に応じて断熱材等で保護しても良い。
噴霧装置は、燃焼バーナーから生じた火炎が直接接触しない位置に設置するのが好ましい。
本発明の噴霧熱分解装置における水平管と垂直管は、燃焼炉(水平管)から垂直管に流れる熱風が連結部で旋回流を生じるように基軸をずらして連結されていることを特徴とする。ここで基軸をずらすとは、例えば、図1、図2に示すように、水平管と垂直管の連結部の中心軸がずれていることを言う。このように基軸(中心軸)がずれていることにより、水平管で発生した熱風が垂直管を通過する際に、真上に上昇するのではなく、旋回流を生じて上昇することになる。垂直管に噴霧されたミストは、この旋回流に乗って垂直管(反応炉)を上昇し、十分な反応時間(処理時間)を確保できる。
当該基軸(中心軸)のずれ(図1、図2)は、旋回流の発生度、熱効率および、水平管内に熱がこもることによる、水平管の耐熱性への影響等から、垂直管内径を100%として、10%以上90%以下が好ましく、20%以上80%以下がより好ましい。また当該基軸(中心軸)のずれは、旋回流を生じさせる限り、水平管方向からみて横方向でもよいし、斜め方向でもよいが、斜め方向が好ましい。
燃焼炉(水平管)における垂直管に連結される部分の内径は、垂直管の内径よりも小さいほうが、熱風の強い旋回流が発生しやすくなるため好ましい(図2参照)。水平管の連結部の内径は、垂直管の内径の半分以下とするのがより好ましい。
また、補助熱源を噴霧ノズルの上部に1基以上配置してもよい。補助熱源としては、燃焼補助バーナー(図3)、熱風ヒーター(図4)及び電気ヒーター(図5)から選ばれる1基以上が挙げられる。補助熱源の設置位置は、噴霧ノズルの上部であればよく、補助熱源の数は、1基でもよいが、熱分解炉の長さによっては、2基〜6基配置しても良い。電気ヒーターの場合は、炉内側の周囲に設けてもよい。
補助熱源の設置により、炉体の放散熱分の熱量を付与することができ、中空粒子の合成に必要な温度と保持時間を再現性よく、安定して確保できる。
また、補助熱源として、燃焼補助バーナー、熱風ヒーターを用いる場合は、炉体内の接線方向で、水平管で発生して垂直管から上昇してきた旋回流と同じ旋回方向に配置することにより、発生した燃焼ガスの旋回流を妨げることなくなり、補助熱源から発生する燃焼ガスにより、旋回流を補うことができるため好ましい(図3、図4)。
燃焼補助バーナー、熱風ヒーターは、炉内温度や旋回流を調整するために、設置する面や高さを変えてもよい。設置する面は、図3〜図5のように熱分解炉の垂直方向や対面に並べてもよい。設置する高さについては、同じ高さ(同一円周上)、段違いとしてもよい。
また、補助熱源の燃焼補助バーナーの火炎は、噴霧ミストや生成した中空粒子に直接接触しないようにすることが、ミストの一部のみの過剰反応、中空粒子の溶融や変形などを防止するうえで好ましい。燃焼補助バーナーの火炎が、噴霧ミストや生成した中空粒子に直接接触しないように、燃焼補助バーナーの火炎が炉内に入らないように設置するのが好ましい。燃焼補助バーナーの火炎が炉内に入らないようにするために、燃焼補助バーナーを前後方向に可動できる機構を設けて、火炎の長さなどに応じて調整すればよい。
本発明の噴霧熱分解装置の上部には、生成した中空粒子を回収するためのバグフィルターを設置することができる。また、このバグフィルターの前段に、バグフィルターの負荷低減、粗粒や異物回収のため、サイクロンを配置しても良く、この他に、熱交換器を配置すると余熱利用や排ガス量の低減ができるため好ましい。また、バグフィルターの後段に、必要に応じて、スクラバーなどの除塵、浄化設備を配置しても良い。
本発明の噴霧熱分解装置を用いれば、噴霧ミストが旋回流に乗って長時間反応炉中で反応するので、安定して微小中空粒子を効率良く得ることができる。無機酸化物の原料となる原料液を用いて噴霧熱分解する場合、原料液滴が直接火炎に接触しなければ、まず乾燥反応が進行し、ミストは中空粒子状になる。続いて熱分解反応が進行すれば、無機酸化物中空微粒子が得られる。ここで、無機酸化物としては、例えば金属酸化物、アルミナ、シリカ、カルシア、マグネシア、アルミニウムおよびケイ素からなる酸化物等が挙げられ、より具体的には、アルミナ、シリカ、アルミニウムおよびケイ素からなる酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、リチウム酸化物、ホウ素酸化物、リン酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物等が挙げられ、これら酸化物を組みあわせた複合酸化物も挙げられる。
これらの酸化物を構成する元素の原料を溶解あるいは分散する溶媒としては、水及び有機溶媒が挙げられるが、環境への影響、製造コストの点から水が好ましく、溶液のpH調整剤として、酸やアルカリを添加しても良い。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、有機酸などを用いることができ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどを用いても良い。
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
図1及び図2のように、水平管(垂直管との連結部の内径:145mm)と垂直管(内径:200mm)を組み合わせた形状の反応管を設置した。水平管は、内径が200mmの垂直管に対して、基軸を50mmずらして、水平管と垂直管の連結部の基軸のずれを、25%とした。ガスバーナーを水平管に設置し、噴霧装置(ノズル)は、垂直管の下部に設置した(図1参照)。
次いで蒸留水1リットルに硝酸アルミニウムを0.04mol、オルトケイ酸テトラエチルを0.16mol溶解したアルミニウム及びケイ素の混合水溶液を溶液タンクに投入した。投入された水溶液は送液ポンプにより、2流体ノズルを介してミスト状に噴霧され、反応部(内部温度1000℃)を通過させた。その後バグフィルターを用いて中空粒子を回収した。
得られた中空粒子の走査型電子顕微鏡像を図6に示す。本発明により温度ムラが改善され、また滞留時間が十分に確保されたため、均質に溶融し、高い強度を持つ中空粒子が得られた。
1:水平管(燃焼炉)
2:垂直管(反応炉)
3:燃焼バーナー
4:噴霧装置

Claims (5)

  1. 水平管からなる燃焼炉と垂直管からなる反応炉とが連結した形状の噴霧熱分解反応炉を有し、水平管の端部に垂直管方向に火炎を生じさせる燃焼バーナーを備え、垂直管の底部に上向きに原料液を噴霧する噴霧装置を備え、水平管と垂直管が、燃焼炉から垂直管に流れる熱風が連結部で旋回流を生じるように基軸をずらして連結されていることを特徴とする噴霧熱分解装置。
  2. 水平管と垂直管の連結部の基軸が、垂直管内径を100%として、10%以上90%以下ずれている請求項1記載の噴霧熱分解装置。
  3. 噴霧装置は、燃焼バーナーから生じた火炎が直接接触しない位置に設置される請求項1又は2記載の噴霧熱分解装置。
  4. 燃焼炉における垂直管に接続される部分の内径が、垂直管内径よりも小さい請求項1〜3のいずれか1項記載の噴霧熱分解装置。
  5. 補助熱源として、燃焼補助バーナー、熱風ヒーター及び電気ヒーターから選ばれる1基以上を備えている請求項1〜4のいずれか1項記載の噴霧熱分解装置。
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