JP7352423B2 - 無機酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無機酸化物粒子の製造方法に関する。
無機酸化物粒子の製造装置として、例えば、内燃式の噴霧熱分解装置が使用されている(特許文献1、2)。この噴霧熱分解装置は、熱分解炉内に、原料溶液のミストを噴霧するための流体ノズルと、燃焼ガスを発生させるための燃焼バーナーが設置されており、熱分解炉の下方に設置された流体ノズルから上方に向けてミストを噴霧し、燃焼ガスを熱源としてミストを加熱処理することで無機酸化物粒子が製造される。そして、無機酸化物粒子は、誘引ファンによってバグフィルターに移動し、製品として回収される。流体ノズルとして、通常2流体ノズルや3流体ノズルが使用されており、大量製造においては、複数の流体ノズル、又は単数の大型ノズルが使用されている。
特開2001-17857号公報 特開2019-25385号公報 特開2007-285619号公報 特開2017-80648号公報
しかしながら、本発明者らの検討により、従来の噴霧熱分解装置を用いた無機酸化物粒子の製造においては、次の課題があることが判明した。すなわち、複数の流体ノズルを使用する場合、隣接する流体ノズルから噴霧されたミスト同士が干渉(衝突)してミスト径が増大し、ミストの中心と外側で熱履歴に差異を生ずる結果、微粒子になり難くなる。このような問題を解決するために、所定の間隔を保って流体ノズルを設置することが考えられるが、炉の大径化が避けられず、必要な熱量が増加するだけでなく、均一に熱処理することも困難となる。炉を大径化した場合には、大型ノズルを設置することが考えられるが、ミストが炉の内径付近まで拡散するまでに高い炉長を要し、それによりミストの加熱時間が短くなり、熱処理が不十分となる。更に、隣接する流体ノズルから噴霧されたミストの広がりを抑えることが考えられるが、ミストの広がりを抑えると、ミストが縦方向(噴霧の直線方向)に伸びるため、炉内の滞留時間が短くなり、熱処理にばらつきを生じ、均一な微粒子を得難くなる。
このような問題を解決するために、本発明者らは、従来の流体ノズルに換えて、ロータリアトマイザノズルやサークルエッジノズルを用いて無機酸化物粒子の製造を試みたところ、これらノズルは、特許文献3、4に記載されるように、通常炉の上方に設置され、ミストを下方へ向けて放射状に噴霧するため、ミストの大きさや重さによって降下速度が変わり、熱処理にばらつきを生じ、粒径の制御も難しくなる。そこで、ロータリアトマイザノズルやサークルエッジノズルを炉の下方に設置し、ミストを上方へ向けて放射状に噴霧したところ、ミストが熱分解炉壁面やノズル噴出口へ付着して固着物が発生するという課題が生じた。
本発明の課題は、熱分解炉壁面及びノズル噴出口への固着を防止可能な無機酸化物粒子を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、熱分解炉内に燃焼ガスの旋回流を発生させた状態で、特定構造を有するノズルから原料溶液のミストを放射状に噴霧し、ミストの噴出速度と、燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速との比を制御することで、熱分解炉壁面及びノズル噴出口への固着を防止できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔5〕を提供するものである。
〔1〕熱分解炉の底部に配置され、原料無機化合物有溶液のミストを噴霧するためのノズルと、燃焼ガスが旋回流を生じるように熱分解炉の底部に配置され、ミストを燃焼ガスにより熱分解するための燃焼バーナーとを備える内燃焼式噴霧熱分解装置内に、ノズルからミストを放射状に噴霧し、ミストの噴出速度(A)と、燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速(B)との比[(A)/(B)]が1.2~4.5の条件にて、ミストを熱分解する工程を含む、無機酸化物粒子の製造方法。
〔2〕燃焼バーナーを、熱分解炉の底部から略同一距離で、かつ熱分解炉体内の接線方向に対角配置し、燃焼ガスにより熱分解炉内で旋回流を生じさせる、前記〔1〕記載の無機酸化物粒子の製造方法。
〔3〕ノズルがロータリアトマイザノズル又はサークルエッジノズルである、前記〔1〕又は〔2〕記載の無機酸化物粒子の製造方法。
〔4〕原料無機化合物がアルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の無機酸化物粒子の製造方法。
〔5〕溶液が水溶液である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の無機酸化物粒子の製造方法。
本発明によれば、熱分解炉壁面及びノズル噴出口への固着を防止できるため、安定して効率よく無機酸化物粒子を製造することができる。
本発明の製造方法に適用可能な噴霧熱分解装置の一例を示す概略図(側面図、断面図)である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本発明の製造方法に適用可能な噴霧熱分解装置の一例を示す概略図である。噴霧熱分解装置10は、内燃焼式であり、図1に示されるように、熱分解炉1の底部には、原料無機化合物含有溶液のミスト5を噴霧するためのノズル2と、燃焼ガス4を発生させ、ミスト5を熱分解するための燃焼バーナー3とが配置されている。
先ず、噴霧熱分解装置の構成について説明する。
熱分解炉は、炉材として使用されている材質であれば何れも用いることができ、加熱温度等を考慮して選定すればよい。また、金属製のシェルの内壁に、耐火レンガ、断熱レンガ、キャスタブル等を単体、層状、又はこれらを組み合わせて用いるのが一般的である。
熱分解炉の形状は、熱分解炉内に旋回流を発生させることができる点で、堅型円筒状が好ましい。熱分解炉の大きさは、製造スケールにより適宜選択することができる。
ノズルは、熱分解炉内の底部に配置される。なお、図1に示される噴霧熱分解装置は、ノズルが1基設置されている。
ノズルとしては、熱分解炉の内周に沿ってミストを放射状に噴霧できれば特に限定されないが、例えば、ロータリアトマイザノズル又はサークルエッジノズルを挙げることができる。ここで、本明細書において「ロータリアトマイザノズル」とは、高速回転するディスクによって原料溶液を放射状に噴霧する方式のノズルをいい、通常モータによってディスクを高速回転させ、ディスクに設けられた貫通口から原料溶液を噴霧する構成となっている。また、「サークルエッジノズル」とは、筒状のノズル本体の側面に設けられた、ノズル噴出口の延長線上で交差する傾斜面に沿って、原料溶液を放射状に噴霧する方式のノズルをいい、通常3流体又は4流体の構造を有する。なお、ロータリアトマイザノズル又はサークルエッジノズルは、一般的に販売されているものであれば、いずれも使用することができる。例えば、ロータリアトマイザノズルとしては、M型ディスク(大川原化工機株式会社製)が挙げられ、またサークルエッジノズルとしては、3流体サークルエッジノズル(藤崎電機株式会社製)が挙げられる。
ノズルに供給する気体としては、例えば、空気や、窒素、アルゴン等の不活性ガス等を使用することができる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。
燃焼バーナーは、熱分解炉の中心軸よりずらして設置されており、例えば、熱分解炉の底部から略同一距離に対角させて、熱分解炉体内の接線方向に配置することが好ましい(A-A断面図参照)。このように燃焼バーナーを配置することで、燃焼バーナーの相対方向から生じた燃焼ガスにより、熱分解炉内に強力な旋回流を発生させることができる。この旋回流は、熱分解炉の下方から上方に進行するため、ノズルから噴霧されたミストがこの旋回流により旋回しながら上昇する。
燃焼バーナーは、1基~4基設置することができる。燃焼バーナーを複数基設置する場合、燃焼バーナーの設置位置は、旋回流が発生すればよく、同じ高さとすることを要しない。なお、図1に示される噴霧熱分解装置は、燃焼バーナーが2基設置されている。
また、燃焼バーナーは、図1に示されるように、燃焼バーナーの火炎がミストに直接接触しないように設置することが好ましい。このようにするには、燃焼バーナーの火炎が熱分解炉内に入らないように設置すればよく、例えば、前後方向に燃焼バーナーを可動できる機構を設け、必要に応じて調整すればよい。これにより、燃焼バーナーから生じた火炎に直接接触することなく、熱分解炉の長さよりも長い距離、熱分解炉内に滞留し、長時間の熱分解反応を受けることができる。
燃焼バーナーは、一般的に販売されているものであれば、いずれも使用することができる。熱分解炉の容積、仕様等を考慮し、これにあった型式の燃焼バーナーを選定するとよく、また熱分解炉の仕様に応じたものを製作して用いてもよい。
燃焼バーナーに用いる燃料は特に限定されないが、例えば、気体燃料、液体燃料、固体燃料が挙げられ、これら燃料の2種以上を混焼してもよい。気体燃料としては、例えば、LPG、都市ガス、気化した有機物が挙げられる。また、液体燃料としては、例えば、灯油、軽油、重油や再生油など液化した有機物を挙げることができる。固体燃料としては、例えば、石炭、木炭、木材などを粉末状にしたものを挙げられる。
また、熱分解炉には、補助熱源を設置してもよい。補助熱源は、熱分解炉体の燃焼バーナーの上部に1基以上設置することができる。補助熱源としては、例えば、燃焼補助バーナー、熱風ヒーター、電気ヒーターが挙げられる。これにより、熱分解炉の放散熱分の熱量を付与することができ、無機酸化物粒子の合成に必要な温度と保持時間を再現性よく、安定して確保できる。
次に、本発明の製造方法について説明する。
先ず、原料無機化合物含有溶液を調製する。
原料無機化合物としては、無機酸化物を構成する元素を含有し、水等の溶媒に溶解する化合物であれば特に限定されないが、例えば、無機塩、金属アルコキシド等を挙げることができる。無機塩としては、例えば、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、バリウム塩、セシウム塩、イットリウム塩、アルミノケイ酸塩が挙げられる。また、金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド、ケイ酸アルコキシドを挙げることができる。原料無機化合物は、1種又は2種以上を使用することができる。
アルミニウム塩としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、燐酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウムが挙げられる。マグネシウム塩としては、例えば、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、燐酸マグネシウム、水酸化マグネシウムを挙げることができる。カルシウム塩としては、例えば、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、蟻酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウムが挙げられる。ホウ酸塩としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のメタホウ酸塩、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム等の四ホウ酸塩、五ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸カリウム等の五ホウ酸塩を挙げることができる。ケイ酸アルコキシドとしては、例えば、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラプロピル(TPOS)、テトラブトキシシランを挙げることができる。また、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を溶媒に分散した溶液、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物のゾル溶液も原料溶液として用いることができる。
中でも、原料無機化合物としては、本発明の効果を享受しやすい点で、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上が更に好ましい。
原料無機化合物から得られる酸化物としては、例えば、金属酸化物、アルミナ、シリカ、アルミニウム及びケイ素からなる酸化物等が挙げられる。より具体的には、アルミナ、シリカ、アルミニウム及びケイ素からなる酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物等が挙げられ、これら酸化物を組みあわせた複合酸化物も挙げることができる。
原料無機化合物含有溶液の調製は、原料無機化合物と溶媒とを混合すればよい。原料無機化合物と溶媒との混合方法は、両者を同時に添加して混合しても、他方を一方に添加して混合してもよく、混合方法は特に限定されない。
溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられる。中でも、環境への影響、製造コストの点から、水が好ましい。
原料無機化合物含有溶液中の原料無機化合物の濃度は、得られる無機酸化物粒子の粒度分布、密度、強度等を考慮し、0.01mol/L~飽和濃度が好ましく、0.1~1.0mol/Lが更に好ましい。
次に、熱分解炉内に燃焼ガスの旋回流を発生させた状態で、ノズルから原料無機化合物含有溶液のミストを放射状に噴霧する。
ノズルは、ミストを放射状に容易に噴霧できる点で、ロータリアトマイザノズル又はサークルエッジノズルが好ましい。
ミストの平均粒子径は、好ましくは0.5~60μm、より好ましくは1~20μm、更に好ましくは1~15μmである。なお、ミストの平均粒子径は、ノズル噴出口の形状やノズルへ供給するガスの圧力によって調整することが可能である。
噴霧されたミストは、燃焼ガスの旋回流により旋回しながら上昇し、ミストから溶媒が蒸発し、ミスト表面に無機塩が析出する。
燃焼ガスの速度をミストの噴出速度に対して遅くしすぎると、旋回流にミストが巻き込まれず、旋回流を突き抜けて熱分解炉内壁に付着しやすくなる。他方、燃焼ガスの速度をミストの噴出速度に対して速くしすぎると、旋回流にミストが引っ張られて綺麗なミストパターンにならず、ノズル噴出口に固結を生じ、連続運転に支障をきたしやすくなる。そのため、本発明においては、ノズルから噴霧されるミストの噴出速度(A)と、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速(B)との比[(A)/(B)]を1.2~4.5に制御する。熱分解炉壁面及びノズル吐出口への固着をより高いレベルで防止する観点から、かかる比[(A)/(B)]は、1.3~4が好ましく、1.4~3.5が更に好ましい。なお、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速は、下記式(1)により算出することができる。
燃焼ガス流速(m/s)=X/Y (1)
〔式中、Xは熱分解内のガス量(m3/s)を示し、Yは熱分解炉の断面積(m2)を示す。〕
なお、熱分解炉内のガス量Xは、下記式(2)により算出される値である。
熱分解炉内のガス量=焚き量×空気比×理論燃焼ガス量×体積膨張率(2)
式(2)中、焚き量(m3/s)とは、気体燃料の量であり、空気比とは、理論空気量と実際に供給する空気量の比率である。また、理論燃焼ガス量(m3/s)/(m 3 /s)]とは、燃料に理論空気量を与えて完全燃焼させた場合に生じるガス量であり、燃料組成より算出することができる。更に、体積膨張率は、対象のガス温度と標準状態のガス温度との比率であり、熱分解炉内に熱電対を設置することで計測できる炉内温度(K)より求められる。
ミストの噴出速度は、通常1~50m/sであり、熱分解炉壁面及びノズル吐出口への固着をより一層防止する観点から、好ましくは5~35m/sであり、更に好ましくは10~20m/sである。
燃焼ガスの流速は、通常1~40m/sであり、熱分解炉壁面及びノズル吐出口への固着をより一層防止する観点から、好ましくは3~25m/sであり、更に好ましくは4~13m/sである。
ミスト表面に析出した無機塩は、燃焼バーナー、必要により補助熱源により熱が加えられて熱分解し、無機塩が酸化され無機酸化物粒子を生成する。
加熱温度は、400~1800℃が好ましく、600~1500℃がより好ましく、700~1400℃が更に好ましく、900~1200℃がより更に好ましい。400℃未満であると、熱分解が不十分となりやすく、1800℃を超えると、粒子が熱分解炉外に排出されたときに十分冷却され難く、粒子同士が凝集しやすくなる。
熱分解反応によって生じた無機酸化物粒子は、熱分解炉上部から回収される。ここで、無機酸化物粒子を効率的に回収するには、熱分解炉頂部に冷却エアーを導入可能な空間を設け、ここに冷却エアーを導入することにより、冷却回収するのが好ましい。冷却エアーの導入手段としては、冷却エアーの吸入部の設置、ファンやブロアから冷却エアーを送り込む手段等を採用することができ、これらは複数の箇所から行なってもよい。また、冷却エアーの変わりに、水冷してもよく、イオン交換水や上水等を用いることができる。無機酸化物粒子の回収には、バグフィルター等を用いることができる。また、無機酸化物粒子の回収にあたっては、フィルターを通過させることにより、粒子径の調整をしてもよい。
本発明の方法により製造される無機酸化物粒子は、中実粒子、多孔質粒子、中空粒子のいずれでも、これら2以上の混合物でも構わない。ここで、本明細書において「中実粒子」とは、内部に空洞を有さない構造の粒子をいい、例えば、単一の層からなる粒子、及び、コア(内核とも言われる)とシェル層(外殻とも言われる)を有する粒子を挙げることができる。また、「中空粒子」とは、内部に空洞(中空部)を有する構造のものであり、外殻に包囲された空洞を有する粒子をいう。また空洞の数は、単数でも複数でもよい。更に、「多孔質粒子」とは、粒子表面から内部まで連結した貫通孔を多数有する粒子をいう。貫通孔の大きさや形状は、特に限定されない。また、粒子内部に閉気孔を有していてもよい。
無機酸化物中空粒子を製造する場合、熱分解後の無機酸化物粒子の表面を溶融してもよい。これにより、無機酸化物粒子の表面に存在する孔が閉塞され、粒子外殻に孔がなく、粒子強度の高い無機酸化物中空粒子が得られる。無機酸化物粒子の表面を溶融させるには、例えば、補助熱源の温度を無機酸化物粒子の溶融温度以上に制御すればよい。
また、無機酸化物粒子は、形状がほぼ球状(平均円形度0.85以上)であって、平均粒子径が通常0.1~100μmであり、好ましくは0.5~50μmであり、更に好ましくは1~30μmである。ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、JIS R 1629に準拠して試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の50%に相当する粒子径(d50)を意味する。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
比較例1
図1に示す噴霧熱分解装置を用いて無機酸化物粒子を製造した。なお、噴霧熱分解装置は、燃焼バーナーが熱分解炉の底部から略同一距離に対角させて、熱分解炉体内の接線方向に配置され、また燃焼バーナーの火炎がミストと直接接触しないように設置されている。また、熱分解炉は、大きさがφ400mm×2500mmであり、断面積が0.1m2である。
溶液タンク内に、蒸留水240kg、四ホウ酸ナトリウム十水和物2.5kg、硝酸カルシウム1.5kg、硝酸マグネシウム1.5kg、硝酸アルミニウム5.0kg、オルトケイ酸テトラエチル8.5kgをそれぞれ投入・攪拌することで、原料溶液を作製した。次いで、原料溶液を送液ポンプでサークルエッジノズルに送液し、ノズル噴出口から圧縮空気とともに原料溶液のミストを熱分解炉内に噴霧してミスト化(噴霧量:40L/hr)し、ミストを燃焼ガスの旋回流により旋回させながら上昇させ、熱分解炉内(内部温度900℃)を通過させた。その後、バグフィルターにて無機酸化物中空粒子を回収した。そして、炉壁面、及びノズル噴出口における固着物の発生の有無を目視で確認した。その結果を表1に示す。なお、ミストの噴出速度(A)と、燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速(B)は、圧縮空気量と燃焼バーナーの焚き量にて調整した。
実施例1~3及び比較例2、3
表1に示す、燃焼ガスの流速(B)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を製造した。そして、炉壁面、及びノズル噴出口における固着物の発生の有無を目視で確認した。その結果を表1に示す。なお、燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速(B)は、燃焼バーナーの焚き量にて調整した。
比較例1は、燃焼ガスの流速(B)が遅く、比[(A)/(B)]が5.0と高いため、ミストが旋回流に巻き込まれず、旋回流を突き抜けて炉内壁に付着し、固着物が発生したものと考えられる。
比較例2、3は、燃焼ガスの速度(B)が速すぎて、比[(A)/(B)]が1.0、0.75と低いため、ミストが旋回流に引っ張られノズル噴出口に付着し、固着物が発生したものと考えられる。
これに対し、実施例1~3は、比[(A)/(B)]を特定範囲内となるように制御されているため、ノズル噴出口や炉壁面への固着物の発生が抑制されたものと考えられる。
1 熱分解炉
2 ノズル
3 燃焼バーナー
4 燃焼ガス(旋回流)
5 ミスト(液滴)
10 噴霧熱分解装置

Claims (5)

  1. 熱分解炉の底部に噴出口側を上方にして配置され、原料無機化合物含有溶液のミストを噴霧するためのロータリアトマイザノズル又はサークルエッジノズルと、
    燃焼ガスが旋回流を生じるように熱分解炉の底部に配置され、火炎がミストに直接接触することなく、ミストを燃焼ガスにより熱分解するための燃焼バーナーと
    を備える内燃焼式噴霧熱分解装置内に、ノズルからミストを放射状に噴霧し、燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速(B)が4~13m/sであり、かつミストの噴出速度(A)と、燃焼バーナーから発生した燃焼ガスの流速(B)との比[(A)/(B)]が1.2~4.5の条件にて、ミストを熱分解する工程を含む、無機酸化物粒子の製造方法。
  2. 燃焼バーナーを、熱分解炉の底部から略同一距離で、かつ熱分解炉体内の接線方向に対角配置し、燃焼ガスにより熱分解炉内で旋回流を生じさせる、請求項1記載の無機酸化物粒子の製造方法。
  3. ミストの噴出速度(A)が10~20m/sである、請求項1又は2記載の無機酸化物粒子の製造方法。
  4. 原料無機化合物がアルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の無機酸化物粒子の製造方法。
  5. 溶液が水溶液である、請求項1~4のいずれか1項に記載の無機酸化物粒子の製造方法。
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