[第1実施形態]
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態であるガスセンサ100が備えるセンサ素子101の構成の一例を概略的に示した斜視図である。図2は、ガスセンサ100の構成の一例を概略的に示した断面図である。なお、図2中のセンサ素子101の断面部分は、図1のA−A断面である。図3は、図1のB−B断面図である。図3では、素子本体102の断面内部の図示は省略している。図4は、図3のC−C断面図である。図5は、図3のD−D断面図である。センサ素子101は長尺な直方体形状をしており、このセンサ素子101の長手方向(図2の左右方向)を前後方向とし、センサ素子101の厚み方向(図2の上下方向)を上下方向とする。また、センサ素子101の幅方向(前後方向及び上下方向に垂直な方向)を左右方向とする。
ガスセンサ100は、例えば車両の排ガス管などの配管に取り付けられて、被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO2等の特定ガスの濃度を測定するために用いられる。本実施形態では、ガスセンサ100は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。ガスセンサ100は、センサ素子101を備えている。センサ素子101は、センサ素子本体102と、センサ素子本体102を被覆する多孔質の保護層84と、を備えている。なお、センサ素子本体102は、センサ素子101のうち保護層84以外の部分を指す。
図2に示すように、センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された構造を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
センサ素子101の一先端部(前方向の端部)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第2内部空所40に至る部位をガス流通部とも称する。
また、ガス流通部よりも先端側から遠い位置には、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば大気が導入される。
大気導入層48は、多孔質セラミックスからなる層であって、大気導入層48には基準ガス導入空間43を通じて基準ガスが導入されるようになっている。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる大気導入層48が設けられている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内や第2内部空所40内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。
ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるように可変電源25のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所内20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
第2内部空所40は、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、さらに、測定用ポンプセル41の動作によりNOx濃度が測定される。
第2内部空所40では、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整が行われるようになっている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101の外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
測定用ポンプセル41は、第2内部空所40内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面であって第3拡散律速部30から離間した位置に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。
測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第2内部空所40内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。さらに、測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。
第4拡散律速部45は、セラミックス多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担うとともに、測定電極44の保護膜としても機能する。測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部45を通じて測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
また、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と基準電極42を組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準大気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることも可能である。
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75と、を備えている。
ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、スルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第2内部空所40の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3基板層3を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
また、素子本体102は、図1,2に示すように、一部が保護層84により被覆されている。ここで、センサ素子101は直方体であるため、図1〜図3に示すように、センサ素子101の固体電解質層の外表面として、第1面102a(上面),第2面102b(下面),第3面102c(左側面),第4面102d(右側面),第5面102e(前端面),第6面102f(後端面)、の6面を有している。保護層84は、多孔質体であり、素子本体102の6個の表面(第1〜第6面102a〜102f)のうち5面(第1〜第5面102a〜102e)にそれぞれ形成された第1〜第5保護層84a〜84eを備えている。第1〜第5保護層84a〜84eを保護層84と総称する。第1〜第4保護層84a〜84dの各々は、自身が形成されている素子本体102の表面のうち、素子本体102の前端面から後方に向かって距離L(図2参照)までの領域を全て覆っている。また、第1保護層84aは、第1面102aのうち外側ポンプ電極23が形成された部分も被覆している(図2,3参照)。第5保護層84eは、ガス導入口10も覆っているが、第5保護層84eが多孔質体であるため、被測定ガスは保護層84eの内部を流通してガス導入口に到達可能である。保護層84は、素子本体102の一部(素子本体102の前端面を含む、前端面から距離Lまでの部分)を被覆して、その部分を保護するものである。保護層84は、例えば被測定ガス中の水分等が付着して素子本体102にクラックが生じるのを抑制する役割を果たす。なお、距離Lは、ガスセンサ100において素子本体102が被測定ガスに晒される範囲や、外側ポンプ電極23の位置などに基づいて、(0<距離L<素子本体102の長手方向の長さ)の範囲で定められている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、素子本体102は前後方向の長さと、左右方向の幅と、上下方向の厚さとがそれぞれ異なっており、長さ>幅>厚さとなっている。また、距離Lは素子本体102の幅及び厚さよりも大きい値であるものとした。
図2〜5に示すように、保護層84は、内部に空間90を有する。具体的には、第1保護層84aが上側空間91を有し、第2保護層84bが下側空間92を有し、第3保護層84cが左側空間93を有し、第4保護層84dが右側空間94を有している。この空間91〜94を空間90と総称する。
上側空間91は、第1面102aに垂直な方向(上方)に第1面102aから離間した空間であり、略直方体形状に形成されている。上側空間91は、図4に示すように、第1面102aに垂直な方向からみたときすなわち上面視で、第1面102aのうち保護層84(第1保護層84a)に被覆されている領域(第1面102aのうち前端面から距離Lまでの領域)の中心を含むように位置している。すなわち、第1面102aのうち保護層84(第1保護層84a)に被覆されている領域の中心が、上側空間91の真下に位置している。なお、第1面102aのうち保護層84に被覆されている領域の中心とは、その領域の前後方向の中央且つ左右方向の中央を意味する。また、上側空間91は、上方からみたときに、上側空間91の少なくとも一部が外側ポンプ電極23の少なくとも一部と重なるように位置していてもよい。本実施形態では、図4に示すように、上方からみたときに、上側空間91は外側ポンプ電極23全体と重なる(上側空間91が外側ポンプ電極23全体を含む)ように位置している。
下側空間92,左側空間93,右側空間94は、上側空間91と同様の形状をしている。第2面102b,第3面102c,第4面102dに対する下側空間92,左側空間93,右側空間94の位置関係は、第1面102aに対する上側空間91の位置関係と同様である。上側空間91と下側空間92とは上下対称な形状及び配置をしている。左側空間93と右側空間94とは左右対称な形状及び配置をしている。
具体的には、下側空間92は、第2面102bに垂直な方向(下方)に第2面102bから離間した空間であり、略直方体形状に形成されている。下側空間92は、図5に示すように、第2面102bに垂直な方向すなわち下方からみたときに、第2面102bのうち保護層84(第2保護層84b)に被覆されている領域(第2面102bのうち前端面から距離Lまでの領域)の中心を含むように位置している。すなわち、第2面102bのうち保護層84(第2保護層84b)に被覆されている領域の中心が、下側空間92の真上に位置している。なお、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の中心とは、その領域の前後方向の中央且つ左右方向の中央を意味する。
左側空間93は、第3面102cに垂直な方向(左方)に第3面102bから離間しており、第3面102cに垂直な方向すなわち左方からみたときに、第3面102cのうち保護層84(第3保護層84c)に被覆されている領域(第3面102cのうち前端面から距離Lまでの領域)の中心を含むように位置している。右側空間94は、第4面102dに垂直な方向(右方)に第4面102cから離間しており、第4面102dに垂直な方向すなわち右方からみたときに、第4面102dのうち保護層84(第4保護層84d)に被覆されている領域(第4面102dのうち前端面から距離Lまでの領域)の中心を含むように位置している。
保護層84は、例えばアルミナ多孔質体、ジルコニア多孔質体、スピネル多孔質体、コージェライト多孔質体,チタニア多孔質体、マグネシア多孔質体などの多孔質体からなるものである。本実施形態では、保護層84はアルミナ多孔質体からなるものとした。特に限定するものではないが、保護層84の膜厚は例えば100〜1000μmであり、保護層84の気孔率は例えば5体積%〜85体積%である。
こうして構成されたガスセンサ100の製造方法を以下に説明する。ガスセンサ100の製造方法では、まず素子本体102を製造し、次に素子本体102に保護層84を形成してセンサ素子101を製造する。
素子本体102を製造する方法について説明する。まず、6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。そして、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6のそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに電極や絶縁層、抵抗発熱体等のパターンを印刷する。このように各種のパターンを形成したあと、グリーンシートを乾燥する。その後、それらを積層して積層体とする。こうして得られた積層体は、複数個の素子本体102を包含したものである。その積層体を切断して素子本体102の大きさに切り分け、所定の焼成温度で焼成して、素子本体102を得る。
次に、素子本体102に保護層84を形成する方法について説明する。保護層84の形成は、ゲルキャスト法,スクリーン印刷,ディッピング,プラズマ溶射などの種々の方法により形成することができる。また、保護層84内の空間90の形成は、燃焼によって消失する消失材(例えばカーボン,テオブロミンなど)を用いて行うことができる。
なお、ゲルキャスト法は、スラリーを、スラリー自身の化学反応により固化して成形体とする方法である。例えば、成形型の内部に素子本体102の一部(被覆したい部分)を露出させ、成形型と素子本体102との隙間にスラリーを流し込み、固化させる。ゲルキャスト法に用いるスラリーとしては、例えば、保護層84の原料粉末(セラミックス粒子など)と、焼結助剤と、有機溶媒と、分散剤及びゲル化剤とを含むものを用いることができる。ゲル化剤としては、重合可能な少なくとも2種類の有機化合物を含むものであれば、特に限定されないが、例えば、ウレタン反応が可能な2種類の有機化合物を含むものなどが挙げられる。このような2種類の有機化合物としては、イソシアネート類とポリオール類が挙げられる。スラリーを調製するに当たっては、まず、原料粉末、焼結助剤、有機溶媒及び分散剤を所定の割合で添加して所定時間に亘ってこれらを混合することによりスラリー前駆体を調製する。そして、スラリーを使用する直前に、そのスラリー前駆体にゲル化剤を添加して混合することによりスラリーとする。なお、スラリー前駆体に、ゲル化剤を構成するイソシアネート類、ポリオール類及び触媒のいずれか1つか2つを添加しておき、その後、スラリーを調製する際に、残りの成分を添加してもよい。スラリー前駆体にゲル化剤を添加したあとのスラリーは、時間経過に伴いゲル化剤の化学反応(ウレタン反応)が進行し始めるため、速やかに成形型内に流し込むことが好ましい。
例えば、保護層84を形成する場合、以下のように行う。まず、素子本体102の表面に、保護層84のうち空間90と素子本体102との間の領域(内側領域とも称する)となる部分を形成する。内側領域は、素子本体102と上側空間91,下側空間92,左側空間93,右側空間94との間の領域である。内側領域は、素子本体102の上下左右を囲むような1つの領域として形成してもよいし、素子本体102の上下左右にそれぞれ位置する領域として形成してもよい。続いて、内側領域の表面に、消失材を塗布及び乾燥することで、上側空間91,下側空間92,左側空間93,右側空間94の形状の消失体を形成する。消失材の塗布は、例えばスクリーン印刷,グラビア印刷,インクジェット印刷などによって行うことができる。また、塗布及び乾燥を複数回繰り返して消失体を形成しても良い。次に、保護層84の残りの部分(既に形成した内側領域以外の部分)を形成する。これにより、空間90の形状の消失体を素子本体102から離間した位置に備えた保護層84が形成される。その後、消失体を燃焼により消失させる。これにより、消失体の部分が空間90となり、内部に空間90を有する保護層84が形成される。このようにして素子本体102に保護層84を形成し、センサ素子101を得る。なお、ゲルキャスト法,スクリーン印刷又はディッピングにより保護層84を形成する際には、保護層84となるスラリーを固化や乾燥させた後に、スラリーを焼成して保護層84とする。この場合、保護層84の焼成と消失体の燃焼とを同時に行ってもよい。また、プラズマ溶射により保護層84を形成する場合には、保護層84を形成した後に消失体を燃焼により消失させればよい。
なお、空間90の形状の消失体を備えた保護層84(あるいは焼成前の保護層84)を形成する際には、保護層84の一部の形成と消失体の一部の形成とを繰り返し行って、素子本体102の表面から厚さ方向に徐々に積層していくことで保護層84と消失体とを形成してもよい。また、保護層84の形成は、第1〜第5保護層84a〜84eをまとめて形成して行ってもよいし、第1〜第5保護層84a〜84eを1層ずつ形成して行ってもよい。
このようにしてセンサ素子101を得ると、所定のハウジングに収容してガスセンサ100の本体(図示せず)に組み込むことで、ガスセンサ100が得られる。
こうして構成されたガスセンサ100の使用時には、配管内の被測定ガスがセンサ素子101に到達し、保護層84を通過してガス導入口10内に流入する。そして、センサ素子101は、ガス導入口10内に流入した被測定ガス中のNOx濃度を検出する。このとき、被測定ガスに含まれる水分が保護層84の表面に付着する場合がある。素子本体102は、上述したようにヒータ72により固体電解質が活性化する温度(例えば800℃など)に調整されており、素子102に水分が付着すると温度が急激に低下して素子本体102にクラックが生じる場合がある。ここで、本実施形態の保護層84は、内部に空間90を有している。これにより、保護層84の厚さ方向(保護層84の外周面から素子本体102へ向かう方向)への熱伝導を空間90によって断熱できるため、保護層84の表面に水が付着した場合の素子本体102の冷えが抑制される。具体的には、上側空間91,下側空間92,左側空間93,右側空間94の各々が存在することで、保護層84の上側,下側,左側,右側の各々の表面に水が付着した場合の素子本体102の冷えを抑制できる。したがって、本実施形態では、素子本体102の耐被水性が向上している。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の素子本体102が本発明の素子本体に相当し、外側ポンプ電極23が外側電極に相当し、下側空間92が空間に相当し、保護層84が保護層に相当する。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、センサ素子101は、酸素イオン伝導性の固体電解質層を備えた長尺な直方体形状の素子本体102と、素子本体102の第1面102aに配置された外側ポンプ電極23と、素子本体102の第1面102aとは反対側の第2面102bの少なくとも一部を被覆し、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間した1以上の空間(下側空間92)を有する保護層84と、を備えている。これにより、保護層84の厚さ方向への熱伝導(特に第2保護層84bの下側表面から上方への熱伝導)を下側空間92によって断熱できるため、保護層84の表面に水が付着した場合の素子本体102の冷えが抑制される。したがって、素子本体102の耐被水性が向上する。なお、本実施形態では、図2に示すように、素子本体102の上下方向の中央よりも下方にヒータ72が配置されている。すなわち、ヒータ72は第1面102aよりも第2面102bに近い位置に配置されている。そのため、第2面102bは比較的高温になりやすい。したがって、保護層84が第2面102b側に下側空間92を備える意義が高い。また、上側空間91,左側空間93,右側空間94の各々が存在することで、第1,第3,第4保護層84a,84c,84dの各々の表面に水が付着した場合の素子本体102の冷えを抑制できるため、素子本体102の耐被水性がより向上する。
また、下側空間92は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の中央と重なるように位置している。ここで、保護層84に被覆されている領域の中央は比較的高温になりやすく、中央から遠い部分(例えば第2面102bの端部に近い部分など)は比較的高温になりにくい。そのため、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の中央を下側空間92によって断熱することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態のセンサ素子101Aの断面図である。図7は、図6のE−E断面図である。センサ素子101Aは、保護層84が空間90とは異なる空間90Aを備えており、それ以外の点は第1実施形態のセンサ素子101と同じである。
空間90Aは、上側空間91A,下側空間92A,左側空間93A,右側空間94Aを有している。上側空間91Aは、第1保護層84aの上面に開口する連通孔H1をさらに備えている点以外は、第1実施形態の上側空間91と同じである。同様に、各空間92A〜94Aは、保護層84の外側の面に開口する連通孔H2〜H4をさらに備えている点以外は、第1実施形態の各空間92〜94と同じである。
連通孔H2は、保護層84の下面に略四角形状に開口した直方体形状の空間である。ただし、これに限らず例えば円形に開口していてもよい。この連通孔H2により、下側空間92Aは保護層84の外部と連通している。連通孔H2の位置は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央としてもよいし、左右方向の中央としてもよいし、中心(前後左右の中央)としてもよい。
連通孔H1,H3,H4の、それぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに対する位置関係や形状は、第2面102bに対する連通孔H2の位置関係や形状と同様である。なお、本実施形態では、上側空間91Aと下側空間92Aとは上下対称な形状及び配置をしている。左側空間93Aと右側空間94Aとは左右対称な形状及び配置をしている。
以上説明したセンサ素子101Aも、センサ素子101と同様に、各空間91A〜94Aが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、下側空間92Aは、第2保護層84bの外部と連通する開口(連通孔H2の開口)を有している。これにより、開口から下側空間92A内の熱を逃がすことができるため、素子本体102の過熱が抑制される。したがって、保護層84の表面に水が付着した場合の素子本体102の急激な温度低下を抑制でき、素子本体102の耐被水性が向上する。同様に、各空間91A,93A,94Aが連通孔H1,H3,H4の開口を有することで、素子本体102の耐被水性が向上する。
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態のセンサ素子101Bの断面図である。図9は、図8のF−F断面図である。センサ素子101Bは、保護層84が空間90とは異なる空間90Bを備えており、それ以外の点は第1実施形態のセンサ素子101と同じである。
空間90Bは、上側空間91B,下側空間92B,左側空間93B,右側空間94Bを有している。下側空間92Bは、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間した複数の内側空間95B2と、内側空間95B2に対して第2面102bに垂直な方向(下方)にずれて位置する複数の外側空間96B2と、を有している。内側空間95B2は、略直方体形状の空間である。内側空間95B2は、図9に示すように左右方向に3個,前後方向に4個の計12個が存在し、下面視で格子状に配列されている。外側空間96B2は、略直方体形状の空間である。外側空間96B2は、図9に示すように左右方向に4個,前後方向に5個の計20個が存在し、下面視で格子状に配列されている。複数の内側空間95B2はいずれも上下方向の長さが同じであり、上下方向の位置も同じである。また、複数の外側空間96B2はいずれも上下方向の長さが同じであり、上下方向の位置も同じである。すなわち、複数の内側空間95B2と複数の外側空間96B2とは、上下2段に配列されている。
複数の内側空間95B2と複数の外側空間96B2とは、上下方向に垂直な方向から見たときに互いの位置が重複しないように、上下に離れた高さに位置している。また、複数の内側空間95B2と複数の外側空間96B2とは、互いに左右方向にずれた位置且つ前後方向にずれた位置に配置されている。
上側空間91Bは、第1面102aに垂直な方向に第1面102aから離間した複数の内側空間95B1と、内側空間95B1に対して第1面102aに垂直な方向(上方)にずれて位置する複数の外側空間96B1と、を有している。左側空間93Bは、第3面102cに垂直な方向に第3面102cから離間した複数の内側空間95B3と、内側空間95B3に対して第3面102cに垂直な方向(左方)にずれて位置する複数の外側空間96B3と、を有している。右側空間94Bは、第4面102dに垂直な方向に第4面102dから離間した複数の内側空間95B4と、内側空間95B4に対して第4面102dに垂直な方向(右方)にずれて位置する複数の外側空間96B4と、を有している。各内側空間95B1,95B3,95B4,各外側空間96B1,96B3,96B4の、それぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに対する位置関係や形状は、第2面102bに対する内側空間95B2,外側空間96B2の位置関係や形状と同様である。なお、本実施形態では、内側空間95B3,95B4はそれぞれ上下方向に1個,前後方向に4個の計4個とした。また、外側空間96B3,96B4はそれぞれ上下方向に2個,前後方向に5個の計10個とした。また、本実施形態では、上側空間91Bと下側空間92Bとは上下対称な形状及び配置をしている。左側空間93Bと右側空間94Bとは左右対称な形状及び配置をしている。
以上説明したセンサ素子101Bも、センサ素子101と同様に、各空間91B〜94Bが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、第2保護層84bは、複数の内側空間95B2及び複数の外側空間96B2を有しており、これら複数の空間の少なくとも1つ(外側空間96B2)は、他の少なくとも1つの空間(内側空間95B2)に対して第2面102bに垂直な方向にずれて位置している。第2保護層84b内にこのような複数の空間がある場合、合計容積が同じ1つの空間がある場合と比べて、第2保護層84bの強度は低下しにくい。そのため、第2保護層84b内に空間を設けることで素子本体102の耐被水性を向上させつつ、空間が存在することによる第2保護層84bの強度の低下を抑制できる。また、複数の内側空間95B2に対して垂直な方向にずれて位置する複数の外側空間96B2があることで、同じ形状及び数の複数の空間が全て第2面102bに平行な方向にずれて位置している(垂直な方向にはずれていない)場合と比べて、空間同士の位置を離しやすい。そのため、第2保護層84bの強度の低下をより抑制できる。各空間91B,93B,94Bについても、同様の構成により同様の効果が得られる。
[第4実施形態]
図10は、第4実施形態のセンサ素子101Cの断面図である。図11は、図10のG−G断面図である。センサ素子101Cは、保護層84が空間90Bとは異なる空間90Cを備えており、それ以外の点は第3実施形態のセンサ素子101Bと同じである。
空間90Cは、上側空間91C,下側空間92C,左側空間93C,右側空間94Cを有している。下側空間92Cは、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間した複数の内側空間95C2と、内側空間95C2に対して第2面102bに垂直な方向(下方)にずれて位置する複数の外側空間96C2と、を有している。同様に、各空間91C,93C,94Cは、複数の内側空間95C1,95C3,95C4と、複数の外側空間96C1,96C3,96C4と、を有している。
外側空間96C2の数,形状,配置は、第3実施形態の外側空間96B2と同じである。同様に、外側空間96C1,96C3,96C4の数,形状,配置は、第3実施形態の外側空間96B1,96B3,96B4と同じである。
複数の内側空間95C2は、複数の外側空間96C2に対して第2面102bに垂直な方向及び前後方向にずれて位置しているが、左右方向の位置は同じである。この点が第3実施形態の内側空間95B2と外側空間96B2との位置関係と異なる。図11に示すように、内側空間95C2は、左右方向に4個,前後方向に4個の計16個が存在し、下面視で格子状に配列されている。
同様に、複数の内側空間95C1,95C3,95C4についても、対応する複数の外側空間96C1,96C3,96C4と左右方向の位置は同じである。なお、各内側空間95C1,95C3,95C4の、それぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに対する位置関係や形状は、第2面102bに対する内側空間95C2の位置関係や形状と同様である。なお、本実施形態では、内側空間95C3,95C4はそれぞれ上下方向に2個,前後方向に4個の計8個とした。また、本実施形態では、上側空間91Cと下側空間92Cとは上下対称な形状及び配置をしている。左側空間93Cと右側空間94Cとは左右対称な形状及び配置をしている。
以上説明したセンサ素子101Cも、センサ素子101やセンサ素子101Bと同様の構成により、同様の効果が得られる。
[第5実施形態]
図12は、第5実施形態のセンサ素子101Dの断面図である。図13は、図12のH−H断面図である。センサ素子101Dは、保護層84が空間90とは異なる空間90Dを備えており、それ以外の点は第1実施形態のセンサ素子101と同じである。
空間90Dは、上側空間91D,下側空間92D,左側空間93D,右側空間94Dを有している。上側空間91Dは、上側空間91Dを第1面102aに垂直な方向に支持する柱状部P1が複数形成されている点以外は、第1実施形態の上側空間91と同じである。同様に、各空間92D〜94Dは、それぞれ対応する第2面〜第4面102b〜102dに垂直な方向に各空間を支持する柱状部P2〜P4が複数形成されている点以外は、第1実施形態の各空間92〜94と同じである。
柱状部P2は、第2保護層84bの一部であり、四角柱状の形状をしている。柱状部P2の形状は、これに限らず円柱状や三角柱状,五角形以上の多角柱状などとしてもよい。図13に示すように、複数の柱状部P2は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央から遠いほど柱状部P2の密度が高くなる傾向に配置されている。より具体的には、前後方向の中央から遠いほど単位面積あたりの柱状部P2の数が多くなる傾向(複数の柱状部P2が密集する傾向)に配置されている。換言すると、複数の柱状部P2は、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の前端や後端に近いほど、単位面積あたりの柱状部P2の数が多くなる傾向に配置されている。
柱状部P1,P3,P4の、それぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに対する位置関係や形状は、第2面102bに対する柱状部P2の位置関係や形状と同様である。例えば、柱状部P1は、第1面102aに垂直な方向からみたときに、第1面102aのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央から遠いほど単位面積あたりの柱状部P1の数が多くなる傾向に配置されている。柱状部P3は、第3面102cに垂直な方向からみたときに、第3面102cのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央から遠いほど単位面積あたりの柱状部P3の数が多くなる傾向に配置されている。柱状部P4は、第4面102dに垂直な方向からみたときに、第4面102dのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央から遠いほど単位面積あたりの柱状部P4の数が多くなる傾向に配置されている。なお、本実施形態では、複数の柱状部P1と複数の柱状部P2とは上下対称な形状及び配置をしている。複数の柱状部P3と複数の柱状部P4とは左右対称な形状及び配置をしている。
以上説明したセンサ素子101Dも、センサ素子101と同様に、各空間91D〜94Dが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、第2保護層84bは、下側空間92Dについて、下側空間92Dを第2面102bに垂直な方向に支持する1以上の柱状部P2を有している。そのため、柱状部P2が下側空間92Dを支持することで、第2保護層84bの強度の低下を抑制できる。さらに、第2保護層84bは、複数の柱状部P2を有しており、複数の柱状部P2は、第2面102bのうち第2保護層84bに被覆されている領域の中央から遠いほど柱状部P2の密度が高くなる傾向に配置されている。ここで、第2保護層84bに被覆されている領域の中央は比較的高温になりやすく、中央から遠い部分(例えば第2面102bの端部に近い部分など)は比較的高温になりにくい。そのため、比較的高温になりにくい部分ほど柱状部P2の密度が高くなる傾向にすることで、柱状部P2によって第2保護層84bの強度の低下を抑制しつつ、高温になりやすい領域については柱状部P2が存在することによる下側空間92Dの断熱効果の低下を抑制できる。したがって、第2保護層84bの強度の低下をより抑制しつつ、素子本体102の耐被水性をより向上させることができる。各空間91D,93D,94Dについても、同様の構成により同様の効果が得られる。
[第6実施形態]
図14は、第6実施形態のセンサ素子101Eの断面図である。図15は、図14のI−I断面図である。センサ素子101Eは、保護層84が空間90Dとは異なる空間90Eを備えており、それ以外の点は第5実施形態のセンサ素子101Dと同じである。
空間90Eは、上側空間91E,下側空間92E,左側空間93E,右側空間94Eを有している。各空間91E〜94Eは、各空間91E〜94Eを支持する柱状部P1〜P4の配置や数が異なる点以外は、第5実施形態の各空間91D〜94Dと同じである。
図15に示すように、複数の柱状部P2は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央に近いほど柱状部P2の密度が高くなる傾向に配置されている。より具体的には、前後方向の中央に近いほど単位面積あたりの柱状部P2の数が多くなる傾向(複数の柱状部P2が密集する傾向)に配置されている。
柱状部P1,P3,P4の、それぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに対する位置関係や形状は、第2面102bに対する柱状部P2の位置関係や形状と同様である。例えば、柱状部P1は、第1面102aに垂直な方向からみたときに、第1面102aのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央に近いほど単位面積あたりの柱状部P1の数が多くなる傾向に配置されている。柱状部P3は、第3面102cに垂直な方向からみたときに、第3面102cのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央に近いほど単位面積あたりの柱状部P3の数が多くなる傾向に配置されている。柱状部P4は、第4面102dに垂直な方向からみたときに、第4面102dのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央に近いほど単位面積あたりの柱状部P4の数が多くなる傾向に配置されている。なお、本実施形態では、複数の柱状部P1と複数の柱状部P2とは上下対称な形状及び配置をしている。複数の柱状部P3と複数の柱状部P4とは左右対称な形状及び配置をしている。
以上説明したセンサ素子101Eも、センサ素子101と同様に、各空間91E〜94Eが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、柱状部P2が下側空間92Eを支持することで、第2保護層84bの強度の低下を抑制できる。各空間91E,93E,94Eについても、同様の構成により同様の効果が得られる。
[第7実施形態]
図16は、第7実施形態のセンサ素子101Fの断面図である。図17は、図16のJ−J断面図である。図18は、図16のK−K断面図である。センサ素子101Fは、保護層84が空間90とは異なる空間90Fを備えており、それ以外の点は第1実施形態のセンサ素子101と同じである。
空間90Fは、上側空間91F,下側空間92F,左側空間93F,右側空間94Fを有している。図17に示すように、下側空間92Fは、長手方向が第2面102bの長手方向(前後方向)に沿った空間である第1空間97F2を、第2面102bの短手方向(左右方向)に沿って複数有している。また、下側空間92Fは、長手方向が第2面102bの短手方向に沿うと共に第1空間97F2と交差する空間である第2空間98F2を、第2面102bの長手方向に沿って複数有している。なお、本実施形態では、第1空間97F2は2個存在し、第2空間98F2は5個存在するものとした。複数の第2空間98F2は、前後方向に均等な間隔で位置している。第1空間97F2及び第2空間98F2は、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間している。
第1空間97F2及び第2空間98F2は、いずれも略直方体形状の空間である。また、第1空間97F2は、スリット状の形状をしており、第2面102bの短手方向に沿った1辺(左右方向の辺)が他の2辺(上下方向,前後方向の辺)よりも短い。第2空間98F2は、スリット状の形状をしており、第2面102bの長手方向に沿った1辺(前後方向の辺)が他の2辺(上下方向,左右方向の辺)よりも短い。
上側空間91Fは、下側空間92Fと同様に複数の第1空間97F1と、複数の第2空間98F1と、を有している。左側空間93Fは、下側空間92Fと同様に複数の第1空間97F3と、複数の第2空間98F3と、を有している。右側空間94Fは、下側空間92Fと同様に複数の第1空間97F4と、複数の第2空間98F4と、を有している。
各第1空間97F1,97F3,97F4,各第2空間98F1,98F3,98F4の、それぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに対する位置関係や形状は、第2面102bに対する第1空間97F2,第2空間98F2の位置関係や形状と同様である。例えば、複数の第1空間97F1,97F3,97F4は、長手方向がそれぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dの長手方向(前後方向)に沿っている。複数の第2空間98F1,98F3,98F4は、長手方向がそれぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dの短手方向に沿っている。また、複数の第1空間97F1と複数の第2空間98F1とは交差しており、複数の第1空間97F3と複数の第2空間98F3とは交差しており、複数の第1空間97F4と複数の第2空間98F4とは交差している。また、本実施形態では、上側空間91Fと下側空間92Fとは上下対称な形状及び配置をしている。左側空間93Fと右側空間94Fとは左右対称な形状及び配置をしている。
以上説明したセンサ素子101Fも、センサ素子101と同様に、各空間91F〜94Fが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、第2保護層84bは、複数の第1空間97F2と複数の第2空間98F2とを有している。第2面102bの長手方向に沿った細長い第1空間97F2が第2面102bの短手方向に沿って複数存在することで、被水時の第2保護層84bと素子本体102との熱膨張係数差に起因する、第2保護層84bから素子本体102に対する第2面102bの短手方向に沿った応力が低減される。また、第2面102bの短手方向に沿った細長い第2空間98F2が第2面102bの長手方向に沿って複数存在することで、被水時の第2保護層84bと素子本体102との熱膨張係数差に起因する、第2保護層84bから素子本体102に対する第2面102bの長手方向に沿った応力が低減される。これらにより、被水時に素子本体102が割れにくくなり、素子本体102の耐被水性がより向上する。第1,第3,第4保護層84a,84c,84dの各々についても、各空間91F,93F,94Fが存在することで、同様の構成により同様の効果が得られる。
[第8実施形態]
図19は、第8実施形態のセンサ素子101Gの断面図である。図20は、図19のL−L断面図である。センサ素子101Gは、保護層84が空間90Gを備えている。空間90Gは、上側空間91G,下側空間92G,左側空間93G,右側空間94Gを有している。上側空間91Gは、複数の第1空間97F1を備えており、第2空間98F1を備えない点以外は、第7実施形態の上側空間91Fと同じである。同様に、各空間92G〜94Gは、それぞれ複数の第1空間97F2〜97F4を備えており、それぞれ第2空間98F2〜98F4を備えない点以外は、第7実施形態の各空間92F〜94Fと同じである。
以上説明したセンサ素子101Gも、センサ素子101と同様に、各空間91G〜94Gが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、第2保護層84bが複数の第1空間97F2を有していることで、第7実施形態と同様に、被水時の第2保護層84bと素子本体102との熱膨張係数差に起因する、第2保護層84bから素子本体102に対する第2面102bの短手方向に沿った応力が低減される。これにより、被水時に素子本体102が割れにくくなり、素子本体102の耐被水性がより向上する。第1,第3,第4保護層84a,84c,84dの各々についても、それぞれ第1空間97F1,97F3,97F4が存在することで、同様の効果が得られる。
[第9実施形態]
図21は、第9実施形態のセンサ素子101Hの断面図である。図22は、図21のM−M断面図である。センサ素子101Hは、保護層84が空間90Hを備えている。空間90Hは、上側空間91H,下側空間92H,左側空間93H,右側空間94Hを有している。上側空間91Hは、複数の第2空間98F1を備えており、第1空間97F1を備えない点以外は、第7実施形態の上側空間91Fと同じである。同様に、各空間92H〜94Hは、それぞれ複数の第2空間98F2〜98F4を備えており、それぞれ第1空間97F2〜97F4を備えない点以外は、第7実施形態の各空間92F〜94Fと同じである。
以上説明したセンサ素子101Hも、センサ素子101と同様に、各空間91H〜94Hが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、第2保護層84bが複数の第2空間98F2を有していることで、第7実施形態と同様に、被水時の第2保護層84bと素子本体102との熱膨張係数差に起因する、第2保護層84bから素子本体102に対する第2面102bの長手方向に沿った応力が低減される。これにより、被水時に素子本体102が割れにくくなり、素子本体102の耐被水性がより向上する。第1,第3,第4保護層84a,84c,84dの各々についても、それぞれ第2空間98F1,98F3,98F4が存在することで、同様の効果が得られる。
[第10実施形態]
図23は、第10実施形態のセンサ素子101Iの断面図である。図24は、センサ素子101Iの前端周辺の下面図である。なお、図23は、センサ素子101Iを後方右下からみた様子を示している。センサ素子101Iは、保護層84が空間90とは異なる空間90Iを備えており、それ以外の点は第1実施形態のセンサ素子101と同じである。
空間90Iは、上側空間91I,下側空間92I,左側空間93I,右側空間94Iをそれぞれ複数有している。下側空間92Iは、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間した空間である。下側空間92Iは、長手方向が第2面102bの長手方向に沿った略三角柱形状の空間である。複数の下側空間92Iは、第2面102bの短手方向に沿って複数(本実施形態では6個)並べて配置されている。下側空間92Iは、図23に示すように、第2面102bに垂直な断面(上下左右方向に沿った断面)が三角形状をしている。そのため、下側空間92Iは、第2面102bから離れるほどすなわち下方に向かうほど、空間が狭くなる傾向の形状をしている。また、下側空間92Iは、第2面102bに垂直な断面視で第2面102bに対向する三角形の2辺を構成する内表面Sa2,Sb2を有している。内表面Sa2,Sb2は、第2面102bから離れるほどすなわち下方に向かうほど互いに近付く方向に傾斜している。
各空間91I,93I,94Iは、下側空間92Iと同様に、第1,第3,第4面102a,102c,102dに垂直な方向に第1,第3,第4面102a,102c,102dから離間した空間である。また、各空間91I,93I,94Iは、対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに垂直な断面視で対応する面に対向する三角形の2辺を構成する内表面Sa1,Sa3,Sa4,及び内表面Sb1,Sb3,Sb4を有している。各空間91I,93I,94Iの、それぞれ対応する第1,第3,第4面102a,102c,102dに対する位置関係や形状は、第2面102bに対する下側空間92Iの位置関係や形状と同様である。なお、左側空間93I及び右側空間94Iは、それぞれ上下方向に2個並べて配置されている。本実施形態では、複数の上側空間91Iと複数の下側空間92Iとは上下対称な形状及び配置をしている。複数の左側空間93Iと複数の右側空間94Iとは左右対称な形状及び配置をしている。また、複数の上側空間91Iのうち左右方向の中央の4個の上側空間91Iの各々は、第1面102aに垂直な方向からみたときに、外側ポンプ電極23の一部と重なるように位置しており、左右方向の中央の4個の上側空間91Iに外側ポンプ電極23が含まれるように位置している。
以上説明したセンサ素子101Iも、センサ素子101と同様に、各空間91I〜94Iが存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、下側空間92Iは、第2面102bから離れるほど空間が狭くなる傾向の形状をしている。このような形状の下側空間92Iは、例えば図3の下側空間92のように第2面102bに平行な内表面を有する直方体形状の空間と比べて、第2保護層84bの強度の低下を抑制できる。
また、下側空間92Iは、第2面102bから離れるほど互いに近付く方向に傾斜した少なくとも2つの内表面Sa2,Sb2を有している。このような内表面Sa2,Sb2を有する下側空間92Iは、例えば図3の下側空間92のように第2面102bに平行な内表面を有する直方体形状の空間と比べて、第2保護層84bの強度の低下を抑制できる。
また、第2保護層84bは、長手方向が第2面102bの長手方向に沿った下側空間92Iを、第2面102bの短手方向に沿って複数有している。そのため、センサ素子101F,101Gと同様に、被水時の第2保護層84bと素子本体102との熱膨張係数差に起因する、第2保護層84bから素子本体102に対する第2面102bの短手方向に沿った応力が低減される。これにより、被水時に素子本体102が割れにくくなり、素子本体102の耐被水性がより向上する。
第1,第3,第4保護層84a,84c,84dの各々についても、それぞれ各空間91I,93I,94Iが存在することで、第2保護層84bと同様の構成により同様の効果が得られる。
[第11実施形態]
図25は、第11実施形態のセンサ素子101Jの断面図である。図26は、センサ素子101Jの前端周辺の下面図である。なお、図25は、センサ素子101Jを後方右下からみた様子を示している。センサ素子101Jは、保護層84が空間90とは異なる空間90Jを備えており、それ以外の点は第1実施形態のセンサ素子101と同じである。空間90Jは、空間95J1〜95J6を有している。
空間95J2は、素子本体102の下側に配置された空間であり、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間している。空間95J2は、半楕円柱状の空間であり、第2面102bに対向する内表面(保護層84の内側すなわち上方を向いた面)が長方形を第2保護層84bの外側(下方)に湾曲させた曲面(円筒の内周面の一部に相当する曲面)となっている。そのため、空間95J2は、第2面102bに垂直な断面(上下左右方向に沿った断面)が半楕円形状をしており、第2面102bから離れるほど(下方に向かうほど)空間が狭くなる傾向の形状をしている。空間95J2は、長手方向が第2面102bの長手方向に沿っている。
空間95J1は、素子本体102の上側に配置された空間であり、第1面102aに垂直な方向に第1面102aから離間している。空間95J1は、半楕円柱状の空間であり、第1面102aに対向する内表面(保護層84の内側すなわち下方を向いた面)が長方形を第1保護層84aの外側(上方)に湾曲させた曲面(円筒の内周面の一部に相当する曲面)となっている。空間95J1は、長手方向が第1面102aの長手方向に沿っている。第1面102aに垂直な方向からみたときに、外側ポンプ電極23は、全体が空間95J1に含まれるように位置している。空間95J1は、空間95J2と上下対称な形状及び配置をしている。
空間95J4は、素子本体102の左下に配置された空間であり、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間し、且つ、第3面102cに垂直な方向に第3面102cから離間している。空間95J4は、円柱の一部を切り欠いた形状をしている。空間95J4は、第2面102bに対向する内表面(上方を向いた面)が長方形を第2保護層84bの外側(下方)に湾曲させた曲面(円筒の内周面の一部に相当する曲面)となっている。そのため、空間95J4は、第2面102bから離れるほど(下方に向かうほど)空間が狭くなる傾向の形状をしている。また、空間95J4は、第3面102cに対向する内表面(右方を向いた面)が長方形を第3保護層84cの外側(左方)に湾曲させた曲面(円筒の内周面の一部に相当する曲面)となっている。そのため、空間95J4は、第3面102cから離れるほど(左方に向かうほど)空間が狭くなる傾向の形状をしている。空間95J4は、長手方向が第2面102b及び第3面102cの長手方向に沿っている。
空間95J3は、素子本体102の左上に配置された空間であり、第1面102aに垂直な方向に第1面102aから離間し、且つ、第3面102cに垂直な方向に第3面102cから離間している。空間95J3は、空間95J4と上下対称な形状及び配置をしている。空間95J5は、素子本体102の右上に配置された空間であり、第1面102aに垂直な方向に第1面102aから離間し、且つ、第4面102dに垂直な方向に第4面102dから離間している。空間95J5は、空間95J3と左右対称な形状及び配置をしている。空間95J6は、素子本体102の右下に配置された空間であり、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間し、且つ、第4面102dに垂直な方向に第4面102dから離間している。空間95J6は、空間95J4と左右対称な形状及び配置をしており、空間95J5と上下対称な形状及び配置をしている。
空間95J1,95J3,95J5は、第1面102aの短手方向に沿って配置されている。空間95J2,95J4,95J6は、第2面102bの短手方向に沿って配置されている。空間95J3,95J4は、第3面102cの短手方向に沿って配置されている。空間95J5,95J6は、第4面102dの短手方向に沿って配置されている。
以上説明したセンサ素子101Jも、センサ素子101と同様に、各空間95J1〜95J6が存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、空間95J2,95J4,95J6は、第2面102bから離れるほど空間が狭くなる傾向の形状をしている。さらに、空間95J2,95J4,95J6は、第2面102bに対向する内表面が外側に湾曲した曲面になっている。このような形状の空間は、例えば図3の下側空間92のように第2面102bに平行な内表面を有する直方体形状の空間と比べて、第2保護層84bの強度の低下を抑制できる。
また、保護層84は、長手方向が第2面102bの長手方向に沿った複数の空間である空間95J2,95J4,95J6を、第2面102bの短手方向に沿って並べて有している。そのため、センサ素子101F,101Gと同様に、被水時の第2保護層84bと素子本体102との熱膨張係数差に起因する、第2保護層84bから素子本体102に対する第2面102bの短手方向に沿った応力が低減される。これにより、被水時に素子本体102が割れにくくなり、素子本体102の耐被水性がより向上する。
第1面102aに対する空間95J1,95J3,95J5や、第3面102cに対する空間95J3,95J4、第4面102dに対する空間95J5,95J6についても、第2面102bに対する空間95J2,95J4,95J6と同様の構成により同様の効果が得られる。
[第12実施形態]
図27は、第12実施形態のセンサ素子101Kの断面図である。図28は、センサ素子101Kの前端周辺の下面図である。なお、図27は、センサ素子101Kを後方右下からみた様子を示している。センサ素子101Kは、保護層84が空間90とは異なる空間90Kを備えており、それ以外の点は第1実施形態のセンサ素子101と同じである。空間90Kは、空間95K1〜95K4を有している。
空間95K1,95K2は、それぞれセンサ素子101Jの空間95J1,95J2と同じ空間である。
空間95K3は、素子本体102の上側,下側,左側にまたがって配置された空間である。空間95K3は、第1面102aに垂直な方向に第1面102aから離間し、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間し、第3面102cに垂直な方向に第3面102cから離間している。空間95K3は、楕円柱の一部を切り欠いた形状をしている。空間95K3は、第1面102aに対向する内表面(下方を向いた面)が長方形を第1保護層84aの外側(上方)に湾曲させた曲面(円筒の内周面の一部に相当する曲面)となっている。そのため、空間95K3は、第1面102aから離れるほど(上方に向かうほど)空間が狭くなる傾向の形状をしている。空間95K3は、第2面102bに対向する内表面(上方を向いた面)が長方形を第2保護層84bの外側(下方)に湾曲させた曲面(円筒の内周面の一部に相当する曲面)となっている。そのため、空間95K3は、第2面102bから離れるほど(下方に向かうほど)空間が狭くなる傾向の形状をしている。また、空間95K3は、第3面102cに対向する内表面(右方を向いた面)が長方形を第3保護層84cの外側(左方)に湾曲させた曲面(円筒の内周面の一部に相当する曲面)となっている。そのため、空間95K3は、第3面102cから離れるほど(左方に向かうほど)空間が狭くなる傾向の形状をしている。空間95K3は、長手方向が第1面102a,第2面102b及び第3面102cの長手方向に沿っている。
空間95K4は、素子本体102の上側,下側,右側にまたがって配置された空間である。空間95K4は、第1面102aに垂直な方向に第1面102aから離間し、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間し、第4面102dに垂直な方向に第4面102dから離間している。空間95K4は、空間95K3と左右対称な形状及び配置をしている。
空間95K1,95K3,95K4は、第1面102aの短手方向に沿って配置されている。空間95K2,95K3,95K4は、第2面102bの短手方向に沿って配置されている。
以上説明したセンサ素子101Kも、センサ素子101と同様に、各空間95K1〜95K4が存在することで、素子本体102の耐被水性がより向上する。また、空間95K2,95K3,95K4は、第2面102bから離れるほど空間が狭くなる傾向の形状をしている。さらに、空間95K2,95K3,95K4は、第2面102bに対向する内表面が外側に湾曲した曲面になっている。このような形状の空間は、例えば図3の下側空間92のように第2面102bに平行な内表面を有する直方体形状の空間と比べて、第2保護層84bの強度の低下を抑制できる。第1面102aに対する空間95K1,95K3,95K4や、第3面102cに対する空間95K3、第4面102dに対する空間95K4についても、第2面102bに対する空間95K2,95K3,95K4と同様の構成により同様の効果、すなわち第1,第3,第4保護層84a,84c,84dの強度の低下を抑制できる効果が得られる。
また、保護層84は、長手方向が第1面102aの長手方向に沿った複数の空間である空間95K1,95K3,95K4を、第1面102aの短手方向に沿って並べて有している。そのため、センサ素子101F,101Gと同様に、被水時の第1保護層84aと素子本体102との熱膨張係数差に起因する、第1保護層84aから素子本体102に対する第1面102aの短手方向に沿った応力が低減される。これにより、被水時に素子本体102が割れにくくなり、素子本体102の耐被水性がより向上する。さらに、保護層84は、長手方向が第2面102bの長手方向に沿った複数の空間である空間95K2,95K3,95K4を、第2面102bの短手方向に沿って並べて有している。そのため、センサ素子101F,101Gと同様に、第2保護層84bから素子本体102に対する第2面102bの短手方向に沿った応力が低減される。これにより、被水時に素子本体102が割れにくくなり、素子本体102の耐被水性がより向上する。
なお、上述した第2〜第12実施形態の保護層84内の各空間についても、第1実施形態と同様に、燃焼によって消失する消失材を用いることで形成することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した第1実施形態では、下側空間92は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の中心と重なるように位置していたが、これに限られない。例えば、下側空間92は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央とは重なり左右方向の中央とは重ならないようにしてもよいし、左右方向の中央とは重なり前後方向の中央とは重ならないようにしてもよいし、左右方向の中央と重ならず前後方向の中央とも重ならないようにしてもよい。
上述した第1実施形態において、素子本体102がヒータ72により通常駆動時の温度(例えば800℃など)に加熱された状態における第2面102bの中の最高温度の領域を最高温度領域とし、下側空間92は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、この最高温度領域と重なるように位置していてもよい。こうすれば、第2面102bのうちセンサ素子101の使用時に最も高温となる領域を下側空間92によって断熱できるため、素子本体の耐被水性がより向上する。
上述した第2実施形態では、各空間91A〜94Aはそれぞれ連通孔H1〜H4を1つずつ有していたが、これに限られない。1つの空間が複数の連通孔を有していてもよい。また、保護層84が複数の空間を有する場合に、外部に開口している空間と開口していない空間とがあってもよい。
上述した第3実施形態では、内側空間95B2と外側空間96B2とが、上下方向に垂直な方向から見たときに互いの位置が重複しないように上下に離れた高さに位置していたが、これに限らず上下方向に垂直な方向から見たときに互いの位置が一部重複してもよい。また、内側空間95B2と外側空間96B2とが前後方向にずれて位置していたが、前後方向の位置が同じであってもよい。例えば、内側空間95B2と外側空間96B2とが上下にずれているのみで前後左右の位置は同じであってもよい。また、空間90Bは内側と外側との2段に配列された空間(例えば内側空間95B2と外側空間96B2)を有しているが、これに限らず3段以上に配列された空間を有していてもよい。また、複数の内側空間95B2間や複数の外側空間96B2間で上下の高さが異なっていてもよい。また、第3実施形態において、保護層84が外側空間96B1〜96B4を備えていなくてもよい。また、第3実施形態において、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の中央に近いほど密度が高くなる傾向に内側空間95B2や外側空間96B2が配置されていてもよい。こうすれば、比較的高温になりやすい部分の断熱性を高めることができ、素子本体102の耐被水性が向上する。なお、「空間の密度が高くなる傾向」は、単位面積あたりの空間の数が多くなる傾向や、空間が大きくなる傾向を含む。なお、上記の変形例は第4実施形態においても同様に適用できる。
上述した第5,第6実施形態では、複数の柱状部P2の単位面積あたりの数を変化させることで柱状部P2の密度を変化させたが、これに限らず柱状部P2の太さを変化させることで柱状部P2の密度を変化させてもよい。また、柱状部P2の密度を場所によって特に変化させなくてもよい。
上述した第5実施形態では、複数の柱状部P2は、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の前後方向の中央から遠いほど柱状部P2の密度が高くなる傾向に配置されていたが、これに限らず左右方向の中央から遠いほど柱状部P2の密度が高くなる傾向に配置されていてもよいし、前後左右の中心から遠いほど柱状部P2の密度が高くなる傾向に配置されていてもよい。第6実施形態における柱状部P2の配置についても、同様に、前後方向に限らず左右方向に沿って密度を変化させてもよい。
上述した第7実施形態では、第1空間97F2は、第2面102bの短手方向に沿った1辺が他の2辺よりも短いが、これに限られない、第1空間97F2の長手方向が第2面102bの長手方向に沿っていればよい。同様に、第7実施形態では第2空間98F2は、第2面102bの長手方向に沿った1辺が他の2辺よりも短いが、これに限られない。第2空間98F2の長手方向が第2面102bの短手方向に沿っていればよい。
上述した第11実施形態では、空間95J4は、素子本体102の下側及び左側にまたがって配置されているが、これに限られない。例えば、保護層84が、空間95J4の代わりに、素子本体102の下側に配置された半楕円柱状の空間と、素子本体102の左側に配置された半楕円柱状の空間と、を有していてもよい。空間95J3,95J5,95J6や第12実施形態の空間95K3,95K4についても同様である。
上述した第10〜第12実施形態では、保護層84が備える各空間は長手方向が前後方向に沿っているものとしたが、特にこれに限られない。第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間した空間が、第2面102bから離れるほど空間が狭くなる傾向の形状をしていれば、第2保護層84bの強度の低下を抑制できる効果は得られる。例えば、図23の下側空間92Iが、三角錐形状をしていてもよい。図25の空間95J2が、半球形状をしていてもよい。
上述した第1〜第12実施形態では、素子本体102の上側に位置する空間と下側に位置する空間とは上下対称であり、素子本体102の左側に位置する空間と右側に位置する空間とは左右対称であるものとしたが、特にこれに限られない。また、上述した第1〜第12実施形態では、第1〜第4保護層84a〜84dの各々が空間を有していたが、これに限られない。保護層84は、第2面102bに垂直な方向に第2面102bから離間した1以上の空間を有していればよい。例えば、第1実施形態において、保護層84は下側空間92を有していればよく、上側空間91,左側空間93,右側空間94のうち1以上を有していなくてもよい。また、第5保護層84eが第1〜第4保護層84a〜84dと同様に空間を有していてもよい。
上述した第1〜第12実施形態では、保護層84は第1〜第5保護層84a〜84eを有していたが、これに限られない。保護層84は少なくとも第2保護層84bを有していればよい。また、第2保護層84bは、第2面102bの少なくとも一部を被覆していればよい。
上述した実施形態では、保護層84が備える各空間の大きさについて特に説明しなかったが、各空間は保護層84の気孔と区別できる大きさであればよい。例えば、空間1つ1つの容積を12500μm3以上としてもよい。また、空間の容積率を、容積率=(保護層84が備える空間の合計容積)/(保護層84の体積)×100とすると、容積率は60%以下としてもよい。なお、上記の「保護層84の体積」は保護層84が備える空間の容積も含んだ値である。
上述した第1〜第12実施形態では説明しなかったが、第2面102bよりも下方に存在する1以上の空間の合計容積は、0.03mm3以上であることが好ましい。こうすれば、この1以上の空間が素子本体の耐被水性を向上させる効果がより確実に得られる。例えば、上述した第1〜第10実施形態では、下側空間92,92A〜92Iの各々について、合計容積が0.03mm3以上であることが好ましい。第11実施形態では、空間95J2と、空間95J4のうち第2面102bよりも下方に位置する部分と、空間95J6のうち第2面102bよりも下方に位置する部分と、の合計容積が0.03mm3以上であることが好ましい。第12実施形態では、空間95K2と、空間95K3のうち第2面102bよりも下方に位置する部分と、空間95K4のうち第2面102bよりも下方に位置する部分と、の合計容積が0.03mm3以上であることが好ましい。同様に、第1面102aよりも上方に存在する1以上の空間の合計容積は、0.03mm3以上であることが好ましい。第3面102cよりも左方に存在する1以上の空間の合計容積は、0.015mm3以上であることが好ましい。第4面102dよりも右方に存在する1以上の空間の合計容積は、0.015mm3以上であることが好ましい。なお、「第2面102bよりも下方」は、第2面102bの真下に限らず例えば左下や右下なども含む。同様に、「第1面102aよりも上方」は第1面102aの真上に限らない。「第3面102cよりも左方」、「第4面102dよりも右方」についても同様である。
上述した第1〜第12実施形態では説明しなかったが、隣り合う2つの面(1辺を共有する面)にまたがる1以上の空間が存在する場合、この1以上の空間の合計容積は、0.002mm3以上であることが好ましい。こうすれば、この1以上の空間が素子本体の耐被水性を向上させる効果がより確実に得られる。例えば、第11実施形態において、第1面102aと第3面102cとにまたがる空間95J3の容積が0.002mm3以上であることが好ましい。同様に、第2面102bと第3面102cとにまたがる空間95J4、第1面102aと第4面102dとにまたがる空間95J5、第2面102bと第4面102dとにまたがる空間95J6についても、各々の容積が0.002mm3以上であることが好ましい。なお、「隣り合う2つの面にまたがる空間」とは、2つの面の各々に垂直な方向のいずれにも存在する空間を意味する。例えば、空間95J4は、第2面102bに垂直な方向(下方)と第3面102cに垂直な方向(左方)とのいずれにも存在しており、第2面102b及び第3面102cにまたがる空間である。
上述した第1〜第12実施形態において、素子本体102と保護層84の各空間との距離は、5μm以上とすることが好ましい。このようにすることで、保護層84の各空間が素子本体102から離れて位置するため、空間が存在することによる保護層84の強度の低下を抑制できる。なお、素子本体102と保護層84の空間との距離は、素子本体102の表面のうち空間に最も近い表面からの、その表面に垂直な方向の距離とする。例えば、図3の下側空間92と素子本体102との距離は、下側空間92と第2面102bとの間の第2面102bに垂直な方向の距離とする。
上述した第1〜第12実施形態では、保護層84が備える空間はいずれも素子本体102から離間しているが、これに加えて素子本体102から離間していない空間(素子本体102の表面が露出している空間)を保護層84が備えていてもよい。ただし、素子本体102の表面が露出している空間は、素子本体102から離間している空間と比べて保護層84の強度を低下させやすいため、素子本体102の表面が露出している空間を保護層84が備えないことが好ましい。
保護層84は、上述した第1〜第12実施形態の空間90,90A〜90Kやその変形例の空間が備える各空間のうち2以上を適宜組み合わせて備えるものとしてもよい。この場合の組み合わせとは、異なる種類の空間を保護層84がそれぞれ備える場合や、異なる種類の空間の形状や配置についての上述した特徴を兼ね備えた空間を保護層84が備える場合を含む。
例えば、第2実施形態以外の各空間の1以上について、保護層84の外部と連通する開口を有するようにしてもよい。空間に開口を設ける場合、第2実施形態の連通孔H1〜H4のように空間と外部とを連通させる連通孔を設けてもよいし、空間を保護層84の表面まで延長して空間がそのまま外部に開口するようにしてもよい。なお、空間の開口は、水が内部に直接侵入することを抑制でき且つ開口から空間内の熱を逃がすことができるように、適切な大きさにすることが好ましい。例えば、開口面積を100μm2〜1000μm2としてもよい。
例えば、第1実施形態以外の実施形態の各空間についても、空間の少なくとも1つが、第2面102bに垂直な方向からみたときに、第2面102bのうち保護層84に被覆されている領域の中央と重なるように位置していてもよい。