JP3346267B2 - 燃焼又は火炎加水分解用燃焼炉及び燃焼方法 - Google Patents

燃焼又は火炎加水分解用燃焼炉及び燃焼方法

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JP3346267B2
JP3346267B2 JP05445598A JP5445598A JP3346267B2 JP 3346267 B2 JP3346267 B2 JP 3346267B2 JP 05445598 A JP05445598 A JP 05445598A JP 5445598 A JP5445598 A JP 5445598A JP 3346267 B2 JP3346267 B2 JP 3346267B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼又は火炎加水
分解によって固形酸化物を生成する元素を含む液体を噴
霧して燃焼又は火炎加水分解させる際、バーナー本体や
バーナー近傍及び燃焼炉内部に固形酸化物が付着堆積し
難く、長期間安定に連続運転可能であり、上記液体を効
率よく燃焼又は火炎加水分解することが可能な燃焼炉、
及び上記液体の燃焼方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】可燃性
液体の燃焼方法としては、可燃性液体を各種の方法によ
り微細な液滴と気体との混合物である霧状とするか、あ
るいは蒸発気化させ、焼却炉内に供給して燃焼させる方
法や、汚泥、砂、雑芥などの固形物と混合して燃焼させ
る方法が知られている。
【0003】しかしながら、蒸発式バーナーを用いて蒸
発気化させる方法は、ガソリン、灯油、軽油等のいわゆ
る蒸留油のように熱分解点より沸点が低い燃料には適用
できるものの、重油、タール等のいわゆる残留油のよう
に熱分解点が沸点よりも低いものに適用した場合、熱分
解により炭素が析出するなどの不都合があった。更に、
固形物と混合して燃焼させる方法は、液体と固形物が反
応性を持たない化学的に安定な組み合わせであることが
必要であるなど、制約が多いという欠点があった。
【0004】このため、一般的に燃焼させたい可燃性液
体がCASバージョンによる周期表(F.Albert
Cotton&Geoffery Wilkinso
n:Advanced Inorganic Chem
istry,裏表紙,John Wilky&Son
s,Inc.(1988)参照)の、水素を除く1A
族、2A族、3B族、4B族、5B族、6B族、7B
族、8族、1B族、2B族、3A族、炭素を除く4A
族、窒素を除く5A族、酸素及び硫黄を除く6A族の元
素(以下、S元素と称する)を含む場合や、高沸点の化
合物、無機塩等を含む場合においては、この可燃性液体
を噴霧燃焼させる方法を採用することが多い。この場
合、霧化の方法としては、油圧噴霧式、回転噴霧式、気
流噴霧式、高負荷燃焼式、放射式などが知られている。
【0005】一方、S元素を含有する化合物を燃焼又は
火炎中で加水分解する場合、S元素が酸化して酸化物の
微粉末が生成する反応は公知であり、この原理を工業的
に応用した例として合成石英ガラスや金属酸化物の粉体
を製造する方法などがあり、火炎加水分解法として知ら
れている。
【0006】しかし、上記元素を含有する化合物を含む
可燃性液体(以下、S液と称する)を燃焼する際には、
このS元素の酸化物の生成により下記のような不都合が
生じ、特に上記元素を含有する化合物の濃度が高い場合
はこれらの現象の発生が著しかった。 (1)上記酸化物粉体がバーナー及びバーナー近傍の壁
に付着・堆積しやすい。 (2)付着した上記酸化物がバーナー付近の高温に晒さ
れ、溶融・固化しやすい。 (3)付着・堆積又は溶融・固化した上記酸化物によ
り、バーナー及び近傍の形状が変化したり開口部の閉塞
をきたし、火炎の安定性が失われ、最悪の場合は失火に
至る。
【0007】そこで、これらの現象を避けるため、燃焼
ガス中のS元素酸化物の濃度を低下させる目的でS液を
希釈したり、バーナー型式や噴霧方式を変更する対策が
採られている。
【0008】しかしながら、上記の希釈による方法は、
S元素含有化合物の濃度を非常に低くしなければその効
果がなく、S液の処理能力を低下させるものであり、か
つ希釈剤としての他の廃棄物又は燃料がなければ処理が
できないという不都合があった。
【0009】更に、燃焼により固体を生成する化合物を
対象とした燃焼技術の例としては、半導体製造装置から
排出される排ガスのうち、シラン、アルシン、ホスフィ
ンに代表される特殊材料ガスを対象に、その燃焼生成物
をバーナー付近に付着させない構造とした装置又は燃焼
方法がいくつか公知(特開昭63−279014号、特
開昭62−134414号、特開平1−95214号公
報)であり、実用に供されてもいるが、これらの技術は
いずれも処理対象物が気体であるため、この公知の方法
によりS液の燃焼を行うに際しては以下のような不都合
があった。 (1)S液を気化させて供給する必要があり、加熱、減
圧など何らかの気化操作を伴うため、作業が繁雑の上、
機構が複雑となり、不経済である。 (2)沸点より熱分解点が低いもの、及び不揮発性の物
質を含む場合は処理不可能である。 (3)炉内空間部又は火炎中のS元素酸化物微粒子濃度
を低く抑える必要があり、装置の処理能力が低い。
【0010】また、S液を燃焼空間に直接噴霧して燃焼
させる場合において、単に上記の公知気体用バーナーの
構造又は原理を用いて製作した液体バーナーを使用する
と、バーナー本体やバーナー近傍にS元素酸化物微粒子
が付着堆積してしまい、長期間安定に燃焼を行うことが
困難である。これは、その処理対象を気体としている上
記の公知バーナー技術と、処理対象を液体としているバ
ーナーにおいては、炉内空間部又は火炎中のS元素酸化
物微粒子濃度が大きく異なり、処理対象を液体とするバ
ーナーのそれが非常に高濃度であるためである。
【0011】即ち、バーナー型式、噴霧方式の工夫によ
って、燃焼によりS元素酸化物の如き固体を生成する液
体を、当該生成物固体の付着を抑止して燃焼させ得るバ
ーナーで長期間安定に燃焼を継続できる実用的なものは
存在しないのが現状であった。
【0012】このような現状から、S液を燃焼させる装
置においては、一般の他の可燃性液体を燃焼させるのと
同様のバーナーを用い、燃焼を一時的に停止させ、バー
ナー本体及びバーナー近傍に堆積したS元素酸化物を定
期的に掃除するか、あるいはバーナーを交換して再点火
を行い、燃焼を継続する方法を採らなければならなかっ
た。
【0013】また、S元素を含む液体を燃焼する際の燃
焼炉の種類にあっては、火格子炉、固定床炉、回転炉床
炉、多段炉床炉、ロータリキルン、流動層炉、竪型円筒
炉などの形式が適用可能であり、同時に燃焼する固形物
及び気体の有無、その性状や量によって適当なものが採
用されている。
【0014】しかしながら、これら公知の形式の燃焼炉
は、上述の酸化物微粉末が生成する反応を起こす元素の
濃度が高い場合は、下記の如き不都合が生じる。 (1)上記酸化物が炉内壁に付着・堆積しやすい。 (2)付着した上記酸化物が炉内の高温に晒され溶融・
固化しやすい。 (3)付着・堆積又は溶融・固化した上記酸化物により
炉内の形状が変化したり、開口部の閉塞をきたし、最悪
の場合は失火に至る。
【0015】このため、従来の燃焼炉において上記元素
を含む液体を燃焼させる際には、バーナーの場合と同様
に、燃焼を一時停止させ、炉内に付着・堆積・固化した
酸化物を定期的に掃除して炉外にこれを排出した後、再
点火を行い、燃焼を継続する方法が採られてきた。
【0016】具体的には、中心管が油圧噴霧式に構成さ
れ、かつこの中心管を同心円状に包囲して空気又は酸素
を供給する外管と中心管前方に保炎器を備えた外部混合
型バーナー(以下、二重管バーナーと称する)をもつ竪
型円筒炉で、例として珪素化合物を含む液体(以下、シ
リコン液と称する)を燃焼させる場合で説明すると、燃
焼開始後1〜2時間で保炎器表面と炉内壁に二酸化珪素
粉末が付着しはじめ、次第に厚みを増すと共に粉体が焼
結し、硬い多孔質ガラス状物となる。このガラス状物に
より良好な噴霧が行われなくなると共に燃焼室容積の減
少と燃焼室形状の変化が起こり、火炎の安定性が失わ
れ、最悪の場合、噴出口又は燃焼室の閉塞や失火に至
る。
【0017】この対策として、実際の運転においては4
〜8時間に1回程度の割合でシリコン液と空気又は酸素
の供給を停止して燃焼を一時中断した上で、バーナーを
炉外に引き出して掃除するか、又はあらかじめ準備した
整備品と交換したり、1〜2日に一度の頻度で燃焼を一
時中断して炉内を冷却した後、炉内を開放して内部に付
着・堆積・固化したガラス状二酸化珪素を破砕して除去
し、再点火して燃焼を継続することが必要であり、工程
が非常に面倒であった。
【0018】また、この掃除の頻度を下げるためには、
空気、酸素等の支燃剤比やシリコン液の供給量などの燃
焼条件の変更だけでなく、シリコン液を希釈又は混合で
きる液体、例えばトルエン、キシレン、灯油などを用い
て希釈又は混合して液体中の珪素含有化合物の濃度を下
げたり、固形物として例えば汚泥や雑芥、おがくず等を
同時に燃焼させたりして、被燃物中の珪素含有化合物の
濃度を下げることが必要であるが、この濃度低下の効果
を十分に得るには、上記した如く珪素含有化合物の濃度
を非常に低くしなければならず、希釈作業及び供給物の
増加とあいまってシリコン液の焼却能力を低下させる結
果となるため、経済的な対策とは言い難いものであっ
た。
【0019】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、S液を噴霧・燃焼させる際、バーナー本体及びその
近傍や炉内にS元素酸化物が付着堆積し難く、かつ燃焼
を継続しながらこれを容易に除去することを可能とする
ことで、長期間安定に連続運転可能であり、S元素含有
化合物を含む液状の廃棄物等の可燃性液体を効率よく燃
焼又は火炎加水分解することが可能な燃焼炉と上記液体
の燃焼方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明は、上記目的を達成するため、下記構成の燃焼炉及
び燃焼方法を提供する。 請求項1:燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化物を
生成する元素を含む液体を噴出する中心管と、この中心
管の外側に同心円状に配された支燃性気体及び/又は不
燃性気体を噴出する第1の外管と、この第1の外管に同
心円状に配された支燃性気体及び/又は不燃性気体を噴
出する第2の外管と、及び必要に応じて上記第2の外管
の外側に配された支燃性気体及び/又は不燃性気体を供
給する流路とを備えてなる、三重管又はそれ以上の多重
管からなる同心円多重管構造を有し、上記中心管から噴
出された液体を上記外管群及び必要に応じてその外側に
配された流路から供給された支燃性気体及び/又は不燃
性気体により噴霧燃焼させると共に、発生した火炎を上
記外管群及び必要に応じてその外側に配された流路から
供給される支燃性気体及び/又は不燃性気体で覆うよう
にしたことを特徴とする燃焼生成物による閉塞を防止す
るバーナーを備え、かつ炉内壁の表面温度又は該固形酸
化物の付着物表面温度を該固形酸化物の融点又は固着温
度より低く保つ機構及び/又は炉内壁に付着した該固形
酸化物を除去できる機構を備えていることを特徴とする
燃焼炉。 請求項2:燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化物を
生成する元素が、CASバージョンによる長周期型周期
表の水素を除く1A族、2A族、3B族、4B族、5B
族、6B族、7B族、8族、1B族、2B族、3A族、
炭素を除く4A族、窒素を除く5A族、又は酸素及び硫
黄を除く6A族の元素である該液体を燃焼する請求項1
記載の燃焼炉。 請求項3:燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化物を
生成する元素が珪素である該液体を燃焼する請求項2記
載の燃焼炉。 請求項4:燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化物を
生成する元素が珪素であり、上記中心管先端に噴霧機構
をもち、かつこの中心管を同心円状に包囲する各外管の
先端が上記中心管の先端と同一面上をなす位置又はこれ
より前方に向けて突出していると共に、必要に応じて上
記中心管の前方に保炎器が配され、上記中心管からの液
体の噴出速度が5〜250m/秒、上記第1及び第2の
外管からの気体の噴出速度が1〜250m/秒で、被燃
物に対する支燃剤の量が化学量論量の0.5〜5.0倍
である請求項1記載のバーナーを備えていることを特徴
とする燃焼炉。 請求項5:請求項4記載のバーナーを備え、かつ炉内壁
の表面温度を200〜1000℃に保つ機構及び/又は
炉内壁に付着した請求項3記載の元素の固形酸化物を除
去できる機構を備えていることを特徴とする請求項4記
載の燃焼炉。 請求項6:燃焼炉内において、燃焼又は火炎加水分解に
よって固形酸化物を生成する元素を含む液体を噴霧して
燃焼又は火炎加水分解させるに際し、上記液体を中心管
から噴出させると共に、その外側に設けられた同心円状
の外管群及び必要に応じて更にその外側に設けられた流
路から噴出させた支燃性気体及び/又は不燃性気体によ
り噴霧燃焼を行い、発生した火炎を上記外管群及び必要
に応じて更に外側に設けられた流路から供給される支燃
性気体及び/又は不燃性気体で覆うと共に、燃焼炉内壁
の表面温度を固形酸化物の融点又はその固着温度より低
く保つ処理及び/又は炉内壁に付着した固形酸化物を除
去する処理を行うようにしたことを特徴とする燃焼方
法。 請求項7:燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化物を
生成する元素が、CASバージョンによる長周期型周期
表の水素を除く1A族、2A族、3B族、4B族、5B
族、6B族、7B族、8族、1B族、2B族、3A族、
炭素を除く4A族、窒素を除く5A族、又は酸素及び硫
黄を除く6A族の元素である該液体を燃焼する請求項6
記載の燃焼方法。 請求項8:燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化物を
生成する元素が珪素であり、炉内壁の表面温度又は炉内
壁に付着した当該固形酸化物の表面温度を200〜10
00℃に保持することを特徴とする請求項7記載の燃焼
方法。
【0021】この場合、本発明の燃焼炉は、上記したよ
うにその火炎発生用バーナー本体の構造が多重管構造を
なしており、上記S元素含有化合物を含む液体の噴霧に
より形成される火炎をその外側から空気、酸素等の支燃
性気体或いはこれら支燃性気体を含む窒素等の不燃性気
体で覆い、該火炎と炉内に存在する燃焼ガスの流通、混
合を制限することにより、該火炎中で生成するS元素酸
化物が燃焼によって生じる外部循環流に巻き込まれるこ
とを制限し、バーナー及びバーナー近傍へのS元素酸化
物の接近を抑止し得る。更に、内部循環流の端を多重管
の先端から遠ざける機構となっていることから、内部循
環流に巻き込まれたS元素酸化物がバーナー及びバーナ
ー近傍に接近することも抑止し得る。それ故、本発明で
は、上記液体の燃焼又は火炎加水分解により生じるS元
素酸化物が、バーナー及びバーナー近傍へ付着堆積又は
溶融固化することを防止することができるものである。
【0022】例えば、請求項4のバーナーは、中心管か
ら噴出された上記液体の霧と第1の外管から噴出された
空気、酸素等の支燃性気体により火炎を形成せしめ、第
2又はそれ以降の外管から噴出された空気、酸素等の支
燃性気体又は支燃性気体を含む不燃性気体で火炎を覆う
ことにより、火炎と燃焼炉内に存在する燃焼ガスとの流
通・混合が遮断されるため、火炎中で生成したS元素酸
化物は火炎の噴流により大部分が炉内に排出され、外部
循環流に巻き込まれることが抑制され、外部循環流及び
内部循環流のS元素酸化物濃度を非常に希薄なものとす
ることができる。これらの原理により、バーナー本体及
びバーナー近傍の壁面の付近の気体中のS元素酸化物濃
度が低く抑えられ、結果的に固体壁面への付着を抑制す
ることができる。更に、内部循環流に巻き込まれた少量
のS元素酸化物は、保炎器を配設した場合、その表面に
薄く付着するにとどまり、保炎器より後方に位置する中
心管の先端部分の噴霧口付近に至ることがないため、噴
霧状態が変化せず良好な噴霧を維持することができる。
また、保炎器の表面に付着したS元素酸化物は、第1の
外管から噴出される空気又は酸素等支燃性気体や窒素等
の不燃性気体によって冷却されるため、溶融固化に至る
温度に達することなく、粉状のまま付着の厚みが増す
と、自重ではがれ落ちることにより安定燃焼を阻害する
ことがない。
【0023】また、請求項5記載の燃焼炉は、内壁の温
度をS元素の酸化物が溶融又は固着する温度より低く保
つ機構により、燃焼により生成するS元素の酸化物粉体
が内壁に付着しても溶融固化するのを抑止して除去が容
易な状態に保ち、更に付着した粉体を壁面から除去する
機構によってこの付着した粉体を燃焼系外に排除するこ
とにより、炉内壁への酸化物粉体の付着堆積を防止する
ことを可能として、安定燃焼の継続を可能とするもので
ある。
【0024】具体的には、内壁の温度を所要な範囲に保
つ機構としては、燃焼室内に水噴霧する方法が有効であ
り、他に壁を水冷壁構造などの冷媒循環により冷却する
方法、冷空気供給による方法などがある。
【0025】内壁から粉体を除去する方法としては、炉
内に可動かき取り機を設ける方法、及びスートブロワを
設ける方法が有効である。
【0026】従って、本発明の燃焼炉は、バーナー本体
やバーナー近傍に固形酸化物が付着堆積し難く、炉内壁
に付着する固形酸化物を除去が容易な状態に保つと共
に、系外に除去できるものであり、S元素を含む廃棄物
等の液体を効率よく燃焼させることを可能にするもので
ある。
【0027】即ち、上述したように、従来より可燃性液
体の燃焼に用いられてきたバーナー及び燃焼炉は、方式
の差異こそあれ、いずれの形式をとっても、燃料油(例
えば灯油、重油)の如く、不完全燃焼によるすすや燃料
に微量混入してくる不純物由来の生成物を除けば、燃焼
によって固体をほとんど生成しない燃料を対象に設計・
開発されてきている。このため、S液のような燃焼又は
火炎加水分解によって大量(S液の組成によっては重量
比で燃焼物の50%以上)の固体を生成するような被燃
物を燃焼させるための考慮がなされていない。
【0028】具体例を示せば、上記したように二重管バ
ーナーと竪型円筒炉を使用してシリコン液を燃焼する場
合、火炎中で生成する二酸化珪素が火炎の近傍に発生す
る外部再循環流と火炎内部に発生する内部再循環流に巻
き込まれ、噴出口付近から炉内にかけての固体壁に接近
し易い。このとき燃焼によって発生する二酸化珪素は、
凝集力、付着力が共に強いため、固体壁面に容易に付着
堆積する。更に、バーナー付近及び炉壁は輻射熱などの
影響により高温に晒されるため、二酸化珪素粉体が焼結
・溶融固化して硬い多孔質ガラス状の固着物となること
が多いのである。
【0029】また、回転式、加圧式など他の噴霧方式の
バーナーを使用する場合も、外部再循環流と内部再循環
流が二酸化珪素を巻き込むことは前記二重管バーナーの
場合と同様であり、バーナー及びバーナー近傍から炉内
にかけての固体壁に二酸化珪素の付着堆積又は固着が発
生する。
【0030】更にまた、何れの燃焼方式をとる場合で
も、火炎を安定させる目的で、噴出口より前方の炉内側
に保炎器を配置したり、炉内のバーナーを囲む位置にバ
ーナータイルを配置することが多いが、内部再循環流の
端が保炎器又はバーナータイルにごく近い部分を通過す
るため、噴出口は保護されても保炎器又はバーナータイ
ルに二酸化珪素が付着堆積又は溶融固化してしまう上
に、炉内壁への二酸化珪素付着を抑止することはできな
かった。
【0031】これに対して、本発明のバーナーは、珪素
含有化合物を含む可燃性液体を燃焼させる際、バーナー
及び炉内壁ヘの二酸化珪素の付着堆積が非常に少なく、
燃焼を完全に安定して継続でき、このため、掃除のため
の燃焼の一時停止操作や掃除頻度を下げるための希釈作
業が必要なく、珪素含有化合物の燃焼に係る上記の如き
不都合を解決して、作業性、経済性を格段に向上させる
ことができる。
【0032】以下、本発明につき図面を参照し、シリコ
ン液を例にして詳述すると、本発明の燃焼炉のバーナー
は、燃焼炉内で珪素含有化合物を含む可燃性液体を液滴
噴霧して燃焼又は火炎加水分解させる珪素含有化合物燃
焼用バーナーにおいて、火炎発生用バーナー本体が少な
くとも三重管からなる同心円多重管構造を有するもの
で、珪素含有化合物を含む可燃性液体を噴出する中心管
と、該中心管の外側に同心円の二重以上の支燃性気体及
び/又は不燃性気体の噴出用外管とが形成されてなり、
該中心管から噴出された火炎が該外管から噴出される気
体噴流により覆われ、該火炎と燃焼炉内の燃焼ガスとの
流通・混合が制限されるようにしたものである。
【0033】ここで、燃焼に供される上記可燃性液体と
しては、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキ
サン、ヘキサメチルジシラザン等の液状のシラン、シロ
キサン、シラザンなどの有機珪素化合物や、これら液状
有機珪素化合物を含有するシリコーンワニス等の液体を
挙げることができる。具体的には、シリコーン製造設備
の洗浄液、シリコーン製造における蒸留留分及び残渣等
の液体を燃焼に供することができる。
【0034】一方、上記外管より噴出される支燃性気体
としては、空気、酸素等を挙げることができ、この場
合、上記可燃性液体を噴出する中心管を同心円状に包囲
する第1の外管からは、乾燥空気、酸素を噴出させるこ
とが好ましく、上記第1の外管を包囲する第2の外管か
らは乾燥空気や酸素でもよいが、特に乾燥操作を施さな
い通常の空気を噴出させれば十分である。なお、本発明
においては、上記の第2の外管の外側に更に同心円状に
第3又はそれ以上の外管を配設することができるが、こ
れら外管にも上記第2の外管と同様の支燃性気体を噴出
させることができる。
【0035】更に、上記外管群の外側に所定の間隔を置
いてバーナータイルを配設し、最も外側の外管を包囲す
ることができるが、この最も外側の外管とバーナータイ
ルとの間からも、空気、酸素等の支燃性気体を噴出させ
ることができる。
【0036】なお、上記支燃性気体と共に、又は場合に
より支燃性気体に代えて窒素等の不燃性体を噴出させる
ことができる。
【0037】この場合、圧力噴霧式のバーナーにおいて
は、第1の外管は空気、酸素等の支燃性気体を噴出さ
せ、第2の外管からは支燃性気体又はこれを含む不燃性
気体を噴出させることが好ましく、場合によっては不燃
性気体のみを噴出させてもよい。
【0038】また、気流噴霧式のバーナーの場合、第1
の外管及び第2の外管共に、支燃性気体又はこれを含む
不燃性気体を噴出させることが好ましい。
【0039】更に、第1及び第2の外管からの気体の噴
出速度は、1〜250m/秒が好ましい。
【0040】気流噴霧式バーナーを用いる場合の最も外
側の外管とバーナータイルとの間からの気体の噴出速度
は、空気を使用する場合では5〜100m/秒とするこ
とが好ましい。
【0041】なお、多重管の中心管の液体を噴霧する方
式は、液体を気体と混合して液滴群と気体の霧状の混合
物を得る機構を有するものであればよく、その方式は油
圧式、回転式、気流噴霧式などの他、方式を問わず任意
の方式を選定することが可能である。
【0042】また、上記に説明した原理から明らかなよ
うに、多重管の中心管からはシリコン液を噴出させ、そ
のとき発生する火炎を外管から噴出させた気体の噴流で
覆う形状とすることが必要であり、中心管以外の場所、
例えば第1又は第2の外管からシリコン液を噴出させる
ことは、上記に説明した原理が適用されないため、燃焼
により発生した二酸化珪素が噴出口付近に付着し易くな
り、実用に耐えないものとなってしまう。
【0043】本発明の燃焼炉は、内壁の温度を所要な範
囲に保つ冷却機構と内壁に付着した固形物を取り除く除
去機構をもち、上述したバーナーでの燃焼により生成し
た酸化物の粉体が内壁に付着した際に、当該酸化物粉体
が、その焼結温度又は融点より低い温度に保たれ、容易
に除去可能な状態を維持すると共に、定期的に除去機構
を動作させることにより粉体のまま系外に除去するよう
に構成したものである。
【0044】ここで、内壁の温度を保つ機構としては、
燃焼炉内への水噴霧が有効である他、壁を水冷壁構造の
ような冷媒循環構造による方法、冷空気供給による方法
などがある。除去機構としては、スートブロワが有効で
ある他、炉内に可動かき取り機を設ける方法、壁面に沿
って鉄又はセラミック等の耐熱材料で作られた球を通過
させる方法などがある。
【0045】炉内壁の温度にあっては、例えば珪素を含
む化合物を燃焼する場合、200〜1000℃に保つこ
とが好ましく、完全燃焼を図るためには有機物の自然着
火が起こる500℃以上が好ましく、二酸化珪素粉体の
焼結を完全に抑止するためにはクォーツからトリジマイ
トへの結晶変態が起こることを抑止できる850℃以下
とすることが好ましい。
【0046】本発明の燃焼炉のバーナーとして具体的に
は、図に示すものを挙げることができる。即ち、図1
は、本発明のバーナーのうち、液体噴出用中心管が油圧
噴霧式のものの例であり、火炎発生用バーナー本体が三
重管からなる同心円多重管構造を有するものである。こ
のバーナー本体は、液体噴出用中心管1と、該中心管1
の外側にそれぞれ同心円状に第1及び第2の支燃性気体
又は支燃性気体を含む不燃性気体噴出用外管2,3が配
設されてなり、該中心管1には可燃性液体供給口4から
液体が供給され、第1及び第2の外管2,3にはそれぞ
れ気体供給口5,6から空気、酸素等の支燃性気体及び
/又は窒素等の不燃性気体が供給される。また、第1の
外管2の内部先端部には、中心管1の前方に存して保炎
器7が配置されている。この保炎器の形状は、図2に示
すように、中心に孔7aを有する円錐状の板で、必要に
応じて複数の孔を開けたり複数の羽根又は突起をもつ形
状を有しており、後方から噴出された霧がこの孔7aを
通って前方に抜けるようにすることが必要である。
【0047】図1に示されたような本発明の油圧噴霧式
のバーナーは、下記のような構造を有する。 (1)多重管を構成する各管は、先端が同心円状となる
ように配置する。 (2)多重管を構成する各管の先端は、内側の管より外
側の管が前方(噴出方向)に突出するか、又は各外管の
先端が中心管先端と同一面上となるように配されること
が好ましい。 (3)各管の先端部形状は、先端に向かって細くなるよ
うに絞るか、平行円筒型又はそれらを組み合わせた形状
とし、先端に向かって拡がる形状としないことが好まし
い。 (4)保炎器は、中心管の前方で、かつ外管群の先端内
部に配置することが好ましいが、燃焼物の性状、燃焼炉
の操業条件等から、火炎の安定性が高い場合は配置しな
いことも可能である。 (5)各管の先端部の板厚は、先端に向かって薄くなる
ように鋭角化するか、一定板厚のままとするか又はそれ
らを組み合わせた形状とし、先端に向かって厚みが増す
形状としないことが好ましい。
【0048】ここで、本発明において、上記に説明した
原理から、火炎を覆うための支燃性気体及び/又は不燃
性気体の流量は、火炎と燃焼炉内に存在する燃焼ガスを
遮断するのに十分量又はそれ以上の量で、かつ燃焼を阻
害するような過剰とならない範囲の適当な流量を確保す
ることが好ましい。また、火炎を連続的に維持して、良
好な燃焼を保つ上で、上記可燃性液体が完全燃焼するに
必要な最低限の酸素量(化学量論量)が供給されなけれ
ばならないことは当然である。
【0049】更に、バーナー及びバーナー近傍、特に噴
出口付近へのS元素酸化物の付着を抑止する意味におい
て、多重管を構成する各管から噴出させる流体の速度に
ついても、良好な噴霧を維持するのに十分又はそれ以上
で、かつ燃焼を阻害するような過剰とならない範囲の速
度に調整することが好ましい。
【0050】具体的には中心管からの可燃性液体の噴出
速度は5〜250m/秒が好ましく、特に油圧噴霧式の
場合5〜50m/秒とすることが好ましく、第1及び第
2の外管からの気体の噴出速度は、空気を使用する場合
では、油圧噴霧式では5〜50m/秒が好ましい。
【0051】また、中心管から噴出される被燃物に対す
る外管群及びバーナータイルとの間から供給される支燃
剤の量は化学量論量の0.5〜5.0倍であることが好
ましく、火炎を安定に保つためには、0.8〜2.0倍
程度とすることがより好ましい。
【0052】上述したバーナーを用いて燃焼を行う場合
は、液体を上述した流速で沸点に至らない温度及び圧力
において噴出させると共に、第1の外管から上述した流
速で0〜30℃において支燃性気体及び/又は不燃性気
体を噴出させることにより上記液体を噴霧させ、かつそ
の噴霧物を第2以降の外管、更にはバーナータイルと外
管との間からの支燃性気体及び/又は不燃性気体にて燃
焼させ、かつその火炎を覆うものである。第2以降の外
管、バーナータイルと外管との間から噴出させる支燃性
気体及び/又は不燃性気体の温度は0〜30℃とするこ
とが好ましい。
【0053】なお、一つのバーナータイルの内部に、本
発明の構造を有するバーナーを複数個取り付けることが
可能であり、また、バーナーに供給される可燃性液体及
び支燃性気体、不燃性気体を流動性向上及び燃焼制御な
どの目的で予熱することも可能である。
【0054】図3は、本発明の燃焼炉のうち、上部に油
圧噴霧式三重管バーナーと温調用水噴霧ノズル、及び可
動かき取り機の駆動機構を備え、胴部にスートブロワと
可動かき取り機を備えた円筒竪型炉の例である。この燃
焼炉は、図1に示す如き中心管1及び外管2,3を備え
たバーナーを炉本体8内の上部に配設しており、このS
液及び空気又は酸素等の支燃性気体を供給して点火する
ことによりS液を燃焼させ、炉本体8内で固体酸化物を
生成させるものである。この場合、上記炉本体8の壁面
には冷却用水噴霧ノズル9が設けられており、このノズ
ル9から水を噴霧して炉本体8内の燃焼温度をS元素の
酸化物が溶融又は焼結しない範囲に保ちつつ燃焼を継続
させる。また、燃焼によって生成するS元素の酸化物粉
体が付着・堆積する炉本体8の壁面には、適宜な配置で
スートブロワ10が設置され、スートブロワ10を所定
の時間ごとに定期的に動作させることにより、壁面から
S元素の酸化物粉体を払い落とし、炉本体8の下端排気
口11から燃焼ガスと共に排出させるものである。
【0055】12は円形リング状の可動かき取り機であ
り、常時は炉本体8内の上部に配置され、このかき取り
機12はチェーン13を介して炉本体8の外部に配設さ
れた駆動機構14に連結されており、この駆動機構14
の駆動によりチェーン13が駆動機構14に巻き取られ
又は繰り出されて、かき取り機12が炉本体8の内周壁
面を上下方向に沿って摺動し得るように構成され、これ
によってスートブロワ10で除去されなかった炉本体8
壁面に付着・堆積されたS元素の酸化物粉体を払い落と
すものである。
【0056】なお、図3においては、バーナータイルを
設けず、バーナー及び保炎器により火炎を保持する形状
が示されているが、上述の如くバーナータイルを設ける
こともできる。また、炉内の温度制御の方法として水噴
霧方式を例示しているが、上述の如く、内壁面をS元素
酸化物の粉体が溶融又は焼結しない温度に保持する機構
であればその方法は問われるものではなく、水冷壁等の
直接冷却、冷空気の供給などの方法でもよい。更に、内
壁からのS元素酸化物の除去方法として、スートブロワ
と可動かき取り機の併用を例示しているが、これらにあ
っても上述の通り、内壁面から当該粉体を払い落とす機
構であればその方法は問われるものではなく、耐熱性の
球体を上部から落下させる方法や、炉全体を振動させる
方法などでもよい。
【0057】更にまた、炉形式にあっては、S元素含有
化合物を含む液体のみを燃焼させる竪型円筒炉を例示し
ているものであるが、同時に他の固体及び/又は液体を
燃焼炉に供給しなければならない時は、適宜の形式を採
用すればよく、下記の如き本発明の機構を有するもので
あればその形式は問われるものではない。
【0058】即ち、図3に示されたような本発明の燃焼
炉は、下記のような構造を有する。 (1)内壁面の温度をS元素酸化物の粉体の融点又は焼
結温度より低く保持する機構を備える。 (2)内壁面に付着・堆積するS元素酸化物の粉体を除
去し、系外へ排出する機構を備える。
【0059】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるも
のではない。
【0060】〔実施例1〕図1に示す構造のバーナーを
使用し、下記条件でテトラメトキシシラン(Si(OC
34)の燃焼を行った。 (1)バーナー形状 中心管(ステンレス製):内径4mm、先端部は圧力噴
霧スプレー構造を持ち、噴出口径0.2mm 第1の外管(ステンレス製):内径45mm 第2の外管(ステンレス製):内径54mm 保炎器(ステンレス製):口径10mm、外形40m
m、断面の中心角度160゜ 中心管先端と第1の外管先端との距離:10mm 第1の外管先端と第2の外管先端との距離:3mm (2)各管から噴出させる流体と噴出量、温度 中心管:テトラメトキシシラン(1.6kg/h)、2
0℃ 第1の外管:乾燥空気(14.5Nm3/h)、20℃ 第2の外管:空気(9.7Nm3/h)、20℃ (3)炉内温度 炉頂部(上端から300mm):850℃ 炉底部(上端から900mm):550℃ (4)燃焼炉形状等 直胴部(ステンレス製):内径208mm、長さ100
0mm、板厚4mm スートブロワ(鉄製):炉上端から300mm、600
mm、900mmの部分に各1基、計3基 かき取り機構(鉄製):円筒状で外径180mm、高さ
30mm、板厚5mm、上部から鎖で釣り下げ上下動可
能 冷却用水噴霧ノズル(ステンレス製):先端は炉上端か
ら200mm、先端部に気流噴霧構造をもち、水を噴霧 スートブロー間隔:20分ごと かき取り間隔:60分ごと (5)結果 上記条件で運転を行った結果、下記の如き結果を得た。 a)燃焼開始後約30分までの間にバーナー及びその近
傍(保炎器の表面、第1と第2の外管の先端(共に板厚
2mm)、第2の外管の外側)及び燃焼炉内の上部から
500mmの部分の直胴部に二酸化珪素の粉体が薄く付
着した。 b)その後10時間運転を継続したところ、バーナー及
びその近傍に付着する二酸化珪素は、一定の厚み以上と
なると自重ではがれ落ち、炉内壁にあっては定期的なス
ートブローとかき取り動作により一定の厚み以上に成長
することがなく、良好な燃焼を維持することができた。 c)10時間経過時点で燃焼を停止した後、炉を解体し
て点検したところ、炉内の二酸化珪素は微細な粉体の性
状を保っており、溶融及び焼結が起きていないことが確
認された。
【0061】〔比較例1〕第2の外管のみを除去して2
重管構造とした以外は実施例1と同様のバーナーを使用
し、実施例1と同様の条件でテトラメトキシシランの燃
焼を行った。
【0062】上記条件で燃焼反応を行った結果、燃焼時
間の経過と共に保炎器の表面、第1の外管の外側及び第
1の外管の先端に粉状の二酸化珪素が付着し続け、約2
時間で保炎器の表面及び第1の外管の前方が二酸化珪素
によってほぼ閉塞状態となり、燃焼継続が不可能となっ
た。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、燃焼によって固形酸化
物を生成する元素を含む液体を噴霧・燃焼又は火炎加水
分解させる際、バーナー本体やバーナー近傍及び燃焼炉
内に当該固形酸化物が付着堆積し難く、長期間安定に連
続運転可能であり、珪素含有化合物を含む廃棄物等の可
燃性液体を効率よく燃焼可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるバーナーの一実施例の一部を断
面とした平面図である。
【図2】同例の保炎器の斜視図である。
【図3】本発明の燃焼炉の一実施例を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1 中心管 2 第1の外管 3 第2の外管 4 可燃性液体供給口 5 支燃性気体供給口 6 支燃性気体供給口 7 保炎器 8 燃焼炉本体 9 冷却用水噴霧ノズル 10 スートブロワ 11 排気口 12 可動かき取り機 13 チェーン 14 駆動機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−101023(JP,A) 特開 平7−280226(JP,A) 特開 平5−229833(JP,A) 特開 昭62−153610(JP,A) 特開 平4−228442(JP,A) 特開 平4−295018(JP,A) 特開 平7−300333(JP,A) 実開 昭63−115041(JP,U) 実開 昭58−132303(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23C 11/00 B01J 19/00 C01B 13/34

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化
    物を生成する元素を含む液体を噴出する中心管と、この
    中心管の外側に同心円状に配された支燃性気体及び/又
    は不燃性気体を噴出する第1の外管と、この第1の外管
    に同心円状に配された支燃性気体及び/又は不燃性気体
    を噴出する第2の外管と、及び必要に応じて上記第2の
    外管の外側に配された支燃性気体及び/又は不燃性気体
    を供給する流路とを備えてなる、三重管又はそれ以上の
    多重管からなる同心円多重管構造を有し、上記中心管か
    ら噴出された液体を上記外管群及び必要に応じてその外
    側に配された流路から供給された支燃性気体及び/又は
    不燃性気体により噴霧燃焼させると共に、発生した火炎
    を上記外管群及び必要に応じてその外側に配された流路
    から供給される支燃性気体及び/又は不燃性気体で覆う
    ようにしたことを特徴とする燃焼生成物による閉塞を防
    止するバーナーを備え、かつ炉内壁の表面温度又は該固
    形酸化物の付着物表面温度を該固形酸化物の融点又は固
    着温度より低く保つ機構及び/又は炉内壁に付着した該
    固形酸化物を除去できる機構を備えていることを特徴と
    する燃焼炉。
  2. 【請求項2】 燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化
    物を生成する元素が、CASバージョンによる長周期型
    周期表の水素を除く1A族、2A族、3B族、4B族、
    5B族、6B族、7B族、8族、1B族、2B族、3A
    族、炭素を除く4A族、窒素を除く5A族、又は酸素及
    び硫黄を除く6A族の元素である該液体を燃焼する請求
    項1記載の燃焼炉。
  3. 【請求項3】 燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化
    物を生成する元素が珪素である該液体を燃焼する請求項
    2記載の燃焼炉。
  4. 【請求項4】 燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化
    物を生成する元素が珪素であり、上記中心管先端に噴霧
    機構をもち、かつこの中心管を同心円状に包囲する各外
    管の先端が上記中心管の先端と同一面上をなす位置又は
    これより前方に向けて突出していると共に、必要に応じ
    て上記中心管の前方に保炎器が配され、上記中心管から
    の液体の噴出速度が5〜250m/秒、上記第1及び第
    2の外管からの気体の噴出速度が1〜250m/秒で、
    被燃物に対する支燃剤の量が化学量論量の0.5〜5.
    0倍である請求項1記載のバーナーを備えていることを
    特徴とする燃焼炉。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のバーナーを備え、かつ炉
    内壁の表面温度を200〜1000℃に保つ機構及び/
    又は炉内壁に付着した請求項3記載の元素の固形酸化物
    を除去できる機構を備えていることを特徴とする請求項
    4記載の燃焼炉。
  6. 【請求項6】 燃焼炉内において、燃焼又は火炎加水分
    解によって固形酸化物を生成する元素を含む液体を噴霧
    して燃焼又は火炎加水分解させるに際し、上記液体を中
    心管から噴出させると共に、その外側に設けられた同心
    円状の外管群及び必要に応じて更にその外側に設けられ
    た流路から噴出させた支燃性気体及び/又は不燃性気体
    により噴霧燃焼を行い、発生した火炎を上記外管群及び
    必要に応じて更に外側に設けられた流路から供給される
    支燃性気体及び/又は不燃性気体で覆うと共に、燃焼炉
    内壁の表面温度を固形酸化物の融点又はその固着温度よ
    り低く保つ処理及び/又は炉内壁に付着した固形酸化物
    を除去する処理を行うようにしたことを特徴とする燃焼
    方法。
  7. 【請求項7】 燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化
    物を生成する元素が、CASバージョンによる長周期型
    周期表の水素を除く1A族、2A族、3B族、4B族、
    5B族、6B族、7B族、8族、1B族、2B族、3A
    族、炭素を除く4A族、窒素を除く5A族、又は酸素及
    び硫黄を除く6A族の元素である該液体を燃焼する請求
    項6記載の燃焼方法。
  8. 【請求項8】 燃焼又は火炎加水分解によって固形酸化
    物を生成する元素が珪素であり、炉内壁の表面温度又は
    炉内壁に付着した当該固形酸化物の表面温度を200〜
    1000℃に保持することを特徴とする請求項7記載の
    燃焼方法。
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