JP2021081394A - センサ素子及びガスセンサ - Google Patents

センサ素子及びガスセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2021081394A
JP2021081394A JP2019211703A JP2019211703A JP2021081394A JP 2021081394 A JP2021081394 A JP 2021081394A JP 2019211703 A JP2019211703 A JP 2019211703A JP 2019211703 A JP2019211703 A JP 2019211703A JP 2021081394 A JP2021081394 A JP 2021081394A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective layer
gas
internal space
measured
sensor element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019211703A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7333248B2 (ja
Inventor
智毅 長江
Tomotake Nagae
智毅 長江
好正 近藤
Yoshimasa Kondo
好正 近藤
裕佑 小木曽
Yusuke Ogiso
裕佑 小木曽
克尚 上西
Katsuhisa Uenishi
克尚 上西
渡辺 篤
Atsushi Watanabe
篤 渡辺
文人 小泉
Fumito Koizumi
文人 小泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2019211703A priority Critical patent/JP7333248B2/ja
Priority to DE112019006924.1T priority patent/DE112019006924T5/de
Priority to PCT/JP2019/050677 priority patent/WO2020174860A1/ja
Priority to CN201980090924.6A priority patent/CN113439208B/zh
Publication of JP2021081394A publication Critical patent/JP2021081394A/ja
Priority to US17/411,081 priority patent/US11921078B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP7333248B2 publication Critical patent/JP7333248B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

【課題】センサ素子が検出する特定ガス濃度のばらつきを抑制する。【解決手段】センサ素子は、被測定ガス流通部9の内周面上に配設された測定電極44と、特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスに晒される基準電極42と、を備えている。センサ素子は、素子本体102の表面のうち被測定ガス流通部9の入口であるガス導入口10とそのガス導入口10が開口している第5面102eの少なくとも一部とを覆う導入口保護層(第5保護層84e)を備えている。そして、第5保護層84eが有する第5内部空間90eの第5内周面94e(第5外側内周面95e)の算術平均粗さRapが、8μm以上であるか又は保護層84のうち素子本体102との接着面97の算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たしている。【選択図】図3

Description

本発明は、センサ素子及びガスセンサに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガスの濃度を検出するセンサ素子を備えたガスセンサが知られている。こうしたガスセンサにおいて、センサ素子の表面を被覆する保護層を備え、さらに保護層が空間を有するものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、素子本体の表面が露出した露出空間を保護層が有している。この露出空間は、保護層の表面に水が付着した場合の素子本体の冷えを抑制して、素子本体の耐被水性を向上させることができる。
特開2016−188853号公報
ところで、センサ素子が被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する際に、特定ガス濃度が実際には変動していなくても、検出する特定ガス濃度にばらつきが生じる場合があった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、センサ素子が検出する特定ガス濃度のばらつきを抑制することを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のセンサ素子は、
被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子であって、
酸素イオン伝導性の固体電解質体を有し、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
前記被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、
前記素子本体に配設され、前記特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスに晒される基準電極と、
前記素子本体の表面の一部を覆う多孔質の保護層と、
を備え、
前記保護層は、前記素子本体の表面のうち前記被測定ガス流通部の入口であるガス導入口と該ガス導入口が開口している面の少なくとも一部とを覆う導入口保護層を有し、
前記導入口保護層は、内部空間を有し、
前記導入口保護層の内部空間の内周面の算術平均粗さRapが、8μm以上であるか又は前記保護層のうち前記素子本体との接着面の算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たす、
ものである。
このセンサ素子は、被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスに晒される基準電極と、を備えている。このセンサ素子では、測定電極と基準電極との間の電圧に基づいて、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出することができる。また、このセンサ素子は、素子本体の表面のうち被測定ガス流通部の入口であるガス導入口とそのガス導入口が開口している面の少なくとも一部とを覆う導入口保護層を備えている。そして、導入口保護層が有する内部空間の内周面の算術平均粗さRapが、8μm以上であるか又は前記保護層のうち前記素子本体との接着面の算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たす。すなわち、導入保護層の内部空間の内周面の算術平均粗さRapが比較的大きくなっており、内周面の凹凸が比較的大きくなっている。これにより、被測定ガスが保護層の外側から導入口保護層の内部空間を通過してガス導入口に到達する際に、内部空間の内周面の凹凸によって内部空間内の被測定ガスに乱流が生じ、乱流によって被測定ガスが攪拌されて、被測定ガス中の特定ガス濃度が均一化される。したがって、被測定ガス流通部内に導入される被測定ガス中の特定ガス濃度のばらつきが抑制されるため、特定ガス濃度のばらつきに起因する測定電極と基準電極との間の電圧の変動が抑制される。これにより、センサ素子が検出する特定ガス濃度のばらつきを抑制できる。
この場合において、算術平均粗さRapは100μm以下であってもよい。算術平均粗さRapが100μmより大きいと導入口保護層が有する内部空間の内周面の凹凸によって被測定ガスが流れにくくなり、ガス導入口に被測定ガスが到達しにくくなってセンサ素子の応答性が低下する場合がある。算術平均粗さRapが100μm以下では、そのような応答性の低下を抑制できる。前記ガス導入口は、前記導入口保護層の内部空間に開口していてもよい。前記導入口保護層の内部空間は、前記素子本体の表面が露出している露出空間であってもよい。前記素子本体は、長手方向を有する長尺な形状であってもよい。前記素子本体は、長尺な直方体形状であってもよい。
本発明のセンサ素子において、前記算術平均粗さRapは、10μm以上であってもよい。算術平均粗さRapが10μm以上では、センサ素子が検出する特定ガス濃度のばらつきを抑制する効果がより高まる。算術平均粗さRapは、20μm以上としてもよいし、30μm以上としてもよい。
本発明のセンサ素子において、前記算術平均粗さRacは、0.1μm以上1.0μm以下であってもよい。算術平均粗さRacが0.1μm以上では、素子本体と保護層との密着強度が確保できる。算術平均粗さRacが1.0μm以下では、保護層の強度を確保できる。
本発明のセンサ素子において、前記素子本体の表面は、前記ガス導入口が開口している面と、該面の辺で該面に接する1以上の隣接面と、を有しており、前記保護層は、前記1以上の隣接面の少なくとも一部を覆う隣接面保護層を有しており、前記隣接面保護層は、前記導入口保護層の内部空間と直接的に連通し、且つ、内周面の算術平均粗さRasが8μm以上であるか又は前記算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たす内部空間を有していてもよい。こうすれば、隣接面保護層が存在することによって素子本体の耐被水性を向上させることができる。しかも、隣接面保護層は内部空間を有するため、隣接面保護層の外側から素子本体へ向かう隣接面保護層の厚さ方向の熱伝導を、この内部空間によって抑制でき、素子本体の耐被水性がより向上する。また、隣接面保護層の内部空間と導入口保護層の内部空間とが直接的に連通していることで、隣接面保護層の内部空間が比較的広くなっており、素子本体の耐被水性がさらに向上する。さらに、隣接面保護層の内部空間の内周面の算術平均粗さRasが、8μm以上であるか又は算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たしている。すなわち、隣接面保護層は、内周面の算術平均粗さRasが比較的大きい内部空間を有している。これにより、隣接面保護層の内部空間の凹凸によって内部空間内の被測定ガスに乱流が生じ、導入口保護層の内部空間から隣接面保護層の内部空間に被測定ガスが流入しにくくなる。したがって、隣接面保護層の内部空間内の被測定ガスがガス導入口から被測定ガス流通部に流入しやすくなり、センサ素子の応答性が向上する。すなわち、隣接面保護層の内部空間と導入口保護層の内部空間とが直接的に連通していることで素子本体の耐被水性を向上させつつ、算術平均粗さRasを比較的大きくすることで両空間が直接的に連通していることによる応答性の低下を抑制できる。ここで、「直接的に連通する」は、保護層中の気孔を介さずに連通することを意味する。
本発明のセンサ素子において、前記素子本体は、長手方向を有する長尺な形状をしており、前記ガス導入口が開口している面は、前記長手方向の端面であってもよい。
この場合において、前記素子本体は、前記長手方向に垂直な積層方向に前記固体電解質体を複数積層した積層体であり、前記素子本体の表面は、前記端面と、該端面の辺で該端面に接する複数の隣接面と、を有しており、前記保護層は、前記複数の隣接面を覆う隣接面保護層を有しており、前記隣接面保護層は、前記隣接面のうち前記積層方向の両端に位置する上面及び下面を覆う部分に、それぞれ、内部空間と、該内部空間よりも外側に位置する外側保護層と、該内部空間よりも内側に位置し前記素子本体の表面に接着している内側保護層と、を有していてもよい。こうすれば、上面及び下面に接する内側保護層が存在することで、素子本体(正確には素子本体及び内側保護層)の熱容量が大きくなる。したがって、外部から素子本体側に熱衝撃が到達したとしても、素子本体の急激な温度変化が抑制される。その結果、素子本体の耐被水性が向上する。
本発明のガスセンサは、上述したいずれかの態様のセンサ素子を備えたものである。そのため、このガスセンサは、上述した本発明のセンサ素子と同様の効果、例えばセンサ素子が検出する特定ガス濃度のばらつきを抑制できる効果が得られる。
センサ素子101の斜視図。 ガスセンサ100の構成を概略的に示した断面図。 図2の被測定ガス流通部9の周辺の拡大図。 図1のB−B断面図。 変形例の保護層184の断面図。 変形例の保護層284の断面図。 変形例の保護層284の断面図。 実験例1〜7の算術平均粗さRapとセンサ素子101の検出値のばらつき割合との関係を示すグラフ。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ100が備えるセンサ素子101の斜視図である。図2は、ガスセンサ100の構成を概略的に示した断面図である。図2中のセンサ素子101の断面部分は、図1のA−A断面である。図3は、図2の被測定ガス流通部9の周辺の拡大図である。図4は、図1のB−B断面図である。図4では、素子本体102の断面内部のうち被測定ガス流通部9以外の図示を省略している。センサ素子101は長尺な直方体形状をしており、このセンサ素子101の長手方向(図2の左右方向)を前後方向とし、センサ素子101の厚み方向(図2の上下方向)を上下方向とする。また、センサ素子101の幅方向(前後方向及び上下方向に垂直な方向)を左右方向とする。
ガスセンサ100は、例えば車両の排ガス管などの配管に取り付けられて、被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO2等の特定ガスの濃度を測定するために用いられる。本実施形態では、ガスセンサ100は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。ガスセンサ100は、センサ素子101を備えている。センサ素子101は、素子本体102と、素子本体102を被覆する多孔質の保護層84と、を備えている。なお、素子本体102は、センサ素子101のうち保護層84以外の部分を指す。
図2に示すように、センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された構造を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
センサ素子101の一先端部(前方向の端部)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第2内部空所40までの空間を被測定ガス流通部9と称する。被測定ガス流通部9は、略直方体形状に形成されている。被測定ガス流通部9の長手方向は前後方向と平行である。
また、被測定ガス流通部9よりも先端側から遠い位置には、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば大気が導入される。
大気導入層48は、多孔質セラミックスからなる層であって、大気導入層48には基準ガス導入空間43を通じて基準ガスが導入されるようになっている。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる大気導入層48が設けられている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内や第2内部空所40内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。
被測定ガス流通部9において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの圧力変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの圧力変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が目標値となるように可変電源25のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
第2内部空所40は、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、さらに、測定用ポンプセル41の動作によりNOx濃度が測定される。
第2内部空所40では、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整が行われるようになっている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101の外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0の上述した目標値が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
測定用ポンプセル41は、第2内部空所40内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面であって第3拡散律速部30から離間した位置に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。
測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第2内部空所40内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。さらに、測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。
第4拡散律速部45は、セラミックス多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担うとともに、測定電極44の保護膜としても機能する。測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部45を通じて測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2が一定(目標値)となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
また、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と基準電極42を組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準大気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることも可能である。
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75と、を備えている。
ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、スルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第2内部空所40の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3基板層3を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
素子本体102は、図1〜4に示すように、一部が多孔質の保護層84により被覆されている。ここで、センサ素子101は直方体形状であるため、図1〜図4に示すように、素子本体102(より具体的には各層1〜6)の外表面として、第1面102a(上面),第2面102b(下面),第3面102c(左側面),第4面102d(右側面),第5面102e(前端面),第6面102f(後端面)、の6面を有している。保護層84は、素子本体102の6個の表面(第1〜第6面102a〜102f)のうち5面(第1〜第5面102a〜102e)にそれぞれ形成された第1〜第5保護層84a〜84eを備えている。第5保護層84e(導入口保護層の一例)は、素子本体102の長手方向(ここでは前後方向)の一端面である第5面102eと、第5面102eに開口しているガス導入口10とを覆っている(図3参照)。第1〜第4保護層84a〜84d(隣接面保護層の一例)は、第5面102eの辺で第5面102eと接する4個の面(第1〜第4面102a〜102d,隣接面の一例)を覆っている(図3,4参照)。第1〜第5保護層84a〜84eを保護層84と総称する。保護層84は、素子本体102の一部を被覆して、その部分を保護する。保護層84は、例えば被測定ガス中の水分等が付着して素子本体102にクラックが生じるのを抑制する役割を果たす。
第1保護層84aは、図3,4に示すように、第1内部空間90aと、第1内部空間90aよりも外側に位置する第1外側保護層85aと、第1内部空間90aよりも内側に位置する第1内側保護層86aと、を有している。第1内側保護層86aは第1面102aに接触している。第1内側保護層86aは、外側ポンプ電極23を被覆している。同様に、第2保護層84bは、第2内部空間90bと、第2外側保護層85bと、第2内側保護層86bと、を有している。第2内側保護層86bは、第2面102bに接触している。第3保護層84cは、第3内部空間90cと、第3内部空間90cよりも外側に位置する第3外側保護層85cと、を有している。第3保護層84cは、第3内部空間90cよりも内側には保護層を備えない。そのため、第3内部空間90cには第3面102cが露出している(図4参照)。同様に、第4,第5保護層84d,84eは、第4,第5内部空間90d,90eと、第4,第5外側保護層85d,85eと、を有している。第4,第5内部空間90d,90eには、それぞれ、第4,第5面102d,102eが露出している(図3,4参照)。第5内部空間90eには、ガス導入口10が露出している。第1〜第5外側保護層85a〜85eを外側保護層85と総称し、第1,第2内側保護層86a,86bを内側保護層86と総称し、第1〜第5内部空間90a〜90eを内部空間90と総称する。また、第1〜第5内部空間90a〜90eの各々の内周面を第1〜第5内周面94a〜94eとし、これらを内周面94と総称する。
第1〜第5外側保護層85a〜85eは、互いに隣接する層同士が接続されており、外側保護層85全体で素子本体102の先端部分を覆っている。第1,第2内側保護層86a,86bは、それぞれ、第1,第2面102a,102bのうち第1,第2外側保護層85a,85bで覆われる部分を直接覆っている。そのため、第1,第2内部空間90a,90bには第1,第2面102a,102bは露出していない。第1〜第5内部空間90a〜90eは、互いに隣接する空間同士が直接的に連通しており、内部空間90全体で一つの空間を形成している。「直接的に連通する」は、保護層84(ここでは外側保護層85及び内側保護層86)中の気孔を介さずに連通することを意味する。そして、外側保護層85と内側保護層86とは保護層84の後端部でのみ接触している(図3参照)。より具体的には、第1外側保護層85aと第1内側保護層86aとが後端部で接触し、同様に第2外側保護層85bと第2内側保護層86bとが後端部で接触している。外側保護層85のうち第3,第4外側保護層85c,85dは、後端部でのみ第3,第4面102c,102dと接触している。第5外側保護層85eは、素子本体102とは接触していない。
第1保護層84aは、第1面102aに垂直な方向から見たときに、第1面102aのうち素子本体102の前端から後方に向かって距離L(図3参照)までの領域全体と重複している。第2〜第4保護層84b〜84dについても同様である。また、第1〜第4外側保護層85a〜85d及び第1,第2内側保護層86a,86bの各々についても同様である。第5保護層84eは、第5面102eに垂直な方向から見たときに(ここでは前から後に向かう方向に沿って見たときに)、第5面102e全体と重複している。すなわち、第5保護層84eは、ガス導入口10を含む第5面102e全体を覆っている。保護層84は多孔質体であるため、被測定ガスは保護層84の内部を流通してガス導入口10及び被測定ガス流通部9の内部に到達可能である。
図3に示した距離Lは、ガスセンサ100において素子本体102が被測定ガスに晒される範囲や、被測定ガス流通部9の位置などに基づいて、(0<距離L<素子本体102の長手方向の長さ)の範囲で定められている。また、距離Lは、素子本体102の内部に設けられた被測定ガス流通部9の前後方向の長さよりも長くなるように定められていることが好ましい。被測定ガス流通部9は、図2〜4に示すように長手方向が素子本体102の長手方向(ここでは前後方向)に沿っており、距離Lは被測定ガス流通部9の長手方向の長さよりも長いことになる。また、本実施形態では、図1に示すように、素子本体102は前後方向の長さと、左右方向の幅と、上下方向の厚さとがそれぞれ異なっており、長さ>幅>厚さとなっている。また、距離Lは素子本体102の幅及び厚さよりも大きい値である。
保護層84は、例えばアルミナ多孔質体、ジルコニア多孔質体、スピネル多孔質体、コージェライト多孔質体,チタニア多孔質体、マグネシア多孔質体などの多孔質体からなるものである。本実施形態では、保護層84はアルミナ多孔質体からなるものとした。特に限定するものではないが、保護層84の膜厚は例えば100μm〜1000μmであり、保護層84の気孔率は例えば5%〜85%である。外側保護層85の厚さは、例えば50μm〜800μmとしてもよい。内側保護層86の厚さは、例えば5μm〜50μmとしてもよい。内部空間90の厚さ(高さ)は、例えば5μm〜800μmとしてもよい。外側保護層85と内側保護層86とは気孔率や材質などが異なっていてもよい。外側保護層85及び内側保護層86の少なくとも一方が、複数の層を有していてもよい。
第5内部空間90eの第5内周面94eの算術平均粗さRapは、比較的大きい値になっている。具体的には、算術平均粗さRapは、8μm以上であるか又は保護層84のうち素子本体102との接着面97の算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たしている。詳細は後述するが、これにより、第5内部空間90e内に乱流が生じて、センサ素子101が検出するNOx濃度のばらつきを抑制できる。本実施形態では、第5内周面94eは、第5外側保護層85eの内側(素子本体102側)の面である第5外側内周面95eのみを有している(図3参照)。そのため、この第5外側内周面95eの算術平均粗さRaの値を、算術平均粗さRapとする。また、本実施形態では、接着面97は、第1内側保護層86aと第1面102aとの接着面である第1接着面97aと、第2内側保護層86bと第2面102bとの接着面である第2接着面97bと、を有している。このため、第1接着面97aの算術平均粗さRaと第2接着面97bの算術平均粗さRaとの平均値を、算術平均粗さRacとする。本実施形態では、算術平均粗さRapは、上述した2つの条件をいずれも満たしているものとした。
算術平均粗さRapは、10μm以上であることが好ましい。算術平均粗さRapが10μm以上では、センサ素子101が検出するNOx濃度のばらつきを抑制する効果がより高まる。算術平均粗さRapは、20μm以上としてもよいし、30μm以上としてもよい。算術平均粗さRapは、100μm以下としてもよい。算術平均粗さRacは、0.1μm以上1.0μm以下であってもよい。算術平均粗さRacが0.1μm以上では、素子本体102と保護層84との密着強度が確保できる。算術平均粗さRacが1.0μm以下では、保護層84の強度を確保できる。
ここで、算術平均粗さRapは、保護層84を切断して測定対象となる内周面(ここでは第5外側内周面95e)を露出させ、JIS B 0601:2013に準じた方法で光干渉計を用いて測定した値とする。また、算術平均粗さRacは、以下のように測定した値とする。まず、接着面97に垂直な断面を観察面とするようにセンサ素子101を切断し、切断面の樹脂埋め及び研磨を行って観察用試料とする。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)の倍率を300倍に設定し、視野をおよそ350μm×250μmの範囲として用意した観察用試料の観察面を撮影する。次に得られた画像の各画素の輝度データに基づき、全ての画素について輝度のヒストグラムを作成する。そして、ヒストグラムに現れる3つの山の間(谷)の部分の輝度値を閾値に設定し、各画素の輝度と閾値とを比較することで、各画素の輝度を3値化する。これにより、各画素が保護層84の構成粒子,保護層84の気孔,素子本体102のいずれであるかを区別する。そして、保護層84の構成粒子と素子本体102との境界線を作図して、この境界線を、JIS B 0601:2013で定義される接着面97の「実表面の断面曲線」とする。そして、この実表面の断面曲線に基づいて、JIS B 0601:2013に準じた方法で画像処理を行って測定した算術平均粗さRaを、算術平均粗さRacとする。
また、第5内部空間90eに直接的に連通している第1〜第4内部空間90a〜90dは、内周面の算術平均粗さが比較的大きい値であることが好ましい。具体的には、第1〜第4内部空間90a〜90dの第1〜第4内周面94a〜94dの算術平均粗さRasが、8μm以上であるか又は算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たしていることが好ましい。ここで、第1〜第4内周面94a〜94dの算術平均粗さRasを、それぞれ算術平均粗さRa1s〜Ra4sとする。この場合、算術平均粗さRa1s〜Ra4sのうち1以上が、上述した2つの条件の少なくとも一方を満たしていることが好ましい。
算術平均粗さRa1sについて説明する。本実施形態では、第1内周面94aは、第1外側保護層85aの内側(素子本体102側)の面である第1外側内周面95aと、第1内側保護層86aの外側(第1内部空間90a側)の面である第1内側内周面96aと、を有している(図3参照)。この場合、第1外側内周面95aと第1内側内周面96aとの少なくとも一方の算術平均粗さRaを算術平均粗さRa1sとしたときに、この算術平均粗さRa1sが上述した2つの条件の少なくとも一方を満たしていることが好ましい。言い換えると、第1外側内周面95aと第1内側内周面96aとの少なくとも一方の算術平均粗さRaが、上述した2つの条件の少なくとも一方を満たしていることが好ましい。本実施形態では、第1外側内周面95aの算術平均粗さRa(=Ra1s)が、上述した2つの条件をいずれも満たしているものとした。
算術平均粗さRa2sについて説明する。本実施形態では、第2内周面94bは、第2外側保護層85bの内側(素子本体102側)の面である第2外側内周面95bと、第2内側保護層86bの外側(第2内部空間90b側)の面である第2内側内周面96bと、を有している(図3参照)。この場合、算術平均粗さRa1sと同様に、第2外側内周面95bと第2内側内周面96bとの少なくとも一方の算術平均粗さRaを算術平均粗さRa2sとしたときに、この算術平均粗さRa2sが上述した2つの条件の少なくとも一方を満たしていることが好ましい。本実施形態では、第2外側内周面95bの算術平均粗さRa(=Ra2s)が、上述した2つの条件をいずれも満たしているものとした。
算術平均粗さRa3sについて説明する。本実施形態では、第3内周面94cは、第3外側保護層85cの内側(素子本体102側)の面である第3外側内周面95cのみを有している(図4参照)。そのため、この第3外側内周面95cの算術平均粗さRaの値を、算術平均粗さRa3sとする。同様に、第4内周面94dは、第4外側保護層85dの内側(素子本体102側)の面である第4外側内周面95dのみを有している(図4参照)。そのため、この第4外側内周面95dの算術平均粗さRaの値を、算術平均粗さRa4sとする。本実施形態では、算術平均粗さRa3s,Ra4sの各々が、上述した2つの条件をいずれも満たしているものとした。
算術平均粗さRa1s〜Ra4sは、算術平均粗さRapと同様に、保護層84を切断して測定対象となる内周面(ここでは第1〜第4外側内周面95a〜94d)を露出させ、JIS B 0601:2013に準じた方法で光干渉計を用いて測定した値とする。
また、図3,4からわかるように、第1〜第5内周面94a〜94eは、いずれも外側保護層85の内側(素子本体102側)の内周面である。そのため、本実施形態では、算術平均粗さRa1s〜Ra4sは同じ値とし、且つこれらと算術平均粗さRapも同じ値とした。ただし、算術平均粗さRap,Ra1s〜Ra4sの各々が異なる値であってもよい。また、算術平均粗さRas(より具体的には算術平均粗さRa1s〜Ra4sのうち1以上)は、10μm以上としてもよいし、20μm以上としてもよいし、30μm以上としてもよい。算術平均粗さRasは、100μm以下としてもよい。
こうして構成されたガスセンサ100の製造方法を以下に説明する。ガスセンサ100の製造方法では、まず素子本体102を製造し、次に素子本体102に保護層84を形成してセンサ素子101を製造する。
素子本体102を製造する方法について説明する。まず、6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。そして、各層1〜6のそれぞれに対応して、各グリーンシートには印刷時や積層時の位置決めに用いるシート穴や必要なスルーホール等を予め複数形成しておく。また、スペーサ層5となるグリーンシートには被測定ガス流通部9となる空間を予め打ち抜き処理などによって設けておく。次に、各セラミックスグリーンシートに各電極やヒータ等のパターンを印刷する。このように各種のパターンを形成したあと、グリーンシートを乾燥する。その後、それらを積層して積層体とする。なお、積層体のうち被測定ガス流通部9などの空間となる部分には、焼成時に消失する消失体(例えばカーボン,テオブロミンなどの有機材料)を充填しておいてもよい。こうして得られた積層体は、複数個の素子本体102を包含したものである。その積層体を切断して素子本体102の大きさに切り分け、所定の焼成温度で焼成して、素子本体102を得る。
次に、素子本体102に保護層84を形成する方法について説明する。まず、素子本体102の表面に、内側保護層86を形成する。内側保護層86の形成は、モールドキャスト法,スクリーン印刷,ディッピング,プラズマ溶射などの種々の方法により行うことができる。スクリーン印刷又はプラズマ溶射によって内側保護層86を形成する場合、第1〜第5内側保護層86a〜86eを1つずつ形成してもよい。次に、内側保護層86上に消失体を塗布及び乾燥することで、内部空間90の形状の消失体を形成する。消失体の塗布は、例えばスクリーン印刷,グラビア印刷,インクジェット印刷などによって行うことができる。また、塗布及び乾燥を複数回繰り返して消失体を形成しても良い。消失体の材料としては、上述したカーボン,テオブロミンなどの有機材料の他、ビニル系樹脂などの熱分解製のポリマーが挙げられる。続いて、内側保護層86及び消失体の外側に外側保護層85を形成する。外側保護層85は、内側保護層86と同様の手法により形成することができる。これにより、内部空間90の形状の消失体を備えた保護層84が形成される。その後、消失体を燃焼により消失させる。これにより、消失体の部分が内部空間90となり、内部空間90を有する保護層84が形成される。このようにして素子本体102に保護層84を形成し、センサ素子101を得る。なお、モールドキャスト法,スクリーン印刷又はディッピングにより保護層84を形成する際には、外側保護層85及び内側保護層86となるスラリーを固化や乾燥させた後に、スラリーを焼成して保護層84とする。この場合、保護層84の焼成と消失体の燃焼とを同時に行ってもよい。また、プラズマ溶射により外側保護層85及び内側保護層86を形成する場合には、両者の形成後に消失体を燃焼により消失させればよい。
算術平均粗さRap,Rasを比較的大きくするための方法としては、例えば以下が挙げられる。まず、第1〜第5外側内周面95a〜95eの算術平均粗さRaを大きくすることで算術平均粗さRap,Rasを比較的大きくする場合について説明する。この場合、例えば外側保護層85をプラズマ溶射で形成することとし、プラズマ溶射に用いるプラズマ発生用ガスの量を少なくしたり,プラズマガンと素子本体102との距離を大きくしたりすることによって、外側保護層85の構成粒子が消失体に衝突する速度を比較的弱くする。これにより、消失体への衝突時に外側保護層85の構成粒子がつぶれて平坦になるのを抑制して、第1〜第5外側内周面95a〜95eの算術平均粗さRaを大きくすることができる。また、消失体に柔らかい材質を用いることによっても、消失体への衝突時に外側保護層85の構成粒子がつぶれるのを抑制でき、同様に第1〜第5外側内周面95a〜95eの算術平均粗さRaを大きくすることができる。あるいは、プラズマ溶射に用いる粉末溶射材料(外側保護層85の構成粒子となる原料粉末)の粒径を大きくすることによって、第1〜第5外側内周面95a〜95eの算術平均粗さRaを大きくすることもできる。第1,第2内側内周面96a,96bの算術平均粗さRaを大きくする方法としては、例えば、内側保護層86が厚さ方向に複数の層からなるようにして、素子本体102に接着される層の形成に用いる構成粒子よりも内部空間90に露出する層の形成に用いる構成粒子の粒径を大きくすることが挙げられる。あるいは、内側保護層86を形成した後に、第1,第2内側内周面96a,96bを荒らすことで算術平均粗さRaを大きくしてもよい。
また、保護層84が厚さ方向に複数の層(ここでは外側保護層85及び内側保護層86)を有する場合、最も内側の層(ここでは内側保護層86)は、例えばモールドキャスト法,スクリーン印刷又はディッピングを用いてスラリーを素子本体102の表面上に形成し、素子本体102と一体的にスラリーを焼成して内側保護層86を形成することが好ましい。素子本体102の表面は比較的算術平均粗さRaが小さい場合が多く、素子本体102に直接接着する内側保護層86は素子本体102との密着力が低くなりやすいが、一体的に焼成することで素子本体102と内側保護層86との密着力を高めることができる。また、内側保護層86のうち外側保護層85と接触する面(ここでは内側保護層86の表面のうち後端部分)は、素子本体102の表面と比べて算術平均粗さRaの値が大きいことが好ましい。こうすることで、内側保護層86と外側保護層85との密着力を高めることができる。内側保護層86のうち外側保護層85と接触する面の算術平均粗さRaは、1μm以上10μm以下としてもよいし、1μm以上5μm以下としてもよい。内側保護層86のうち外側保護層85と接触する面だけでなく、内部空間90に露出する第1,第2内側内周面96a,96bも含めて、算術平均粗さRaが1μm以上10μm以下であってもよいし、1μm以上5μm以下であってもよい。
また、外側保護層85を作製する場合には、外側保護層85(第1〜第5外側保護層85a〜85e)全体を一体的にキャップ状(有底筒状、1面が開口した箱状、とも称する)の保護層として作製してもよい。例えば、モールドキャスト法を用いて外側保護層85の形状をしたキャップ状の未焼成体を作製し、そのキャップ状の未焼成体の内側に素子本体102(内側保護層86を備える場合は素子本体102及び内側保護層86)の先端側を挿入してから未焼成体を焼成することで、外側保護層85を作製してもよい。この場合、未焼成体の形状を内側に柱状部又は段差部などの空間支持部を有する形状としておくことで(したがって焼成後の未焼成体である外側保護層85も空間支持部を有することになる)、内部空間90の形状の消失体を用いずに空間支持部によって外側保護層85と素子本体102との間に内部空間90を形成することもできる。また、キャップ状の未焼成体に素子本体102を挿入する方法で外側保護層85を作製する場合、外側保護層85と素子本体102との間の内部空間90が素子本体102の後端側に向けた開口を有する場合がある。この場合、例えばプラズマ溶射などによりこの開口を塞ぐように目封止部を形成してもよい。目封止部は、外側保護層85と主成分が同じ多孔質体であることが好ましい。また、外側保護層85となる未焼成体を作製する際の成形型の表面の凹凸の形状(表面の粗さ)によって、算術平均粗さRap,Rasを調整することもできる。
このようにしてセンサ素子101を得ると、所定のハウジングに収容してガスセンサ100の本体(図示せず)に組み込み、各電源等を接続することで、ガスセンサ100が得られる。
こうして構成されたガスセンサ100の使用時には、配管内の被測定ガスがセンサ素子101に到達し、保護層84を通過してガス導入口10内に流入する。そして、センサ素子101は、ガス導入口10から被測定ガス流通部9内に流入した被測定ガス中のNOx濃度を、測定電極44と基準電極42との間の電圧(ここでは起電力V2)に基づいて検出する。例えば、起電力V2の値、又は起電力V2が一定となるように電圧Vp2を制御することで流れるポンプ電流Ip2の値をセンサ素子101から出力させる(測定する)ことで、特定ガス濃度を表す値が得られる。
そして、本実施形態のセンサ素子101は、導入口保護層(ここでは第5保護層84e)の第5内周面94e(ここでは第5外側内周面95e)の算術平均粗さRapが、8μm以上であるか又は保護層84のうち素子本体102との接着面97の算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たしている。すなわち、第5外側内周面95eの算術平均粗さRapが比較的大きくなっており、第5外側内周面95eの凹凸が比較的大きくなっている。これにより、被測定ガスが保護層84の外側から第5内部空間90eを通過してガス導入口10に到達する際に、第5外側内周面95eの凹凸によって第5内部空間90e内の被測定ガスに乱流が生じる。そして、乱流によって被測定ガスが攪拌されて、被測定ガス中のNOx濃度が均一化される。したがって、被測定ガス流通部9内に導入される被測定ガス中のNOx濃度のばらつきが抑制されるため、NOx濃度のばらつきに起因する測定電極44と基準電極42との間の起電力V2の変動が抑制される。これにより、センサ素子101が検出するNOx濃度のばらつきを抑制できる。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、センサ素子101は、被測定ガス流通部9の内周面上に配設された測定電極44と、特定ガス濃度(ここではNOx濃度)の検出の基準となる基準ガス(ここでは大気)に晒される基準電極42と、を備えている。センサ素子101は、素子本体102の表面のうち被測定ガス流通部9の入口であるガス導入口10とそのガス導入口10が開口している第5面102eの少なくとも一部とを覆う導入口保護層(ここでは第5保護層84e)を備えている。そして、第5保護層84eが有する第5内部空間90eの第5内周面94e(ここでは第5外側内周面95e)の算術平均粗さRapが、8μm以上であるか又は保護層84のうち素子本体102との接着面97の算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たしている。すなわち、第5外側内周面95eの算術平均粗さRapが比較的大きくなっている。これにより、センサ素子101が検出するNOx濃度のばらつきを抑制できる。
また、算術平均粗さRapが100μmより大きいと導入口保護層(ここでは第5保護層84e)が有する第5内部空間90eの第5内周面94e(ここでは第5外側内周面95e)の凹凸によって被測定ガスが流れにくくなり、ガス導入口10に被測定ガスが到達しにくくなってセンサ素子101の応答性が低下する場合がある。算術平均粗さRapが100μm以下では、そのような応答性の低下を抑制できる。
また、算術平均粗さRapが10μm以上であることで、センサ素子101が検出するNOx濃度のばらつきを抑制する効果がより高まる。算術平均粗さRacが0.1μm以上であることで、素子本体102と保護層84との密着強度が確保できる。算術平均粗さRacが1.0μm以下であることで、保護層84の強度を確保できる。
さらに、素子本体102の表面は、ガス導入口10が開口している第5面102eと、第5面102eの辺で第5面102eに接する複数の隣接面(ここでは第1〜第4面102a〜102d)と、を有している。保護層84は、第1〜第4面102a〜102dを覆う隣接面保護層(ここでは第1〜第4保護層84a〜84d)を有しており、第1〜第4保護層84a〜84dは、第5保護層84eの第5内部空間90eと直接的に連通し、且つ、内周面(ここでは第1〜第4内周面94a〜94d)の算術平均粗さRas(ここではRa1s〜Ra4sの各々)が8μm以上であるか又は算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たす第1〜第4内部空間90a〜90dを有している。ここで、センサ素子101の使用時には、被測定ガスに含まれる水分がセンサ素子101の表面に付着する場合がある。素子本体102は、上述したようにヒータ72により固体電解質が活性化する温度(例えば800℃など)に調整されており、付着した水分により素子本体102の温度が急激に低下すると、熱衝撃で素子本体102にクラックが生じる場合がある。本実施形態のセンサ素子101では、第1〜第4保護層84a〜84dが存在することによって、素子本体102の温度の急激な低下を抑制できるため、素子本体102の耐被水性が向上する。しかも、第1〜第4保護層84a〜84dは第1〜第4内部空間90a〜90dを有するため、第1〜第4保護層84a〜84dの外側から素子本体102へ向かう第1〜第4保護層84a〜84dの各々の厚さ方向の熱伝導を、第1〜第4内部空間90a〜90dによって抑制でき、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、第1〜第4内部空間90a〜90dと第5内部空間90eとが直接的に連通していることで、第1〜第4内部空間90a〜90dが比較的広くなっており、素子本体102の耐被水性がさらに向上する。さらに、第1〜第4内部空間90a〜90dの第1〜第4内周面94a〜94dの算術平均粗さRasが、8μm以上であるか又は算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たしている。すなわち、第1〜第4保護層84a〜84dは、第1〜第4内周面94a〜94dの算術平均粗さRasが比較的大きい第1〜第4内部空間90a〜90dを有している。これにより、第1〜第4内部空間90a〜90dの凹凸によって第1〜第4内部空間90a〜90d内の被測定ガスに乱流が生じ、第5内部空間90eから第1〜第4内部空間90a〜90dに被測定ガスが流入しにくくなる。したがって、第5内部空間90e内の被測定ガスがガス導入口10から被測定ガス流通部9に流入しやすくなり、センサ素子101の応答性が向上する。すなわち、第1〜第4内部空間90a〜90dと第5内部空間90eとが直接的に連通していることで素子本体102の耐被水性を向上させつつ、算術平均粗さRasを比較的大きくすることで両空間が直接的に連通していることによる応答性の低下を抑制できる。
さらにまた、素子本体102は、長手方向に垂直な積層方向(上下方向)に固体電解質体を複数積層した積層体である。また、素子本体102の表面は、長手方向の端面である第5面102eと、第5面102eの辺で第5面102eに接する複数の隣接面(ここでは第1〜第4面102a〜102d)と、を有している。そして、保護層84は、第1〜第4面102a〜102dを覆う隣接面保護層(ここでは第1〜第4保護層84a〜84d)を有している。第1〜第4保護層84a〜84dは、第1〜第4面102a〜102dのうち積層方向の両端に位置する上面(ここでは第1面102a)及び下面(ここでは第2面102b)を覆う部分(ここでは第1,第2保護層84a,84b)に、それぞれ、第1,第2内部空間90a,90bと、第1,第2内部空間90a,90bよりも外側に位置する第1,第2外側保護層85a,85bと、第1,第2内部空間90a,90bよりも内側に位置し素子本体102の表面に接着している第1,第2内側保護層86a,86bと、を有している。このように第1面102a及び第2面102bに接する第1,第2内側保護層86a,86bが存在することで、素子本体102(正確には素子本体102及び第1,第2内側保護層86a,86b)の熱容量が大きくなる。したがって、外部から素子本体102側に熱衝撃が到達したとしても、素子本体102の急激な温度変化が抑制される。その結果、素子本体102の耐被水性が向上する。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、保護層84は内側保護層86を備えていたが、保護層84は内側保護層86を備えなくてもよい。図5はこの場合の変形例である保護層184の断面図である。保護層184は、外側保護層85と内部空間90とを備えており、素子本体102の表面である第1〜第5面102a〜102eは内部空間90に露出している。この場合、保護層184の接着面97は、外側保護層85と素子本体102との接着面(例えば図5に示す第1,第2接着面97a,97b)となるため、この接着面97に基づいて算術平均粗さRacが定まる。
上述した実施形態では、内側保護層86は第1,第2内側保護層86a,86bを有していたが、これに限られない。内側保護層86は、第1〜第5面102a〜102eのうち1以上を覆っていればよい。例えば、図6,7に示す変形例の保護層284のように、内側保護層86が第1〜第5面102a〜102eの各々を覆う第1〜第5内側保護層86a〜86eを備えていてもよい。保護層284では、第3〜第5内周面94c〜94eは、第3〜第5外側内周面95c〜95e及び第3〜第5内側内周面96c〜96eを有している。また、この場合、保護層284の接着面97は、内側保護層86と素子本体102との接着面(図6,7に示す第1〜第5接着面97a〜97e)となるため、この接着面97に基づいて算術平均粗さRacが定まる。具体的には、図6,7の例では、第1〜第5接着面97a〜97eの各々の算術平均粗さRaの平均値を、算術平均粗さRacとする。図6,7の例では、第5面102eは第5内側保護層86eで覆われているため、第5面102e及びガス導入口10はいずれも第5内部空間90eに露出していない。
上述した実施形態では、第1〜第5内部空間90a〜90eが互いに直接的に連通していたが、これに限られない。例えば、第5内部空間90eは、第1〜第4内部空間90a〜90dの少なくとも1つと直接的に連通していてもよいし、第1〜第4内部空間90a〜90dのいずれとも直接的には連通していなくてもよい。
上述した実施形態では、第1〜第5保護層84a〜84eはそれぞれ1つの内部空間を有していたが、これに限らず2以上の内部空間を有していてもよい。なお、第5内部空間90eが複数存在する場合、複数の第5内部空間90eのうち最もガス導入口10に近い内部空間の内周面の算術平均粗さRaの値を、算術平均粗さRapとする。
上述した実施形態では、保護層84は第1〜第5保護層84a〜84eを有していたが、保護層84は少なくとも導入口保護層(上述した実施形態では第5保護層84e)を備えていればよい。保護層84は、隣接面保護層(上述した実施形態では第1〜第4保護層84a〜84d)を有さなくてもよいし、少なくとも1つの隣接面保護層を有していてもよい。
上述した実施形態では、被測定ガス流通部9は長手方向が素子本体102の長手方向と平行であったが、これに限られない。また、被測定ガス流通部9のガス導入口10は第5面102eに開口していたが、第1面102aに開口しているなど、他の面に開口していてもよい。換言すると、導入口保護層は第5保護層84eに限られない。
上述した実施形態では、素子本体102は直方体形状としたが、これに限らず、例えば長手方向を有する長尺な形状であってもよい。例えば、素子本体102は、多角柱や円柱の形状をしていてもよい。
上述した実施形態では特に説明しなかったが、保護層84が備える第1〜第5内部空間90a〜90eの各々は、保護層84の構成材(例えば外側保護層85及び内側保護層86)中の気孔と区別できる大きさである。すなわち、外側保護層85及び内側保護層86中の気孔は、内部空間90には含めない。内部空間90(第1〜第5内部空間90a〜90eの各々)は、保護層84内の気孔とは異なる気孔より大きい空間である。例えば、第1内部空間90aのうち第1面102aの真上の領域に存在する部分の容積は、0.03mm3以上としてもよいし、0.04mm3以上としてもよいし、0.07mm3以上としてもよいし、0.5mm3以上としてもよいし、1.5mm3以上としてもよい。第2内部空間90bのうち第2面102bの真下の領域に存在する部分の容積は、0.03mm3以上としてもよいし、0.04mm3以上としてもよいし、0.07mm3以上としてもよいし、0.5mm3以上としてもよいし、1.5mm3以上としてもよい。第3内部空間90cのうち第3面102cの左方の領域に存在する部分の容積は、0.015mm3以上としてもよいし、0.2mm3以上としてもよいし、0.4mm3以上としてもよい。第4内部空間90dのうち第4面102dの右方の領域に存在する部分の容積は、0.015mm3以上としてもよいし、0.2mm3以上としてもよいし、0.4mm3以上としてもよい。第5内部空間90eのうち第5面102eの前方の領域に存在する部分の容積は、0.010mm3以上としてもよいし、0.1mm3以上としてもよいし、0.2mm3以上としてもよいし、0.3mm3以上としてもよい。ここで、「第1面102aの真上の領域」は、第1面102aに対して第1面102aに垂直な方向に存在する領域を意味し、第1面102aの左上,右上などは含まない。「第2面102bの真下の領域」,「第3面102cの左方の領域」,「第4面102dの右方の領域」,及び「第5面102eの前方の領域」についても同様である。また、第1内部空間90aが複数の空間を有する場合は、複数の空間のうち少なくとも1つについて、第1面102aの真上の領域に存在する部分の容積が0.03mm3以上、0.04mm3以上、0.07mm3以上、0.5mm3以上、又は1.5mm3以上であってもよいし、複数の空間の合計として、第1面102aの真上の領域に存在する部分の容積が0.03mm3以上、0.04mm3以上、0.07mm3以上、0.5mm3以上、又は1.5mm3以上であってもよい。第2〜第5内部空間90b〜90eについても同様に、各々が複数の空間を有する場合は、複数の空間のうち少なくとも1つについて上記の容積の数値範囲を満たしていてもよいし、複数の空間の合計について上記の容積の数値範囲を満たしていてもよい。第1内部空間90aの高さは、第1面102aから第1外側保護層85aの上面までの高さの40%以上70%以下としてもよい。同様に、第2内部空間90bの高さは、第2面102bから第2外側保護層85bの下面までの高さの40%以上70%以下としてもよい。第3内部空間90cの高さは、第3面102cから第3外側保護層85cの左面までの高さの40%以上70%以下としてもよい。第4内部空間90dの高さは、第4面102dから第4外側保護層85dの右面までの高さの40%以上70%以下としてもよい。第5内部空間90eの高さは、第5面102eから第5外側保護層85eの前面までの高さの40%以上70%以下としてもよい。第1内部空間90aの高さは、保護層84の平均気孔径(水銀圧入法による)の5倍以上としてもよいし、10倍以上としてもよい。第2〜第5内部空間90b〜90eの各々の高さについても、同様に、保護層84の平均気孔径の5倍以上としてもよいし、10倍以上としてもよい。
上述した実施形態では、素子本体102は複数の固体電解質層(層1〜6)を有する積層体としたが、これに限られない。素子本体102は、酸素イオン伝導性の固体電解質層を少なくとも1つ含んでいればよい。例えば、図2において第2固体電解質層6以外の層1〜5は固体電解質以外の材質からなる構造層(例えばアルミナからなる層)としてもよい。この場合、素子本体102が有する各電極は第2固体電解質層6に配設されるようにすればよい。例えば、図2の測定電極44は第2固体電解質層6の下面に配設すればよい。また、基準ガス導入空間43を第1固体電解質層4の代わりにスペーサ層5に設け、大気導入層48を第1固体電解質層4と第3基板層3との間に設ける代わりに第2固体電解質層6とスペーサ層5との間に設け、基準電極42を第2内部空所40よりも後方且つ第2固体電解質層6の下面に設ければよい。
上述した実施形態では、NOx濃度を検出するガスセンサ100を例示したが、酸素濃度を検出するガスセンサやアンモニア濃度を検出するガスセンサに本発明を適用してもよい。
以下には、センサ素子を具体的に作製した例を実施例として説明する。実験例2〜11が本発明の実施例に相当し、実験例1が比較例に相当する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
図1〜4に示した構造のセンサ素子101を以下のように作成して、実験例1とした。まず、長さが67.5mm、幅が4.25mm、厚さが1.45mmの図1〜4に示した素子本体102を作製した。素子本体102を作製するにあたり、各層1〜6に対応するセラミックスグリーンシートは、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合し、テープ成形により成形した。そして、6枚のグリーンシートの各々に各電極等のパターンを印刷した。6枚のグリーンシートのうち、第2固体電解質層6となるグリーンシートの表面(第1面102aとなる面)及び第1基板層1となるグリーンシートの表面(第2面102bとなる面)には、焼成後に内側保護層86(第1,第2内側保護層86a,86b)となるスラリーをスクリーン印刷にて形成した。内側保護層86を形成するためのスラリーは、以下のように調整した。原料粉末(アルミナ粉末)の粒径をD50=5μm,体積割合を10vol%とし、バインダー溶液(ポリビニルアセタールとブチルカルビトール)を40vol%とし、助溶剤(アセトン)を45vol%とし、分散剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル)を5vol%としてこれらを調合し、ポットミル混合機の回転数を200rpmとして3時間混合して、ペーストの調整を行った。各電極等のパターン及び内側保護層86となるスラリーの印刷を行ったあと、6枚のグリーンシートを積層及び焼成して、内側保護層86を備えた素子本体102を作製した。
次に、内側保護層86を備えた素子本体102に、内部空間90及び外側保護層85を形成した。具体的には、まず、第1内側保護層86a上,第2内側保護層86b上,素子本体102の第3〜第5面102c〜102e上の各々にビニル系樹脂からなる消失体をスクリーン印刷により形成した。消失体は、内部空間90(第1〜第5内部空間90a〜90e)の形状になるように形成した。次に、プラズマ溶射ガン(エリコンメテコ社製のSinplexPro−90)を用いて、消失体の表面上にプラズマ溶射により外側保護層85(第1〜第5外側保護層85a〜85e)を形成した。第1外側保護層85aを形成するプラズマ溶射の条件は、以下のようにした。プラズマ発生用ガスとして、アルゴンガス(流量50L/min)と水素(流量2L/min)とを混合したものを用いた。プラズマ発生用の印加電圧は、100Vの直流電圧とし、電流は200Aとした。第1外側保護層85aとなる原料粒子(粉末溶射材料)としては、平均粒径が30μmであるアルミナ粉末を用いた。原料粒子の供給に用いるキャリアガスは、アルゴンガス(流量5L/min)とした。プラズマガンの溶射の向きは、第1面102aに対して垂直とし、プラズマガンと第1面102aとの距離は、120mmとした。また、プラズマ溶射は大気及び常温の雰囲気にて行った。第2〜第5外側保護層85b〜85eについても、第1外側保護層85aと同様にプラズマ溶射を行って形成した。プラズマ溶射の条件はいずれも同じとした。このようにして第1〜第5外側保護層85a〜85eを形成した後、消失体を燃焼により消失させて、内部空間90を形成した。以上により、実験例1のセンサ素子101を得た。
実験例1のセンサ素子101において、第1内側保護層86a,86bは、厚さが50μmであり、気孔率が50%であった。第1内側保護層86a,第2内側保護層86bの接着面97の算術平均粗さRacを上述した方法で測定したところ、1μmであった。第1〜第5外側保護層85a〜85eは、厚さが200μmであり、気孔率が20%であった。第1〜第4外側内周面95a〜95dの算術平均粗さRas(=Ra1s〜Ra4s)を光干渉計(光学計測機器Zygo)を用いて上述した方法で測定したところ、いずれも1μmであった。第5外側内周面95eの算術平均粗さRapについても同様に上述した方法で測定したところ、1μmであった。算術平均粗さRas(=Ra1s〜Ra4s)の測定値は、第1〜第4外側内周面95a〜95dの各々の面内の中央の一点と、そこからセンサ素子101の長手方向(前後方向)に1mm離れた2点と、の合計3点の平均値として算出した。算術平均粗さRapの測定値は、第5外側内周面95e内の中央の1点と、そこから1mm離れた2点と、の合計3点の平均値として算出した。第1,第2内部空間90a,90bの厚さ(外側保護層85と内側保護層86との厚さ方向の距離)は、200μmであった。第3〜第5内部空間90c〜90eの厚さは、200μmであった。
[実験例2〜7]
外側保護層85を形成する際のプラズマ溶射の条件を変更して、算術平均粗さRap,Rasが実験例1よりも大きくなるように変更した点以外は、実験例1と同様の方法で実験例2〜7のセンサ素子101を作製した。プラズマ溶射の条件は、実験例2では上述した距離を150mmとし、実験例3では距離を180mmとし、実験例4では距離を200mmとし、実験例5では距離を200mm、アルミナ粉末の平均粒径を35μmとし、実験例6では距離を200mm、アルミナ粉末の平均粒径を40μmとし、実験例7では距離を200mm、アルミナ粉末の平均粒径を50μmとした。実験例2〜7の各々において、算術平均粗さRapと算術平均粗さRasとは同じ値であった。
[検出値のばらつきの評価試験]
実験例1のセンサ素子101を備えたガスセンサを自動車の排ガス管の配管に取り付けた。そして、ヒータ72に通電して温度を800℃とし、センサ素子101を加熱した。次に、自動車のガソリンエンジン(1.8L)を所定の運転条件(エンジンの回転数が4500rpm、空燃費A/Fが値11.0、負荷トルクが130N・m、排ガスのゲージ圧力が60kPa、排ガスの温度が800℃)で運転した。そして、上述した各ポンプセル21,41,50を動作させて、センサ素子101によるNOx濃度の測定を開始した。各ポンプセルの動作開始後から10秒経過後に、ポンプ電流Ip2の値(排ガス中のNOx濃度に相当する値)の測定を開始して、10秒間測定を継続した。そして、測定期間中のポンプ電流Ip2の最大値と最小値との差を、センサ素子101が検出するNOx濃度(センサ素子101の検出値)のばらつき具合を表す値として導出した。実験例2〜7についても同様の値を導出した。そして、実験例1で導出された値を100%として、実験例2〜7の各々で導出された値を百分率で表した値を、センサ素子101の検出値のばらつき割合とした。
実験例1〜7の各々の算術平均粗さRap,Rac,Ras,及びセンサ素子101の検出値のばらつき割合を、表1に示す。また、図8は、実験例1〜7の算術平均粗さRapとセンサ素子101の検出値のばらつき割合との関係を示すグラフである。
Figure 2021081394
表1及び図8からわかるように、算術平均粗さRapが8μm未満であり且つRap=Racである実験例1と比べて、Rap>Racである実験例2〜7はいずれもセンサ素子101の検出値のばらつき割合が小さかった。また、実験例1〜7では、算術平均粗さRapが大きいほどセンサ素子101の検出値のばらつき割合が小さくなる傾向が見られた。また、算術平均粗さRapが8μm未満である場合(実験例1〜4)は、算術平均粗さRapが大きいほどセンサ素子101の検出値のばらつき割合が急激に減少しいく傾向が見られ、算術平均粗さRapが8μm以上である場合(実験例5〜7)は、算術平均粗さRapが大きくなっても検出値のばらつき割合は同程度であった。そのため、算術平均粗さRapが8μm以上であれば、センサ素子101が検出するNOx濃度のばらつきを十分抑制できると考えられる。
[実験例8〜11]
算術平均粗さRapと算術平均粗さRasとが異なる値になるように第1〜第4外側保護層85a〜85dと第5外側保護層85eとでプラズマ溶射の条件を変更したセンサ素子101を作製して、実験例8〜11とした。実験例8〜11では、第1〜第4外側保護層85a〜85dを形成する際のプラズマ溶射の条件以外は、いずれも実験例5と同じとした。第1〜第4外側保護層85a〜85dを形成する際のプラズマ溶射の条件に関して、実験例8では実験例2と同じ条件とし、実験例9では実験例4と同じ条件とし、実験例10では実験例5と同じ条件とし、実験例11では実験例6と同じ条件とした。したがって、実験例10は、第1〜第4外側保護層85a〜85dを形成する際のプラズマ溶射の条件も含めて、実験例5と同一の製造条件でセンサ素子101を作製した。
[応答性の評価試験]
実験例8のセンサ素子101を備えたガスセンサを自動車の排ガス管の配管に取り付けた。そして、ヒータ72に通電して温度を800℃とし、センサ素子101を加熱した。次に、ベースガスを窒素とし、所定濃度の酸素及び70ppmのNOを混合させたモデルガスを被測定ガスとし、この被測定ガスを配管内に流速9m/sで流した。また、上述した各ポンプセル21,41,50を動作させて、センサ素子101によるNOx濃度の測定を開始した。そして、ポンプ電流Ip2の値(被測定ガス中のNOx濃度に相当する値)が安定した後に、配管内に流す被測定ガスのNO濃度を70ppmから500ppmに変化させた場合における、ポンプ電流Ip2の値の時間変化を調べた。NO濃度を変化させる直前のポンプ電流Ip2の値を0%、NO濃度の変化後にポンプ電流Ip2が変化して安定したときの値を100%として、ポンプ電流Ip2の値が10%を越えたときから90%を越えるまでの経過時間をNOx濃度検出の応答時間(sec)とした。この応答時間が短いほどセンサ素子101の応答性が高いことを意味する。実験例8〜11についても、同様に応答時間の測定を行った。応答時間の測定は、各実験例について複数回行い、各々の平均値を各実験例についての応答時間とした。
実験例8〜11の各々の算術平均粗さRap,Rac,Ras,及びセンサ素子101の応答時間を、表2に示す。
Figure 2021081394
表2からわかるように、算術平均粗さRasが8μm未満であり且つRas=Racである実験例8と比べて、Ras>Racである実験例9〜11はいずれもセンサ素子101の応答時間が短かった。また、実験例8〜11では、算術平均粗さRasが大きいほどセンサ素子101の応答時間が短くなる傾向が見られた。また、実験例8〜11の比較から、算術平均粗さRasが8μm未満である実験例8,9と比べて、算術平均粗さRasが8μm以上である実験例10,11はセンサ素子101の応答時間が急激に短くなる傾向が見られた。そのため、算術平均粗さRasが8μm以上であれば、センサ素子101の応答性が十分高くなると考えられる。
1 第1基板層、2 第2基板層、3 第3基板層、4 第1固体電解質層、5 スペーサ層、6 第2固体電解質層、9 被測定ガス流通部、10 ガス導入口、11 第1拡散律速部、12 緩衝空間、13 第2拡散律速部、20 第1内部空所、21 主ポンプセル、22 内側ポンプ電極、22a 天井電極部、22b 底部電極部、23 外側ポンプ電極、25 可変電源、30 第3拡散律速部、40 第2内部空所、41 測定用ポンプセル、42 基準電極、43 基準ガス導入空間、44 測定電極、45 第4拡散律速部、46 可変電源、48 大気導入層、50 補助ポンプセル、51 補助ポンプ電極、51a 天井電極部、51b 底部電極部、52 可変電源、70 ヒータ部、71 ヒータコネクタ電極、72 ヒータ、73 スルーホール、74 ヒータ絶縁層、75 圧力放散孔、80 主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、81 補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、82 測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、83 センサセル、84 保護層、84a〜84e 第1〜第5保護層、85 外側保護層、85a〜85e 第1〜第5外側保護層、86 内側保護層、86a〜86e 第1〜第5内側保護層、90 内部空間、90a〜90e 第1〜第5内部空間、94 内周面、94a〜94e 第1〜第5内周面、95a〜95e 第1〜第5外側内周面、96a〜96e 第1〜第5内側内周面、97 接着面、97a〜97e 第1〜第5接着面、100 ガスセンサ、101 センサ素子、102 素子本体、102a〜102f 第1面〜第6面、184,284 保護層。

Claims (7)

  1. 被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するセンサ素子であって、
    酸素イオン伝導性の固体電解質体を有し、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた素子本体と、
    前記被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、
    前記素子本体に配設され、前記特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスに晒される基準電極と、
    前記素子本体の表面の一部を覆う多孔質の保護層と、
    を備え、
    前記保護層は、前記素子本体の表面のうち前記被測定ガス流通部の入口であるガス導入口と該ガス導入口が開口している面の少なくとも一部とを覆う導入口保護層を有し、
    前記導入口保護層は、内部空間を有し、
    前記導入口保護層の内部空間の内周面の算術平均粗さRapが、8μm以上であるか又は前記保護層のうち前記素子本体との接着面の算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たす、
    センサ素子。
  2. 前記算術平均粗さRapは、10μm以上である、
    請求項1に記載のセンサ素子。
  3. 前記算術平均粗さRacは、0.1μm以上1.0μm以下である、
    請求項1又は2に記載のセンサ素子。
  4. 前記素子本体の表面は、前記ガス導入口が開口している面と、該面の辺で該面に接する1以上の隣接面と、を有しており、
    前記保護層は、前記1以上の隣接面の少なくとも一部を覆う隣接面保護層を有しており、
    前記隣接面保護層は、前記導入口保護層の内部空間と直接的に連通し、且つ、内周面の算術平均粗さRasが8μm以上であるか又は前記算術平均粗さRacより大きいかの少なくとも一方の条件を満たす内部空間を有している、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ素子。
  5. 前記素子本体は、長手方向を有する長尺な形状をしており、
    前記ガス導入口が開口している面は、前記長手方向の端面である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ素子。
  6. 前記素子本体は、前記長手方向に垂直な積層方向に前記固体電解質体を複数積層した積層体であり、
    前記素子本体の表面は、前記端面と、該端面の辺で該端面に接する複数の隣接面と、を有しており、
    前記保護層は、前記複数の隣接面を覆う隣接面保護層を有しており、
    前記隣接面保護層は、前記隣接面のうち前記積層方向の両端に位置する上面及び下面を覆う部分に、それぞれ、内部空間と、該内部空間よりも外側に位置する外側保護層と、該内部空間よりも内側に位置し前記素子本体の表面に接着している内側保護層と、を有している、
    請求項5に記載のセンサ素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセンサ素子を備えたガスセンサ。
JP2019211703A 2019-02-26 2019-11-22 センサ素子及びガスセンサ Active JP7333248B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019211703A JP7333248B2 (ja) 2019-11-22 2019-11-22 センサ素子及びガスセンサ
DE112019006924.1T DE112019006924T5 (de) 2019-02-26 2019-12-24 Sensorelement und Gassensor
PCT/JP2019/050677 WO2020174860A1 (ja) 2019-02-26 2019-12-24 センサ素子及びガスセンサ
CN201980090924.6A CN113439208B (zh) 2019-02-26 2019-12-24 传感器元件及气体传感器
US17/411,081 US11921078B2 (en) 2019-02-26 2021-08-25 Sensor element and gas sensor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019211703A JP7333248B2 (ja) 2019-11-22 2019-11-22 センサ素子及びガスセンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021081394A true JP2021081394A (ja) 2021-05-27
JP7333248B2 JP7333248B2 (ja) 2023-08-24

Family

ID=75964870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019211703A Active JP7333248B2 (ja) 2019-02-26 2019-11-22 センサ素子及びガスセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7333248B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0743339A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Fujikura Ltd セラミック酸素センサの製造方法
JP2012168030A (ja) * 2011-02-15 2012-09-06 Nippon Soken Inc ガスセンサ素子とガスセンサ
JP2015034782A (ja) * 2013-08-09 2015-02-19 日本特殊陶業株式会社 センサ素子およびセンサ
US20150338371A1 (en) * 2012-06-25 2015-11-26 Robert Bosch Gmbh Sensor element for detecting at least one property of a measuring gas in a measuring gas space, containing a ground, impregnated slip layer
JP2016109685A (ja) * 2014-12-04 2016-06-20 日本碍子株式会社 ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP2016188856A (ja) * 2015-03-27 2016-11-04 日本碍子株式会社 センサ素子及びガスセンサ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0743339A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Fujikura Ltd セラミック酸素センサの製造方法
JP2012168030A (ja) * 2011-02-15 2012-09-06 Nippon Soken Inc ガスセンサ素子とガスセンサ
US20150338371A1 (en) * 2012-06-25 2015-11-26 Robert Bosch Gmbh Sensor element for detecting at least one property of a measuring gas in a measuring gas space, containing a ground, impregnated slip layer
JP2015034782A (ja) * 2013-08-09 2015-02-19 日本特殊陶業株式会社 センサ素子およびセンサ
JP2016109685A (ja) * 2014-12-04 2016-06-20 日本碍子株式会社 ガスセンサ素子及びガスセンサ
JP2016188856A (ja) * 2015-03-27 2016-11-04 日本碍子株式会社 センサ素子及びガスセンサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP7333248B2 (ja) 2023-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6885760B2 (ja) センサ素子及びガスセンサ
JP5322965B2 (ja) ガスセンサ及びその製造方法
JP4911910B2 (ja) NOx測定電極部構造及びその形成方法並びにNOxセンサ素子
US8636886B2 (en) Gas sensor element and method of manufacturing the same
JP6626378B2 (ja) センサ素子及びガスセンサ
US10564139B2 (en) Sensor element
JP7181811B2 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
CN108693233B (zh) 传感器元件
JP7339896B2 (ja) ガスセンサ
JP2016188855A (ja) センサ素子及びガスセンサ
WO2020174861A1 (ja) センサ素子及びガスセンサ
JP6895308B2 (ja) センサ素子
JP7333248B2 (ja) センサ素子及びガスセンサ
JP7187679B2 (ja) ガスセンサ素子及びガスセンサ
US11921078B2 (en) Sensor element and gas sensor
CN108693234B (zh) 传感器元件
JP7543188B2 (ja) センサ素子
JP7324127B2 (ja) センサ素子及びガスセンサ
JP2023062921A (ja) センサ素子
JP7360311B2 (ja) ガスセンサのセンサ素子
JP2023148572A (ja) センサ素子及びガスセンサ
WO2021100569A1 (ja) センサ素子の製造方法
JP2024139518A (ja) センサ素子
CN118706923A (zh) 传感器元件

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230328

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230814

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7333248

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150