JP2024064769A - 噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置 - Google Patents

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雄一 館山
Yuichi Tateyama
賢太 増田
Kenta Masuda
紀彦 三崎
Norihiko Misaki
広樹 山崎
Hiroki Yamazaki
修也 松下
Shuya Matsushita
秀樹 徳田
Hideki Tokuda
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Abstract

【課題】ミストの乾燥ムラ又は焼成ムラを抑制可能な噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置を提供すること。【解決手段】 原料溶液のミストを乾燥又は熱分解する加熱炉と、加熱炉の外周面に配置され、加熱炉内を加熱する加熱装置と加熱炉の端部に配置され、原料溶液のミストを加熱炉内に噴霧する第1の噴霧装置を備え、水のミストを噴霧する第2の噴霧装置が、第1の噴霧装置に隣接して対向配置されているか、又は第1の噴霧装置に対して所定の間隔を空けて対向配置されている、噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置。【選択図】図1

Description

本発明は、噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置に関する。
微粒子の製造装置として、例えば、噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置が使用されている(特許文献1、2)。これら装置には、加熱炉内に、原料溶液のミスト(液滴)を噴霧する流体ノズルと、燃焼ガスを発生させるガスバーナーが設置されている。
特開2001-17857号公報 特開2019-25385号公報
上記した微粒子製造装置においては、加熱炉内に、流体ノズルから原料溶液のミストを噴霧し、ガスバーナーから生じる燃焼ガスを熱源としてミストを乾燥又は熱分解することで微粒子を製造するが、ガスバーナーの設置位置や設置数によっては、加熱炉内に温度ムラを生ずるため、乾燥ムラ又は焼成ムラが起こる。その結果、ミストから生成した微粒子は、乾燥又は熱分解が不十分となり、粒子密度や粒子強度が低下し、誘電特性が悪化する。ここで、本明細書において「乾燥ムラ又は焼成ムラ」とは、ミストの一部が十分な熱を受けられず、生焼けの様な状態となることをいう。
本発明の課題は、乾燥ムラ又は焼成ムラを抑制可能な噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置、及びそれを用いた無機酸化物粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討した結果、加熱炉内に原料溶液のミストを噴霧する第1の噴霧装置とは別に、水のミストを噴霧する第2の噴霧装置を設置することで、第2の噴霧装置から噴霧された水のミストによって加熱炉内の水蒸気量が増量し、それが熱媒体となるため、加熱炉内の温度ムラを生じ難くなるだけでなく、原料溶液のミストの乾燥又は熱分解が促進され、乾燥ムラ又は焼成ムラを抑制することが可能になり、その結果、粒子密度、粒子強度の低下や、誘電特性の悪化が抑制された無機酸化物粒子を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔4〕を提供するものである。
〔1〕原料溶液のミストを乾燥又は熱分解する加熱炉と、
加熱炉の外周面に配置され、加熱炉内を加熱する加熱装置と
加熱炉の端部に配置され、原料溶液のミストを加熱炉内に噴霧する第1の噴霧装置
を備え、
水のミストを噴霧する第2の噴霧装置が、第1の噴霧装置に隣接して対向配置されているか、又は第1の噴霧装置に対して所定の間隔を空けて対向配置されている、
噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置。
〔2〕前記〔1〕記載の噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置を用いる無機酸化物粒子の製造方法であって、
加熱炉内に、第1の噴霧装置から原料溶液のミストを噴霧するとともに、第2の噴霧装置から水のミストを噴霧し、原料溶液及び水のミストを加熱して原料溶液のミストを乾燥又は熱分解する工程を含む、無機酸化物粒子の製造方法。
〔3〕加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量が15.5体積%以上となるように第2の噴霧装置から水のミストを噴霧する、前記〔2〕記載の無機酸化物粒子の製造方法。
〔4〕無機酸化物粒子が無機酸化物中空粒子である、前記〔2〕又は〔3〕記載の無機酸化物粒子の製造方法。
本発明の噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置を用いれば、乾燥ムラ又は焼成ムラが起こり難いため、粒子密度、粒子強度の低下や、誘電特性の悪化が抑制された無機酸化物粒子を製造することができる。
本発明の噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。 第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置の配置の一例を示す模式図である。 第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置の配置の他の例を示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
〔噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置〕
図1は、本発明の噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置の一例を示す模式図である。
噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置10は、外熱式であり、図1に示されるように、原料溶液のミストを乾燥又は熱分解する加熱炉1と、加熱炉1の外周面に配置され、加熱炉1内を加熱する加熱装置2と、加熱炉1の下端部に設置され、原料溶液のミスト3を噴霧する第1の噴霧装置4とを備え、水のミスト5を噴霧する第2の噴霧装置6が、第1の噴霧装置1に対向配置されていることを特徴とする。このように、原料溶液のミストを噴霧する第1の噴霧装置とは別に、水のミストを噴霧する第2の噴霧装置を第1の噴霧装置に対向配置することにより、第2の噴霧装置から噴霧された水のミストによって加熱炉内の水蒸気量が増量し、それが熱媒体となるため、加熱炉内の温度ムラが生じ難くなる。また、原料溶液のミストの周囲に高温の水蒸気が存在することによって、原料溶液のミストの乾燥又は熱分解が促進されて乾燥度又は焼成度が増すため、乾燥ムラ又は焼成ムラを抑制することができる。その結果、粒子密度、粒子強度の低下や、誘電特性の悪化が抑制された無機酸化物粒子を製造することができる。
(加熱炉)
加熱炉の外壁の材質は、耐熱性のある金属であることが好ましく、例えば、鉄、ステンレス、インコネル、ハステロイ、チタンを挙げることができる。
また、加熱炉の内壁の材質は、耐熱性を有する材質であれば特に限定されないが、例えば、セラミックス、金属、レンガ、不定形耐火物を挙げることができる。
加熱炉の形状は、略円筒形であることが、フランジによる連結が行える点、炉本体内の断面方向の温度ムラ、炉本体からの断面方向の放散熱ムラが抑えられる点で好ましい。
加熱炉の大きさは、製造スケールに応じて適宜選択することが可能であるが、例えば、堅型円筒状である場合、内径は600~1600mmが好ましく、高さは3000~10000mmが好ましい。
(加熱装置)
加熱装置は、原料溶液のミストの乾燥又は熱分解に必要な熱量を付与できれば特に限定されないが、例えば、燃焼バーナー、熱風ヒーター、電気ヒーターを挙げることができる。なお、燃焼バーナー、熱風ヒーター及び電気ヒーターは、一般的に販売されているものであれば、いずれも使用することができる。中でも、加熱装置としては、燃焼バーナーが好ましい。燃焼バーナーに用いる燃料は特に限定されないが、例えば、気体燃料、液体燃料、固体燃料を挙げられ、これら燃料の2以上を混焼してもよい。気体燃料としては、例えば、LPG、都市ガス、気化した有機物が挙げられる。また、液体燃料としては、例えば、灯油、軽油、重油、再生油等の液化した有機物を挙げることができる。固体燃料としては、例えば、石炭、木炭、木材等を粉末状にしたものが挙げられる。
加熱装置は、加熱炉の外周面に設置されるが、加熱炉内で温度差を生じさせなければ、外周面の任意の位置に設置することができる。例えば、加熱装置として燃焼バーナーを設置する場合、加熱炉の外周端部であって、第1の噴霧装置の吐出口から離れた位置に、加熱炉の中心軸と燃焼バーナーの中心軸とをずらして設置することができる。このように、加熱炉と燃焼バーナーとが互いの中心軸をずらして連結することにより、燃焼ガスが加熱炉を真上に上昇せず、旋回流を生じて上昇するため、原料溶液のミストがこの旋回流に乗って加熱炉内を上昇し、十分な加熱時間を確保できる。なお、燃焼バーナーは、その火炎がミストに直接接触しないように設置することが好ましい。
加熱装置は、1基又は2基以上設置することができる。加熱装置を2基以上設置する場合、同じ高さ(同一円周上)に対面に並べても、高さを変えて段違いとして設置してもよい。なお、図1に示される噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置においては、第1の噴霧装置の吐出口の下方から加熱炉出口方向に向かって6基の加熱装置が設置され、6基のうち2基の加熱装置が同じ高さ(同一円周上)で対向配置されている。
加熱装置の温度は、通常400~1800℃であり、好ましくは600~1500℃であり、より好ましくは700~1400℃であり、更に好ましくは800~1200℃である。このような温度であれば、原料溶液のミストの乾燥又は熱分解が十分となり、また粒子が加熱炉外に排出されたときに粒子同士が凝集し難くなる。
また、加熱炉内を所望の温度に制御しやすくするために補助熱源を設置してもよい。補助熱源としては、例えば、燃焼バーナー、熱風ヒーター、電気ヒーターを挙げることができる。補助熱源は、2基以上設置することが可能であり、例えば、同じ高さ(同一円周上)に対面に並べても、高さを変えて段違いとして設置してもよい。なお、補助熱源は、加熱炉内を所望の温度に制御しやすい任意の位置に設置することができる。
(噴霧装置)
第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置としては、例えば、流体ノズルを挙げることができる。流体ノズルとしては、例えば、1流体ノズル、2流体ノズル、3流体ノズル、4流体ノズルが挙げられる。中でも、2流体ノズル、3流体ノズル、4流体ノズルが好ましい。なお、第2の噴霧装置は、第1の噴霧装置と同一機種でも、異なる機種でもよい。
流体ノズルは、加熱炉の容積や仕様等を考慮し、これにあった市販の流体ノズルを選択すればよく、加熱炉の仕様に応じたものを作製しても構わない。
ノズル本体の長さは、加熱炉の容積や仕様等に応じて適宜選択可能であるが、例えば、400~1500mmである。
また、ノズル本体の外径は、加熱炉の容積や仕様等に応じて適宜選択可能であるが、例えば、ノズルが円筒型の場合、φ40~80mmである。
流体ノズルの方式には、気体と液体とをノズル内部で混合する内部混合方式と、ノズル外部で気体と液体を混合する外部混合方式があるが、いずれも採用することができる。ノズルに供給する気体としては、例えば、空気や、窒素、アルゴン等の不活性ガス等を使用することができる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。
流体ノズルへの気体供給速度は、流体ノズルの液体供給速度に対して、10倍以上が好ましく、20倍以上がより好ましく、30倍以上が更に好ましい。なお、気体供給速度の上限値は、ノズル先端部での固結防止や、炉内滞留時間を確保する観点から、流体ノズルの液体供給速度に対して、70倍以下が好ましく、60倍以下がより好ましく、50倍以下が更に好ましい。
流体ノズルに供給する気体の温度は、噴出直後のミストの温度以下が好ましく、常温(20±15℃)以下が更に好ましい。なお、気体の温度の下限値は、温度制御の容易さから、1℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。
第1の噴霧装置の設置位置は、加熱炉の上方及び下方のいずれでもよく、加熱炉の容積や仕様等を考慮して適宜選択することができる。
第1の噴霧装置は、加熱炉の中央部又は端部に設置することができるが、加熱炉壁面への固着物の発生を防止しつつ、乾燥又は熱分解を促進させる観点から、加熱炉下方の略中央部に設置することが好ましい。
第2の噴霧装置は、図2(a)に示されるように、第1の噴霧装置に隣接して対向配置されるか、又は図2(b)に示されるように、第1の噴霧装置に対して所定の間隔を空けて対向配置される。なお、図1に示される噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置は、加熱炉下方の略中央部に第1の噴霧装置が1基設置され、この第1の噴霧装置に隣接して第2の噴霧装置1基が対向配置されている。
第2の噴霧装置を第1の噴霧装置に対して所定の間隔を空けて対向配置する場合、間隔を大きく取りすぎると、加熱炉内壁に近づくため、加熱炉内壁に固着物が発生しやすくなる。第1の噴霧装置と第2の噴霧装置との距離は、加熱炉内壁への固着発生を防止できれば特に限定されないが、例えば、加熱炉の形状が円筒状である場合、噴霧装置間の距離は、炉内径に対して、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましい。また、噴霧装置間の距離の下限値は特に限定されないが、炉内径に対して、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。
第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置は、それぞれ1基又は2基以上設置することができる。例えば、第1の噴霧装置に隣接して第2の噴霧装置2基以上を対向配置する場合、図3(a)に示されるように、第1の噴霧装置1基を中心とし、その十字中心線上に第2の噴霧装置2基以上を第1の噴霧装置に隣接して配置してもよい。また、図3(b)に示されるように、第1の噴霧装置1基を中心とし、その同心円上に第2の噴霧装置2基以上を第1の噴霧装置に隣接して配置してもよい。更に、図3(c)に示されるように、加熱炉の軸を中心として第1の噴霧装置2基と第2の噴霧装置2基を対角に隣接して配置することもできる。
また、第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置を互いに所定の間隔を空けて2基以上対向配置する場合、図3(c)及び(d)に示されるように、噴霧装置を、加熱炉の軸を中心とする同心円上に第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置を交互に所定の間隔を空けて配置することができる。なお、第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置をそれぞれ2基以上設置する場合、略同一間隔でも、異なった間隔でも構わない。
第1の噴霧装置への原料溶液の流量は、乾燥又は熱分解の促進の観点から、1~100L/hが好ましく、3~80L/hがより好ましく、4~70L/hが更に好ましいが、目標とする生産量などに合わせて適宜選択することができる。
第2の噴霧装置は水のミストを噴霧するが、その噴霧量を調整して加熱炉内の水蒸気量を制御する。加熱炉内の水蒸気は熱媒体となるため、水蒸気量を制御することで、加熱炉内の温度ムラが生じ難くなる。また、原料溶液のミストの周囲に高温の水蒸気が存在することによって乾燥又は熱分解が促進されて乾燥度又は焼成度が増し、乾燥ムラ又は焼成ムラが生じ難くなる。その結果、粒子密度、粒子強度の低下や、誘電特性の悪化が抑制された無機酸化物粒子を製造することができる。なお、加熱炉内の水蒸気量を増やすには、第1の噴霧装置から噴霧する原料溶液のミストの噴霧量を増加することによっても達成できると考えられるが、原料溶液のミストの噴霧量を増加する場合、気体供給量を同時に増加させたうえで、原料溶液と気体供給量との比率を維持しなければならないため、ミストの噴霧速度が過度に速くなり、ミストの乾燥又は熱分解が不十分となる。
第2の噴霧装置への水の流量は、乾燥ムラ又は焼成ムラの抑制の観点から、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量が、15.5体積%以上となる量が好ましく、16.0%以上となる量が更に好ましい。他方、第2の噴霧装置からの水のミストの噴霧量が多過ぎると、加熱炉内のガス総量が過度に増加して滞留時間が短くなり、また加熱装置の能力不足で炉内温度が低下する等の問題が生ずるため、ミストの乾燥又は熱分解が不十分となる。かかる観点から、第2の噴霧装置への水の流量は、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量が、25体積%以下となる量が好ましく、20%以下となる量が更に好ましい。
加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量は、第2の噴霧装置から噴霧する水の量、第1の噴霧装置から噴霧する原料水溶液に含まれる水の量に加え、燃料の燃焼により産生される熱エネルギーを加熱源とする加熱装置を使用する場合には、当該焼成により発生する水蒸気量を考慮したうえで、加熱炉内のガス総量に占める水蒸気量を算出するものとする。以下、加熱装置として燃焼バーナーを使用した場合を例に挙げ、加熱炉内の水蒸気量の算出方法について具体的に説明する。
(1)第2の噴霧装置から噴霧する水由来の単位時間当たりの水蒸気量
第2の噴霧装置からx(L/h)で水を噴霧した場合、第2の噴霧装置から噴霧した水由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式(i)により算出することができる。
x(L/h)÷18×22.4(L/mol)=22.4x/18 (i)
〔式(i)中、18は水の分子量であり、22.4(L/mol)は標準状態の水のモル体積である。)
(2)第1の噴霧装置から噴霧する原料水溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量
原料溶液の溶媒として水を使用した場合には、第1の噴霧装置から噴霧する原料水溶液に含まれる水由来の水蒸気量を考慮する必要がある。第1の噴霧装置から噴霧する原料水溶液は、当該原料水溶液中の原料化合物濃度が通常稀薄であるため、原料水溶液中には原料水溶液と略同量の水が含まれていると見なすことができる。したがって、第1の噴霧装置からy(L/h)で原料水溶液を噴霧した場合、第1の噴霧装置から噴霧した原料水溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式(ii)により算出することができる。
y(L/h)÷18×22.4(L/mol)=22.4y/18 (ii)
〔式(ii)中の数値の定義は、式(i)と同義である。)
(3)燃料の燃焼により産生される熱エネルギーを加熱源とする加熱装置由来の単位時間当たりの水蒸気量
加熱装置として燃料がプロパンであるガスバーナーを使用した場合を例に挙げ、説明する。プロパンが完全燃焼したときには、下記の化学反応式に示されるように、1モルのプロパンから4倍モル当量の水が生成する。
38+5O2 → 3CO2 + 4H2
そうすると、ガスバーナーを単位時間当たりの焚き量z(m3N/h)で燃焼した場合、ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式(iii)により算出することができる。ここで、「焚き量(m3N/h)」とは、気体燃料(プロパン)の量である。
z(m3N/h)×4=4z (iii)
(4)加熱炉内のガス総量
加熱炉内の単位時間当たりのガス総量は、ガス流速計測定プローブによって炉内のガス流速を測定し、炉の断面積を掛け合わせることで求めることができる。
(5)加熱炉内の水蒸気量
加熱炉内の単位時間当たりのガス総量をt(m3N/h)としたときに、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量は、上記した式(i)、(ii)及び(iii)から算出された各水蒸気量を用いて、下記式(iv)により算出することができる。
(22.4x/18+22.4y/18+4z)/t×100 (iv)
なお、ガスバーナーの代わりに、熱風ヒーターや電気ヒーターを加熱装置として使用した場合、熱風ヒーターや電気ヒーターは、燃料の燃焼により水蒸気を生成するものではないから、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量は、上記式(i)及び(ii)から算出された各水蒸気量を用いて、下記式(v)により算出することができる。
(22.4x/18+22.4y/18)/t×100 (v)
第2の噴霧装置への水の流量は、原料溶液のミストの乾燥又は熱分解の促進、炉内温度の低下抑制の観点から、1~80L/hが好ましく、3~60L/hがより好ましく、4~50L/hが更に好ましいが、目標とする生産量や原料溶液の流量などに合わせて適宜選択することができる。
噴霧装置には、その外周を覆うように保護管を設置してもよい。
保護管の材質は、耐熱性であれば特に限定されないが、例えば、鉄、ステンレス、インコネル、ハステロイ、チタン等の金属、セラミックス、レンガ、不定形耐火物を挙げることができる。なお、保護管の長さは、噴霧装置の長さに応じて適宜設定可能である。
また、噴霧装置と保護管との間の空隙には、噴霧装置を冷却するための冷却用ガスを導入してもよい。冷却用ガスとしては、例えば、空気や、窒素、アルゴン等の不活性ガス等を使用することができる。中でも、経済性の観点から、空気が好ましい。
更に、噴霧装置は、耐熱性を考慮し、必要に応じて周囲を断熱材で保護しても、周囲に冷却水や冷却エア等を循環させてもよい。
以上説明したとおり、本発明の噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置は、加熱炉内に原料溶液のミストを噴霧する第1の噴霧装置とは別に、水のミストを噴霧する第2の噴霧装置を設置することで、第2の噴霧装置から噴霧された水のミストによって加熱炉内の水蒸気量が増量し、それが熱媒体となるため、加熱炉内に温度ムラが生じ難く、原料溶液のミストの乾燥ムラ又は焼成ムラを抑制することができる。その結果、粒子密度、粒子強度の低下や、誘電特性の悪化が抑制された無機酸化物粒子を製造することができる。
〔無機酸化物粒子の製造方法〕
次に、噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置を用いた、無機酸化物粒子の製造方法について説明する。
先ず、原料溶液を調製する。原料溶液は、無機酸化物を構成する元素を含む原料化合物の溶液である。なお、原料化合物を溶解又は分散する溶媒としては、水及び有機溶媒を挙げることができる。中でも、環境への影響、製造コストの点から、水が好ましい。
原料化合物としては、無機酸化物を構成する元素を含有し、水に溶解する化合物であれば特に限定されないが、例えば、無機塩、有機塩、アルコキシド等を挙げることができる。無機塩としては、例えば、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物が挙げられる。有機塩としては、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩を挙げることができる。
無機酸化物を構成する元素としては、例えば、周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第4族元素、周期表第8族元素、周期表第9族元素、周期表第10族元素、周期表第11族元素、周期表第12族元素、周期表第13族元素、周期表第14族元素及び周期表第15族元素から選択される1又は2以上の元素を挙げることができる。
周期表第1族元素としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムを挙げられ、周期表第2族元素としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを挙げることができる。周期表第4族元素としては、例えば、チタン、ジルコニウムが挙げられ、周期表第8族元素としては、例えば、鉄、ルテニウムを挙げることができる。周期表第9族元素としては、例えば、コバルト、ロジウム、イリジウムが挙げられ、周期表第10族元素としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金を挙げることができる。周期表第11族元素としては、例えば、銅、銀、金が挙げられ、周期表第12族元素としては、例えば、亜鉛、カドミウムを挙げることができる。周期表第13族元素としては、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムが挙げられ、周期表第14族元素としては、例えば、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛を挙げることができる。周期表第15族元素としては、例えば、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスが挙げられる。
中でも、本発明の効果を享受しやすい点で、周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第4族元素、周期表第8族元素、周期表第11族元素、周期表第12族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選ばれる1又は2以上の元素を含むことが好ましく、周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第12族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選ばれる1又は2以上の元素を含むことがより好ましく、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、アルミニウム及びケイ素から選ばれる1又は2以上の元素を含むことが更に好ましく、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、アルミニウム及びケイ素から選ばれる1又は2以上の元素を含むことがより更に好ましい。
好適な原料化合物の具体例としては、次のものを挙げることができる。
周期表第1族元素を含む原料化合物としては、例えば、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウム化合物、硝酸カリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム、硫酸カリウム等のカリウム化合物を挙げることができる。
周期表第2族元素を含む原料化合物としては、例えば、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、燐酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のマグネシウム化合物、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、蟻酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等のカルシウム化合物を挙げることができる。
周期表第13族元素を含む原料化合物としては、例えば、ホウ酸、メタホウ酸塩、四ホウ酸塩、ホウ酸塩を挙げることができる。メタホウ酸塩の具体例としては、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムが挙げられ、四ホウ酸塩の具体例としては、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウムを挙げることができる。ホウ酸塩の具体例としては、例えば、五ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸カリウムが挙げられる。また、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、燐酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム等のアルミニウム化合物を挙げることができる。
また、アルコキシドとして、例えば、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトラプロピル(TPOS)、テトラブトキシシラン等のケイ酸アルコキシド、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドを使用することができる。更に、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム、アルミノケイ酸カルシウム等のアルミノケイ酸塩や、アルミニウム酸化物を溶媒に分散した溶液、アルミニウム酸化物のゾル溶液を使用することもできる。
原料溶液中の原料化合物の合計濃度は、得られる無機酸化物粒子の粒子物性向上の観点から、0.01~1.0mol/Lが好ましく、0.1~0.9mol/Lが更に好ましい。なお、原料溶液中の原料化合物の各濃度は、予め設定した無機酸化物粒子に基づいて化学量論組成を満たす量であればよい。
次に、加熱炉内に、第1の噴霧装置から原料溶液のミストを噴霧するとともに、第2の噴霧装置から水のミストを噴霧し、原料溶液及び水のミストを加熱して原料溶液のミストを乾燥又は熱分解する。これにより、無機酸化物粒子が生成する。なお、原料溶液及び水の噴霧条件、加熱温度等の製造条件は、上記において説明したとおりである。また、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量を上記範囲内に制御することが好ましい。
次に、生成した無機酸化物粒子を、例えば、加熱炉下流から誘引ファンによって回収装置に移動させ回収する。回収装置としては、例えば、サイクロン粉体回収機、バグフィルターを挙げることができる。また、無機酸化物粒子の回収にあたっては、フィルターを通過させることにより、粒子径を調整してもよい。さらに、回収装置の下流側に、必要に応じて、スクラバー等の除塵、浄化設備を配置してもよい。
無機酸化物粒子を構成する無機化合物の具体例としては、例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ケイ素、アルミノシリケート、アルミノホウケイ酸、バリウムホウケイ酸を挙げることができる。また、無機酸化物を組み合わせた複合酸化物でも構わない。
好適な無機酸化物粒子の組成としては、次の態様を挙げることができる。
(1)周期表第1族元素酸化物、周期表第2族元素酸化物、周期表第13族元素酸化物及び周期表第14族元素酸化物から選ばれる1又は2以上を含む無機酸化物粒子。
(2)周期表第2族元素酸化物、周期表第13族元素酸化物及び周期表第14族元素酸化物から選ばれる1又は2以上を含む無機酸化物粒子。
(3)10質量%以下の周期表第1族元素酸化物と、25質量%以下の周期表第2族元素酸化物と、65質量%以下の周期表第13族元素酸化物と、25質量%以上の周期表第14族元素酸化物を含む無機酸化物により構成されている無機酸化物粒子。
(4)25質量%以下の周期表第2族元素酸化物と、65質量%以下の周期表第13族元素酸化物と、25質量%以上の周期表第14族元素酸化物を含む無機酸化物により構成されている無機酸化物粒子。
(3)の態様において、周期表第1族元素酸化物の含有量は、好ましくは5質量%以下であり、0質量%であっても構わない。
(3)及び(4)の態様において、周期表第2族元素酸化物の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下が更に好ましく、そして3質量%以上が好ましく、5質量%以上が好ましい。周期表第13族元素酸化物の含有量は、60質量%以下が好ましく、55質量%以下が更に好ましく、そして10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい、周期表第14族元素酸化物の含有量は、30質量%以上が好ましく、35質量%以上が更に好ましく、そして60質量%以下が好ましく、55質量%以下が更に好ましい。
本発明の方法により製造される無機酸化物粒子は、中実粒子、多孔質粒子、中空粒子のいずれでも、これら2以上の混合物でも構わない。ここで、本明細書において「中実粒子」とは、内部に空洞を有さない構造の粒子をいい、例えば、単一の層からなる粒子、及び、コア(内核とも言われる)とシェル層(外殻とも言われる)を有する粒子を挙げることができる。また、「中空粒子」とは、内部に空洞(中空部)を有する構造のものであり、外殻に包囲された空洞を有する粒子をいう。空洞の数は、単数でも複数でもよい。更に、「多孔質粒子」とは、粒子表面から内部まで連結した貫通孔を多数有する粒子をいう。貫通孔の大きさや形状は、特に限定されない。また、粒子内部に閉気孔を有していてもよい。
また、無機酸化物中空粒子を製造する場合、熱分解後の無機酸化物粒子の表面を溶融してもよい。これにより、無機酸化物中空粒子の表面に存在する孔が閉塞され、粒子外殻に孔がなく、粒子強度の高い無機酸化物中空粒子が得られる。無機酸化物粒子の表面を溶融させるには、例えば、加熱炉の温度を無機酸化物粒子の溶融温度以上に制御すればよい。
以上説明したとおり、本発明の噴霧熱分解装置又は噴霧乾燥装置を用いて、第1の噴霧装置から原料溶液のミストを噴霧するとともに、第2の噴霧装置から水のミストを噴霧することで、加熱炉内の水蒸気量が増量し、それが熱媒体となるため、加熱炉内の温度ムラを生じ難くなるだけでなく、原料溶液のミストの乾燥又は熱分解を促進して乾燥ムラ又は焼成ムラを抑制することできる。その結果、粒子密度、粒子強度の低下や、誘電特性の悪化が抑制された無機酸化物粒子を製造することができる。
なお、製造された無機酸化物粒子は、以下の特性を具備することができる。
無機酸化物粒子の平均粒子径は、0.5~50μmが好ましく、1~20μmがより好ましく、2~10μmが更に好ましい。ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、JIS R 1629に準拠して試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の50%に相当する粒子径(d50)を意味する。なお、粒子径分布測定装置として、例えば、マイクロトラック(日機装株式会社製)を使用することができる。
無機酸化物粒子の粒子密度は、通常1.00g/cm3以下であるが、良好な誘電特性を得られる観点から、0.90g/cm3以下が好ましく、0.80g/cm3以下がより好ましく、0.70g/cm3以下が更に好ましく、そして粒子強度の観点から0.20g/cm3以上が好ましく、0.30g/cm3以上がより好ましく、0.40g/cm3以上が更に好ましい。本明細書において「粒子密度」とは、JIS R 1620に準拠して気体置換法により測定した値をいう。粒子密度測定装置として、例えば、乾式自動密度計「アキュピック(島津製作所製)」を使用することができる。
無機酸化物粒子の粒子強度は、十分な強度を確保する観点から、7.0MPa以上が好ましく、7.3MPa以上がより好ましく、7.5MPa以上が更に好ましい。ここで、本明細書において「粒子強度」とは、加圧成型プレス機で無機酸化物中空粒子に印加した際の中空構造残存率が50%時の粒子強度である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
無機酸化物粒子は、誘電特性の向上の観点から、比誘電率が1.95以下であることが好ましく、1.9以下がより好ましく、1.87以下が更に好ましい。
また、無機酸化物粒子は、誘電特性の向上の観点から、誘電正接が0.003未満であることが好ましく、0.0028以下が好ましく、0.0025以下が更に好ましい。
ここで、本明細書において「比誘電率」及び「誘電正接」とは、1GHzにおける比誘電率及び誘電正接をいい、温度25℃、湿度60%の環境下、1GHzにおいて測定するものとする。なお、比誘電率は、例えば、摂動方式空洞共振器(KEYCOM社製)を用いて測定することができる。
本発明の無機酸化物粒子は、上記した特性を具備するため、断熱材料、遮熱材料、触媒担体、建築材料、電子材料等に適用することができるが、比誘電率及び誘電正接が低いことから、電子材料、とりわけ配線回路基板、半導体封止材等に有用である。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
1.粒子密度
乾式自動密度計(アキュピック1340、島津製作所製)を用いて、定容積膨張法により測定した。即ち、セル内にサンプルを投入した後、これに不活性ガスを充填してサンプルの体積を測定し、この体積と予め測定しておいたサンプル質量より粒子密度を求めた。
2.粒子強度
粒子強度は、次の粉体加圧法により測定した。
(1)中空粒子とエタノールとを質量比4:1で混合し、試料を調製した。
(2)試料を圧力成形器に入れ、油圧プレス機で所定の圧力(10MPa、20MPa、30MPa)を印加した。
(3)所定の圧力を印加した状態で1分間静置した。
(4)圧力成形器から試料を取り出し、80℃で2時間乾燥した。
(5)乾式自動密度計「アキュピック(島津製作所製)」を用い、加圧後の中空粒子の密度を測定した。
そして、加圧前後の中空粒子の密度から、下記式により、所定圧力ごとの残存率を算出し、残存率と印加圧力のグラフより、50%残存時の圧力を読み取った。なお、密度の測定には、上記した密度測定機を使用し、中空殻の真密度は、空隙部分を取り除くために、箱型電気炉にて融点以上で6時間加熱、冷却した後に測定した。
残存率P[%]=(1-ρ/y)/ρ×(1/x-1/y)×100
〔式中、ρは、加圧後の密度を示し、yは、中空殻の真密度を示し、xは、加圧前の密度を示す。〕
3.比誘電率及び誘電正接の測定
摂動方式空洞共振器(KEYCOM社製)を用い、温度25℃、湿度60%の環境下、1GHzにおいて測定した。
4.化学組成の分析
無機酸化物中空粒子をプレス機で成型してブリケットを作製し、そのブリケットを蛍光X線分析装置(ZSXprimusII、リガク社製)にて酸化物換算で測定し、分析対象である元素の酸化物(SiO2、Al23、CaO、MgO、B23)の合計値が100%となるよう、下記式により補正することで、各々の化学成分を算出した。
化学組成(補正後)(%)=化学組成(補正前)×100/(100-不純物(%))
〔式中、不純物(%)は、100から上述した酸化物の化学組成の合計値を差し引いたものである。〕
原料溶液の調製
イオン交換水100リットルに、ホウ酸を0.48mol/L、硝酸カルシウムを0.05mol/L、硝酸マグネシウムを0.003mol/L、硝酸アルミニウムを0.1mol/L、オルトケイ酸テトラエチルを0.2mol/Lとなるように溶解し、原料溶液を調製した。
実施例1
加熱炉の下方に、図2(b)に示されるように、第1の噴霧装置と第2の噴霧装置を所定の距離を空けて対向配置し、加熱炉の外周下端に加熱装置として燃料がプロパンであるガスバーナー1基を設置した噴霧熱分解装置を用いて、次の方法により無機酸化物中空粒子を製造した。なお、加熱炉として、内径φ670mmの堅型円筒状のものを用い、加熱炉の外周端部であって、第1の噴霧装置の吐出口から離れた位置に、燃焼バーナーの中心軸を加熱炉の中心軸とずらして設置した。また、第1の噴霧装置及び第2の噴霧装置として同一機種の3流体ノズルを用い、第1の噴霧装置と第2の噴霧装置との距離を250mmとし、炉内径に対する噴霧装置間の距離の比率を37%として設置した。
第1の噴霧装置から原料溶液を噴霧し、第2の噴霧装置から水を噴霧し、加熱炉内で原料溶液及び水のミストを加熱し、バグフィルターを用いて無機酸化物中空粒子を回収した。なお、製造条件を表1に示す。
(加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量の算出)
(1)第2の噴霧装置から噴霧した水由来の単位時間当たりの水蒸気量
第2の噴霧装置への単位時間当たりの水の流量は、表1に示されるように、10L/hであるから、第2の噴霧装置から噴霧した水由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式より、12.4m3N/hと算出された。
10L/h÷18×22.4L/mol≒12.4 m3N/h
(2)第1の噴霧装置から噴霧した原料水溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量
第1の噴霧装置への原料溶液の単位時間当たりの流量は、表1に示されるように、10L/hであるから、第2の噴霧装置から噴霧した原料溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、12.4m3N/hと算出された。
10L/h÷18×22.4L/mol≒12.4 m3N/h
(3)ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量
ガスバーナーの単位時間当たりの焚き量は、表1に示されるように、11.0m3N/hであるから、ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、44.0m3N/hと算出された。
11.0m3N/h×4=44.0m3N/h
(4)加熱炉内のガス総量
ガス流速計測定プローブによって炉内のガス流速を測定し、炉の断面積を掛け合わせることで求めた、加熱炉内の単位時間当たりのガス総量は、表1に示されるように、421m3N/hであるから、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式より、16.3体積%と算出された。
(12.4+12.4+44.0)/421×100=16.3体積%
実施例2
第2の噴霧装置から噴霧した単位時間当たりの水の量、ガスバーナーの単位時間当たりの焚き量及び加熱炉内の単位時間当たりのガス総量を表1に示す条件に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、無機酸化物中空粒子を製造した。なお、製造条件を表1に示す。
(加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量の算出)
(1)第2の噴霧装置から噴霧した水由来の単位時間当たりの水蒸気量
第2の噴霧装置への単位時間当たりの水の流量は、表1に示されるように、20L/hであるから、第2の噴霧装置から噴霧した水由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式より、24.9m3N/hと算出された。
20L/h÷18×22.4L/mol≒24.9 m3N/h
(2)第1の噴霧装置から噴霧した原料水溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量
第1の噴霧装置への原料溶液の単位時間当たりの流量は、表1に示されるように、10L/hであるから、第2の噴霧装置から噴霧した原料溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、12.4m3N/hと算出された。
10L/h÷18×22.4L/mol≒12.4 m3N/h
(3)ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量
ガスバーナーの単位時間当たりの焚き量は、表1に示されるように、14.0m3N/hであるから、ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、56.0m3N/hと算出された。
14.0m3N/h×4=56.0m3N/h
(4)加熱炉内のガス総量
ガス流速計測定プローブによって炉内のガス流速を測定し、炉の断面積を掛け合わせることで求めた、加熱炉内の単位時間当たりのガス総量は、表1に示されるように、525m3N/hであるから、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式より、17.8体積%と算出された。
(24.9+12.4+56.0)/525×100=17.8体積%
実施例3
第2の噴霧装置から噴霧した単位時間当たりの水の量、ガスバーナーの単位時間当たりの焚き量及び加熱炉内の単位時間当たりのガス総量を表1に示す条件に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、無機酸化物中空粒子を製造した。なお、製造条件を表1に示す。
(加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量の算出)
(1)第2の噴霧装置から噴霧した水由来の単位時間当たりの水蒸気量
第2の噴霧装置への単位時間当たりの水の流量は、表1に示されるように、30L/hであるから、第2の噴霧装置から噴霧した水由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式より、37.3m3N/hと算出された。
30L/h÷18×22.4L/mol≒37.3 m3N/h
(2)第1の噴霧装置から噴霧した原料水溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量
第1の噴霧装置への原料溶液の単位時間当たりの流量は、表1に示されるように、10L/hであるから、第2の噴霧装置から噴霧した原料溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、12.4m3N/hと算出された。
10L/h÷18×22.4L/mol≒12.4 m3N/h
(3)ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量
ガスバーナーの単位時間当たりの焚き量は、表1に示されるように、17.0m3N/hであるから、ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、68.0m3N/hと算出された。
17.0m3N/h×4=68.0m3N/h
(4)加熱炉内のガス総量
ガス流速計測定プローブによって炉内のガス流速を測定し、炉の断面積を掛け合わせることで求めた、加熱炉内の単位時間当たりのガス総量は、表1に示されるように、629m3N/hであるから、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式より、18.7体積%と算出された。
(37.3+12.4+68.0)/629×100=18.7体積%
比較例1
加熱炉内に第2の噴霧装置を設置せず、ガスバーナーの単位時間当たりの焚き量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により、無機酸化物中空粒子を製造した。なお、製造条件を表1に示す。
(加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量の算出)
(1)第1の噴霧装置から噴霧した原料水溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量
第1の噴霧装置への原料溶液の単位時間当たりの流量は、表1に示されるように、10L/hであるから、第2の噴霧装置から噴霧した原料溶液由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、12.4m3N/hと算出された。
10L/h÷18×22.4L/mol≒12.4 m3N/h
(2)ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量
ガスバーナーの単位時間当たりの焚き量は、表1に示されるように、9.0m3N/hであるから、ガスバーナー由来の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式により、36.0m3N/hと算出された。
9.0m3N/h×4=36.0m3N/h
(3)加熱炉内のガス総量
ガス流速計測定プローブによって炉内のガス流速を測定し、炉の断面積を掛け合わせることで求めた、加熱炉内の単位時間当たりのガス総量は、表1に示されるように、325m3N/hであるから、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量は、下記式より、14.9体積%と算出された。
(12.4+36.0)/325×100=14.9体積%
Figure 2024064769000002
比較例1及び実施例1~3で得られた無機酸化物中空粒子について、化学組成を分析し、粒子密度、粒子強度、比誘電率及び誘電正接を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2024064769000003
比較例1は、第2の噴霧装置から水のミストを噴霧しなかった例であるが、原料溶液のミストが受ける熱量がばらつき、ミストの焼成ムラを生じたため、得られた無機酸化物中空粒子は、粒子密度及び粒子強度が低下し、誘電特性が悪化した。
これに対し、実施例1~3は、第2の噴霧装置から水のミストを噴霧した例であるが、第2の噴霧装置から噴霧された水のミストによって加熱炉内の水蒸気量が増量し、それが熱媒体となったため、加熱炉内に温度ムラが生じ難くなるだけでなく、原料溶液のミストの乾燥又は熱分解が促進され乾燥ムラ又は焼成ムラが抑制されたため、得られた無機酸化物中空粒子は、粒子密度、粒子強度、誘電特性等の物性に優れていた。
また、加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量が高くなるにつれ、無機酸化物中空粒子の物性が良化することがわかる。
1 加熱炉
2 加熱装置
3 原料溶液のミスト
4 第1の噴霧装置
5 水のミスト
6 第2の噴霧装置
10 噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置

Claims (4)

  1. 原料溶液のミストを乾燥又は熱分解する加熱炉と、
    加熱炉の外周面に配置され、加熱炉内を加熱する加熱装置と
    加熱炉の端部に配置され、原料溶液のミストを加熱炉内に噴霧する第1の噴霧装置
    を備え、
    水のミストを噴霧する第2の噴霧装置が、第1の噴霧装置に隣接して対向配置されているか、又は第1の噴霧装置に対して所定の間隔を空けて対向配置されている、
    噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置。
  2. 請求項1記載の噴霧乾燥装置又は噴霧熱分解装置を用いる無機酸化物粒子の製造方法であって、
    加熱炉内に、第1の噴霧装置から原料溶液のミストを噴霧するとともに、第2の噴霧装置から水のミストを噴霧して原料溶液及び水のミストを加熱し、原料溶液のミストを乾燥又は熱分解する工程を含む、無機酸化物粒子の製造方法。
  3. 加熱炉内の単位時間当たりの水蒸気量が15.5体積%以上となるように第2の噴霧装置から水のミストを噴霧する、請求項2記載の無機酸化物粒子の製造方法。
  4. 無機酸化物粒子が無機酸化物中空粒子である、請求項2又は3記載の無機酸化物粒子の製造方法。
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