JP2021084919A - 蓄熱材組成物及び建築物の冷暖房用の蓄熱システム - Google Patents
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Abstract
Description
[数1]
X+Y+Z=100 (1)
[数2]
X+0.714Y−90.857≧0 (2)
[数3]
X+Y−99.000≦0 (3)
[数4]
4≦Y≦10 (4)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、主剤を含む。主剤は、塩化カルシウム6水和物、臭化アンモニウム、及び塩化カリウムからなる。
塩化カルシウム6水和物(CaCl2・6H2O)としては、公知のものを用いることができる。
臭化アンモニウム(NH4Br)としては、公知のものを用いることができる。
塩化カリウム(KCl)としては、公知のものを用いることができる。
蓄熱材組成物では、主剤におけるX、Y、及びZが下記式(1)〜(4)を満たすことが好ましい。ここで、X、Y、及びZは、主剤中の塩化カルシウム6水和物の含有量をX質量%、臭化アンモニウムの含有量をY質量%、及び前記塩化カリウムの含有量をZ質量%と規定したものである。
X+Y+Z=100 (1)
[数6]
X+0.714Y−90.857≧0 (2)
[数7]
X+Y−99.000≦0 (3)
[数8]
4≦Y≦10 (4)
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の融点降下剤をさらに含むと、主剤の融点が降下するため好ましい。融点降下剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤が用いられる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の過冷却抑制剤をさらに含むと、主剤の過冷却が抑制されるため好ましい。過冷却抑制剤としては、例えば、水酸化ストロンチウム八水和物、水酸化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、塩化ストロンチウム六水和物、オクタデカン、デカン酸、ビスコースレーヨン、ブロモオクタデカン、リン酸モノドデシルナトリウム、アルミナ、プロパノール、2−プロパノール、1−プロパノール、リン酸ドデシルNa、ホウ砂Na2B4O5(OH)4・8H2O、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム、二酸化チタン、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤が用いられる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、特定の相分離抑制剤をさらに含むと、主剤の相分離が抑制されるため好ましい。相分離抑制剤としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、アクリルアミド・アクリル酸・DMAEA−MeClの共重合物、ポリアクリル酸エステル系、ポリアクリルアミド、ポリ塩化アルミニム、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及びこれらの物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の相分離抑制剤が用いられる。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、5℃幅下限温度T5Lが15℃以上20℃以下の範囲内にありかつ建築物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適な温度範囲で蓄熱性能を発現する。このため、本実施形態に係る蓄熱材組成物は、建築物の冷暖房用の蓄熱システムの潜熱蓄熱材組成物として好適である。
本実施形態に係る蓄熱材組成物によれば、5℃幅下限温度T5Lが15℃以上20℃以下の範囲内にありかつ5℃幅融解潜熱H5が140J/g以上である蓄熱材組成物が得られる。
本実施形態に係る建築物の冷暖房用の蓄熱システムは、上記本実施形態に係る蓄熱材組成物を用いた蓄熱材モジュールを具備する。
蓄熱材モジュールとしては、例えば、前記蓄熱材組成物を十分な密封性を有する容器に充填させた蓄熱材パックからなり、この蓄熱材パックを単数ないしは複数積層させるとともに、適切な流路を設け、モジュール化したものが用いられる。蓄熱材パックに用いる容器としては、例えば、アルミシートに樹脂製シートを積層して形成されたアルミパックシートを熱溶着することで形成されたアルミパック等が挙げられる。蓄熱材モジュールは、建築物中の空間を区切る床面、壁面、天井面の少なくとも一部に設置される。
本実施形態に係る蓄熱システムによれば、モジュール表面とこのモジュール表面を通気した雰囲気との熱交換、日射による日射熱、夜間電力を利用した空調システム等によって蓄熱(蓄冷)されるため、冷暖房のためのエネルギー負荷を低減することができる。
(蓄熱材組成物の作製)
塩化カルシウム6水和物(キシダ化学株式会社製、特級)と、臭化アンモニウム(キシダ化学株式会社製、特級)と、塩化カリウム(キシダ化学株式会社製、特級)とを用意した。
20mlのガラス製サンプル瓶に、塩化カルシウム6水和物と、臭化アンモニウムと、塩化カリウムを、合計約5gになるように所定量混合した。塩化カルシウム6水和物、臭化アンモニウム、及び塩化カリウムの量は、得られる蓄熱材組成物の組成が表1に示す組成になるような量で配合した。 得られた混合物を50℃以上で湯煎したところ、蓄熱材組成物が得られた(試料No.A1)。
また、蓄熱材組成物の調製時の沈殿の生成の有無を調べた。蓄熱材組成物の調製時に沈殿が生成することは、凝固・融解を繰り返したときの蓄熱材組成物の特性安定性が低いことを示す指標である。試料No.A1の蓄熱材組成物では、沈殿は生成しなかった。結果を表1に示す。
蓄熱材組成物から約10mg試料を採取し、DSC(示差走査熱量計)としてメトラートレド株式会社製DSC3+を用いて、蓄熱材組成物の全体融解潜熱HT、5℃幅融解潜熱H5、5℃幅下限温度T5Lを測定した。全体融解潜熱HTは、示差走査熱量計(DSC)にて測定されるヒートフローを時間で積分した場合のピーク面積から算出した。5℃幅融解潜熱H5は、示差走査熱量計(DSC)にて測定されるヒートフローをある瞬間(時間t1,温度T1)から温度T1+5℃となった瞬間(時間t1,温度T1+5)まで時間積分し、その最大値として導出した。また、5℃幅下限温度T5Lは、5℃幅融解潜熱H5の算出の際の下限温度(温度T1)として導出した。これらの結果を表1に示す。
得られる蓄熱材組成物が表1又は表2に示す組成になるように、塩化カルシウム6水和物、臭化アンモニウム、及び塩化カリウムの配合量を変えた以外は、実施例1と同様にして、蓄熱材組成物を得た(試料No.A2〜A50)。
図3は、主剤における、塩化カルシウム6水和物、臭化アンモニウム、及び塩化カリウムの含有量の好適な範囲を示す三元系組成図である。図4は、図3の一部を拡大して示す図である。
図3及び図4において、式(1)〜(4)を満たし、5℃幅下限温度T5Lが15℃以上20℃以下の範囲内にありかつ5℃幅融解潜熱H5が140J/g以上である蓄熱材組成物のプロットを記号○で示す。記号○は、特性が良好である蓄熱材組成物を示す。
X+Y+Z=100 (1)
[数10]
X+0.714Y−90.857≧0 (2)
[数11]
X+Y−99.000≦0 (3)
[数12]
4≦Y≦10 (4)
(ア)主剤100質量%中に、塩化カルシウム6水和物が85.0〜93.0質量%含まれる。
(イ)主剤100質量%中に、臭化アンモニウムが4.0〜10.0質量%含まれる。
(ウ)主剤100質量%中に、塩化カリウムが1.0〜8.0質量%含まれる。
T5H 5℃幅上限温度
HT 全体融解潜熱
H5 5℃幅融解潜熱
Claims (6)
- 塩化カルシウム6水和物、臭化アンモニウム、及び塩化カリウムからなる主剤を含み、
前記主剤100質量%中の、前記塩化カルシウム6水和物の含有量をX質量%、前記臭化アンモニウムの含有量をY質量%、前記塩化カリウムの含有量をZ質量%と規定したとき、X、Y、及びZが下記式(1)〜(4)を満たす蓄熱材組成物。
[数1]
X+Y+Z=100 (1)
[数2]
X+0.714Y−90.857≧0 (2)
[数3]
X+Y−99.000≦0 (3)
[数4]
4≦Y≦10 (4) - 前記主剤100質量%中に、
前記塩化カルシウム6水和物が85.0〜93.0質量%、
前記臭化アンモニウムが4.0〜10.0質量%、及び
前記塩化カリウムが1.0〜8.0質量%含まれる請求項1に記載の蓄熱材組成物。 - 塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、及び尿素からなる群より選択される少なくとも1種の融点降下剤をさらに含む請求項1又は2に記載の蓄熱材組成物。
- 水酸化ストロンチウム八水和物、水酸化ストロンチウム、塩化ストロンチウム、塩化ストロンチウム六水和物、オクタデカン、デカン酸、ビスコースレーヨン、ブロモオクタデカン、リン酸モノドデシルナトリウム、アルミナ、プロパノール、2−プロパノール、1−プロパノール、リン酸ドデシルNa、ホウ砂Na2B4O5(OH)4・8H2O、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、アルミニウム、二酸化チタン、ヘクトライト、スメクタイトクレイ、ベントナイト、ラポナイト、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキルリン酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種の過冷却抑制剤をさらに含む請求項1から3のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
- ケイ酸ナトリウム、水ガラス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、アクリルアミド・アクリル酸・DMAEA−MeClの共重合物、ポリアクリル酸エステル系、ポリアクリルアミド、ポリ塩化アルミニム、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄、ポリカルボキシレートポリエーテルポリマー、アクリル酸・マイレン酸共重合体ナトリウム、アクリル酸・スルホン酸系モノマー共重合体ナトリウム、アクリルアミド・ジメチルアミノエチルメタクリラートジメチル硫酸塩共重合物、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、高吸水樹脂(SAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの誘導体、カラギーナン、カラギーナンの誘導体、キサンタンガム、キサンタンガムの誘導体、ペクチン、ペクチンの誘導体、デンプン、デンプンの誘導体、コンニャク、寒天、層状ケイ酸塩、及びこれらの物質の複合物質からなる群より選択される少なくとも1種の相分離抑制剤をさらに含む請求項1から4のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物を用いた蓄熱材モジュールを具備する、建築物の冷暖房用の蓄熱システム。
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