JP7261043B2 - 無機酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無機酸化物粒子の製造方法に関する。
無機酸化物粒子の製造方法として、例えば、噴霧熱分解法が知られている。噴霧熱分解法は、噴霧熱分解装置内に噴霧されたミストに熱を加え、熱分解によって、粒子を合成する製造方法である。ミストの形成には、一般に2流体、3流体ないし4流体ノズルと呼ばれる噴霧装置が用いられ、原料溶液を圧縮空気と同時に先端から吐出することでミストを霧化する。そして、このミストを噴霧熱分解装置内に吹き込み、ヒーターやバーナー等で発生させた熱源(熱風)により処理することで、無機酸化物粒子が合成される(特許文献1)。また、噴霧熱分解法により、粒子内部に空隙が存在する無機酸化物中空粒子も製造することが可能であるが、無機酸化物中空粒子は、緻密な粒子に比べ、軽量性、断熱・遮熱性、遮音性、光散乱性などの特性が優れることから、断熱・遮熱材フィラー、遮音フィラー、反射材フィラーとして広く普及している(特許文献2)。
特開2011-98867号公報 特開2018-065078号公報
しかしながら、一般的な噴霧熱分解装置により無機酸化物粒子を製造すると、噴霧装置から噴霧されたミストは、熱風に煽られて傾き、ミストや粒子が炉壁やノズル吐出口へ付着し、ノズル先端部で固結が発生することがある。また、熱風に煽られたミスト同士が乾燥途中で干渉し、粒子同士の付着が生じ、粒度分布がブロードになるといった課題があった。
本発明の課題は、ノズル先端部での固結を防止し、かつシャープな粒度分布を有する無機酸化物粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、火炎がミストと直接接触しないように配置された燃焼バーナーを備える内燃焼式噴霧熱分解装置内で、ノズルから噴霧される原料溶液のミストの噴霧速度と燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速との比(噴霧速度/燃焼ガス流速)、並びに加熱温度を特定範囲内に制御することで、ノズル先端部での固結を防止し、かつシャープな粒度分布を有する無機酸化物粒子を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔3〕を提供するものである。
〔1〕無機酸化物を構成する元素を含む化合物の溶液のミストを噴霧するノズルと、噴霧されたミストの加熱源である燃焼バーナーとを備える内燃焼式噴霧熱分解装置内に、前記ノズルから前記ミストを噴霧し、熱分解する工程を含む無機酸化物粒子の製造方法であって、
前記燃焼バーナーは、該燃焼バーナーの火炎が前記ミストと直接接触しないように配置されており、
前記ノズルから噴霧される前記ミストの噴霧速度と、前記燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速との比(噴霧速度/燃焼ガス流速)が、1~5であり、
加熱温度が、400~1800℃である、
無機酸化物粒子の製造方法。
〔2〕前記酸化物を構成する元素を含む化合物が、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上である、〔1〕記載の無機酸化物粒子の製造方法。
〔3〕前記溶液が、水溶液である、〔1〕又は〔2〕記載の無機酸化物粒子の製造方法。
本発明によれば、ノズル先端部での固結を防止し、かつシャープな粒度分布を有する無機酸化物粒子を簡便な操作で製造することができる。
本発明の製造方法に適用可能な噴霧熱分解装置の一例を示す概略図(側面図、A-A線断面図)である。 本発明の製造方法に適用可能な他の噴霧熱分解装置を示す概略図(側面図、A-A線断面図)である。 実施例1で得られた無機酸化物中空粒子の粒度分布を示す図である。 比較例2で得られた無機酸化物中空粒子の粒度分布を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本発明の製造方法に適用可能な噴霧熱分解装置の一例を示す概略図である。噴霧熱分解装置10は、内燃焼式であり、図1に示されるように、原料溶液のミスト(液滴)1を熱分解炉2内に噴霧するためのノズル3と、噴霧されたミストを熱分解するための加熱源である燃焼バーナー4及び補助熱源5を有する。
先ず、噴霧熱分解装置の構成について説明する。
熱分解炉は、炉材として使用されている材質であれば何れも用いることができ、加熱温度等を考慮して選定すればよい。また、金属製のシェルの内壁に、耐火レンガ、断熱レンガ、キャスタブル等を単体、層状、又はこれらを組み合わせて用いるのが一般的である。
熱分解炉の形状は、熱分解炉内に旋回流を発生させることができる点で、堅型円筒状が好ましい。熱分解炉の大きさは、製造スケールにより適宜選択することができる。
ノズルは、図1に示されるように、熱分解炉の底部に上向きに原料溶液のミストを噴霧するように配置される。ノズルは、1基でも、2基以上設置しても構わない。また、ノズルは、耐熱性を考慮し、必要に応じて断熱材等で保護してもよい。
ノズルとしては、気体を供給する気体供給口と、原料溶液を噴霧する吐出口とを有するものであれば特に限定されないが、例えば、2流体ノズル、3流体ノズル、4流体ノズル等を挙げることができる。なお、ノズルの方式には、気体供給口に供給された気体と原料溶液とをノズル内部で混合して吐出口から噴霧する内部混合方式と、気体供給口に供給された気体と、吐出口から噴霧した原料溶液とをノズル外部で混合する外部混合方式があり、いずれも採用できるが、ノズル先端部での固結防止、生産効率の観点から、外部混合方式が好ましい。ノズルに供給する気体としては、例えば、空気や、窒素、アルゴン等の不活性ガス等を使用することができる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。
燃焼バーナーは、1基~4基設置することができる。図1に示される噴霧熱分解装置は、燃焼バーナーが2基設置されている。燃焼バーナーを複数基設置する場合、熱分解炉の底部から略同じ距離に対角させて、熱分解炉体内の接線方向に配置する(A-A線断面図参照)。この場合、0°~60°の角度をもって上向きに配置してもよく、旋回流を効率良く生じさせる点から、2基~4基ともに、同角度にするとよい。
燃焼バーナーは、燃焼バーナーの火炎がミストに直接接触しないように設置される。ミストに直接接触しないように燃焼バーナーを配置するには、燃焼バーナーの火炎が熱分解炉内に入らないようにすることが好ましい(図1参照)。バーナーの火炎が熱分解炉内に入ることを避けたい場合は、前後方向にバーナーを可動できる機構を設け必要に応じ調整するとなおよい。
このように配置することにより、2基~4基の燃焼バーナーから生じた相対する方向からの燃焼ガスにより、熱分解炉内に強力な旋回流が生じる。この旋回流は、熱分解炉の下方から上方に進行するため、ノズルから噴霧されたミストもこの旋回流により旋回しながら上昇する。したがって、ミストは、燃焼バーナーから生じた火炎に直接接触することなく、熱分解炉の長さよりも長い距離、熱分解炉内に滞留し、長時間の熱分解反応を受けることができる。
燃焼バーナーは、一般的に販売されているものであれば、いずれも使用することができる。熱分解炉の容積、仕様等を考慮し、これにあった型式の燃焼バーナーを選定するとよく、また熱分解炉の仕様に応じたものを製作して用いてもよい。
燃焼バーナーに用いるガスとしては、気体燃料であれば特に限定されないが、例えば、LPG、都市ガス、気化した有機物などの気体燃料を挙げることができる。
補助熱源は、熱分解炉体の燃焼バーナーの上部に1基以上設置される(図1)。補助熱源としては、例えば、燃焼補助バーナー、熱風ヒーター、電気ヒーターが挙げられる。また、補助熱源の設置数は、熱分解炉の長さによって、例えば図1に示すように、2基~6基程度設定することができる。電気ヒーターの場合は、熱分解炉内側の周囲に設けてもよい。
補助熱源の設置により、炉体の放散熱分の熱量を付与することができ、無機酸化物粒子の合成に必要な温度と保持時間を再現性よく、安定して確保できる。
補助熱源として、燃焼補助バーナー、熱風ヒーターを用いる場合は、熱分解炉体内の接線方向であって、燃焼ガスの旋回方向に配置することができる。これにより、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの旋回流を妨げずに、旋回流の維持、強化をすることができるため好ましい。
また、燃焼補助バーナー、熱風ヒーターは、炉内温度や旋回流を調整するために、設置する面や高さを変えてもよい。設置する面は、図1に示すように、対面や熱分解炉の垂直方向に並べてもよい。設置する高さについては、同じ高さ(同一円周上)、段違いとしてもよい。
また、補助熱源として燃焼補助バーナーを使用する場合、その火炎がミストや生成した粒子に直接接触しないようにすることが、ミストの一部のみの過剰反応、粒子の溶融や変形等を防止し、シャープな粒度分布を有する無機酸化物粒子を製造するうえで好ましい。燃焼補助バーナーの火炎がミストや生成した粒子に直接接触しないようにするには、燃焼補助バーナーの火炎が熱分解炉内に入らないように設置すればよく、例えば、燃焼補助バーナーを前後方向に可動できる機構を設け、火炎の長さなどに応じて調整すればよい。
次に、本発明の製造方法について説明する。
ノズルから噴霧される原料溶液は、酸化物を構成する元素を含む化合物の溶液である。
酸化物を構成する元素を含む化合物としては、酸化物を構成する元素を含有し、水等の溶媒に溶解する化合物であれば特に限定されないが、例えば、無機塩、金属アルコキシド等を挙げることができる。より具体的には、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。アルミニウム塩としては、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、燐酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等の無機塩、アルミニウムセカンダリーブチレート等の有機金属化合物、アルミニウムイソプロピレート等のアルミニウム化合物を分散したものが挙げられる。ケイ酸アルコキシドとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を溶媒に分散した溶液、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物のゾル溶液も原料溶液として用いることができる。更に、溶融温度、耐熱性、粒子強度を調整するために、他の元素の原料を添加することもできる。
これらの原料化合物から得られる無機酸化物としては、例えば、金属酸化物、アルミナ、シリカ、アルミニウム及びケイ素からなる酸化物等が挙げられる。より具体的には、アルミナ、シリカ、アルミニウム及びケイ素からなる酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物等が挙げられ、これら酸化物を組みあわせた複合酸化物も挙げられる。
酸化物を構成する元素を含む化合物を溶解又は分散する溶媒としては、水及び有機溶媒が挙げられる。中でも、環境への影響、製造コストの点から、水が好ましい。
原料溶液中の酸化物を構成する元素を含む化合物の濃度は、得られる無機酸化物粒子の粒度分布、密度、強度等を考慮し、0.01mol/L~飽和濃度が好ましく、0.1~1.0mol/Lが更に好ましい。
ミストの平均粒子径は、好ましくは0.5~60μm、より好ましくは1~20μm、更に好ましくは1~15μmである。なお、ミストの平均粒子径は、ノズル吐出口の形状や空気の圧力によって調整することが可能である。
ノズルから噴霧されたミストは、燃焼バーナーから発生した火炎方向に到達し、ミストから溶媒が蒸発し、ミスト表面に無機塩が析出する。
ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度が遅すぎると、燃焼バーナーの熱風にミストが煽られて傾き、ミストがノズル吐出口に付着しやすくなる。また、ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度が速すぎると、ミストが十分な熱を受けられず、粒子同士の固着が発生して粒子の均一性が損なわれ、シャープ(単峰性)な粒度分布を有する無機酸化物粒子が得られない。そのため、本発明においては、ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度と、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速を制御する。すなわち、ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度と、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速との比(噴霧速度/燃焼ガス流速)を1~5に制御する。かかる噴霧速度/燃焼ガス流速の比が1未満であると、ノズル先端部で固結が発生する。また、かかる噴霧速度/燃焼ガス流速の比が5を超えると、シャープ(単峰性)な粒度分布を有する無機酸化物粒子が得られない。かかる観点から、噴霧速度/ガス流速の比は、1.5~4.5が好ましく、2~4がより好ましく、2.5~3.5が更に好ましい。なお、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速は、下記式(1)により算出することができる。
燃焼ガス流速(m/s)=X/Y (1)
〔式中、Xは熱分解内のガス量(m3/s)を示し、Yは熱分解炉の断面積(m2)を示す。〕
なお、熱分解炉内のガス量Xは、下記式(2)により算出される値である。
熱分解炉内のガス量=焚き量×空気比×理論燃焼ガス量×体積膨張率(2)
式(2)中、焚き量(m3/s)とは、気体燃料の量であり、空気比とは、理論空気量と実際に供給する空気量の比率である。また、理論燃焼ガス量(m3/s)/(m 3 /s)]とは、燃料に理論空気量を与えて完全燃焼させた場合に生じるガス量であり、燃料組成より算出することができる。更に、体積膨張率は、対象のガス温度と標準状態のガス温度との比率であり、 熱分解炉内に熱電対を設置することで計測できる炉内温度(K )より求められる。
ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度は、通常1~50m/s、好ましくは10~25m/s、更に好ましくは15~20m/sである。
また、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速は、通常1~50m/s、好ましくは3~20m/s、更に好ましくは4~10m/sである。
ミスト表面に析出した無機塩は、燃焼バーナー及び補助熱源により熱が加えられて熱分解し、無機塩が酸化され無機酸化物粒子を形成する。
加熱温度は、400~1800℃である。400℃未満であると、熱分解が不十分となり、シャープ(単峰性)な粒度分布を有する無機酸化物粒子を得られない。また、1800℃を超えると、粒子が旋回流に乗って熱分解炉外に排出されても十分冷却されず粒子同士が凝集しやすくなるため、シャープ(単峰性)な粒度分布を有する無機酸化物粒子を得られない。かかる観点から、加熱温度は、600~1500℃が好ましく、700~1400℃がより好ましく、900~1200℃が更に好ましい。
熱分解炉内の下部から上部に旋回流に乗って熱分解反応によって生じた無機酸化物粒子は、熱分解炉上部から回収される。ここで、無機酸化物粒子を効率的に回収するには、熱分解炉頂部に冷却エアーを導入可能な空間を設け、ここに冷却エアーを導入することにより、冷却回収するのが好ましい。冷却エアーの導入手段としては、冷却エアーの吸入部の設置、ファンやブロアから冷却エアーを送り込む手段等を採用することができ、これらは複数の箇所から行なってもよい。また、冷却エアーの変わりに、水冷してもよく、イオン交換水や上水などを用いることができる。目的微粒子の回収には、バグフィルター等を用いることができる。
また、本発明においては、無機酸化物粒子として無機酸化物中空粒子も製造することができる。中空粒子を製造する場合、熱分解後の無機酸化物粒子の表面を溶融すればよい。これにより、無機酸化物粒子の表面に存在する孔が閉塞され、粒子外殻に孔がなく、粒子強度の高い無機酸化物中空粒子が得られる。
無機酸化物粒子の表面を溶融させるには、例えば、補助熱源の温度を無機酸化物粒子の溶融温度以上に制御するか、あるいはノズルの設置位置から熱分解炉の出口方向に向かって段階的に無機酸化物粒子の溶融温度以上となるように補助熱源の温度を制御すればよい。
溶融温度は、無機酸化物粒子の表面が溶融する温度であればよいが、無機酸化物粒子表面の孔を閉塞させる点から、600℃以上が好ましい。また、0.1秒~1分程度で無機酸化物粒子表面が溶融する点から、700℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、900℃以上が更に好ましい。なお、経済性の点から、溶融温度は、通常1500℃以下、好ましくは1200℃以下である。
このようにして無機酸化物粒子を製造することができるが、本発明の方法により製造された無機酸化物粒子は、シャープ(単峰性)な粒度分布を有することができる。ここで、本明細書において「粒度分布」とは、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に準拠して測定される、体積基準の粒度分布をいう。粒度分布は、横軸を粒子径(μm)、縦軸を体積基準の頻度(%)とする分布曲線により表される。
製造された無機酸化物粒子がシャープな粒度分布を有するか否かは、次の方法により判断することができる。先ず、JIS R 1629に準拠して無機酸化物粒子の体積基準の粒度分布を作成する。次に、体積分布積算曲線の90%に相当する粒子径(D90)と、10%に相当する粒子径(D10)を求め、両者の差分(D90-D10)を算出する。そして、粒度差(D90-D10)が通常6.0μm未満、好ましくは5.5μm以下、更に好ましくは5.0μm以下であれば、シャープな粒度分布を有すると判断することができる。なお、粒子径分布測定装置として、例えば、マイクロトラック(マイクロトラック・ベル社製)を使用することができる。
無機酸化物粒子の粒子密度は、通常0.1~2.5g/cm3であり、好ましくは0.2~1.0g/cm3であり、更に好ましくは0.3~0.6g/cm3である。なお、粒子密度は、JIS R 1620に準拠して気体置換法により測定することができる。粒子密度測定装置として、例えば、乾式自動密度計「アキュピック(島津製作所製)」を使用することができる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、噴霧熱分解装置10は、燃焼バーナー2基が熱分解炉体内の接線方向に沿って略同じ方向に対角に配置されているが、図2に示される噴霧熱分解装置20のように、燃焼バーナーを熱分解炉体内の接線方向に1基設置してもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
1.ノズル先端部での固結の評価
無機酸化物粒子の製造後にノズル先端部を目視で観察し、固結の有無を判断した。
2.粒度分布の測定
レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定装置として、マイクロトラックMT3300EX II(マイクロトラック・ベル社製)を使用し、無機酸化物粒子の粒度分布をJIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に準拠して体積基準で作成した。そして、体積分布積算曲線の90%に相当する粒子径(D90)と、10%に相当する粒子径(D10)を求め、両者の差分(D90-D10)を算出した。なお、粒度差(D90-D10)が6.0μm未満のものを、シャープな粒度分布であると判断した。
実施例1
図1に示す噴霧熱分解装置を用いて無機酸化物粒子を製造した。なお、噴霧熱分解装置は、燃焼バーナーの火炎がミストと直接接触しないように燃焼バーナーを設置し、熱分解炉の断面積は0.1(m2)である。
先ず、イオン交換水100Lに、オルトケイ酸テトラエチル1992g、硝酸アルミニウム九水和物131g、硝酸マグネシウム六水和物455g、硝酸カルシウム四水和物516g、四ホウ酸ナトリウム十水和物1666g、濃硝酸1Lを竪型ガス炉の溶液タンクに投入し撹拌した。次いで、原料溶液を送液ポンプにより2流体ノズルに送液し、2流体ノズルから炉内温度を1050℃に設定した竪型ガス炉に、表1に示す噴霧速度で原料溶液のミストを噴霧し、表1に示す燃焼ガスの流速に制御して無機酸化物中空粒子を製造し、バグフィルターにて回収した。そして、ノズル先端部の固結の有無を目視で確認した。また、無機酸化物中空粒子の粒度分布を測定し、粒度差(D90-D10)を求めた。その結果を表1に示す。なお、図3に無機酸化物中空粒子の粒度分布を示す。
実施例2~5
表1に示す、ミストの噴霧速度及び燃焼ガスの流速に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を製造し、バグフィルターにて回収した。そして、ノズル先端部の固結の有無を目視で確認した。また、無機酸化物中空粒子の粒度分布を測定し、粒度差(D90-D10)を求めた。その結果を表1に示す。
実施例6、7
表1に示す、炉内温度、ミストの噴霧速度及び燃焼ガスの流速に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を製造し、バグフィルターにて回収した。そして、ノズル先端部の固結の有無を目視で確認した。また、無機酸化物中空粒子の粒度分布を測定し、粒度差(D90-D10)を求めた。その結果を表1に示す。
比較例1、2
表1に示す、ミストの噴霧速度、及び燃焼ガスの流速に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を製造し、バグフィルターにて回収した。そして、ノズル先端部の固結の有無を目視で確認した。また、無機酸化物中空粒子の粒度分布を測定し、粒度差(D90-D10)を求めた。その結果を表1に示す。なお、図4に、比較例2で得られた無機酸化物中空粒子の粒度分布を示す。
比較例3、4
表1に示す、炉内温度、ミストの噴霧速度及び燃焼ガスの流速に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により無機酸化物中空粒子を製造し、バグフィルターにて回収した。そして、ノズル先端部の固結の有無を目視で確認した。また、無機酸化物中空粒子の粒度分布を測定し、粒度差(D90-D10)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0007261043000001
表1、及び図3、4から、次のことがわかる。
比較例1では、ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度が遅すぎるため、燃焼バーナーの熱風にミストが煽られて傾き、ミストがノズル吐出口に付着して固結が発生したと考えられる。
比較例2では、ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度が速すぎるため、ミストが十分な熱を受けられず、粒子同士の固着が発生し、粒度差(D90-D10)が6.4と大きい二峰性の粒度分布となったと考えられる(図4)。
比較例3では、炉内温度が350℃と低く、熱分解が不十分であったため、粒度差(D90-D10)が7.0と大きい二峰性の粒度分布となったと考えられる。
比較例4では、炉内温度が1850℃と高く、熱分解後の粒子が炉外に排出されても十分冷却されず、粒子同士が凝集したため、粒度差(D90-D10)が6.2と大きい二峰性の粒度分布となったと考えられる。
これに対し、実施例1~7は、ノズルから噴霧されるミストの噴霧速度と、燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速との比(吐出速度/燃焼ガス流速)、並びに加熱温度を特定範囲内に制御されているため、ノズル先端部での固結が発生することなく、図3に示すシャープ(単峰性)の粒度分布を有する無機酸化物粒子が得られた。
1 ミスト(液滴)
2 熱分解炉
3 ノズル
4 燃焼バーナー
5 補助熱源
10、20 噴霧熱分解装置

Claims (1)

  1. 無機酸化物を構成する元素を含む化合物の溶液のミストを噴霧するノズルと、噴霧されたミストの加熱源である燃焼バーナーとを備える内燃焼式噴霧熱分解装置内に、前記ノズルから前記ミストを噴霧し、熱分解する工程を含む無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
    前記燃焼バーナーは、燃焼バーナー2基を熱分解炉の底部から略同じ距離に対角させて熱分解炉体内の接線方向に、前記燃焼バーナーの火炎が前記ミストと直接接触しないように配置されており、
    前記ノズルは、熱分解炉の底部から上向きに前記溶液のミストを噴霧するように配置されており、
    前記ノズルから噴霧される溶液は、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド及びケイ酸アルコキシドから選ばれる1種又は2種以上の化合物を、0.01mol/Lから飽和濃度で含む水溶液であり、
    前記ノズルから噴霧される前記溶液のミストの平均粒子径は、0.5~60μmであり、
    前記ノズルから噴霧される前記ミストの噴霧速度は、5.93~29.33m/sであり、
    前記燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速は、4~10m/sであり、
    前記ノズルから噴霧される前記ミストの噴霧速度と、前記燃焼バーナーにより発生した燃焼ガスの流速との比(噴霧速度/燃焼ガス流速)が、1~5であり、
    加熱温度が、400~1800℃である、
    無機酸化物中空粒子の製造方法。
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