JP2021077769A - 積層セラミック電子部品及び電子部品実装基板 - Google Patents

積層セラミック電子部品及び電子部品実装基板 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性の高い積層セラミック電子部品及びそれを実装した電子部品実装基板を提供する。【解決手段】積層セラミック電子部品は、セラミック素体と、外部電極と、金属端子と、を具備する。セラミック素体は、第1方向に積層された内部電極と、内部電極が引き出され第1方向に直交する第2方向に向いた端面と、を有する。外部電極は、第2方向に向いた接合面を有し、端面に形成される。金属端子は、第1方向に延び、かつハンダを介して接合面に接合された接合部を有する。接合部は、接合面から第2方向に第1の距離をあけて離間した端部と、接合面から第2方向に第1の距離よりも小さい第2の距離をあけて離間し、接合面から離れる方向に屈曲した屈曲部と、を含み、かつ、接合面に対して1度以上15度以下の角度をなすように傾いて接合される。【選択図】図5

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品及びそれを実装した電子部品実装基板に関する。
積層セラミックコンデンサは、複数の内部電極が配置されたセラミック素体と、当該素体の表面に形成され内部電極に接続された外部電極とを備え、例えば、ハンダ等によって外部電極を実装基板に接合することで実装基板に実装される。
積層セラミックコンデンサが大型の場合や、セラミック素体に強誘電体材料を用いた場合では、セラミック素体の機械的歪みが実装基板に伝達されて振動音が発生したり、実装基板との接合部等にクラックが生じることがある。
そこで、基板実装後の信頼性を向上させるため、外部電極に基板実装用の金属端子が取り付けられた積層セラミックコンデンサが知られている(例えば特許文献1)。
特開2017−188545号公報
上記構成の積層セラミックコンデンサにおいては、外部電極と金属端子とがハンダにより接合されるが、基板実装時や実装後の物理的な衝撃に対して、十分な接合強度が得られないことがあった。また、基板実装時や実装後の温度変化によっても、外部電極とセラミック素体との間や、外部電極と金属端子との間のハンダに、クラックや剥がれなどの欠陥が生じることがあった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、信頼性の高い積層セラミック電子部品及びそれを実装した電子部品実装基板を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層セラミック電子部品は、セラミック素体と、外部電極と、金属端子と、を具備する。
上記セラミック素体は、第1方向に積層された内部電極と、上記内部電極が引き出され上記第1方向に直交する第2方向に向いた端面と、を有する。
上記外部電極は、上記第2方向に向いた接合面を有し、上記端面に形成される。
上記金属端子は、上記第1方向に延び、かつハンダを介して上記接合面に接合された接合部を有する。
上記接合部は、
上記接合面から上記第2方向に第1の距離をあけて離間した端部と、
上記接合面から上記第2方向に上記第1の距離よりも小さい第2の距離をあけて離間し、上記接合面から離れる方向に屈曲した屈曲部と、を含み、かつ、
上記接合面に対して1度以上15度以下の角度をなすように傾いて接合される。
この構成では、金属端子の接合部が1度以上15度以下の角度をなすように傾いて接合される。これにより、端部において第1の距離に相当する十分な厚みのハンダを設けることができ、端部においてハンダによる接合強度を十分に確保することができる。また、屈曲部も、端部よりはハンダの厚みは薄いものの、ハンダを介して接合される。これにより、接合部全体におけるハンダ量を抑制しつつも、ハンダによる接合強度を十分に確保することができる。さらに、接合部全体のハンダ量を規制できることで、熱付加時におけるハンダの熱応力による影響を低減でき、ハンダにおけるクラック等の欠陥を抑制できる。したがって、上記構成により、外部電極と金属端子との接合強度が高く、信頼性の高い積層セラミック電子部品を得ることができる。
上記接合部は、上記接合面に対して5度以上10度以下の角度をなすように傾いて接合されてもよい。
これにより、ハンダの全体量を抑制しつつも、ハンダによってより高い接合強度が得られる。したがって、信頼性のより高い積層セラミック電子部品を得ることができる。
本発明の他の形態に係る電子部品実装基板は、積層セラミック電子部品と、上記積層セラミック電子部品が実装された基板と、を具備する。
上記積層セラミック電子部品は、セラミック素体と、外部電極と、金属端子と、を有する。
上記セラミック素体は、第1方向に積層された内部電極と、上記内部電極が引き出され上記第1方向に直交する第2方向に向いた端面と、を有する。
上記外部電極は、上記第2方向に向いた接合面を有し、上記端面に形成される。
上記金属端子は、上記第1方向に延び、かつハンダを介して上記接合面に接合された接合部を有する。
上記接合部は、
上記接合面から上記第2方向に第1の距離をあけて離間した端部と、
上記接合面から上記第2方向に上記第1の距離よりも小さい第2の距離をあけて離間し、上記接合面から離れる方向に屈曲した屈曲部と、を含み、
上記接合面に対して1度以上15度以下の角度をなすように傾いて接合される。
以上のように、本発明によれば、信頼性の高い積層セラミック電子部品及びそれを実装した電子部品実装基板を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のA−A'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のB−B'線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係る電子部品実装基板の断面図である。 図2の部分拡大図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す分解斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
[積層セラミックコンデンサ10の基本構成]
図1〜3は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。図1は、積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、積層セラミックコンデンサ10の図1のA−A'線に沿った断面図である。図3は、積層セラミックコンデンサ10の図1のB−B'線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ10は、セラミック素体11と、外部電極14と、金属端子15と、を具備する。積層セラミックコンデンサ10は、セラミック素体11の表面に外部電極14が形成され、外部電極14の表面にハンダ16を介して金属端子15が接合された構成を有する。
セラミック素体11は、X軸方向を向いた2つの端面11aと、Y軸方向を向いた2つの側面11bと、Z軸方向を向いた2つの主面11cとを有する。端面11aには、外部電極14が形成される。セラミック素体11の各面を接続する稜部は面取りされていてもよい。セラミック素体11は、例えば、X軸方向に沿った長さが3mm以上、Y軸方向に沿った長さが2mm以上で構成される。
なお、セラミック素体11は、図1〜3に示すような直方体形状でなくてもよい。例えば、セラミック素体11の各面は曲面であってもよく、セラミック素体11は全体として丸みを帯びた形状であってもよい。
セラミック素体11は、容量形成部17と、保護部18と、を有する。容量形成部17は、第1内部電極12及び第2内部電極13がセラミック層19を介して交互にZ軸方向に積層された構成を有する。保護部18は、容量形成部17のZ軸方向を向いた両主面の全領域と、Y軸方向を向いた両側面の全領域とをそれぞれ覆っている。
第1内部電極12は、一方の端面11aに引き出され、他方の端面11aから離間している。第2内部電極13は、一方の端面11aから離間しており、他方の端面11aに引き出されている。
内部電極12,13は、典型的にはニッケル(Ni)を主成分として構成され、積層セラミックコンデンサ10の内部電極として機能する。なお、内部電極12,13は、ニッケル以外に、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)の少なくとも1つを主成分としていてもよい。
セラミック層19は、誘電体セラミックスによって形成されている。セラミック層19は、容量形成部17における容量を大きくするために、高誘電率の誘電体セラミックスで形成される。上記高誘電率の誘電体セラミックスとして、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料の多結晶体、つまりバリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の多結晶体が用いられる。これにより、大容量の積層セラミックコンデンサ10が得られる。
なお、セラミック層19は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系、チタン酸カルシウム(CaTiO)系、チタン酸マグネシウム(MgTiO)系、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)系、チタン酸ジルコン酸カルシウム(Ca(Zr,Ti)O)系、ジルコン酸バリウム(BaZrO)系、酸化チタン(TiO)系などで形成されてもよい。
保護部18も、誘電体セラミックスで形成されている。保護部18を形成する材料は、絶縁性セラミックスであればよいが、セラミック層19と同様の誘電体セラミックスを用いることにより、セラミック素体11における内部応力が抑制される。
保護部18は、容量形成部17におけるX軸方向両端面以外の面を被覆する。保護部18は、主に、容量形成部17の周囲を保護し、内部電極12,13の絶縁性を確保する機能を有する。
以下、保護部18の両主面11c側の領域をカバー領域、両側面11b側の領域をサイドマージン領域と称する。
外部電極14は、セラミック素体11の両端面11aにそれぞれ形成される。一方の外部電極14は、一方の端面11aに引き出された第1内部電極12と接続され、他方の外部電極14は、他方の端面11aに引き出された第2内部電極13と接続される。外部電極14は、X軸方向に向いた接合面14aを有する。
外部電極14は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の金属を主成分とした導電性ペーストを焼き付けた焼結膜として構成される。外部電極14は、主成分の他、導電性ペースト由来のガラス等が含まれている。なお、外部電極14は、ニッケル、銅以外に、銀(Ag)、パラジウム(Pd)の少なくとも1つを主成分としていてもよい。
導電性ペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷法やロール転写法が用いられる。これにより、端面11aのみに電極材料を塗布することができる。あるいは、ディップ工法を用いてもよい。これにより、両端面11aだけでなく、両側面11bや両主面11cにも導電性ペーストが付着し得る。
上記の構成により、積層セラミックコンデンサ10では、金属端子15を介して2つの外部電極14の間に電圧が印加されると、第1内部電極12と第2内部電極13との間の複数のセラミック層19に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、2つの外部電極14間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
金属端子15は、後述する基板50に積層セラミックコンデンサ10を実装するための端子であり、例えば板状のリードフレームとして構成される。金属端子15は、外部電極14の接合面14aに接合され、Y軸方向に沿って配列している。金属端子15は、隣接する金属端子15間を接続する接続部を含んでいてもよく、この接続部によって複数の金属端子15が一体に構成されていてもよい。また、金属端子15の数も図示の例に限定されない。
金属端子15は、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)等を主成分とした金属材料や、これらを含む合金で形成される。金属端子15は、例えばメッキ処理されていなくてもよいし、メッキ処理されていてもよい。
ハンダ16は、外部電極14と金属端子15とを接合する。各ハンダ16は、例えば各金属端子15に対応して形成される。ハンダ16は、例えば金属端子15と外部電極14の間に挟まれるように形成される。
ハンダ16は、例えば、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、金(Ag)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)のうちの2種類以上の金属元素を含んでいてもよい。ハンダ16は、例えば、融点が230℃以上の高温ハンダであってもよい。高温ハンダの例としては、Sn−Sb系及びSn−Cu−Ni系等が挙げられる。高温ハンダにより、図示しない回路基板へのリフロー時にハンダ16が溶融するといった不具合を防止することができる。
以下、積層セラミックコンデンサ10が実装された基板50を含む電子部品実装基板100の構成について説明する。
[電子部品実装基板の構成]
図4は、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を備えた電子部品実装基板100を示す図であり、図2に対応するY軸方向から見た断面図である。
電子部品実装基板100は、積層セラミックコンデンサ10と、基板50と、合金実装部55と、を備える。
基板50は、例えば、略矩形板状のインターポーザ基板として構成される。基板50は、例えば、積層セラミックコンデンサ10を実装可能に構成された第1実装面51と、第1実装面51に配置された接続電極52と、他の回路基板等に接続されることが可能な第2実装面53と、第2実装面53に配置された実装電極54と、を有する。接続電極52及び実装電極54は、ランドとして構成される。接続電極52と実装電極54との間は、例えば、基板50を貫通する図示しない接続導体によって電気的に接続されている。基板50は、例えば実装電極54を介して図示しない回路基板等に接続される。
合金実装部55は、積層セラミックコンデンサ10の金属端子15と基板50とを接合する。合金実装部55は、例えば、融点が230℃以上の高温ハンダであってもよい。高温ハンダの例としては、Sn−Sb系及びSn−Cu−Ni系等が挙げられる。高温ハンダにより、図示しない回路基板へのリフロー時に合金実装部55が溶融するといった不具合を防止することができる。
さらに、本実施形態の電子部品実装基板100は、セラミック素体11の主面11cと第1実装面51とを接着する接着部材56を備えていてもよい。接着部材56は、第1実装面51における複数の接続電極52間の領域に配置される。接着部材56は、例えば熱硬化性合成樹脂を主成分とした接着剤や、熱硬化性合成樹脂にガラスフィラー等の補強フィラーを含有させたものを主成分として接着剤で構成される。接着部材56により、積層セラミックコンデンサ10を第1実装面51に対して容易に位置決めできるとともに、積層セラミックコンデンサ10と第1実装面51とを強固に接合することができる。
基板50に積層セラミックコンデンサ10を実装する際には、一例として、まず、接着部材56が配置された基板50の第1実装面51上に、金属端子15及びハンダ16を有さない状態の積層セラミックコンデンサ10を配置する。続いて、外部電極14の接合面14a及び第1実装面51の接続電極52上にハンダを塗布する。続いて、金属端子15を接合面14a及び接続電極52の双方に接続するように配置し、リフロー炉等で当該ハンダを溶融させる。その後、冷却することで当該ハンダが凝固し、ハンダ16及び合金実装部55が形成される。
このように、積層セラミックコンデンサ10は、金属端子15が外部電極14にハンダ付けされた構成を有するが、基板50への実装後においても、金属端子15と外部電極14との十分な接合強度が求められる。また、積層セラミックコンデンサ10は、リフロー時の高温環境や、実装後のヒートサイクルなどの熱衝撃に曝されることがある。このため、大きな熱衝撃に対しても信頼性の高い積層セラミックコンデンサ10が求められる。以下、高い信頼性を得るための積層セラミックコンデンサ10の詳細な構成について説明する。
[積層セラミックコンデンサ10の詳細な構成]
図5は、図2の要部を拡大して示す図である。
図2及び図5に示すように、金属端子15は、例えば、厚みtの金属板を階段状に折り曲げて形成される。厚みtは、積層セラミックコンデンサ10のサイズ、金属端子15の材質等に応じて設定できるが、例えば0.02mm以上0.5mm以下とすることができる。これにより、金属端子15として十分な強度を得ることができる。
金属端子15は、Z軸方向に延び、かつハンダ16を介して接合面14aに接合された接合部151を有する。「接合部151がZ軸方向に延びる」とは、接合部151が全体としてZ軸方向に延びていることを意味し、より具体的にはZ軸方向のベクトル成分を含む方向に延びていることを意味する。金属端子15は、接合部151からX軸方向の外方に延び、さらにZ軸方向下方に折れ曲がり、さらにX軸方向外方に折れ曲がった形状として図示されているが、基板50に適切に実装できればこの構成に限定されない。
接合部151は、Z軸方向上方における端部152と、端部152よりもZ軸方向下方に位置し、接合面14aから離れる方向に屈曲する屈曲部153と、を含む。接合部151は、端部152からZ軸方向下方に延び、屈曲部153に到る領域として構成される。屈曲部153は、接合部151における下端部を構成する。なお、「Z軸方向下方」とは、基板50に向かう方向を示し、「Z軸方向上方」とは、その反対方向を示すものとする。
接合部151の延在方向における長さLは、積層セラミックコンデンサ10のサイズ等に応じて設定できるが、例えば0.1mm以上3.0mm以下とすることができる。これにより、接合部151として十分な長さを確保でき、ハンダ16によって十分な接合強度を得ることができる。
接合部151と、これに対向する接合面14aとの間には、上述のようにハンダ16が存在する。このハンダ16によって、接合部151が接合面14aに接合される。
端部152は、接合面14aからX軸方向に第1の距離D1をあけて離間する。第1の距離D1は、端部152と接合面14aとの間の、X軸方向に最も離れた距離とする。つまり、端部152と接合面14aとの間には、第1の距離D1に相当する厚みのハンダ16が存在する。第1の距離D1は、積層セラミックコンデンサ10のサイズ等に応じて設定できるが、例えば0.05mm以上0.28mm以下とすることができる。
一方で、屈曲部153は、接合面14aからX軸方向に第2の距離D2をあけて離間する。第2の距離D2は、屈曲部153と接合面14aとの間の、X軸方向に最も小さい距離とする。つまり、屈曲部153と接合面14aとの間には、第2の距離D2に相当する厚みのハンダ16が存在する。第2の距離D2も、積層セラミックコンデンサ10のサイズ等に応じて設定できるが、例えば0.01mm以上0.02mm以下とすることができる。
接合部151は、接合面14aに対して1度以上15度以下の角度θをなすように傾いて接合される。角度θは、接合面14aと、端部152及び屈曲部153を通る仮想的な直線とのなす角度として定義される。角度θは、上述の第1の距離D1及び第2の距離D2に加えて、接合部151の長さLを用いて算出することができる。
これにより、端部152において第1の距離D1に相当する十分な厚みのハンダ16を設けることができ、端部152においてハンダ16による接合強度を十分に確保することができる。また、屈曲部153も、端部152よりはハンダ16の厚みが薄いものの、ハンダ16によって確実に接合される。これにより、ハンダ16の全体量を抑制しつつも、端部152から屈曲部153に到る接合部151全体がハンダ16によって接合され、ハンダ16によって十分な接合強度を確保することができる。加えて、接合部151と接合面14aとの角度θを1度以上15度以下とすることで、後述する実施例において示すように、接合面14aから接合部151を離間させる向きの外力が付加された場合にも、接合部151の接合面14aからの剥離を効果的に抑制することができる。
さらに、ハンダ16の全体量を抑制できることで、熱付加時におけるハンダ16の熱応力による影響を低減できる。これにより、ハンダ16やその近傍のセラミック素体11等におけるクラック等の欠陥を抑制できる。したがって、上記構成により、外部電極14と金属端子15との接合強度が高く、クラック等の欠陥の少ない、信頼性の高い積層セラミックコンデンサ10を得ることができる。
接合部151は、より好ましくは、接合面14aに対して5度以上10度以下の角度をなすように傾いて接合される。これにより、上述の、ハンダ16の全体量を抑制しつつもハンダ16によって十分な接合強度が得られる効果が、一層確実に発揮される。したがって、信頼性のより高い積層セラミックコンデンサ10を得ることができる。
[積層セラミックコンデンサ10の製造方法]
図6は、積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図7及び8は、積層セラミックコンデンサ10の製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図6に沿って、図7及び8を適宜参照しながら説明する。
(ステップS01:セラミック素体作製)
ステップS01では、容量形成部17を形成するための第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102と、保護部18のカバー領域を形成するための第3セラミックシート103と、を準備する。そして、図7に示すように、これらのセラミックシート101,102,103を積層し、未焼成のセラミック素体111を作製する。
セラミックシート101,102,103は、誘電体セラミックスを主成分とする未焼成の誘電体グリーンシートとして構成される。セラミックシート101,102,103は、例えば、ロールコーターやドクターブレードなどを用いてシート状に成形される。セラミックシート101,102,103の厚さは適宜調整可能である。
図7に示すように、第1セラミックシート101には第1内部電極12に対応する未焼成の第1内部電極112が形成され、第2セラミックシート102には第2内部電極13に対応する未焼成の第2内部電極113が形成されている。なお、保護部18のカバー領域に対応する第3セラミックシート103には内部電極が形成されていない。
内部電極112,113は、任意の導電性ペーストをセラミックシート101,102に塗布することによって形成することができる。導電性ペーストの塗布方法は、公知の技術から任意に選択可能である。例えば、導電性ペーストの塗布には、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を用いることができる。
図7に示す未焼成のセラミック素体111では、セラミックシート101,102が交互に積層され、そのZ軸方向上下面にカバー領域に対応する第3セラミックシート103が積層される。なお、セラミックシート101,102,103の枚数は図7に示す例に限定されない。
未焼成のセラミック素体111は、セラミックシート101,102,103を圧着することにより一体化される。セラミックシート101,102,103の圧着には、例えば、静水圧加圧や一軸加圧などを用いることが好ましい。これにより、セラミック素体111を高密度化することが可能である。
図8は、ステップS01で得られる未焼成のセラミック素体111の斜視図である。未焼成のセラミック素体111は、セラミック層119の間に内部電極112,113が交互に積層された容量形成部117を有し、X軸方向両端面111aに内部電極112,113が露出している。未焼成のセラミック素体111では、容量形成部117の周囲に保護部118が形成されており、Y軸方向両側面111b及びZ軸方向両主面111cから内部電極112,113が露出していない。
なお、以上では1つのセラミック素体11に相当する未焼成のセラミック素体111について説明したが、実際には、個片化されていない大判のシートとして構成された積層シートが形成され、セラミック素体111ごとに個片化される。
(ステップS02:焼成)
ステップS02では、ステップS01で得られた未焼成のセラミック素体111を焼結させることにより、図1〜3に示すセラミック素体11を作製する。つまり、ステップS02により、容量形成部117が容量形成部17になり、保護部118が保護部18になる。
ステップS02における焼成温度は、セラミック素体111の焼結温度に基づいて決定可能である。例えば、誘電体セラミックスとしてチタン酸バリウム系材料を用いる場合には、焼成温度を1000〜1300℃程度とすることができる。また、焼成は、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。
(ステップS03:外部電極形成)
ステップS03では、ステップS02で得られたセラミック素体11の端面11aに外部電極14を形成する。
より詳細に、ステップS03では、まず、セラミック素体11の両端面11aに未焼成の電極材料を塗布する。電極材料としては、例えばニッケル(Ni)や銅(Cu)等の金属粉とガラスフリット等を含む導電性ペーストが用いられる。
塗布方法としては、スクリーン印刷法やロール転写法が用いられる。これにより、端面11aのみに電極材料を塗布することができる。あるいは、ディップ工法を用いてもよい。これにより、両端面11aだけでなく、両側面11bや両主面11cにも電極材料が付着し得る。
塗布された未焼成の電極材料を、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において焼成する。これにより、内部電極12,13と接続された外部電極14が形成される。
(ステップS04:金属端子接合)
ステップS04では、複数の金属端子15を外部電極14の接合面14aに接合する。
まず、複数の金属端子15を準備する。図2及び図5を参照し、金属端子15は、例えば厚みtを有する所望の形状のリードフレームである。金属端子15の数は特に限定されない。金属端子15は、端部152及び屈曲部153を含む接合部151を有するように、予め所定の位置で折り曲げられている。接合部151の延在方向における長さは、所定の長さLになるように調整される。
続いて、各金属端子15を、端子接合用ハンダを用いて接合面14aに接合する。まず、溶融した状態の端子接合用ハンダを、接合面14aの所定位置に塗布する。端子接合用ハンダは、例えば金属端子15毎に塗布される。
続いて、溶融した状態の端子接合用ハンダ上に、金属端子15の接合部151を配置する。このとき、金属端子15の接合部151は、接合面14aに対して1度以上15度以下の角度θをなすように傾いて接合される。具体的には、端部152を接合面14aからX軸方向に第1の距離D1をあけて離間するように配置し、屈曲部153を接合面14aからX軸方向に第1の距離D1よりも小さい第2の距離D2をあけて配置する。これらの第1の距離D1及び第2の距離D2は、接合部151と接合面14aのなす角度θが1度以上15度以下となるように調整される。またこのとき、金属端子15の屈曲部153等における屈曲の角度が調整されてもよい。
そして、端子接合用ハンダが冷却され固化することで、ハンダ16が形成され、金属端子15が外部電極14の接合面14aに接合される。
なお、上述のように、ステップS04の金属端子15の接合は、基板50への金属端子15の接合と同時に行われてもよい。すなわち、まず接着部材56によってセラミック素体11を基板50に接着し、続いてハンダによって金属端子15を接合面14a及び基板50の第1実装面51にそれぞれ接合する。これにより、ステップS04の金属端子15の接合と電子部品実装基板100の作製とを同時に行うことができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
[実施例]
上述の製造方法に基づいて、実施例1〜8及び比較例1〜2に係るセラミック素体を作製した。これらのセラミック素体は、X軸方向に沿った寸法が25mm、Y軸方向に沿った寸法が30mm、及びZ軸方向に沿った厚み寸法が4.5mmであった。続いて、セラミック素体の端面に、銅を主成分としガラスフリットを含有した導電性ペーストを塗布して焼き付け、外部電極を形成した。外部電極のX軸方向に沿った厚さは0.02mmであった。続いて、外部電極が形成されたセラミック素体を、インターポーザ基板上にエポキシ樹脂系接着剤で接着した。
厚みtが0.1mm、長手方向(延在方向)の長さが5.0mm、幅が1.2mmの金属板を加工して、接合部の長さLが1mmとなる階段状の金属端子を準備した。続いて、外部電極のX軸方向に向いた接合面と、インターポーザ基板の接続電極に、適量のハンダを塗布した。そして、ハンダ上に金属端子を配置した。
このとき、実施例1〜8及び比較例1〜2のサンプルのそれぞれについて、金属端子の接合部における接合面に対する第1の距離D1,第2の距離D2及び角度θを、表1に示すように調整した。上述のように、第1の距離D1は、金属端子の端部と接合面との間の最も大きい距離である。第2の距離D2は、屈曲部と接合面との間の最も小さい距離である。角度θは、接合部の長さLと、第1の距離D1及び第2の距離D2とに基づいて算出した、接合面に対する接合部の角度である。
Figure 2021077769
さらに、積層セラミックコンデンサ及びインターポーザ基板を加熱することで、ハンダを介して金属端子を外部電極及びインターポーザ基板の双方に接合した。なお、各サンプルの金属端子は、試験のため、各接合面に対して1つずつ設けた。これにより、実施例1〜8及び比較例1〜2の電子部品実装基板を作製した。
引張試験機(メーカー:今田製作所 型番:引張圧縮試験機 SDT502CA)により、各サンプルの金属端子を、接合面に対して垂直な方向に引っ張り、金属端子の剥離した際の強度(剥離強度と称する)を測定した。この結果を表1に示す。この試験では、剥離強度が15N以上のサンプルをA、10N以上15N未満のサンプルをB、10N未満のサンプルをCと評価した。
表1に示すように、角度θが1度以上15度以下である実施例1〜8の電子部品実装基板では、いずれも剥離強度がA又はB評価であった。これにより、角度θが1度以上15度以下である電子部品実装基板の金属端子は、接合面から垂直な向きの外力に対して高い接合強度を有することが確認された。
特に、角度θが5度以上10度以下である実施例3〜5の電子部品実装基板では、いずれも剥離強度がA評価であった。これにより、角度θが5度以上10度以下である電子部品実装基板は、上記外力に対してより高い接合強度を有することが確認された。なお実施例3〜5では、Z軸方向及びY軸方向における中央部の位置において、外部電極の厚さ<ハンダの厚さ<金属端子の厚さの大小関係であった。
また、実施例1〜8の電子部品実装基板については、いずれも第2の距離D2が0.01mm以上0.02mm以下であって、0.00mmより大きく、屈曲部と接合面との間にハンダが存在していた。この結果により、第2の距離D2を0.00mmより大きくし、さらに角度θを1度以上15度以下とすることにより、十分な接合強度が確保できることが確認された。
一方、角度θが0.0度である比較例1及び角度θが16.3度である比較例2の電子部品実装基板では、いずれも、剥離強度がC評価であった。これにより、角度θが1度未満及び角度θが15度よりも大きい電子部品実装基板では、金属端子と接合面との間で十分な接合強度が得られないことが確認された。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば本発明の実施形態は各実施形態を組み合わせた実施形態とすることができる。
上記実施形態では、外部電極が焼結金属膜として構成されると説明したが、これに限定されない。例えば外部電極は、焼結金属膜と、焼結金属膜上に形成された1又は複数のメッキ膜と、を有していてもよい。
上記実施形態では積層セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサ10について説明したが、本発明は内部電極が積層されたセラミック素体を有する積層セラミック電子部品全般に適用可能である。このような積層セラミック電子部品としては、例えば、チップバリスタ、チップサーミスタ、積層インダクタなどが挙げられる。
上記実施例では、金属端子は試験のため各接合面に対して1つずつ設けたが、金属端子は各接合面に複数個設けられてもよい。この場合、複数個設けられた金属端子の少なくとも1個が実施例で説明したような条件で接合されていれば、上記に記載した効果を十分に得ることができる。
10…積層セラミックコンデンサ(積層セラミック電子部品)
11…セラミック素体
11a…端面
12,13…内部電極
14…外部電極
14a…接合面
15…金属端子
151…接合部
152…端部
153…屈曲部
16…ハンダ

Claims (3)

  1. 第1方向に積層された内部電極と、前記内部電極が引き出され前記第1方向に直交する第2方向に向いた端面と、を有するセラミック素体と、
    前記第2方向に向いた接合面を有し、前記端面に形成された外部電極と、
    前記第1方向に延び、かつハンダを介して前記接合面に接合された接合部を有する金属端子と、
    を具備し、
    前記接合部は、
    前記接合面から前記第2方向に第1の距離をあけて離間した端部と、
    前記接合面から前記第2方向に前記第1の距離よりも小さい第2の距離をあけて離間し、前記接合面から離れる方向に屈曲した屈曲部と、を含み、かつ、
    前記接合面に対して1度以上15度以下の角度をなすように傾いて接合される
    積層セラミック電子部品。
  2. 請求項1に記載の積層セラミック電子部品であって、
    前記接合部は、前記接合面に対して5度以上10度以下の角度をなすように傾いて接合される
    積層セラミック電子部品。
  3. 積層セラミック電子部品と、
    前記積層セラミック電子部品が実装された基板と、
    を具備し、
    前記積層セラミック電子部品は、
    第1方向に積層された内部電極と、前記内部電極が引き出され前記第1方向に直交する第2方向に向いた端面と、を有するセラミック素体と、
    前記第2方向に向いた接合面を有し、前記端面に形成された外部電極と、
    前記第1方向に沿って延び、かつハンダを介して前記接合面に接合された接合部を有する金属端子と、
    を有し、
    前記接合部は、
    前記接合面から前記第2方向に第1の距離をあけて離間した端部と、
    前記接合面から前記第2方向に前記第1の距離よりも小さい第2の距離をあけて離間し、前記接合面から離れる方向に屈曲した屈曲部と、を含み、
    前記接合面に対して1度以上15度以下の角度をなすように傾いて接合される
    電子部品実装基板。
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